JPS5917501Y2 - 金属用容器出湯孔のスラグ巻込み防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属用容器出湯孔のスラグ巻込み防止装置に関
するものであり、スラグの存する溶湯金属からスラグと
溶湯金属を適切に分離し、清浄な金属を得るための簡単
で容易な装置を提供しようとするものである。

従来、取鍋やタンテ゛イシュなどの溶湯容器の出湯孔か
ら溶湯を出湯するに際しては、例えば第１図に示すよう
に、容器１の上方からその底部に設けられた出湯孔３に
向けてストッパー２を取付け、それを適宜上下させて出
湯スピードの調整や溶湯５とスラグ４の分離が行なわれ
ていたものである。

ところが近年前記ス１−ツバ−２に代わる新たな装置と
して第２図に示す如く、出湯孔３の外側にインタースト
ップ型や、ロータリー型の摺動可能な開閉装置６を取付
けたものが開発された。

かかる装置はストッパー製作費やレンガ原単位の低減、
さらには省力化、自動システム化などに優れた利点を有
し、今後ますます多用される傾向にある。

しかし、このような方式にも実際上幾つかの難点が残さ
れている。

すなわち、第２図に示すように、溶湯５の出湯末期に溶
湯レベルが低下すると、溶湯５とスラグ４との界面にた
つ巻き状の渦流７が生じ、このため溶湯面上に浮遊して
いるスラグ４が溶湯５中に巻込まれ、出湯流８中にサス
ペンドして出湯されることになる。

こうしたスラグ４が溶湯中に混入すると、溶湯５の清浄
性が悪くなり、例えばアルミキルド鋼の場合、５ＯＩＡ
Ｉの大巾な低下が生じるなど溶湯成分を変成させるので
、鋳造後の鋼塊、スラブその後の成品の性質を大巾に劣
化させる原因となる。

このような渦流７の発生によるスラグの巻込み現象はス
トッパーを使う従来の方法ではほとんと゛生ヒなかった
ことであり、その早急な解決が待たれている。

本考案はこのような現状に鑑みて提案されたものである
。

次に本考案の具体的実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

先ず、第７図に示されたものは本考案における流体案内
ｅ１９の一例を示したものであり、第７図Ａは短筒状の
」二面１３を平板で塞いで帽冠状へすると共に、その周
側面１５に複数の矩形状溶湯金属導入口１２を開口した
ものである。

また第７図Ｂは周側面１５に複数の切欠部を設けてそれ
を溶湯金属の導入口１２としたものである。

そして第７図Ｃは前記周側面１５の溶湯金属導入口１２
を円形状としたものである。

要するに前記した溶湯金属の導入口１２の形状は特別限
定されるものではなく、また上面板１３も出湯孔３の形
状に応じて円形、楕円形、多角形等適宜変更し得るもの
である。

しかしその流体案内物９の径はいずれの場合も出湯孔３
の径より大きくすることが必要であり、また導入口１２
も上面板１３に設けることなく、周側面１５だけに設け
るようにすることが必要である。

かかる流体案内物９は第６図に示す如く、出湯孔３の入
口側に周側面１５を支持体としてその出湯孔３と同軸上
に載置または固定される。

この場合、流体案内物９の周側面１５を高くすれば、そ
れに応じて渦流７の発生する湯面のレベルも高くなるの
で、その高さは出湯孔３の径の％以下とする。

また、最大出湯速度により決まる最小の高さとするのが
最適である。

このようにすれは゛、溶湯５は出湯流８と直角方向から
導入口１２を通って流れ出し、出湯流８と平行な流れは
総て上面板１３で遮られるため、前記渦流７が発生する
ことなく、溶湯５中へのスラグ４の混入が防止される。

一方、第３図及び第４図は本考案に係る装置の他側を示
すものであり、先ず第３図に示した流体案内物９は前記
平板上の上面板１３に換えて出湯７Ｌ３よりも大きな径
とした楕円体１４をその球面部を出湯孔３に向けて設け
たものであり、前記同様周側面１５には複数の溶湯金属
導入口１２が設けられている。

また、第４図に示すものは上面板１３の内方中央部に球
面を出湯孔３に向けて半球体１４ ａを設けたものであ
る。

これら流体案内物９の上面はいずれにしても出湯孔３よ
り大径とすることは前述した通りである。

また、その設置の際、各球面の中心線を出湯孔３と同軸
上に位置せしめる必要があり、その高さは出湯孔３の直
径の％以下とすることも前述と同様である。

このように出湯孔３に向けて曲面部を設けると、溶湯５
はその曲面部により適切に案内され出湯孔３の周囲より
均一かつ整流な状態で流れ出すため、前記渦流７の発生
、さらにはスラグ４の混入を防止するうえでより良好と
なる。

以上述べた各流体案内物９は出湯孔３の周縁上にアルミ
ナセメント等で直接固定してもよいが、一般には溶湯５
がその出湯孔３で固まって目詰まりを起こすのを防ぐた
め、容器１へ溶湯５を注入する前に出湯孔３を砂等の詰
物で塞いでいるので、この場合は出湯孔３に詰物を詰め
た後、前記流体案内物９を単に載置してもよい。

さらには第５図に示す如く、出湯孔３との芯合せ、位置
ずれ等を避けるため周側面１５の下端部に係止部１６を
突設し、出湯孔３の入口に形成されているテーパ一部１
７にそれを着脱自在に嵌入させてもよい。

かかる流体案内物９の材質は従来のストッパー２に用い
られていた耐火物でも良いが、できるだけ溶湯５やスラ
グ４に対して溶損され難いものが望ましいことはいうま
でもない。

なお、出湯流８中へのスラグ４の巻込み混入を防止する
補助的手段として上記流体案内物９本体または出湯孔３
付近あるいは出湯孔３から細泡状のガス体を均一に吹出
す方法を用いると、その効果がさらに安定化する。

この際用いられるガス体としては溶湯５と不活性なＡｒ
、Ｎ２などが望ましく、吹込み流量としては湯面が極度
に擾乱される状態は避けるのが適切である。

次に本考案に係る装置を使って具体的に実験した結果を
述べる。

先ず、スライテ゛イングノズルを有する連続鋳造用鍋を
２鍋用意し、Ａ鍋は従来通りとし、Ｂ鍋には本考案に係
る第４図の装置をアルミナセメントにより鍋底に固定し
て、それぞれに冷延向アルミキルド鋼２５０ ｔを受鋼
し、連続鋳造を行ない、タンディシュ中の溶鋼よりサン
プルを採取して溶鋼中の５ＯＩＡＩの変化を調査した（
〔％５ＯＩＡＩ）鍋中中０．０５０）。

なお、Ｂ鍋に取付けた流体案内物は、５ｉＯ２４３％、
Ａｌ２Ｏ３１０％、ＺｒＯ２４７％である。

第８図はその結果を示したものである。

このグラフによれば、Ａ鍋は鋳造末期になると５ＯＩＡ
ＩがＢ鍋に比べ早い時期から低下しはじめ、しかも低下
の程度が大きいことがわかる。

これは鍋中のスラグがタンテ゛イシュに混入し、タンデ
ィシュ中で溶鋼と反応するために生じるものである。

これに対しＢ鍋はすたぶる良好な成績が得られた。

また、これと同様な方法によりＢ鍋に本考案における第
７図Ｂの流体案内物を設置し、タンテ゛イシュの溶鋼よ
りサンプルを採取して溶鋼中の５ＯＩＡＩを調査した。

その結果が第１０図のグラフに′示されており、前記同
様本考案に係る装置を使用したＢ鍋は鋳造末期において
も５ＯＩＡＩが安定したレベルに保たれていることがわ
かる。

次に２ストランド型式連続鋳造用タンテ゛イシュを使用
し、そのＡストランドは従来のスライディングノズル、
Ｂストランドには本考案に係る第３図に示した装置とス
ライディングノズルを併用し、２５０ ｔ ／ｃｈの４
０キロ級厚板向鋼種を２連鋳した。

鋳造後各ストランドのスラブから鋳造横方向の全幅サン
プルを各ストランド２０ケ所より採取し、研摩面に明ら
れる１００μ以上の大型介在物を調査した。

なお、流体案内物の材質は前述したＢ鍋に用いたものと
同様である。

その結果が第９図である。

このグラフによれば、Ａストランドにおけるスラブ中の
大型介在物の量はＢストランドに比べ特にＺｃｈ目が多
く、タンディシュの湯面低下によりスラグが混入しやす
く、かつ連々鋳つぎ目におけるタンディシュ内の湯面低
下によりタンディシュスラグが混入したことを示してい
る。

これに対しＢストランドはスラグの混入が防止され、全
体的にスラブの清浄度が改善されていることがわかる。

以上の各実験データからも理解し得るように、本考案に
よれば出湯末期に湯面レベルが低下しても溶湯５内と溶
湯スラグ界面に渦流７が生ずるのを適切に防止すること
ができ、その結果スラグ４と溶湯金属５とを効率よく分
離して清浄な金属を得ることができるなどの利点を有す
るものであり、その技術的効果の優れた考案である。

【図面の簡単な説明】

第１図はストッパーを使用した従来の容器を示す断面説
明図、第２図は同じく摺動開閉装置を使用した従来の容
器を示す断面設面図、第３図及び第４図は本考案に係る
装置の一例を示す断面図、第５図及び第６図は本考案に
係る装置の取付状態を説明するための断面図、第７図は
本考案における流体案内物の他の例を示す斜視図、第８
図は本考案に係る前記第４図に示した装置を使用して鋳
造中のタンディシュ中における溶鋼の〔５ＯＩＡｌ〕変
化を示したグラフ、第９図は本考案に係る前記第３図に
示した装置を使用して鋳造時間と大型介在物量の指数の
関係を示したグラフ、第１０図は本考案に係る前記第７
図Ｂに示した流体案内物を使用して鋳造中のタンテ゛イ
シュ中における溶鋼〔５Ｏ１Ａ１〕変化を示したグラフ
である。 図中、１は容器、３は出湯孔、４はスラグ、５は溶湯金
属、６は摺動開閉装置、７は渦流、９は流体案内物、１
２は溶湯金属導入口を各示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 棒状のストッパーを設けることなく、容器に形成された
   出湯孔の外側に摺動開閉装置を取付け、スラグの存する
   溶湯金属からスラグと溶湯金属とを分離して溶湯金属を
   注出する金属用容器において、前記出湯孔の入口側にそ
   の出湯孔の径よりも大きく、かつその出湯孔径の％以下
   の高さとした流体案内物を該出湯孔との同軸上に設ける
   と共に、この流体案内物の上面部を塞いで、周側面のみ
   に前記溶湯金属の導入口を設けたことを特徴とする金属
   用容器出湯孔のスラグ巻込み防止装置。