JPS5847224B2 - 船舶および水中構築物の水中自動塗装装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、船舶および水中構築物などの外板などの水面
以下の被塗面に水中硬化型（防食、防汚染）塗料等を自
動的に塗装するための水中自動塗装装置に関する。

近年、例えばタンカーに見られるような船舶の大型化・
巨大化、および海洋開発に伴う石油掘削リグ等の海洋鋼
構造物の建造の増加の傾向が顕著であるが、船舶につい
ては大型ドックの不足や入渠間隔の延長による船体水面
下の塗装部の機械的保守の問題があり、また石油掘削リ
グ等では設置海域に曳航し設定した後はメインテナンス
のために移動することが不可能なために、これら海洋鋼
構造物の水面下での防食・防汚塗装、清掃あるいは保守
等の問題が生じ、このような船舶や海洋構造物の洋上に
おけるメインテナンスの必要性が増大し、これの解決策
が大きな課題となって来ている。

しかしながら、水中塗装技術については従来確立された
手法が無く、一部では潜水夫の手作業により水中硬化型
塗料を塗布する方法あるいは圧送式へらを用いて塗装す
る方法が実施されているが、いずれも非能率的で、水中
での塗装が可能であると云うに過ぎず、塗膜の厚さ、平
滑さおよび付着力が不良である（例えば、大気中での塗
装に比し、従来の水中塗装の付着力は１／３〜１／４で
ある）こと等のため、満足な塗膜を得ることはできなか
った。

そこで、水密式防水函を用いて水中に塗装空間を作り、
被塗面を水洗し、超速赤外線ヒータで乾燥した後、既存
の溶剤塗料をローラ塗装し、上記ヒータで強制乾燥して
塗膜を得る方法も従来案出されている。

しかしこの従来技術では、防水函の水密性の完全さに問
題がある上に、ローラ塗装のため時間が掛り、しかも被
塗面と塗膜の乾燥に熱源のみを利用しているので、単位
時間当りの塗装面積が少なく、また一般的□市販の溶剤
型塗料を用いた一回塗りであるため、塗膜の平滑さは得
られるとしても、長期メインテナンスの可能な防食膜厚
は得られない、等の欠点があった。

したがって本発明は、水中における大面積の平面および
大型曲面の塗装、水中塗装の自動イシ長期メインテナン
スの可能な塗装技術の確立、塗料の公害防止・安全面を
加味した低溶剤型塗料の重視等の観点から、上記従来技
術の欠点を解消した船舶および水中構築物の水中自動塗
装装置を提供することを目的とする。

実施例につき、図面にしたがって以下に説明する。

第１図および第２図において、水中自動塗装装置の本体
１の一端（例えば図面右側）の中央部に１個の駆動輪２
、反対端両側に２個の従動輪３゜４が取り付けられ、こ
れらは例えばゴム製タイヤのような膨張可能ｉ部材で形
成され、船舶や水中構築物の外板などの被塗面Ａに着底
し、さらに例えば第３図に示すように、車輪２，３，４
の車軸５の端部に０＝’Ｊツグ６および抜は止め７を介
して水密および気密に取り付けた回転シール８に設けた
空気孔８ａから、空気を車軸５に形成した空気孔５ａを
経て車輪２，３，４の内部に給排気自在にするなどによ
り、車輪２，３，４を適宜膨張あるいは空気抜き（抜気
）する。

また駆動輪２をエアモータまたは電気モータ９により駆
動し、さらに駆動輪２に連結したウオームギア１０をピ
ニオンギア１１およびラック１２を介してエアシリンダ
１３．１４に連結し、このエアシリンダ１３゜１４に給
排気することによりウオームギア１０を回転し、駆動輪
２をＢ−Ｃ方向に操向あるいは操舵し、本実施例の場合
左右釜３５度の操舵角の範囲内で自由に変角を可能にす
る。

本体１の中央部には防水函体１５を設けてその内部を塗
装室りとし、防水函体１５の被塗面Ａとの接触部分の周
縁に、その内部に空気を給排気して適宜膨張あるいは収
縮することのできるシールチューブ１６を四周するごと
く取り付ける。

このシールチューブ１６が膨張しかつ後述するように電
磁石により装置を被塗面Ａに吸着させたときに、チュー
ブ１６自体の膨張力と電磁石の押付力によりチューブ１
６が被塗面Ａに水密かつ気密に接触して、防水函体１５
内の塗装室りを外界から水密かつ気密に密封・遮断し、
かつチューブ１６全周に亘り均一な圧力を与えて部分的
な漏水を防止するが、チューブ内圧力を上げると張力上
昇のためにチューブ１６表面が硬直するため、適当な硬
さのスポンジゴム等を外皮としてその張力を解放し、被
塗面Ａである鋼板表面の凹凸に適合するようにする。

防水函体１′５の外側の適当な位置に適当数の電磁石１
７を固定し、この電磁石１７の吸着力あるいは押付力に
より塗装装置全体を被塗面Ａに対して着底させる。

この電磁石１７としては、溶接構造を持つ磁界の深い水
中用防水型の吸引電磁石を用いるが、これは吸着力は約
７０俤に低下する反面、電磁石１７と被塗面Ａとの間の
空隔距離に対する磁力の減衰が小さく、シたがって着底
（固定）時には直接被塗面Ａである鋼板表面に吸着でき
、また装置を被塗面Ａに沿って走行させる際に空隔距離
を大きくとれ、被塗面Ａに凹凸があってもスムーズな吸
引走行ができる。

防水函体１５の上方（第１図）にバラストタンク１８を
形成し、塗装室りとこのバラストタンク１８の容積を等
しくする。

そして防水函体１５の両側に浮力タンク１９，２０を形
成し、この浮力タンク１９，２０により残りの重量をバ
ランスさせ、装置全体の重量と塗装室Ｄ１バラストタン
ク１８および浮力タンク１９，２０により生ずる排水浮
力とを釣り合わせる。

また浮力タンク１９内には加熱ヒータ２１が配置され、
同時に浮力タンク１９，２０は計器室を兼用させる。

第５図イに示すように塗装室り内には送気口２２により
バルブ２３を介して空気の給排気が可能であり、またバ
ラストタンク１８は送気口２４によりバルブ２５を介し
て空気の給排気が可能であり、さらに塗装室りとバラス
トタンク１８とは連通孔２６および注排水バルブ２７に
より両者の内部の水またはバラスト水が相互に入れ換え
可能である。

そして第２図において、本体１内には浮力タンク１９゜
２０やバラストタンク１８から排水を迅速に行うための
ピット排水バルブ２８を保持してい、る。

第１図、第２図および第４図において、塗装室り内部に
は、数個の塗料噴射ノズル２９を取り付けた取付枠３０
が配置され、この取付枠３０はエアシリンダ３１，３２
によりＥ−Ｆ方向に往復移動される。

この場合第４図に示すように、エアシリンダ３Ｌ３２の
向き合わせた頭部３１ａ。

３２ａ側を配管３３により接続し、ピストン３４゜３５
の頭部３１ａ、３２ａ側にオイルを充填し、エアシリン
ダ３Ｌ３２の反対側端部３１ｂ。

３２ｂにはそれぞれ配管３６．３７およびバルブ３８を
介して空気を給排気可能にし、ピストンロッド３９．４
０の端部に取付枠３０を固定し、この取付枠３０の四隅
に塗料噴射ノズル２９を取り付け、さらにピストン３４
．３５の動作と同調した弁によりノズル２９からの塗料
の噴霧圧や噴霧量を決定する。

かくしてエアシリンダ３１，３２に給排気して２本のピ
ストン３４．３５を同時に作動し、かつ配管３３中のオ
イル流量を制御することにより、取付枠３０の移動速度
、したがって塗料の噴霧圧や噴霧量あるいは塗装速度を
自由に調節できる。

また塗料噴射ノズル２９はエアスプレ一式またはエアレ
ススプレ一式により作動されるが、塗料中に含まれる異
物の混入や顔料の凝集による目詰りを防止するため、塗
装装置本体内のスプレーガン（図示しない）より復路配
管し、循環方式として目詰りを防止する。

また本発明のごとき防錆塗装用の塗料としては水中硬化
型塗料を使用するが、この塗料は塗装後の乾燥は不要で
あり、直ちに注水することができ、塗装後注水までの時
間を短縮できる。

さらに第２図に示すように、塗装室り内には被塗面Ａを
洗浄乾燥するための洗浄水用バルブ（図示しない）やイ
ンジェクタノズル４１が設けられる。

また第１図および第２図に示すように、本体１にはエア
モータ型外扇式スラスタ４２を配設するが、これはスク
リューを回転して塗装装置外の流体により推力を得て吸
引作用を持つものであり、装置を被塗面へ接着する時に
補助的な接着力を与え、あるいは急激な脱落を防止する
、等の機能を有するものである。

次に本塗装装置の作動を説明する。

第５図イにおいて、防水函体１５を四周するシールチュ
ーブ１６を抜気しておき、駆動輪２および従動輪３，４
に送気して適当な膨張圧に達した後、電磁石１７に通電
すると装置本体１は図のごとく、例えば船体の鋼板のと
とき被塗面Ａから遊離した状態でこの被塗面Ａに吸引さ
れる。

次に外扇式スラスタ４１を作動してモータ９により駆動
輪２を駆動し、エアシリンダ１３，１４を操作して駆動
輪２をＢ−Ｃ方向に操縦すると、装置は所望の塗装位置
まで移動する。

この移動後に駆動輪２および従動輪３，４から抜気する
と、本体１は電磁石１７の吸着作用により被塗面Ａに吸
着・固定され、装置の位置決めが完了する。

次いで、シールチューブ１６に送気すると、第５図口に
示すように、チューブ１６の膨張力と張力解放用外皮の
付着力および電磁石１７の吸着力によりチューブ１６と
被塗面Ａとが水密かつ気密に密着して、防水函体１５内
の塗装室りと外界とは水密かつ気密に密封・遮断される
。

この状態で送気口２２から塗装室り内に送気し、連通孔
２６の注排水バルブ２７を開き、バラストタンク１８円
から抜気すると、塗装室り内の空気の圧力により塗装室
り内の海水がバラストタンク１８内に移行される。

海水を完全に排出した後、塗装室り内をバルブ２３に接
続した可撓管を通じて大気圧に解放し、もし必要であれ
ば、インジェクタノズル４０から洗浄水を噴射して被塗
面Ａを洗浄し、給水停止後高速温風により被塗面Ａを乾
燥する。

次いで第５図ハに示すように、エアシリンダ３Ｌ３２に
給排気して取付枠３０を往復動させながら塗料噴射ノズ
ル２９から水中硬化型塗料を噴射すると、被塗面Ａは塗
装室り内の全面に亘り塗装される。

塗装終了後直ちに（塗装された塗料の乾燥は不要である
）バラストタンク１８から注排水バルブ２７を通じて塗
装室り内にバラスト海水を注入しながら、片側（例えば
第５図二の左側）の電磁石１７の通電を停止し、かつ同
じ側の従動輪３，４に送気して適当に膨張させると、第
５図二に示すように装置はその片側が浮き上った状態と
なり、さらにその後再びその電磁石１７に通電して吸引
状態にする。

次にもう一方の側の電磁石１７および駆動輪２に対して
同様の操作を施すと、塗装室り内に完全な注水が得られ
ると共に、駆動輪２および従動輪３，４が適当に膨張し
かつ電磁石１７の吸着力と相俟って、装置は次の塗装位
置へ走行可能な状態となる。

このときバラストタンク１８内の海水は全部塗装室り内
へ排出し、かつシールチューブ１６内から抜気して、シ
ールチューブ１６と被塗面Ａとの間の密着を解放してお
くことが必要である。

以下、上記作動を繰り返すことによって、被塗面Ａを順
次塗装することができる。

また、上記作動中に適宜外扇式スラスタ４１を駆動すれ
ば、電磁石１７の吸着力に加えて補助的な吸着力を与え
ることができ、さらに例えば電磁石１７への通電を停止
した場合などに、装置が被塗面Ａから脱落あるいは浮上
することを防止することができる。

上述した本発明の船舶および水中構築物の水中自動塗装
装置によれば、次のような幾多の効果が得られる。

（ａ） 防水函体内の塗装室と外界との間の密封・遮
断は、膨張可能なチューブまたはそのチューブとスポン
ジ等の張力解放用外皮による膨張力と付着性、および電
磁石の吸引力による押圧力により行われるので、被塗面
に凹凸があっても密封性能の低下が見られず、確実な密
封・遮断が行われ、同時にこのチューブが電磁石の吸着
面を覆わないから、電磁石による吸着力が強大である。

（ｂ） 塗装室内に設けたエアスプレーまたはエアレ
ススプレ一式塗料噴射ノズルから被塗面に水中硬化型（
防食、防汚染）塗料を噴霧塗布して塗装を行うことがで
き、水中塗装の自動化および塗装面積の拡大が可能であ
るに加えて、塗膜の厚さ、平滑さおよび付着力の面でも
良好な長期メインテナンス可能な塗装ができる。

（ｃ） 水中硬化型塗料の塗装後、直ちに塗装部への
注水および装置の移動が可能となり、塗装時間が短縮さ
れる上に、水中自然硬化性の低溶剤型塗料の使用により
、公害防止面でも良好な結果が得られる。

（ｄ） 電磁石と被塗面との間の空隔距離に対して磁
力の減衰が小さい水中用防水型電磁石を使用し、塗装装
置を被塗面に吸着・固定する際には電磁石と被塗面とを
直接接触させるので吸着力が強大となり、また電磁石を
被塗面から離した状態で装置を被塗面に沿って吸引走行
することができ、したがって部品点数が少なくなり、装
置全体の簡略化と軽量化ができる。

（ｅ） 装置を移動する際の装置のジヤツキアップを
、例えばゴム製タイヤのごとき駆動輪および従動輪の膨
張により行うことにより、特別のジヤツキアップ装置が
不要であり、機能が簡略されると同時に、この点でも装
置が軽量化され、塗装能率の向上が達成される。

（ｆ） 被塗面を洗浄・乾燥する必要がある場合には
、インジェクタノズルからまず洗浄水を噴射して洗浄し
、給水停止後直接高速空気を噴射するか、あるいは装置
内に組み込んだヒータ内を通した熱風を噴射することに
より、被塗面を洗浄・乾燥することができ、したがって
単位時間当りの塗装面積を太きくシ、作業能率を向上さ
せることができる。

（ｇ） 塗装装置内にバラストタンクを保持すること
により、浮力バランスを保ちかつ脱落または浮上を防止
するに加えて、塗装室内の海水をバラストタンクに移行
することにより、水深の如何に拘らず排水に要するエア
圧を一定に保つことができる。

そして排水はピット排水機構の採用により迅速な排水が
可能である。

（ｈ） 懸垂ロープが不要なので、船舶や水中構築物
の底面の塗装も可能である。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施例を示し、第１図は水中自動塗装装置
の全体側面図、第２図は第１図の平面図、第３図は車輪
への給排気機構を示す部分縦断面図第４図は塗料噴射ノ
ズルの移動機構を示す平面図、第５図イル二は装置の作
動を説明する側面図である。 １・・・・・・塗装装置本体、２・・・・・・駆動輪、
３，４・・・・・・従動輪、９・・・・・・モータ、１
３，１４・・・・・・エアシリンダ、１５・・・・・・
防水函体、１６・・・・・・シールチューブ、１７・・
・・・・電磁石、１８・・・・・・バラストタンク、１
９・・・・・・浮力タンク、２９・・・・・・塗料噴射
ノズル、３０・・・・・・取付枠、３１，３２・・・・
・・エアシリンダ、４１・・・・・・外扇型スラスタ、
Ａ・・・・・・被塗面、Ｄ・・・・・・塗装室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 水中の被塗面に防水函体で塗装空間を形成して塗装
   する船舶および水中構築物の水中自動塗装装置において
   、操向可能かつ吸排気可能な空気圧タイヤ車輪および水
   中防水型電磁石により塗装装置本体を被塗面に沿って走
   行させかつ吸着・固定し、前記防水函体の被塗面との接
   触周縁に内部に空気を供給および排出自在にして膨張力
   により水密にするシールチューブを配置し、前記防水函
   体により形成される塗装空間と同体積のバラストタンク
   および浮力タンクを備え、前記防水函体内に往復動し得
   る復路配管付き塗料噴射器を設けたことを特徴とする船
   舶および水中構築物の水中自動塗装装置。