JPS5847644B2 - 内燃機関の吸入空気流量測定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はカルマン渦を利用した内燃機関の吸入空気流
量測定装置に係り、特に空気流速脈動抑制装置の鳴音防
止に関するものである。

内燃機関の燃料噴射システムには吸入空気流量の時時刻
刻の測定が必要であるが、この場合、空気通路中に渦発
生柱を配設し、その下流に生ずるカルマン渦を計測して
空気流量を測定する、いわゆる渦流量計は、圧力損失の
小さいこと、レンジが広くとられること、耐振性、耐久
性に富むこと等の長所を有し、内燃機関の吸入空気流量
計に好適する流量計として用いられている。

ところで、内燃機関の吸入空気は一様な流れではなく、
時間的に脈動した流れである。

特に低回転速度でスロットル弁を全開して運転したとき
に上記脈動が激しい。

一方、渦流量計には測定範囲に下限があり、渦発生柱の
幅を代表長さとするレイノルズ数が５００以下では測定
が不正確になる。

また、空気の流速が零付近あるいは逆流したときは全く
感知できず、測定不能となる。

従って、渦流量計を内燃機関の吸入空気流量の測定に用
いる場合には、上記低速全開運転時に脈動の流速下限が
レイノルズ数５００以下にならないように脈動を抑制す
る必要がある。

上記脈動は内燃機関の吸入弁の開く毎に発生する負の圧
力波サージに起因しており、その抑制には渦流量計と吸
入弁の間に圧力波吸収のための音響濾波器を挿入するの
が有効であるが、これを音響素子で構戊すると、内燃機
関の回転速度が低いときは圧力波の周波数が低いため、
非常に大きな容積を必要とする。

そしてこのような音響系から機械系の手段に変えて振動
膜を有する可変容積室を設けることが考えられ、このよ
うにするとコンパクト化できるが、上記振動膜から大き
な鳴音を発生するという欠点があった。

この発明は上記のような欠点を除去するためになされた
もので、吸入空気の脈動を抑制し、内燃機関の低速全開
運転時にも渦流量計による吸入空気流量が正確に測定で
き、しかも小型に構威できる内燃機関の吸入空気流量測
定装置を提供することを目的とする。

すなわち、上記圧力波の周波数戊分としては、回転速度
、気箇数およびサイクル数で決まる吸入周波数と、吸入
管の長さおよび容積で決まる周波数の戊分とがある。

脈動抑制のためには前者の吸入周波数の圧力波を吸収す
るのが有効であり、その周波数も、例えば４サイクル、
４気筒の内燃機関で１ ０ ０ Ｏ ｒ．ｐ．ｍ．のと
きは３３．３Ｈｚとなって可聴周波数の下限に近く、聞
き取り難い範囲にある３これに対して後者は、通常、周
波数が５００〜６００Ｈｚとなって耳に感じ易い周波数
であるため、圧力波中に含まれる戊分割合としては小さ
いにも拘らず可変容積室の振動膜に達すると大きな鳴音
を発生する。

この発明は上記二つの周波数戊分のうち耳に感じ易い高
い周波数或分を音響濾波器で阻止して振動膜に達しない
ようにし、低い周波数戊分、すなわち吸入周波数戊分の
みを振動膜で有効に吸収させて、全体として小型、コン
パクトで鳴音の発生しない圧力波吸収装置を構成し、吸
入空気の脈動を抑制して内燃機関の低速全開運転時にも
渦流量計の作動を正確にしようとするものである。

以下第１図および第２図を参照してこの発明の実施例を
説明する。

第１図はこの発明による内燃機関の吸入空気流量測定装
置の一実施例を示す断面図で、図中１は図示しない内燃
機関に吸入空気を導く吸入空気導管で、その途中には空
気吸入量を制御するスロットル弁５が設けられている。

２は上記スロットル弁５より上流（図中上方）側に吸入
空気の流れ方向（図中矢印ａで示す）に対して直交する
ように配設された渦発生柱である。

３はこの渦発生柱２により発生される吸入空気のカルマ
ン渦ｂに向けて超音波を発信する超音波発振子、３ａは
この発振子３を駆動する超音波発生器、４は上記カルマ
ン渦ｂによって変調された上記超音波発信子３からの超
音波を受信する受信子、４ａはこの受信子４の出力を周
波数一電圧変換してカルマン渦ｂの数（周波数）に対応
した電圧出力を得る処理回路で、以上によりカルマン渦
ｂの数を検出する渦検出器を構戊する。

６はこの渦検出器より下流（図中下方）側の吸入空気導
管１に穿設された連通孔、７はこの連通孔６を介して吸
入空気導管１に連通して設けられた空気室、８はこの空
気室７と可変容積室１０とを連通ずる連通孔、９は可変
容積室１０の一部を形或する可撓性の膜より成る振動膜
である。

次に上述構成のこの発明装置の動作について説明する。

すなわち、吸入空気導管１に吸入された空気は渦発生柱
２の後部に流量に対応した数のカルマン渦ｂをつくりな
がらスロットル弁５を経由して図示しない内燃機関に吸
入弁から吸入される。

上記渦発生柱２によって発生したカルマン渦ｂは、超音
波発振子３からの超音波に対し、その渦ｂの数に対応し
た周波数信号を混入させる。

これを受信子４が受信し、処理回路４ａによって空気流
量に対応した電圧出力に変化されることにより吸入空気
流量が測定される。

また、脈動の原因である負の圧力波サージは、上記吸入
弁から逆行して吸入空気導入管１開放端に向かうが、連
通孔６に至り、連通孔８を経て可変容積室１０に入って
振動膜９を振動させることにより消滅する。

この際、空気室７と連通孔８で低域通過型の音響濾波器
が形或されており、振動膜９に鳴音を発生させる高い周
波数の圧力波を阻止して振動膜９までに到達させず、反
面、脈動抑制に有効な低い周波数戊分は通過させて充分
に作動させる。

以上のように、内燃機関より発生した負の圧力サージは
、空気室７、可変容積室１０部分で消滅し、渦検出器お
よび渦発生柱２部分の空気流速の脈動が抑制されて流速
の最も遅い低速全開運転時でも充分に渦流量計の計測可
能範囲内に保ち得ることになる。

第２図は、この発明の他の実施例を示す断面図である。

ここでは、振動膜９を有する可変容積室１０と吸入空気
導管１の間に構或される音響濾波器を共鳴型としたもの
で、連通孔８、空気室７によって決定される共鳴周波数
を上記鳴音の周波数に合致させ、この周波数の圧力波を
振動膜９に達しないように形戊された共鳴箱で呼吸する
もので、その他の構或、動作は上述実施例の場合と同様
である。

以上述べたようにこの発明によれば、吸入空気の脈動を
抑制し、内燃機関の低速全開運転時にも鳴音が発生する
ことなく渦流量計による吸入空気流量が正確に測定でき
、しかも小型に構或でき、自動車にも搭載可能な吸入空
気流量測定装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による内燃機関の吸入空気流量測定装
置の一実施例を示す断面図、第２図は同じく他の実施例
を示す断面図である。 １・・・・・・吸入空気導管（吸入空気通路）、２・・
・・・・渦発生柱、３・・・・・・超音波発振子、３ａ
・・・・・・超音波発生器、４・・・・・・受信子、４
ａ・・・・・・処理回路、６，８・・・・・・連通孔、
７・・・・・・空気室、９・・・・・・振動膜、１０・
・・・・・可変容積室、ｂ・・・・・・カルマン渦。 なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内燃機関の吸入空気通路に、吸入空気の流れ方向に
   対して横切るように配設された渦発生柱と、この渦発生
   柱によって発生した吸入空気の渦の数を検出する渦検出
   器と、上記渦発生柱より下流側の上記吸入空気通路に連
   通した音響濾波器と、この音響濾波器に連通した可変容
   積室とを具備することを特徴とする内燃機の吸入空気流
   量測定装置。 ２ 渦発生柱が吸入空気の流れ方向に対してほぼ直交す
   るように配設された特許請求の範囲第１項記載の吸入空
   気流量測定装置。 ３ 音響濾波器が吸入空気通路および可変容積室に連通
   した空気室からなる特許請求の範囲第１項または第２項
   記載の吸入空気流量測定装置。 ４ 音響濾波器が共鳴型となされた特許請求の範囲第１
   項または第２項記載の吸入空気流量測定装置。