JPS5810547Y2 - ミシンにおける上糸通過案内装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、上糸供給源としての糸巻き体から張力調節装
置及び上下動可能な天秤等を経て針に至る上糸の通過経
路のうち少なくとも前記天秤から針に至る通路の大部分
が上方アーム内に位置するミシンにおける上糸通過案内
装置に関するもので、その目的とするところは、天秤が
下降する時上方アーム内においてたるむ上糸がそのアー
ム内に配置されているミシンの諸機構を構成する部材に
引掛からないようにするための装置を提供することにあ
る。

従来の一般的なミシンにおいては、ミシンの主軸と連動
して上下動する天秤の先端が常に上方アームの外方へ突
出しているのが通常であり、従って、その天秤から針へ
至る上糸の通過経路は前記アームの外部に存在していた
。

ところが、天秤の先端が外方に突出して上下動すること
は作業者の安全の面において好ましくなく、近年のミシ
ンにおいては天秤がその最上点に達した時以外は常にア
ームの内方にて上下運動するように構成される傾向にあ
る。

それに伴なって、前記天秤から針に至る上糸の通過経路
も必然的にアーム内に配置されるようになって来ている
が、アーム内にはミシンの諸機構を構成する多数の部材
が装備されており、縫目形成が正常に行われている時に
は上糸がそれらの部材に引掛からないとしても、目飛び
が生じたりして天秤の下降時に生ずる上糸のたるみが過
剰に生じた時前記部材に引掛かる恐れがある。

そめため、前記上糸の通過経路近傍から離してミシンの
諸機構を配設したり、複雑な構成の上糸案内装置を設け
て上糸の通過経路を規制したりしている。

本考案は上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下
にその一実施例装置について図面を参照して説明する。

ミシン機枠１は基台２、脚柱３、端部に頭部が形成され
た上方アーム４等から戊っており、その上方アーム４は
上蓋５及び前記頭部を構成する面板６を含んである。

支持板７は前記面板６の右方においてミシン機枠に固着
され、その支持板には支持軸８が固定されている。

そしてその支持軸８には、円板状の一対の調子皿９，１
０、後述する解除板１１゜前記一対の調子皿に上糸挾持
圧力を付与するためのつるまきばね１２、及びそのつる
まきばねに係合して該ばねを押圧するための作動板１３
が挿嵌されている。

手動操作ダイヤル１４はミシン機枠に固着されたブラケ
ット１５の起立部に支持ピン１６により回転可能に取付
けられており、−側面に開口するカム溝１７及びボス部
１８を有している。

そして前記支持ピン１６は、その軸線が前記支持軸８の
軸線と同一平面内において直交するように位置している
。

一端部が前記支持軸８に挿嵌された作動板１３は中間部
にて折曲されてダイヤル１４の前記−側面に相対し、他
端部に穿設された開口１９を介して前記ボス部１８に嵌
合しており、該ボス部及び前記支持軸８に案内されて該
支持軸の軸線方向に移動可能である。

係合ピン２０はその作動板１３に植設され、前記ダイヤ
ル１４のカム溝１７に嵌合している。

また一端部が前記調子皿の一方１０とつるまきばね１２
の間において前記支持軸８に挿嵌された解除板１１は、
前記作動板１３と同様に折曲され、開口２１を介して前
記ボス部１８に嵌合しており、支持軸８の軸線方向に移
動可能である。

更に前記ブラケット１５には一腕レバー２２が枢着され
ており、そのレバーの一腕は前記解除板１１の他端部下
側縁に形成された切欠き２３に嵌合している。

尚前記手動操作ダイヤル１４は第１図及び第４図から明
らかなように、前記上蓋５に形成された開口を通して一
部が外部へ突出しており、機枠外部がら回動操作可能で
あり、その前面側に符記された表示２４と前記上蓋５に
刻設さた指針２５との協働によりその操作位置が指示さ
れるものである。

解除レバー２６は段ねじ２７によりミシン機枠に回動可
能に取付けられており、その一端に形成されたスロット
２８が前記一腕レバー２２の他腕に嵌合している。

ブロック２９は下端に布押え足を有する公知の押え棒３
０に固着されており、その上方には前記解除レバー２６
の他端３１が係合可能に相対している。

公知の押え上げレバー３２は段ねじ３３により回動可能
にミシン機枠に取付けられており、そのカム部３４は前
記ブロック２９に下方より保合可能に相対している。

また、前記支持板７の上側後部には上糸挿通のために一
側が開口するスリット３５が形成されており、そのスリ
ットの先端丸孔部３６を一側より覆うように前記支持板
７に先端部が接触する弾性を有する薄板３７が前記支持
板７に固定されている。

更にその支持板７の前側下部には未収りばね３８ａを有
する糸案内体３８がねに３９により固着されており、そ
のねじ３９及び前記未収りばねの基端部が嵌着された円
筒部４０を包囲する合成樹脂製の遮蔽体４１がねじ４２
により前記面板６に固着されている。

その遮蔽体４１は第２図及び第４図より明らかなように
、前記ねじ４２に相対する小環状壁４３と、それより大
なる環状壁４４と、その環状壁より上方へ延びる板有壁
４５とからなっている。

そして前記支持板７の前縁部及び上縁前方部の両側には
上糸導入用のスロワ） ４６．４７が形成されており、
天秤４８はその上死点において面板側のスロット４６の
上部より露出しく第１図及び第２図参照）、糸掛けを行
い得る。

また、反対側のスロット４７を横切るように案内ピン４
９が前記支持板７に植設されており、上糸のスロット４
７内への案内の役目をなす。

更に別の糸案内５０はアーム４の下部に固着されており
、針側へ上糸を案内する。

尚、前記上蓋５の上面には凹部が形成されており、上糸
供給源としての糸巻き体５１がその凹部内に傾斜した状
態に装着されている。

本実施例装置は以上のように構成されており、以下にそ
の作動態様について説明する。

まず糸通過経路について述べると、糸巻き体５１から繰
出される上糸は、まず支持板７のスリット３５に導入さ
れ、その丸孔部３６から薄板３７の弱い弾性に抗してそ
の薄板と支持板７との間を通り、一方のスロット４７に
導入される。

そして案内ピン４９に案内されて一対の調子皿９，１０
間を通り、支持軸８の周りに屈曲されて下方へ導かれ、
糸案内体３８内にて折返されて他方のスロット４６内に
導入される。

その後上方へ導かれて天秤４８のスリットに導入され、
再度下方へ折り返されて円筒部４０の前方を通り、糸案
内５０に案内されて針の目孔に至るものである。

従って、前記スリット３５の丸孔部３６を通過して上方
アーム４内に導入された上糸の通過経路は、糸案内５０
に至るまで全てその機枠内に存在しており、作業者の手
等が上糸に引掛かる恐れは皆無である。

そして、前記糸巻体５１から繰出される上糸は、弱い弾
性を有する薄板３７と支持板７との間を通過するため、
過剰に上糸が糸巻き体５１から繰出された除土ずる糸の
よじれ或いは糸こぶは完全に除去されて調子皿間に導入
されることになり、常に一様な張力がこの調子皿間にお
いて上糸に安定して付与されるものである。

更に、天秤４８の上下動により上糸は上方アーム内にお
いて踊り、特にその下動時に上糸にたるみが生ずるか゛
、第２図より明らかなように、遮蔽体４１が最下点に達
した天秤の先端の内側方に位置しているため、その遮蔽
体４１の内方への上糸の進入が阻止され、ミシンの諸機
構を構成する部材に引掛かる恐れがなく、また、糸案内
体３８の円筒部４０の自由端側及び前記糸案内体３８を
固着するねじ３９の頭部が前記遮蔽体４１により包囲さ
れているため、前記円筒部４０及びねじ３９の頭部にた
るんだ上糸が引掛かることもない。

要するに、上糸通過経路が上方アーム内に存在するにも
拘らず、上糸はそのアーム内に存在するミシンの諸機構
を構成する何如なる部材にも干渉することなく円滑に通
過し得るものである。

次に上糸張力の調節について説明するに、手動操作ダイ
ヤル１４を第４図における時計方向に回動操作すると、
カム溝１７に嵌合する保合ピン２０を有する作動板１３
がそのカム溝の形状に従って支持軸８の軸線方向左方へ
移動し、その一端部にてつるまきばね１２を圧縮する。

それにより解除板１１を介して調子皿９，１０に作用す
るばね力が増加し、−」１糸に付与される張力が増加す
る。

また逆に、前記ダイヤル１４を反時計方向へ回動操作す
れば、作動板１３が右方へ移動し、上糸に付与される張
力が減少するものである。

また、布の着脱等のために布押え足を扛上すべく押え上
げレバー３２を第２図に示す二点鎖線位置まで回動操作
すれば、そのカム部３４がブロック２９に下方より係合
して押え棒３０を押えばね（図示せず）の作用に抗して
扛上する。

従って、前記ブロック２９も同図における二点鎖線位置
まで上昇されることになり、解除レバー２６の端部３１
に下方より当接して該レバー２６を回動させる。

それにより１腕レバー２２が回動され、解除板１１をつ
るまきばね１２の作用に抗して第３図乃至第５図におい
て右方へ移動させる。

従って調子皿９，１０に作用していたつるまきばね１２
のは゛ね力が解放され、この調子皿間において上糸に付
与されていた張力が除去される。

本考案は上記の実施例の説明から明らがなように、糸巻
き体から張力調節装置及び上下動可能な天秤等を経て針
に至る上糸通過経路のうち少なくとも前記天秤から針に
至る通路の大部分がミシン機枠を構成する上方アーム内
に位置するミシンにおいて、最下降位置に達した前記天
秤の先端部に近接するように上方に延びかつその天秤の
先端に対して前記アームの内部側に位置する遮蔽体を面
板に固着したため、天秤が下降する時たるむ上糸が前記
遮蔽体より内方へ入り込むことがないものであり、特に
目飛びが生じたりして天秤の下降時に生ずる上糸のたる
みが正常の縫目形成時よりも過剰に生じたとしても、ミ
シンの諸機構を構成する部材に引掛かることがない。

従って、それらの各部材を上糸通過経路に近接して配置
することができ、上方アーム中の狭い空間を有効に利用
し得るもので、簡単な構成にて安価に製作し得、優れた
実用効果を有する装置を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案を具体化した一実施例を示すもので、第１
図はミシンの外観を示す斜視図、第２図は第４図のＩＩ
−ＩＩ線に沿い且つ面板を取り除いて示す側面図、第３
図は上蓋を取除き且つ面板を破断して示す上面図、第４
図はミシン機枠を破断して示す正面図、第５図は第４図
の■−Ｖ線断面図、第６図は第２図のＶＩ−ＶＩ線断面
図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上方アーム４の左端部に位置する頭部の一部を構成する
   面板６を備え、糸巻き体５１から張力調節装置及び上下
   動可能な天秤４８等を経て針に至る上糸の通過経路のう
   ち少なくとも前記天秤から針に至る通路の大部分が前記
   上方アーム内に位置するミシンにおいて、 最下降位置に達した前記天秤４８の先端部背後に近接し
   て相対するように上方に延び且つその天秤の先端部に対
   して前記アームの内部側に位置する遮蔽体４１を前記面
   板６に固着し、天秤が下降する時たるむ上糸が前記遮蔽
   板４１より内方へ入るのをその遮蔽体により阻止するよ
   うにしてなる上糸通過案内装置。