JPS5914644B2 - 回転電機のすべり軸受装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は回転電機のすベク軸受装置に係り、特に回転軸
の自由端部を外カバーに取付けられたスラスト受圧板に
当接させてスラスト負荷を受けるようになされた回転電
機のすベー軸受装置に関する。

家庭用電気製品等に用いられる小型電動機にあつては、
第１図に示すように、回転子１に取付部２を介して取付
けられた回転軸３を軸受４で支承すると共に回転軸３の
球面状の自由端部３Ａを外カバー５の内側に取付けたス
ラスト受圧板６で受 、’けて回転軸３に加えられる軸
方向のスラスト負荷を支承するようになされたものが一
般的に用いられている。

その他図中、Ｔは軸受サポート、８は止め輪、９は含油
ウイツク、１０は固定子を示す。このような装置では回
転軸３に対して電動機自体の動作およびファン等のモー
タ負荷部の動作に５ よる種々のラジアル負荷およびス
ラスト負荷が加わわ、これら負荷の中には電動機の電磁
振動による供電交流の周波数の２倍の周波数の振動負荷
が含まれる。この振動は通常１００〜１２０Ｈｚの可聴
低周波であるのでこれがボルト・ナット締結・０ 部な
どを介して電動機を組込んだ電気製品に伝達されると不
快な騒音となわ、特に家庭用電気製品にあつては著しく
その商品価値を損なわせる。ここで第１図示の形成の小
型電動機ではこのような低周波振動が特にすべわ軸受部
において顕著・５ であわ、その原因が前記外カバー５
とスラスト受圧板６との間の空隙にあることが本発明者
等の実験によつて確認された。前記スラスト受圧板６は
回転軸３のスラスト負荷を受ける目的で外カバーの内側
面に設けられる！０ もので摩耗係数が比較的小さくか
つ摺動音の少ないナイロンプラスチックシートなどから
所定の寸法形状に打抜加工などによつて製作されている
。

このためスラスト受圧板６を完全に平坦な形状に加工す
ることは困難で量産品の中には種々のそり・５ のある
ものが含まれて来る。この場合スラスト受圧板６のそク
が第２図に示すようにその中央部すなわち回転軸３との
当接部では外カバー５に密着するような方向に生じてい
れば両者の間に空隙は生じないが、第３図に示す■０
ように逆の方向にそりのあるときはスラスト受圧板６の
外カバー５への装着時に両者の間に軸の自由端部３Ａの
当接部分で空隙δが形成されて問題となる。

すなわち、第１図示の電動機のようにスラスト受圧板６
に対して加えられる振動がほとん■５ ど軸方向のスラ
スト負荷によるものであわ、かつこのスラスト振動の大
きさが数１０ミクロン程度、の小さな値である特定の場
所には、スラスト受圧板６と外カバー５との回転軸当接
部分が第２図に示すように密着されている状態に比較し
て第３図に示すように空隙δが形成されている状態の方
がダンパー作用によつてより大きなスラスト振動を生じ
ることが実験によつて確認された。またスラスト受圧板
６の材質について検討したところ、一般的には軟質のも
のほど振動吸収効果が大きいと考えられるが、この特定
の場合では軟質のスラスト受圧板の方がスラスト振動を
抑制することが判明した。たとえば第４図に示すように
低周波電磁振動が回転軸３からスラスト受圧板６に対し
て矢印Ａ方向から加えられるとスラスト受圧板６はスラ
ストＷ１で右方に変形する。次いで振動の方向が矢印Ｂ
方向に逆転すると回転軸３はスラストＷ１に加えて前記
の右方に変形したスラスト受圧板６の回復力Ｆ１で左方
に移動する。このためスラスト受圧板６の材質の硬度が
小さいほどスラスト方向の振動が大きくなる。ここでス
ラスト受圧板６の材質を極めて硬度の高いものとすれば
スラスト振動を抑えることになるが、そのような硬度の
大きい材質のものであつて、しかもすべり軸受面として
適した特性およびパンチングなどによる容易な加工性を
備えた適切な材料を得ることには困難がある。

したがつて、スラスト振動は専ら前記間隙δを解消する
方向において抑止する必要がある。このためにはスラス
ト受圧板６の製作時にそりのないもの、および少なくと
も第２図に示すそク形状のものを選択せねばならないこ
とになるが、量産品の中からこのような選別を行なうこ
とは非能率的でもありまた加工の歩留まりを低下させる
ことになる。その他前記空隙δに接着剤を充填する方法
あるいは外カバーの所定部にプラスチツクを一体に溶着
させてスラスト受圧板を形成することも考えられるが、
加工コストの増大などがあつて必らずしも効果的な解決
は期待できない。本発明の目的はこのような従来技術の
欠点を解消し、電磁振動による騒音の少ない回転電機の
すべり軸受装置を提供することにある。

本発明は、回転電機を収容する外カバー部材の内面に対
して取付けたスラスト受圧板部材に回転報の自由端部を
軸方向に沿つて当接させてスラスト負荷を受けるように
なされた回転電機のすべり軸受装置において、前記外カ
バー部材およびスラスト受圧板部材の少なくとも一方の
部材の前記回転軸の自由端部に対応する部分を他方の部
材に対して軸方向に突出するように形成したことを特徴
とする。

以下本発明の一実施例を図面に基いて詳細に説明する。

第５図は本発明実施例のすべり軸受装置を適用した小型
電動機の要部を示す図である。

図中、各構成部分は基本的には第１図に示す装置と同様
であわ対応する部材は同一の符号で示してある。本実施
例においては図に示すように、スラスト受圧板１６を取
付ける外カバー１５が回転軸３の球面状の自由端部３Ａ
の軸心に対応する部分において肉方、すなわちスラスト
受圧板１６に対向する側に軸方向に沿つて突出するよう
な形状になされている。外カバー１５に対する突出部１
５Ａの形成によつてこれに装着されるスラスト受圧板１
６のそりの方向如何にかかわらず前記間隙δが除去され
る。すなわち、スラスト受圧板１６が、たとえば第２図
に相当するように軸の自由端部３Ａとの当接部で外カバ
ー１５に密着するようなそりを有している場合には、ス
ラスト受圧板１６と外カバー１５の前記突出部１５Ａと
が密着して当然空隙は生じない（第６図）。

また特に第２図に相当するような状態で自由端部３Ａと
の当接部で両者の間に空隙δが形成されるようなそりを
有するスラスト受圧板１６の場合には、前記突出部１５
Ａがこの空隙に突出してスラスト板１６と密着し空隙が
効果的に解消される（第７図）。したがつて、前記外カ
バー１５の製作に際してその突出部１５Ａの軸方向寸法
をスラスト受圧板の量産打抜の場合に生じ得る前記第２
図の場合の空隙δの最大見込寸法に対応させておけば、
任意のスラスト受圧板が外カバーに対して空隙なく密着
される。

このように本実施例においては、小型電動機のすべり軸
受装置において、外カバー１５の回転軸３の自由端部３
Ａに対応する部分１５Ａをこれに対して取付けられるス
ラスト受圧板１６の側に軸方向に沿つて突出させてある
ので、スラスト受圧板１６の装着時にそのそりの有無、
方向の如何にかかわらず両者を密着させることができ、
電動機のスラスト振動を防止することができる。

本実施例においては、前記カバーとスラスト受圧板との
間隙を解消するために外カバーの側にこの間隙方向に突
出する突出部が形成されているが、間隙解消のためにス
ラスト受圧板に同様な突出部を設けてもスラスト振動を
防止することができる。

この場合には、スラスト受圧板に前記突出部１５Ａに相
当する部分を形成するか、または板材全体の形状を中央
部が外カバー側に接近させるように形成すればよい。以
上本発明を図示の小型電動機のすべう軸受装置について
説明したが、本発明は広く一般の回転電機のすベジ軸受
装置に適用することができる。

叙上のように本発明によれば、回転電機のすべり軸受部
におけるスラスト振動によつて生じる騒音を防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来すべｂ軸受装置の断面図、第２図および第
３図はその要部の装着状態を示す拡大断面図、第４図は
前記要部におけるスラスト振動状態を示す説明図、第５
図は本発明実施例の断面図、第６図および第７図は前記
実施例要部の装着状態を示す拡大断面図である。 ３・・・・・・回転軸、３Ａ・・・・・・球状自由端部
、１５・・・・・・外カバー、１５Ａ・・・・・・突出
部、１６・・・・・・スラスト受圧板、δ・・・・・・
空隙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転電機を収容する外カバー部材の内面に対して取
   付けたスラスト受圧板部材に回転軸の自由端部を軸方向
   に沿つて当接させてスラスト負荷を受けるようになされ
   た回転電機のすべり軸受装置において、前記外カバー部
   材およびスラスト受圧板部材の少なくとも一方の部材の
   前記回転軸の自由端部に対応する部分を他方の部材に対
   して軸方向に突出するように形成したことを特徴とする
   回転電機のすべり軸受装置。