JPS5841062Y2 - スロ−アウエイチツプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は切削加工に使用するためのスローアウェイチ
ップに関するもので、特にエンドミル等のフライスカッ
タに使用するスローアウェイチップに関するものである
。

従来、金属の切削加工を行なうには、バイト、フライス
、ドリル等の種々の工具が使用されているが、超硬合金
に関する技術の進歩に伴って上記の如き工具の刃先とし
て超硬合金製チップが使用されるようになってきた。

この超硬合金製チップは、他の材料からなる切先に較べ
て高温における硬度の低下が少なく、捷た耐摩耗性にす
ぐれているが高価であるために小片として形成され、工
具本体に対して着脱かつ交換可能になされているのが一
般的である。

ところで、このような従来使用されているチップは、そ
の適宜の稜線に形成された切刃が直線状をなすものが殆
んどであり、このことはエンドミル用のチップに関して
も同様であって、従来のエンドミルにあっては、１箇あ
るいはそれ以上のチップをその切刃が当該エンドミルの
半径方向と一直線上で一致するようにシャンクに取り付
けたものであり、半回転（すなわち１８００）毎にその
回転中心部から外周部に至る切刃のすべてが被切削物に
同時に食い込み、いわゆる断続切削を行なうものである
。

そのため、チップの切刃には瞬間的に大きな衝撃力が加
わり、チップ自体の脆性が高いことと相俟って切刃の欠
損やチッピングを生じる危険がある。

特に、チップを超硬合金で形成した場合には、上記のよ
うな危険は更に多く、またチップ自体高価であるから工
具費が嵩み、さらに連続流れ作業を行なう場合には不良
品の発生やラインの停止時間が長くなるなどのおそれも
ある。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、連続切削
と略同等の切削を行ない得るとともに切刃の欠損を生じ
るおそれのないスローアウェイチップを提供することを
目的とするものである。

以下この考案の一実施例を図面を参照して説明する。

なお、第１図はこの考案に係るスローアウェイチップ（
以下、チップと略称することもある。

） １の平面図、第２図はその正面図、第３図はその左側面
図である。

このチップ１は全体が平板状に形成されており、その上
面２と下面３との間に、−の側面４と、この−の側面４
から周方向に所定の間隔をもって形成された他の側面５
と、これら−の側面４から他の側面５にかけて形成され
た時間半分の円弧面とを２組点対称的に有している。

なお、説明の便宜上、以下においては、第１図において
右側の−の側面４を右側面４と、この右側面４と同じ組
で下端側にある他の側面５を先端面５と、左側の−の側
面４を左側面４と、この左側面４と同じ組で上端側にあ
る他の側面５を後端面５というものとする。

右側面４と後端面５との間および先端面５と左側面４と
の間には、それぞれ上面２から下面３へ向かって延在す
る断面略Ｖ字状の切欠き７が形成されている。

右側面４と後端面５との間に形成された切欠き７、すな
わち第１図において上方にある切欠き７を画成する２つ
の壁面のうち、右側面４側の壁面は、下面８とされてい
る。

この下面８は後述するように、チップ１をシャンク１２
のチップ取付座１３に取り付ける際の取付は基準面とさ
れるものである。

一方、後端面５側の壁面は、上面２側と下面３側とのい
ずれの側の端部よりも中央部が突出した凸曲面９とされ
ている。

この凸曲面９および上面２と左側面４、円弧面６および
後端面５とのなす稜に切刃１０が形成されている。

なお、第１図において下方にある切欠き７を画成する２
つの壁面も同様になっており、凸曲面９および上面２と
右側面４、円弧面６および先端面５とのなす稜にも切刃
１０が形成されている。

筐た、図に示すように上面２とこれに交差する前記各面
４，５，６とのなす角度は、これら各面４．５．６が逃
げ面となるように９０°未満に設定されている。

筐た、図中１１はチップ１の中央部に穿設された取付孔
であり、その上面２側は座ぐりされている。

次に、上記のように形成されたスローアウェイチップ１
をエンドミルに使用する場合について、第４図乃至第６
図を参照して説明する。

第４図は上記チップ１をシャンク１２に取り付けた状態
を示すもので、シャンク１２の先端部はその軸線に対し
て所定角度傾斜して切欠されて切屑排出部が形成され、
さらにここを所定厚さで同様に傾斜して切欠することに
よりチップ取付座１３が形成され、チップ１はこのチッ
プ取付座１３に載置し、固定されている。

すなわちチップ１は、その一方の切刃１０と下面３とが
交叉して形成される頂点０がシャンク１２の中心軸線Ｓ
上に一致して位置するとともに当該切刃１０がシャンク
１２先端部の外周面より半径方向へわずか突出するよう
にしてチップ取付座１３上に載置されており、そしてこ
の状態でセットネジ１４をチップ１に穿設した取付孔１
１内に挿通してシャンク１２に螺合させることにより、
チップ１はチップ取付座１３に対して押圧されるととも
に、左側面４および切欠き７の下面８をチップ取付座１
３の２壁面に当接させてチップ取付座１３に固定されて
いる。

この場合、チップ取付座１３に線接触あるいは面接触さ
せることが非常に困難で点接触し易い円弧面６をチップ
取付座１３の壁面に当接させることなく、容易に線接触
あるいは面接触させることができる下面８をチップ取付
座１３の壁面に当接させているから、スローアウェイチ
ップ１の取付は精度および取付は強度の向上を図ること
ができる。

このように構成されたエンド□ルで切削加工を行なう場
合、シャンク１２をその後端部で適宜の工作機械の主軸
に取り付け、これを第４図における矢印Ａ方向（第５図
においては矢印Ｂ方向）へ回転させて行なう。

この場合、１ず前記切刃１０の前記頂点０近傍の部分が
被切削物（図示せず）に食い込み、その後切刃１０の残
余の部分が被切削物に漸次食い込んでこれを切削するが
、切刃１０の被切削物に対する食い込み量および切削幅
はチップ１がシャンク１２と共に回転するに伴って漸次
増大するのであるから、切削荷重は切刃１０に対して大
きな衝撃力とはならない。

筐た、凸曲面９と下面３とのなす角度θ（第２図参照）
は１８００に近く、また凸曲面９と上面２とのなす角度
は１８０°に近い。

その結果、切刃１０はその頂点Ｏ近傍の部分が被切削物
に食い込んで切削を開始した後約３６０°回転する間に
切削を行なうことになり、それ故連続切削を行なってい
ると略同様な状態となり、このことからしても切刃１０
には大きな衝撃力が加わることはない。

このように切刃１０に対して大きな衝撃力が加わらない
から、たとえ高速重切削を行なった場合であっても切刃
１０が欠損したり、チッピングを生じたりすることはな
い。

これに加え、凸曲面９における切刃１０に作用する切削
荷重は凸曲面９に沿って分散されるから、切削に伴う振
動が抑制され、同時に凸曲面９における切刃１０によっ
て生成された切屑は当該湾曲面に沿って拡げられるから
その排出性は良好になる。

しかも、切欠き７がチップポケットとなるから、切屑が
チップ１の先端部に詰昔ることがなく、これによって切
刃１０の頂点Ｏ近傍部分の欠損を防止することができる
。

以上説明したように、この考案に係るスローアウェイチ
ップによれば、上面側と下面側とのいずれの側の端部よ
りも中央部が突出した凸曲面および上面と−の側面、円
弧面および他の側面とのなす稜に切刃を形成しているか
ら、例えばエンドミルに使用した場合、切削を行なうに
あたって切刃はその先端部分から漸次被切削物に食い込
み、そして切刃全体としてはチップが約３６０°回転す
る間に切削を行ない、したがって切刃に加わる荷重は衝
撃荷重とはならず、しかも連続切削を行なうのと略同様
な切削状態になり、それ故に切刃が欠損したりチッピン
グが生じたりすることはなく、チップの寿命を長く保つ
ことができる。

そして、これに伴い工具費の低廉化や製造作業の効率化
を図ることができる。

捷た、凸曲面における切刃に作用する切削荷重が分散さ
れて振動が抑制されるとともに、生成された切屑が凸曲
面に沿って拡げられて良好に排出され、その結果切刃の
欠損が防止されると同時に、切削仕上面を滑らかなもの
とすることができる。

さらに、切欠きの一方の壁面に取付は基準面となる平面
を形成しているから、スローアウェイチップを工具本体
（シャンク）に精度よく、かつ強固に取り付けることが
でき、昔た切欠きがチップポケットとなるから、切屑詰
筐りを防止して切刃の欠損をより一層防止することがで
きる等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す平面図、第２図はそ
の正面図、第３図はその左側面図、第４図はシャンクに
取り付けた状態を示す平面図、第５図は第４図のｖ−ｖ
線矢視図、第６図はシャンクに取り付けた状態における
部分断面図である。 １・・・・・・スローアウェイチップ、２・・・・・・
上面、３・・・・・・下面、４・・・・・・−の側面（
右側面、左側面）、５・・・・・・他の側面〔先端面、
後端面）、６・・・・・・円弧面、７・・・・・・切欠
き、８・・・・・・平面、９・・・・・・凸曲面、１０
・・・・・・切刃。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 全体が平板状をなし、上面２と下面３との間に、−の側
   面４と、この−の側面４から周方向に所定の間隔をもっ
   て形成された他の側面５と、これら−の側面４から他の
   側面５にかけて形成された路間半分の円弧面６とを２組
   点対称的に有し、一方の組の−の側面４と他方の組の他
   の側面５との間および一方の組の他の側面５と他方の組
   の−の側面４との間に、それぞれ上面２から下面３へ向
   かって延在する断面略Ｖ字状の切欠き７が形成され、各
   切欠き７を画成する壁面のうち−の側面４側の壁面に取
   付は基準面となる下面８が形成され、他の側面５側の壁
   面に、上面２側と下面３側とのいずれの側の端部よりも
   中央部が突出した凸曲面９が形成され、この凸曲面９お
   よび上面２と−の側面４、円弧面６および他の側面５と
   のなす稜に切刃１０が形成されてなることを特徴とする
   スローアウェイチップ。