JPH119944A - 吸着塔のホットスポット検知方法 - Google Patents

吸着塔のホットスポット検知方法

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JPH119944A
JPH119944A JP9164353A JP16435397A JPH119944A JP H119944 A JPH119944 A JP H119944A JP 9164353 A JP9164353 A JP 9164353A JP 16435397 A JP16435397 A JP 16435397A JP H119944 A JPH119944 A JP H119944A
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JP
Japan
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adsorption tower
exhaust gas
gas
hot spot
adsorbent
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JP9164353A
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English (en)
Inventor
Kazuhiko Tsuji
和比古 辻
Tooru Chiyawandani
亨 茶碗谷
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Mitsui Mining Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホットスポットを早期に、しかも簡単に発見
できるようにする。 【解決手段】 容器2内に、5つのカートリッジタイプ
の充填室5を直列に並べて1列としたものを、4列並べ
るとともに、ガス導入口3及びガス排出口4にそれぞれ
一酸化炭素濃度計30を設置する。ガス導入口3とガス
排出口4における排ガス中の一酸化炭素濃度を測定し、
これらの測定値からガス導入口3とガス排出口4におけ
る排ガス中の一酸化炭素の濃度差を求め、この濃度差に
よって吸着塔1内におけるホットスポットの発生の有無
を検知する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は炭素質吸着材を充
填した吸着塔を用いて有害物質を含む各種排ガスを処理
する乾式排ガス処理方法に関し、特に、吸着塔のガス入
口とガス出口における排ガス中に含まれる特定物質の濃
度差を求めることにより、吸着塔内におけるホットスポ
ットの有無を検知するようにした吸着塔のホットスポッ
ト検知方法に関するものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】ボイラー排ガス、石油精
製排ガス、焼結機排ガス、都市ゴミ焼却排ガス、ディー
ゼルエンジン排ガス等の排ガス中には、硫黄酸化物、窒
素酸化物、ダスト、重金属、ダイオキシン等の有害物質
が含まれている。そして、これらの有害物質を除去する
方法として、炭素質吸着材を充填した移動層式又は固定
層式の吸着塔に排ガスを導入し、排ガスを吸着材と接触
させることにより有害物質を除去する乾式排ガス処理方
法が知られている。
【0003】乾式排ガス処理方法には金属触媒等を使用
する他の方法もあるが、炭素質吸着材を使用する方法は
他の方法に比較して、処理温度が低いこと、及び上記の
各種の有害物質を同時に除去できることから、優れた方
法である。
【0004】炭素質吸着材を使用する乾式排ガス処理方
法に用いる処理装置の一例を図1に示す。この処理装置
は、吸着塔1と、再生塔10と、篩設備11と、吸着材
貯槽12と、硫酸製造設備13とを具えている。以下、
各々について説明する。
【0005】吸着塔1は、粒状の炭素質吸着材20を充
填した移動層で構成したものであって、100〜200
℃の排ガスを移動層の炭素質吸着材20と接触させるこ
とにより、排ガス中の有害物質を除去することができる
ものである。排ガス中の窒素酸化物は、排ガス中にアン
モニアを添加することにより、吸着材20の触媒作用に
よって窒素と水に分解される。その他の有害物質は、主
に吸着材20の吸着によって除去される。
【0006】再生塔10は、吸着材20を再生するため
のものである。ダストが付着した吸着材20は次第に性
能が低下する。そこで、吸着材20を吸着塔1から抜き
出して吸着材搬送機器15を介して再生塔10に搬送
し、400〜500℃に加熱して有害物質を気化させて
再生する。再生した吸着材20は100℃程度に冷却し
た後に再び吸着材搬送機器15を介して吸着塔1に返送
する。吸着塔1と再生塔10との間での吸着材20の循
環量は、およそ1週間で一巡する程度の量である。
【0007】篩設備11は、吸着材20が吸着塔1と再
生塔10との間を循環する間に摩耗して粉化したもの、
及び吸着塔1で排ガス中から除去したダスト等を除去す
るものであって、再生塔10と吸着塔1との間に設けら
れるものである。再生塔10を出た吸着材20は篩設備
11でこれらの微粉が除去され、その後吸着塔1へ戻さ
れる。篩設備11で除去した微粉は、系外に排出され
る。
【0008】吸着材貯槽12は、新しい吸着材20を貯
えておく槽である。吸着材20は、吸着塔1と再生塔1
0との間を循環する間に一部が摩耗して系外に排出さ
れ、一部が反応により消耗するので、新しい吸着材20
を補給する必要があるからである。
【0009】硫酸製造設備13は、再生塔10から排出
される硫黄酸化物を主とする有害物質を処理するもので
あって、硫黄酸化物を主とする有害物質から例えば硫酸
を製造することができるものである。
【0010】なお、16は煙突、17はダスト及び粉化
した吸着材を排出させるためのホッパである。
【0011】次に、大型の吸着塔1の一例を図2〜4に
示す。この吸着塔1は、箱型の容器2の内部に、カート
リッジタイプの充填室5を複数個設置したものであっ
て、3つの充填室5を直列に並べて1列としたものを、
4列並べて全体を構成したものである。
【0012】各充填室5には、上部に吸着材20の供給
口6が2箇所に、下部に吸着材20の排出口7が2箇所
にそれぞれ設けられている。運転中は、内部に所定量の
吸着材20を保持した状態で、連続的に一定量の吸着材
20を供給し、且つ排出するようになっている。したが
って、内部の吸着材20は上から下に向かって緩やかに
流れ、移動層を形成するようになっている。
【0013】各充填室5の4つの側面のうち対向する二
面はルーバー等から構成されたガス流通面5a、5aを
形成し、一方のガス流通面5aから他方のガス流通面5
aに向かって排ガスが流通するようになっている。各ガ
ス流通面5aは後述する排ガスの流通路A、B、C、
D、Eに面するようになっている。
【0014】第1列の充填室5群と容器2の奥側の側壁
2aとの間、第1列の充填室5群と第2列の充填室5群
との間、第2列の充填室5群と第3列の充填室5群との
間、第3列の充填室5群と第4列の充填室5群との間及
び第4列の充填室5群と容器2の手前側の側壁2bとの
間には、それぞれガスの流通路A、B、C、D、Eが形
成されるようになっている。流通路B及びDはガス導入
口3に連通し、流通路A、C及びEはガス排出口4に連
通するようになっている。
【0015】各充填室5の各ガス流通面5aは流通路
A、B、C、D、Eに面して設置されている。ガス導入
口3から容器2内に導入された排ガスは、容器2内の排
ガス入口3aを介して流通路B及びDに入る。流通路B
に流入した排ガスは、その一部は第1列の充填室5群の
移動層を通過して流通路Aに向かって流れ、残りは第2
列の充填室5群の移動層を通過して流通路Cに向かって
流れる。同様に、ガス流通路Dに流入した排ガスは、第
3列及び第4列の充填室5群の移動層を通過して流通路
C及びEに向かって流れる。そして、排ガス出口4aを
介してガス排出口4に導かれる。
【0016】したがって、排ガスは吸着塔1内でほぼ均
等に分配された上で、複数の充填室5の移動層を通過す
ることになり、このとき移動層の炭素質吸着材20と接
触することにより、排ガス中の有害物質が除去されるこ
とになる。
【0017】1個の充填室5はおよそ100m3 の大き
さで、数万Nm3 /h程度の排ガスを処理することが可
能であり、排ガス量に比例して充填室5の数が決定され
ている。
【0018】乾式排ガス処理方法において、炭素質吸着
材は優れた処理性を持っているが、発火しやすい欠点が
ある。炭素質吸着材を使用した場合、排ガスを処理する
温度は通常100〜200℃であるので、正常な運転に
おいては発火することはないが、何等かの原因によって
吸着塔で局部的な温度上昇が起こると、その部分が発火
に至ることがある。これが所謂ホットスポットである。
【0019】即ち、ホットスポットは、吸着塔内に充填
された吸着材の一部が局所的に燃焼する現象であって、
短時間に急激に燃え広がることはない。しかし、そのま
ま放置すれば次第に拡大するので、これが発生した場合
は早期に発見することが重要である。
【0020】ホットスポットが早期に発見され、且つそ
の箇所が特定できた場合には、以下の処置により早期に
簡単に消火することができる。
【0021】即ち、吸着材は吸着塔と再生塔との間を循
環しており、通常の運転においては、全ての充填室に均
等に循環されている。この循環を特定の充填室のみに集
中して行えば、ホットスポットが発生している部分の吸
着材を短時間で抜き出すことができる。従って、装置の
運転を停止することなく、装置の性能を低下させること
なく、ホットスポットを消滅させることができる。
【0022】一方、ホットスポットの発見が遅れて広い
範囲に燃え広がった場合には、装置の運転を停止して排
ガスの供給を遮断し、吸着塔内の酸素が燃焼によって消
耗されて自然に消火するのを待つことになる。従って、
消火した後の吸着塔内部の点検や損傷部分の復旧に多大
な時間を費やすことになり、多大な損害を被ることにな
る。また、排ガスの発生元であるボイラーなどの生産設
備をその間停止することになるので、これらの損害も莫
大なものとなる。
【0023】従来、ホットスポットを発見するための手
段として、吸着塔内に多数の温度計を設置し、各所の温
度に異常がないかを監視することが行われていた。図2
〜図4の例では、1つの充填室5にそれぞれ10個の温
度計8を設置し、吸着塔1全体で120個もの温度計8
を設置していた。
【0024】しかしながら、このような方法では温度計
8の設置に多大な費用を要する上に、この数でもホット
スポットの早期発見には充分ではなかった。即ち、運転
中は充填室5の移動層内を排ガスが流れているためにホ
ットスポットから温度計8への熱伝達が悪く、初期段階
の小さいホットスポットは温度計8から少し離れると、
検知されずに見過ごされてしまうからである。そして、
ホットスポットが発見されたときには、既に大きく拡大
していることがあった。
【0025】この発明は前記のような従来のもののもつ
問題点を解決したものであって、ホットスポットを早期
にしかも簡単に発見することができる吸着塔のホットス
ポットの検知方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0026】
【問題点を解決するための手段】上記の問題点を解決す
るためにこの発明は、炭素質吸着材を充填した吸着塔を
用いて排ガスを処理する方法において、吸着塔のガス入
口及びガス出口に特定の物質の濃度を測定するガス測定
手段を設け、このガス測定手段によって吸着塔のガス入
口及びガス出口における特定物質の濃度を測定し、この
測定値からガス入口とガス出口との特定物質の濃度差を
求め、この濃度差から吸着塔内におけるホットスポット
の発生の有無を検知する手段を採用したものである。ま
た、炭素吸着材を充填した吸着塔を用いて排ガスを処理
する方法において、複数の室に区画されている吸着塔の
ガス入口及び各室のガス出口に特定の物質の濃度を測定
するガス測定手段を設け、このガス測定手段によって吸
着塔のガス入口及び各室のガス出口における特定物質の
濃度を測定し、この測定値からガス入口と各室のガス出
口との特定物質の濃度差を求め、この濃度差から吸着塔
内におけるホットスポットの発生の有無を検知する手段
を採用したものである。さらに、前記特定の物質が一酸
化炭素である手段を採用したものであり、前記特定の物
質が二酸化炭素である手段を採用したものであり、前記
特定の物質が酸素である手段を採用したものである。
【0027】
【作用】この発明は前記のような手段を採用したことに
より、ガス測定手段によって吸着塔のガス入口及びガス
出口における排ガス中の特定物質の濃度を測定し、この
測定値からガス入口とガス出口における特定物質の濃度
差を求め、この濃度差から吸着塔内におけるホットスポ
ットの発生の有無を検知することができることになる。
【0028】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、吸着塔における
ホットスポットの発生機構について以下のように考察し
た。
【0029】吸着塔に充填された炭素質吸着材は、通常
の運転においては吸着塔に導入される大容量の排ガスと
接触するので、吸着時の温度は導入される排ガスの温度
にほぼ等しくなるはずである。即ち、大容量の排ガスは
熱容量が大きいので、系内に熱量の出入りが多少あった
としても、系全体の温度を変化させるまでには至らない
はずである。また、吸着材の一部において、排ガスとは
異なる温度の部分があったとしても、その周辺を流れる
排ガスによって短時間に加熱又は冷却されて、一様な温
度になるはずである。
【0030】吸着材の温度を上げる要因としては、亜硫
酸ガス等の不純物を吸着する際の発熱が考えられるが、
これも排ガス全体の熱容量から見れば小さな熱量であ
り、通常の運転においては周囲を流れる排ガスによって
冷却されるので、この熱が蓄積するような異常は起こら
ないはずである。
【0031】従って、ホットスポットは、吸着材の中に
排ガスとの接触が悪い箇所が発生し、その箇所が排ガス
によって冷却されなくなった場合に発生するものと考え
られる。例えば、緩やかに移動すべき吸着材の一部が滞
留を起こして動かなくなり、たまたま、その箇所が排ガ
スの流れ難い箇所と一致した場合、粒状の吸着材が塊状
に凝集して内部に排ガスが流れなくなった場合等が考え
られる。
【0032】このように、排ガスによって冷却されない
箇所が発生すると、先ず、不純物の吸着による発熱が徐
々に進行して温度が上昇し、ある温度に達すると発火に
至るものと考えられる。そして、一旦発火した後は、吸
着材の炭素質が排ガス中の酸素によって燃焼を持続する
と考えられる。
【0033】そこで、発火に至るまでは、排ガスとの接
触が悪いことが必要な条件であり、発火した後では、あ
る程度の排ガスが流れていることが必要となる。これら
は矛盾するようにも思われるが、放置された石炭等が自
然発火することを考えれば、充分に理解できることであ
る。
【0034】本願発明者等は、ホットスポットの発生機
構を更に明確にするため、図5に示すような装置を用い
て実験を行い、吸着材の温度と酸化反応との関係を調べ
た。
【0035】即ち、耐熱性の筒25の中に吸着材26を
100cc充填し、ここに空気を毎分30cc流すとと
もに、筒25の外部から電気ヒータ27で加熱して筒2
5内の温度を測定できるようにした。そして、酸化反応
の進行を調べる方法を種々検討した結果、筒25出口の
炭酸ガス(CO2 )及び一酸化炭素(CO)の濃度を測
定することにした。実験の結果を図6に示す。
【0036】実験の結果、ホットスポットの発生機構に
関して次のことが明らかになった。 酸化反応は、通常の排ガス処理温度である100〜
200℃でも既に起こっている。このことは、通常の排
ガス処理において、不純物の吸着による発熱だけでな
く、酸化反応による発熱が同時に起こっていることを示
すものである。従って、吸着材の一部に排ガスによる冷
却が不充分な箇所があれば、局所的に異常な温度上昇を
起こす可能性があることが理解される。
【0037】 250℃以上では、温度の上昇と共に
急激に酸化反応が進む。このことは、250℃以上にな
ると、発火温度まで急激に進む可能性が高くなり、ホッ
トスポットが発生する可能性が高くなることを示してい
る。これはホットスポット発生の前段階と考えられる
が、この前段階においても、既に強い酸化反応が起こっ
ていると理解される。
【0038】 400℃以上では、非常に激しい酸化
反応となり、流入する空気中に含まれる酸素を全て消費
してしまうほど強い反応であることを示している。即
ち、これは発火した状態であり、もはや自然に消火する
可能性はほとんどなく、その範囲は次第に拡大していく
ものと理解される。我々がホットスポットと呼んでいる
のはこの状態である。
【0039】 この酸化反応は、吸着材の炭素が排ガ
ス中の酸素と反応するものであるから、炭酸ガスが発生
するのは当然であるが、200℃以上の酸化反応におい
ては、同時に一酸化炭素の発生量も多いことが注目され
る。
【0040】ホットスポットが発生した場合は、この酸
化反応によって排ガス中の酸素、炭酸ガス及び一酸化炭
素の濃度が変化することは当然のことである。しかし、
通常の燃焼排ガスには、酸素を数%、炭酸ガスを10%
以上含むことから、酸化反応によるこれらの変化は極め
て小さいものであり、これらの濃度変化をホットスポッ
トの検知に用いることは考えられなかった。又、酸素や
炭酸ガスと比較して、排ガス中の一酸化炭素の濃度は一
般に低く、酸化反応で発生する一酸化炭素の量も小さい
ものと考えられていたため、この濃度変化をホットスポ
ットの検知に用いることは考えられなかった。
【0041】しかし、上記の実験の結果(〜)か
ら、少なくとも一酸化炭素については、排ガス中の濃度
に対して測定可能な程度に大きな変化を与える可能性が
高く、排ガスの組成によっては、酸素又は炭酸ガスにつ
いても可能性があることを示している。更に、ホットス
ポットが発生する前段階の250〜300℃の温度にお
いても、同様の可能性があることを示している。
【0042】そこで、ホットスポットが発生した場合に
排ガスの温度及びガス組成に与える影響について考察
し、ホットスポットの検知方法について検討した。
【0043】前述した図2〜4の吸着塔1において、ホ
ットスポットが発生した場合を想定する。先に述べたよ
うに、この吸着塔1は、複数のカートリッジタイプの充
填室5で構成され、1個の充填室5は100m3 で、数
万Nm3 /h程度の排ガスを処理することが可能であ
る。
【0044】ここで、発生したホットスポットは1時間
に10Kgの炭素質吸着材が燃焼していると仮定して、
これの検知について考察する。
【0045】この燃焼によって炭酸ガス又は一酸化炭素
が発生するが、その発生量は合わせて19Nm3 /hと
なる。即ち、炭素10Kgが燃焼すると、発生する炭酸
ガス(及び一酸化炭素)の量は、 22.4×10/12=18.666(Nm3 ) このとき発生する熱量は、 89000×10/12=74000(kcal) となる。
【0046】炭酸ガス等の濃度を測定するには、100
ppm程度の変動が必要であるとすれば、およそ20万
Nm3 /hの排ガスに対して1点の測定で検知できるこ
とになるので、100m3 の充填室5の4個分の排ガス
量に対して1点の測定をすれば検知できることになる。
【0047】この燃焼によって発生した熱量によって、
20万Nm3 の排ガスが加熱されたとして、その温度変
化を計算すると約1℃となるが、これを異常として検知
することは非常に困難であり、これは従来の経験と一致
する。即ち、20万Nm3 の排ガスの温度が何度上昇す
るかは、140℃の空気、比熱0.242kcal/K
g℃とすると、 200000×29/22.4=259000Kg 259000×0.242x=74000kcal x=1.2℃ となる。
【0048】このホットスポットを、移動層内に設けら
れた温度計8によって検知し得るか否かを考えると、ホ
ットスポットの大きさは高々0.01m3 と考えられ、
その周囲には多量の排ガスが流れていることを考える
と、ホットスポットから1〜2m離れた箇所では困難に
なると考えられる。先に述べたように、100m3 の充
填室5に10個の温度計8を設けても、ホットスポット
の早期発見には充分ではなかったが、これを裏付けるも
のである。
【0049】上記においては、ホットスポットとして1
時間当り10Kgの炭素の燃焼を想定した。実際の装置
においては、1時間当り10〜50Kg程度の燃焼で確
実に検知できれば特に問題はないと考えられる。
【0050】以上のように、実験結果とそれに基づく解
析の結果から、ホットスポットを検知する手段として、
排ガス中の特定のガスの濃度を測定することが有効であ
ることが明らかになった。
【0051】もっとも、吸着塔に導入される排ガスの組
成はある程度変動するので、吸着塔の入口と出口とを測
定して、その差の変動によって判定する方が妥当であ
る。
【0052】そして、測定すべきガスとしては、一酸化
炭素、酸素及び炭酸ガスの中から、排ガス中の濃度が最
も低いものを選ぶのが妥当であり、通常の燃焼排ガスに
おいては、一酸化炭素を選ぶのが妥当と考えられる。
【0053】以下、この発明による吸着塔のホットスポ
ットの検知方法を行う処理装置の吸着塔の実施例につい
て説明する。 <実施例1>図7に示す吸着塔1は、石炭焚きボイラー
の排ガスを処理するものであって、炭素質吸着材20を
充填した充填室5を上下に2段設けて構成したものであ
って、各充填室5内に吸着材20による移動層を形成す
るようにしたものである。
【0054】排ガスは、まずガス導入口3から下部の充
填室5の移動層に導入され、ここで主に硫黄酸化物が除
去される。次に、下部の充填室5を出た排ガスはアンモ
ニアが添加された後、上部の充填室5の移動層に導入さ
れ、ここで、主に窒素酸化物が除去される。排ガス量は
約3万Nm3 /hであり、炭素質吸着材20は上段及び
下段の充填室5内にそれぞれ60m3 が充填されてい
る。
【0055】ガス導入口3及びガス排出口4にはそれぞ
れ一酸化炭素の濃度計30が設けられている。充填室5
内には上下にそれぞれ5点ずつ温度計8が設置されてい
る。初めての運転において、排ガスを導入した直後か
ら、ガス導入口3とガス排出口4の一酸化炭素の濃度差
が大きな指示を示したので、異常と判断して運転を停止
した。図8に一酸化炭素の濃度差を検知した状況を示
す。この時点では、温度計8に異常を示すものはなかっ
た。
【0056】原因を調査した結果、最初に充填した酸素
質吸着材20の一部が、200℃以上の温度で充填され
ていたことが判明した。そこで、以後の運転において
は、100℃程度の温度であることを確認して充填する
ことにしたた。
【0057】<実施例2>実施例1と同じ装置におい
て、実施例1で示したトラブルの後処置をした後、改め
て運転を開始した。
【0058】運転開始日から4日後に、一酸化炭素の濃
度差が異常を示したので、運転を停止した。図10に一
酸化炭素の濃度差を検知した状況を示す。この時点で
は、温度計8に異常を示すものはなかった。
【0059】原因を調査した結果、吸着塔1内の構造に
欠陥があり、図9に示すように、上段の充填室5の、ガ
ス排出口4側のルーバーから吸着材20がこぼれて堆積
しており、ここにホットスポットが発生していたことが
判明した。そこで、構造の欠陥を補修した後、運転を再
開した。その後、長期間運転を続けたが異常は起こって
いない。万一、ホットスポットが発生したとしても、以
上の例と同様に早期に発見されるものと考えられる。
【0060】<実施例3>図11、図12は、120万
Nm3 /hの石炭焚きボイラー排ガスを処理して、排ガ
ス中の硫黄酸化物、窒素酸化物及びダストを除去する移
動層式吸着塔の例である。この吸着塔1内は、5つのカ
ートリッジタイプの充填室5を直列に並べて1列とした
ものを、4列並べて全体を構成している。
【0061】そして、ガス導入口3と、ガス排出口4に
それぞれ一酸化炭素濃度計30を設置している。ガス排
出口4の濃度計は、充填室5の移動層を通過した排ガス
が流通する3つの流通路A、C、Eの排ガス出口4aに
ガス採取口を設けており、所定の時間間隔で採取ガスを
切り換えて計測できるようにしている。これによって、
ガス導入口3とガス排出口4の一酸化炭素濃度の差を測
定することが可能であり、更に異常があった場合には、
その発生箇所を限定することが可能である。
【0062】このボイラー排ガスには、定常時に200
〜300ppmの一酸化炭素が含まれているが、通常の
運転においては、ガス排出口4側の方が僅かに(10p
pm以下)高い濃度を示す。そこで、例えば、ガス排出
口4とガス導入口3の濃度差が100ppm以上になっ
た場合には、吸着材20の循環経路を変更するなどの処
置をすることにしている。(この装置では、未だホット
スポットの発生は起こっていない。)
【0063】
【発明の効果】この発明は前記のように構成したことに
より、ガス測定手段によって吸着塔のガス入口とガス出
口における排ガス中の特定物質の濃度を測定し、この測
定値から吸着塔のガス入口とガス出口における排ガス中
の特定物質の濃度差を求め、この濃度差から吸着塔内に
おけるホットスポットの発生の有無を検知することがで
きることになる。したがって、ホットスポットを早期
に、しかも簡単に発見することができるので、装置の運
転を停止させることなく、装置の性能を低下させること
なく、ホットスポットを消滅させることができることに
なる。この結果、装置及び排ガスの発生元のボイラー等
の生産設備を停止させることがなくなるので、それらが
停止することによって莫大な損害を被ることもなくなる
ことになる等の優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】乾式排ガス処理方法に用いる処理装置の一例を
示した説明図である。
【図2】従来のホットスポット検知方法を実施するため
の吸着塔の一例を示した平面図である。
【図3】図2に示すものの正面図である。
【図4】図2に示すもののA−A線断面図である。
【図5】この発明による吸着塔のホットスポットの発生
機構を調べるための実験装置の概略図である。
【図6】図5に示すものの実験結果を示したものであっ
て、吸着材の温度と酸化反応との関係を示した説明図で
ある。
【図7】この発明によるホットスポット検知方法を実施
するための吸着塔の一例を示した説明図である。
【図8】図7に示すものの吸着塔出口と入口の一酸化炭
素濃度差の変化を示した説明図である。
【図9】この発明によるホットスポット検知方法を実施
するための吸着塔の他の例を示した説明図である。
【図10】図9に示すものの吸着塔出口と入口の一酸化
炭素濃度差の変化を示した説明図である。
【図11】この発明によるホットスポット検知方法を実
施するための吸着塔の他の例を示した平面図である。
【図12】図11に示すものの正面図である。
【符号の説明】
1……吸着塔 2……容器 2a、2b……側壁 3……ガス導入口 3a……排ガス入口 4……ガス排出口 4a……排ガス出口 5……充填室 5a……ガス流通面 6……供給口 7……排出口 8……温度計 10……再生塔 11……篩設備 12……吸着材貯槽 13……硫酸製造設備 15……吸着材搬送機器 16……煙突 17……ホッパ 20……吸着材 25……筒 26……吸着材 27……電気ヒータ 30……濃度計

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質吸着材を充填した吸着塔を用いて
    排ガスを処理する方法において、吸着塔のガス入口及び
    ガス出口に特定の物質の濃度を測定するガス測定手段を
    設け、このガス測定手段によって吸着塔のガス入口及び
    ガス出口における特定物質の濃度を測定し、この測定値
    からガス入口とガス出口との特定物質の濃度差を求め、
    この濃度差から吸着塔内におけるホットスポットの発生
    の有無を検知することを特徴とする吸着塔のホットスポ
    ット検知方法。
  2. 【請求項2】 炭素吸着材を充填した吸着塔を用いて排
    ガスを処理する方法において、複数の室に区画されてい
    る吸着塔のガス入口及び各室のガス出口に特定の物質の
    濃度を測定するガス測定手段を設け、このガス測定手段
    によって吸着塔のガス入口及び各室のガス出口における
    特定物質の濃度を測定し、この測定値からガス入口と各
    室のガス出口との特定物質の濃度差を求め、この濃度差
    から吸着塔内におけるホットスポットの発生の有無を検
    知することを特徴とする吸着塔のホットスポット検知方
    法。
  3. 【請求項3】 前記特定の物質が一酸化炭素である請求
    項1又は2に記載の吸着塔のホットスポットの検知方
    法。
  4. 【請求項4】 前記特定の物質が二酸化炭素である請求
    項1又は2に記載の吸着塔のホットスポットの検知方
    法。
  5. 【請求項5】 前記特定の物質が酸素である請求項1又
    は2に記載の吸着塔のホットスポットの検知方法。
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