JPS5833656B2 - 電子線装置の偏向回路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、走査形電子顕微鏡及びその類似装置等の電子
線装置の偏向回路に係り、特に、試料に照射する電子線
を偏向回路で試料面上に２次元走査させることにより検
出される信号を用いて試料像を上記走査と同期走査され
る２個の像表示管に表示する電子線装置の偏向回路に関
するものである。

従来技術とその問題点を第１図〜第３図により説明する
。

第１図において、１は像表示管（以下ＣＲＴと略記する
）、２Ｘはその水平偏向コイル、２ｙは垂直偏向コイル
、３Ｘ及び３ｙはそれぞれ偏向増幅器、４は＋（プラス
）Ｅ電源、５は（マイナス）Ｅ電源である。

偏向増幅器３Ｘ及び３ｙから、水平偏向コイル２Ｘ及び
垂直偏向コイル２ｙのそれぞれに、第２図に示す鋸歯状
偏向電流を供給することによりＣＲＴｌの電子線を走査
している。

この場合、偏向コイル２Ｘ、２Ｙのうちのどちらか一方
について見るならば、第２図の期間ｔ。

−ｔ２の半周期では−Ｅ電源５は無負荷状態で＋Ｅ電源
４のみが負荷をとり、ｔｌの時点で最大負荷＋■となる
。

同様に、期間ｔ２〜ｔ４の半周期では、−Ｅ電源５のみ
が負荷をとり、ｔ３の時点で最大負荷−■となる。

従って、水平偏向コイル２Ｘと垂直偏向コイル２ｙの両
者を駆動するには、両者それぞれの偏向電流が同時に最
大となる瞬間が存在するから、十Ｅ電源４は＋２Ｉ。

−Ｅ電源は一２■以上の電流容量をもつ必要がある。

然るに走査形電子顕微鏡は、通常、長残光性を有する１
個以上の観察用ＣＲＴと、短残光性を有する１個の撮影
用ＣＲＴを装備しているから、例えば観察用ＣＲＴｌ個
と撮影用ＣＲＴｌ個とを装備している場合、各偏向コイ
ルに供する偏向電流を同極性にすると、＋Ｅ電源は＋４
Ｉ、−Ｅ電源は一４■の電流容量をもつ必要がある。

これに対し、２個のＣＲＴの各偏向コイルについて、水
平及び垂直の円偏向電流とも、第３図の実線と破線に示
すように互いに逆極性にすると（このとき、偏向コイル
の接続性も互いに逆にする）、十Ｅ電源は＋２Ｉ、−Ｅ
電源は一２■の電流容量ですむ。

この改善はすでに実施されているが、この場合、４系統
の偏向増幅器が必要である。

本発明の目的は、偏向増幅器の系統数の節減と、これを
駆動するための電源の電流容量の節減を可能とする電子
線装置偏向回路を提供するにある。

本発明の特徴は、２個のＣＲＴの偏向コイルを直列に接
続し、そのうちの一方の偏向コイルを、走査速度の高、
低に連動して閉成、開放動作するスイッチにより短絡さ
せる構成とするにある。

以下図面により本発明を説明する。

第４図は本発明による偏向回路の一実施例を示し、２個
のＣＲＴｌと１１の偏向コイル２Ｘと２Ｘ／を直列に接
続し、偏向増幅器３Ｘで駆動している。

図は水平偏向回路の接続だけを示しているが、垂直偏向
コイル２ｙ、２ＹＩより成る垂直偏向回路も同様に接続
される。

これにより、２個のＣＲＴの偏向感度を同一とした場合
、１個のＣＲＴの偏向コイルを駆動するだけの偏向増幅
器と電源容量があれば、２個のＣＲＴの偏向が可能とな
る。

しかしながら、これだけにとどまるならば、電源電圧は
ＣＲＴｌ個の場合のほぼ２倍が必要となり、回路素子の
選定、放熱設計等において問題を生じる。

偏向コイルの等何回路は第５図で示され、端子間電圧ｅ
は ｅ＝ｉ 、Ｒ＋Ｌ−ｄｉ／ｄｔ で表わされる。

走査速度が遅くてｄ ｉ ／ ｄ ｔが小さいときは端
子間電圧ｅが小さくて問題ないが、走査速度が速くなり
ｄ ｉ ／ ｄ ｔが大きくなると直列回路の端子間電
圧ｅが大きくなりすぎ、前述の回路素子の選定や放熱設
計等に問題を生じる。

般的に、走査時間（第２図のｔ。

−ｔｌ及び１３〜１４間に相当）よりも、帰線時間（同
図の１１〜１３間に相当）の方が短かく、従ってｄ ｉ
／ ｄ ｔが大きくなるので、以下にその検討を行な
う。

一般のＣＲＴ偏向コイルの定数は、ｉｍａＸ＝２アンペ
ア（ピーク・ツウ・ピーク値で）、Ｌ＝１ミリ・ヘンリ
、Ｒ−１オ一ム程度である。

また試料像を撮影するモードにおける走査速度は、水平
偏向周期が１００ミリ秒、垂直偏向周期が１００秒、帰
線時間は何れも１０ ミＩＪ・秒程度である。

従って、このモードでの２個直列偏向コイルの端子間電
圧は最大２．４ボルト程度であり、回路構成上、問題と
ならない。

一方、試料像を観察するモードでは、チラッキの無い静
止画像を得ようとするために、走査速度は極めて速い。

このモードでの帰線時間は水平偏向が４０マイクロ・秒
、垂直偏向が１ミリ・秒程度であり、水平帰線時間にお
けるＬ −ｄ ｉ ／ ｄ ｔは５０ボルトにも及び、
単純に２個の偏向コイルを直列にするだけでは、１００
ボルトを超える電源電圧が必要となり、回路構成上、前
述した問題を生じる。

しかし、高速走査を行なう観察モードでは撮影用ＣＲＴ
は動作する必要がなく、撮影用ＣＲＴの偏向コイル２Ｘ
及び２ｙは短絡しても差支えない。

そこで、本発明においては、第４図に示すように、高速
走査モードで閉成し、低速走査モードで開放するスイッ
チ６を設けて、このスイッチ６を走査速度に連動させて
動作させる構成とする。

第４図では偏向コイル２Ｘの場合について図示されてい
るが、偏向コイル２ｙについても同様である。

抵抗体７は、スイッチ６が閉成したときの偏向コイルに
対する分流抵抗で、ＣＲＴｌを僅かに偏向することによ
りＣＲＴの焼損を防止するものであるが、あるいはこの
抵抗体７を短絡し、スイッチ６の閉成と連動してＣＲＴ
Ｉの輝度変調電極にカットオフ信号を与えることでＣＲ
Ｔ焼損を防止することも可能である。

また抵抗体８は、スイッチ６が開放したときの分流抵抗
で、２個のＣＲＴｌ。

１１の偏向感度の差に応じて抵抗値が選ばれる。

以上の構成としたことにより、高速走査モードでは観察
用ＣＲＴ １ ’のみを偏向するに足る電源電圧があれ
ば良く、また低速走査モードでは、撮影、観察両ＣＲＴ
を直列偏向することにより、水平、垂直者１系統の偏向
増幅器で良く、電源は１個の偏向コイルを駆動するに足
る電流容量を持てば良いことになる。

以上のように、本発明によれば、走査速度の広い範囲に
亘って、１個のＣＲＴを偏向するに足る電圧と電流容量
を有する電源及び偏向増幅器があれば、２個のＣＲＴの
偏向が可能となり、その経済的効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般の走査形電子顕微鏡の偏向回路の構成図、
第２図は偏向電流の波形図、第３図は従来方式の説明図
、第４図は本発明の一実施例を示す回路構成図、第５図
は偏向コイルの等価回路図である。 １．１′・・・・・・像表示管、２Ｘ、２Ｘｌ・・・・
・・水平偏向コイル、２ｙ＋２ｙ’・・・・・・垂直偏
向コイル、３Ｘ。 ３ｙ・・・・・・偏向増幅器、４・・・・・・＋Ｅ定電
源５・・・・・・−Ｅ電源、 ６・・・・・・スイッチ、 ８・・・・・・抵抗体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 試料に照射する電子線を偏向回路で試料面上に２次
   元走査させることにより検出される信号を用いて試料像
   を上記走査と同期走査される２個の像表示管に表示する
   電子線装置の偏向回路において、２個の像表示管の偏向
   コイルを直列に接続し、そのうちの特定の一方の偏向コ
   イルを、前記走査の高速、低速に連動して閉成、開放動
   作するスイッチによって、抵抗体を介しであるいは介さ
   ずに短絡させる構成としたことを特徴とする電子線装置
   の偏向回路。