JPS591429B2 - コ−クス炉装入炭添加用粘結剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコークス炉装入炭に添加して装入炭の乾溜によ
り得られる冶金用コークスの品質、特に強度を向上させ
得る如くしたコークス炉装入炭添加用粘結剤に係るもの
である。

近年原料石炭事情の悪化に伴ない、微粘結炭や非粘結炭
の如き劣性炭を従来よりも多く冶金用コークスの原料と
して利用する研究力４々行われているが、現在実用化さ
れているものとしては原料の石炭に粘結剤としての瀝青
物を添加混合し、成型機で加圧成型して成型炭とし、こ
れを通常の配合炭に混合してコークス炉で乾溜するいわ
ゆる成型炭一部配合法の外、原料石炭をコークス炉に装
入する前に、予じめ予熱するいわゆる予熱炭装入法等が
知られている。

又前記の如き方法に関連して良質のコークスを製造する
上で、不可欠とされている劣性炭に不足している粘結性
を附与するために劣性炭の多く配合された原料石炭に、
粘結剤を添加する方法に就ても種々研究されており、特
に粘結剤として如何なる組成のものが取扱い上便利であ
り、しかもコークスにした場合、好品質をもたらすかが
研究課題になっている。

通常前記粘結剤としてはアスファルト及びピッチ等の瀝
青物が用いられるが、石炭にそれ等を只単に添加するの
みでは石炭との親和性の面から考えて不充分であり、こ
れ等の瀝青物を改質して充分に石炭になじむようにする
ことが必要で、その方法が種々検討されている。

即ち現在公知の改質法としては例えばアスファルとやピ
ッチ等の瀝青物を２００〜５００℃程度の範囲で加熱処
理しそれらの成分を高分子量化する方法及び前記瀝青物
に適当な有機溶剤や高分子樹脂を配合する方法等がある
。

処が何れの方法も粘結剤の改質に当っては、かなり大き
な装置と操作を必要とする上に、改質後の粘結剤は主と
して常温では固体であり、石炭に添加する時にはこれを
粉砕して粉状にしなければならないとか、粉砕された石
炭粒子間に均一に散布介在させなければならないので、
石炭への添加時に充分混合され易いような形態にする必
要がある等改善すべき点が多い。

これ等の欠点を解消するために発明したのが本発明で、
従って本発明の目的は、良質のコークスが得られながら
使用方法の簡便なコークス炉装入炭添加用粘結剤を供給
することで、本発明は高級不飽和脂肪酸でアシル化した
瀝青物と、アミン塩水溶液とを混合して乳化液状とした
コークス炉装入炭添加用粘結剤を要旨とするものである
。

以下本発明を更に詳細に説明するが、本発明のコークス
炉装入炭添加用粘結剤の組成分の１っである高級不飽和
脂肪酸によってアシル化した瀝青物とは、例えば石油か
ら得られるストレートアスファルト、ブローンアスアル
ト、プロパン税源アスファルト、石炭の軟部によって得
られるコールタールピッチ等や石油精製工程中温滑油抽
出に際して副生ずる芳香族に富んだ一般にアロマチック
オイル或はプロセスオイルと呼ばれる油分で芳香族油分
６０％以上、アニリン点２０℃以下のもの等の１種又は
２種以上を、炭素数１８前後の高級不飽和脂肪酸、具体
的にはヒマシ油脂肪酸、桐油脂肪酸又は大豆脂肪酸から
選ばれた高級不飽和脂肪酸の１種又は２種以上でアシル
化し、前記瀝青物の化学組成の分子中にエーテル基、エ
ステル基、カルボキシ基、カルボニル基を導入した形の
ものである。

このようなアシル化瀝青物は前記瀝青物を加温し、これ
と前記高級不飽和脂肪酸とを例えば１５０〜１６０℃の
加温下、数時間反応させることにより得られる。

又過塩素酸すｌ−ＩＪウムを触媒とすれば反応は速やか
に進行するのである。

しかして、瀝青物を高級不飽和脂肪酸でアシル化するの
は、後記により明らかとなる如く、石炭油分との相溶性
を良好になし、かつ、粘結剤の液晶を細密となして粘結
効果を向上すると共に、粘結剤の流動性を良好にして原
料石炭への浸透を良好にして石炭強度を犬とするためで
ある。

又本発明の粘結剤の他の組成分であるアミン塩水溶液は
前記アシル化瀝青物の水性乳化を助成するためのもので
、有機又は無機酸の水溶液に脂肪域又は芳香族のモノア
ミン、或はボリアメンを加えてアミン塩の水溶液の形と
したものであり、酢酸や塩酸の水溶液に例えばアルキル
・トリメチル・ジアミン具体的にはステアリル・トリメ
チル・ジアミン或はオレイル・トリメチル・ジアミン（
トリメチル・ジアミンの内、アルキル基としてステアリ
ン酸或はオレイン酸の如き高級不飽和脂肪酸にメチル基
が３個、アミン基が２個附加重合したもの）の如きジア
ミンを加え加温攪拌することにより得られる３〜１０％
程度のジアミン塩を含有する水溶液の形態のものが好結
果をもたらすのである。

しかして、本発明の高級不飽和脂肪酸でアシル化した瀝
青物は装入炭軟部時の石炭油分と相溶し、４５０℃以上
の軟部温度に於て細かくて密な球状の炭素粒子即ち本発
明の粘結剤が熱分解して形成する液晶が細密に生成して
粘結効果を向上するのである。

次に石炭油分に対する粘結剤の相溶性と粘結性を表Ｉと
して、又加熱重合による粘結剤の粘結効果を表■として
示す。

前記表Ｉ中各成分は重量部で示す、又石炭油分とは石炭
中に含まれる油分で、自然の軟部状態では３００℃附近
から窒素ガスとともに揮発を伴いながら融解を始める極
めて芳香族性に富んだ物質で、５００℃以上では約１５
％、８００℃以上では約２０％の融解油分が得られるも
のをいう。

尚この割合は石炭の産地、種類によって異るのであり、
例えば木炭では１８％、南アフリカ炭では１２％、国産
炭では４３％の如きである。

又粘結剤はアシル化後の試料で、酸価３〜４を示し、瀝
青物１００重量部に沃素価５０〜１３０を示す不飽和脂
肪酸５〜１０重量部を加え塩化アルミニウム触媒下、常
圧、２５０〜２８０℃の温度条件で３〜５時間重合して
得たものである。

又芳香族油分とは、石油の精製の過程で得られる潤滑油
分の初溜又は残渣油のフラクションで俗に、潤滑油精製
工程中に得られるエクストラクト油と呼ばれるものであ
り、ベンゼン核を含む成分でベンゼン核で全成分の３０
％以上を含むものをいう。

又石炭油分との相溶性、粘結剤の液晶の形成は、粘結剤
を加えた後、乾溜し形成した液晶の存在を顕微鏡で観察
し、球状の液晶がモサイク状に点在し、整然と並んだ状
態を相溶性最良、液晶形成最良とし、ランダムに点在し
、液晶が少いか、又は存在しない場合を相溶性良、液晶
形成良、とし、前記最良、良でないものを相溶性不良、
液晶形成不良とした。

又粘結剤の流動性は、軟部炉において乾溜した場合の石
炭強度（ドラム強度の測定）の太きいものから順次粘結
剤の流動、最良、良、不良と判定した。

但し７表Ｈに於て 加熱重合条件は１５０±１０℃、１０時間乾溜条件は
２２５±２０°Ｇ、 ５時間液晶及び流動性は４５
０℃に於て測定した。

父前記表■中、粘結剤の液晶形成及び粘結剤の流動性の
判断は表１と同様の判定基準によるもので、液晶の形成
を顕微鏡で観察して、モザイク状に形成した液晶の大き
さ、数をみて密、細としランダム状に形成した液晶の大
きさ、数をみて粗、犬とした。

本発明の高級不飽和脂肪酸でアシル化した瀝青物は、石
炭軟部時の石炭油分とよく相溶し、４５０℃以上の軟部
温度において細かくて密な球状の炭素粒子即ち粘結剤が
熱分解して形成する液晶が生成して粘結効果を生ずるの
である。

然して本発明の粘結剤は前記高級不飽和脂肪酸でアシル
化した瀝青物２０〜６０重量部とアミンの酸性水溶液８
０〜４０重量部とを通常知られている乳化機器例えはホ
モジナイザー或はコロイドミルで激しく混合攪拌するこ
とによって得られる。

この場合乳化安定剤として塩化カルシウム又は塩化マグ
ネシウムの如き潮解性物質を存在させるようにすれば一
層好ましい。

又本発明の乳化液状をしだ粘結剤は使用に当っては、其
の侭或は必要ならば所望の濃度に稀釈して、又場合によ
っては公知の他の助剤を配合して原料石炭の移送設備の
途中に於て、或は貯蔵中に於て散布浸透させるのである
。

斜上の如く本発明の粘結剤は、その中に含まれる瀝青物
が乳化剤であるアミン塩水溶液の中にコロイド状になっ
て安定した形で浮遊しており、本来高温でなければ液状
にならなかった瀝青物が常温で乳化液状となっているの
で原料石炭への添加時、その取扱いが簡便である。

又高級不飽和脂肪酸によるアシル化によって瀝青物に附
与される親油性効果により石炭中へ充分に浸透するので
原料石炭への添加時に、特に混合操作等を行う必要がな
いのである。

次に本発明品と従来の粘結剤との混練性及び接着性を表
■として、又本発明品の微粉石炭への添加量と団粒化と
の関係を表ＩＶとして示す。

前記表■及び■に於て本発明品とは、後記する実施例１
通りにして得た粘結剤を示すものである。

又表■に於ける数字は、粘結剤と石炭を混合し粘結剤の
粘結性により石炭の粒子の粒度分布を変化させ、その変
化を篩別けにより求めた数字を示す。

更に本発明の粘結剤は、これを添加した原料石炭又は装
入炭をコークス炉で軟部した場合、製品コークスの強度
を向上するばかりでなく、常温で原料石炭に添加した状
態に於ては、石炭粒子同志が団粒化する性質を持ってい
るので原料石炭の移送中の粉塵飛散に対する防止効果も
期待できるのである。

このことは原料石炭を従来以上に細かく粉砕しても本発
明の粘結剤を添加することにより公害対策上問題が生じ
ないので石炭の細粒化が可能となり、細粒化によるコー
クス強度の向上という効果が期待できるのである。

又本発明の粘結剤を添加することによって原料石炭の嵩
密度が上昇するが、これによるコークス強度の向上も期
待できるのである。

又コークス炉に装入した本発明品を添加した原料炭は微
細な石炭粒子が団粒化しているので、装入当初にコーク
ス炉内に石炭粒子が舞上り、炉壁や上昇管内に耐着して
急激に乾溜される結果起る刀−ホン耐着も防止でき、コ
ークス炉操業上も極めて有用で、工業的利用価値が犬で
ある。

次に本発明を更に実施例を挙げて説明するが、本発明は
その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるも
のではない。

実施例 １ ３５重量部の１４５℃に加熱したアロマチックオイルに
、６０重量部の１７０℃に加熱したストレートアスファ
ルトを混合攪拌し、７０°Ｃに加温した大豆油脂肪酸５
重量部を添加混合し、０．１％の過塩素酸ナトリウムを
加え、１８０℃の状態を１時間保持しながら攪拌し、激
しい発泡がおさまって１時間熟成して、本発明品の１つ
の組成分であるアシル化した瀝青物（以下基礎剤Ａと称
す）を得た。

又これとは別に９６．５重量部の５０℃に加温した水に
酢酸１重量部と、アミンの１種であるステアリル・トリ
メチル・ジアミン（トリメチル・ジアミンの内アルキル
基としてステアリン酸にメチル基が３個、アミン基が２
個附加重合したもの）２重量部と、塩化マク゛ネシクム
０．５重量部を前記順序に加え混合攪拌し、本発明品の
１つの組成分であるジアミン塩水溶液（以下基礎剤Ｂと
称す）を得た。

次に前記基礎剤（Ａ）を４０重量部と基礎剤（Ｂ）を６
０重量部とをホモジナイザーで十分に混合攪拌して本発
明の乳化液状の粘結剤を得た。

次に小型電気炉に於て、石炭粒度を３ｍｍ以下９５％に
設定し、前記方法により得た本発明の粘結剤を添加した
ものと、添加しないものについて乾溜を行ない得たコー
クスの強度（ドラム指数１５ｍｍ以上）を測定比較して
表■に示す結果を得た。

但しトラム指数は、ＪＩＳ Ｋ−２１５１によるコーク
スの強度を示す指数である。

又前記測定の条件は下記の通りである。

炉温・・・・・９６０°Ｃ 置時間・・・・・・１時間 本発明品の添加率・・・・・・対石炭重量部Ｏ％及び３
％本発明品の構成・・・・・・前記基礎剤Ａを３０重量
部、基礎剤Ｂを７０重量部混合、石炭の配合比はである
。

以上の測定結果より、本発明品を３％添加した石炭より
得られたコークスのドラム指数は、添加しないものに比
較して、１．０程高く、本発明品の添加はコークスの強
度向上に有効であることがわかるのである。

実施例 ２ 実際のコークス炉に於て、粒度が３ｍｒＩＬ以下８３％
の通常の実操業配合割合の装入炭に本発明品を添加した
ものと添加しないものとを夫々軟部して得たコークスの
強度を測定した結果表■に示した結果を得た。

但しドラム指数はＪＩＳ Ｋ−２１５１によるコクス
の強度を示す指数である。

又前記軟部条件は下記の通りである。

実炉の規模・・・・・・４ｍ炉（有効内容積ｉ９，３／
門）装入量・・・・・・約１４．３Ｔ／本 炉 温・・・・・・１，１２０°Ｃ 本発明品の添加率・・・・・・対石炭重量部Ｏ％及び２
楚 本発明品の構成・・・・・・前記基礎剤Ａを３０重量部
、基礎剤Ｂを７０重量部混合 以上の結果より実規模の操業に於て、本発明の粘結剤を
添加したものは石炭の粒度を通常の操業並にしてもドラ
ム指数の向上即ちコークス強度の上昇が認められるので
ある。

次に瀝青物を高級不飽和脂肪酸でアシル化したものと、
アミン塩水溶液とを配合して乳化液状とした本発明品と
瀝青物とアミン塩水溶液とを配合して乳化液状としたも
のとを比較し、アシル化することによる効果を説明する
のであるが、瀝青物にアミン塩水溶液を配合したものは
前記衣■に示したプロパン税源アスファルト及び熱分解
アスファルトと同一乃至は略均等な結果となるのであり
、表■より明らかな如く粘結剤の結晶形成がプロパン税
源アスファルトに於ては粗、犬であり、熱分解アスファ
ルトに於ては細、密であり、又粘結剤の流動性はプロパ
ン税源アスファルトに於ては良であり、熱分解アスファ
ルトに於ては不良である。

これに対して例えば試料煮６換言すればストレートアス
ファルト７５重量部とアロマチックオイル２０重量部と
を大豆油脂肪酸５重量部でアシル化したものは粘結剤の
液晶形成が細、密であり、又流動性は良であるのである
。

即ち瀝青物を高級不飽和脂肪酸でアシル化した場合はア
シル化しないものに比較して粘結剤の粘着性に於て顕著
な効果を奏するものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高級不飽和脂肪酸でアシル化した瀝青物とアミン塩
   水溶液とを配合して乳化液状としたことを特徴とするコ
   ークス炉装入炭添加用粘結剤。 ２、特許請求の範囲第１項に記載したコークス炉装入炭
   添加用粘結剤であって、ヒマシ油脂肪酸又は桐油脂肪酸
   又は大豆油脂肪酸より選ばれた高級不飽和脂肪酸でアシ
   ル化したストレートアスファルト及び／又は芳香族油と
   、ステアリル・トリメチル・ジアミン及びオレイル・ト
   リメチル・ジアミンから選ばれたジアミンの酢酸又は塩
   酸水溶液とを配合して乳化液状としたことを特徴とする
   コークス炉装入炭添加用粘結剤。