JPS58132B2 - 一括絶縁被覆通信ケ−ブル製造装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は一括絶縁被覆通信ケーブル、特に平衡ケーブル
の製造装置に関する。

従来の平衡ケーブルは、まず一本の導体に絶縁体を被覆
して心線を形成し、つぎに２本あるいは４本の心線を撚
合せて対またはカッドを製造していた。

したがって、この方法によれば、絶縁被覆工程と撚合せ
工程が別工程となり、生産性の向上を阻んでいた。

また、ケーブルの損失は同一対内または同一カッド内の
導体間距離によってほぼ定まり、地対または他カッドの
導体が接近しても損失に大きな変化はない。

したがって、対またはカッドの導体から外側の部分の絶
縁厚は薄くてよく、薄くすることによって対またはカッ
ドの外径を小さく保ち、ケーブルの収容対数を増すこと
ができる。

しかし、従来のように、導体の一本一本に絶縁体を被覆
し、これらを撚合せて対またはカッドを形成する方法で
は、対またはカッドを構成している線間の距離を大きく
保って、しかも対またはカッドの外側の絶縁厚を薄くす
ることはできないという欠点があった。

本発明の目的は、したがって、導体の一本一本に絶縁体
を被覆する必要のない、通信ケーブルを一工程で製造す
ることを可能にする、高い生産性を有する一括絶縁被覆
通信ケーブル製造装置を提供することである。

上記目的を達成するために、本発明による一括絶縁被覆
通信ケーブル製造装置は、複数本の線状絶縁体を横断面
の寸法が長手方向に周期的または無作為に変動するよう
に押出し成形する線状絶縁体押出し装置と、裸導体また
は絶縁体を薄く被覆した導体を送り出す導体送出し装置
と、上記線状絶縁体および上記裸導体または絶縁体を薄
く被覆した導体を所定の位置に位置決めする分線板と、
上記複数本の線状絶縁体の束の表面または線状絶縁体の
間隙に上記裸導体または絶縁体を薄く被覆した導体を配
置する撚合せダイスと、そのようにして撚線にさらに撚
りを加える撚合せ装置と、それらの外側に絶縁体を被覆
する、上記撚合せ装置の下流に設けられた絶縁被覆装置
と、絶縁被覆を施したケーブルを巻き取る巻取り装置と
を有することを要旨とする。

以下に、陰口を参照しながら、実施例を用いて本発明を
一層詳しく説明するけれども、それらは例示に過ぎず、
本発明の枠を越えることなしにいろいろの変形や改良が
あり得ることは勿論である。

第１図は本発明による一括絶縁被覆通信ケーブル製造装
置を図式的に側面図で示す。

図中、１は中心線状絶縁体、２は線状絶縁体、３は裸導
体または絶縁体を薄く被覆した導体、４は中心線状絶縁
体押出し装置、５は冷却装置、６は導体送出し装置、７
は導体送り出しボビン、８は線状絶縁体押出し装置、９
は押出しヘッド、１０は冷却装置、１１は分線板、１２
は撚合せダイス、１３はＳｚ撚合せ装置、１４は回転フ
レーム、１５は貯線部、１６は絶縁被覆装置、１７は冷
却装置、１Ｂは巻取り装置である。

中心線状絶縁体１は中心線状絶縁体押出し装置４によっ
て押出し成形され、冷却装置５によって冷却される。

また、線状絶縁体２は線状絶縁体押出し装置８によって
同時に４本押し出され、冷却装置１０で冷却されて形成
される。

一方、裸導体または絶縁体を薄く被覆した導体３は導体
送出し装置６に装着された導体送出しボビン７から送り
出される。

前述の装置の下流には分線板１１が設けられており、中
心線状絶縁体１、線状絶縁体２、裸導体または絶縁体を
薄く被覆した導体３は第３図乃至第４図に示した配列に
対応して位置決めされた後、次の撚合せダイス１２に挿
入されるみ第２図は撚合せダイス１２における撚合せ状
態の斜視図である。

撚合せダイス１２を通過した撚線はＳＺ撚合せ装置１３
に導かれる。

ここでは、回転フレーム１４が貯線部１５の貯線長ｌを
周期として回転方向が反転し、このためＳＺ撚合せ装置
１３から長さｌごとにＳ撚り部とＺ撚り部が交替するＳ
Ｚ撚線が下流に送り出される。

この撚線は最後に絶縁被覆装置１６によって外側を被覆
されたのち、冷却装置１７を通って巻取り装置１８に巻
き取られる。

この場合、巻取り装置１８の上流に引増り装置を設けて
もよいが、第１図の装置においては、ＳＺ撚合せ装置１
３の貯線部が引増りキャプスタンの役目も果すことにな
るので、引増り装置を省略することができる。

また、導体送出し装置に撚返し装置を附加してもよい。

以下に、第１図における線状絶縁体押出し装置８につい
て詳細に説明する。

第５図は線状絶縁体押出し装置８の押出しヘッド９の縦
断面図、第６図は第５図のＶＩ−ＶＩ線に沿う横断面図
で、図中１９は押出しノズル、２０は押出し孔、２１は
樹脂通路、２２は揺動分流体、２３は軸である。

これは押出しヘッド９の樹脂通路２１の中に軸２３のま
わりで揺動できる揺動分流体２２を押出しノズル１９の
直前に設けたもので、ここから押し出される線状絶縁体
の径を長手方向に無作為に変化させるものである。

以下にこの押出しヘッドの動作を説明する。

同一内径の４個の押出し孔２０を有する押出しノズル１
９には常時は同一量の樹脂が流入するが、揺動分流体２
２が何らかの原因で、例えば時計の針の方向に僅かに揺
動すると、第６図で上方の押出し孔の方に多くの樹脂が
流入案内されて、この押出し孔から押出される線状絶縁
体の径は僅かに増大し、下方の押出し孔から押出される
線状絶縁体の径は僅かに細くなる。

このような樹脂の流れの状態は長くは続かない。

樹脂通路２１の揺動分流体２２の下側の流れの流路が僅
かに狭くなり、したがって抵抗が増大して圧力が高まる
ために、今度は揺動分流体２２は逆に時計の針とは反対
の方向に僅かに回転して、前述とは逆の状態となり、こ
のことによって下方の線状絶縁体の径が僅かに増大し、
上方の線状絶縁体の径が減少することになる。

揺動分流体２２の揺動開始時には樹脂の流れについての
種々の因子が複雑に絡み合うため、この運動は極めて無
作為に起こると考えてよく、したがって線状絶縁体の径
の変化も無作為であると見なすことができる。

第７図は押出しヘッド９の他の実施の態様の縦断面図で
、２４は支持軸である。

揺動分流体２２の後部に球状の凹部が設けられ、この凹
部に支持軸２４の球状先端部を嵌め込んだもので、揺動
分流体２２の先端部は支持軸２４の先端部を中心にある
範囲内で揺動できるようになっている。

このようにすることによって、樹脂通路２１の樹脂の流
れは、第５図におけるような上下の変化だけではなく、
左右の変化も加わり、押出される線状絶縁体の径は第５
図の場合に比較しさらに無作為に変化する。

第８図は押出しヘッド９のさらに他の一つの実施の態様
における側面図で、２５はクランク軸、２６は連結ロッ
ド、２７は駆動円板、２８は駆動軸である。

これは第５図に示した揺動分流体２２に、押出しヘッド
９に対して回転可能なように設けた軸２３を固定し、さ
らに軸２３を押出しヘッド９の外部へ延長させてここに
クランク軸２５を取り付け、クランク軸２５の他端に駆
動円板２Ｔにウリ付けた連結ロッド２６を装着したもの
である。

駆動円板２７は駆動軸２８によって一方向に回転するが
、この回転は連結ロッド２６の往復運動となってクラン
ク軸２５に伝えられる。

第８図において、クランク軸２５は左右に振子運動をす
るが、これにともなって押出しヘッド９の内部の揺動分
流体２２は上下に振子運動を行なう。

駆動円板２７の回転速度が一定であれば、揺動分流体２
２の振子運動は周期的なものとなる。

このような装置を用いれば、樹脂通路２１の樹脂の流れ
は周期的に変化し、押し出される線状絶縁体の径は周期
的に変化する。

第９図は押出しヘッド９のさらに他の一つの実施の態様
における縦断面図で、２９Ａ、２９Ｂはコイル、３０は
直流電源、３１は交流電源である。

これは第５図において、押出しヘッド９の内部にコイル
２９Ａを埋め込み、揺動分流体２２の内部にコイル２９
Ｂを埋め込んだものである。

押出しヘッド９の内部に埋め込まれたコイル２９Ａは直
流電源３０によって矢印の方向に一定の磁界を発生し、
揺動分流体２２に埋め込まれたコイル２９Ｂは交流電源
３１によって交番磁界を発生する。

このようにすることによって揺動分流体２２は第８図に
示したように上下に振子運動をし、交番磁界が一定の周
期で変化すれば、押し出される線状絶縁体の径も周期的
に変動する。

この場合、直流電源３０を揺動分流体２２のコイル２９
Ｂに接続し交流電源３１を押出しヘッド９のコイル２９
Ａに接続しても全く同様の結果が得られる。

また、直流電源に接続されるコイルの代りに永久磁石を
使用することもできる。

なお、このような揺動分流体２２の駆動方法が第７図の
ような押出しヘッド９にも適用できることは明らかであ
る。

以上説明した装置を使用することによって、長手方向に
無作為に、または周期的に径が変動している線状絶縁体
を有する通信ケーブルの製造が可能となる。

本発明による装置を使って製造されるカッドの構造の例
を第３図および第４図に横断面図で示す。

図中、３２は外側の絶縁体である。これらの図において
、線状絶縁体２の径は長手方向に無作為に、または周期
的に変化しているので、導体間距離も長手方向に無作為
に、または周期的に変化している。

したがって、各導体間の静電容量Ｘ１．Ｘ２．Ｘ３．Ｘ
４も無作為に、または周期的に変動し、各導体間の静電
容量によって与えられる静電容量不平衡ｋ（＝Ｘ１−Ｘ
２＋Ｘ３−ｘ４）はカッド全体としては平均的に零にな
る。

静電容量不平衡にはカッド内の漏話特性に寄与し、静電
容量不平衡ｋが小さいほど漏話特性は良好となるため、
本発明の装置を使って製造したカッドは通信ケーブルと
して望ましいものとなる。

中心線状絶縁体は必ずしも必要ではない。

第１０図は第１図において中心線状絶縁体押出し装置４
を省略して製造した通信ケーブルの断面図である。

この通信ケーブルも、第３図および第４図に示す通信ケ
ーブルにおけると同様に、線状絶縁体２の径は無作為ま
たは周期的に変動しており、優れた漏話特性を持ってい
る。

なお、第１図において、Ｓｚ撚合せ装置の代りに通常の
巻取り回転型撚合せ装置を用いて、撚線を一且ボビンに
巻き取り、再びこれを送出しとしてセットしてここから
送り出された撚線に絶縁被覆装置１６による外部被覆の
形成工程以降の工程を与えてもよい。

また、第１図のＳＺ撚合せ装置１３を省略して巻取り装
置１８の代りに巻取り回転撚合せ装置を用いてもよい。

また、絶縁被覆装置１６としては絶縁体押出し装置でも
よいし、絶縁テープ巻付は装置でもよい。

さらに、分線板１．１の直前の工程で線状絶縁体を形成
してボビンに巻き取っておき、別工程でこれらと裸導体
または絶縁体を薄く被覆した導体を撚り合せ、その外側
に絶縁被覆を行なってもよい。

以上の実施の態様においては、導体が４本の通信ケーブ
ルについて述べたけれども、導体が何本であっても同様
に良く本発明による装置を使用することができることは
明らかである。

以上説明したように、本発明による一括絶縁被覆通信ケ
ーブル製造装置を使用することによって、（１）心線製
造工程を省略できるので、生産能率の向上をはかること
ができる、（ｉｉ）線状絶縁体の径が長手方向に無作為
または同期的に変化しており、優れた電気的特性を有す
る通信ケーブルを得ることができる、（ｉｉｉ）絶縁被
覆装置によってかぶせられる絶縁外被の厚さを導体間の
間隔とは無関係に調節することができるので、従来のも
のに較べ小さな外径のケーブルを製造することができる
、等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による一括絶縁被覆通信ケーブル製造装
置の図式的な側面図、第２図は第１図に示す装置の撚合
せダイスにおける撚合せ状態を示す斜視図、第３図、第
４図、および第１０図は本発明の装置を使って得られる
３種類の通信ケーブルの断面図、第５図は本発明の一実
施の態様における線状絶縁体押出し装置の押出しヘッド
の縦断面図、第６図は第５図に示す押出しヘッドのＶＩ
−■線に沿う横断面図、第７図および第９図は本発明の
他の二つの実施の態様における線状絶縁体押出し装置の
押出しヘッドの縦断面図、第８図は本発明のさらに他の
一つの実施の態様における線状絶縁体押出し装置の押出
しヘッドの側面図である。 １…中心線状絶縁体、２…線状絶縁体、３…裸導体また
は絶縁体を薄く被覆した導体、４…中心線状絶縁体押出
し装置、５…冷却装置、６…導体送出し装置、１…導体
送出しボビン、８…線状絶縁体押出し装置、９…押出し
ヘッド、１０…冷却装置、１１…分線板、１２…撚合せ
ダイス、１３…ＳＺ撚合せ装置、１４…回転フレーム、
１５…貯線部、１６…絶縁被覆装置、１７…冷却装置、
１８…巻をり装置、１９…押出しノズル、２０…押出し
孔、２１…樹脂通路、２２…揺動分流体、２３…軸、２
４…支持軸、２５…クランク軸、２６…連結ロンド、２
７…駆動円板、２８…駆動軸、２９Ａ…コイル、２９Ｂ
…コイル、３０…直流電源、３１…交流電源、３２…外
側の絶縁体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 複数本の線状絶縁体を横断面の寸法が長手方向に周
   期的または無作為に変動するように押出し成形する線状
   絶縁体押出し装置と、裸導体または絶縁体を薄く被覆し
   た導体を送り出す導体送出し装置と、上記線状絶縁体お
   よび上記裸導体または絶縁体を薄く被覆した導体を所定
   の位置に位置決めする分線板と、上記複数本の線状絶縁
   体の束の表面または線状絶縁体の間隙に上記裸導体また
   は絶縁体を薄く被覆した導体を配置する撚合せダイスと
   、そのようにして得られる撚線にさらに撚りを加える撚
   合せ装置と、それらの外側に絶縁体を被覆する、上付撚
   合せ装置の下流に設けられた絶縁被覆装置と、絶縁被覆
   を施したケーブルを巻き取る巻取り装置とを有すること
   を特徴とする一括絶縁被覆通信ケーブル製造装置。