JPS5836273Y2 - イセエビ等の増殖礁用鋼製箱枠 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、イセエビ等の増殖礁を作る為の鋼製箱枠に関
するものである。

近時、沿岸漁業の振興対策の一つとして人工魚礁の造成
が行なわれ、これに伴い多くの魚礁ブロックが開発され
ているが、いずれの魚礁ブロックも海藻類や貝類を付着
させ、しかも海藻類を根付きさせて繁茂させることによ
り、魚類の逃避及び好適な採餌場所となして魚類を群集
し繁殖させるのに成る程度の効果はあるが、イセエビ、
貝類、小魚の群集、増殖には効果が無いものである。

これはイセエビ等の棲息場所と魚類の棲息場所が異なる
からにほかならない。

即ち、イセエビ等の棲息場所としては、 （１）イセエビ等の潜入できる空隙と同時に外敵に対し
ての逃げ場が用意されていること。

（２）潮流や波などの外力に対して安定していること。

（３）暗がりが形成されていること。

などの理由により、天然瀬礁では転石、巨礫の隙間、岩
礁の亀裂や岩棚の間隙が良いとされている。

このようなことから本考案者は、前述のイセエビ等の棲
息場所としての必要な（１）、 （２）、 （３）項の
要件を満足するイセエビ等の増殖礁として、第１図に示
す如くＨ形鋼１より戊る立方枠２の上面を除く各面に、
スクリーン材として例えばアングル材３を一定間隔に張
設して鋼製箱枠４を構成し、この鋼製箱枠４内に石５を
充填して海底に沈設するイセエビ等の増殖礁６を開発し
た。

このイセエビ等の増殖礁６は、鋼製箱枠４内に充填され
た石５によって安定するので、潮流や波などの外力によ
って転倒することがなく、また鋼製箱枠４内に充填され
た石５は動くことなく安定していて、石５同志の間には
イセエビ等の潜入できる空隙と外敵に対する逃げ場が形
成されていて、その内部は太陽光線があまり入らず、暗
がりとなっているので、イセエビ等は逃避及び好適な採
餌場所として棲息し、増殖するという増殖効果がある。

然し乍ら、このイセエビ等の増殖礁６の鋼製箱枠４は周
面下端にＨ形鋼１が配されている為、海底に沈設した際
、走触性の強いイセエビが海底に沿って走行し、増殖礁
６の下端より内部に潜入する際、前記Ｈ形鋼１が高すぎ
て邪魔になり、成長したイセエビといえども潜入しにく
いものである。

本考案はかかる問題点を解消すべくなされたものであり
、イセエビが増殖礁の下端より内部に容易に潜入できる
ように周面下端部に開口を設けた増殖礁用鋼製箱枠を提
供せんとするものである。

以下本考案によるイセエビ等の増殖礁用鋼製箱枠の一実
施例を第２図によって説明すると、Ｈ形鋼１より成る立
方枠２′は、その左右両側面の下側に位置する水平なＨ
形鋼１が垂直なＨ形鋼１の下端より上方に引上げられて
固定され、且つ海底の左右両側に位置する水平なＨ形鋼
１が左右両側面よりも内側に寄せられて固定されて、左
右両側面の下端部に開ロアが形成されている。

また立方枠２′の各面にはスクリーン材として例えばア
ングル材３が一定間隔に張設固定されるが、その内底面
の前後両側端部にはアングル材３が張設固定されず、即
ち底面のアングル材３が底面の形鋼１の端部よりも内方
に寄せられて配設され、正面及び背面の下端部に開口８
が形成されている。

かように構成された鋼製箱枠４′内には、第３図に示す
如く各面のスクリーン材つまりアングル材３の縦格子及
び開ロア、８から抜は出ない大きさの石５を充填して、
イセエビ等の増殖礁６′を構成し、これをクレーン船の
クレーンにて吊り上げて所望の海底に沈設して使用する
と、鋼製箱枠４′の左右両側面下端部の開ロア、正面及
び背面の下端部の開口８より突出せる石５の一部が海底
に接するので、海底に沿って歩行する走触性の強いイセ
エビは海底に接した石５を足掛りにして開ロア、８によ
り容易に鋼製箱枠４′内の石５同志の間の空隙に潜入し
、棲息するようになる。

第４図は本考案の増殖礁用鋼製箱枠の他の実施例を示す
もので、これは大型化した場合、補強の為に左右両側面
及び底面の中間に水平にＨ形鋼１を配設し、正面及び背
面の上下左右の中間に水平及び垂直にＨ形鋼１を配設し
たもので、左右両側面及び正面、背面の下端部には前記
実施例と同様に開ロア及び８を設けである。

尚、本考案の増殖礁用鋼製箱枠における各面にはスクリ
ーン材としてアングル材３を用いているが、これに限る
ものではなく、棒材、帯材、チャンネル材等であっても
良いものである。

また本考案の増殖礁用鋼製箱枠は、Ｈ形鋼１にて立方枠
２を作り、その上面を除く各面にスクリーン材を一定間
隔に張設固定して作っているが、この製作方法に限るも
のではなく、上面を除く各面をＨ形鋼の骨組とこの骨組
間に張設せるスクリーン材とより成るパネルになし、こ
れをボルト、ナツトにて組立てる方法に代えても良いも
のである。

以上詳記した通り本考案によるイセエビ等の増殖礁用鋼
製箱枠は、周面の下端部に開口を設けであるので、内部
に各面のスクリーン材及び周面下端部の開口を透過しな
い大きさの石を充填して増殖礁として海底に沈設して使
用すると、周面下端部の開口より突出せる石の一部が海
底に接する。

従って走触性の強いイセエビは、海底に接した石を足掛
りにして開口より容易に鋼製箱枠内の石同志の間の空隙
に潜入し、棲息するようになるので、増殖礁としての増
殖効果が著しく向上するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は在来のイセエビ等の増殖礁の斜視図、第２図は
本考案によるイセエビ等の増殖礁用鋼製箱枠の一実施例
を示す押面斜視図、第３図はその鋼製箱枠内に石を充填
して構成した増殖礁の細面斜視図、第４図は本考案によ
る増殖礁用鋼製箱枠の他の実施例を示す細面斜視図であ
る。 １・・・・・・Ｈ形鋼、２′・・・・・・立方枠、３・
・・・・・アングル材、４′・・・・・・鋼製箱枠、７
，８・・・・・・開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 形鋼より構成された立方枠の少なくとも上面を除く各面
   にスクリーン材を張設した鋼製箱枠の左右両側面の下部
   に位置する水平な形鋼が、柱を構成する垂直な形鋼の下
   端より上方に引上げられて固定され、且つ底面の左右両
   側に位置する水平な形鋼が、左右両側端より内側に寄せ
   られて正面及び背面の下部形鋼の下端に固定され、且つ
   底面のスクリーン材が、底面の形鋼の端部より内方に寄
   せられて配設され、箱枠の４つの周面下端部に開口部が
   設けられていることを特徴とするイセエビ等の増殖礁用
   鋼製箱枠。