JPS584208B2 - 自動ねじたて型ナット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はボルトに螺合することによって自動的にねじ
がたてられるボルト受入孔をもつ自動ねじたて型ナット
に関する。

従来、ボルトを強制的に螺合することによって自動的に
ねじがたてられるナットはナイロンその他の合成樹脂に
よって形成されている。

ところでこのようなナットはねじ切り作業中に作用する
力によって、しばしばナットに大きな応力を生じてこれ
を破損に導き、これによって使用目的を達することがで
きなくなるというようなことがあった。

そこでこのようなことにならないものとして米国特許第
３，３８７，６４２号明細書に記述されたナットが提案
された。

このナットのボルト受入孔は、胴体の一端側の表面が平
滑な小直径部と、他端側の大直径部と、それらの中間に
形成された接続段部とをもち、大直径部に円周方向に間
隔を保って半径方向内向きに、かつ軸方向に延びる複数
のねじ係合リブをもち、このリブの最内端は接続段部で
終り、その最外端はボルトと同じ向きのらせん経路上に
あり、その直径は小直径部の直径より大きくなっている
。

そしてボルトのねじの前端が前進しながらこれらのリブ
と係合し、これによって１本の線からなるねじが切られ
、その長さは孔の周長よりも可成り短い。

このような前進係合は、比較的容易にねじたて作業を開
始できるように、ナットの軸方向に沿って十分な距離だ
け続けられる。

軸方向におけるボルトとリブとの十分な接触は、ボルト
の前端をナットの受入孔の小直径部の入口に到るまでに
、ナットと強固に係合させることとなる。

この自動ねじたて型ナツトは既存の技術を大きく改良し
たものであるが、リブの最外端の表面及び接続段部の表
面がいずれも受入孔の軸線に対して垂直となっているた
め、当初ボルトのねじの前端がリブの最外端の水平表面
に衝突して隅部を三角状に通過して小さな面積部分に大
きな応力を生じて切損したり、また接続段部において、
ボルトが受入孔の軸線に対して傾いて両者が不整合とな
り、傾斜じめを生ずる等の好ましくない現象を起しがち
であった。

この発明の目的は、前記のような従来のもののもつ欠点
を排除し、螺着により局部的に大きな応力を発生するこ
となく、かつねじたて時にボルトに対してナットが傾斜
して両者が不整合となって傾斜じめをすることがないよ
うなナットを提供するにある。

この発明によるナットは、前記特許のものに比し、その
接続段部及びリブの最外端の両表面が、さらにボルトの
ねじと同じ向きのらせん経路に沿って、受入孔の軸線に
対して傾斜した表面となっている。

この発明の上記およびその他の目的ならびに利点は、図
面を参照して以下に述べる詳細な説明からあきらかにな
るであろう。

この発明の自動ねじたて型ナットは、ナイロン又は他の
合成樹脂材料からなる一体成形となっており、この胴体
１０は普通の六角形または他の非円形の外形をもってい
る。

このナットはまたナットの前端面１２において、胴体１
０と一体に形成されたワツシャ１１をもつことができる
。

ボルト受入孔は後端面１６から接続段部１７まで軸方向
に延びる均等直径の小直径部１５をもち、これはナット
の後端面１６と前端面１２との間で、ナットの後端面１
６から半分以上の距離に亘って配置されることが好まし
い。

ボルト受入孔はまた接続段部１７から始まり、かつ前端
面１２の手前で終る大直径部２０をもっている。

図面で見るように、その終点は２２で示される。

胴体１０はこのナットとともに使用するボルトの前端る
案内するために、終点２２と前端面１２との間の部分２
３において面取り表面が形成されている。

そのうえ胴体１０は小直径部１５と大直径部２０との間
の接続段部１７において面取り表面２４が形成されてい
る。

ナットへボルトを進入し易くするために、胴体１０は図
示するように大直径部２０から半径方向内向きに延び、
かつ内面間の直径が小直径部１５の直径よりもわずかに
大きい直径を有する表面３１を終末とする複数の間隔を
もって配置されたリブ３０をもっている。

各リブ３０はその最も巾の広い部分を接続段部１７に隣
接させ、その狭い部分を接続段部１７から遠い端に配置
して軸方向に先細とすることが好ましい。

円周方向に測った各リブの巾は変化させることができる
。

図面では４個のリブが示されているが、実際にはそれら
の最も巾広の部分の巾をすべて合算した長さが、孔１５
の周囲の長さの５０％を超えてはならない。

第２図に示すように、各リブ３０の最外端の表面４０は
、ボルトが回転するとき、各リブ３０が漸進的にボルト
に係合し、最初の切削作用を行なうときの抵抗を減少す
るために、ボルトのねじと同じ向きのらせん経路に沿っ
て、受入孔の軸線に対して傾斜している。

このらせん経路はナットが締合わされるボルトのねじの
リード角に対応するような角度で傾斜していることが好
ましい。

小直径部１５と大直径部２０との間の接続段部１７の表
面２４もリブの最外端の表面４０と同じらせん経路に沿
って傾斜しており、このような接続段部１７を設けるこ
とによって、ボルト受入孔の軸線に対して、ボルトが傾
くという問題を解決することが判明した。

この発明は前記のようであって、使用に際しては、ボル
トは受入孔の大直径部に導入された後、その先端がリブ
の外端部に沿って誘導されてそのねじがリブの最外端の
表面に出合い、出合い当初はボルトがリブの外端部を横
切ることなく、その表面に沿って移動したのち、漸進的
に各リブに前記表面と平行に切込んで行くこととなるの
でリブの一部に過度の応力がかかつて切損するというよ
うなおそれがなく、さらに接続段部がリブの最外端の表
面と同様に傾斜した表面をもっているのでボルトの先端
ねじ部がそれに誘導されて前進する結果、ボルトがナッ
トに対して傾斜するのが防止され、両者が不整合となっ
て傾斜じめを起すことが防止されるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例の平面図、第２図は第１図の
２−２線による縦断面図である。 １０・・・・・・胴体、１２・・・・・・後端面、１５
・・・・・・小直径部、１６・・・・・・前端面、１７
・・・・・・接続段部、２０・・・・・・大直径部、２
４・・・・・・接続段部の表面、３０・・・・・・リブ
、４０・・・・・・リブの最外端の面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ボルト受入孔を有し、この受入孔は胴体の一端側の
   表面が平滑な小直径部と、他端側の大直径部と、前記小
   直径部と大直径部との間に配置された接続段部とを有し
   、前記段部が大直径部に向けて半径方向外向き、かつ下
   向きに延びる傾斜表面を有し、大直径部は変形可能な材
   料で作られた円周方向に間隙を保って半径方向内向きに
   、かつ軸方向に延びる複数のねじ係合リブをもち、この
   リブの最内端は接続段部で終り、最外端はボルトのねじ
   と同じ向きのらせん経路上にあり、かつ内面の直径は小
   直径部の直径よりも大きくなっている自動ねじだて型ナ
   ットにおいて、受入孔のリブの最外端の表面及び接続段
   部の表面が、前記らせん経路に沿って、受入孔の軸線に
   対して傾斜した表面となっており、これによって小直径
   部にボルトが螺入される前に、ボルトの前縁がリブの最
   外端表面に案内されて、ねじ部がリブに漸進的に係合し
   、さらにボルトの前縁が接続段部の表面に案内されて漸
   進的に小直径部に螺入されるようになっていることを特
   徴とする自動ねじたで型ナット。