JPS5836833B2 - 亜鉛を負極とする電池

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【発明の詳細な説明】本発明は新規な電解液を有する亜鉛を負極とする二次電
池に関するものである。

亜鉛を負極とする電池は高エネルギー密度の電池として
有用であるが、二次電池として用いる場合には、充電の
際に電解液中の亜鉛イオンが負極上に樹枝状に析出して
電極間のショートを起すなどの問題があり、実用には至
っていない。

すなわち亜鉛の樹枝状析出防止剤としては既に、ポリエ
チレングリコールなどのエーテル結合をもつ炭化水素が
知られているが、亜鉛の析出を抑制する作用は十分では
なく、実用に供する亜鉛二次電池は実現されていない。

本発明は、このような問題のない実用的な亜鉛二次電池
を提供することを目的とするものであり、エーテル結合
をもつ水溶性フルオロカーボンを含有する溶液を電解液
とすることを特徴とする亜鉛を負極とする電池を提供す
るものである。

本発明者の研究によりエーテル結合をもつ水溶性フルオ
ロカーボンを電解液に含有させることにより、負極上へ
の亜鉛の析出を抑制できることが判り、同時に内部分極
を減少させることができることが判った。

本発明で用いるエーテル結合をもつ水溶性フルオロカー
ボンは顕著な亜鉛の析出抑制作用を有する。

フルオロカーボンは水溶性でなければ効果がない。

これは、フルオロカーボンが亜鉛極表面に吸着して、電
気化学的過程に変化を与えるためと考えられ、水溶液中
における十分な活量を必要とするためである。

水溶性フルオロカーボンとしては、酸基をもつアニオン
性のものもあるが、亜鉛析出防止効果はなく、本発明で
用いるフルオロカーボンとしてはエーテル結合をもつ水
溶性フルオロカーボンであることが必要である。

エーテル結合をもつ水溶性フルオロカーボンは亜鉛の析
出を抑制し、樹枝状晶の成長を抑制する。

エーテル結合をもつフルオロカーボンは水溶性であれば
本発明で使用できる。

これには例えば、ＺｏｎｙｌＦＳＮの商品名でＤｕＦ
ｏｎｔ社から発売しているフルオ？カーボンがある。

本発明ではエーテル結合をもつ水溶性フルオロカーボン
を電解液中に数ｐｐｍ含有させた場合にも亜鉛の樹枝状
晶析出抑制効果が見られるが、１０ｐｐｍ以上の濃
度で含有させる場合に著しい効果がみられる。

かかるフルオロカーボンを溶解度以上添加して相分離の
ある場合でも電池特性に悪影響を及ぼすことなく上記効
果を発揮するので、添加量に上限はない。

しかし、実用的には０．１重量以下の濃度で含有させる
ことが経済的な点から望ましい。

電解液媒体としては、酸性溶液、中性の塩の溶液、アル
カリ溶液などが使用できるが、特に電解液媒体がアルカ
リ溶液である場合に、本発明は有効である。

アルカリ溶液中においては、充電時の亜鉛の析出を抑制
する効果が顕著であり、この結果電極間のショートの発
生を防止する。

アルカリ溶液としては例えば水酸化カリウム、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウムの単独又は混合溶液が使用で
きる。

アルカリ溶液中に亜鉛酸イオンを含んでいても支障えな
い。

水酸化アルカリの濃度が５ないし１２規定の場合には特
性の優れた電池が得られる。

本発明では正極にはニッケル酸化物、マンガン酸化物、
銀酸化物、水銀酸化物などの通常の正極が使用できる。

その他、セパレーターなど、電池の構成に関する通常の
技術が併用できる。

本発明の電池は充電時の亜鉛の析出が少ないので長寿命
である。

また、エーテル基を含むポリフルオロカーボンは、セパ
レーターの表面エネルギー状態を変化させるためにガス
の付着量が減少し、電池の内部抵抗を減少させる効果が
あるために、電圧の高い高性能の電池が得られる。

次に本発明を実施例によって説明する。

実施例酸化亜鉛を電解還元して作った多孔性亜鉛極を負極とし
、正極には酸化ニッケルを使用し、ポリビニルアルコー
ルフイルムをセパレータートシて電池を構成した。

酸化亜鉛を飽和した８規定水酸化カリウム溶液に、エー
テル結合を有するフルオロカーボン（ＤｕＰｏｎｔ社
：ＺｏｎｙｌＦＳＮ）３００ｐｐｍを含有させて
電池を作成した。

この電池について充放電試験を行ったところ、この電池
の１時間率放電時の平均電圧は１．５３Ｖであった。

亜鉛極りード部への亜鉛の析出は少く、１００サイクル
以上の充放電が可能であった。

なお比較のためにＺｏｎｙｌＦＳＮを添加せずに上記
と同じ電池を作成し同様の試験をしたところ、この電池
の平均電圧は１．４６Ｖであり、この電池の亜鉛極のリ
ード部分には亜鉛の析出があり、シートの危険があった
。