JPS5832278B2 - 地下圧気掘進工法の立坑装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、トンネルや上下水道等の地下坑を構築する際
に、地質や湧水等の状況によって用いられる圧気掘進工
法において、機材搬入とずり搬出を分離し、機材の搬入
作業とずりの搬出作業を能率良く行って、工費の軽減と
工期の短縮を図ることができる立坑装置に関するもので
ある。

一般に、地下坑の構築に用いられる圧気掘進工法は、立
坑から圧気用設備を配置する区間を薬液注入による止水
と地質改良を行い、大気圧状態下で立坑から横坑を掘削
し、該横坑の一定区間を一対のバルクヘッドを介して区
画し、ずりや機材等の搬入出のためのマテリアルロック
を設備し、その前方を圧気掘進工法によって掘削してい
る。

斯かる従来のマテリアルロックは、圧気側から大気側へ
ずりを排出するときの加圧減圧操作に長時間を要し、ず
り搬出作業の能率が悪い許りでなく、ずり搬出作業と機
材搬入作業を並行させることができず、しかもマテリア
ルロックを設置する分収上に薬液注入区間が長大となり
多大な費用を要するうえ、マテリアルロックを設置する
期間中掘削を中止しなければならず、工期が著しく長期
化する欠点があった。

本発明は、上記のような欠点を一掃すべく創案されたも
のであって、立坑内に地下坑に連通される発進室を設け
、該発進室とマテリアルロックとずり出しロックと搬入
搬出用シャフトを一体のコンクリ−ト構造体に構成する
ことにより、圧気掘進工法によって地下坑を構築する際
、たとえ湧水が多いときにも薬液注入区間を掘削機の発
進に必要な最小限となすことができ、しかも、機材搬入
と、ずり搬出を並行せしめ、機材搬入作業とすり搬出作
業を能率良く行わせて工費の軽減と工期の短縮を図るこ
とができる地下圧気掘進工法の立坑装置を提供しようと
するものである。

本発明の構成を図面に示された実施例について説明すれ
ば１は圧気工法により掘進する地下坑を地上に連絡する
ための立坑であって、該立坑１は上下方向に隔壁１ａ、
１ａ・・・によってマテリアルロック２とずり搬出シャ
フト３および圧気工法の地下坑４に連通される圧気室か
らなる発進室５ににそれぞれ区分されており、発進室５
は地下坑４に向って掘進するシールド掘進機２９の発進
に必要な最小限の太きさとして構築される。

上記すり搬出シャフト３の上端は地上に開口されて大気
圧に設定され、また、上記マテリアルロック２の大気側
には地上からボライアスフレーン６を介して機材を搬入
する搬入シャフト７が開閉自在な機材搬入ゲート８を有
する隔壁１ａによって形成されており、これら、搬出シ
ャフト３、搬入シャフト７、マテリアルロック２は前記
発進室５と一体のコンクＩＪ−ト構造体によって構成さ
れている。

マテリアルロック２の上部にはエアーコンプレッサーを
装備した加圧減圧操作室９が隔壁１ｂによって形成され
、また、発進室５の大気圧側隔壁１ａにはマテリアルロ
ック２の機材搬出ゲート１０が開閉自在に設けられ、さ
らにマテリアルロック２内には機材運搬車の軌道１１が
上記搬入シャフト７の下部から機材搬入ゲート８を介し
て敷設さへかつ該軌道１１の延長端には機材運搬車の方
向転換用軌道１１ａを有するターンテーブル１２が設け
られている。

また、上記発進室５内には機材運搬軌道１３が該発進室
５とマテリアルロック２との隔壁１ａに設けた機材搬入
ゲート１０を介して敷設され、その機材運搬用軌道１３
の機材搬入ゲート１０側一端が上記ターンテーブル１２
の周縁に敷設され、かつ、その他端が上記地下坑４へ延
設されており、上記ターンテーブル１２の方向転換操作
により、軌道１１ａと軌道１３の一端とを合致せしめて
地下坑４へ機材が搬入せしめられるようになっている。

さらに、上記マテリアルロック２と発進室５内は、図示
されていないが、加圧減圧操作室９の圧力操作によって
適宜な圧気状態に設定すべく構成されている。

１４は前記発進室５と一体的に構成されたずり出しロッ
クであって、該ずり出しロック１４はずり運搬車１５を
収納してずり捨て動作可能な空部１６を有する筐体１４
′で形成されており、該筐体１４′の一側端１４ａが前
記すり搬出シャフト３と発進室５との隔壁１ａに貫設さ
れ、かつ該筐体１４′のずり搬出シャフト３側に臨む一
側壁１４ａには、ずり搬出ゲート１７が開閉自在に設け
られている。

すなわち、第５図以下において、１８は上記筐体１４′
の一側壁１４ａに開口されたすり排出口であって、該ず
り排出口１８の下縁と両側縁を前記空部１６側へ一体的
に折曲形成されて、ずりシュート１９が装設され、かつ
該ずり排出口１８のすり搬出シャフト３側には封閉扉２
０がすり排出口１８の上縁に設けられた枢支ビン２０ａ
を介して枢着され、該封閉扉加には、ずりシュート１９
に装着されたシリンダーロッド２０ｂの作動杆２０′ｂ
が枢結されて、該シリンダーロッド２０ｂの作動によっ
て上記枢支ビン２０ａを回動支点として、開閉自在にな
っている。

２１は前記筐体１４′の発進室５内の一側壁１４ｂに開
閉自在に設けられたすり運搬車の出入ゲートであって、
該出入ゲート２１は上記筐体１４′の一側壁１４ｂに開
口されたずり運搬車出入口２２の発進室５側に封閉扉２
３が枢支ビン２３ａを介して発進室５側に水平状に往復
回動する連結アーム２３ｂに枢結され、上記枢支ビン２
３ａを回動支点として開閉自在に装設されている。

そして、前記筐体１４′の空部１６には、上記加圧減圧
操作室９に装備したエアーコンプレッサーの送排気パイ
プ（図示せず）が連通され、その加圧状態は、空部１６
内にずり運搬車１５を出入すべく出入ゲート２１を開放
するときには、発進室５と同一の気圧に設定され、かつ
空部１６内に収納したずり運搬車１５からずり搬出シャ
フト３へずりを搬出すべくずり排出ゲート１７を開放す
るときには、大気圧に設定されるようにエアーロックと
して構成されている。

また、上記筐体１４′内には地下坑４の切羽側から発進
室５に入れ要用の切換ポイント２４ａを介して敷設され
たずり運搬車１５の軌道２４からの引込み軌道２５，２
５の一方がすり運搬車１５の出入ゲート２１から筐体１
４′の対向壁面１４ｂ′に向けて敷設され、該引込み軌
道２５のずり運搬車１５出入方向−側には、前記ずり排
出ゲート１７のずりシュート１９受口が臨まされ、かつ
他側には、ずり運搬車１５の転倒排出装置を形成すべく
カーダンパー２６が設けられている。

また、２７はずり搬出シャフト３の地上−側に装備され
たグラブホッパーであって、該グラブホッパー２７はず
り排出ゲート１７からずり搬出シャフト３内に放出され
たずりを地上へ揚上搬送してダンプトラック２８に積載
するものであり、２９は圧気工法の地下坑４を掘進する
ためのシールド掘進機、３０はずり運搬車１５の機関車
である。

第７図〜第９図はずり出しロック１４の他側であって、
該ずり出しロック１４はずり搬出シャフト３と発進室５
との隔壁１ａにすり出しロックを形成するホッパー３１
が該発進室５からすり搬出シマフト３へ向けて下傾状に
貫設され、かつ該ホッパー３１のすり搬出シャフト３側
に臨む一側壁３１ａには、ずり排出ゲート３２が開閉自
在に設けられている。

すなわち、３３は、上記−側壁３１ａに開口されたずり
排出口であって、該ずり排出口３３のすり搬出シャフト
３側には封閉扉３４が、すり排出口３３の両側縁３３ａ
に設けられた枢支ビン３４ａを介して枢着され、該封閉
扉３４の上端には、すり排出口３３の上縁３３ｃに装着
された油圧シリンダー３５の作動杆３５ａが枢結されて
、該油圧シリンダー３５の作動によって、上記枢支ビン
３４ａを回動支点として開閉自在になっている。

３６は前記ホッパー３１の圧気坑５側に臨む一側壁３１
ｂに開閉自在に設けられたずり投入ゲートであって、該
ずり投入ゲート３６は上記ホッパー３１の一側壁３゛１
ｂに開口されたずり投入口３７に封閉ｎ３８・が１、枢
支ビン３８ａを介してずり搬出シャフト３゛と発進室５
との隔壁１ａへ向けて開閉自在に枢着さ・れ、該封閉扉
３８の両側端には、ずり投入口３７の両側□縁３７ａに
装着された油圧シリンダー３ｇ１の作動杆３９：ａが枢
結されている。

また、前記ホッパー３１゛の内部底面３１ｅは、ずり投
入ゲート３６からずり排出ゲート３２に向けてずりを自
然流下する下傾１状に形成され、該ホッパー３１の室部
；３１ ｄは前記加圧減圧操作室９に装備したエアーコ
ンプレッサーの送排気パイプ（図示せず）・が連通され
、その圧力状態は、ずり投入ゲート３６を開放するとき
には、発進室５と同一の気圧に設定され、かつ・ずり排
出ゲート３２を開放するときには、大気圧に設定される
ように構成されている。

そして、前記ずり出しロックを形成するホッパー３１の
上部にはウィンドリフトコンベアー４０の移送終端が臨
設さへかつ該ウィンドリフトコンベアー４０の移送始端
には引込み軌道２５上でカーダンパー２６の作用によっ
てずり運搬車１５から放出されるすりを受けてウィンド
リフトコンベアー４０に移載するためのずり受ホツパ−
４１が設けられているが、これらウィンドリフトコンベ
アー４０とずり受ホツパ−４１を設けることなく、ずり
運搬車１５のずりを引込み軌道２５から直接ずり出しロ
ック１４を形成するホッパー３１にずり投入ゲート３６
を介して投入し、ずり排出ゲート３２からずり搬出シャ
フト３に排出せしめるように構成してもよい。

なお、前記実施例において、立坑１はマテリアルロック
２とすり搬出シャフト３および発進室５に隔壁ｌａ、ｌ
ａ・・・によって区画されているが、該区画は必らずし
も間仕切壁による室構成に限定されるものではなく、要
はマテリアルロック２と発進室５がエアーロックとして
形成されるように区分されるものであればよい。

次に、上記のように構成した本発明の作用について説明
する。

発進室５内を加圧減圧操作室９の圧気操作によって、切
羽と地山に適応する気圧に設定し、シールド掘進機２９
を切羽に向けて掘進させると共に、その掘進に伴うセグ
メントによる覆工を交互に繰返しながら順次立坑１の発
進室５から地下坑４が掘削されるが、この場合、地下坑
４掘削のための発進室５がマテリアルロック２、ずり出
しロック１４、および搬出搬入用シャフト３．７と一体
のコンクリート構造体に構成されているので上人気圧と
連絡し、構成されているので、従来の如き大気圧による
横坑の掘削が全く不要となり、湧水が多いときにも薬液
注入区間を立坑近傍でシールド掘進機２９の発進に必要
な最小限になし得て、発進室５から直ちにシールド機２
９を加圧工法によって掘進せしめることができる。

さらに、地下坑の圧気掘進に要するセグメントやその他
の機材等は、地上からボライヤスフレーン６によって搬
入シャフト７内へ運搬さへ機材搬入ゲート８と機材搬出
ゲート１０を介してマテリアルロック２から発進室５内
へ遂次運搬されると共に、切羽からずり運搬車１５によ
って発進室５内へ運搬されるずりは、ずり運搬車１５の
ずり捨て動作によってずり出しロック１４からずり搬出
シャフト３に排出され、該ずり搬出シャフト３からグラ
ブホッパー２７によって地上に揚上搬送される。

したがって、前記機材の搬入とすりの搬出とは分離され
た状態で並行して行うことができる。

また、ずり出しロック１４を圧気側において、すり運搬
車の進入を可能とし、その内部にずり運搬車の転倒排出
装置２６を設けることにより、発進室５からすり搬出シ
ャフト３へのずり搬出作業は、マテリアルロック２と発
進室５との圧気操作にかかわりなく、ずり出しロック１
４の加圧と減圧の交互操作によって各別に簡単かつ迅速
に行うことができる。

また、ずり出しロック１４を圧気側、大気側に封閉扉３
４，３Ｂを有するホッパー３１に形成することにより、
ずり出しロック１４の加圧と減圧の交互操作が、より簡
単かつ迅速となり、そのすり搬出作業を能率的に行うこ
とができる。

これを要するに本発明は、圧気工法により掘進する地下
坑を立坑に接続し、該立坑の下部に圧気室を設け、エア
ロツク機構を介して立坑を地上に連絡するようにした地
下圧気掘進工法の立坑装置において、上記立坑の圧気室
を地下坑掘削のための発進室として地下坑に連通させる
とともに、大気圧側の側壁に接続してマテリアルロック
とすり出しロックを設け、それら両口ツクの大気側をそ
れぞれ地上に連絡する搬入搬出用シャフトに連絡し、上
記発進室とマテリアルロックとずり出しロックと搬入搬
出用シャフトを一体のコンクリート構造体に構成すると
ともに、上記発進室には上記マテリアルロック及びずり
出しロックに通ずる軌条を敷設し、地下坑に延設して運
搬車の交互出入を可能としたから圧気掘進工法によって
地下坑を構築する際、たとえ湧水が多いときにも発進室
にマテリアルロックとずり出しロックと搬出搬入用シャ
フトがコンクリート構造により一体的に構成されている
ため、大気圧で掘削するための薬液注入区間を掘削機の
発進に必要な最小限にすることができるうえ、ずり搬出
作業と機材搬入作業とを軌条を敷設したマテリアルロッ
クとずり出シロツクとによって分離して同時に行なわし
めて、地上から発進室への機材搬入作業と発進室からず
り搬出シャフトへのずり搬出作業とを能率良く行うこと
ができ、工費の軽減と工期の短縮を図ることができる等
極めて有用な新規的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る地下掘進工法の立坑装置の実施例を
示すものであって、第１図は全体平面図、第２図は同上
側面図、第３図は第１図に示された１−ＩＩＩ線断面図
、第４図は第１図に示された■−■線断面図、第５図は
要部の横断面図、第６図は同上側断面図、第７図はすり
出しロックの他側を第３図と同様に示す断面図、第８図
は同上要部の平面図、第９図は同上要部の側面図である
。 図中１は立坑、２はマテリアルロック、３はずり搬出シ
ャフト、４は地下坑、５は発進室、７は搬入シャフト、
９は加圧減圧操作室、１４はずり出しロック、１４′は
筐体、１６はその空部、１７はずり排出ゲート、２１は
すり運搬車の出入ゲート、２３は封閉扉、２６はカーダ
ンパ、３１はホッパー、３２はずり排出ゲート、３４は
その封閉扉、３６はずり投入ゲート、３８はその封閉扉
である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 圧気工法により掘進する地下坑を立坑に接続し、該
   立坑の下部に圧気室を設け、エアロツク機構を介して立
   坑を地上に連絡するようにした地下圧気掘進工法の立坑
   装置において、上記立坑の圧気室を地下坑掘削のための
   発進室として地下坑に連通させるとともに、大気圧側の
   側壁に接続してマテリアルロックとずり出しロックを設
   け、それら両口ツクの大気側をそれぞれ地上に連絡する
   搬入搬出用シャフトに連絡し、上記発進室とマテリアル
   ロックとずり出しロックと搬入搬出用シャフトを一体の
   コンクリート構造体に構成するとともに、上記発進室に
   は上記マテリアルロック及びずり出しロックに通ずる軌
   条を敷設し、地下坑に延設して運搬車の交互出入を可能
   としたことを特徴とする地下圧気工法の立坑装置。