JPS5846509Y2 - 熱形過負荷継電器の設定電流調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱形過負荷継電器における設定電流調整用のね
じの改良に関する。

熱形過負荷継電器は、例えば電磁接触器と組合わせて電
動機保護を目的として使用されている。

しかし、この電動機の定格電流はその出力によっても、
或は同一出力の電動機でもメーカ、機種、極数により異
なる。

したがってこれら電動機の保護のために適用する熱形過
負荷継電器は設定電流値を変更するための調整機構を備
えている。

かかる熱形過負荷継電器の構成及び調整動作を第１図に
ついて説明する。

第１図において一端が固定された主バイメタルは、図示
しないヒートエレメントにより電動機電流に対応して加
熱され湾曲する。

バイメタル１の自由端はシフター２に係合し、シフター
２はＸを支点とする釈放レバー３の一端３ａに当接して
いる。

釈放レバー３の他端３ｂはＹを支点とする可動片４、Ｚ
を支点とする可動接触子５およびばね６よりなるスナッ
プ動作の接点機構に係合している。

７は固定接触子である。一方釈放レバー３の支点Ｘは調
整レバー８の一端に軸支され、調整レバー８の他端には
設定電流調整装置１０の調整ねじ１０ ａが係合してい
る。

調整レバー８は支点Ｗで枢着され、ばね９によりＵ方向
に押圧されている。

設定電流調整装置１０は調整ねじ１０ ａ及びダイアル
１０ｂを有し、ケース１２に固定された取付板１１のね
し孔に螺合している。

なお、取付板としては端子板を利用するのがよい。

つぎにこの動作は、設定電流に等しい負荷電流が流れる
とバイメタル１は一点鎖線のようにｄｌだけ湾曲し、シ
フター２を矢印Ｑの方向に接点機構が動作するに必要な
移動量ｄｏだけ移動させる。

これにより釈放レバー３はＸを支点としてＲ方向に回転
する。

したがってスナップ接点機構は周知のように死点を越え
て可動接触子が矢印Ｓの方向に瞬時に反転して固定接触
子７から開離し、例えば電磁接触器を無励磁釈放させて
電動機の過負荷電流をしゃ断する。

上述の継電器において、設定電流を大きくする場合は、
ダイアル１０ ｂを反時計方向に回動することにより、
調整ねじ１０ ａの先端が上昇し、第２図に示すように
、調整レバー８はばね９によってＵ方向に傾き釈放レバ
ー３の支点Ｘが第１図より左方のＸ′に偏位する。

したがって、シフター２と釈放レバー３との間にバイア
ス移動量ｄｆが設定される。

今、新に設定した大きい設定電流に等しい負荷電流が流
れると、主バイメタル１はｄｌより大きいｄ２だけ偏位
して、シフター２をバイアス移動量ｄｆと接点動作移動
量ｄＯとの和ｄｆ＋ｄｏだけ移動させる。

したがって、釈放レバー３の接点移動量ｄｏだけ偏位し
て釈放動作を行なう。

即ち調整ダイアル１０ｂを回動させることにより設定電
流を調整することができ、保護対象の電動機等の定格に
対処して熱形過負荷継電器の調整を行い得る。

上述のように熱形過負継電器の設定電流の調整は、釈放
レバーの動作支点を調整ねしによって移動させる構成の
装置が多く使用されている。

しかし、調整ねしには精度の高いねじを使用するとして
も雄ねじと雌ねじとの間には必ずがたが存在するため設
定電流を調整する際、調整ねじが進むか退くかによって
設定値が狂う欠点がある。

これを防止するために、調整ねじと取付板との間にコイ
ルバネまたは板ばねを挿入し、調整ねじのねし山を常に
ねし孔の谷の一方に押圧させる構成も提案されているが
、なお不充分であるばかりでなく、部品数も多くなる欠
点がある。

本考案は前述の欠点を除き、追加部品を要せずに確実な
がた防止を行うことを目的とする。

この目的を達成するため、本考案は調整ねじを回動する
ことにより調整レバーを駆動し、これによって釈放レバ
ーの動作支点を偏位させるようにした熱形過負荷継電器
の設定電流調整装置において、取付板にＵ字状のスリッ
トを穿って舌片を形成させ、このスリットの一脚上に調
整ねじが螺合するねし孔を穿つことにより前記舌片を調
整ねじのがた防止装置としたことを特徴とする。

つぎに本考案の実施例を第３図に基づいて詳細に説明す
る。

第３図において取付板１１にＵ字状のスリツ） １１
ａを穿って舌片１１ ｂを設ける。

この後でスリッ） １１ ａのＵ字状の一脚にスリット
１１ａの幅より大きい直径のねじ孔１１ Ｃを穿ち、こ
の孔に調整ねじ１０ ａを螺合させる。

勿論ねじのがたを小さくするためには調整ねじ１０ ａ
の外径に対しねじ孔１１ Ｃの直径が小さいことが望ま
しい。

本考案では取付板１１にスリツ） １１ ａを設けであ
るから、この上にねじ孔１１ Ｃを穿つ際、雌ねじの穿
孔カッターを下孔にねじ込むと舌片部１１ ｂが自身の
弾性によって矢印Ｐ方向に逃げる。

このためねし孔を穿つ部分のスリットが広がり反対側の
スリットが狭くなる。

かくしてねじ切り完了後に穿孔カッターを取除けば舌片
部１１ ｂが旧に復すからねじ孔１１ Ｃの直径は幾分
小さくなる。

ここで穿孔カッターと同じ指定寸法の調整ねじ１０ａを
螺合させれば、調整ねじ１０ ａは弾性を有する舌片部
１１ ｂにより適度に締付けられるからがたを生じない
。

調整ねじ１０ ａの頭部には直径の大きな調整ダイアル
１０ ｂを固定して調整ねじを回動する際微調整が可能
にしである。

上述のよ−うに本考案による熱形過負荷継電器の設定電
流調整装置は、取付板に設けた舌片の弾性を利用し、調
整ねじを適度に締付けているから調整ねじと取付板のね
し孔との間にがたを生じることがない。

したがって調整ダイアルを回動することにより円滑かつ
正確に電流値を設定することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は熱形過電流継電器の動作説明図、第
３図は本考案による調整ねしの分解斜視図である。 ３・・・・・・釈放レバー、８・・・・・・調整レバー
、１０・・・・・・調整装置、１０ ａ・・・・・・調
整ねし、１０ｂ・・・・・・調整ダイアル、１１・・・
・・・取付板、１１ ａ・・・・・・スリット、１１ｂ
・・・・・・舌片、１１ Ｃ・・・・・・ねし孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケースに固定された取付板に装着した調整ねじを回動す
   ることにより調整レバーを駆動し、これによって釈放レ
   バーの動作点を偏移させるようにした熱形過負荷継電器
   の設定電流調整装置において、取付板にＵ字状のスリッ
   トを穿って舌片を形成させるとともにこのスリットの一
   脚上に調整ねじが螺合するねし孔を穿ったことを特徴と
   する熱形過負荷継電器の設定電流調整装置。