JPS5816261B2 - 磁気記憶装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、浮動磁気ヘッドおよび記憶媒体を密閉チャン
バ内に収容する形式の磁気記憶装置、ことに該密閉チャ
ンバ内の気体に含まれる水分のみならず油脂分等をも除
去し得る磁気ディスク装置あるいは磁気ドラム装置のご
とき磁気記憶装置に係る。

周知のごとく、この種の磁気記憶装置の性能、とくに線
密度の向上、ひいてはそれに伴う性能価格比の向上には
、浮動磁気ヘッドと記憶媒体との浮揚間隙、従ってヘッ
ドの浮揚を司るスライダの浮揚量を安定に微小化するこ
とが最も有効な手段の一つである。

しかしながら、最近、浮揚量の微小化に伴う幾つかの技
術的問題点が新たに出現してきており、なかんづく液状
物質の発生と集積がその最も大きなものヘ一つとして関
心を集めはじめている。

すなわち、浮揚量が微小になると、流体潤滑理論におけ
るいわゆるベアリング数が非常に犬となり、浮揚間隙に
おける潤滑気体の流線方向の圧力分布はスライダ後縁部
において急峻な圧力降下を示すようになり、結果として
断熱的膨張に基く急激な温度低下をきたす。

従って、もしも潤滑気体中に含まれる液体成分の蒸気圧
が比較的高ければ、この蒸気がスライダ後縁部の極く近
傍において液体微粒子として結露し、潤滑気体中に浮遊
しつ５回動して、除々に記憶媒体の表面や、スライダ。

ことにその前縁部に付着し集積する。

通常、このような液状物質は水分と油脂分の混合物であ
って、とくに後者の成分は、軸受のグリースまたは潤滑
油、ヘッド、媒体ないしはその近傍に存在する機構部品
の表面に付着している油脂分に起因するものである。

この液状物質は、発生とともに周囲の状態量に応じて蒸
発し、これが進行すればその残留分は粘度を増し、さら
には固化に近い状態となる。

このようにして付着集積した液状物質は、装置の機能、
性能、信頼性、耐久性等の面で望ましくない結果をもた
らす。

すなわち、ヘッド浮揚中には、液状物質の付着集積が蒸
発に卓越して進行し、浮揚間隙に流入してあたかも塵埃
と同様に作用するため、ヘッドの浮揚安定性を損い、性
能の劣化のみならず、いわゆるヘッドクラッシュを惹起
する基となる。

また浮揚が不安定となったへ′・・ドは、付着集積後一
部が同化にまで到った媒体表面上の液状物質を削り取り
、これをいわば塵埃化せしめて、事態をさらに悪化せし
める惧れがある。

また、ヘッドがいわゆるコンタクト・スタート・ストッ
プ方式の装置では、起動／停止時即ちスライダが媒体表
面と接触摺動している時には、スライダ自体が複雑に振
動しているため、上記のごとき不都合が生ずる危険性が
さらに大きくなる。

これらに加えて、液状物質は、潤滑流体中に浮遊してい
る塵埃等の固形異物微粒子を捕捉しやすいから、もしも
これらの濾過が不十分ならば、危険性はさらに大きなも
のとなる。

一方、コンタクト・スタート・ストップ方式Ｃヘッドは
、媒体の回転を停止すれば、媒体表面に極く微小な間隙
を残して接触するから、集積した液状物質は毛細管現象
によってこの間隙に浸透流入し、除々に粘度を増し、い
わゆる粘着現象を赴す。

従って、再起動時には予想外に大きな起動トルクを必要
とし、必要以上に大出力の駆動モータを用いるか、何ら
かの起動ブースト手段を設けなければならなくなる。

この際無理に起動を行なうと、場合によってはスライダ
の支持ばね系に塑性変形を生じたり、破損を招くことに
なる。

以上述べたごとく、液状物質の発生、付着集積は、とく
に微小浮揚量のヘッドを用いる装置にとって、誠に好ま
しからざるものである。

液状物質は、その発生のメカニズムから判るように、そ
の成分蒸気圧を可能な限り低くして発生を極力抑止し、
発生した液状微粒子は可能な限り吸着除去することが必
要である。

従来経験的には、水分の除去が液状物質の発生抑止に多
少なりとも有効であることが判っており、このために吸
湿剤を用いた装置も案出されているが、上記説明から明
らかなように、水分のみならず、油脂類成分の除去を行
なわなければ不充分であるにも拘わらず、従来このよう
な対策が講じられていなかった。

本発明は、従って、上述のごとき不都合な現象を生ずる
液状物質の発生を抑制することが可能な。

また副次的には発生した液状物質あるいは混入した固形
異物微粒子を吸着除去することが可能な、磁気記憶装置
を提供することを目的とする。

本発明によれば、密閉チャンバ内の気体を、吸湿剤およ
び微粒子吸着剤に接触せしめるような構造をとることに
よって、その目的が達成される。

ことに本発明によれば、水分のみならず、従来看過され
ていた油脂分をも除去し得ることを特徴とし、液状物質
に起因する諸種の不都合を抑えることができる。

以下、図面を用いて本発明につき詳しく説明する。

第１図は、本発明の第１の実施例を、一部破断して示し
た図である。

本実施例は、密閉チャンバ方式の固定ヘッドディスク装
置に対するものである。

同図において、１は記憶媒体である磁気ディスク、２は
媒体の駆動モータ、３は磁気ディスク１を支持回転せし
めるスピンドル、４はヘッド組立体、５は上部ハウジン
グ、６は下部ハウジング。

７はＯリングのガスケット、８は装置の支柱、９は吸湿
剤、１０は微粒子吸着剤、１１は隔壁。

１２は微細なメツシュのフィルタ、１３はより粗いメツ
シュのプレフィルタ、１４は止め輪、１５は０リングの
ガスケット、１６は吸湿剤９および？微粒子吸着剤１０
の容器である。

磁気ディスク１は、スピンドル３に固定されて駆動モー
タ２によって回転させられ、その上下両面にコンタクト
・スタート・ストップ方式のヘッドが浮揚する。

複数のヘッド組立体４は、それぞれ上部ハウジング、５
および下部ハウジング６に固定される。

これら２つのハウジング５および６は、ガスケット７に
より密閉チャンバを構成し、環境雰囲気に対し気密を保
っている。

容器１６はそれ自体気密構造であり、下部ハウジング６
に対してガスケット１５を用いて密閉チャンバの気密を
損わないように取りつけられ、その内部に隔壁１１を境
にしてシリカゲルの粒子から成る吸湿剤９と活性炭素粒
子から成る微粒子吸着剤１０を収納し、プレフィルタ１
３およびフィルタ１２を介して密閉チャンバ内の潤滑気
体たる空気に接している。

止め輪１４にて容器１６に固定されたフィルタ１２およ
びプレフィルタ１３は、いずれも吸湿剤９および微粒子
吸着剤１０の各粒子から発生する微細粉末粒子が、密閉
チャンバ内の空気に混入しないようにするために設けら
れたものであり、同様の配慮のために吸湿剤９および微
粒子吸着剤１０の容器１６は、磁気ディスク１よりも下
方、従って下部ハウジング６に装着されている。

なお、本実施例においては、吸湿剤９および微粒子吸着
剤１０は、容器１６と共に一括して交換し得るようにな
っている。

また当然のことながら、駆動モータ２はそのケーシング
１体気密構造をなし、上部ハウジング５への取付も、０
リングのガスケットによりシール状態を保持して行なわ
れている。

本実施例は、以上のごとき構造となっているため、密閉
チャンバ内の水分は吸湿剤９により吸収され、油脂分お
よび微細な固形異物粒子は微粒子吸着剤１０によって吸
着除去されるから、結果として水および油脂の蒸気圧が
低下して、ヘッド浮揚時における液状物質の発生を抑制
することができ、本発明の目的を達成することができる
。

なお潤滑気体すなわち本実施例における空気は、当初そ
の封入に当っては、可能な限り低湿度かつ清浄なもので
なければならないことは言うまでもない。

第２図は、本発明の第２の実施例を示す図で、各部材に
付した数字のうち第１の実施例の説明においても用いら
れたものは、第１の実施例と同様の機能、構造を有する
ものである。

本実施例は、第１の実施例と同様の装置に対して適用さ
れたもので、たゾ、異なる点を挙げれば、下部ハウジン
グ６の一部が下方に延長されて、容器１６を受容し固定
するための凹部を形成する一方、装置の支持脚を兼ねた
部分６′となっていること、吸湿剤９および微粒子吸着
剤１０の容器１６が、密閉チャンバの内部に装着されて
いること、フィルタ１２の上に多数の孔を有する抑え板
１７が乗せられ、ボルトにより押圧されながら容器１６
のよ蓋部をなしていることである。

本実施例の作用、効果については第１の実施例と同様で
あるから説明を省略する。

以上、本発明については、実施例をあげて詳細に説明し
たが、これに限らず、とくに吸湿剤９および微粒子吸着
剤１０の容器１６に対する収納方法、容器１６の構造、
装置場所等に関し、たとえば着脱容易なカーｔ−ＩＪツ
ジ形式としてハウジングの外縁部近傍に装着する等、さ
らに多くの変形が考えられる。

また潤滑気体としては空気に限らず、窒素ガス等の気体
であってもよい。

従って、上記本発明の実施例に関する説明が、本発明の
範囲を限定するものではなく、その趣旨に則った数多く
の変形が考えられることは明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、それぞれ本発明の第１および第
２の実施例を示す図で、これらの図において、１は磁気
ディスク、２は駆動モーフ、３はスピンドル、４はヘッ
ド組立体、５は上部ハウジング、６は下部ハウジング、
６′は装置支持脚および容器受容凹部を兼ねた下部ハウ
ジング６の下方延長部、７はガスケット、８は支柱、９
は吸湿剤。 １０は微粒子吸着剤、１２はフィルタ、１３はプレフィ
ルタ、１４は止め輪、１５はガスケット。 １６は容器、１７は抑え板である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 浮動磁気ヘッドおよび記憶媒体を収容した、密閉チ
   ャンバの内部、またはこれに開口する気密容器の内部に
   、微細なメツシュを有するフィルタを介して該密閉チャ
   ンバ内の気体と接するように吸湿剤および微粒子吸着剤
   を封入したことを特徴とする磁気記憶装置。