JPS6113806Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動三輪車あるいは小型四輪車等に
使用する後進変速装置に関する。

たとえば、バルーンタイヤを備えた自動三輪車
は、従来のオート三輪と異なり自動二輪車に類似
した簡単な構成を有し、変速機も自動二輪車と同
様の前進変速のみのギヤシフトカム方式を採用し
ている。しかし、自動三輪車の場合は、移動性の
面から後進可能であることが望ましい。

そこで、上記の様なギヤシフトカム方式の一般
走行用変速装置に後進変速装置を付設することが
検討され、第１図〜第３図に示す様な変速装置が
考案された。

第１図において、１はエンジンのクランク軸で
あり、該クランク軸の回転はクラツチ２を介して
中間軸３に伝達される。該中間軸３と平行に出力
軸４を設け、両軸３，４間には一般走行用変速歯
車部５ａとバツク用歯車部５ｂとから成る変速歯
車部５を設けてある。中間軸３の回転は変速歯車
部５により変速されて出力軸４に伝達され、チエ
ーン６等を介して車輪（図示せず）に伝達され
る。上記一般走行用変速歯車部５ａ内の所定歯車
１２，１３およびバツク用歯車部５ｂ内のバツク
ギヤ（バツク用ドリブンギヤ）１４は公知のギヤ
シフトカム方式の変速装置と同様、ギヤシフトド
ラムによりシフトフオークを介してシフトされ
る。

第２図はこのギヤシフトドラム７部を示す図で
あり、該ドラム７はギヤシフトドラム操作レバー
８により、シヤフト９、該シヤフト９に固設した
ドライブギヤ１０、該ギヤ１０に歯合すると共に
ドラム７に固設したドリブンギヤ１１を介して回
動される。上記ドラム７にはリード溝７ａ，７
ｂ，７ｃを形成し、各リード溝には上記歯車１
２，１３用のシフトフオーク１５，１６の突起と
上記バツクギヤ１４用のシフトフオーク１７の突
起を係合させ、該シフトフオーク１５，１６，１
７はフオークシヤフト１８，１９により摺動可能
に支持してある。従つて、レバー８を適宜に操作
することにより、変速歯車部５内の所定歯車１
２，１３，１４はリード溝７ａ，７ｂ，７ｃに沿
つて適宜にシフトされ、変速が行われる。

なお、バツク用歯車部５ｂは第３図に示す様
に、中間軸３に設けたバツク用ドライブギヤ２０
と、該ギヤ２０と常時歯合しているアイドルギヤ
２１（第１図には図示せず）と、出力軸４にスプ
ライン係合させたバツク用ドリブンギヤ１４とで
構成され、該ドリブンギヤ１４をシフトフオーク
１７により矢印Ａ方向にシフトさせることによ
り、アイドルギヤ２１と歯合させる。

また、この変速装置には一般走行時誤まつてバ
ツクギヤをシフトさせることを防止するため、バ
ツクギヤシフト解除用レバー２２を設けてある。
即ち、一般走行時ギヤシフトドラム７にはストツ
パー２３を係合させて該ドラム７がバツク位置に
回動するのを防止しておき、上記レバー２２によ
りこのストツパー２３を解除しないと、操作レバ
ー８によりドラム７を回動させてバツクギヤ１４
をシフトさせることができない様に構成してあ
る。

ところが、上記変速装置においては、ニユート
ラル時出力軸４が回転していても、解除用レバー
２２によりストツパー２３を解除すれば操作レバ
ー８により強引にバツクギヤ１４をシフトさせて
アイドルギヤ２１に歯合させることができる。従
つて、たとえば４，３，２，１速、ニユートラル
とシフトダウンし、まだ出力軸４が惰性で回転し
ている時に上記操作により強引にバツクギヤ１４
をシフトさせると、アイドルギヤ２１と噛み合う
時に音が発生し、また強引に噛み合わせると急に
後進することになるので、危険であると共に各駆
動部分に無理な荷重が作用するので破損にもつな
がるという不都合がある。また、下り板等で解除
レバー２２によりストツパー２３を解除しておい
て誤まつて操作レバー８を操作したときも同様の
不都合が生じる。

本考案の目的は、上記事情に鑑み、ニユートラ
ル時ストツパーを解除していても、バツクギヤを
装着した回転軸たとえば変速装置の出力軸が回転
しているときはバツクギヤをシフトさせる即ちバ
ツクギヤを他のギヤたとえばアイドルギヤに歯合
させることができない様にした自動三輪車等の後
進変速装置を提供することにある。

以下、図面に示す実施例を参照しながら本考案
を詳細に説明する。

第４図は本考案に係る後進変速装置の一実施例
の主要部を示す断面概念図であり、本実施例にお
ける図示した主要部以外の構成は第１図，第２図
に示したものと同じである。

本考案に係る後進変速装置は、回転軸（出力
軸）４にバツクギヤ（バツク用ドリブンギヤ）１
４をスプライン係合させ、該バツクギヤ１４をシ
フトして他のギヤ（アイドルギヤ）２１に歯合さ
せる後進変速装置において、上記出力軸４のスプ
ライン谷部４ａに半径方向の穴４ｂを穿設し、該
穴にピン２５を摺動可能に嵌合し、該ピン２５を
弾性部材２６により半径方向内側に付勢して上記
スプライン谷部４ａ外側に突出しないよう配設
し、上記出力軸回転時は遠心力により上記ピン２
５が弾性部材２６に抗してスプライン谷部４ａ外
側に突出する様に構成して成る。

本実施例においては、第４図，第４図の−
線断面図である第５図および第４図の出力軸部分
のみを示す第６図に示す様に、出力軸４のスプラ
イン谷部４ａに半径方向の円柱状穴４ｂを穿設
し、かつ該穴４ｂの位置に出力軸４の全周にわた
つてスプライン谷部４ａよりも深く以下に述べる
スプリング２６が埋没する溝４ｃを穿設してあ
る。上記穴４ｂに円柱状のピン２５を摺動可能に
嵌合してある。該ピン２５は大径円柱部２５ａと
小径円柱部２５ｂとから成り、大径円柱部２５ａ
の上端にはスプリング２６が埋没する溝２５ｃを
穿設してある。そして、上記出力軸の溝４ｃおよ
びピンの溝２５ｃに弾性部材たるＣリング状のス
プリング２６を装着し、該スプリング２６により
ピン２５を出力軸の半径方向内側に常時付勢する
と共に、該ピン２５はその下端部が出力軸内の潤
滑路通路２７の下面に当接して位置決めされてい
る。また、該ピン２５はバツクギヤ１４の内側部
分に位置すべく配設し、バツクギヤ１４のスプラ
イン山部１４ａは該ピン２５の近傍で終わらせて
ある。

次に、本考案の作用について説明する。

第４図および第５図は出力軸４が回転していな
い状態を示し、この状態においては図示の如くピ
ン２５はスプリング２６によつて半径方向内側に
付勢されてピン下端部が潤滑路通路２７に当接し
て位置決めされている。従つて、ピン２５および
スプリング２６は共に穴４ｂおよび溝４ｃ，２５
ｃ内に埋没しており、出力軸４のスプライン谷部
４ａ外側には突出していない。従つて、出力軸４
が回転していないときは、前述の様にニユートラ
ル時ストツパー２３を解除しておくことにより、
操作レバー８でギヤシフトドラム７，リード溝７
ｃ，シフトフオーク１７を介してバツクギヤ１４
をシフトしてアイドルギヤ２１に歯合させること
ができる。

これに対し、出力軸４が回転しているときは、
遠心力によりピン２５がスプリング２６に抗して
半径方向外側に移動し、スプライン谷部４ａの外
側に突出する（第７図参照）。従つて、フオーク
１７を介してバツクギヤ１４を矢印Ａ方向にシフ
トしようとしても、バツクギヤのスプライン山部
１４ａの先端が該ピン２５に当接し、ピン２５が
ストツパーとして働くのでバツクギヤ１４をシフ
トし得ない。即ち、出力軸の回転数がスプリング
２６の強さとの関係で所定数以下になるか、回転
が止まるまで待たなければシフトすることができ
ない。

上記の如く、本考案に係る後進変速装置は、バ
ツクギヤを装着している出力軸の回転数が零が所
定数以下でないとバツクギヤをシフトすることが
できない。よつて、バツクギヤをシフトするとき
の噛み合い音が発生せず、また出力軸が回転して
いるときに強引にシフトされて急にバツクになる
ことがなく安全であり、さらに強引にシフトさせ
ることによる破損等の虞れがないという効果を奏
する。

なお、本考案は回転軸に装着したバツクギヤを
軸方向にシフトさせて他のギヤを歯合させるタイ
プのものであれば上記実施例に示したタイプ以外
のものに適用可能であり、また回転軸が回転して
いないときは弾性部材によりピンが回転軸内側に
位置し、回転軸が回転しているときは遠心力によ
りピンが回転軸外側に突出し、バツクギヤのシフ
トストツパーとして作用する構成であれば良く、
ピン，スプリングおよびバツクギヤの態様は実施
例に示したものに限定されない。

【図面の簡単な説明】

第１図，第２図および第３図は従来装置を示す
断面概念図、第４図は本考案に係る装置の一実施
例の主要部を示す断面概念図、第５図は第４図の
−線断面概念図、第６図は第４図の回転軸部
分のみを示す断面概念図、第７図は第４図におい
て回転軸が回転している場合の状態を示す断面概
念図である。 ４……回転軸（出力軸）、４ａ……スプライン
谷部、４ｂ……穴、１４……バツクギヤ（バツク
用ドリブンギヤ）、１７……バツクギヤシフトフ
オーク、２０……バツク用ドライブギヤ、２１…
…他のギヤ（バツク用アイドルギヤ）、２５……
ピン、２６……弾性部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バツクギヤを回転軸に該軸と共に回転可能にか
   つ該軸の軸方向に摺動可能に装着し、該バツクギ
   ヤをシフトさせて他のギヤに歯合させる後進変速
   装置において、上記回転軸に半径方向の穴を穿設
   し、該穴にピンを摺動可能に嵌合し、該ピンを弾
   性部材により半径方向内側に付勢し、該回転軸の
   回転時は遠心力により上記ピンが上記弾性部材に
   抗して該回転軸の半径方向外側に突出して上記バ
   ツクギヤのシフトストツパーとなるように構成し
   たことを特徴とする後進変速装置。