JPS5853482Y2 - ベルト式無段変速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はベルト式無段変速装置に関し、詳しくは、同軸
上に互いに対向配置した２個の円錐板の対向間隔を可変
とされた変速プーリを用いたベルト式無段変速装置に関
する。

従来、農業用機械、土木機械等の変速装置としてベルト
式無段変速装置が多く使用される。

この種変速装置は、駆動軸側に変速制御を行なうための
開閉操作用プーリ（以下「駆動側プーリ」と言う）を設
け、従動軸側に、伝動に必要な面圧をベルトに与えるた
めの加圧バネを装着したプーリ（以下「従動側プーリ」
と言う）を設け、ベルトを介して伝えられる従動側プー
リの加圧バネの加圧推力に抗して駆動側プーリを開閉操
作させることによって変速を行う構成とされている。

従って、一般に、上記ベルト式無段変速装置は、低速か
ら高速への増速操作が極めて重いという欠点を有してい
九 更に、増速操作を行なった後に急激な減速操作を行なう
と、駆動側プーリの円錐板の拡開速度に従動側プーリの
円錐板の閉塞速度が追従できず、駆動側プーリ上で■ベ
ルトが浮き上った状態で従動側プーリ及び■ベルトが停
止するという現象が発生する。

このような場合、駆動側プーリを再び増速操作し、ベル
トに駆動力を伝達させ、ベルトを挾み込んだま１停止し
ている従動側ブーりにショックを与えて、通常の伝達状
態に復帰させ、しかる後、再び減速操作を行なうことが
行なわれているが、上記操作は熟練を要し、また、急激
なショックが駆動側、従動側機構に加わるため、機構の
安全上好ましくないといった問題があり、また、このよ
うな減速時における挾み込み現象は、■ベルトの走行速
度、及び負荷等の条件にもよるが一般にこれらの条件に
対しての従動側プーリの加圧バネの押圧力不足によって
発生するため、一般・に従動側プーリの加圧バネの押圧
力の増加調整によって防止することが行なわれるが、加
圧バネの押圧力の増加は■ベルトとプーリとの摩擦抵抗
の増加を来たし、このため、増速操作力が極めて大きく
なり、且２ｖベルトの寿命を低下させる原因にもなって
いる。

本考案は上記欠点に鑑み変速操作時における操作力が小
さく、且つ急激な減速操作を行なっても、スムースに運
転速度が低速域に安定移行するベルト式無段変速装置を
提供することを目的としてなされたものであって、駆動
軸側に設けられた溝側面の対向間隔が可変とされた変速
プーリ本体において該変速プーリ本体を構成する軸方向
摺動可能な円錐板背面に、ベアリングを介し同軸に連接
さへ操作レバーにより軸周囲に回転可能とされた操作カ
ムと、該操作カム面に対面して接触し、軸周囲に回転不
能に支持された固定カムと、前記溝側面の対向間隔を常
に狭める方向へ操作レバーを介して前記操作カムを回転
、付勢し、且つ軸方向には前記溝側面の対向間隔が・拡
がるに従い、軸方向の付勢力が前記溝側面の対向間隔を
拡げる方向から狭める方向へ変化するように調節されて
前記固定カムと操作カム間に同軸状に外嵌配置されたネ
ジリバネとから構成されたことを特徴とするものである
。

次に、本考案を実施例によう説明する。

第１図は本考案の実施例の断面図、第２図は本考案の他
の実施例の断面図を示す。

第１図において、変速プーリ１は、駆動軸１１上に、２
個の円錐板１２Ａ、１２Ｂが互いに対向配置され、一方
の円錐板１２Ａは軸１１上に沿って摺動可能とさへ他方
の円錐板１２Ｂは軸１１に固定されており、可動とされ
た円錐板１２Ａを摺動させることにより溝１３の側壁の
対向間隔ｄが可変となるように構成されている。

円錐板１２Ａの背面にはベアリング９を介して第３図に
示すような筒状をなす操作カム２が相対回転可能に同軸
に連接さへこの操作カム２には操作レバー６が突設され
ている。

上記操作 ム２のカム面２Ａに対面接触し、カム面を係
合さすて、固定カム３が同軸に配設され、且つ回転しな
い、ように変速装置支持枠（図示せず）などに固定され
ている。

操作カム２と固定カム３間にはネジリバネ５が装着され
、該ネジリバネ５の一端は操作レバー６に掛けられ他端
はボルト７により固定カム３に固定されている。

このネジリバネ５は円錐板１２Ａ、１２Ｂの対向間隔ｄ
を常に狭める方向に操作カム２を回転させる付勢力を有
獣且つ軸方向には前記対向間隔ｄが拡がるに従い該対向
間隔を拡げる方向から狭める方向に作用が変化するよう
な付勢力を有している。

上記付勢力は、上記溝側壁の対向間隔ｄの最大間隔をＤ
とすれば必要なネジリカを蓄力させた状態での長さをＶ
２＋αとしたネジリバネ５を固定カム３及び操作カム２
間に介挿固定し、対向間隔ｄが最大となったとき可動円
錐板１２Ａには軸方向押圧力が作用し、一方、上記対向
間隔ｄがＶ２＋αとなったときを転位点として、対向間
隔ｄが狭まるに従い軸方向には引張り付勢力が作用する
ようにネジリバネ５を介挿することによって得られる。

なお、図中４は、Ｖベルトである。

従って、上記操作カム２は、ネジリバネ５によって、回
転方向付勢力わ受け、固定カム３との接触により可動円
錐板１２Ａを固定円錐板１２Ｂ方向へ押圧する推力を生
じさせている。

なお、上記において、ネジリバネ５の回転付勢力は、操
作カム２を回転させ、これにより可動円錐板１２Ａに軸
方向移動推力を生じさせるものであるから、通常数１０
ＫＩｉ以上の回転トルクを生じさせる力とされ、一方、
軸方向付勢力は、後述するように、可動円錐板１２Ａの
軸方向の移動を制限し得る程度の大きさとされ、数〜前
後、高々１０Ｋｆ前後の押圧力とされ、これらの力関係
は第５図に示すような状態とされる。

次に、本考案の来施例の作動について説明する。

第１図において、（一点鎖線で示す中心線上半部は低速
状態、下半部は高速状態を示す。

）操作レバー６を支持して操作カム２を回転させると、
固定カム３により前記操作カム２が軸方向に押圧偏位さ
れ、偏位した操作カム２を介して円錐板１２Ａが押圧さ
れ、変速プーリ１の溝１３の対向間隔ｄが狭められ、増
速される。

このとき、第４図に示すように、従動側プーリ８は駆動
側プーリ１のピッチ径増大に伴ない、鎖線で示す状態よ
う実線で示す状態に自動的にピッチ径が減少すべく円錐
板１５Ａ、１５Ｂの対向間隔を矢印Ｘ方向へ拡げるが、
との拡開により、逆に駆動側プーリ１にはＶベルト４を
介して従動側プーリ８における加圧バネ１４の加圧推力
による矢印Ｙで示すような方向へ溝側面の対向間隔ｄを
拡開させる反力が加わる。

しかし、との反力はネジリバネ５により操作レバー６に
加えられる回転付勢力により打ち消され操作力は軽減さ
れる。

次に、第１図の下半部に示した増速状態から減速する場
合には、操作レバー６を前記と逆方向に回転させる。

このとき、操作レバー６は、ネジリバネ５の回転付勢力
に抗して前記と反方向に回転されるので、ネジリバネ５
の回転付勢力は、上記操作力によって完全に打ち消され
、操作カム２と固定カム３のカム面の接触圧が消失し、
従って、減速操作中には、ネジリバネ５の回転付勢力に
よる可動円錐板１２Ａの軸方向推力は消失する。

一方ネシリバネ５には、増速状態とされているときには
、引張り力が生じており、か−２ｖベルト４を介して第
４図に示したように矢印Ｙで示す方向の反力が常に加わ
っているため、スムースに溝間隔ｄを拡開し出臥減速状
態に移行していくが、ネジリバネ５は溝間隔ｄが拡がる
に従い、軸方向付勢力が溝間隔ｄを拡げる方向から狭め
る方向へ変化するように調節されているため、駆動側プ
ーリ１の可動円錐板１２Ａを急激に拡開操作しても拡開
操作後半部分においては、その開き速度がネジリバネ５
の抑圧作用により抵抗を受け、これがベルト４を挾み込
む方面に作用することとなるのでＶベルト４は駆動側プ
ーリ１の円錐板１２Ａ、１２Ｂに押圧挾持され安定した
減速操作が行なわれる。

従って、減速操作を急激に行ない、操作レバー６を低速
位置にセットし、ネジリバネ５の回転付勢作用を消失さ
せても、ネジリバネ５の軸方向押圧力によって可動円錐
板１２Ａの拡き速度が押えられ、ベルト４の浮き上り現
象は防止されるのである。

なお、上記作用の説明中、増速操作過程においては、ネ
ジリバネ５に操作力を増加させる軸方向の付勢力が存在
する７５にネジリバネ５の軸方向付勢力は、回転付勢力
に比較して小さいため、無視し得る。

また、本考案と同様の作用効果を有する別機構として第
２図に示す如く、ネジリバネ５の一端を操作レバー６に
掛け、他端をボルト１８により変速装置支持枠（図示せ
ず）などに固定し、これによって回転付勢力のみを操作
カム２に付与−軸方向の付勢力は別に設けた調圧バネ１
６により付与する構成としても良い。

尚図中１７は従動カム３が回転しないように変速装置支
持枠（図示せず）などに固定するためのロンドである。

但し、上記別機構は、抑圧付勢力と、回転付勢力を別々
のばねにより得るように構成されているため、本考案の
ものに比し構造が複雑になる、あるいは部品点数が多く
なり、組立、保守に手数が掛るといった不利があるのは
否めない。

本考案は、以上のように構成したので、増速操作時の操
作力は、ネジリバネの回転付勢力により軽くなり、一方
、減速操作時には、急激な変速操作を行なっても従動軸
側のバネ付プーリの加圧推力の強弱にかかわらずネジリ
バネに発生する押圧付勢力によって迅速且つ正確に応答
し、もって、変速操作力はネジリバネの回転付勢力によ
り増速時と減速時とにおいてバランスが取られ、安定し
た変速特性が得られ、常に低速域において安定状態にで
きるなど種々の実用的効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の断面図、第２図は本考案の他
の実施例の断面図、第３図は実施例の要部斜視図、第４
図は使用状態における平面図、第５図はネジリバネ５の
作用力を示すグラフである。 １・・・変速プーリ、２・・・操作カム、３・・・固定
カム、５・・・ネジリバネ、９・・・ベアリング、１１
・・・軸、１２Ａ・・・可動円錐板、１２Ｂ・・・固定
円錐板、１３・・・ベルト溝、１６・・・調圧バネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動軸側に設けられた、溝側面の対向間隔が可変とされ
   た変速プーリ本体において、該変速プーリ本体を構成す
   る軸方向摺動可能な円錐板背面にベアリングを介し、同
   軸に連接さへ操作レバーにより軸周囲に回転可能とさ五
   た操作カムと、該操作カムのカム面に対面して接触し軸
   ゛周囲に回転不能に支持された固定カムと、前記溝側面
   の対向間隔を常に狭める方向へ操作レバーを介して前記
   操作カムを回転付勢し、且つ軸方向には前記溝側面の対
   向間隔が拡がるに従い、軸方向の付勢力が前記溝側面の
   対向間隔を拡ける方向から狭める方向へ変化するように
   調節されて前記固定カムと操作カム間に同軸状に外嵌配
   置されたネジリバネ・とから構成されたことを特徴とす
   るベルト式無段変速装丸