JPS5842440B2 - 使用済燃料洗浄装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は高速炉の使用済燃料の洗浄を行う際、使用済燃
料よりの崩壊熱を有効に冷却し、さらに、燃料破損を防
止しながら使用済燃料に付着したナトリウムを安全に洗
浄する使用済燃料洗浄装置に関するものである。

従来は、使用済燃料の洗浄には加圧蒸気を用いて行って
いるため、次のような不具合がある。

すなわち （イ）使用済燃料の崩壊熱除去が十分管理できない。

（ロ）燃料ピンに破損などがある場合、崩壊熱を十分除
去できないとミートから核分裂生成物（ＦＰ）が外部に
放出され遮蔽や運転上の問題を生じる。

（ハ）す） ＩＪウムとの反応度によって加圧蒸気の流
量を制御しながら洗浄を行なわなければならな〜１゜ に）加圧蒸気の熱とナトリウムの反応熱によって燃料集
合体が破損する危険がある。

（ホ）間隙部に侵入したナトリウムを完全に洗浄し切れ
ないため、メンテナンス時凝縮水と爆発反応を起す危険
がある。

（へ）装置としての温度管理が難しい。

といった不具合がある。

本発明は以上の事情に鑑みてなされたもので、高速炉の
使用済燃料の洗浄を簡便な運転操作によって安全にしか
も確実に行うことを目的とする使用済燃料洗浄装置であ
る。

以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。

第１図に使用済燃料洗浄装置を示すように、使用済燃料
を洗浄するための洗浄タンク１０はこの内で使用済燃料
に付着しているナトリウムを十分に洗浄するために用い
られるものである。

この洗浄タンク１０の中心底部には、使用済燃料の崩壊
熱等を冷却するための炭酸ガスを圧縮固化したドライア
イス詰めの炭酸ガス供給設備１１を設けている。

さらに洗浄タンク１００周辺底部には、使用済燃料の崩
壊熱等を冷却するため、低圧水蒸気を発生させるための
純水１２Ｃを貯えている。

この純水１２Ｃは別置の洗浄媒質供給タンク１２より配
管１２Ａおよび常時閉の弁１２Ｂを開路することによっ
て供給している。

洗浄タンク１０内に使用済燃料を入れて上蓋１０Ｆを閉
じ密閉した時、使用済燃料の崩壊熱による洗浄タンク１
０内部の温度上昇が著しい場合は、排ガス処理系への配
管１０Ｂと常時閉の弁１０Ａを開路することによって排
気するとともに、希釈ガス設備１３より配管１３Ａと常
時閉の弁１３Ｂを開路することによって冷却ガスを供給
する。

洗浄タンク１０内で使用済燃料を洗浄する低圧水蒸気を
発生させるために、真空ポンプ１４を用いて、配管１０
Ｃを通して、洗浄タンク１０内の真空引きを行う。

真空ポンプ１４で引かれた気体は排ガス処理系へ排気さ
れる。

この真空ポンプ１４で洗浄タンク１０内部の気体を真空
引きする時、洗浄タンク１０内部に発生する水素ガス濃
度が爆発範囲外であるか否かを検出する水素ガス検出表
示器１５を配管１０Ｃより分岐配管１５Ａに設置してい
る。

従って水素ガス検出表示器１５で、水素ガス濃度が爆発
範囲内にある危険な状態を検出すると希釈ガス系の配管
１３Ｃに設けている自動調整弁１３Ｂを自動的に開路し
、希釈ガス設備１３より希釈ガスが配管１３Ａを通して
真空ポンプ１４の吐出配管１４Ａに注入され、水素ガス
濃度を爆発範囲内にまで希釈する。

洗浄タンク１０内の洗浄状態を知るために、洗浄タンク
１００側部に設けたのぞき窓１７を利用する。

さらに洗浄タンク１０内の洗浄状態を正確に知るために
、洗浄タンク１００周辺底部よりのサンプリング配管１
０Ｄと常時閉の元弁１０Ｅを開路しサンプリングタンク
１６に洗浄タンク１０内部の水１２Ｃを収集し、サンプ
リングを行う。

サンプリング後、サンプリングタンク１６内部の水は配
管１６Ａと常時閉の弁１６Ｂを開路して廃液処理系ヘド
レンする。

次に使用済燃料洗浄装置の作用について説明する。

第１図に示すように、洗浄タンク１０内に入れた使用済
燃料に付着しているす） ＩＪウムは次の反応をしなが
ら洗浄される。

２Ｎａ＋２Ｃ０２＋２Ｈ２Ｃ）→２ＮａＨＣ０３＋Ｈ２
この式の左辺の２Ｎａは使用済燃料に付着しているナト
リウム、２ＣＯ２は洗浄タンク１０の中心底部の炭酸ガ
ス供給設備１１よりの炭酸ガス、２Ｈ２０は洗浄媒質供
給タンク１２より供給された洗浄タンク１００周辺底部
の純水が、真空ポンプ１４で約−９，９９ｋｇ／ｃｒ／
ｌＧにまで真空引きされ、約１２℃程度で沸騰蒸発し発
生する低圧蒸気である。

この式の右辺には２ＮａＨＣＯ３という塩基物質が生威
し水素ガスが発生する。

この水素ガスは真空ポンプ１４で引かれ排ガス処理系に
排出されるが、水素ガス濃度が爆発範囲内にあると水素
ガス検出表示器１５で検出すると、調整弁１３Ｂを自動
的に開路し、希釈ガス設備１３よりの希釈ガスで水素ガ
ス濃度を爆発範囲外にまで希釈する。

前記反応式で生成される２ＮａＨＣ０３の塩基物質は洗
浄タンク１０の周辺底部の純水１２Ｃに混入し反応生成
液となる。

従って洗浄タンク１０の周辺底部よりのサンプリング配
管１０Ｄと常時閉の元弁１０Ｅを開路しサンプルタンク
１６の反応生成液１２Ｃを収集しｐＨの測度を行うと、
第２図に示すような特性となる。

すなわち、第２図のＡ部は初期ナトリウムの反応期で、
Ｂ部は、使用済燃料表面付着のす） ＩＪウム反応が終
了し、間隙部等に付着しているす） ＩＪウムの反応期
で洗浄の真最中である。

第２図の０部は付着のナトリウム反応が終了した状態を
示すものである。

０部の初期の段階です） ＩＪウム反応は終了している
が、この間、真空ポンプ１４は連続して運転継続してい
るため、これに伴い、低圧水蒸気が発生していて、これ
によって反応生成液が希釈されてｐＨＯ値が低下するも
のである。

以上のように、第２図のｐＨ値の推移特性上、ｐＨ値が
下り始めた点でナトリウムとの反応終了、すなわち、ナ
トリウムの洗浄が終了したことを示すものである。

一方、洗浄タンク１０内に入れた使用済燃料の崩壊熱で
洗浄タンク１０内の温度上昇が著しい場合は、排ガス処
理系への配管１０Ｂと常時閉の弁１０Ａを開路すること
によって排気するとともに、希釈ガス設備１３より配管
１３Ａと常時閉の弁１３Ｂを開路することによって冷却
ガスを洗浄タンク１０内に送り込み冷却させる。

さらに一方、洗浄タンク１０内の崩壊熱による温度上昇
は、炭酸ガス供給設備１１の炭酸ガスを圧縮固化したド
ライアイスのＣＯ２ガスへ気化するとき冷却作用を持ち
、さらに真空ポンプ１４の連続運転に伴う真空引きで発
生する低圧水蒸気によっでも冷却作用がある。

これら冷却効果を発揮したＣＯ２ガスとＨ２０とは前述
の反応式に示すようにナトリウムの洗浄作用を行うもの
であり、崩壊熱除去とす） ＩＪウムの洗浄との相乗効
果を持つものである。

洗浄タンク１０内の使用済燃料の洗浄状態把握のために
、温度検出表示器１５Ａと圧力検出表示器１５Ｂとの計
測器を装置するとともに、洗浄タンク１０の側面に設け
ているのぞき窓１７より監視することができる。

斯して、本発明の使用済燃料洗浄装置は、炭酸ガスのド
ライアイスと低圧水蒸気により崩壊熱除去を有効に行う
とともに、使用済燃料に付着しているナトリウムと反応
し、間隙部に侵入付着しているナトリウムの洗浄も良好
に行うことができる。

さらに、洗浄時の反応によって生成する反応生成物もア
ルカリ性が高くないため、アルカリアタックもなく、機
器の損傷がきわめて少ないものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の使用済燃料洗浄装置のシステム図、第
２図は洗浄タンク内における洗浄時間経過に伴５ ｐＨ
値の推移状況を示す図である。 １０・・・・・・洗浄タンク、１１・・・・・・炭酸ガ
ス供給設備、１２・・・・・・洗浄媒質供給タンク、１
３・・・・・・希釈ガス設備、１４・・・・・・真空ポ
ンプ、１５・・・・・・水素ガス検出表示器、１６・・
・・・・サンプルタンク。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 洗浄媒質を用いて洗浄タンク内の使用済燃料を洗浄
   する使用済燃料洗浄装置において、前記使用済燃料を入
   れる洗浄タンクと、この洗浄タンクの底部に設けた炭酸
   ガスの圧縮固化されたドライアイスを収納した炭酸ガス
   供給設備と、前記洗浄タンクに連結し低圧水蒸気を供給
   するための洗浄媒質供給タンクと、前記洗浄タンク内部
   に連結し発生する水素ガスを爆発範囲外まで希釈するた
   めの希釈ガス設備と、前記低圧水蒸気を発生させるため
   に前記洗浄タンク内部に連結し真空引きするための真空
   ポンプと、前記洗浄タンクに連結されす） ＩＪウムの
   反応や洗浄度合せ水素濃度等を計測しサンプリングしな
   がら洗浄経過を確認する計測装置とを有することを特徴
   とする使用済燃料洗浄装置。