JPH1197209A - 限流素子およびその製造方法 - Google Patents

限流素子およびその製造方法

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JPH1197209A
JPH1197209A JP9253487A JP25348797A JPH1197209A JP H1197209 A JPH1197209 A JP H1197209A JP 9253487 A JP9253487 A JP 9253487A JP 25348797 A JP25348797 A JP 25348797A JP H1197209 A JPH1197209 A JP H1197209A
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JP
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fine particles
conductive fine
glass
limiting element
current
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JP9253487A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Nishimura
浩之 西村
Osamu Hiroi
治 廣井
Hiroshi Adachi
廣士 足達
Tatsuya Hayashi
龍也 林
Tomoe Takahashi
知恵 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温抵抗が低く小寸法で大電流を流すことが
可能で、かつ耐熱性に対して信頼性の高い限流素子およ
びその製造方法を提供する。さらに、電極との接触抵抗
が大幅に低減された限流素子およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 導電部として融点が2640℃以上であ
る導電性微粒子、並びに絶縁部としてセラミックスおよ
び上記導電性微粒子の融点より低い温度で溶融可能なガ
ラスを基本組成とし、上記導電性微粒子が上記ガラス中
に分散して導電パスを形成してなる。さらに、限流素子
の一部分に導電性微粒子またはガラスを混合した導電性
微粒子が一体的に成形されてなる電極を備えた。また、
導電性微粒子またはガラスを混合した導電性微粒子を限
流素子本体の一部分に配置して電極を同時成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機複合材料にお
いて、その抵抗値が正の温度係数を示すPTC(Positi
ve Temperature Coefficient)サーミスタ素子、特に限
流素子に関し、大電流化および高信頼性化に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、無機系のPTC材料としては
BaTiO3が最もよく知られている。これに1価また
は3価の希土類元素等を微量添加し半導体化したものは
キュリー点に達する120℃付近で急激な抵抗増加を示
す。この抵抗異常を生じる温度は一部の元素を他の同価
の元素に置換しキュリー温度を移動させることによって
一定範囲内で制御可能である。また、CuOの微量添加
や多孔質化などによってPTC効果が増大することも知
られている。PTCの発現は、結晶粒界のショットキー
障壁がキュリー点以下においては粒界の強誘電性のため
低くなっているが、キュリー点以上においては誘電率が
低下するためショットキー障壁が高くなり抵抗の急増が
高くなることによると考えられている。このPTC材料
を限流素子に用いる場合には、常温における比抵抗が1
0Ω・cm程度と大きいために、通電時の電流量に限
界を生じるという問題がある。また、現象が粒界障壁に
もとづいていることから電圧依存性があり電力用に用い
るには問題がある。
【0003】他の無機系PTC材料としてはV23があ
る。もともとNTC(Negative Temperature Coefficie
nt)を示す材料であるが微量のCrやAlを添加するこ
とにより室温から200℃付近の温度領域で金属−絶縁
体転移に起因するPTC特性を示す。常温での比抵抗
は、10-4Ω・cm程度のものも得られている。しかし
ながら、同材料は温度が上昇し抵抗が急上昇した後、さ
らに温度が上がると抵抗が減少するNTC特性を示すた
め、限流素子に使用した場合は一度減り始めた電流が再
び流れはじめるといった欠点がある。また、これらのセ
ラミックス系PTC材料では、電極との接触抵抗が大き
く、限流素子に使用した場合には短絡時に発生するアー
クのために素子が破損するという問題がある。無機系で
は上記のような問題点があり限流素子として実用化には
至っていない。
【0004】これに対して、有機系では、従来からポリ
エチレンあるいはポリプロピレンなどの結晶性ポリマー
に適当な量のカーボンブラックの微粉末導電性充填材を
分散させたPTC抵抗体が知られており、例えば特公昭
50-33707号公報や特公昭55-12683号公報
や特公昭64-3322号公報に記載されている。この
PTC特性は、結晶性ポリマーの融点に基づくものであ
り、80〜130℃付近で結晶質から非晶質に変化する
際の熱膨張により導電性パスを形成している粒子どうし
が離れて抵抗値が増大する。常温抵抗は低いもので10
-1Ω・cmレベルであり、PTC特性も優れていること
から定格電流が60A級以下の限流素子に実用化されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機系
の限流素子では導電性物質にカーボンを用いていること
から常温抵抗の低下には限界があるだけでなく、導電性
充填材の含有量を増加させるに従ってPTC効果の強さ
が急激に低下することが見いだされている。そのため、
60A級となると抵抗値を下げるため寸法形状がかなり
大きなものとなっている。それ故、さらに60Aを越え
る定格電流を流すためにはさらに常温抵抗の低いPTC
抵抗体が必要となっている。また、定格電流が大きくな
ると短絡時に素子に加わるエネルギー量も大きくなるた
め耐熱性に対する信頼性も要求される。
【0006】本発明は、上記のような問題を解決するた
めになされたものであり、常温抵抗が低く小寸法で大電
流を流すことが可能で、かつ耐熱性に対して信頼性の高
い限流素子およびその製造方法を提供するものである。
さらに、電極との接触抵抗が大幅に低減された限流素子
およびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る限流素
子は、導電部として融点が2640℃以上である導電性
微粒子、並びに絶縁部としてセラミックスおよび上記導
電性微粒子の融点より低い温度で溶融可能なガラスを基
本組成とし、上記導電性微粒子が上記ガラス中に分散し
て導電パスを形成してなるものである。
【0008】第2の発明に係る限流素子は、上記限流素
子の一部分に導電性微粒子またはガラスを混合した導電
性微粒子が一体的に成形されてなる電極を備えたもので
ある。
【0009】第3の発明に係る限流素子の製造方法は、
融点が2640℃以上である導電性微粒と、上記導電性
微粒子の融点より低い温度で溶融可能なガラス粉末と、
粒状セラミックスとを混合する工程、上記混合体を加圧
成形する工程、並びに上記成形体を熱処理する工程を順
に施すものである。
【0010】第4の発明に係る限流素子の製造方法は、
上記熱処理工程を還元雰囲気で行うものである。
【0011】第5の発明に係る限流素子の製造方法は、
上記加圧成形工程において、導電性微粒子またはガラス
を混合した導電性微粒子を限流素子本体の一部分に配置
して電極を同時成形するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においては、導電部として
融点が2640℃以上である導電性微粒子、並びに絶縁
部としてセラミックスおよび導電性微粒子の融点より低
い温度で溶融可能なガラスを基本組成として用いる。さ
らに、導電性微粒子がガラス中に分散して導電パスを形
成している。具体的構造の一例としては、粒状セラミッ
クスの表面を覆うように導電性微粒子がガラス中に分散
して導電パスを形成しており、ガラスにより粒状セラミ
ックス間の隙間を埋めている。また、別の構造例として
は、ガラス中に粒状セラミックスと導電性微粒子とが分
散しており、導電性微粒子によって粒状セラミックス間
で導電パスを形成している。但し、具体的構造がこれら
の2例に限定されるものではない。例えば多孔質状のセ
ラミックスを用い、このセラミックスの孔中に導電性微
粒子が分散し導電パスを形成したガラスが充填された構
造としてもよい。
【0013】融点が2640℃以上である導電性微粒子
としては、例えば金属の、オスミウム、タングステン、
タンタル、レニウムなどがある。また、金属炭化物の、
炭化チタン、炭化二タングステン、炭化タングステン、
炭化バナジウム、炭化ジルコニウム、炭化ニオブ、炭化
ハフニウム、炭化モリブデン、炭化タンタルなどがあ
る。また、金属窒化物の、窒化チタン、窒化ジルコニウ
ム、窒化タンタルなどがある。これらの導電性物質を単
体もしくは2種類以上の化合物とした導電性微粒子を単
一もしくは2種類以上混合して用いる。導電性微粒子の
平均粒径は0.015〜15μmで、好ましくは1μm
以下を用いる。粒度分布ができるだけ小さく径の揃った
導電性微粒子を用いることが好ましく、粒子形状もでき
るだけ球状のものが好ましい。これらの条件からはずれ
るほど常温抵抗が低くPTC効果つまり抵抗値の変化倍
率の大きい限流素子を得ることは困難になる。
【0014】ガラスとしては、できるだけ低温で溶融す
るガラスが好ましく、溶融温度が280〜600℃の範
囲にある低融点ガラス組成であるはんだガラスなどが好
ましい。例えば、PbO−B23系、PbO−SiO2
−B23系、PbO−ZnO−B23系、PbO−B2
3−Tl2O系、B23−P25−Al23系などがあ
る。溶融温度が600℃を越えると短絡電流による昇温
に対する素子の応答が遅くなり限流効果が十分に発揮さ
れない。
【0015】セラミックスとしては、アルミナ、溶融シ
リカ、クリストバライト、トリジマイト、石英、マグネ
シア、ジルコニア、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ
素、ムライト、アンダリューサイド、フォルステライ
ト、ステアタイト、スピネル、コージェライト、ドロマ
イト、ウォルストナイト、ウレマイト、ジルコン、ユー
クリプタイト、スポジュメン、ペタライト、雲母、チタ
ン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロ
ンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛などがある。これらの
セラミックスを単一で、もしくは2種類以上を混合して
用いる。粒状セラミックスを用いる場合、その平均粒径
は2〜500μmで、好ましくは10〜100μmを用
いる。粒度分布ができるだけ小さく径の揃った粒状セラ
ミックスを用いることが好ましく、粒子形状もできるだ
け球状のものが好ましい。平均粒径が小さいほど、一定
の導電性を得るための導電性微粒子の添加量が増大し、
2μmより小さいと導電性微粒子の添加量が多くなりす
ぎ十分なPTC効果が得られない。また、500μmを
越えると、粒状セラミックスの特性が十分に発揮されな
い。
【0016】この材料系の組成比は、導電性微粒子とセ
ラミックスの種類、形状等により異なるが、導電性微粒
子はガラスに対して3〜75vol%を満たすことが好
ましい。導電性微粒子の量比は、ガラスに対して3vo
l%より少ないと限流素子の常温抵抗が極端に高くな
り、導電性微粒子がガラスに対して75vol%を越え
るとこの素子のPTC効果は不十分となる。セラミック
スは粒状の場合、素子全体に対して15〜95vol%
を満たすことが好ましい。95vol%を越えるとガラ
ス成分が少なくなり素子強度が低下しアーク耐性に劣
る。限流素子のような瞬時の昇温に対しては素子中の粒
状セラミックス量は60vol%以下でガラス組成の多
い領域を用いることがさらに好ましい。また導電性微粒
子が75vol%以下であっても粒状セラミックスのv
ol%が小さい場合、素子全体に対しての導電性微粒子
の比率が大きくなりPTC効果が不十分となる。粒状セ
ラミックスが素子全体に対して15vol%より少ない
と、使用状態によっては素子の変形を伴う。
【0017】この材料系のPTC発現機構についての詳
細は不明であるが、基本的にはガラス中に存在する導電
性微粒子との界面付近でのガラスの膨脹および溶融によ
る状態変化により導電パスが切断されるものと考えられ
る。そしてセラミックスの熱膨張や相変化等の熱変化に
より効果的にPTC特性を発揮すると考えられる。ま
た、このセラミックスは、素子の基体として形状を保持
する機能も有する。
【0018】融点が2640℃以上である導電性微粒子
を用いるのは、限流素子に短絡電流が流れる時に導電性
微粒子間や素子−電極間等に発生するアークに対する耐
性を付与するためである。定格電流量等によるアークの
大小に関わらず、アーク発生により導電性微粒子間や素
子-電極間の界面では瞬時に2640℃近くまで昇温す
る。導電性微粒子の融点が2640℃より低いと、アー
ク発生時の熱により導電性微粒子間で融着を生じPTC
効果が機能しないだけでなく素子抵抗が低下する。導電
性微粒子の沸点が2640℃より低い場合、素子の破壊
に至ることもある。
【0019】上記のような限流素子は、導電性微粒子と
ガラス粉末と粒状セラミックスとを混合し、得られた混
合体を加圧成形し、得られた成形体を熱処理する製造方
法により、特性の良いものが簡単に製造できる。さら
に、熱処理を還元雰囲気で行うと導電性微粒子表面に酸
化皮膜の形成を防ぐことができ好ましい。導電性微粒子
表面に酸化皮膜が形成されると素子の常温抵抗が増大す
るだけでなく特性の安定性にも悪影響を及ぼす。大気雰
囲気で熱処理した素子でも再度還元雰囲気で熱処理する
ことにより酸化皮膜の除去は可能である。
【0020】また、限流素子と電極を一体成形すると素
子内部の導電性微粒子と電極部が連続的に接続されるた
め界面での接触抵抗は減少する。この一体成形のための
電極材料としては、基本的には素子内部に用いている導
電性微粒子を用いるが、異なる導電性微粒子を用いても
問題はない。導電性微粒子の種類によってはプレス成形
とガラス溶融温度での熱処理だけでは成形強度が弱い場
合があり、その場合には導電性微粒子にガラスを混合し
て強度を補強する必要がある。ただし、その場合も、電
極部に対してガラス量は30vol%以下であることが
好ましい。これを越えるとこの電極と外部電極との間の
接触抵抗が増大し、電極一体成形の効果が低減する。な
お、電極を一体成形した限流素子は、加圧成形工程にお
いて、導電性微粒子またはガラスを混合した導電性微粒
子を限流素子本体の一部分に配置して電極を同時成形す
ることにより簡単に得られるが、さらに、熱処理の工程
で、昇温や冷却時の熱膨張や収縮による電極と素子本体
の界面での剥離を防ぐため、素子本体が変形しない程度
の重しをすることが好ましい。さらには、熱処理工程を
ホットプレスで行うことが好ましい。
【0021】
【実施例】次に、本発明を具体的な実施例を示して詳細
に説明する。 実施例1.表1に示す体積比になるように、粒状セラミ
ックスとして50μm径の球状アルミナ[商品名CB−
A50、昭和タイタニウム(株)製]を2.454g
と、ガラスとしてPbO−B23−Tl20系低融点ガ
ラス粉末[ガラス転移点(Tg)250℃、ガラス軟化
点(Sp)303℃、商品名GSP220A528、東
芝ガラス(株)製]を5.771gと、導電性微粒子と
して0.45〜0.59μm径のタングステン[融点3
382℃、商品名W−H、日本新金属(株)製]を1.
775gとを秤量し、乳鉢中でアセトンを添加して均一
に湿式混合した。80℃で30分間乾燥後、この均一混
合粉末400mgを金型に充填し5ton/cm2の圧
力で1分間加圧成形した。取り出した成形体を真空置換
式の還元炉で水素ガス雰囲気中350℃で10分間熱処
理することにより柱状の限流素子(直径約5mm×厚さ
約5mm)が得られた。電気特性は、素子の上下面にス
パッタで膜厚約5000オングストロームのW電極を形
成し測定した。
【0022】実施例2.実施例1と同様の材料系で、表
1に示す体積比になるように球状アルミナを2.204
gと、PbO−B23−Tl20系低融点ガラス粉末を
4.607gと、タングステンを3.189gとを秤量
し、乳鉢中でアセトンを添加して均一に湿式混合した
後、80℃で30分間乾燥した。金型にまずAg粉末を
50mg充填し、その上にこの均一混合粉末400mg
を充填し、さらにその上にAg粉末を50mg充填した
後、5ton/cm2の圧力で1分間加圧成形した。取
り出した成形体に変形しない程度の重しをした状態で真
空置換式の還元炉を用いて水素ガス雰囲気中350℃で
10分間熱処理した。これにより柱状の上下面に電極が
一体成形された限流素子(直径約5mm×厚さ約5m
m)が得られた。
【0023】実施例3〜15.実施例1と同様の材料系
で、表1に示すように導電性微粒子や粒状セラミックス
の体積比が異なるように、球状アルミナと、PbO−B
23−Tl20系低融点ガラス粉末、およびタングステ
ンを秤量し、乳鉢中でアセトンを添加して均一に湿式混
合した後、80℃で30分間乾燥した。金型にまずAg
粉末を50mg充填し、その上にこの均一混合粉末40
0mgを充填し、さらにその上にAg粉末を50mg充
填した後、5ton/cm2の圧力で1分間加圧成形し
た。取り出した成形体に変形しない程度の重しをした状
態で真空置換式の還元炉を用いて水素ガス雰囲気中35
0℃で10分間熱処理した。これにより柱状の上下面に
電極が一体成形された限流素子(直径約5mm×厚さ約
5mm)が得られた。
【0024】
【表1】
【0025】比較例1.表2に示す体積比になるよう
に、上記の50μm径の球状アルミナを2.675g
と、PbO−B23−Tl20系低融点ガラスを6.2
91gと、導電性微粒子として0.50〜0.99μm
径のモリブデン[融点2622±10℃、商品名Mo−
H、日本新金属(株)製]を1.034gとを秤量し、
乳鉢中でアセトンを添加して均一に湿式混合した後、8
0℃で30分間乾燥した。金型にまずAg粉末を50m
g充填し、その上にこの均一混合粉末400mgを充填
し、さらにその上にAg粉末を50mg充填した後、5
ton/cm2の圧力で1分間加圧成形した。取り出し
た成形体に変形しない程度の重しをした状態で真空置換
式の還元炉を用いて水素ガス雰囲気中350℃で10分
間熱処理した。これにより柱状の上下面に電極が一体成
形された限流素子(直径約5mm×厚さ約5mm)が得
られた。
【0026】比較例2.表2に示す体積比になるよう
に、50μm径の球状アルミナを2.721gと、Pb
O−B23−Tl20系低融点ガラスを6.753g
と、導電性微粒子として0.50〜0.99μm径のモ
リブデンを0.526gとを秤量し、乳鉢中でアセトン
を添加して均一に湿式混合した後、80℃で30分間乾
燥した。金型にまずAg粉末を50mg充填し、その上
にこの混合粉末400mgを充填し、さらにその上にA
g粉末を50mg充填した後、5ton/cm2の圧力
で1分間加圧成形した。取り出した成形体に変形しない
程度の重しをした状態で真空置換式の還元炉を用いて水
素ガス雰囲気中350℃で10分間熱処理した。これに
より柱状の上下面に電極が一体成形された限流素子(直
径約5mm×厚さ約5mm)が得られた。
【0027】
【表2】
【0028】比較例3.表3に示す体積比になるよう
に、50μm径の球状アルミナを2.000gと、Pb
O−B23−Tl20系低融点ガラスを3.300g
と、導電性微粒子として0.1〜1.0μm径のAg
[融点960.5℃、商品名AgC−BO、福田金属箔
粉工業(株)製]を0.700gとを秤量し、乳鉢中で
アセトンを添加して均一に湿式混合した後、80℃で3
0分間乾燥した。金型にまずAg粉末を50mg充填
し、その上にこの混合粉末400mgを充填し、さらに
その上にAg粉末を50mg充填した後、5ton/c
2の圧力で1分間加圧成形した。取り出した成形体を
大気中350℃で10分間熱処理した。これにより柱状
の上下面に電極が一体成形され導電性微粒子がAgであ
る限流素子(直径約5mm×厚さ約5mm)が得られ
た。
【0029】比較例4、5.比較例3と同様の材料系
で、表3に示すように導電性微粒子や粒状セラミックス
の体積比が異なるように、球状アルミナと、PbO−B
23−Tl20系低融点ガラス粉末と、Agとを秤量
し、乳鉢中でアセトンを添加して均一に湿式混合した
後、80℃で30分間乾燥した。金型にまずAg粉末を
50mg充填し、その上にこの均一混合粉末400mg
を充填し、さらにその上にAg粉末を50mg充填した
後、5ton/cm2の圧力で1分間加圧成形した。取
り出した成形体を大気中350℃で10分間熱処理し
た。これにより柱状の上下面に電極が一体成形され導電
性微粒子がAgである限流素子(直径約5mm×厚さ約
5mm)が得られた。
【0030】
【表3】
【0031】各限流素子の常温抵抗の測定は、実施例1
の限流素子のみスパッタ電極であるので接触抵抗を低減
するため外部電極を40Kg/cm2の圧力で圧接し、
実施例3〜15の電極一体成形した限流素子については
外部電極を20Kg/cm2の圧力で圧接し、0.1A
の電流を流すことによって行った。図1に示すように、
ガラス中の導電性微粒子であるタングステンの添加量を
変えることによって常温抵抗は10-3Ω・cm以下まで
制御可能であり、粒状セラミックスの添加量によっても
異なる値を示す。実施例14の素子を加熱し温度に対す
る抵抗の変化を測定した。結果を図2に示すように、P
TCの発現は温度が470℃であり、抵抗の変化倍率は
800倍以上を示す。
【0032】実施例1〜15および比較例1〜5の素子
について限流実験を行い、限流効果を評価する上での目
安となる最大限流波高値を測定した。半波の正弦波電圧
を素子に印加して得られた最大限流波高値を表1、表2
および表3に示す。いずれの素子においても限流を確認
できた。粒状セラミックス量が少ない方がガラス層の相
対量も多く限流効果が大きい。また、導電性微粒子量が
少ない方がPTC効果が得易い上に常温抵抗が大きくな
るため短絡電流が流れた時の発熱量も大きく限流効果が
大きい。実施例5では推定短絡電流1400Aが120
Aと大きく限流している。比較例1においても推定短絡
電流1400Aが135Aと同様に大きく限流している
が、導電性微粒子に融点が2622±10℃(沸点48
00℃)のモリブデンを用いているため限流後導電性微
粒子間に発生するアークにより素子の内部で破損が生じ
た。素子形状には変化はないが、モリブデン微粒子表面
がアーク熱により溶融し微粒子間で融着するため限流後
の素子は常温抵抗が初期に比べ低下している。比較例2
も同様の結果であった。また、比較例3においても推定
短絡電流1400Aが118Aと同様に大きく限流して
いるが、導電性微粒子に融点が960.5℃(沸点19
80℃)の銀を用いているため限流後導電性微粒子間に
発生するアークにより素子の破損が生じた。比較例3お
よび比較例5のように大きく限流したものではアークの
発生も抑制され素子形状に変化はないものの内部組織に
おいて破損がみられ、比較例4においては十分に限流し
ていないため、短絡時に流れる電流量が大きく、発生す
るアークも大きくなるため素子の破壊にまで至った。こ
れに対して、本発明の実施例1〜15の限流素子におい
ては導電性微粒子のタングステン(融点3382℃)を
用いているため限流後の素子に異常はみられなかった。
【0033】
【発明の効果】以上のように、第1の発明による限流素
子は、導電部として融点が2640℃以上である導電性
微粒子、並びに絶縁部としてセラミックスおよび上記導
電性微粒子の融点より低い温度で溶融可能なガラスを基
本組成とし、上記導電性微粒子が上記ガラス中に分散し
て導電パスを形成してなるので、常温抵抗が低く小寸法
で大電流を流すことが可能で、かつ耐熱性に対して信頼
性の高い限流素子が得られる。
【0034】第2の発明による限流素子は、限流素子の
一部分に導電性微粒子またはガラスを混合した導電性微
粒子が一体的に成形されてなる電極を備えたので、電極
との接触抵抗を大幅に低減でき、短絡時に発生するアー
クに対しても破損しないような限流素子が得られる。
【0035】第3の発明による限流素子の製造方法は、
融点が2640℃以上である導電性微粒子と、上記導電
性微粒子の融点より低い温度で溶融可能なガラス粉末
と、粒状セラミックスとを混合する工程、上記混合体を
加圧成形する工程、並びに上記成形体を熱処理する工程
を順に施すので、常温抵抗が低く小寸法で大電流を流す
ことが可能で、かつ耐熱性に対して信頼性の高い限流素
子が簡単に製造できる。
【0036】第4の発明による限流素子の製造方法は、
熱処理工程を還元雰囲気で行うので、導電正微粒子表面
に酸化被膜が形成されるのを防止でき、常温抵抗の上昇
を抑えしかも特性の安定した限流素子が簡単に製造でき
る。
【0037】第5の発明による限流素子の製造方法は、
加圧成形工程において、導電性微粒子またはガラスを混
合した導電性微粒子を限流素子本体の一部分に配置して
電極を同時成形するので、電極との接触抵抗が大幅に低
減された限流素子が簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による限流素子の導電性微
粒子の量と常温抵抗の関係を示す図である。
【図2】 本発明の一実施例による限流素子の温度に対
する抵抗変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 龍也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 高橋 知恵 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電部として融点が2640℃以上であ
    る導電性微粒子、並びに絶縁部としてセラミックスおよ
    び上記導電性微粒子の融点より低い温度で溶融可能なガ
    ラスを基本組成とし、上記導電性微粒子が上記ガラス中
    に分散して導電パスを形成してなることを特徴とする限
    流素子。
  2. 【請求項2】 請求項1項記載の限流素子の一部分に導
    電性微粒子またはガラスを混合した導電性微粒子が一体
    的に成形されてなる電極を備えたことを特徴とする限流
    素子。
  3. 【請求項3】 融点が2640℃以上である導電性微粒
    子と、上記導電性微粒子の融点より低い温度で溶融可能
    なガラス粉末と、粒状セラミックスとを混合する工程、
    上記混合体を加圧成形する工程、並びに上記成形体を熱
    処理する工程を順に施すことを特徴とする限流素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 上記熱処理工程は還元雰囲気で行うこと
    を特徴とする請求項3記載の限流素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記加圧成形工程において、導電性微粒
    子またはガラスを混合した導電性微粒子を限流素子本体
    の一部分に配置して電極を同時成形することを特徴とす
    る請求項3記載の限流素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003229302A (ja) * 2002-02-01 2003-08-15 Toshiba Corp 電圧非直線抵抗体
JP2018067640A (ja) * 2016-10-19 2018-04-26 住友金属鉱山株式会社 正温度係数抵抗体用組成物、正温度係数抵抗体用ペースト、正温度係数抵抗体ならびに正温度係数抵抗体の製造方法

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