JPS589194Y2 - 高温炉の開孔部断熱閉塞装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、加熱により復元可能に圧縮、樹脂成形したセ
ラミックファイバーフェルト状物により開孔部を断熱閉
塞する装置に係り、その目的は、高温炉開孔部を閉塞す
るにあたり断熱性を格段に向上して保温性を改善し、且
つその施工が極めて安全、容易な装置を提供するところ
にある。

近年、コークス炉において、生産調整のために炭化室内
を９００〜１１００℃に保温した状態でコークス炉を休
止することが行われている。

このため、炭化室にある開孔部、つまり装炭口及び炉口
の断熱シールを強化する必要かあ、る。

この断熱作業は炭化室が９００〜１１００℃の高温状態
のままで施工しなければならないという過酷な条件であ
り、特に、装炭口は炉内部に向って次第に断面積が大き
くなっている。

従来、炭化室の開孔部閉塞は、第６図に示す如く断熱す
べき装炭口１０に楕円形状のキャスタブル成形板６を挿
入し、棒鋼７にて装炭口１０内に吊下げ、この成形板６
の上部にレンガ屑８ａ及びキャスタブル８ｂを投入して
積上げ、さらに入口部１０ａをキャスタブル成形板９で
覆い、この成形板９に棒鋼７を取付けて、前記成形板６
を吊下げ保持し、さらに、成形板９の上部をキャスタブ
ル１２でシールしていた。

しかしながら、この閉塞作業は、成形板６が極めて重い
こと、装炭口１０が狭いことにより成形板６の挿入が困
難であり、しかも、炭化室１１が高温状態のため、閉塞
作業中に装炭口１０から熱風が吹上げてくるなど、安全
性及び施工性が極めて悪いにも拘らず、充分な断熱性が
得られなかった。

本考案は、これら従来の閉塞装置の欠点に鑑みてなされ
たもので、セラミックファイバーフェルト状物の特性を
活用した断熱閉塞装置を提供するものである。

この考案の構成要件になっている加熱により復元するフ
ェルト状物は、次のようにして製造される。

セラミックファイバーのバルク（綿状物）に熱可塑性樹
脂を均一に添着させ、このバルクを平面に均一に配列さ
せて、これら全体を圧縮し加熱処理することによりセラ
ミックファイバーのフェルト状物が得られる。

このようにして製造されたフェルト状物は、加熱により
復元する。

セラミックファイバーのバルク質は、あらゆる方向に配
列された繊維の集合物であるためこのバルク質を圧縮す
ると、一方向に対して繊維が曲げられるのである。

圧縮状態のまま樹脂で個定したフェルト状物は、復元エ
ネルギーを蓄積しているのである。

このフェルト状物を、加熱すると、固定している樹脂が
軟化したり、炭化消失するため前記復元エネルギーによ
り復元するのである。

加熱により復元するセラミックファイバーフェルト状物
の一例とし、厚さ５Ｑｍ／ｍ、嵩比重０１０ｇ／ｃｍ３
に、酢酸ビニル樹脂により固定されたフェルト状物を、
５００℃、８００℃、１０００℃、１２００℃の雰囲気
炉内での復元率を測定すると第１表の様な結果が得られ
た。

このフェルト状物の復元率を大きくするためには、フェ
ルト状物製造時に、圧縮率を大きくして樹脂固定する方
法、或いは、フェルト状物を、物理的に圧縮し可燃性テ
ープにて圧縮固定する方法等が考えられる。

例えば、フェルト状物を可燃性テープにて圧縮固定した
例として、厚さ２５ｍ／ｍ、嵩比重０．ｌ。

ｇ／ｃｍ３の帯状フェルト状物を、５層積層し、ポリプ
ロピレンのテープにて５０ ｍ／ｍ、 ７５ ｍ／ｍ１
００ ｍ／ｍに圧縮固定したものを５００℃、８００℃
、１０００℃、１２００℃の雰囲気炉に入れ復元率を測
定すると、第２表の様な結果が得られた。

この加熱により復元する帯状フェルト状物を、第１図に
示すケーシングのパイプ状の保持部材（以下単にパイプ
を称す）２の外側に積層して設け、これをスタッド状係
止部材（以下単にスタッドと称す）３にて係止した場合
について第１図、第２図、第３図、第４図に基づいて説
明する。

蓋１は、炉内に挿入したセラミックファイバーフェルト
状物４、及びパイプ２の支持の役目をもっており、蓋２
を貫通して設けたパイプ２は、スタッド３を保持しセラ
ミックファイバーフェルト状物４を保持する役目をもっ
ている。

又このパイプ２は、炉内温度測定、炉内の雰囲気調整、
炉内の熱間補修等に利用できる。

又、蓋１及びパイプ２の材質としては、負荷温度により
、ＳＳ、５ＵＳ３０４、ＳＵＳ ３１０’Ｓ等の耐熱金
属の中から選択するのが好ましい。

セラミックファイバーフェルト状物４を、係止部材とし
てスタッド３を、用いる場合はスタッド３の取付位置及
びスタッド３の本数は装炭口１０の形状により決定され
る。

好ましくは、スタッド３の取付位置は金属製より戊る蓋
１の近傍で、且つ装炭口１０の側壁煉瓦５の直線部分に
配置することである。

上記のようにして構成した断熱閉塞装置をコークス炉の
装炭口１０に装入して炭火室１１内の保温に使用すると
、極めて軽量で、且つ構造的に容易なため、施工性が極
めて良くなると同時に、断熱的には、セラミックファイ
バー自体が、熱伝導率が小さく断熱性が良いことに加え
、第３図の如く装炭口１０に入れたセラミックファイバ
ーフェルト状ｖＩＪ４は、第４図に示す如く復元して側
壁煉瓦５と密着すると共にセラミックファイバーの繊維
間に空気による断熱層を形成するため、極めて断熱性が
良くなる。

実施例 ６００φＸ３．２ｍｍのＳＳ製の金属蓋１に、２０Ａ、
６００ＬのＳＵＳ ３１０ Ｓのパイプ２を取付け、こ
のパイプ２の外周に、厚さ２５ｍ／ｍ嵩比重０．１３
ｇ ７ｃｍ３の帯状フェルト状物を１０層重ね、４００
φＸ ６００ Ｌの断熱閉塞装置とした。

これを、入口部（１０ａ ）４００φ深さ６００ｍｍの
所で、長辺８００ｍｍ短辺４００ｍｍの断面の扇状に広
がっている装炭口１０に挿入した。

この施工に於る、施工工数、断熱閉塞装置の重量、及び
放散熱量を表３に示す。

比較例 第６図に示す断熱閉塞装置、（長辺６００ ｍｍ短辺４
００ｍｍ厚み５’Ｑ ｍｍのキャスタブルの成形体６を
使用し、さらに、レンガ屑８ａを厚さ５Ｑｍ／ｍ、キャ
スタブル８ｂを厚さ１００ ｍ／ｍとした）を、前記実
施例と同仕様のコークス炉石炭装入口１０に入れ、成形
体上部を、耐火断熱材９，１２でシールした。

この施工に於る、施工工数、断熱閉塞装置の重量、放散
熱量を実施例と比較して表３に示す。

注、）施工工数とは、時間７人１個の指数を示す。

以上の結果がら明らがなように、セラミックファイバー
フェルト状物４より成る断熱閉塞装置は放散熱量が少な
く断熱性が良く、軽量で、且つ施工性が良いことが判る
。

又、第５図は本考案の他の実施例を示すものであり、円
柱状に形成したセラミックファイバーフェルト状物４を
蓋１の下面に設けた円筒状の保持部材２に挿入し、保持
部材２及びフェルト状物４を貫通した係止部材３により
、該フェルト状物４を保持部材３に係止したものである
。

尚、第１図〜第４図に示す実施例において、保持部材３
としてパイプ状のものを用いたが、これにかえて内部に
開孔のない棒鋼等を用いてもよい。

又、本実施例では本考案装置をコークス炉に用いた場合
について説明したが、本考案装置は、これに限ることな
く加熱炉、均熱炉等の高温炉の開孔部の閉塞に用いても
よい。

このように、本考案装置によると、断熱性が向上して保
温性が良好となり省エネルギー化が図れると共に作業性
が良好となり省力化が図れる等の工業上、極めて有用な
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案装置のケーシングの斜視図、第２図は
、本考案装置の断面図、第３図は、本考案装置をコーク
ス炉の装炭口に入れた直後の状態を示す断面図、第４図
は、本考案装置を装炭口に入れた後、セラミックファイ
バーフェルト状物が加熱により復元した状態を示す断面
図、第５図は、本考案装置の他の例を示す断面図、第６
図は、従来の工法で構築した断熱閉塞した装炭口の断面
図である。 １：蓋、２：保持部材、３：係止部材、４：セラミック
ファイバーフェルト状物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高温炉の開孔部を閉塞する蓋の被閉塞面に保持部材を設
   け、該保持部材に前記開孔部へ挿入可能な圧縮、樹脂成
   形したセラミックファイバーフェルト状物を係止したこ
   とを特徴とする開孔部の断熱閉塞装置。