JPS5846285Y2 - トルクコンバ−タの自動直結装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はトルクコンバータの自動直結装置、特に、アク
セル操作によりポンプ車軸とタービン車軸との回転差に
変化を与えるだけで両軸を直結させることができる装置
に関するものである。

従来、トルクコンバータに手動直結装置を組込んだもの
がある。

これは、タービン車軸と連動するスリーブを手動で変位
させることによって該スリーブに遠心機構による押圧力
を付与させ、該スリーブに設けた歯をポンプ車軸に設け
た歯と噛合させるものとなっている。

従って、アクセル操作即ちトルクコンバータの回転数制
御とは別個に手動によるスリーブ操作が必要である。

本考案は上記従来装置の欠点を解消するもので、ポンプ
車軸とタービン車軸の回転差を利用し、アクセル操作の
みで両軸を自動的にかつ、円滑に直結させることができ
るようにしたことを特徴とするものである。

以下に図示の実施例につき本考案を詳細に説明する。

第１図において１はエンジン２のり２ンクシヤフト３と
連動するポンプ車軸、４はポンプ車軸に設けられたポン
プホイール、５はポンプ車軸１と同軸に設けられたター
ビン車軸、６はタービン車軸５に設けられたタービンホ
イール、７はケーシング８に一方クラッチ９を介して取
付けられたステータである。

以上は通常のトルクコンバータを構成している。

タービン車軸５にはスプライン１０が形成され、該スプ
ライン１０にスリーブ１１が軸方向移動可能に嵌合され
ている。

スリーブ１１はばね１２によりタービンホイール６側に
付勢されており、タービンホイール６の背面と対向する
側のスリーブ１１の壁部には、半径方向外方に向ってタ
ービンホイール６との間隔が徐々に狭まる傾斜面１３が
形成され、該傾斜面１３とタービンホイール６の背面と
の間にボール１４が介装されている。

このボール１４は遠心押圧手段の二部を構成している。

スリーブ１１の傾斜面１３と反対側の端部外周にはクラ
ッチ歯１６を有するバブ１５が一体に設けられており、
クラッチ歯１６と対向するポンプホイール４の内壁部に
クラッチ歯１６と噛合可能なドッグ１７が形成されてい
る。

バブ１５の外周には一方向クラッチ１８を介して中間ス
リーブ１９が一方向回転のみ可能に取付けられており、
中間スリーブ１９にはクラッチ歯１６よりもドッグ１Ｔ
側に突出しかつトング１７と噛合可能な歯部２０が形成
されている。

歯部２０の先端部には第２図イに示すように、ドッグ１
Ｔの開口角部２１と係合可能な係合段部２２が形成され
ている。

ここで、ドッグ１７の開口角部２１には傾斜面２１Ａが
形成されており、歯部２０の係合段部２２は該傾斜面２
１Ａと衝合可能な傾斜面２２Ａと、トング１７の側面１
７Ａと衝合可能な面２２Ｂとを有している。

そして、クラッチ歯１６は、中間スリーブ１９の歯部２
０に形成された係合段部２２がトング１７の開口角部２
１に係合しているときはドッグ１７から離れた位置に保
たれ、歯部２０がドッグ１７内に嵌まり込んだときにト
ング１７と噛み合う。

上記構成装置において、エンジン２の回転数が低いとき
即ち、低速領域にあるときは、中間スリーブ１９の歯部
２０は第２図イに示すように、ドッグ１７から離れてお
り、ポンプ車軸１の回転はトルクコンバータを介してタ
ービン車軸５に伝達される。

このとき、スリーブ１９はタービン車軸５と共にポンプ
車軸１より小さい速度で回転する。

アクセル操作によりエンジン２の回転数を増大させて高
速領域におくと、ボール１４が遠心作用で半径方向外方
に変位し、スリーブ１１はばね１２のばね力に抗してド
ッグ１７側に変位する。

そして、スリーブ１１に設けられた中間スリーブ１９の
歯部２０の係合段部２２が第２図口に示すように、ドッ
グ１７の開口角部２１に係合すると、中間スリーブ１９
はポンプ車軸１と同速で回転する。

係合段部２１が開口角部２１に係合する時期とエンジン
回転数との関係はボール１４の重量ばね１２のばね力等
の調整により、任意に設定できる開口角部２１の傾斜面
２１Ａは係合段部２２の係合を容易にする役割りを果す
。

第２図口の状態において、ポンプ車軸１の回転数がター
ビン車軸５０回転数より大きいときは、歯部２０の係合
段部２２はドッグ１７の開口角部２１に係合した状態に
保たれるため、スリーブ１１はそれ以上ドッグ１７側に
変位せず、従って、クラッチ歯１６はドッグ１７に噛み
合うことはない。

高速領域においてアクセルを戻し、エンジン２０回転数
を低下させてポンプ車軸１０回転数をタービン車軸５の
回転数より小さくすると、中間スリーブ１９は一方向ク
ラッチ１８の作用によりタービン車軸５と同速で回転す
るようになり、歯部２０は第２図へに示すように、ボー
ル１４の押圧力に応じてドッグ１７の開口角部２１上を
滑ってドッグ１７内に嵌まり込み、これに伴なって、ス
リーブ１１がトング１７側に変位してクラッチ歯１６が
トング１１内に嵌まり込む。

これにより、ポンプ車軸１とタービン車軸５とが直結さ
れる。

係合段部２２の傾斜面２２Ａは歯部２０の滑りを容易に
する役割りを果す。

アクセルを戻す操作は短時間で十分であり、その後、ア
クセルを踏み込んで再びエンジン２０回転数を増大させ
ると、第２図へに示すように、クラッチ歯１６とトング
１７とが噛み合った状態に保たれ、ポンプ車軸１０回転
はクラッチ歯１６を介して直接タービン車軸５に伝えら
れる。

従って、この状態においては１００％のトルク伝達効率
が得られる。

一方、高速領域下でアクセルを戻すと第２図へに示すよ
うに、クラッチ歯１６を介してタービン車軸５にエンジ
ンブレーキが掛る。

そして、エンジン２０回転数が更に低下すると、ボール
１４の遠心力低下に応じて、スリーブ１１がトング１７
から離れ、クラッチ歯１６及び歯部２０がトング１１か
ら離脱する。

以上一実施例につき説明したが、遠心押圧手段としては
上記ボールを利用するものに限定されることはなく、他
のいかなるタイプのものであってもよい。

本考案は上記構成をなすものであるから、アクセル操作
だけでポンプ車軸とタービン車軸とを自動的に直結させ
ることができるようになり、自動直結操作が極めて簡単
なものになる。

また、スリーブに一方向クラッチを介して設けた中間ス
リーブを利用して、スリーブのクラッチ歯とドッグとを
噛合させるから歯車の噛合は極めて円滑に行なわれるこ
ととなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すトルクコンバータの縦
断面図、第２図イないしこはそれぞれ第１図に示す装置
のドッグ、クラッチ歯及び歯部の関係を示す要部平面図
。 １・・・・・・ポンプ車軸、５・・・・・・タービン車
軸、１１・・・・・・スリーブ、１６・・・・・・クラ
ッチ歯、１７・・・・・・ドッグ、１９・・・・・・中
間スリーブ、２０・・・・・・歯部、２２・・・・・・
係合段部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トルクコンバータのタービン車軸に、クラッチ歯を有す
   るスリーブを軸方向移動可能に設け、クラッチ歯に対向
   させてトルクコンバータのポンプ車軸にクラッチ歯と噛
   合可能なドッグを形成し、タービン車軸に、該タービン
   車軸の回転数に応じてスリーブをドッグ側に付勢する遠
   心抑圧手段を設け、スリーブに、クラッチ歯よりもドッ
   グ側に突出しかつドッグに噛合可能な歯部な有する中間
   スリーブを一方向クラッチを介して取付け、歯部の先端
   部にドッグの開口角部と係合可能な係合段部を形成して
   なるトルクコンバータの自動直結装置。