JPS589392B2 - 電子時計の照明装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は液晶表示装置等の受光形表示装置の背後に、エ
レクトロルミネツセンス（以下ＥＬ板と称す）を表示装
置と平行に配置し、ＥＬ板に電圧を印加して発光させる
よう構成した時計、特に電子腕時計に関するものであり
、ＥＬ板の２個の電極の周辺に生ずる電界によって発生
する、液晶表示装置等の誤表示を防止することと、ＭＯ
Ｓ一ＦＥＴよりなる時計装置の電気回路への外乱電界を
遮断することを実現するものである。

従来ＥＬ板を発光させることにより液晶表示装置を備え
た電子腕時計の照明を行う方式が提案されているが、前
記ＥＬ板を発光させる場合、対向する２個の電極間に印
加する交流電圧が、たとえば１５０■程度の波高値を必
要とするため、１．５Ｖ程度の小型電池を電源とする電
子腕時計に於ては、この駆動電圧を発生することが困難
であり、又、かりに前記駆動電圧を発生出来たとしても
、ＥＬ板の２個の電極の周辺には強い電界が発生し、こ
の電界によりＥＬ板の近傍に配置された液晶表示装置や
、時計回路を構成するＭＯＳ−ＦＥＴのような感電界素
子が影響を受けて、誤動作を生ずる結果となり、限られ
たスペースに部品の高密度配置を要求される電子腕時計
に対して前記ＥＬ板を組込ための現実的提案は、いまだ
なされていない。

本発明の目的は、ＥＬ板の電極の周辺に生ずる電界の影
響を最小限にし、ＥＬ板を液晶表示装置の背面に密着さ
せることを可能とし、ＭＯＳ−ＦＥＴからなる時計回路
の誤動作を防止するところにある。

以下、図面に従って、本発明の基本的な構成と実施例に
ついて詳細な説明を行う。

第１図は、本発明の時計に組込まれるＥＬ板の断面図で
ある。

このＥＬ板の平面的な大きさは概略液晶表示装置の表示
面と同じである。

図面上、１はアルミニウム等の金属板からなる第１の電
極である。

２は第２の電極であって、酸化インジウムの薄膜、酸化
錫の薄膜、又はアルミニウム等の金属薄膜を網目状に加
工したものであり、光学的に透明である。

第１の電極１の表面にはチタン酸バリウムからなる絶縁
皮膜３が形成され、絶縁皮膜３と第２の電極２の間に、
硫化亜鉛に小量の銅元素を加えたエレクトロルミネツセ
ンス物質の層４がある。

更に外周及び上下面にガラヌ板又は三フツ化エチレン等
のプラスチツクシートの外装層５が設けられ、電極の絶
縁、内部構造の保護、及び耐湿性等の効果を得ている。

６および７は、それぞれ第１の電極１及び第２の電枠２
に接続したリード線である。

このような構造を有するＥＬ板の２個の電極の間に、波
高値が１５０Ｖ以上ある交流電圧を印加することにより
、エレクトロルミネツセンス物質４は発光し、透明な第
２の電極２及び外装層５を通して美しい緑色の光を妨射
する。

またＥＬ板の実際の厚みは３００μｍ程度の薄いものが
製造可能であり、面積は外装層５をプラスチツクシ一ト
にすることにより１ｍｍ２程度のものも製造されている
。

第２図は本発明に使用する公知の液晶表示装置の構造を
示すものであり、第２図イは平面図、第２図口は断面図
である。

第２図口について説明すると、図中斜線部分で示される
第１の透明電極８を表面に形成した上ガラス１２と第２
の透明電極１０を表面に形成した下ガラス１３とをシー
ル材１４によって、上記２電極の間隙が１０μｍ程度の
距離になるように結合し、上記２枚のガラス板の間にツ
イストーネマチック液晶１７を封入してある。

更に上ガラス板１２の上面に偏光板１５を置き、下ガラ
ス板１３の下面に偏光板１６がおか３れている。

上記２枚の偏光板の偏光方向を互いに直交するようにし
た場合、この液晶表示装置は、通常透明であるが、電極
８と電極１０との間に電圧を印加すると、上記２個の電
極の重なり合った部分だけが不透明になる。

すなわちポジ像の液晶表示装置である。

又２枚の偏光板の偏光方向を平行にした場合、液晶表示
装置は通常透明であるが、電極８と電極１０との間に電
圧を印加すると、２個の電極の重なりあった部分だけが
透明になる。

すなわち、ネガ像の液晶表示装置である。

次に第２図イにとり電極の配列について説明する。

図中斜線部分は、上ガラス板１２に形成された第１の透
明電極８と、図面上は表わされない下ガラス板１３に形
成された第２の透明電極１０とが重なり合った部分であ
り、液晶表示装置の表示目的に適合した配列をしている
。

第１の透明電極８は２３個の分離されたセグメントから
なり、各セグメントは図面上斜線で表わされた表示パタ
ーン部と、図面上太線で表わされた引出し線部９とから
なる。

一方第２の透明電極１０は斜線で表わされた表示パター
ン部が、点線で表わされた配線１１によって連結された
構造であり、ただ１本の引出し線を必要とするのみであ
る。

第１の透明電極８の引出し線９は、第２の透明電極１０
の配線と重なり合わないように配置されている。

このような液晶表示装置の第２の透明電極１０と、表示
目的に合わせて選択された第１の透明電極８の間に適当
なる駆動電源装置によって電圧を印加することにより、
目的とするパターンを光線の透過率の差として得ること
ができる。

第３図は、上述した液晶表示装置と、ＥＬ板とを絹合わ
せ時計に組み込んだ場合の光線径路について説明するも
ので、液晶表示装置ａと、その背面に近接して平行に置
かれたＥＬ板ｂの部分の断面図である。

第３図イは、本発明の時計が明るい照明下におかれた場
合の光線径路を示し、この時ＥＬ板ｂの１駆動回路ｊは
、スイツチ（ＳＷ）によって切り離されている。

これはＥＬ板が照明による入射光と、電界とによる二重
励起を受けるのを防止する為と、電源を無駄に消耗しな
い為である。

液晶表示装置ａの透明部分に外部から入射する光線ｌ１
は、ＥＬ板ｂのエレクトロルミネツセンスの物質４の層
に達シ、エレクトロルミネツセンスの結晶によって散乱
され、反射光ｌ１となって観測者の目に達するが、液晶
表示装置ａの不透明部分に入射する光ｌ２は、液晶表示
装置ａの内部で吸収される。

この為、観測者の目には、液晶表示装置ａの透明部分は
、エレクトロルミネツセンス物質の明るい色が見え、不
透明部分は黒く見える。

第３図口は、本発明の時計が暗い場所におかれた場合に
於て、スイツチ（ＳＷ）が閉じられ、ＥＬ板ｂが発光し
ている時の光線径路を示している。

エレクトロルミネツセンス物質４の層から放射される光
線のうち、液晶表示装置ａの透明部分に入射する光線ｌ
３は、観測者の目に達するが、不透明部分に入射する光
線ｌ４は、液晶表示装置内部で吸収される。

この為観測者の目には、液晶表示装置ａの透明部分は、
ＥＬ板ｂの発光色が見え、不透明部分は黒く見える。

このように受光型の素子である液晶表示装置ａと、発光
型の素子であるＥＬ板ｂを組合わすことにより、明るい
場所でも、暗い場所でも、表示が良く見える時計を作る
ことができる。

しかしながらＥＬ板ｂを発光させる為には、２個の電極
の間に波高値が１５０Ｖ以上ある交流電圧を印加する必
要があり、その電極の近傍に生ずる電界が、液晶表示装
置ａと、時計機構の電気回路に含まれるＭＯＳ−ＦＥＴ
とに影響を与えて誤表示を発生したり、誤動作を発生す
ることがある。

第４図は本発明による液晶表示腕時計の基本的な構成を
示す断面図である。

図面上で、ａは上述した液晶表示装置であり、電池ｅを
電源とする時計機能の電気回路ｄによって駆動される。

又、ｂは上述したＥＬ板であり、電池ｅを電源とするＥ
Ｌ板ｂの駆動回路ｊに接続されている。

ｆは本発明になるシールド板であり、ＥＬ板ｂの液晶表
示装置ａに近い面の電極と等電位に保たれている。

これらの構成要素は、ケース胴ｈ，裏ブタｉ及び風防ガ
ラスｇからなる外装ケースに収納されている。

この構成のうちで特に注意する点は、液晶表示装置ａ，
ＥＬ板ｂ及びシールド板ｆが３層構造を成し、その最下
層のシールド板ｆの下に、時計機能の回路が収納されて
いる点にある。

この構成において、ＥＬ板ｂの液晶表示装置ａに近い電
極と、シールド板ｆとを、適当な電位を有する共通点に
電気的に接続することによって、高い電圧を印加された
ＥＬ板ｂの他の電極による電界を遮断することができる
。

第５図は、第４図の構成になる本発明の結線図を示すも
のであり、液晶表示装置ａの電極８及び１０，ＥＬ板ｂ
の電極２及び１，シールド板ｆは順次重なり合っている
。

液晶表示装置ａの電極８は第２図に示したように実際は
多数の独立したセグメント電極に分離されているが、説
明のため１個で代用する。

シールド板ｆの背後には、ＭＯＳ−ＦＥＴ等を含む時計
機能の電気回路ｄがあり、電池ｅに接続されると共に、
液晶表示装置ａの両電極に駆動電圧を印加している。

ＥＬ板ｂの駆動電源ｊは時計の外装ケースに設けられた
外部操作部材により制御されるスイツチ（ＳＷ）を介し
て電池ｅに接続され、電池電圧を高圧の支流電圧に変換
してＥＬ板ｂの両電極間に印加する。

ＥＬ板ｂの液晶表示装置ａに近い電極２とシールド板ｆ
とは、共に電池ｅの共通端子に接続され、電極１の作る
電界を遮断する。

第６図は第４図，第５図に関して述べられた本発明の照
明装置の電界遮断方法について具体的に説明する実施回
路例である。

第６図イ及びロは３個の巻線Ｌ１，Ｌ２，及びＬ３を有
するトランスと、トランジスタＱと、抵抗Ｒ及びコンデ
ンサＣとおらなるＥＬ板駆動回路ｊがスイツチ（ＳＷ）
によって時計装置と共用する電池ｅに接続されるもので
あり、ＥＬ板ｂの液晶表示装置ａに近い電極２及びシー
ルド板ｆと、ＥＬ板ｂの他の電極１との間に形成される
静電容量を同調コンデンサとした反結合形振回路を構成
している。

第６図イは同調回路をトランジスタＱのベ一スに設けた
ものであり、第６図口は同調回路をトランジスタＱのコ
レクタに設けたものである。

これらの回路においてトランスの巻線Ｌ３の巻数を他の
２巻線Ｌ，又はＬ２の巻数に比べ十分大とすることで、
ＥＬ板に高圧の交流電圧を印加することが出来る。

ここにおいてＥＬ板の電極２とシールド板ｆは、電池の
共通の端子に接続されており、時計装置のどの部分に対
しても大きな電位差を持たないよう構成される。

第６図ハは２個の巻線Ｌ１，Ｌ２を有するトランスと、
コンテンサＣと、スイッチ（ＳＷ）でゲート制御される
半導体ゲートＧからなる、ＥＬ板駆動装置である。

半導体ゲートＧは、時計装置と共用する電池ｅに接続さ
れると共に、時計装置の電気回路から一定周波数の直流
矩形波電圧を受けている。

スイッチ（ＳＷ）を閉じることにより、この矩形波電圧
は、半導体ゲートＧで電力増巾され、コンテンサＣで直
流分を遮断デされて、トランスの一次巻線Ｌ１に印加さ
れる。

トランスの二次巻線Ｌ２の巻数は一次巻線Ｌ１の巻数よ
り十分大であるため、ＥＬ板の２個の電極間には高圧の
交流電圧が印加されるが、ＥＬ板の電極２とシールド板
ｆは電池ｅの共通の端子に接続されており、時計装置の
どの部分に対しても大きな電位差を持たない。

第７図は、ＥＬ板駆動用電源として専用の電池ｅ１がス
イツチ（ＳＷ）を介して、トランジスタＱ，抵抗Ｒ，コ
ンデンサＣ及び３個の巻線Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３を有するト
ランスからなるＥＬ板駆動回路に接続した回路例であり
、第６図イ及びロの変形である。

この場合ＥＬ板の電極２とシールド板ｆは、時計装置の
専用電池ｅに接続されているため、ＥＬ板の他の電極１
の生ずる電界を遮蔽する。

電池ｅ１と電池ｅとの同極が接続されていても効果は変
わらない。

以上に述べた構成により、液晶表示腕時計にＥＬ板を組
み込むことによって、液晶表示装置の全面を均一な明る
さで照明することが可能になるばかりでなく、ＥＬ板を
液晶表示装置に密着しても誤表示が発生せず、時計装置
の電気回路も誤動作を生じない安定した電子腕時計を作
ることが可能となると同時に、薄形化も可能となる等の
多くの効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に使用されるＥＬ板の断面図、第２図は
イ及びロにわかれており、それぞれ公知の液晶表示装置
の平面図と断面図を示す。 第３図はイ及びロにわかれており、ともに本発明の表示
装置に於ける光線径路の説明図である。 第４図は本発明になる腕時計の断面図であり、第５図，
第６図及び第７図は本発明に於ける電子時計のブロック
線図である。 ａ・・・液晶表示装置、ｂ・・・ＥＬ板、ｆ・・・シー
ルド板、ｅ・・・電池。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 受光型の電気光学的表示装置を備え、かつ電池を駆
   動源とする電子時計に於て、前記電気光学的表示装置と
   上下面に駆動用電極を有するエレクトロルミネツセンス
   装置と、時計用回路装置の少くとも一部とを、積極的に
   配置し、かつ前記エレクトロルミネツセンス装置と、時
   計用回路装置との間に、電界を遮断するだめのシールド
   板を配置したことを特徴とする電子時計の照明装置。 ２ シールド板は、エレクトロルミネツセンス装置の上
   面電極側と電気的に接続されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の電子時計の照明装置。