JPS5815892Y2 - 炉況計測用の断熱容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は炉況計測用の断熱容器に関し、更に詳述すれば
水蒸気の蒸発潜熱を利用した断熱容器における蒸気抜管
を新規な構成とすることにより、炉内を回転されながら
移動するワークの温度分布等の測定にも使用可能な炉況
計測用の断熱容器を提案したものである。

鉄鋼製品の製造過程においては母材、中間製品を炉内に
て加熱、熱処理する工程を含むことが多い。

このような工程の品質管理、エネルギ管理の面から炉内
状況（炉況）を監視する必要があり、このために炉内雰
囲気温度、ワーク温度の測定及びガス分析等が行われて
いる。

ワーク温度の測定はサンプルのワークに熱電対を埋設し
、熱電対の端子を炉外に引き出して熱起電力を読取るよ
うにしているが、ウオーキングビーム炉にて熱処理され
る鋼管のヒートパターンを計測するような場合には鋼管
は、全周面が均一に加熱されるようにポケット毎に約１
／４周ずつ回転させられるので、長い熱電対又は補償導
線を用意してもねじれに因って熱電対が接触短絡したり
断線したり、熱電対がワークの埋設部位から脱落するこ
とになり、実質的にはこのような場合の計測は不可能で
あった。

本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、炉
内を転動していく鋼管の温度測定等に適した炉況計測装
置の構成を可能とする新規な断熱容器を提供することを
目的とし、以下に本考案をその実施例を示す図面に基い
て詳述する。

第１図は本考案に係る断熱容器内に炉況計測記録部材を
適宜収納してなる炉況計測装置を模式的に示す縦断面図
である。

１は鉄製の水タンクであって、直径約３０ＣｒｒＬ、長
さ約１ｍの円筒状の筒部１ａと、この筒部１ａの両端に
溶着されてなる鉄製の円形フランジ１１ａ。

１１ｂと、一方の開口端から挿入配設された有底の角筒
１０と、開口端を閉塞すべくフランジ１１ａ。

１１ｂに各螺着される蓋体１２ａ、１２ｂ等からなって
いる。

角筒１０は開口部を蓋体１２ａ側に向けており、この開
口部に形成したフランジ１０ａと該角筒１０の底部近傍
を支える２本の支柱１０ｂとで筒部１ａと角筒１０とを
同心的に配置させている。

角筒１０の内部には、後述する炉況計測記憶用の電子デ
バイスが格納されている。

角筒１０の開口部は熱電対４ａ、４ｂ、４ｃ、４ｄを各
挿通させた断熱材（グラスウール等）３０で覆われて、
更に同じく熱電対４ａ〜４ｄの挿通を可能とした蓋体１
２ａをフランジ１１ａに螺着して閉塞されている。

またフランジ１１ａ、１１ｂ間、すなわち筒部１ａの外
周も同様の断熱材３１で囲繞されている。

１３は蓋体１２ｂ側に近接して設けた内蓋であって、筒
部１ａに形成した内フランジ１４に耐熱パツキン１４ａ
を介して螺着されている。

これによってこの内蓋１３から角筒のフランジ１０ａに
至る間が密閉されることになる。

この密閉空間には水が封入される。

２は蒸気抜管であって、２１はその要部を構成するロー
タリージヨイントである。

而してこのロータリージヨイント２１は、段付円筒状で
金属製のシール部２１ａ及びその中を挿通させた通気管
部２１ｂよりなり、シール部２１ａは内蓋１３に同心的
に嵌着しである。

シール部２１ａの蓋体１２ｂ側には保護筒２１ｆが内嵌
されており、この保護筒２１ｆの先端は蓋体１２ｂの中
心部に開設した稍々犬き目の穴から外部へ突出させであ
る。

シール部２１ａには通気管部２１ｂが気密状態で回動自
在に支持されており、通気管部２１ｂの水封入空間側端
部には蒸気導入管部２１ｃが固着されており、またこの
蒸気導入管部２１ｃの延出方向とは反対側に延出させた
フックにある程度の揺動可能に枢支された錘り２１ｄを
設けている。

錘り２１ｄ及び蒸気導入管部２１ｃはいずれも筒部１ａ
内での回転が妨げられないように寸法が定められ。

ており、特に蒸気導入管部２１ｃの先端部と筒部１ａの
内面の離隔寸法は５間程度としである。

一方、蒸気抜管２の保護管２１ｆより外部に突出させた
端部には、蒸気導入管部２１ｃと同方向に蒸気排出管２
１ｅを嵌脱自在に取付けである。

さて熱電対４ａ〜４ｄの各測温点部は断熱材３０、蓋体
１２ａを通して筒部１ａ外に引出してあり、４ｅの測温
点部は熱電対４ａ〜４ｄの角筒内での接続点近傍に配設
しである。

熱電対４ａ〜４ｅの各両極端子は全て角筒１０内に収納
され、コントローラ５から発せられる切換信号により、
順次的に入力信号を選択するマルチプレクサ６の入力端
子に接続されている。

そしてマルチプレクサ６により選択された熱電対４ａ〜
４ｅによるｍＶオーダの熱起電力は信号変換器７によっ
て■オーダに増幅されるが、この信号変換器７の出力は
アナログ信号であって、これはメモリコントローラ５よ
り発せられる切換信号に同期して作動するアナログ／デ
ィジクル変換器（以下Ａ／Ｄ変換器という）８によりデ
ィジクル信号に変換されて書換え可能な半導体メモリチ
ップよりなるメモリ装置９に書込まれるようにしである
。

なお、メモリ装置９はコントローラ５から前記切換信号
に同期して発せられるアドレス信号により、メモリ装置
９へ送出されてくるディジタル信号を一定の順序で所定
のアドレスに書込むようになっている。

そして、電子デバイスは所要の計測の後に本考案の容器
の外へ取出され、メモリ装置９の内容は記録データの読
出しに供される。

その他、図中Ｂはバッテリである。

叙上の如く構成された本考案に係る炉況計測装置は、ま
ず蓋体１２ａを取外し、断熱材３０を角筒１０の開口部
から取除き、角筒１０内に電子デバイス５〜９を装入し
、またバッチＩＪ Ｂからの通電の為のスイッチを投入
する。

そして、熱電対４３〜４ｄを断熱材３０、蓋体１２ａか
ら引出した状態に戻して蓋体１２ａを螺着する。

次いで、蓋体１２ｂを、更に内蓋１３を蒸気抜管２と一
体的に取外す。

そして、筒部１ａをフランジ１１ｂ側が上になるように
して引起し、内フランジ１４に水面が達する迄注水した
後、前述したところと逆の手順で内蓋１３、蓋体１２ｂ
を取付け、本業面を横倒しにした上で蒸気排出管２１ｅ
をその開口端を上向きにして嵌着する。

本業面の横倒しにより、錘り２１ｄは鉛直下方を向くの
で蒸気導入管部２１ｃは逆に上方を向き蒸気排出管２１
ｅと同じ姿勢をとることになる。

その後、第２図に示すように本業面Ａを測温サンプルと
する鋼管Ｐ内の一端部から蒸気排出管２１ｅ側が管端部
に位置するように挿入し、熱電対４ａ〜４ｄは鋼管Ｐ内
面の所要の場所に埋設される。

なお、本業面はその設計時から最大外径部のフランジ１
１ａ、１１ｂの直径を予め想定したサンプル鋼管の内径
に合せて定めてあり、上述のように挿入した場合におい
て鋼管Ｐが転動した場合に本業面Ａもこれと一体につき
まわりするようになっている。

なお、若干の寸法調整は断熱材３１の増減により行える
。

さて、このようにした鋼管をウオーキングビーム炉中に
装入すると、１ポケツト移動する間に鋼管Ｐは約１／４
周ずつ回転していくが、本案品Ａ全体としてはこれと一
体的に回転するが錘り２１ｄの存在のために蒸気導入管
部２１ｃ、蒸気排出管２１ｅはその開口を常に上方を向
いた状態で移動されていく。

然るところ、炉内温度は６００〜７００℃であり、筒部
１ａの中の水は加熱され水蒸気となっていくが、上述の
ように蒸気導入管部２１ｃの開法が上を向いているので
水蒸気はこの開口から蒸気導入管部２１ｃ、通気管部２
１ｂを経由して蒸気排出管２１ｅから外部へ放出されて
いく。

このために水タンク１内は常に略１気圧に維持され、残
余の水を封入した部分の温度は約１００℃に保たれる。

従って、角筒１０内の電子デバイスを高温仕様のもので
構成しておく場合はその動作は十分に保障される。

水は蒸発に伴って徐々に減少していくが、上述の実施例
では注入水量が１３１１炉温８００℃の場合に２．５時
間以上使用してもなお若干の水が残っており、通常の炉
況計測用としては十分な時間電子デバイスを安全に保護
し得る。

でこのように本考案の断熱容器によれば、本案面全体は
計測対象とする鋼管と一体的に転動するので、本案品に
おける熱電対の接続部と鋼管側の測温点部との相対位置
が変らないため熱電対のねじれ、断線は起らず、しかも
内部の水蒸気放圧は常にその人・出口が上を向いた蒸気
抜管２にて行われるので確実に内圧を大気圧に維持され
、計測用の電子デバイスを１００℃以下に保ち、その動
作を保障することが可能となる。

第３図は本考案に係る炉況計測装置を用いてウオーキン
グビーム内を移動される鋼管の中央部の内面温度（実線
）、外面温度（破線）の経時変化実測結果であり、前記
メモリ装置９を水タンク１外へ取出して読み出したもの
である。

この結果から転勤により円周方向にムラのない加熱が行
われていること、また内外面の温度差の解消には１時間
程度を要することが判明した。

以上のように本考案による場合は、従来は不可能であっ
たウオーキングビーム炉内の鋼管の状況監視など計測対
象が転動していく場合についても、各種の機器を損うこ
となく正確にデータを得ることができ、本考案がこの種
の計測技術の向上に寄与する処多大である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すものであって、第１図は計
測装置のブロック図と共に示す本案品の縦断面図、第２
図は鋼管への装入状態を示す立面断面図、第３図は測定
結果の一例を示すグラフである。 １・・・・・・水タンク、２・・・・・・蒸気抜管、１
０・・・・・・角筒、２１ａ・・・・・・シール部、２
１ｂ・・・・・・通気管部、２１ｃ・・・・・・蒸気導
入管部、２１ｄ・・・・・・錘り。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 計測器の内蔵を可能とした円筒状の金属製水タンクと、
   該水タンクの端壁に回動自在に枢支され、一端開口が水
   タンクの外部に開口し他端開口を水タンクの内周面の上
   部に常時近接させ得べく錘りを付してなる蒸気抜管とを
   具備することを特徴とする炉況計測用の断熱容器。