JPS5833655B2 - 荷電粒子線装置の凍結試料作製用キヤリア− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は荷電粒子線装置の凍結試料作製用キャリアーに
関する。

荷電粒子線装置、特に走査電子顕微鏡においては、最近
凍結したままの状態の試料を観察することが非常に重要
視されている。

特に生物試料においては、生きてい゛た時と同一の状態
で観察することも可能であり、しかも従来行なわれてき
た薬品による長時間と細心の注意が必要な固定脱水法に
比べて試料の性質が変化しにくいという利点がある。

通常、この凍結試料作製法によれば、試料は大気中で冷
媒に浸漬して凍結された後、試料を観察するための試料
室内に、予備排気室を経て設置される。

このため、凍結された試料を冷媒から取出して予備排気
室に装着する間に、大気中の水分が試料表面に付着して
、いわゆる霜が生じ易い。

この霜が付着した場合、試料表面の観察が正確には行え
なくなるという欠点がある。

このため、霜を防止する手段として冷媒中で、凍結試料
を蓋体で包囲し、この蓋体ごと、予備排気室に導入して
該室を予備排気し、蓋体を外した後、凍結試料を観察す
るための試料室に装着する凍結試料作製用のキャリアー
が考えられている。

しかし、そのようなキャリアーを用いる場合は、予備排
気室内で蓋体を外すための手段と、外す際の覗き窓を必
要とし、その結果として予備排気室が複雑になることと
、試料を予備排気室から試料室に移す際前記蓋体が邪魔
になり、取扱いが面倒であるという難点がある。

本発明は上述した従来技術の欠点に鑑みてなされたもの
で、操作が容易にして、霜の付着の害を防ぐことのでき
る凍結試料作製用キャリアーを提供することを目的とす
るものである。

第１図および第２図は本発明の一実施例であって、第１
図は試料を冷媒中に浸漬している状態を、第２図はキャ
リアーを予備排気室に装着した状態を示す。

まず第１図を参照するに試料１とその支持体である試料
ホルダー２はデルリンのような熱絶縁棒３とステンレス
のような金属棒４とから成る移動軸によって保持され、
ビーカーなどの冷却槽５に入れられた冷媒６に浸漬され
ている。

また、試料１と試料ホルダー２の外周を移動軸が摺動可
能に貫通した遮蔽容器７が囲み、その一部分が冷媒中に
浸漬されている。

さらにその外周を、試料１、試料ホルダー２及び遮蔽容
器７を冷媒から引き上げたときに収容するための収納容
器８が囲み、この収納容器はその外周部と収納容器８の
、移動軸が貫通する部分とに真空封止用のＯリング９゜
１０を有する。

収納容器８は望ましくは、デルリンのような熱絶縁体で
作られ、凍結試料の周囲の温度変化を外側から遮断する
ようになっている。

凍結試料を作製するには、まず移動軸の他端のつまみ１
３を遮蔽容器７に設けられたストッパー１４が収納容器
８の下端に突き当るまで押すことによって遮蔽容器８を
３分の２程度収納容器８からはみ出させる。

然る後、第１図に示されるように、試料１、試料ホルダ
ー２および遮蔽容器７を液体窒素などの冷媒６に浸漬し
、試料１を凍結させる。

凍結終了後は、これを冷媒６から引き上げると同時に、
つまみ１３を引いて遮蔽容器Ｔごと収納容器８内に収容
し、直ちにキャリアーを第２図に示されるように、荷電
粒子線装置の試料室１５の一部に設けた予備排気室１６
に装着する。

この装着が完了するまでに、距離的に遠いなどの理由で
時間を要する場合は、冷媒６から試料１を引上げ後、直
ちに、収納容器の開口部側にキャップ（図示せず）をし
てもよいし、あるいは、初めから、キャップを有したま
ま冷媒中に浸漬して、予備排気室に装着する直前に取外
すようにしてもよい。

しかし、実験によれば、そのようなキャップをつけなく
ても、冷媒から引上げ後、約５分位は凍結試料への霜の
付着を防止することができることがわかった。

この５分間という時間はキャリアーを予備排気室１６に
装着してその内部を予備排気し、しかる後、凍結試料を
試料室１５に持ち込むのに充分すぎるほどの時間である
。

キャリアーを予備排気室１６に装着後試料室１５と予備
排気室１６間に設けたエアーロック弁（図示せず）をあ
けると、つまみ１３を操作してあらかじめ冷却された冷
却ステージ１７上に、凍結ずみの試料１および試料ホル
ダー２をセットすることができる。

操作軸は試料ホルダー２にねじ込み式に係合しており、
したがって凍結試料が冷却ステージ１７にセットされた
後は操作軸を試料ホルダー２から切り離し、予備排気室
１６に引っ込めることができる。

そしてこのようにして操作軸を予備排気室１６に引っ込
めた後、エアーロック弁を閉じて試料室１５と予備排気
室１６を真空的に遮断すれば、凍結試料の像観察を行な
うための準備が完了する。

上記実施例によれば、試料の凍結処理からその凍結され
た試料を試料室に移すまでの操作が容易且つ短時間で行
われ得ることが理解される。

又、実験によれば、上記実施例の場合、いわゆる−重構
造のキャリアーに比べて凍結試料に霜が付着しない時間
が１０倍程度長くなることがわかった。

第３図は、本発明の他の一実施例を示すものである。

この例は、第１，２図の実施例の場合、キャリアーを冷
媒６から引上げ後、約５分以上経過すると、外気との対
流が活発となり、急速に凍結試料に霜が付着することに
着目し、収納容器８の底部に冷媒６の通り抜ける孔１９
を有するキャップ２０をとりつけて、このキャップ自身
も冷媒６中に浸漬するようにしたものである。

すなわち、キャリアーの容器を３重構造とすることによ
り、霜の付着の防止をさらに効果的に行なえるようにし
たものである。

キャリアーを冷媒から引上げた後は、やけどしないよう
手袋などを用いて、キャップ２０を外してからキャリア
ーを予備排気室１６に装着する必要がある。

又、キャップ２０の外側には、さらに第２のキャップを
設けて、キャリアーを持歩く間に生じる恐れのある外気
との接触を完全に絶ち切るようにしてもよい。

以上の実施例を通じて、収納容器８の、移動軸が貫通す
る部分はＯＩＪソング真空封止したが、Ｏリングによる
真空封止に代えてベローズによる真空封止を用いてもよ
い。

もちろんこの場合は、ベローズは移動軸の周りに配置さ
れ、その一端は収納容器８に、他端は移動軸にそれぞれ
固定される。

このようなベローズによる真空封止を用いた場合は、移
動軸に霜が付着しても０１Ｊングによる真空封止の場合
に心配されるような真空もれを防止することができる。

以上の説明から明らかなように、本発明によれば、前述
した本発明の目的が達成されるので、その実用上の効果
は頗る太きい。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明にもとづく一実施例を示す
荷電粒子線装置の凍結試料作製用キャリアーの縦断面図
で、第１図は試料を冷媒中に浸漬した状態を、第２図は
キャリアーを予備排気室に装着した状態を示す。 第３図は本発明のもう一つの実施例を示す荷電粒子線装
置の凍結試料作製用キャリアーの縦断面図で、これは試
料を冷媒中に浸漬した状態を示す。 １・・・・・・試料、３・・・・・・熱絶縁棒、４・・
・・・・金属棒、５・・・・・・冷却槽、７・・・・・
・遮蔽容器、８・・・・・・収納容器、２０・・・・・
・キャップ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 試料を支持する軸と、上記試料を囲む第１の容器と
   、該第１の容器を囲む第２の容器とを備え、上記軸は上
   記第１の容器を通してこれに対し摺動可能なるように貫
   通していると共に上記第２の容器を通して移動自在に貫
   通しており、上記第２の容器の、上記軸が貫通する部分
   を通しての空気の流通を阻止するための真空封止部材が
   上記第２の容器と上記軸との間に設けられていることを
   特徴とする荷電粒子線装置の凍結試料作製用キャリア○