JPS5845992B2 - ジアルキルジチオカルバミン酸鉄を用いる水溶液中の重金属の除去法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は水銀、銅、鉛、カドミウムなどの有害重金属を
含む水溶液を処理してこれらの重金属を除去し水質の公
害を防止する方法に関する。

従来、水銀、銅、鉛、カドミウムなどの有害重金属を含
む鉱工業排水などを処理し、それらの重金属を除去し、
その濃度を低減せしめる方法としては原理的には当該水
溶液に各種の沈澱剤を加えそれらの金属の難溶性化合物
を作らしめ、そのまま濾別するとかあるいは活性炭など
に吸着せしめて除去する方法が行われている。

沈澱剤としては上記重金属に対しては各種の硫化物、あ
るいは各種の有機キレート剤などが用いられており有機
キレート剤を活性炭、シリカゲルなどの担体に吸着担持
せしめたものを、用いる方法の提案（特許出願公告昭４
７−８２８１、昭４９−１８９３７）もなされている。

ところで沈澱剤を加える方法では通常可溶性の試剤を加
えるため濾液中に残る過剰の試剤の処理が必要となり、
さらに存在する金属量が微量の場合はその沈澱の捕集も
容易ではない。

また後者の方法においては活性炭などの担体にキレート
剤をあらかじめ吸着固定せしめておかねばならず、試剤
の吸着量は、通常５重量％程度に止まる。

すなわち処理剤（キレート剤を吸着させた活性炭など）
中の有効試剤（キレート剤）の割合が小さいため、処理
後の廃棄物量が大きくなる。

本発明者は上記の諸問題点の改善、すなわち処理後の水
溶液中に試剤の残留がな（、できるだけ効率が高くした
がって少量の試剤で効果的に重金属を除去し得てしかも
安価な試剤を開発すべく検討を行ない、これに成功した
。

本発明の方法は、水銀、銅、鉛、カドミウムなどの有害
重金属を含む中性近傍の水溶液に難溶性のジアルキルジ
チオカルバミン酸鉄な、存在する全重金属量に対し化学
当量で約１０倍量添加して攪拌することにより上記有害
重金属を、それぞれの難溶性で安定なジアルキルジチオ
カルバミン酸醋体にかえ、添加したジアルキルジチオカ
ルバミン酸鉄とともに沈降せしめることを特徴とした重
金属の除去法である。

ジアルキルジチオカルバミン酸類で工業薬品あるいは、
農薬などとして実際に用いられているものは、数種類あ
りこれらはいずれも各種の金属と難溶性酸体を作る。

これらのうちジエチルジチオカルバミン酸は、水銀、銅
、コバルトなどの分析試薬としても用いられ、もつとも
よく知られているので、このものについて本発明の詳細
な説明する。

ジエチルジチオカルバミン酸は多くの金属と難溶性の酸
体を作るが、その酸形成定数は異る。

すなわち簡単にいえば金属とジエチルジチオカルバミン
酸水銀との結合力には強弱があり のような順序がある。

例えば結合力の強い金属（Ｍｌ）イオンの存在する水溶
液中へ弱い金属（Ｍ２）のジエチルジチオカルバミン酸
体〔Ｍ２（ＤＤＴＣ）２固体）（ＤＤＴＣ：ジアルキル
ジ＊＊チオカルバミン酸を表わす）を投入すると、つぎ
のような置換反応を生じ、前者がジエチルジオカルバミ
ン酸酸体を作って沈降する（ここではＭｌ、Ｍ２はいず
れも２価金属とする） 本発明の場合、ジエチルジチオカルバミン酸鉄酸体は難
溶ではあるけれども、その酸形成定数は☆々有害重金属
の水銀、銅、鉛、カドミウムなどより小さいため、上記
反応が容易におこりうる。

ところで、ここで置換して遊離した鉄イオンは中性近傍
水溶液中では、加水分解して水酸化鉄となり、生成した
水銀などのジエチルジチオカルバミン酸酸体は、添カロ
したジエチルジチオカルバミン酸鉄酸体と共に沈澱し、
容易に濾別除去できる。

また当然ながら処理液中でジアルキルジチオカルバミン
酸鉄が生成するような系にすることも有効である。

次に実施例を示す。

実施例 １ １１／ｌの水銀を含む試水をＰＨを６〜８に調整したの
ちジエチルジチオカルバミン酸鉄を１０グ／ｌになるよ
うに添加し、約３０分間攪拌する。

生成上たジエチルジチオカルバミン酸水銀と未反応のジ
エチルジチオカルバミン酸鉄は、水に難溶であるため試
水中に析出する。

これを濾過によって除く。

この結果試水中の水銀量は５Ｘ１０ ’■／を以下で
あった。

実施例 ２ ５０７ｎ９／ｌの銅を含む試水をＰＨを６〜８に調整し
たのちジエチルジチオカルバミン酸鉄を５ｏｏｍ９／ｚ
になるように添カロし約３０分間攪拌する。

生成したジエチルジチオカルバミン酸銀と未反応のジエ
チルジチオカルバミン酸鉄は、これを濾過法によって除
去する。

この結果、試水中の銅量は１０−３ｍ？／ｌ以下であっ
た。

実施例 ３ １００■／ｌの鉛を含む試水をＰＨを６〜８に調整した
のちジメチルジチオカルバミン酸鉄ヲ１？／ｌになるよ
うに添加し、約３０分間攪拌する。

生成したジメチルジチオカルバミン酸鉛を未反応のジメ
チルジチオカルバミン酸鉄を濾過法によって除く。

この結果、試水中の鉛量は、１０−３■／ｌ以下であっ
た。

実施例 ４ １ｔの試水中に、１０■の水銀、５即の銅、５■の鉛、
１０■のカドミウムを含むように調整し、さらにこの試
水を、ＰＨを６〜８に調整したのち、ジエチルジチオカ
ルバミン酸鉄を６００■／ＩＶｃなるように添加し、約
３０分間攪拌する。

生成した各重金属塩と、未反応ジエチルジチオカルバミ
ン酸醋塩は濾過法によって除く。

この結果、試水中の水銀量、銅量、鉛量、カドミウム量
はそれぞれ１０−３■／ｌ以下であった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 重金属を含む水溶液に、水に難溶なジアルキル（Ｃ
   １〜、０）ジチオカルバミン酸鉄の存在下で当該重金属
   をジアルキルジチオカルバミン酸醋体となし、ジアルキ
   ルジチオカルバミン酸鉄の大部分とともに沈降せしめる
   ことを特徴とした水溶液中の重金属の除去法。