JPS5855217Y2 - セメント焼成炉排ガス用脱硝炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、仮焼炉付サスペンションプレヒータ、焼成炉
、クリンカー冷却機などによりセメント原料粉末を焼成
する装置において、焼成炉で発生したＮＯｘを含有する
焼成炉排ガスを脱硝する技術の改良に関するものである
。

従来のこの種技術は焼成炉と仮焼炉との間に脱硝炉を配
置し焼成炉がらの排ガスを脱硝炉内に導くと共に、脱硝
炉に設けたバーナにより脱硝炉内に燃料を供給して該炉
内を還元性ガス雰囲気に維持し、一方仮焼炉に接続する
分離サイクロンより一段上のサイクロンがらの予熱原料
粉末を脱硝炉内に導入し、これを触媒として焼成炉排ガ
スの脱硝を行なおうとするものである。

しかし、これら従来技術において、分離サイクロンより
一段上のサイクロンから触媒として脱硝炉に導入する予
熱原料粉末はＣａＣＯ３を主成分とする未だ仮焼前の原
料であって触媒活性が比較的低く、シかも処理すべき焼
成炉排ガスに較べて触媒としての予熱原料粉末が量的に
僅少であるため、触媒効果が少なく従って充分な脱硝効
果が得られていない。

本考案はこれら実情に鑑み、触媒活性のより高いＣａＯ
を主成分とする分離サイクロンからの仮焼原料粉末を、
しかも充分な濃度となるよう脱硝炉内の排ガス中に導入
することにより触媒効果を高め、還元性ガス雰囲気の下
で焼成炉排ガスを高度に脱硝する技術を提供するもので
あって、その特徴とするところは、下部を焼成炉の原料
人口端に、また上部を仮焼炉に開口・接続し、側壁にバ
ーナを備える脱硝炉において、仮焼炉に接続する分離サ
イクロンからの仮焼原料粉末の少くとも一部量を脱硝炉
に導入すべく、当該分離サイクロンからの原料シュート
を脱硝炉に接続するところにある。

以下実施例を示す図面に基づいて本考案の構成及び作用
効果を具体的に説明するが、下記は単に代表例を基にし
て述べるに過ぎないから、前・後記の趣旨に沿って変更
実施することはいずれも本考案の技術的範囲に属する。

図面は本考案の脱硝炉を含むセメント焼成装置全体のフ
ローシートであり、図中の実線矢印はガスの流れ、破線
矢印は原料の流れを示す。

装置の概要はサスペンションプレヒータ１、仮焼炉２、
脱硝炉３、ロータリーキルン等の焼成炉４及びクリンカ
ー冷却機５からなり、原料投入シュート６がら装入され
たセメンＩ・原料粉末はサスペンションプレヒータ１の
第３段サイクロンＣＩ、第２段サイクロンＣ２，第３段
サイクロンＣ３を通過し、この間所望の温度まで予熱さ
れる。

他方この予熱のために上昇する排ガスは第４段サイクロ
ンＣ４から順次第３段、第２段及び第１段の各サイクロ
ンを原料粉末と逆方向に経由して通過し、最後に排ガス
誘引通風機７により吸引排出される。

予熱原料粉末は第３段サイクロンＣ３からシュートを通
して仮焼炉２へ導入され、クリンカー冷却機５より抽気
ダクト８を通して誘引される高温空気を燃焼用空気とし
て、仮焼炉２に付属のバーナ９より供給される燃料及び
脱硝炉３より誘引される還元性ガスの燃焼熱により仮焼
炉２内で仮焼された原料粉末は仮焼炉２に接続する分離
サイクロンＣ４に導入される。

脱硝炉３は仮焼炉２と焼成炉４との間に位置し、その下
部は焼成炉４の原料入口端に、また上部は仮焼炉２にそ
れぞれ開口・接続し、側壁にバーナ１０を備えている。

焼成炉４の原料出口端に設置したバーナ１１により生成
された燃焼ガスは焼成炉４内を流過し、原料入口端より
脱硝炉３に誘引されるがこの焼成炉排ガス中には焼成炉
４内での燃焼時に発生する多量のＮＯｘが含有される。

脱硝炉３内は焼成炉排ガスとバーナ１０から供給される
燃料により還元性ガス雰囲気が形成され、加えて分離サ
イクロンＣ４からシュート１２を通して供給される仮焼
原料粉末は有効な脱硝触媒として作用するため焼成炉４
の排ガスに含有されるＮＯｘは脱硝炉３内にて効果的に
還元される。

この際、分離サイクロンＣ４から脱硝炉３に供給する原
料粉末は既に大部分が仮焼されていてＣａＯが主成分で
あるためＣａＣＯ３を主成分とする予熱原料に較べて脱
硝時の触媒活性が遥かに高い。

又、分離サイクロンＣ４からシュート１２を通して脱硝
炉３に供給した原料粉末は排ガスと共に仮焼炉２を通し
て分離サイクロンＣ４に循環するため、分離サイクロン
Ｃ４からシュート１２を通して脱硝炉３に排出する原料
粉末とシュート１３を通して焼成炉４に排出する原料粉
末との量的比率を制御することにより、脱硝炉３内の原
料粉末濃度を広範囲に調節することができ、焼成炉排ガ
スの収硝に適した触媒濃度を維持することができる。

尚、分離サイクロンＣ４からシュート１３を通して焼成
炉４に排出された仮焼原料粉末は焼成炉４内で常法に従
って焼成され、クリンカーとなってクリンカー冷却機５
で冷却された後次工程へ移送される。

以上の如く、焼成炉４内で発生したＮＯｘは脱硝炉３内
で効果的に且つ高度に還元され、又仮焼炉においては周
知の如く低温燃焼にもとづき殆んどＮＯｘを発生しない
ので、本考案になる脱硝炉を組み込んだセメント焼成装
置から排出されるＮＯｘは著るしく低減される。

上記は実施の一例に過ぎず、サスペンションプレヒータ
のサイクロン段数を増減させたり、焼成炉として流動焙
焼炉を使用することは勿論のこと、仮焼炉、脱硝炉及び
焼成炉の構造及び原料供給系路を適宜変更実施すること
も本考案の実施範囲に含まれる。

例えば仮焼炉と脱硝炉とを連接一体化した構造、第３段
サイクロンＣ３からの予熱原料粉末を仮焼炉２に供給す
る替りに、その一部又は全量を脱硝炉３に供給すること
により、更に脱硝効果の改善を計ると同時に脱硝炉内で
も仮焼反応を促進させるシュート配置、分離サイクロン
Ｃ４を２基で構成し、一方のサイクロンシュートを脱硝
炉３に接続し、他方のサイクロンシュートを焼成炉４の
入口端に接続する構造、分離サイクロンＣ４からの仮焼
原料粉末を全量脱硝炉３に供給して、脱硝炉３を向流型
熱交換器として利用し、焼成炉４へは焼成炉排ガスに抗
して脱硝炉３の下部より原料を落下供給する構造、脱硝
炉３にアンモニア等の還元ガス吹込設備を設けること等
は本考案の変更実施例として挙げることができる。

本考案は以上の様に構成されており、付帯的効果を含め
てその効果を要約すると下記の通りである。

（１）焼成炉排ガス中のＮＯｘを還元性ガス雰囲気の下
で、かつ触媒活性の高い仮焼原料粉末の存在下で高度に
脱硝・除去できる。

（２）脱硝炉への仮焼原料粉末供給量を調整することに
より、常に最適の脱硝状況を維持できる。

（３）脱硝炉で生成する還元性ガスはそのま・仮焼炉へ
導入して完全燃焼させることができる。

（４）原料粉末が仮焼域で高温ガスに曝されている時間
が長くなり、原料の仮焼を促進できる。

（５）仮焼炉内の原料粉末濃度が高くなり、仮焼炉への
供給燃料の燃焼性が向上する。

【図面の簡単な説明】 図面は本考案の脱硝炉を含むセメント焼成装置全体のフ
ローシートである。 １・・・・・・サスペンションプレヒータ、２・・・・
・・仮焼炉、３・・・・・・脱硝炉、４・・・・・・焼
成炉、５・・・・・・クリンカー冷却機、８・・・・・
・抽気ダクＩ・、９・・・・・・仮焼炉バーナ、１０・
・・・・・脱硝炉バーナ、１１・・・・・・焼成炉バー
ナ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下部を焼成炉の原料入口端に、また上部を仮焼炉にそれ
   ぞれ開口・接続し、側壁にバーナを備える脱硝炉におい
   て、仮焼炉に接続する分離サイクロンからの仮焼原料粉
   末の少なくとも一部量を脱硝炉に導入すべく、当該分離
   サイクロンからの原料シュートを脱硝炉に接続したこと
   を特徴とするＮＯｘを含有するセメント焼成炉排ガス用
   脱硝炉。