JPS586521B2

JPS586521B2 - 気液接触棚

Info

Publication number: JPS586521B2
Application number: JP54076018A
Authority: JP
Inventors: 水谷栄一
Original assignee: Chuo Kakohki Coltd
Current assignee: Chuo Kakohki Coltd
Priority date: 1979-06-15
Filing date: 1979-06-15
Publication date: 1983-02-04
Also published as: JPS55167004A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、化学工場等で気液を向流接触させて、蒸留、
吸収等の物質移動を行う際に使用される、改良された気
液接触棚に関する。

蒸留、吸収等に使用される気液接触には、従来、多孔板
によるもの、泡鐘によるもの、バルブトレイによるもの
等がある。

しかし、棚板に多数の小孔を設けたにすぎない多孔板に
よるものは、構造簡単でかつ安価であり、圧損も少ない
等の利点を有してはいるが、気液の負荷変動に対する適
応範囲が狭小であるという欠点がある。

また、棚板に多数の通気管を設け、この通気管に泡鐘を
被せる泡鐘によるものは、構造複雑で圧損が大きいとい
う欠点がある。

さらに、棚板に多数の小孔を設け、この小孔に丸形又は
長方形の蓋板を被せるバルブトレイによるものは、ある
程度、圧損と気液の負荷変動に対する適応範囲を改善し
てはいるが、構造上その開口比が限定され、しかも開口
度の自在性が狭小であること及び蓋板の安定した係合状
態の維持が困難であること等に起因して、その程度は充
分といえず、依然として構造複雑であるという欠点もあ
る。

そして、構造複雑であるということは、圧損の他にいわ
ゆるスケール等が付着し易いという欠点にもなる。

例えば圧損について、その主原因でもある上昇気体の方
向変更度をみると、第１図ロ及び同図ハに示すように、
泡鐘によるものは略１８０度であり、バルブトレイによ
るものは略９０度である。

勿論、第１図イからも明らかな通り、多孔板によるもの
は方向変更度が小さく、圧損について最も優れてはいる
が、前記のように、適応範囲が狭小であるという欠点が
ある。

圧損が少なく、スケール等が付着し難く、しかも広い適
応範囲を具備し、接触効率の良好な気液接触が要求され
るのであるが、このためには、構造簡単であって、上昇
気体の方向変更度が小さく開口度が調整でき、棚板面の
全域において均一でかつ激しい気液接触のされることが
必須である。

本発明者は、従来の前記欠点に鑑みて、既に改良された
気液接触棚を提供しているが、本発明は、前記必須の条
件に応える、さらに改良された気液接触棚を提供するも
のである。

以下、無せき棚の場合につき、本発明の一実施例を示す
図面に基づき、その構成を説明する。

第１図イ〜同図ハに示される従来手段の中では、前記の
ように、同図ハのバルブトレイによるものが総体的にみ
て優れているが、第２図に示すように棚板開ロ部１に足
部２が係合する略Ｔ字状断面の浮動蓋４を使用する本発
明に係るものは、構造簡単であって、上昇気体の方向変
更度も小さい。

具体的にその使用態様は、例えは、外周で気液接触筒５
に支持された棚板６に棚板開口部１が設けられ、ここに
略Ｔ字状断面の浮動蓋４の足部２を係合する。

足部２と傘部３とから構成される浮動蓋４の係合状態は
、一部省略の縦断面を示す第４図及びその一部拡大を示
す第５図の通りである。

棚板の開口比は、その開口部を小孔ではなく、第３図に
示すようなスリット状とすれば大きくなるが、その開口
部と前記浮動蓋によって規制される開口度は、前記の浮
動蓋を使用することにより、気液の負荷変動に追従して
上下運動し、自在である。

負荷量が大きくなれば、前記浮動蓋は棚板上の上方位置
にて浮動し、負荷量が小さくなれば、逆に、棚板上の下
方位置にて浮動する。

したがって、浮動蓋の足部の長さ、浮動蓋の傘部の大き
さ、そしてこれらの形状、棚板開口部の大きさと形状等
、これらの相互関係にもよるが、気液の負荷変動に対し
て極めて広い適応範囲を具備していることになる。

ただし、好ましくは、浮動蓋の上下浮動位置の上限を接
片７により規制すれば、操作の安定を一層期することが
できる。

ある負荷量における前記浮動蓋の作動状態は、第６図イ
に示すように、何らかの原因で、例えば左傾斜した場合
には、前記足部の右側に比べて左側の上昇気体が多くな
り、足部の係合状態が直ちに自動修正されて、同図ロに
示す正常な係合状態、すなわち足部が棚板開口部の中央
位置に垂下して浮動する状態に維持きれる。

棚板開口部を通過し、浮動蓋に衝突した上昇気体は、こ
の間でも当然に気液接触をするが、第６図ロに示すよう
に、相隣接する浮動蓋間において、各々激しく接触し、
さらに一層の気液接触をすることになる。

そして、これらの接触が棚板の全面において均一に、激
しくされるとき、最も気液の接触効率を良好にするが、
これは、その係合状態を自動修正して正常に維持し続け
る、本発明に係る略Ｔ字状断面の浮動蓋を使用した気液
接触棚において可能である。

次に、本発明に係る気液接触棚について更に詳細に説明
する。

一部省略の概略上面を示す第７図及びその概略断面を示
す第８図のように、外周を気液接触筒５に支持された棚
板６は、谷部にスリット状の開口部１を設けた連続する
複数の山形断面からなっている。

そして、前記開口部に、略Ｔ字状断面の浮動蓋４の足部
２を係合する。

一部を拡大した第９図に示すように、作動状態において
浮動蓋はその足部を前記開口部の中央に垂下し、上限浮
動位置が接片７により規制されている。

前記浮動蓋の作動状態は、第１０図に示すように、前記
と同様、気液の負荷変動に追従する自在の上下運動によ
り適正な開口度が得られ、しかもその係合状態は自動修
正により常に正常である。

本発明に係る気液接触棚は、以上のように、前記の気液
接触方法の利点を具備して実施するものであるが、さら
にこれを助長するべく、棚板を複数の山形断面から構成
している。

開口部を通過した上昇気体は山形面にそって噴射され、
相隣接する浮動蓋間において山部で激しく衝突するが、
この間の方向変更度はより小さくなっている。

また、開口部を通過した上昇気体が浮動蓋により方向変
更し、相対向して正面から衝突する場合には、そこにあ
る種の反発する抵抗が生じるが、本発明の場合には、そ
の抵抗が気体の上昇力とともに逸散するため、圧損はさ
らに少なくなる。

さらにこの場合重要なことは、棚板が平板であると、相
隣接する浮動蓋間での上昇気体の衝突による、相互に悪
影響を及ぼし合う干渉作用のため、開口部と開口部との
間隔には必然的に限度が生じる。

第１０図に示すように、棚板を複数の山形断面から構成
すれば、前記の悪影響を及ぼし合う干渉作用を避けるこ
とができ、前記限度をさらに小さくすることができるの
である。

結局、気液接触が直線的な山形面に添って及び山形面の
山部において行われるため、そこに全く無理がないので
ある。

そして、前記山形断面が略直角である場合には、山形面
に添って略４５度の仰角で上昇気体が噴射されることに
なり、前記山部における相隣接する浮動蓋間での気液接
触は、最も無理なく、しかも激しく行われる。

この場合にはまた、例えば市販の山形鋼の使用も可能と
なるため、安価かつ堅牢であり、棚板の調整、交換等も
容易になる。

また、前記浮動蓋は、一般には、スリット状の開口部に
係合する足部が長方形のものを使用するが、係合状態の
安定性をさらに向上するため、第１１図に示すように、
その両端で加重されたものが好ましい。

気液接触筒内における気液の負荷量が、棚板各部におい
て、何らかの原因で不均一となっても、両端で加重され
た浮動蓋であれば、より安定な係合状態を維持すること
ができる。

また、この浮動蓋は、特にその傘部の構造を各種考慮す
ることにより、気液接触効率、圧損等をさらに向上させ
ることができる。

第１２図に示すように、傘部からも微粒の上昇気体が噴
射されるように、傘部に複数の小孔を設けたもの、第１
３図に示すように、微粒の上昇気体が噴射されるのを助
長するため、傘部の長手方向両端部に複数の切込部を設
けたもの、同様に第１４図に示すように、傘部の長手方
向両端部において斜向させたもの、第１５図に示すよう
に、上昇気体の方向変更度を小さくして圧損をさらに少
なくするため、傘部を末広がりとしたもの等である。

実際には、これらの浮動蓋を係合した複数の気液接触棚
を、気液接触筒内に相直交するように定間隔で水平支持
して使用すれば、一層効果的な気液接触をすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示す概略図で、第１図は従来
手段における上昇気体の方向変更度等を示す図、第２図
は本発明の場合の方向変更度等を示す図、第３図は一部
省略の上面を示す図、第４図は一部省略の縦断面を示す
図、第５図はその一部の拡大図、第６図は作動状態を示
す図、第７図は山形断面の棚板を使用した場合の一部省
略の上面を示す図、第８図は同様の場合の一部省略の縦
断面を示す図、第９図はその一部の拡大図、第１０図は
その作動状態を示す図、第１１図は両端で加重された浮
動蓋を示す図、第１２図〜第１５図は各種の傘部の一部
を示す図である。１・・・・・・棚板開口部、２・・・・・・足部、３・
・・・・・傘部、４・・・・・・浮動蓋、５・・・・・
・気液接触筒、６・・・・・・棚板、７・・・・・・接
片。

Claims

【特許請求の範囲】１谷部にスリット状の開口部を設けた複数の山形断面
からなる棚板と、前記開口部に足部が係合する略Ｔ字状
断面の浮動蓋と、この浮動蓋の上限浮動位置を規制する
接片とからなり、前記開口部を通過する上昇気体と下降
液体とに追従して、前記浮動蓋が安定な係合状態を維持
しつつ自在の開口度を得られるようにした気液接触棚。２特許請求の範囲第１項の記載において、山形断面が
略直角形である気液接触棚。３特許請求の範囲第１項又は第２項の記載において、
浮動蓋が両端で加重されたものである気液接触棚。４特許請求の範囲第１項又は第２項の記載において、
浮動蓋がその傘部に複数の小孔を設けたものである気液
接触棚。５特許請求の範囲第１項又は第２項の記載において、
浮動蓋がその傘部の長手方向両端部に複数の切込部を設
けたものである気液接触棚。６特許請求の範囲第１項又は第２項の記載において、
浮動蓋がその傘部の長手方向両端部において斜向させた
ものである気液接触棚。７特許請求の範囲第１項又は第２項の記載において、
浮動蓋がその傘部を末広がりとしたものである気液接触
棚。