JPS5811311B2 - 低温高靭性鋼の高能率多電極自動ア−ク溶接法 - Google Patents

低温高靭性鋼の高能率多電極自動ア−ク溶接法

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JPS5811311B2
JPS5811311B2 JP3497977A JP3497977A JPS5811311B2 JP S5811311 B2 JPS5811311 B2 JP S5811311B2 JP 3497977 A JP3497977 A JP 3497977A JP 3497977 A JP3497977 A JP 3497977A JP S5811311 B2 JPS5811311 B2 JP S5811311B2
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low
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arc welding
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成夫 藤森
幸三郎 大谷
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は低温靭性の優れた厚手鋼板の高能率自動アーク
溶接法に関するものである。
近年、石油や天然ガスの開発が北海、アラスカさらには
シベリャなどの極北地へ進出しているのは衆知のとおり
で、その掘削、積出し設備としての海上構造物や長距離
輸送手段としてのパイプラインの建設がきわゆて盛況を
呈している。
このような用途に主として使われる素材は言うまでもな
く大径溶接鋼管であり、経済的な見地より大径化と一層
の厚肉化の傾向にある。
この高品質な鋼管を安価にかつ大量供給するため、その
製造法は大部分がU−0−Eやスパイラル、さらにはベ
ンテング・ロールなどの造管法によっている。
これらの造管法は成形法の違いこそあれ、鋼板の開先加
工→成形→仮付溶接→内面溶接→外面溶接→検査といっ
た製造工程ではほとんど相違はない。
これら諸工程のうち溶接工程についてみると、ウラはつ
りの有無、単層盛と多層盛溶接の違いなどはあるが、U
−0−E方式やスパイラル方式のように主として板厚が
あまり厚くない鋼管を対象としている造管法では、ウラ
はつりをしないでしかも内面および外面溶接ともlパス
で完了することが造管能率からみて好ましいことは言う
までもない。
この目的に対して多電極のサブマージ・アーク溶接は最
適で、その溶接速度も3m/fT′1in以上の高速化
が可能である。
したがって、上記のU−0−Eなどの量産設備にはかな
らずサブマージ・アーク溶接が採用され、高品質な大径
鋼管が効率よく造管されてきた しかしながら、最近に
なり海上構造物の大型化をはじめとして、パイプライン
の深海底化、さらには大半を占めているガスラインパイ
プの高圧化などにより、従来と較べて厚手鋼管に対する
需要が急増しつつある。
ところで、このような厚手鋼管でしかも極寒地の使用性
能が要求されるようになると、技術的に種々の課題が生
じてくる。
すなわち良好な強度、靭性はもちろんのこと溶接性も兼
ねそなえた素材の開発が必要なことは当然として、さら
に造管溶接後その溶接継手の低温靭性を確保しかつ能率
の高い溶接法も必要である。
従来がら造管溶接に採用されているサブマージアーク溶
接法では、板厚の増大につれ所要溶接量が増えるため、
内・外面1パス溶接を実施しようとした場合溶接入熱量
の増大に伴う溶接部の低温靭性の低下が問題となる。
この対策として大入熱の両面1パス溶接条件でも低温靭
性の優れた溶接金属かえられる溶接材料の開発や熱影響
部が脆化しない鋼板の研究などが精力的になされている
Ti、B添加溶接金属の結晶粒微細化やTiN添加鋼板
による熱影響部結晶粒の粗大化抑制などをはじめとして
若干の好結果をえているが、このような溶接材料や鋼板
をもってしても、例えば−50℃のような低温において
良好な溶接部靭性を確保する迄に至っていない。
したがって、溶接部の低温靭性を確保するためには溶接
入熱量を制約して多層盛溶接をしなければならず、溶接
能率がいちじるしく慢性にされるこのような多層盛サブ
マージ・アーク溶接では、溶接層数に比例して純溶接タ
イムが増加するにとどまらず、各溶接パス毎にスラグの
除去作業がl要であることと、さらに予熱層間温度の管
理のため初層では予熱作業さらには上層の溶接では冷却
持ちのロス・タイムが加わる。
以上説明したとおり、低温靭性の要求される厚手鋼板を
従来のサブマージ・アーク溶接法で溶接加工せんとすれ
ばきわめて能率が低い、安価な成品を量産できなくなる
本発明はかかる問題点を解決するために種々研究の結果
開発されたもので、U−0−E鋼管のような量産を必要
とする溶接工程でも能率的でしかも低温高靭性の溶接部
を確保することを可能にした。
すなわち、本発明は3電極以上5電極までの多電極自動
アーク溶接装置を用いてルート・フェース3朋以上有す
る両面開先の突合せ継手をウラはつりなしで両面1ラン
溶接する施工法において、少なくともその第1電極にC
≦0.06%、P<0.009係、S≦0.009係に
制限した軟鋼もしくは低合金鋼ワイヤを使用してArを
主体とする混合ガスシールドによるMIG溶接法で初層
の溶接ビードを形成するとともに、後行電極群の1電極
もしくは2電極についてC≦0.15%、Si≦0.5
0%、P≦0.020%、S≦0.020%およびMn
(%)+1.5Mo(%)+0.15Ni(%)が1.
7%以上3.2%未満よりなるMn≦3.2%、Mo≦
1.5チ、Ni≦12%の1種以上を含有する低合金鋼
ワイヤを使用し、その後行電極群が全溶接入熱量で24
×103ジユ一ル/cm以上58×103ジュール/c
m未満となるサブマージ・アーク溶接法により最終層溶
接ビードを形成させることを特徴とする低温高靭性の高
能率多電極自動アーク溶接法であって、本発明による溶
接法を採用すれば従来溶接継手部の脆化防止のため入熱
制限により多層盛溶接を行なっていた自動アーク溶接法
の溶接能率を飛躍的に向上することができる。
なお、ここでいう[少なくともその第1電極にC<0.
06係、P≦0.009係、S≦0.009係に制限し
た軟鋼もしくは低合金鋼ワイヤを使用してArを主体と
する混合ガスシールドによるMIG溶接法で初層溶接ビ
ードを形成する」というのは、多電極自動アーク溶接装
置の先行電極側から第1電極目を但の後続電極に対して
独立した位置に設定して初層溶接ビードを形成するもの
である。
したがって、厚手材の溶接のような場合において、この
第1電極のMIGアーク溶接と後行電極群のサブマージ
・アーク溶接との間に必要に応じてガスシールドアーク
の中間電極群を入れることがあるが、この中間電極群で
形成される中間溶接ビード層は溶接割れや低温靭性の低
下がとくに問題とならないので、必ずしも第1電極のよ
うな溶接ワイヤのC,P、Sの制限はしなくともよいと
いうことである。
すなわち初層溶接ビードを形成する第1電極に対しては
以下に記載するとおり、溶接割れのない、かつ低温靭性
の優れた溶接部を得るためには、少なくともC,P、S
を制限しなければならないということを意味する。
以下、本発明の具体的内容を詳細に説明する。
まず、本発明がルート・フェース3mm以上の突合せ継
手の両面開先についてかつウラはつりなしで各々1ラン
溶接する場合を対象としているのは以下の理由による。
厚手鋼板の自動溶接施工でその溶接能率を上げようとし
た場合まず第1に考えられるのは開先断面積を小さくし
所要溶接量を可能なかぎり減らすことにある。
この場合第1図、第2図によって説明すると、当然のこ
とながら母材1の板厚tが同一であれば第1図のような
片面開先2よりも第2図のような両面開先2′の方が開
先断面積は少なくなり、しかもルート・フェース面3′
をできるだけ大きくする方が有利である。
同様に、溶接途中において通常よく行なわれるウラはつ
り作業はアークガウジングにしろ機械切削にしろ溶接作
業に次ぐ時間を要する。
またこのウラはつりを高性能な自動機械切削で行なわん
とすれば、その設備化に多額の投資を必要とする。
したがって、ウラはつりを省略することは厚手素板の溶
接能率の向上のみにとどまらず設備投資の節減にも多大
の効果がある。
しかしながら、ルート・フェースを3mm以上の開先で
ウラはつりをしないで両面溶接せんとすれば、種々の困
難な問題が生じてくる。
すなわち、その表・裏面初層溶接部で十分な溶込みを確
保する必要上からビード断面形状が梨の突型となりやす
く、とくに外面側の初層溶接に際しては第3図に示すよ
うな溶接割れ4が発生しやすくなる。
さらにこの初層溶接ビードは表面側5および裏面側6と
も母鋼板の稀釈が多いため、最近のようにNb、Vのよ
うな析出硬化型の合金元素を添加する鋼板が一般化して
いる際においては低温高靭性鋼といえともNb、Vを少
量添加しており、これらの合金元素が溶接金属の靭性に
及ぼす感作用が問題となる。
とくにNb、Vを含有した溶接金属は応力除去焼鈍(以
下、S、Rと略す)後にNb、Vの炭窒化物を析出し、
低温靭性がいちじるしく損われる。
かかる初層溶接金属部の溶接割れとS、R,による脆化
を防止する方法について種々研究を重ねた結果、溶接金
属のC,P、S、O含有量を減少させることと、できる
かぎり低入熱の溶接法と溶接条件を用いることが効果的
であることを見出した。
そして、そのための具体的手段としてはC,P、Sをそ
れぞれC≦0.06%、P≦0.009%、S≦0.0
09%に制限した溶接ワイヤを用い、かつArを主体と
する混合ガスシールドによるMIG溶接法で初層溶接ビ
ードを形成すればよいことが判った。
この場合、溶接金属のP、S、Oの低減をサブマージ・
アーク溶接により図ろうとすれば、高塩基度のフラック
スの使用が必要であり、低入熱溶接条件で深溶込みの初
層溶接ビードをえることが困難である。
そのうえサブマージ・アーク溶接の初層溶接ビードはス
ラグ剥離性がきわめて悪く、本発明の対象としている多
電極の1ラン溶接法では、初層溶接ビードの上に連続し
て第2電極以降の電極群を通過させることになるので、
到底健全な溶接部をえることはできない。
このような理由によって、ルート部の初層溶接にサブマ
ージ・アーク溶接を採用することはできない。
一方、ガス・シールド・アーク溶接法として最も普及し
ている炭酸ガス・アーク溶接法はアーク雰囲気が酸化性
となるため、溶接金属中の酸素含有量が高<S、R,後
で良好な低温靭性を確保するためには不適当である。
このように初層溶接ビードを形成する先行電極はArを
主体とした混合ガス・シールドによるMIG溶接が最適
であり、さらに本発明の特徴とするC≦0.06%、P
≦0.009係、S≦0.009係に制限した溶接ワイ
ヤを使用することによって、初層割れの防1Fはもちろ
んのことS、R,後の脆化も防止することができる。
ところで、第2電極以降の電極群による第2層溶接ビー
ドから最終層溶接ビードまでは母材の稀釈量が少なく、
既述のような溶接金属に有害なNb、Vのような析出硬
化型元素の含有量も少なくてすむ。
そのうえ最終層を除いては上層溶接ビードの熱処理効果
が加わって、溶接ままの溶接金属柱状晶が再結晶して球
状微細組織となる。
このような溶接による自己熱処理作用は最終層溶接部を
除いて加えられ、溶接金属の低温靭性を改善する効果が
ある。
しかしながら、仕上げとなる最終層では上述のような溶
接熱による熱処理効果をうけないばかりか、開先の拡が
りがあるため、MIG溶接では第4図のように表面側ビ
ード7′および裏面側ビード8′とも余盛形状が不整と
なり、アンダーカット9が発生するのが問題である。
この原因はMIG溶接などのガス・シールド・メタル・
アーク溶接は小入熱であることと、比較的高速度の溶接
条件においては母材に対する溶接ビードのなじみが悪い
ため、ビード巾の狭い凸状のビード形状になることに起
因しており、スラグ・シールドタイプのサブマージ・ア
ークに較べると余盛り形状はいちじるしく劣る。
したがって、仕上げ作用の必用な最終層溶接ビードに対
しては、サブマージ・アーク溶接の採用が最適である。
第3図は最終層にサブマージ・アーク溶接を採用した場
合の例で、表面側7および裏面側8ともに巾広の良好な
余盛りビード形状がえられている。
しかしながら、サブマージ・アーク溶接を採用した場合
には、溶接金属の低温靭性が低くなるのが最大の問題点
である。
この対策としては、例えば第3図のごとくサブマージ・
アーク溶接される溶接金属7の有効のど厚aを薄くする
のが最も容易な手段となる。
しかしながら、このサブマージアーク容接金属の厚みd
を制限せんとすれば、サブマージ・アーク溶接の利点で
ある溶接能率を減殺することになる。
例えばこの厚さdを5mm前後に抑えんとすれば、溶接
ビード巾もそれに伴って狭くなり、余盛り形状不良が問
題となる。
したがって通常のサブマージ・アーク溶接法では困難で
溶接ワイヤを扁平化したバンド状のものを使用するか、
さらには揺動アークのように溶接機構的にビード巾広化
を積極的に計るような工夫がいる。
本発明ではかかるビード厚さを薄く制限することによら
ないで、しかもサブマージ・アーク溶接本来の高能率性
を生かすことを目的とし、ビード厚さdが8mm以上1
5mm未満の範囲において、主として使用溶接材料の成
分組成面での検討を行ったその結果、溶接入熱量を24
×103ジユ一ル/cmから58×103ジユ一ル/c
mまでの間に設定し、かつ溶接ワイヤとして、C≦0.
06%、Si≦0.50%、P≦0.0.20%、S≦
0.020%びMn(%)+1.5Mo(%)+0.1
5Ni(%)が1.7%以上3.2%未満よりなるMn
≦3.2%、Mo≦1.5%、Ni≦12%の1種以上
を含有するものを使用すれば、最終層をサブマージ・ア
ーク溶接で仕上げても高靭性な溶接金属かえられること
を見出した。
入熱量が24×103ジユ一ル/cm以上でなければな
らぬ理由は、24×103ジユ一ル/cmよりも小入熱
溶接条件では良好な余盛り形状の確保が困難になるのと
、熱影響部の硬化がいちじるしく大きくなることによる
一方、入熱量が58×103ジユ一ル/cm以上になる
と、如何に低温靭性の優れた溶接材料や鋼板を使用して
も、溶接金属、熱影響部とも粗大な結晶粒を呈し、その
靭性確保がきわめて困難となるかかる理由によって溶接
入熱量の許容限界が下限で24×103ジユ一ル/cm
、上限で58×103ジユ一ル/cmに規定された。
この範囲内の入熱量でサブマージ・アーク溶接による仕
上げ溶接を行えば、最終層近傍の熱影響部は良好な低温
靭性をえることができ、また、その部分の最高硬さも適
当な値に抑えることができる。
しかしながら、溶接金属については使用する溶接材料の
成分組成が重要で、上述の入熱制限内であっても溶接ワ
イヤの合金元素量が適当量でないと良好な低温靭性を確
保できない。
すなわち、溶接金属の低温靭性をよくするためには、入
熱量を制限するばかりではなく、この条件下で細粒かつ
均一な結晶粒が安定して得られるような溶接金属の成分
組成に設定することも併せて必要である。
初層溶接部とは異なって、最終層溶接部は母材の稀釈が
少ないので、溶接ワイヤの成分組成の影響がきわめて大
きい。
例えば合金元素の少ない溶接ワイヤを使用した場合、い
くら入熱制約して溶接部の冷却速度を大きくしても、溶
接金属は切欠靭性の劣る粗大な初析フェライトが大部分
を占める。
このような初析フェライトの生成と粗大化成長を抑える
ためには、溶接金属の焼入性を高めることが必要で、そ
のためにはMn、Mo、Niのような合金元素を適当量
添加する必要がある。
そこで、これら合金元素の適当量を見出すため、合金元
素量の異なる種々の溶接ワイヤを試作し、サブマージ・
アーク溶接の溶接金属靭性との関係を研究した。
その結果、これらの合金元素量が溶接金属の焼入性に及
ぼす影響度合はそれぞれ異なり、同一含有量で比較する
とNiが最も小さく、Moが最も大きいことが判明した
そこで、この度合を定量化する方法を求めるため、溶接
部の硬化性を表示する炭素当量式の利用を試みた。
この炭素当量式としては種々なものがあるが、我が国で
最もよく使用されているWES方式の C当量=C+l/24Si+1/6Mn+1/4M。
+115Cr+1/4ONi+l/14Vのそれぞれの
合金元素の係数をそのままで次のMn当量におきかえて
みた。
Mn当量=Mn+1.5Mo+0.15NiそしてMn
、Mo、Niの適性添加量をこの隨当量に換算して調べ
てみた。
その結果を第5図に示すが、溶接ワイヤのMn当量が1
.7〜3.2%の範囲で一50℃の2mmVシャルピー
値が3kg−m以上えられることが判明した。
溶接ワイヤのMn+1.5Mo+0.15Ni(%)が
1.7%未満では溶接金属の焼入性が不十分で、初析フ
ェライトの生成量がいちじるしく良好な低温靭性を得る
迄には至らない。
とはいっても3.2%以上では溶接金属の焼入性が大き
くなり過ぎ、上部ベーナイトやマルテンサイトのような
硬化組織の生成量が多くなって急激な靭性低下をひきお
こす。
すなわち、溶接ワイヤのMn+1.5Mo+0.15N
i(%)が1.7〜6.2%の範囲で、溶接金属は初析
フェライトの生成がほとんどない微細なベイニテツク・
フェライト組織かえられ、低温靭性も改善されることが
判明した。
次に、Mn+1.5Mo+0.15Ni(%)が1.7
〜3.2%の範囲に溶接ワイヤを選ぶにおいて、許容さ
れる合金成分範囲の上限について説明する。
Mnを添加する場合単独添加の限度32%まではとくに
制約がないが、Mo、Niを添加する場合においてはワ
イヤの加工硬化性の点で制約される。
すなわちMoで1.5%、Niで12%以上になると、
線引加工でいちじるしい硬化を起し実用的な製造法での
溶接ワイヤの成品化が困難となる。
したがって、溶接ワイヤの合金元素量はMn≦3.2%
、Mo<1.5%、Ni≦12%にそれぞれ制限するこ
とが必要である。
さらに、溶接金属の低温靭性を高位安定に保つためには
C,P、Sのような不純元素もそれぞれC≦0.15%
P≦0.020%、S≦0.020%に制限する必要
がある。
この場合不純元素の許容含有量が第1電極のMIGアー
ク溶接に較べて全般的に高いが、これは溶接ビード位置
が最終層にあたるため溶接割れが発生しにくいことと、
母材の稀釈が初層よりも少なくS、R,脆化の原因とな
るNb、Vの含有量が少ないことによる。
さらにSiについてもS、R,後の低温靭性を大きく脆
化させないために0.50%以下に制約することが必要
である。
以上説明したとおり、本発明の溶接法は厚手の低温高靭
性鋼板を両面より1ランで高能率かつ高品質に溶接する
ことを目的に、MIG溶接とサブマージ・アーク溶接の
それぞれの長所を生かし短所を相補った複合多電極自動
溶接に関するもので、かかる溶接法の最大の問題点であ
る初層および最終層の溶接部について研究し、実用性の
優れた溶接法として確立したものである。
次に、本発明法を実施例によりさらに具体的に示す。
実施例 1 板厚25mmの2.5Ni−Mn−Nb−V系供試鋼板
を第2表に示す開先形状、仮付けおよび溶接条件で両面
より1ラン溶接を実施した。
MIG溶接とサブマージ・アーク溶接に使用した溶接ワ
イヤの化学成分を第1表に、まれそれぞれの溶接条件を
第3表に示す。
なお供試フラックスとしては5iO2−CaO−TrO
2−CaF2系の塩基性溶融型を使用し、その結果、初
層割れなどのない健全な溶接部と均一美麗ねビード外観
がえられた。
さらに第6図に示すように、溶接金属の中央部ノツチ1
1と溶接熱影響部10の板厚中心部ノツチ12よりそれ
ぞれ採取した2mmVノツチシャルピー衝撃試験と第7
図に示す表層部13、板厚中央部14、裏面部15の各
測定位置での最高硬さ試験結果を第4表にまとめて示す
が、いずれも良好な性能を得ている。
実施例 2 1.5Ni−Mn−Mo−V基低合金鋼の板厚32mm
の供試鋼板を第6表に示す開先形状、仮付溶接および溶
接条件で両面より1ラン溶接を実施した。
なお、MIG溶接とサブマージ・アーク溶接に用いた溶
接ワイヤの化学成分を第5表に、またMIGおよびサブ
マージ・アーク溶接の詳細な溶接条件を第7表に示す。
供試フラックスは実施例1と同じものを使用した。
その結果、溶接部としては初層割れのない健全な溶接金
属と均一美麗なビード外観がえられた。
さらに溶接部の低温靭性と最高硬さも第8表に示すごと
く良好な性質をえることができた。
実施例 3 供試鋼板として板厚40mmの0.3Ni−Mo−Nb
−V系低合金鋼を採用した。
この鋼板は実施例1,2に較べて低温靭性はやや劣るが
、−30℃クラスの使用性能を有するもので、Niが少
なく経済的な鋼板である。
この鋼板に第10表に示す開先形状仮付および本溶接を
両面より1ランで実施した。
詳細な溶接条件を第11表に示すが、供試鋼板が厚手材
であることから、内面は4電極、外面は5電極で溶接し
た。
また内外面溶接とも初層溶接の第1電極にはMIG溶接
を実施したが、中間層の第2・第3電極には炭酸ガスア
ーク溶接を実施している。
なお後行電極群のサブマージ・アーク溶接については、
溶接速度の遅い内面を単電極とした。
供試フラックスは8102 Ca0−■>0− Ca
F Z系の弱塩基性溶融型を使用した。
その結果、板厚が40mmであるのにもかかわらず、内
面、外面とも1ランでもって充分に積層することができ
、しかも溶接欠陥のない健全な継手部を形成することが
できた。
さらに溶接部の一30℃のシャルピー衝撃試験結果と溶
接部の最高硬さも第12表に示すごとく良好な性能をえ
ている。
以上の実施例に明記したとおり、本発明の溶接法を利用
すれば、低温靭性の優れた厚手鋼板を溶接部の性質を損
なうことなくきわめて高能率で溶接することができる。
したがって、従来のサブマージ・アーク溶接は多層盛溶
接が必要なため量産ができなかったU−O造管法におい
ても適合できるようになり、製造コストの低減はもちろ
んのこと品質(とくに低温靭性と硬化防止)向上にも大
きく寄与できる。
さらに本発明の溶接法はU−O方式などによる鋼管の溶
接のみにとどまらず、少品種多量の鋼製品を効率的に溶
接加工するような分野においても高品質な工業製品をよ
り安価にかつ短期で供給できることが期待でき、その価
値はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は片面溶接の開先形状を示す正面図、第2図は両
面溶接の開先形状を示す正面図、第3図は初層溶接金属
の溶接割れを示す模式図、第4図は余盛りビード形状不
良を示す模式図、第5図は溶接ワイヤの合金元素量をM
n+1.5Mo+0.15Niに換算した値と溶接金属
の低温靭性との関係を示す図、第6図と第7図は実施例
における溶接部のシャルピー衝撃試験片の採取位置と硬
さ測定位置をそれぞれ示す図である。 1・・・・・・母材、t・・・・・・板厚、2・・・・
・・片面開先、2′・・・・・・両面開先、3・・・・
・・片面開先ルート・フェース、3′・・・・・・両面
開先ルート・フェース、tl・・・・・・表面側開先深
さ、t2・・・・・・裏面側開先深さ、θ1・・・・・
・表面側開先角度、θ2・・・・・・裏面側開先角度、
4・・・・・・溶接割れ、5・・・・・・表面側初層ビ
ード、6・・・・・・裏面側初層ビード、7・・・・・
・サブマージ・アークによる表面側最終層ビード、7′
・・・・・・ガスシールド・アークによる表面側最終層
ビード、8・・・・・・サブマージ・アークによる裏面
側最終層ビード、a・・・・・最終層サブマージ・アー
ク溶接ビードの有効のど厚、d・・・・・・最終層サブ
マージ・アーク溶接のビード厚さ、8′・・・・・・ガ
スシールド・アークによる裏面側最終層ビード、9・・
・・・・アンダーカット、10・・・・・・溶接熱影響
部、11・・・・・・溶接金属部ノツチ、12・・・・
・・溶接熱影響ノツチ、13・・・・・・板厚表面部硬
さ測定位置、14・・・・・・板厚中心部硬さ測定位置
、15・・・・・・板厚裏面部硬さ測定位置。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 13電極以上5電極までの多電極自動アーク溶接装置を
    用いてルート・フェース3mm以上有する両面開先の突
    合せ継手をウラはつりなしで両面1ラン溶接する施工法
    において、少くともその第1電極にC≦0.06%、P
    ≦0.009%、S≦0.009%に制限した軟鋼もし
    くは低合金鋼ワイヤを使用してArを主体とする混合ガ
    スシールドによるMIG溶接法で初層溶接ビードを形成
    するとともに、後行電極群の1電極もしくは2電極につ
    いてC<0.15係、Si<0.50係、P≦0.02
    0係S≦0.020%およびMn(%+ t、5Mo(
    [+o、15Ni(イ)が1.7%以上3.2係未満よ
    りなるMn< 3.2%Mo<1.5%、Ni≦12係
    の1種以上を含有する低合金鋼ワイヤを使用し、その後
    行電極群が全溶接入熱量で24×103ジユ一ル/cm
    以上58×103ジュール/cm未満となるサブマージ
    ・アーク溶接法により最終層溶接ビードを形成させるこ
    とを特徴とする低温高靭性鋼の高能率多電極自動アーク
    溶接法。
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