JPS5918951Y2 - 履帯密封装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は履帯の密封装置に関するものである。

無限軌道の駆動に際し、リンクを連結するピンとブツシ
ュの間に砂などが侵入すると、それらの研摩剤となって
ピンの表面とブツシュの内面を摩耗させる。

このピンとブツシュの摩耗によりピンの間隔が狂いリン
クが伸びると、これを起動する起動輪の歯と正しく噛み
合わないため起動輪の歯の異常摩耗を起したり、衝激的
に噛み合うため、無限軌道全体の寿命を著しく短縮する
ことになる。

以上のことを防止するため種々の密封装置が使用されて
いるが、それぞれ下記のような欠点がある。

第１図は無限軌道の概略を示す。

相隣るリンク１．２はブツシュ３及びピン４にて連結さ
れている。

第２図はその連結部の断面図でブツシュ３を内側リンク
２の嵌合孔に嵌着し、ピン４をブツシュ３に貫通しその
突出端を外側リンク１の嵌合孔に嵌着してリンク１，２
を連結する。

リンク１におけるピン４の嵌合孔の内側外周に形成され
た環状凹部５にシール材を入れて密封する。

第２図、第３図は従来のシール材であり、第２図におい
ては比較的シール性の良いポリウレタンゴム６ａと発泡
ウレタン６ｂを組合せたシール材を用いたもので、第３
図は皿バネ′７を用いたものである。

第２図のシール材は密封性は良いが軟かいため、車両が
傾斜地を走行しリンクに横方向の力がかかると変形して
しまい、第３図の皿バネは横方向には持重は受けられる
がシール面が金属の線接触のため密封性が悪かった。

またいずれのシールも油やグリースに対して密封効果が
ないためピンとブツシュとの間に潤滑剤を入れることが
出来ず金属接触により、早期摩耗を起こしたり、あるい
は履帯が動くときキシミ音を発し、運転者に不快感を感
じさせていた。

そこで本考案は前記欠点を除去し、横方向の力が受けら
れ油などに対して密封性の良いシールを作り、ピンとブ
ツシュの摩耗を防止する履帯密封装置を提供することを
目的としたのであり、その特徴とする処は、耐摩耗性を
有する硬い材料よりなり、Ｌ字形断面形状の大径及び小
径の環状シールと、該大径環状シールと小径環状シール
との間に配置した高い弾力性をもつ比較約款い材料より
なる負荷リングとよりなり、組込前の状態において前記
大径環状シールと小径環状シールを前記負荷リングと組
み合せ、環状シールの中心線方向に若干ずらして互いに
対向して配置し、リンクの凹部への組込状態においては
前記シールの端面がブツシュ及びリンクの端面と密着し
主たるシール面を形成するように圧縮状態で収容したこ
とにあり、Ｌ字形断面をもつ環状シールを若干ずらして
対向させ、その間に弾力性をもつ負荷リングを入れるこ
とにより、シール面を形成し、また横方向の荷重も受け
られるようにしたシールを用いて、ピンとブツシュの間
に土砂が入ることを防止したことにある。

本履帯密封装置は、履帯を取付けたブルドーザ、トラク
タショベル、パワーショベルに適用で゛きる。

本考案の実施例を以下図面に従って詳細に説明する。

第４図は本考案のシールの断面を示し、耐摩耗性と若干
の自己潤滑性のある比較的硬い材料例えば焼結合金、硬
質プラスチックあるいはセラミックなどで出来た環状シ
ール８１．８２と弾力性に富む比較的柔かな材料例えば
ニトリルゴムなどで出来た負荷リング８３とが組み合さ
って構成される。

環状シール８１は半径方向外側にＬ型に成形され環状シ
ール８２は半径方向外側にＬ字型に成形されている。

環状シール８１の長さ１、寸法は環状シール８２の長さ
１２寸法と同一であるが、１３寸法だけずれて互いに対
向して配置する。

負荷リング８３は環状シール８１と環状シール８２の間
にはめこまれている。

環状シール８１と環状シール８２の短辺の面ａ、ｂは平
滑に仕上げられている。

第５図は本シール８がリンク１の環状凹部５に組み込ま
れた状態を示す。

リンク１とブツシュ３とが形成する空間の長さ１４は環
状シール、８２の長さ１２と同一としであるので、環状
シール８１は押し込まれ負荷リング８３が横方向に変形
し、その復元力で環状シール８１の面ａおよび環状シー
ル８２の面すはそれぞれブツシュ端面３１とリンク端面
１１に常に密着して押し付けられブツシュ３の横方向の
移動にも追従してシール面を形成する。

横方向に異常な力が加わった場合もシール８１゜８２の
シール面ａ、 ｌ）の反対側の面ｃ、 ｄがブツシュ３
及びリンク１に接触し、横方向の荷重を受けるので負荷
リング８３が過度の変形をして破壊されることを防止で
きる。

このように構成された本履帯密封装置は、負荷リング８
３の弾性力によりシール８１．８３は常にブツシュ３お
よびリンク１に密着し、シール面を形成することにより
外部からの異物の侵入を防ぎ、ピン４が摩耗するのを防
止する。

また横方向の力によりシールが破壊されることもない。

このように本考案によれば、横方向の荷重を受けられ、
さらに油などに対して密封性が良く、ピン、ブツシュの
摩耗を防止することが可能であり、履帯の寿命を伸長す
る。

また本シールは単一材料からなるので安価に製造できる
。

【図面の簡単な説明】

第１図は無限軌道の概略斜視図、第２，３図は従来の履
帯密封装置の例を示す要部断面図、第４図は本考案・に
係る履帯密封装置に使用するシールの組込み前に於ける
断面図１．第５図は本履帯密封装置の実施例を示す要部
断面図である。 １・・・リンク、１１・・・リンク端面、２・・・リン
ク、３・・・ブツシュ、３１・・・ブツシュ端面、４・
・・ピン、５・・・リンクの環状凹部、８・・・シール
、８１，８２・・・環状シール、８３・・・負荷リング
、ａ、ｂ、Ｃ９ｄ・・・端面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 耐摩耗性を有する硬い材料よりなり、Ｌ字形断面形状の
   大径及び小径の環状シールと、該大径環状シールと小径
   環状シールとの間に配置した高い弾力性をもつ比較約款
   い材料よりなる負荷リングとよりなり、組込前の状態に
   おいて前記大径環状シールと小径環状シールを前記負荷
   リングと組み合せ、環状シールの中心線方向に若干ずら
   して互いに対向して配置し、リンクの凹部への組込状態
   においては前記シールの端面がブツシュ及びリンクの端
   面と密着し主たるシール面を形成するように圧縮状態で
   収容したことを特徴とする履帯密封装置。