JPS5854817Y2 - 管路母線装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は管路母線装置に係り、特に母線内に混入したパ
ーティクルを捕獲するのに好適な管路母線装置に関する
。

管路母線装置が高気圧絶縁気体たとえばＳＦ６ガスで絶
縁された場合、純粋な状態では非常に高い絶縁耐力を示
すが、導電性のパーティクルが混入すると絶縁耐力が大
きく低下することが知られている。

管路母線装置の組立ての時には、導電性のパーティクル
が混入しないよう細心の注意を払うとともに入念な清掃
が行なわれている。

それにもかかわらず、パーティクルを完全に除去するこ
とは非常に困難である。

そこで、従来は第１図に示すようにシースに傾斜をつけ
る方法が試みられている。

この方式ではシースを円錐状に成形しなければならず加
工費が非常に高くなるという欠点がある。

また、別の従来技術として、シースを部分的に２層に作
ってパーティクルトラップとしそこにパーティクルを捕
獲する方式が試みられている。

これは、中心導体とシース間に課電し、パーティクルを
静電気力により浮上させ、パーティクルトラップにおび
き寄せて捕獲する方法である。

しかし、水平な母線装置においてはパーティクルは原位
置を中心に左右にランダムな運動を繰り返すため、パー
ティクルトラップから離れた所にあるパーティクルを能
率よく捕獲することができないという欠点がある。

本考案の目的はパーティクルを能率よく捕獲することを
可能にする装置を提供することにある。

本考案は、商用周波電圧の課電によりパーティクルがシ
ース底面で浮上、降下を繰り返しつつ、傾斜の下方に向
って管路母線装置の長手方向に移動することに着目し、
シース底面に傾斜した導体板を配置したものである。

その基本原理は次の通りである。

第２図において、高圧電極７と接地電極８の間に商用周
波電圧が印加されている。

接地電極８は角度θ１で傾斜している。

導電性のパーティクル９は下方に配置された接地電極８
の近傍にある。

パーティクル９ａには静電界による力ＦＥと重力ＦＧが
作用する。

電界Ｅは接地電極８に対し垂直方向に向いているため、
電界Ｅとパーティクルの電荷量Ｑの積で表わされる静電
気力ＦＥ（＝ＱＥ）も接地電極８に対し垂直方向に向い
ている。

そのため鉛直分力Ｆｖ（＝ＦＥｃｏｓθ１）と水平分力
Ｆｈ（＝ＦＥｓｉｎθ）を生じる。

Ｆｖ＞ＦＧになるとパーティクルは浮上し、Ｆｈにより
水平方向に移動する。

商用周波電圧が課電されているため、周期的にＦｖ＞Ｆ
ｃとＦｖ＜Ｆｃが繰り返され、それに応じてパーティク
ルは浮上、降下をくり返し傾斜の下方に向かって移動し
て行く。

以下、本考案の実施例を図面によって説明する。

中心導体１は高電圧、大電流の通路であり、固体絶縁物
から成るスペーサ３によってシース２に固定されている
。

シース２は中心導体１をその内部に包含しＳＦ６ガス等
の絶縁性気体で充満されている。

シース２の下部に導電性のパーティクルを捕獲するため
のパーティクルトラップが設けられている。

このパーティクルトラップに向けて下向きの傾斜を鋸歯
状にもつ案内板５がシース２の底面にシース２と等電位
に配置されている。

案内板５の拡大図を第４図に示す。

案内板８は幅Ｗ（＞Ｏ）の導体板を高さＨ１長さＬの鋸
歯状に折り曲げたものである。

高さＨはパーティクルの浮上高さより小さくなっている
。

Ｈの上限は、点Ａの電界が破壊電界に等しくなる高さと
して与えられるが、これは中心導体１とシース２の寸法
によって異なり一義的に定められない。

大体の目安として２０ｍｍ以下が望ましい。

傾斜は０．５°程度で十分である。

即ちＬ＝１１５Ｈ程度で十分であり、必要に応じて短か
くすることができる。

案内板５は第５図に示すように、長手方向に直角な断面
がわずかに下方に彎曲している。

この湾曲はパーティクルの飛散を防止し、案内板５の最
下位置Ｂの近傍を集める作用をする。

このように構成された管路母線装置において中心導体１
とシース２の間にＦｖ＞Ｆｃとなるような商用周波電圧
を印加すると、パーティクル９は浮上、降下をくり返し
つつ案内板５の傾斜に斜って第３図の矢印のように移動
し、遂にはパーティクルトラップ４に捕獲される。

本実施例によれば次の効果が達成される。

（１）シースを円錐状に製作しなくてよいため、安価な
パーティクルトラップ装置となると共に作業性が増す。

（２）案内板５の傾斜角θの調整が容易であると共に任
意の角度に設定できる。

（３）案内板５を設ける代りにシース２に案内板５と同
様の断面をもつ鋸歯状の溝を直接刻んでも同様の効果が
達成されると共に次の効果が得られる。

（１）中心導体１とシース２の間の絶縁距離が短縮され
ない。

また、案内板５の下面を第６図に示すように補強用のサ
ポート６で個定することにより、案内板５は剛構造にな
り課電時の静電気力による振動がなくなると共に作業性
が一段とます。

また、案内板５を複数の穴のあいた導体で形成しても同
様の効果が達成される。

本考案によれば、複数の傾斜面をシース内部に形成でき
るため、シース内に混入したパーティクルを特定の個所
すなわちパーティクルトラップに能率よく集め捕獲でき
るという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の管路母線装置の断面図、第２図は本考案
の原理を説明する図、第３図は本考案の管路母型装置の
一実施例を示す概略図、第４図は第３図の案内板の拡大
図、第５図は第３図の縦断面を示す図、第６図は本考案
の管路母線装置の別の実施例を示す概略図である。 ２・・・・・・シース、４・・・・・・パーティクルト
ラップ５・・・・・・案内板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高電圧のかかる中心導体、これを内部に密封するシース
   およびシース内部に混入した導電性パーティクルを捕獲
   するパーティクルトラップを備えたものにおいて、前記
   シースの底面に、パーティクルトラップに向かって下方
   の傾斜を複数有し、かつ、その長手方向断面が鋸歯状に
   威された案内板を設けたことを特徴とする管路母線装置
   。