JPS581252B2 - 蒸気タ−ビンの低圧ケ−シング - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、蒸気タービンの低圧ケーシングに係り、より
詳しくは、ケーシングを一重化するためのケーシングの
温度差による変形防止構造に関する。

従来の低圧タービンのケーシングは、内筒と外商とから
なる２重化構造を有している。

しかし、近年のタービンのコンパクト化及び価格の低減
の要求から、一重化したケーシング構造が開発されてい
る。

この一重化した構造の例として、第１図に示すものがあ
る。

第１図において、１はクロスオーバ管であり、ケーシン
グの中央に形成した蒸気導入部２の蒸気導入口２ａに接
続されて高温高圧蒸気をケーシング内に導入するもので
ある。

５はケーシング胴体であり、該胴体内には静翼９を装着
したダイヤフラム３及び該ダイヤフラムを支持するダイ
ヤフラムサポート７が取付けられており、また外側には
軸方向に複数枚の補強リブ６が取付けられている。

４は胴体５の両端に設けられ、タービンで仕事をした低
圧低温蒸気が排気される排気室である。

８はロータ軸１０に設けた動翼である。

このように一重化したケーシングにおいて、蒸気導入部
２と胴体５内には高温蒸気が流れ胴体５め外面は大気と
接しているため、胴体５の内外の温度差はかなり大きな
ものとなる。

このため、胴体５の剛性増大を目的として補強リブ６が
複数枚設置されているのであるが、前記温度差によって
蒸気導入部２と胴体５の各部に熱変形を生じることは避
けられず、特に蒸気導入部２と胴体５との溶接部付近に
おける熱変形及び熱応力の発生が過大となる。

一方、ダイヤフラム３を支持するダイヤフラムサポート
７と胴体５とは溶接によって強固に結合されているため
、前記蒸気導入部２と胴体５との溶接部付近の変形は直
接ダイヤフラムサポート７の変形となり、更にこれらの
変形は、タービン軸１０に組込まれた動翼８とダイヤフ
ラム３の軸方向及び半径方向の間隙を変化させ、タービ
ン効率の低下あるいはダイヤフラム３と動翼８の摺損等
といった現象を発生させることとなる。

本発明の目的は、上記した一重化ケーシングにおいて、
過犬な熱変形、熱応力の発生を防止しうる構造のものを
提供するにある。

本発明の特徴は、ケーシング胴体の外側に該胴体との間
に空間部を形成して胴体外面が直接大気と接しないよう
にする温度差緩衝板部材を設けたことにある。

次に本発明の一実施例を第２図ないし第４図により説明
する。

第２図は本発明による温度差緩衝板部材１１を備えた低
圧ケーシングの縦断面図、第３図は第２図の要部拡大図
、第４図は第３図のＢ−Ｂ断面図である。

第２図ないし第４図において、第１図と同一符号は同一
の構成要素を示している。

６ａは胴体５の外面に軸方向に配設した補強リブ、６ｂ
は蒸気導入部２の壁面２ｂに半径方向に配設した補強リ
ブである。

１２ａは補強リブ６ｂの径方向の外端にそれぞれ溶接固
定したサポート、１２ｂは補強リブ６ａの軸方向の外端
に、排気室４端部４ａから内方向に突出するような形で
それぞれ溶接固定したサポートであり、これらのサポー
ト１ ２ ａ ，１ ２ ｂにはボルト１３を螺合する
ねじ穴を有しており、コーン状をなしかつ数ｎ程度の薄
い板材でなる温度差緩衝板部材１１は、その軸方向両端
部に、ボルト１３を挿通するばか穴を有している。

そして、この温度差緩衝板部材１１は、軸方向の両端を
サポート１ ２ ａ ，１ ２ ｂの外面に当てワツシ
ャ−１４を嵌めたボルト１３を温度差緩衝軸のばか穴に
挿通し、サポート１２ａ，１２ｂのねじ穴に該ボルト１
３をねじ込むことにより固定される。

なお１６は蒸気導入部の補強管このように温度差緩衝板
部材１１を取付けてその内面と胴体５の外面との間に空
間部を形成することにより、ケーシングを構成する蒸気
導入部の壁面２ｂ及び胴体５の外面は直接大気と接する
ことはなくなる。

従ってケーシング各部の温度差は小さくなるので、熱応
力、熱変形を小さなものとすることができる。

また、前記のように、ボルト１３と温度差緩衝板部材１
１とは間隙を有する組立てになっている為、タービン軸
方向あるいは半径方向の変形もボルト１３の部分で吸収
しうる。

更に、温度差緩衝板部材１１の内側には、前記空間部を
周方向に区分する仕切板１５が設けられ）でいるので、
空間部の対流を防止することができ、これによってケー
シング内に流入する蒸気と前記空間部の大気との温度差
が全周にわたって均一となり、温度むらによる熱応力の
発生を防止している。

なお、図示のように、仕切板１５と胴体５外面及び蒸
気導入部の壁面２ｂとの間に若干の隙間１７を形成して
空間部の空気を連通させることにより、胴体あるいは蒸
気導入部壁面２ｂの熱が直接仕切板１５に伝達されない
ようにしている。

ま冫たこの隙間１７は仕切板１５で仕切られた各部屋の
温度差をなだらかに変化させる役目を果している。

また、前記の実施例においては、温度差緩衝板部材１１
を、そのばか穴にボルト１３を挿通ずることによって取
付ける例を示したが、前記温度差緩衝板部材１１をボル
ト以外の固着手段によって取付けるようにしてもよい。

以上述べたように、本発明においては、ケーシング胴体
外周に温度差緩衝板部材を設けたので、ケーシングの温
度差を小さくすることができ、これによって熱応力、熱
変形を小さいものに抑えることができる。

従って、ケーシングの熱変形に伴うダイヤフラムの変位
によって起こる静翼と動翼間の間隙の変化、あるいは摺
損事故の発生を防止することができ、価格及び重量の面
で二重化ケーシングに比較して極めて有利である一重化
ケーシングを実現する上で、安定性に優れかつ効率低下
のおそれのないものを得ることができる。

また、ケーシングの軸方向あるいは半径方向の変形も固
着手段の部分で吸収することができる。

図面な簡単な説明 第１図は従来技術による低圧ケーシングの縦断面図、第
２図は本発明による低圧ケーシングの一実施例を示す縦
断面図、第３図は第２図の要部拡大図、第４図は第３図
のＢ−Ｂ断面図である。

１……クロスオーバ管、２……蒸気導入部、３……ダイ
ヤフラム、４……排気室、５……胴体、６ａ，６ｂ……
補強リブ、１１……温度差緩衝板部材、１２……サポー
ト、１３……ボルト、１５……仕切板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ケーシングの中央部分に設けられ、上方に高圧高温
   蒸気をケーシング内に導入する蒸気導入口を有する蒸気
   導入部と、ケーシング内に静翼を支持するように設けら
   れたタービンダイヤフラムと、ケーシングの軸方向の両
   端に設けられ、タービン内で仕事をした低圧低温蒸気が
   排出される排気室とを備えた蒸気タービンの低圧ケーシ
   ングにおいて、前記蒸気導入部と排気室とを連結する胴
   体の外周に、該胴体を囲み、胴体外周面との間に空間部
   を形成するように温度差緩衝板部材を設け、該温度差緩
   衝板部材は、その軸方向の両端を、前記蒸気導入部と排
   気室端部よりそれぞれ突出させたサポートに固着手段に
   より固定する構造とし、かつ前記温度差緩衝板部材の取
   付部に該固着手段と係合する穴部を設けて変形を吸収す
   る構造としたことを特徴とする蒸気タービンの低圧ケー
   シング。 ２ 前記温度糸緩衝板部材は、前記蒸気導入部が大径と
   なるコーン状をなし、かつ薄板でなることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の蒸気タービンの低圧ケーシ
   ング。 ３ 前記温度差緩衝板部材の内周に前記空気部を周方向
   に区分する仕切板を複数個配設したことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項記載の蒸気タービンの低圧ケーシン
   グ。