JPS5814223B2 - 透析「ろ」過装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は透析沢過装置に係り、特に血液などの体液の透
析、浄化装置において透析液側より体液側に透析液を押
し込んだり、逆に体液側から透析液側へ水を引き出した
りすることを繰返し行なうことによってヘモフイルトレ
ーション（ＨＦ）効果とヘモダイアリシス（ＨＤ）効果
とを兼ねた、高能率にして操作容易な透析を可能とし、
且つ従来のＨＦ装置では不可欠であった置換液の導入機
構をも不要とする透析炉過装置に関するものである。

近年、腎不全の患者の治療や生命の維持に血液またはそ
の成分などの体液を透析、浄化する装置、所謂人工腎臓
が広く用いられるようになって来ている。

かかる装置には、函体内にフイルム状、チューブ状或い
は中空繊維状のセルロース膜、例えばキュプロアンモニ
ウムレーヨン膜などの半透膜を収容しぐ浄化器（タイア
ライザー）が用いられ、これによって例えばＨＤ操作の
場合には、該半透膜を介して血液等の体液と透析液を接
触せしめることにより、患者の体液中に蓄積した尿素、
尿酸、水などを透析、除去せしめて正常に近い溶質濃度
の体液とし、これを再び患者の体内に戻すようにされ、
またＨＦ操作に際しては、該半透の炉過作用により血液
から主として不要な中分子量や低分子量物質を含む溶液
を引き出し除去する一方、血液に必要物質を含む溶液を
補給して体内に戻してまるようにされることとなる。

しかしながら、かかるＨＤ，ＨＰの除去機能に鑑みてこ
れら両者が同時に実施され得る装置が望まれているが、
ＥＦ並びにＨＤの双方の機能を同一装置で高能率に行な
い得て且つ操作容易である実用的に満足すべき装置はい
まだ開発されていないのである。

しかも、ＨＦ操作時には、必要物質を含む置換液を体内
に戻す置換液導入機構および置換液の注入速度、あるい
は不要物質を含む溶液の血液側よりの沢過速度の少なく
とも一方を制御するための機構が使用され、ＨＦ操作中
の体液の減少量および減少速度があらかじめ計画した様
になるべく制御しなければならない。

しかしその機構は非常に複雑な、また高精度のもので、
面倒な操作が必要であるという欠点があった。

また置換液それ自体の必要性、その輸送、保存などの問
題は、特別な機構の必要性とともに、ＨＦを高価なかつ
複雑な操作を必要とする方法にしている。

したがって、高能率な透析および涙過を可能とし、その
操作が容易であり、安価な透析涙過装置の開発は極めて
望ましいことである。

ここにおいて、本発明はかかる事情を背景にして為され
たものであって、その要旨とするところは、函体内に半
透膜を収容し、流通せしめられる血液などの体液を該半
透膜を介して透析液に接触せしめることにより、かかる
体液を透析、浄化する透析器と、該透析器に透析液を流
通せしめる透析液流通手段とを有する透析器において、
該透析器への透析液の単位時間あたりの流入量と該透析
器からの流出量との差を正から負へまた負から正へと繰
返し変化せしめる手段を設けて、前記半透膜を介して透
析液を体液内に押し入れ、ついで体液内から水分を引き
出す操作を繰返し行ない得るようにしたことにある。

そして上記体液側より透析液側への水分移動の際は同時
に中小分子からなる溶質（老廃物）の移動も行なわれる
のであるから、水分を引き出す量が多ければ多いほど多
量の老廃物が除去されることとなる。

一方、体液内の水分の不足を補うには、前記差（単位時
間あたりの透析器への透析液の流入量一単位時間あたり
の透析器よりの透析液の流出量）を正とすれば必要物質
を含む透析液が置換液として半透膜を介して自動的に体
液内に押し込まれるようになり、差引き適量の水分が体
液中より体外に引き出されるのであり、以て同一装置で
従来のＨＦ操作も、ＨＤ操作も兼ねて実施し得るのであ
る。

しかも透析装置の操作は極めて容易であり、また特別の
滅菌置換液および置換液導入機構を別に設ける必要もな
いので、その面倒な操作は完全に省略され得るのであり
、装置は小型化、簡略化され得て、そのコストも著しく
低減され得ることとなったのである。

以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を更に詳細に
説明する。

先ず、第１図は、本発明に係る装置の具体的な一例を示
す系統図である。

図において、１は血液浄化装置としての透析器（ダイア
ライザー）であり、内部にフイルム状、チューブ状ある
いは中空繊維状の半透膜を収容した函体より構成されて
いる。

該透析器１には、患者の体内から血液を導くための血液
供給流路２が接続され、そして該透析器１において浄化
された葡液が匍液送出流路３を通じて患者の体内に戻さ
れるようになっている。

また、該透析器１は透析液を器内に導くための透析液供
給流路４を有しており、更に該透析器１において半透膜
を介して而液に接触せしめられた透析液を排出しあるい
は該半透膜の沖過作用により抑液から取り出された不要
物質乃至は有害物質を排出するための透析液送出流路５
を有している。

そして、本発明に従って、透析液供給流路４および透析
液送出流路５上には、透析液給送機構としての所定の吐
出量を有する透析液供給ポンプ６と、体内よりの差引き
の水分予定除去量の分だけ透析液供給ポンプ６より吐出
量の多い透析液送出ポンプ７とがそれぞれ設けられてい
る。

そして前記透析液供給流路４にはシリンダとピストンに
よって内容積を変更し得るシリンダ装置８が設けられて
いるのである。

さらに葡液送出流路３の上と、透析液送出流路５の上の
液圧をそれぞれ圧トランスデューサーにて測定し、その
圧差がシリンダ装置８の内容積の減少するときおよび増
加するときに、それぞれ所定の圧差となるように、シリ
ンダ装置８の駆動装置１０を制御する制御装置９が設け
られている。

従って、かかる構成の装置を用いて葡液の浄化を行なう
に際しては、透析液送出ポンプ７と透析液供給ポンプ６
との吐出量の差が、体内からの差し引きの水分除去の予
定量となるような吐出量で作動させておく。

そして、透析器１内では透析液は一定の流量を保って定
常的に流れる状態にしておいて、シリンダ装置８の内容
積を０ｍｌから４０ｍｌに、また４０ｍｌからＯｍｌに
と経時的に除々に増威させるのである。

これは換言すれば透析液の供給ポンプ６から透析器１を
通って送出ポンプ７に至る流路の内容積を増減せしめる
ことである。

このシリンダ装置８の内容積を減少させることは、透析
液を正圧とし、透析器１内の半透膜を介して透析液を穐
液内に押し入れる結果となり、内容積を増加させること
は、透折液を負圧とし抑液内の水分を透析液内に引き出
す結果となるのである。

そして内容積の増減を交互に行なえば、血液内から引き
出す水量と押し入れる透析液量とは等しくなる。

すなわちシリンダ装置８の内容積の増加により、抽液側
より透析液側に、水分が移行したために生ずる抑液内の
水分の不足量は次に起きるシリンダ装置８の内容積の減
少によって透析液の抑液側への移行によって補充される
ために、特別の置換液および置換液導入機構が全く不要
となるのである。

また、而液送出流路３と透析液送出流路５の圧差がシリ
ンダ装置８の内容積の増加および減少のそれぞれの相に
おいて、それぞれ所定の圧差となるように制御装置９に
よりシリンダ駆動装置１０の駆動を制御している。

それ故半透膜はその沢過能力の最大を安全に利用され得
るのである。

したがって、以上の装置は透析（ヘモダイアリシス、Ｈ
Ｄ）操作を行ないつつ、有効的安全かつ正確に体液置換
を行ない得るものであり、従来のＰ過量と置換液の注入
量を制御するための複雑な装置も特別の置換液も必要と
せず、装置全体として簡略化、コンパクト化、低コスト
化されることは勿論、ダイアフィルトレーション（ＨＤ
Ｆ）という方法自体を安全かつ低コストなものとする。

次に本発明の別の実施例を第２図に基づいて説明する。

なお第１図と同一番号は同一又は同様な部分を表わすも
のである。

そして本実施例には前実施例におけるシリンダ装置８は
存在せず、代りに透析液供給ポンプ６′および／または
透析液送出ポンプ７′の吐出量が可変である。

一例として透析液供給ポンプ６′の吐出量が一定であり
、透析液送出ポンプ７′の吐出量が可変である場合に、
前者より後者の方が吐出量が犬であれば、透析液には陰
圧（負圧）が作用し透析器１内においては葡液中の水分
が透析液内に移行する。

また逆に前者より後者の方が吐出量が小であれば、透析
液には陽圧（正圧）が作用するので透析液が抑液中へ移
行するのである。

一方、逆に透析液供給ポンプ６′の吐出量を可変とし、
透析液送出ポンプ７′の吐出量を一定とする場合には、
前者が後者より吐出量が犬であれば、透析液には陽圧が
作用し、前者が後者より吐出量が小であれば透析液には
陰圧が作用して抑液と透析液間の水分の移行が行なわれ
る。

また両ポンプ６／，７／の吐出量が共に可変である場合
には、両ポンプの吐出量の差が透析液の陰陽圧を決定す
るのである。

そして可変ポンプの吐出量を交互に増減させることによ
って、透析器１内の半透膜を介して透析液を而液内に押
し入れ、次いで抽液内より水分を引き出すという操作を
くり返し行ない得るのであり、これによって体液を透析
しつつその置換を行ない得ることは前実施例と同様であ
る。

以上、本発明に係るー，二の実施例について説明してき
たが、本発明はかかる実施例のみに、また該実施例の記
載によって何等制限を受けるものではなく、本発明の趣
旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づき種
々なる変更、改良等を加え得るものである。

例えば透析流路内の内容積を変化せしめる手段としては
、シリンダ装置を設けたが、これは圧迫またはけん引に
よって内容積の変化する袋状の装置でも差し支えない。

また、透析器への透析液の流入量および透析器よりの流
出量を変化させるのに、透析液送出ポンプおよび／また
は透析液供給ポンプの吐出量を変化させる手段を用いた
が、これらの両ポン／の吐出量を制御しておき、これら
のポンプとそれぞれバイパスとなるような第三、第四の
ポンプを設けて、これらを交互に作動させても差し支え
ない。

また、シリンダ装置８を透析液供給流路４に設けたが、
透析液の供給ポンプ６から透析器１を通って透析液送出
ポンプ７に至る流路内に設けられて何等差支えないので
ある。

このように、本発明は、体液の置換および透析などを正
確、安全且つ容易に制御し得るようにしたものであり、
しかも従来の如き置換液導入機構のような複雑な附属装
置および静脈点滴用の特別な置換液を使用することなく
、極めて簡単な機構による而液浄化操作を可能にして、
装置の小型化、コンパクト化、低コスト化を図ったとこ
ろに大きな特徴を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す系統図であり、第２
図は本発明の他の実施例に係る装置の系統図である。 １：透析器、２：抽液供給流路、３：＊液送出流路、４
：透析液供給流路、５：透析液送出流路、６，６’：透
析液供給ポンプ、７，７′：透析液送出ポンプ、８：シ
リンダ装置、９：シリンダ装置駆動制御装置、１０：シ
リンダ駆動装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 函体内に半透膜を収容し、流通せしめられる血液な
   どの体液を該半透膜を介して透析液に接触せしめること
   により、かかる体液を浄化するようにした透析器と、該
   透析器に透析液を流通せしめる透析液流通手段とを有す
   る装置において、該透析器への透析液の単位時間あたり
   の流入量と該透析器からの単位時間あたりの流出量との
   差を負より正へ、次いで正より負へと交互に変化せしめ
   る手段を設けて、前記半透膜を介して透析液を体液内に
   押し入れ、次いで体液より水分を引き出す操作を繰返し
   得るようにしたことを特徴とする透析洲過装置。 ２ 前記透析液流通手段として、前記透析器への透析液
   供給流路及びそれからの透析液送出流路に、吐出量が制
   御され得る透析液の供給手段と送出手段とをそれぞれ設
   け、且つ該供給手段から透析器を通って該送出手段に至
   る透析液流路の内容積を増加せしめ、次いで減少せしめ
   ることを繰返す手段を該透析液流路に設けて、前記半透
   膜を介して透析液を体液内に押し入れ、次いで体液より
   水分を引き出す操作を繰返し得るようにしたことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の透析涙過装置。 ３ 前記透析液流通手段として透析液供給流路及び透析
   液送出流路にそれぞれ設けられる透析液の供給ポンプと
   送出ポンブの少なくとも一方が吐出量可変のポンプであ
   り、該供給ポンプの吐出量と該送出ポンプの吐出量の差
   が経時的に正から負へ、負から正へと変化せしめられる
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の透析瀘過
   装置。 ４ 吐出量が制御されている透析液供給手段より透析器
   を通って吐出量が制御されている透析液送出手段に至る
   流路の内容積を変化させるための前記手段に対して、半
   透膜を介して体液側と透析液側との圧差が、透析液を体
   液内に押し入れる操作中およびそれから水分を引き出す
   操作中に、それぞれ所定の圧差となるように、該流路内
   容積を変化せしめるための該手段の作動を制御する手段
   を設けたことを特徴とする特許請求の範囲第２項記載の
   透析涙過装置。 ５ 前記透析液の供給ポンプと送出ポンプの少なくとも
   一方が吐出量可変のポンプであり、両ポンプの吐出量の
   差が経時的に正から負へ、負から正へと変化せしめられ
   るようにされた装置において、体液側と透析液側との圧
   差が所定の範囲内になるように、該ポンプの吐出量を制
   御する手段を設けたことを特徴とする特許請求の範囲第
   ３項記載の透析炉過装置。