JPS581427B2 - インプラント補綴用顎体模型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 歯科医療における技術革新は近年急速化の一途をたどり
技術の圧倒的な進歩に支えられて、歯科医療に新らしい
可能性を開いている一方、技術の再点検が叫ばれている
が、それに支えられる技術的基礎が問題になっているも
のの中にインプラントがある。

現在インプラントはインプラントに必要な基礎医学的な
ことが充分に取り込まれないまま、臨床が臨床医によっ
て行われているのが実情で、その補綴学としての技術研
修の必要が要望されている。

即ち従来歯牙の欠損した部分に人工歯根を植設し、その
歯根の上部に人工歯をはめ込んで自然歯の代用とする嵌
植義歯、所謂るインプラントがあるが、その方法として
は（１）骨膜下インプラント法、（２）骨内インプラン
ト法、（３）歯肉骨内インプラント法（４）磁石インプ
ラント法、（５）粘膜下インプラント法、等があるが歯
牙欠損部の歯肉粘膜部を剥離し、歯槽骨表層部の印象採
得又は使用するインプラントの種類に対応した溝、又は
穿孔を歯槽骨に穿設しインプラントを植立しそのあと歯
肉粘膜部を縫合するのが一般的な方法である。

然しなからこの場合、一般の外科手術と同様の細心の注
意が必要であることは勿論であるが、インプラントの周
囲の骨の吸収を防止するためにインプラントに対する過
大な咬合圧、又は側方よりの圧力がかからないように配
慮する必要がある。

自然歯の場合もこれらの咬合圧、側方圧、の負荷によっ
て歯牙に動揺をきたす場合があるが、インプラントを使
用する際は特にこの点の研究が必要でそのためにも臨床
訓練が絶対に必要とされている。

然しなから現在歯科系大学、歯科医療技術者養成所等に
於ける歯科医療技術の研究や歯科医学生等に対する実習
教育に於て、歯冠補綴の場合、抜歯した自然歯、又は精
巧な人工歯を植立した顎体模型は入手が自由であるため
その歯科医療技術の研究、又実習教育が充分できるが、
インプラントによる補綴学およびその実習教育の場合は
歯肉粘膜部と歯槽骨を有する人体の顎骨は実際面で入手
困難であるためその研究や実習教育に支障をきたしてい
るのが実情であった。

本発明のインプラント補綴用顎体模型は歯科医療技術の
研究又実習教育を実際の人体の顎骨に近似した状態で歯
肉粘膜の切開剥離、歯槽骨の穿孔、人工歯根の挿入、更
に歯肉粘膜の縫合等の実習操作を可能にし、その性質と
感触を具備させた顎体模型で、その実施例を示し説明す
ると次の通りである。

即ち添附図面中第１図は本発明による顎体模型本体１の
内部態様を示す断面図、第２図は切開用メス２により模
型歯肉粘膜部３を切開する際の状態図、第３図は粘膜剥
離子４を使用して、模型歯肉粘膜部３と模型歯槽骨表層
部５とを剥離した際の状態図、第４図は模型歯槽骨表層
部５および模型歯槽骨部６を穿孔用コントラ、ラウンド
バー、タツプ．ハンドラチェット等のドリル７で穿孔８
している状態図、第５図は穿孔８に人工歯根９を挿入し
ている状態図、第６図は人工歯根９の先端部１０を突出
させ、模型歯肉粘膜部３を縫合針１１および縫合糸１２
で縫合をしている際の状態図、第７図は本発明の全体科
面図を夫々示す夫々の図面である。

次に本発明の顎体模型本体１に於ける構成部の各部分に
ついてその特徴を示せば次の通りである。

模型歯肉粘膜部３はインプラントの操作としての切開、
剥離、又縫合に適合した材料で構成されている。

即ち切開操作では適度の軟性により切開用メス２で切開
し易い特徴があり、又粘膜剥離子４での剥離操作でも適
度の軟性と、適度の強度により剥離時に破損しないよう
にするため軟性エポキシレジン、シリコンラバー、ニト
リルラバー、軟質ポリウレタンレジン等に、木綿、麻、
ナイロン、ビニロン等の繊維及び織布を混入し構成され
ているため、切開の際、又縫合操作の場合でも適度の軟
性と適度の強度により引裂けたりしない特徴を有する。

更に以上の各操作を行う際に対応する人体の口内歯肉粘
膜と同等の感触を具備しているため、その補綴操作をよ
り以上の効果をあげることができるものである。

又これらの材料で構成してある模型歯肉粘膜部３はゴム
硬度ＪＩＳ．Ａ．スケールで３５°程度、引張り強度５
５ｋｇ／ｃｍ２程度の材質が適当とする。

又模型歯槽骨表層部５はエポキシレジン、又は不飽和ポ
リエステルレジンを主材として構成してあり、ロツクウ
エル硬度、Ｒスケール１２０程度の材質が適当とする。

模型歯槽骨部６は、その内部をエポキシレジン又は不飽
和ポリエステルレジン等に軽石の細片、木材の細片およ
び他の多孔質な無機質の細片を混入して構成し、ロツク
ウエル硬度Ｒスケール２０程度の材質が適当とする。

即ち模型歯槽骨部６はインプラントの操作としての穿孔
、挿入に適した材料で構成しなければ人体の口内実習と
同様の効果のある訓練とはならない。

即ち穿孔操作ではドリル７を使用する場合、破損し難く
、又入工歯根９を挿入する操作では、例えばスクリュー
タイプ、プレートタイプ等の如く、回動、打ち込みと挿
入操作が異なっても、いづれも破損しないようにしなけ
ればならないが、本発明はその目的を容易にしかも効果
をあげることができるものである。

以上の如く本発明のインプラント補綴用顎体模型を使用
することにより、インプラントの研究とその実習教育が
より可能となり、現状のように必要な基礎医学的な諸問
題とその技術が不充分な際にその補綴学としての技術研
修に多大な貢献をもたらす発明である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の顎体模型本体の内部態様を示す断面図
、第２図は切開する際の状態図、第３図は剥離する際の
状態図、第４図は穿孔する際の状態図、第５図は人工歯
根を挿入する際の状態図、第６図は縫合する際の状態図
、第７図は本発明の有歯顎模型の全体斜面図、第８図は
同じく無歯顎模型の全体斜面図を夫々示す。 １……顎体模型本体、２……切開用メス、３……模型歯
肉粘膜部、４……粘膜剥離用子、５……模型歯槽骨表層
部、６……模型歯槽骨部、７……穿孔用ドリル、８……
穿孔、９……人工歯根、１０……先端部、１１……縫合
針、１２……縫合糸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 模型歯肉粘膜部を軟質合成樹脂、又は軟質合成ゴム
   と繊維質を用いて構成し、模型歯槽骨表層部を緻密な合
   成樹脂で構成し、模型歯槽骨部を多孔質の充填材を混入
   した合成樹脂で構成してあるインプラント補綴用顎体模
   型。 ２ 模型歯肉粘膜部を、軟性エポキシレジン、シリコン
   ラバー、ニトリルラバー、軟質ポリウレタンレジン等に
   、木綿、麻、ナイロン、ビニロン等の繊維および織布を
   混入構成し、ゴム硬度ＪＩＳ，Ａスケール３式引張り強
   度５５ｋｇ／ｃｍ２程度の材質を適描とした特許請求の
   範囲第１項記載のインプラント補綴用顎体模型。 ３ 模型歯槽骨表層部をエポキシレジン、又は不飽和ポ
   リエステルレジンを主材とし構成し、ロツクウエル硬度
   、Ｒスケール１２０附近の材質を適当とした特許請求の
   範囲第１項記載のインプラント補綴用顎体模型。 ４ 模型歯槽骨部をエポキシレンジ、又は不飽和ポリエ
   ステルレジン等に軽石、木材の細片および、他の多孔質
   な無機質の細片を混入して構成し、ロックウエル硬度Ｒ
   スケール２０附近の材質を適当とした特許請求の範囲第
   １項記載のインプラント補綴用顎体模型。