JPS5841381Y2 - クラツチデイスク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車用摩擦クラッチのクラッチディスク
に関するものである。

一般に自動車の駆動系には、その捩れ共振やトランスミ
ッションまたはディファレンシャル装置のギヤのバツク
ラツシなどが原因となって各種の異音が発生する。

これらの防止対策としてクラッチディスクに釦げるトー
ションスプリングのばね定数を変えることにより、駆動
系シャフトの捩り剛性（単位捩れ角におけるトルク変化
量）を調整することが知られている。

ところが、上記の異音抑制に要求される捩り剛性の有効
な値は、各車種相互においてはもとより、同一車種の相
互間においても微妙な違いがある。

だからといって、各車ごとにクラッチディスクの設計を
変更することは事実上不可能である。

このような従来の問題点にかんがみて、この考案は、駆
動系シャフトの捩れ剛性を、要求に応じて容易に調整す
ることができるクラッチディスクの提供を、その目的と
するものである。

次に、この考案の構成を、図面で示す実施例によって詳
細に説明する。

まず、クラッチディスクのクラッチ・・ブ１には、フラ
ンジ２が一体に形成されている。

このフランジ２の両側には、ディスクプレート８および
サブディスクプレート９が配置されてお９、これら両デ
ィスクプレート８，９は、フランジ２の外周に形成され
ている切欠部３を通じてストッパーピン１０で相互に結
合されている（第２図参照）。

また、ディスクプレート８の外周部には、その円周方向
に沿って複数枚のディスクスプリング１１が固定されて
いて、これらのディスクスプリング１１の両側にはフェ
ーシング１２が固定されている。

さて、上記クラッチハブ１のフランジ２には、複数個（
例えば四個）の窓４が円周方向に一定の間隔を卦いて形
成されている。

これらの窓４には、ゴム製の本体５ａと、これを両側か
ら挾みつける座金５ｂとからなるトーションスプリング
５が、フランジ２の半径方向に関して移動し得るように
、はめ込まれている。

また、窓４にはフランジ２の半径方向に関する内方個所
において、切り欠き形状の座部４ａが形成されて釦り、
この座部４ａとトーションスプリング５の座金５ｂとの
間には外方への弾発力を有する弾性体として用いたコイ
ルスプリング１３が設けられている。

一方、窓４の外方には、フランジ２の外周からその中心
に向けてボルト１４がねじ込まれて釦り、このボルト１
４の先端は窓４の中に位置して前記トーションスプリン
グ５の座金５ｂに当接している。

すなわチ、トーションスプリング５は、フランジ２の半
径方向に関する内方釦よび外方にｐいてコイルスプリン
グ１３およびボルト１４によってそれぞれ支持されてい
るのである。

従って、このボルト１４のねじ込み量を多くすれば、ト
ーションスプリング５はコイルスプリング１３０弾発力
に抗してフランジ２０半径方向に関する内方へ変位し、
逆にボルト１４のねじ込み量を少くすれば、コイルスプ
リング１３０弾発力によって外方へ変位する。

このように、ボルト１４のねじ込み量を調整することで
、フランジ２の半径方向に関するトーションスプリング
５の位置を自由に調整することができる。

なお、上記のボルト１４は、そのねじ込み量の調整後に
おいて、フランジ２の外周に固定されるロック部材１６
により、そのゆるみ止めがなされる。

まり、トーションスプリング５の座金５ｂとコイルスプ
リング１３ならびにボルト１４との各接触個所には、そ
れぞれの接触状態を安定させるヘク、受は皿１５が配設
されている。

前記のディスクプレート８およびサブディスクプレート
９にむいても、フランジ２の各席４と対応する位置にむ
いて窓８ａ、９ａがそれぞれ形成されている。

つまり、この構成によって前記のトーションスプリング
５は、フランジ２と両ディスクプレート８，９との間に
介在して、これらフランジ２と両ディスクプレート８，
９との間のトルク伝達どきに周知のダンパー機能を果す
のである。

また、これら両ディスクプレート８，９の窓８ａ。

９ａについても、当然のことながらトーションスプリン
グ５の上述した半径方向への移動を許容し得る寸法、形
状に設定されている。

以上のように構成したクラッチディスクにおいて、自動
車の加速時（正側トルク域）では、周知のようにエンジ
ンのクランクシャフトからクラッチディスクのフェーシ
ング１２に伝えられるトルクが、両ディスクプレート８
，９側からトーションスプリング５を通じてクラッチハ
ブ１のフランジ２に伝達される。

また、逆にエンジンブレーキを利かせた減速時（負側ト
ルク域）では、クラッチハブ１側から同じくトーション
スプリング５を通じて両ディスクプレート８，９側へト
ルク伝達がなされるのである。

つまり、正負いずれのトルク伝達域に於いても、必ずト
ーションスプリング５がダンパー機能を果すこととなる
。

いま、７ランジ２０半径方向に関するトー・ジョンスプ
リング５の位置設定が、クラッチディスクの回転中心か
ら寸法ｒの位置になされているものとすると、クラッチ
ディスクにモーメントＭが作用したときのトーションス
プリング５に働く力Ｆは、 で表される。

このとき、トーションスプリング５が圧縮されて角変位
する直線寸法をＳとすると、となる。

ただし、ｋはトーションスプリング５のばね定数である
。

そこで、このときの変位角度Ｒ（単位ｒａｄｉａｎ ）
は、 となる。

ただし、上記の式はＳを円弧長さとしたときに戒り立つ
ものであるが、この場合のＳは直線長さである。

しかしながら、この場合の各度Ｒは極めて小さいので、
寸法Ｓを円弧長さとみなすことができる。

さて、捩り剛性をＫで表すと、 となり、 この式に上記の式を代入すれば、 Ｋ＝ｒ２・ｋ となる。

この式により、クラッチディスクの回転中心からトーシ
ョンスプリング５までの寸法ｒを変化させれば、それに
応じて捩り剛性も比例的に変化することが判る。

従って、前述したように、ボルト１４のねじ込み通を調
整し、これによって上記の寸法ｒを調整することにより
、クラッチディスクを通じてトルク伝達される駆動系シ
ャフトの捩り剛性を調整することができる。

この結果、各車ごとにおいて要求される捩れ剛性を容易
に得ることができる。

なむ、前記フランジ２に形成されている窓４の内周とト
ーションスプリング５の座金５ｂとの間には、このトー
ションスプリング５の前述した移動を許容するために、
フランジ２の半径方向に関しては勿論のこと、円周方向
に関しても隙間が存在する。

そこで、窓４の内周に対し１．ばね定数の小さいクッシ
ョン６．７を第２図で示すようにコーティングし、窓４
の内周とトーションスプリング５との間で発生する余計
な振動を吸収するような対策が考えられる。

この対策によって、前記の捩れ剛性が非常になめらかな
特性となる。

以上のように、この考案はクラッチディスクの半径方向
に関するトーションスプリングの位置を調整することに
より、その捩り剛性を容易に調整し７得るので、［司−
設計のクラッチディスクによっても、その都度要求され
る捩り剛性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案の実施例を示し、第１図はクラッチデ
ィスクの一部を表した断面図、第２図は同じくクラッチ
ディスクの一部を部分破断によって表した平面図である
。 １・・・クラッチバブ、２・・・フランジ、５・・・ト
ーションスプリング、８・・・ディスクプレート、９・
・・サブディスクプレー）−１Ｉ３・・・弾性体、１４
・・・ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラッチディスクハブのフランジとディスクフレート、
   サブディスクプレートとの間に介在させて、これらフラ
   ンジと両ディスクプレートとの間のトルク伝達どきにダ
   ンパー機能を発揮するトーションスプリングを、前記フ
   ランジの半径方向へ移動可能に備えつけるとともに、こ
   のトーションスプリングの前記半径方向に関する内方は
   外方への弾発力を有する弾性体で支持し、かつこのトー
   ションスプリングの外方はフランジの外周からその中心
   方向へ向けてねじ込み量の調整可能に設けられたボルト
   の先端によって受承したことを特徴とするクラッチディ
   スク。