JPS59120087A - トリコデルマ菌の増殖方法及びそのための培地 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は作物の病原菌を制圧殺生するのに有用なトリ３
デルマ菌（Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ）を増殖する方法及
びそのための培地に関する。

トリコデルマ菌は作物の病原菌を制圧殺生する有用菌と
して知られており、それを主成分とする殺菌剤は対抗菌
剤として農薬登録されている（農林水産省登録第７０２
３号）。本菌は土壌微生物の一種で、病原菌を制する作
用のほかに土壌中の有機物を分解するカが強く、しかも
人畜作物に無害であるので、近年その利用の研究が諸外
国でも盛んになっている。

日本ではタバコの白絹病、腰折病の防除用の農薬として
トリコデルマ・リグノルム（Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｒｎａ
ｌｉｇｎｏｒｕｍ）が公認され、市販されている。本菌
が殺生する植物病原菌は前述の二種以外にも多くの種類
があシ、この菌の経済的な増殖法が開発されれは、応用
範囲はさらに拡大され、農業生産に益するところが大き
いが、従来の増殖法では不安定性が高かった。

従来、行われているトリコデルマ・リグノルム（Ｔｒｉ
ｃｈｏｄｅｒｍａ　ｌｉｇｎｏｒｕｍ）　　の工業的増
殖法を述べれば次の如くである。

（イ）　人工培地（澱粉、硫酸アンモニア、燐酸加里、
硫酸マグネシウム等を含む）をつくシ、これに所定量の
選択性殺菌薬剤を添加し、さらに本菌の種菌を接種に培
養するトリコデルマ・リグノルムの培養方法（特公昭４
４＝６６１６）。

（ロ）全工程は無菌操作によることなく行う。

まだ本菌を農地等に使用する場合の従来の増殖法は次の
如くである。

（ハ）　前述の方法で増殖し市販される水弟を適宜の農
林副産物（米糠、ふすま、鋸屑など）に混合し、その１
まま散布して土壌面で自然増殖させる。

に）　あるいは、前項の混合物に水を加えて室内に数日
間静置して増殖させる。

このような方法による増殖の場は完全無菌に保たれてい
ないので、自然界に存在する他の微生物（以下、これを
雑菌と呼ぶ）との競合を必ずひき起す。そして、培地と
して水弟のために与えた栄養分を雑菌も消費して増殖し
、水弟の生長を妨げ、かつ培養物の純度の低下、ひいで
は防除効力の劣化を招く。特に増殖処理にあたって水弟
の添加量が不十分であるとか、培地材料や環境−件が水
弟に不適の場合には雑菌による妨害が激しい。

上記（イ）に示した工業的増殖法において、培地に選択
性殺菌薬剤を添加する目的はこのような雑菌による妨害
を未然に阻止するところにある。現行の増殖法には選択
性殺菌薬剤としてホルマリンなどが用いられる。しかし
本薬剤は高濃度ではトリコデルマ・リグノルム菌（Ｔｒ
ｉｃｈｏｄｅｒｍａ　ｌｉｇｎｏｒｕｍ）にも有害であ
る。そのため従来の増殖法においてはその濃度を、水弟
にはにぼ安全でしかも雑菌はよく殺す範囲に、狭く限定
しである。しかし所定の濃度の範囲においても増殖操作
の初期においては接種した水蓄自身の若干の死滅は避け
られない。

また薬剤の培地からの揮散消失が不順の場合は水弟の増
殖に有害となる。

前記（ハ）およびに）に述べた農地等での水弟の増殖法
では選択性殺菌薬剤の添加をほとんど行わない。

そのため本菌の増殖は不安定になフ易く、その増殖が不
十分の場合は防除効果を発揮しない。

この様に従来の増殖法においては、選択性殺菌薬剤の濃
度を下げれば雑菌増加の危険が高まシ、濃関金上げれば
水弟自体の死滅が起る。本殺菌薬剤は揮発性であるので
、日時の経過とともに揮散し、雑菌阻止の効果は持続し
ない。この揮散は温度、湿度、空気の流動などの環境条
件に左右される。この選択性殺菌薬剤の濃度管理が従来
の増殖法の技術上の難点であり、高度の知識と熟練と細
心の注意を要するところである。

更に従来の増殖法には高度の技術と熟練をもってしても
克服し難い不安定性があシ、これが工業面では製造ロス
の原因となシ農業面では病害防除効果の変動要因となっ
ている。これを解決するには増殖法の改善が必要であり
、そのためには持続的に雑菌阻止効果をもち、がっ水弟
の生長を妨げることのない物質を用いることが望ましい
。

本発明はシュウ酸が特異的にトリコデルマ菌の生長を促
進することを発見し、同時にシュウ酸が雑菌をよく制圧
するという性質を利用し、トリコデルマ菌を安定的かつ
効果的に増殖する方法及びその罠めの培地を開発したも
のである。

本発明者の研究によれはシュウ酸は他の多くの酸と異シ
、がなり高濃度でもトリコデルマ・リグノ′ルム（Ｔｒ
ｉｃｈｏｄｅｒｍａ　ｌｉｇａｏｒｕｍ　）　＋Ｃ無害
である。

例えば液体培養においてシュウ酸を重量濃度１％ノ溶液
を用いてもトリコデルマ・リグノルムノ胞子に無害であ
り、０．３　％で水弟の生長は正常であシ、０．１係で
は水弟の胞子の発芽にも無害であシ、０．０５％では水
弟の生長に炭素源と利用される。言いかえれば、シュウ
酸は水弟にとって安全性が高い酸であシ、かつ栄養源と
しても菌の生長に利用されるものである。一方、水弟の
増殖を行う場合の雑菌として最も強力な細菌類に対して
はシュウ酸はきわめて低い濃度（０，０２５％以下）で
十分な細菌生長阻止力を発揮する。

これに基く本発明にかがるトリコデルマ・リグノルム（
Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ　ｌｉｇｎｏｒｕｍ　）の増殖
法を述べれば次の如くである。

（イ）工業的増殖法（製造のためのもの）窒素源（硫酸
アンモニア等）および燐酸、加里、マグネシウムを水弟
の生長に好適な濃度に溶解した水にシュウ酸を重量濃度
０．１〜０．４　％の範囲になるよう添加して溶かす。

これに炭素源（澱粉等）を加えて攪拌する。

さらに助剤（粉状物）を添加して混和し篩別して湿性粗
粉とする。

これに水弟の胞子（種菌）を加え、十分に攪拌する。こ
れを計量分包して、培養室に入れ、２５〜３０℃に数日
間保って増殖する。増殖期間中は通気を行い、湿度を高
めて菌の生長を促進する。

（ロ）農業的増殖法（農地での作物の病害防除のための
もの） 前述した従来の増殖法（ハ）およびに）の方法に、シュ
ウ酸濃度が０．２％以上の水溶液を用いる。

種菌として用いるトリコデルマ菌（Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒ
ｍａ）は市販の水弟製品のみならずその他に由来するも
のでも可能である。この場合、室内等で行うに）以外で
は、通気、保湿は自然条件に大きく支配される。気象、
土壌条件などが好適の時と場所を選び、若干の人為的修
正を行って増殖する。

に）の場合は工業的増殖法に準じた管理を行う。

本発明にかかる増殖法の実施例を示せば次の如くである
。

〔工業的増殖法〕

実施例（１）トリコデルマ生菌（農薬登録第７０２３号
）の製造 従来の方法で増殖した場合水弟の生長不十分、雑菌の発
生などの失敗するロットが多く、製造ロスと品質のバラ
ツキを頻発した。本発明による増殖法に改めて以来、失
敗する例はほとんどなく製造ロスと品質のバラツキは減
少した。

〔農業的増殖法〕

実施例（２）圃場における粉状散布での増殖法澱粉を含
む材料（粉末状のもの）に重量で１〜５％にシュウ酸粉
末を混和し、これに少量のトリコデルマ・リグノルム（
Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ　ｌｉｇｎｏｒｕｍ）の種菌を
混ぜた。この粉状物を白絹病の発生の多い畑の地面へ散
布した。この粉状物は土壌表面で吸湿し、その上に水深
がほとんど純粋に生長し、豊富に胞子を形成した。その
結果、白絹病は完全に防除された。

実施例（３）苗床における液体散布での増殖法水にシュ
ウ酸を２％添加して溶解し、これに粗製澱粉を５チ加え
て攪拌し、白濁液とした。これに市販の水弟製品を少量
添加した。

この液を腰折病が発生した苗床の土壌面へ散布した。散
布にあたっては作物をさけて土壌表面のみに液がゆくよ
うにした。散布した部分の苗床の土の表面には水深が旺
盛に生長し特有の青緑色胞子を形成した。その結果、腰
折病の発生は止シ、蔓延を防ぐことができた。なおこの
場合散布する液体のシュウ酸濃度はかなシ高くても土に
含まれた水分等によって薄められるものと考えられる。

本発明の産業に及ぼす効果は次の如くである。

（１）トリコデルマ・リグノルム（Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒ
ｍａｌｉｇｎｏｒｕｍ）を主成分とする農薬（例えばト
リコデルマ生菌）の製造を容易かつ（ｉ＆’、実てする
。これによって製造ロスを減少させ、生産を安定化する
ことができる。

（２）　　本発明の方法によれば熟練を要せず、専門的
技術をもたなくても増殖しうるので、製造′面では人件
費の１経減となり、応用面では農業従事者などによる自
家増殖を可能とする。

（３）　　これによって作物の病害防除に微生物による
生物防除の分野を開拓し、従来より一層安全でかつ環境
汚染、自然破壊の危険の少ない農薬の利用を促進するこ
とができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. （１）トリコデルマ菌の生長を選択的に促進するものと
   してシュウ酸を用いることを特徴とするトリコデルマ菌
   の増殖方法。
2. （２）培地材料にシュウ酸を加えて構成されたトリコデ
   ルマ菌の増殖のための培地。