JPH1131603A - 電気回路保護用ptc抵抗素子及びその製造方法 - Google Patents
電気回路保護用ptc抵抗素子及びその製造方法Info
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- JPH1131603A JPH1131603A JP20251097A JP20251097A JPH1131603A JP H1131603 A JPH1131603 A JP H1131603A JP 20251097 A JP20251097 A JP 20251097A JP 20251097 A JP20251097 A JP 20251097A JP H1131603 A JPH1131603 A JP H1131603A
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- ceramic
- resistance element
- ptc
- admixture
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 定常状態での抵抗値が低く、耐熱性が高く、
更に動作ごとの素子の交換の必要がない電気回路保護用
PTC抵抗素子及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 BaTiO3からなるリング状のセラミ
ックス4の内部に、カーボンビーズを分散させた混和物
3の粉末を充填し、圧縮成型し、その上下面にNi箔の
電極1,2を設ける。
更に動作ごとの素子の交換の必要がない電気回路保護用
PTC抵抗素子及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 BaTiO3からなるリング状のセラミ
ックス4の内部に、カーボンビーズを分散させた混和物
3の粉末を充填し、圧縮成型し、その上下面にNi箔の
電極1,2を設ける。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量の二次電池を
使用した携帯電話機をはじめ、小型の通信機器、電気機
器、電子機器における異常発生時に流れる過電流を防止
する電気回路保護素子に関し、特に、PTC(Posi
tive Temperature Coeffice
nt:正温度係数)特性を有する導電性組成物(PTC
組成物)を用いた電気回路保護用PTC抵抗素子及びそ
の製造方法に関するものである。
使用した携帯電話機をはじめ、小型の通信機器、電気機
器、電子機器における異常発生時に流れる過電流を防止
する電気回路保護素子に関し、特に、PTC(Posi
tive Temperature Coeffice
nt:正温度係数)特性を有する導電性組成物(PTC
組成物)を用いた電気回路保護用PTC抵抗素子及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体材料は、通常温度上昇とともに抵
抗が小さくなるので、異常発生時に過電流が流れやすく
なる。電気回路に過電流が流れた場合、環境温度は更に
上昇する。
抗が小さくなるので、異常発生時に過電流が流れやすく
なる。電気回路に過電流が流れた場合、環境温度は更に
上昇する。
【0003】従って、電気回路保護素子としては、室温
で低抵抗であり、温度上昇とともに抵抗が増大、もしく
は電気回路を切断して電流を制限する素子が用いられ
る。即ち、所望のスイッチング温度で、急激に抵抗が大
きくなるPTC組成物を用いたPTC抵抗素子や、スイ
ッチング温度で、電気的な導通を切断する温度ヒューズ
等の素子である。
で低抵抗であり、温度上昇とともに抵抗が増大、もしく
は電気回路を切断して電流を制限する素子が用いられ
る。即ち、所望のスイッチング温度で、急激に抵抗が大
きくなるPTC組成物を用いたPTC抵抗素子や、スイ
ッチング温度で、電気的な導通を切断する温度ヒューズ
等の素子である。
【0004】PTC組成物を用いたPTC抵抗素子とし
て一般的なのは、ドナーイオンを微量添加したBaTi
O3等のセラミック系無機組成物を用いたPTC抵抗素
子(以下、セラミック系PTC抵抗素子という)や結晶
性有機ポリマーマトリックスにカーボン粉末、銀粉末、
表面を銀等の金属で被覆したSi等の微細な導電性粒子
を含む有機導電性組成物を用いたPTC抵抗素子(以
下、ポリマー系PTC抵抗素子という)等が知られてい
る。
て一般的なのは、ドナーイオンを微量添加したBaTi
O3等のセラミック系無機組成物を用いたPTC抵抗素
子(以下、セラミック系PTC抵抗素子という)や結晶
性有機ポリマーマトリックスにカーボン粉末、銀粉末、
表面を銀等の金属で被覆したSi等の微細な導電性粒子
を含む有機導電性組成物を用いたPTC抵抗素子(以
下、ポリマー系PTC抵抗素子という)等が知られてい
る。
【0005】しかし、セラミック系PTC抵抗素子は、
室温−高温の繰り返しによる素子動作後の抵抗率の低下
はみられないが、定常状態での抵抗値が100Ω程度以
下と高いために、数A程度の比較的大きな電流を流すこ
とができない。なお、PTC抵抗素子は、素子材料固有
の抵抗値Rと素子に流された電流値Iとで、いわゆるジ
ュール熱加熱(I2R加熱)により発熱する。そのた
め、定常状態での抵抗値が高い素子に比較的大きな電流
が流れると発熱が起こり、抵抗値が上昇して電流値が低
下する。
室温−高温の繰り返しによる素子動作後の抵抗率の低下
はみられないが、定常状態での抵抗値が100Ω程度以
下と高いために、数A程度の比較的大きな電流を流すこ
とができない。なお、PTC抵抗素子は、素子材料固有
の抵抗値Rと素子に流された電流値Iとで、いわゆるジ
ュール熱加熱(I2R加熱)により発熱する。そのた
め、定常状態での抵抗値が高い素子に比較的大きな電流
が流れると発熱が起こり、抵抗値が上昇して電流値が低
下する。
【0006】また、ポリマー系PTC抵抗素子において
は、ポリマーマトリックスの結晶融点より低い温度にあ
る間は、導電性粒子はポリマーマトリックスの非晶質領
域にのみ存在し、導電性粒子相互に接続されたネットワ
ークを通って移動する電子により低い抵抗率を示す。温
度上昇によりポリマーマトリックスが融解し始めると、
ポリマーマトリックスの粘度を保ったまま非結晶相の体
積が相対的に増加し、更に結晶相の融解で非晶質にのみ
存在した導電性粒子がマトリックス全体に拡散するた
め、導電性粒子間のネットワークが切断され、抵抗率が
急激に上昇するという正温度特性を示す。
は、ポリマーマトリックスの結晶融点より低い温度にあ
る間は、導電性粒子はポリマーマトリックスの非晶質領
域にのみ存在し、導電性粒子相互に接続されたネットワ
ークを通って移動する電子により低い抵抗率を示す。温
度上昇によりポリマーマトリックスが融解し始めると、
ポリマーマトリックスの粘度を保ったまま非結晶相の体
積が相対的に増加し、更に結晶相の融解で非晶質にのみ
存在した導電性粒子がマトリックス全体に拡散するた
め、導電性粒子間のネットワークが切断され、抵抗率が
急激に上昇するという正温度特性を示す。
【0007】しかし、さらに温度が上昇すると、ポリマ
ーマトリックスの粘度が減少し、導電性粒子は全体に非
晶質になった中を自由に動き回り、再配列して十分な導
電性を示すようになる(負温度特性)という欠点があ
る。このように、導電性を示した場合、過電流を遮断す
る特性が低下し、実質的に過電流を防止する電気回路保
護素子としての機能を果たさなくなることが考えられ
る。
ーマトリックスの粘度が減少し、導電性粒子は全体に非
晶質になった中を自由に動き回り、再配列して十分な導
電性を示すようになる(負温度特性)という欠点があ
る。このように、導電性を示した場合、過電流を遮断す
る特性が低下し、実質的に過電流を防止する電気回路保
護素子としての機能を果たさなくなることが考えられ
る。
【0008】また、ポリマー系PTC抵抗素子は、熱可
塑性樹脂を使用していることから耐熱性に限界がある。
常温では、10Ω・cm程度以下の低い抵抗率である
が、高温では、抵抗率が室温の104〜105倍程度に上
昇する。しかし、素子を室温に戻し、更に高温にするこ
とを繰り返すと、素子動作後の抵抗率が室温の10〜1
02倍程度に低下する傾向がある。即ち、抵抗率が上昇
する温度(素子動作温度)と、室温との繰り返し履歴に
より、動作後の抵抗率が低下する。このことは、数〜数
十A程度の電流を繰り返し素子に流すことにより、電流
遮断特性が劣化することを示している。
塑性樹脂を使用していることから耐熱性に限界がある。
常温では、10Ω・cm程度以下の低い抵抗率である
が、高温では、抵抗率が室温の104〜105倍程度に上
昇する。しかし、素子を室温に戻し、更に高温にするこ
とを繰り返すと、素子動作後の抵抗率が室温の10〜1
02倍程度に低下する傾向がある。即ち、抵抗率が上昇
する温度(素子動作温度)と、室温との繰り返し履歴に
より、動作後の抵抗率が低下する。このことは、数〜数
十A程度の電流を繰り返し素子に流すことにより、電流
遮断特性が劣化することを示している。
【0009】一方、温度ヒューズ素子は、素子自体の溶
融により回路がオープンになるため、動作ごとの素子の
交換が必要となる。
融により回路がオープンになるため、動作ごとの素子の
交換が必要となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の技術
的課題は、定常状態での抵抗値が低く、耐熱性が高く、
更に動作ごとの素子の交換の必要がない電気回路保護用
PTC抵抗素子及びその製造方法を提供することにあ
る。
的課題は、定常状態での抵抗値が低く、耐熱性が高く、
更に動作ごとの素子の交換の必要がない電気回路保護用
PTC抵抗素子及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の問題を解決するた
めに、本発明者らは、種々の検討を行った結果、ポリマ
ーに導電性粒子を分散させた混和物と導電性を有するセ
ラミックスとを複合化したPTC抵抗素子(以下、複合
PTC抵抗素子とする)において、その組合せを適切に
選ぶことで、繰り返し使用による動作後の抵抗率の低下
を抑制できることを見出した。即ち、セラミック系PT
C抵抗素子の動作後の抵抗率をポリマー系PTC抵抗素
子よりも低く設定することで、素子動作後のポリマー系
PTC抵抗素子への電流を抑制し、ポリマー系PTC抵
抗素子の抵抗率の低下が実質的にみられなくなることを
見出した。また、本発明の複合PTC抵抗素子は、高温
での保型性にも優れ、高温で変形、溶融を起こすことは
ないことを見出した。
めに、本発明者らは、種々の検討を行った結果、ポリマ
ーに導電性粒子を分散させた混和物と導電性を有するセ
ラミックスとを複合化したPTC抵抗素子(以下、複合
PTC抵抗素子とする)において、その組合せを適切に
選ぶことで、繰り返し使用による動作後の抵抗率の低下
を抑制できることを見出した。即ち、セラミック系PT
C抵抗素子の動作後の抵抗率をポリマー系PTC抵抗素
子よりも低く設定することで、素子動作後のポリマー系
PTC抵抗素子への電流を抑制し、ポリマー系PTC抵
抗素子の抵抗率の低下が実質的にみられなくなることを
見出した。また、本発明の複合PTC抵抗素子は、高温
での保型性にも優れ、高温で変形、溶融を起こすことは
ないことを見出した。
【0012】即ち、本発明は、ポリマーに導電性粒子を
分散させてなる混和物と、導電性を有するセラミックス
とからなる電気回路保護用PTC抵抗素子である。
分散させてなる混和物と、導電性を有するセラミックス
とからなる電気回路保護用PTC抵抗素子である。
【0013】また、本発明は、上記電気回路保護用PT
C抵抗素子において、少なくとも一対の対向した電極を
有する電気回路保護用PTC抵抗素子である。
C抵抗素子において、少なくとも一対の対向した電極を
有する電気回路保護用PTC抵抗素子である。
【0014】また、本発明は、前記セラミックスに貫通
孔を設け、該貫通孔に、前記混和物の粉末を充填し、成
型する上記の電気回路保護用PTC抵抗素子の製造方法
である。
孔を設け、該貫通孔に、前記混和物の粉末を充填し、成
型する上記の電気回路保護用PTC抵抗素子の製造方法
である。
【0015】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の複合PTC抵抗
素子の構造を示す。図1に示すように、本発明の複合P
TC抵抗素子は、リング状のセラミックス4の内部にポ
リマーに導電性粒子を分散させた混和物3の粉末を充填
して圧縮成型し、その上下面に電極1,2を形成したも
のである。本発明の複合PTC抵抗素子を、次のように
して作製した。
素子の構造を示す。図1に示すように、本発明の複合P
TC抵抗素子は、リング状のセラミックス4の内部にポ
リマーに導電性粒子を分散させた混和物3の粉末を充填
して圧縮成型し、その上下面に電極1,2を形成したも
のである。本発明の複合PTC抵抗素子を、次のように
して作製した。
【0016】まず、高密度ポリエチレンに導電性粒子と
してカーボンビーズを所定量加え、ロールミル上で加熱
混練し、混和物を得、これを粉末化した。
してカーボンビーズを所定量加え、ロールミル上で加熱
混練し、混和物を得、これを粉末化した。
【0017】次に、通常の湿式混練、仮焼、造粒によっ
てY2O3を所定量添加したBaTiO3粉末を得た。こ
れをリング状に成型し、焼結することによってセラミッ
クスを得た。
てY2O3を所定量添加したBaTiO3粉末を得た。こ
れをリング状に成型し、焼結することによってセラミッ
クスを得た。
【0018】このリング状のセラミックスの内部に、前
述で得られた、カーボンビーズを分散させた混和物の粉
末を充填した後、加熱圧縮成型することにより、円盤状
の複合体を得た。その後、得られた円盤の上下面に電極
を形成し、複合PTC抵抗素子を得た。
述で得られた、カーボンビーズを分散させた混和物の粉
末を充填した後、加熱圧縮成型することにより、円盤状
の複合体を得た。その後、得られた円盤の上下面に電極
を形成し、複合PTC抵抗素子を得た。
【0019】なお、導電性粒子としては、カーボンビー
ズの他、Ag、Cu、Ni等の金属粒子また球状粒子の
表面を物理的または化学的に金属、金属酸化物、カーボ
ン等の一種または二種以上を沈着被覆させたものでもよ
い。
ズの他、Ag、Cu、Ni等の金属粒子また球状粒子の
表面を物理的または化学的に金属、金属酸化物、カーボ
ン等の一種または二種以上を沈着被覆させたものでもよ
い。
【0020】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。
る。
【0021】まず、高密度ポリエチレンに導電性粒子と
してカーボンビーズを10〜40vol%程度加え、ロ
ールミル上で加熱混練し、混和物を得た。得られた混和
物を粉末化した。
してカーボンビーズを10〜40vol%程度加え、ロ
ールミル上で加熱混練し、混和物を得た。得られた混和
物を粉末化した。
【0022】次に、通常の湿式混練、仮焼、造粒によっ
てY2O3を0.1〜0.3wt%添加したBaTiO3粉
末を得た。これをリング状に成型し、1300〜160
0℃の温度で約2時間焼結することによって外径15m
m、内径10.6mm、厚さ1mmのセラミックスを得
た。
てY2O3を0.1〜0.3wt%添加したBaTiO3粉
末を得た。これをリング状に成型し、1300〜160
0℃の温度で約2時間焼結することによって外径15m
m、内径10.6mm、厚さ1mmのセラミックスを得
た。
【0023】このリング状のBaTiO3セラミックス
の内部に、前述で得られた、カーボンビーズを分散させ
た混和物の粉末を充填した後、100〜200℃程度の
温度で加熱圧縮成型することにより、外径15mm、厚
さ1mmの円盤状の複合体を得た。その後、得られた円
盤の上下面に厚さ20μm程度のNi箔電極を導電性接
着剤を用いて形成し、図1に示すような複合PTC抵抗
素子を得た。
の内部に、前述で得られた、カーボンビーズを分散させ
た混和物の粉末を充填した後、100〜200℃程度の
温度で加熱圧縮成型することにより、外径15mm、厚
さ1mmの円盤状の複合体を得た。その後、得られた円
盤の上下面に厚さ20μm程度のNi箔電極を導電性接
着剤を用いて形成し、図1に示すような複合PTC抵抗
素子を得た。
【0024】(比較例1)高密度ポリエチレンに導電性
粒子としてカーボンビーズを10〜40vol%程度加
え、ロールミル上で加熱混練し、混和物を得た。得られ
た混和物を粉末化した後、Ni箔の間に挟んだ状態で1
00〜200℃程度の温度で加熱圧縮成型することによ
り、厚さ1mmの成型体を得、外径15mm、内径1
0.6mmのリング状に打ち抜きポリマー系PTC抵抗
素子を得た。
粒子としてカーボンビーズを10〜40vol%程度加
え、ロールミル上で加熱混練し、混和物を得た。得られ
た混和物を粉末化した後、Ni箔の間に挟んだ状態で1
00〜200℃程度の温度で加熱圧縮成型することによ
り、厚さ1mmの成型体を得、外径15mm、内径1
0.6mmのリング状に打ち抜きポリマー系PTC抵抗
素子を得た。
【0025】(比較例2)通常の湿式混練、仮焼、造粒
によってY2O3を0.1〜0.3wt%添加したBaTi
O3粉末を得た。これをリング状に成型し、1300〜
1600℃の温度で約2時間焼結することによって、外
径15mm、内径10.6mm、厚さ1mmのセラミッ
クスを得た。得られたリング状セラミックスの両端面に
Ag焼き付け電極を形成し、セラミック系PTC抵抗素
子を得た。
によってY2O3を0.1〜0.3wt%添加したBaTi
O3粉末を得た。これをリング状に成型し、1300〜
1600℃の温度で約2時間焼結することによって、外
径15mm、内径10.6mm、厚さ1mmのセラミッ
クスを得た。得られたリング状セラミックスの両端面に
Ag焼き付け電極を形成し、セラミック系PTC抵抗素
子を得た。
【0026】以上のようにして得られた実施例、比較例
1,2のPTC抵抗素子の抵抗率を測定した。測定は、
オイルバス中4探針法で行い、抵抗率の測定には、ディ
ジタルマルチメータを用いた。各PTC抵抗素子の温度
と抵抗率の関係を図2に、それぞれA,B,Cで示し
た。
1,2のPTC抵抗素子の抵抗率を測定した。測定は、
オイルバス中4探針法で行い、抵抗率の測定には、ディ
ジタルマルチメータを用いた。各PTC抵抗素子の温度
と抵抗率の関係を図2に、それぞれA,B,Cで示し
た。
【0027】図2のAからわかるように、複合PTC抵
抗素子は、室温での抵抗率が4Ω・cm程度であり、高
温で抵抗率が室温の104倍程度に上昇し、その後、更
に温度が上がっても、104倍程度の抵抗率を維持す
る。なお、この時、高温でのポリマーの変形、溶融はみ
られず、高い保型性を維持した。
抗素子は、室温での抵抗率が4Ω・cm程度であり、高
温で抵抗率が室温の104倍程度に上昇し、その後、更
に温度が上がっても、104倍程度の抵抗率を維持す
る。なお、この時、高温でのポリマーの変形、溶融はみ
られず、高い保型性を維持した。
【0028】図2のBからわかるように、ポリマー系P
TC抵抗素子は、室温での抵抗率が4Ω・cm程度であ
り、高温で104倍程度以上に上昇しているが、その
後、更に高温となると、抵抗率が低下している。
TC抵抗素子は、室温での抵抗率が4Ω・cm程度であ
り、高温で104倍程度以上に上昇しているが、その
後、更に高温となると、抵抗率が低下している。
【0029】図2のCからわかるように、セラミック系
PTC抵抗素子は、室温での抵抗率が100Ω・cm程
度であり、高温で102倍程度に上昇しているが、ポリ
マー系PTC抵抗素子より低い。
PTC抵抗素子は、室温での抵抗率が100Ω・cm程
度であり、高温で102倍程度に上昇しているが、ポリ
マー系PTC抵抗素子より低い。
【0030】また、ポリマー系PTC抵抗素子、複合P
TC抵抗素子に50V、10Aを繰り返し印加した際の
素子動作後の抵抗率の変化を図3に示した。図3からわ
かるように、ポリマー系PTC抵抗素子は、繰り返し5
00回程度から素子動作後の抵抗率が急激に低下するの
に対し、複合PTC抵抗素子は、1000回以上でも抵
抗率の大きな変化はみられない。
TC抵抗素子に50V、10Aを繰り返し印加した際の
素子動作後の抵抗率の変化を図3に示した。図3からわ
かるように、ポリマー系PTC抵抗素子は、繰り返し5
00回程度から素子動作後の抵抗率が急激に低下するの
に対し、複合PTC抵抗素子は、1000回以上でも抵
抗率の大きな変化はみられない。
【0031】電気機器、電子機器等にPTC抵抗素子が
使用される場合、概ね室温での抵抗率が10Ω・cm以
下、100〜150℃程度の高温での抵抗率が室温の1
04〜105倍程度となり、その後、500〜1000回
程度の繰り返し履歴を経ても、室温の104〜105倍程
度の高透磁率を維持することが望ましい。その点から、
前述のポリマー系PTC抵抗素子は、繰り返しで抵抗率
が低下することに、セラミック系PTC抵抗素子は、室
温抵抗率が高過ぎることに問題がある。
使用される場合、概ね室温での抵抗率が10Ω・cm以
下、100〜150℃程度の高温での抵抗率が室温の1
04〜105倍程度となり、その後、500〜1000回
程度の繰り返し履歴を経ても、室温の104〜105倍程
度の高透磁率を維持することが望ましい。その点から、
前述のポリマー系PTC抵抗素子は、繰り返しで抵抗率
が低下することに、セラミック系PTC抵抗素子は、室
温抵抗率が高過ぎることに問題がある。
【0032】従って、複合PTC抵抗素子は、室温での
抵抗率が10Ω・cm以下、100〜150℃程度の高
温での抵抗率が室温の104〜105倍程度となり、その
後、500〜1000回程度の繰り返し履歴を経ても、
室温の104〜105倍程度の高抵抗率を維持し、高い信
頼性を持った素子であるといえる。
抵抗率が10Ω・cm以下、100〜150℃程度の高
温での抵抗率が室温の104〜105倍程度となり、その
後、500〜1000回程度の繰り返し履歴を経ても、
室温の104〜105倍程度の高抵抗率を維持し、高い信
頼性を持った素子であるといえる。
【0033】なお、BaTiO3からなる円盤状セラミ
ックスに2以上の貫通孔を設け、混和物を充填した場合
でも、前述と全く同じ特性の複合PTC抵抗素子が得ら
れる。
ックスに2以上の貫通孔を設け、混和物を充填した場合
でも、前述と全く同じ特性の複合PTC抵抗素子が得ら
れる。
【0034】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明によれば、
ポリマー成分に導電性粒子を分散させたポリマー系PT
C抵抗素子と、導電性を有するセラミック系PTC抵抗
素子を複合化させることにより、定常状態での抵抗値が
低く、耐熱性が高く、動作ごとの素子の交換の必要がな
い電気回路保護用PTC抵抗素子及びその製造方法が得
られる。従って、本発明は、工業的利用価値は大であ
る。
ポリマー成分に導電性粒子を分散させたポリマー系PT
C抵抗素子と、導電性を有するセラミック系PTC抵抗
素子を複合化させることにより、定常状態での抵抗値が
低く、耐熱性が高く、動作ごとの素子の交換の必要がな
い電気回路保護用PTC抵抗素子及びその製造方法が得
られる。従って、本発明は、工業的利用価値は大であ
る。
【図1】本発明に関わる複合PTC抵抗素子の概略の構
造を示す図。
造を示す図。
【図2】実施例、比較例1,2に関わるポリマー系、セ
ラミック系、及び複合PTC抵抗素子の温度と抵抗率の
関係を示す特性図。
ラミック系、及び複合PTC抵抗素子の温度と抵抗率の
関係を示す特性図。
【図3】50V、10Aを繰り返し印加後の実施例及び
比較例1に関わるポリマー系及び複合PTC抵抗素子の
抵抗率の変化を示す特性図。
比較例1に関わるポリマー系及び複合PTC抵抗素子の
抵抗率の変化を示す特性図。
1,2 電極 3 混和物 4 セラミックス A 本発明(実施例) B 比較例1 C 比較例2
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリマーに導電性粒子を分散させてなる
混和物と、導電性を有するセラミックスとからなること
を特徴とする電気回路保護用PTC抵抗素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の電気回路保護用PTC抵
抗素子において、少なくとも一対の対向した電極を有す
ることを特徴とする電気回路保護用PTC抵抗素子。 - 【請求項3】 前記セラミックスに貫通孔を設け、該貫
通孔に、前記混和物の粉末を充填し、成型することを特
徴とする請求項1又は2記載の電気回路保護用PTC抵
抗素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20251097A JPH1131603A (ja) | 1997-07-11 | 1997-07-11 | 電気回路保護用ptc抵抗素子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20251097A JPH1131603A (ja) | 1997-07-11 | 1997-07-11 | 電気回路保護用ptc抵抗素子及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1131603A true JPH1131603A (ja) | 1999-02-02 |
Family
ID=16458686
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20251097A Pending JPH1131603A (ja) | 1997-07-11 | 1997-07-11 | 電気回路保護用ptc抵抗素子及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1131603A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100381918B1 (ko) * | 2001-02-20 | 2003-04-26 | 엘지전선 주식회사 | 과전류 차단용 피티씨 폴리머 퓨즈 제조 방법 |
KR20210120156A (ko) | 2020-03-25 | 2021-10-07 | 한국생산기술연구원 | HNT/Ag nanowire를 이용한 고전류용 바인더 |
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1997
- 1997-07-11 JP JP20251097A patent/JPH1131603A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100381918B1 (ko) * | 2001-02-20 | 2003-04-26 | 엘지전선 주식회사 | 과전류 차단용 피티씨 폴리머 퓨즈 제조 방법 |
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