JPS5858721B2 - ピツクアツプカ−トリツジ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はピックアップカートリッジにかかり、温度変化
に対しても性能の安定しているピックアップカートリッ
ジを提供しようとするものである。

、ピックアップカートリッジの性能、なかでも音質とも
つとも関係の深い周波数特性およびレコード溝のトレー
ス性能は、外部の温度の影響を大きく受け、室温の変動
などによっても性能がいちぢるしく変化するという欠点
がある。

従来から、ピックアップカートリッジのカンチレバーを
支持するダンパーゴムとして、制動性のよいブチル系の
ゴムが多く使用されている。

ピックアップカートリッジの性能の温度依存性は、はと
んど、このダンパーゴムの粘弾性的性質の温度特性に起
因するものである。

ただ温度特性のみに着目すると、ブタジェンゴムやシリ
コンゴムなときわめて優れたゴム材が知られている。

しかしながら、いずれも制動性に乏しく、ピックアップ
カートリッジ用ダンパーゴムとしての実用化は困難であ
った。

本発明の目的は、性能が優れており、しかもその性能が
外部温度の影響を受けずに安定して維持されるピックア
ップカートリッジを提供することである。

発明者らは、かかる目的で各種ゴム材およびゴム組成に
ついて検討した結果、シリコーンゴムにポリイソブチレ
ンを配合してなるゴムが、ピックアップカートリッジ用
ダンパーゴムとして制動性と温度特性がともに優れてい
ることを見い出した。

これにもとづき本発明の目的を達することができたもの
である。

すなわち、本発明にかかるピックアップカートリッジは
、カンチレバーを支持する、ダンパーが、シリコーンゴ
ムにポリイソブチレンを配合してなるゴムで構成されて
いることを特徴とするものである。

一般に、ピックアップカートリッジの振動系は、レコー
ド溝をトレースして信号を取り出す針先チップ、その機
械信号を伝えるカンチレバー、その信号を電気的に変換
する部分、および以上の振動体を支持し、かつ制動する
ダンパーゴムで構成されている。

この基本構成の一例を、ムービングマグネット型（Ｍ、
Ｍ型）カートリッジについて示したのが、第１図であ
る。

図において、１は針先チップ、２はカンチレバー、３は
マグネット、４はダンパーゴム、５はスリーン、６は固
定端、７はテンションワイヤである。

このようなカートリッジの性能、特に周波数特性は、振
動体の振動特性と、ダンパーゴムの制動性によってほと
んど決まる。

そして、その制動性はゴムの粘弾性的性質、特に損失係
数と密接な関係を有する。

したがって、周波数特性ならびにその温度依存性の改善
には、ダンパーゴムの損失係数を適度に調整してやると
ともに、その性質の温度変化の小さい材料が必須の条件
となる。

本発明のカートリッジのダンパーゴムは、シリコーンゴ
ムにポリイソブチレンを配合してなるもので、このゴム
の特徴はシリコーンゴムの粘弾性的性質の優れた温度特
性を損うことなく、ブチル系ゴムに匹敵する程度の損失
係数を有していることである。

次に、上記ダンパーゴムの詳細について説明する。

このダンパーゴムの主体をなすシリコーンゴムとしては
、メチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチ
ルビニルシロキサン、メチルフェニルビニルシロキサン
、およびフロロ化シロキサンからなる生ゴム、さらには
これらの生ゴムに適度の補強充填剤などを配合したもの
が用いられる。

シリコーンゴムに配合されるポリイソブチレンは、重合
度によって、液状から固体弾性体まで各種の性状となる
。

本発明のピックアップカートリッジで使用されるダンパ
ーゴムの形成には、スタウデインガー法で測定された粘
度平均分子量が約５０００〜５００００の範囲内にあっ
て、常温で半固体状であるものが好ましい。

その平均分子量が約５０００より小さくなると、シリコ
ーンゴムとの親和性が極度に低下し、シリコーンゴムの
表面に浸出しやすくなる。

一方、平均分子量が約５００００より大きくなると、シ
リコーンゴムへの混合がいちぢるしく困難になるととも
に、ポリイソブチレンの配合によりシリコーンゴムのガ
ラス転移が高温側に移動し、その結果、常温近辺で損失
係数の温度依存性が大きくなる。

シリコーンゴムに上記ポリイソブチレンを配合してなる
ダンパーゴムの制動性は、ポリイソブチレンの配合量に
応じて増大するが、好ましい配合割合は、シリコーン生
ゴム１００重量部に対して、約１０〜６０重量部の範囲
である。

これより多く配合すると、高温に加熱した場合、ポリイ
ソブチレンが表面に浸出し、不具合が生じる。

上記配合組成からなるゴムにシリコーンゴム用加硫剤を
加え、さらに物性の調整の必要があれば充填剤、増量剤
などを添加し、一般に実施されている方法で混練したの
ち、所定条件の温度、圧力を加えて加硫し、任意の形状
のダンパーゴムとすることかできる。

以下、実施例により、さらに具体的に説明する。

実施例 １〜２ メチルフェニルビニルシロキサン生ゴム１００重量部に
、補強性充填剤のシリカ微粉５０重量部と、加硫剤１重
量部を添加し、これに粘度平均分子量が約１００００の
ポリインブチレンを各種割合で配合した。

以下、これを配合系Ａという。一方、フロロプロピルメ
チルビニルシロキサン生コム１００重量部に、補強性充
填剤のシリカ微粉１６重量部と加硫剤１重量部を添加し
、これに粘度平均分子量が約２００００のポリイソブチ
レンを各種割合で配合した。

以下、これを配合系Ｂという。

配合系Ａ、 Ｂのそれぞれについて、１５分間ロール混
練してから、１７０℃の温度で１０分間加圧成形をして
、反発弾性用試験片とＭ８Ｍ型カートリッジ用ダンパー
ゴムを作製した。

各種配合組成のゴムについて、制動性を損失係数と関係
ある反発弾性で評価した。

この反発弾性とは、試験片に衝撃を与えて変形させた場
合の、変形のエネルギーに対する、回復のエネルギーの
占める割合を意味し、その値の小さいものほど、損失係
数が大きく、制動効果が良好であることを示す。

なお、反発弾性の測定はＪＩＳ−に６３０１の規定に従
った。

第２図は２０℃で測定した測定結果を示している。

第２図の曲線Ａはメチルフェニルビニルシロキサン生ゴ
ム系のポリイソブチレンの配合割合と反発弾性の関係を
、また曲線Ｂはフロロプロピルメチルビニルシロキサン
生ゴム系のそれを示したものである。

図から見られるように、ポリイソブチレンを配合するこ
とにより、シリコーンゴムの制動効果がいちぢるしく改
善されていることがわかる。

次に、従来から使用されているブチル系ゴム、および配
合系Ａ、Ｂからそれぞれ常温における反発弾値が前記ブ
チル系ゴムとほぼ等しいゴムを選び、それらについて各
温度における反発弾性を測定した結果を、第１表に示し
た。

第１表に見られるように、シリコーンゴムにポリイソブ
チレンを配合したゴムは、比較例のブチル系ゴムに比べ
て温度変化に対し、特性変化の小さいものであることが
わかる。

次に、第１表に示したゴムと同じ組成のダンパ−ゴムを
第１図のＭ６Ｍ型カートリッジに組込み、可聴周波数域
で温度変化がより顕著にあられれる２ ０ ＫＨｚ
でのレスポンスを、５℃から３５℃の温度範囲で測定し
た。

各温度におけるレスポンスとその温度との関係を示した
のが、第２図である。

図から明らかなように、本発明にもとづくピックアップ
カートリッジの周波数特性の温度変化はきわめて小さく
、従来のものに比較していちぢるしく改善されている。

また、本発明にもとづくピックアップカートリッジでは
、そのトレース性能を示すコンプライアンス値も、上記
温度範囲でほとんど変化しなかった。

以上、本発明の効果について、Ｍ１Ｍ型カートリッジを
例として説明したが、上述から明らかなとおり、本発明
をムービングコイル型ピックアップカートリッジなどの
他機種に適用しても、同等の効果を奏し得るのは、言う
までもないことである。

【図面の簡単な説明】

第１図はピックアップカートリッジの振動系の構成の一
例を示す図、第２図は本発明の実施例におけるダンパー
ゴムの組成と制動効果との関係を示す図、第３図は同実
施例のピックアップカートリッジと従来品との特性を比
較するための図である。 １・・・・・・針先チップ、２・°°・・・カンチレバ
ー ３・・・・・・マグネット、４・・・・・・ダンパ
ーゴム、５・・・・・・スリーブ、６・・・・・・固定
端、７・・・・・・テンションワイヤ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ カンチレバーを支持するダンパーが、シリコーンゴ
   ム１００重量部に対して、粘度平均分子量が５０００か
   ら５００００の範囲にあるポリイソブチレンを１０から
   ６０重量部の範囲で配合してなるゴムで構成されている
   ことを特徴とするピックアップカートリッジ。