JPH1194803A - 接合評価方法及び装置並びに接合方法 - Google Patents

接合評価方法及び装置並びに接合方法

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JPH1194803A
JPH1194803A JP25099697A JP25099697A JPH1194803A JP H1194803 A JPH1194803 A JP H1194803A JP 25099697 A JP25099697 A JP 25099697A JP 25099697 A JP25099697 A JP 25099697A JP H1194803 A JPH1194803 A JP H1194803A
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bonding
joining
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metal materials
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JP25099697A
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English (en)
Inventor
Kazuo Fujisawa
和夫 藤澤
Shigeki Morotama
重喜 師玉
Chiaki Sasaki
千晃 佐々木
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 両金属材の間に金属材より融点が低い金属箔
を挟み込み、金属箔の融点以上に加熱して両金属材を接
合させてなる接合材の接合程度を、直接的でかつ非破壊
的に、また、容易かつ短時間に、評価する方法を提供す
る。 【解決手段】 接合材1の接合部1a近傍の電磁気的特性
の変化に基づいて接合程度を評価する。接合材1の接合
面に直交する方向に磁化器3にて接合材1を磁化し、そ
の接合部1a近傍の漏洩磁束を磁気センサ2にて検出し、
その検出結果の変化に基づいて接合程度を評価する。ま
た、接合部1a近傍の渦電流を検出し、その検出結果の変
化に基づいて接合程度を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低融点金属箔を介
在させて金属材を接合させた接合材における接合程度を
評価する方法及び装置、並びに、その評価結果を利用す
る接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】低融点金属箔を用いて鋼板,鋼管等の金
属材を接合する接合技術が利用されている。この接合技
術では、接合対象の両金属材の端面間に、B,Si等の
融点降下元素を含んだ低融点金属箔(アモルファス箔
等)を挟み込み、高周波誘導加熱等によりこの金属箔の
融点以上に加熱すると、金属箔が溶融し、その溶融金属
が接合対象の両金属材に拡散する現象を利用している。
このような接合方法は、拡散接合と呼ばれている。
【0003】この拡散接合における接合程度の評価、つ
まり、拡散程度の評価は、接合材に強度,耐食性等の所
要の金属的特性が得られるか否かを判断する際の重要な
指標となる。その拡散程度の評価の手法としては、従
来、所要の金属的特性が得られた接合材の接合部分を切
り出し、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)等
でその接合部分の元素分析を行い、各成分がどの程度拡
散したかを評価している。また、この拡散接合での各成
分の拡散状況について、接合条件の変化に応じて、耐食
性に影響を与える金属Cr,Moがどのように拡散する
かを、EPMA等の元素分析により系統的に調査する方
法も示されている(IIW DOC. IX-1640-91SC-IX-H の「d
iffusion bonding process with insert of amorphous
metal forjoining of high nickel alloy clad steel p
ipe 」のFIG.13)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の接合程度の評価
方法では、以下に示すような問題がある。EPMA等の
元素分析が中心であり、間接的でかつ破壊的にしか接合
程度を評価することができない。また、EPMAの分析
では定性分析でも多大な時間を要する。更に、定量分析
では、特定された複数の微小な領域しか分析できないの
で、接合部分全体の接合程度を正確に評価できない。
【0005】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、直接的でかつ非破壊的に接合程度を評価するこ
とができる接合評価方法及び装置を提供することを目的
とする。
【0006】本発明の他の目的は、容易かつ短時間に
て、接合部分全体の接合程度を正確に評価することがで
きる接合評価方法及び装置を提供することにある。
【0007】本発明の更に他の目的は、より正確な接合
評価を用いることにより、最適な接合条件にて金属材の
接合を行える接合方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る接合評価
方法は、接合対象の両金属材の間に前記両金属材より融
点が低い金属箔を挟み込み、前記金属箔の融点以上に加
熱して前記両金属材を接合してなる接合材の接合程度を
評価する方法において、前記接合材の接合部近傍の電磁
気的特性の変化に基づいて前記接合程度を評価すること
を特徴とする。
【0009】請求項2に係る接合評価方法は、請求項1
において、前記電磁気的特性の変化を検出することは、
前記接合材の接合面に実質的に直交する方向に前記接合
材を磁化し、前記接合材の接合部近傍の漏洩磁束を検出
することであることを特徴とする。
【0010】請求項3に係る接合評価方法は、請求項1
において、前記電磁気的特性の変化を検出することは、
前記接合材の接合部近傍に渦電流を流し、その渦電流の
変化を検出することであることを特徴とする。
【0011】請求項4に係る接合評価装置は、接合対象
の両金属材の間に前記両金属材より融点が低い金属箔を
挟み込み、前記金属箔の融点以上に加熱して前記両金属
材を接合してなる接合材の接合程度を評価する装置にお
いて、前記接合材の接合部近傍の電磁気的特性の変化を
検出する検出手段を備え、該検出手段の検出結果に基づ
いて前記接合程度を評価するように構成したことを特徴
とする。
【0012】請求項5に係る接合方法は、接合対象の両
金属材の間に前記両金属材より融点が低い金属箔を挟み
込み、前記金属箔の融点以上に加熱して前記両金属材を
接合する接合方法において、接合条件を変化させて請求
項1〜3の何れかに記載の接合評価方法にて得られる接
合程度の評価結果に鑑みて、前記両金属材を接合する際
の接合条件を設定することを特徴とする。
【0013】請求項6に係る接合方法は、請求項5にお
いて、前記接合条件は、接合温度,接合温度の維持時間
及び接合時の加圧値の少なくとも1つの条件を含むこと
を特徴とする。
【0014】本発明では、拡散現象によって接合部近傍
の成分構成比が変化するに伴って、その接合部近傍で電
磁気的特性も変化することを利用し、この電磁気的特性
の変化を検出することにより接合程度を評価する。
【0015】例えば、飽和磁束密度が比較的大きい鋼
(被接合材)を、低融点のNi系箔(挟み込む金属箔)
で接合した場合、拡散がほとんど進行していないときに
は、接合部近傍は非磁性または飽和磁束密度が小さい電
磁気特性を示し、その磁気特性は飽和磁束密度が大きい
被接合材とは異なる。これに対して、拡散が進行してい
くと、接合部近傍の成分が被接合材に近いものとなり、
飽和磁束密度も増大して被接合材に近づいてくる。この
電磁気的特性の変化は、接合面に対して直交する方向に
接合材を磁化した場合、接合部近傍からの漏洩磁束の変
化として現れる。そこで、本発明では、この漏洩磁束を
コイルまたはホール素子等のセンサにて検出し、その検
出結果に応じて接合程度を評価する。
【0016】また、この電磁気的特性の変化は、透磁率
または導電率の変化としても現れる。そこで、本発明で
は、接合部近傍を磁化するかまたは磁化しないで、その
接合部近傍に渦電流を流してその渦電流の変化を検出
し、その検出結果に応じて接合程度を評価する。この渦
電流の変化を検出する手法は、センサコイルへの高周波
電流の通流によって被検査材の表面に渦電流を誘導し、
被検査材に欠陥があれば渦電流が流れにくくなるので、
その渦電流の変化に基づいて欠陥を検出する渦流探傷で
も利用される手法である。接合時の拡散現象に伴う接合
部近傍の不連続性は、欠陥と同様に渦電流の流れ方を変
えるので、その渦電流の検出信号から不連続性を評価で
きる。そこで、本発明では、渦電流の変化を検出し、そ
の検出結果に応じて接合程度を評価する。
【0017】以上のような直接的で非破壊的に接合程度
を評価する本発明の方法は、以下のような実験に基づい
て考案されたものである。まず、4.1 %Si,3.2 %B
を含んだNi系アモルファス箔を用いて、表1に示すよ
うな2つの異なる条件で接合を行った後に、磁粉探傷を
行った。条件1では接合温度が低くて拡散が不十分であ
るが、一方、条件2では接合温度が高くて充分な拡散が
行われている。この結果、条件1では明瞭な磁粉模様が
得られたのに対して、条件2では非常に不明瞭な磁粉模
様しか得られず、拡散の程度に応じて磁気特性が異なっ
ていることがわかった。
【0018】
【表1】
【0019】このような知見に基づき、更に接合温度及
び温度維持時間を変化させて、その拡散特性(EPMA
による定量分析)と接合部近傍からの漏洩磁束信号との
関係を詳細に調査した。更に、電磁場解析による系統的
な検討も加えた結果、電磁気的特性変化を利用すること
により、定量的に拡散程度(接合程度)を評価できるこ
とを確認した。そして、実際的な手法として、電磁気的
特性変化領域である接合部近傍の拡散程度(接合程度)
を、漏洩磁束信号または渦流信号にて評価する方法を考
案するに到った。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面を参照して具体的に説明する。まず、低融点金
属箔を用いた金属材の拡散接合の手順及び原理について
簡単に説明する。
【0021】図1は、拡散接合装置の1種であるアモル
ファス接合装置の構成を示す図である。拡散接合装置
は、高周波電圧を印加する高周波電源21と、被接合材1
0,10に取り付けられる接合ヘッド22と、接合ヘッド22
を冷却する冷却ユニット23と、これらの高周波電源21,
接合ヘッド22及び冷却ユニット23を操作する操作盤24と
を有する。
【0022】接合ヘッド22は、被接合材10,10の接合部
近傍に囲繞された加熱コイル25と、被接合材10,10を挟
持するクランプ機構26,26と、高周波電源21,加熱コイ
ル25間に介在されて高周波電源21と電気的に結合された
トランス27とを有する。加熱コイル25内には接合温度を
監視するための放射温度計28が設けられ、また、クラン
プ機構26内には接合時の圧力を監視するための圧力計29
が設けられ、それらの測定結果は操作盤24に送られる。
操作盤24は、これらの測定結果に応じて、高周波電源21
の電源出力及びクランプ機構26の調節手段(図示せず)
の調節量を制御する制御部24a を備える。冷却ユニット
23は冷却水を供給する供給管23a を備える。
【0023】次に、動作について説明する。接合対象の
被接合材10,10の端面間に、融点降下元素のB,Si,
P等を含む低融点のアモルファス箔20を挟み、被接合材
10,10をクランプ機構26,26で挟んで固定した後、高周
波電源21からトランス27を介して加熱コイル25に高周波
電流を流し、誘導加熱により接合部近傍を加熱する。そ
うすると、後述するような接合原理に基づいて、被接合
材10,10が接合されて、接合材が作製される。
【0024】この際、接合部近傍の温度は放射温度計28
にて常時測定されており、その測温結果は操作盤24の制
御部24a を介して高周波電源21にフィードバックされて
その電源出力が制御され、接合部近傍が所望の温度に維
持される。また、接合時の圧力は圧力計29にて常時測定
されており、その測圧結果は操作盤24の制御部24a を介
してクランプ機構26の調節手段にフィードバックされて
その調節量が制御され、接合圧力が所望の圧力値に維持
される。冷却ユニット23は、供給管23a を介して冷却水
を供給し、加熱コイル25,トランス27,高周波電源21等
の過熱を防止する。なお、加熱コイル25はコイル導体が
中空となっており、その中を冷却水を通すことも可能で
ある。
【0025】ここで、上述したプロセスにおける接合原
理について説明する。図2は、その接合原理を説明する
ための図であり、図2(a)はアモルファス箔20に含ま
れていた融点降下元素(B,Si,P等)の濃度分布を
示すグラフ、図2(b)はアモルファス箔20の状態変化
を示す図である。
【0026】アモルファス箔20にはB,Si,P等の融
点降下元素を添加しているので、被接合材10の融点以下
でアモルファス箔20の融点以上である接合温度に加熱す
ると、アモルファス箔20のみが液相となり、接合面間の
空隙がその溶融金属で満たされる()。その後、接合
温度を等温に維持していると、溶融金属(アモルファス
箔20)と母材(被接合材10)との間で相互拡散が起こ
り、溶融金属中の融点降下元素が母材側に拡散し、溶融
金属の融点は除々に上昇する()。その結果、最終的
には溶融金属も等温凝固し、接合が完了する()。
【0027】次に、以上のようにして作製される接合材
の接合程度を評価する本発明の方法の具体例について説
明する。
【0028】(第1の実施の形態:漏洩磁束の変化を検
出)接合部近傍における漏洩磁束の変化を検出して接合
程度を評価する第1の実施の形態(第1発明)について
述べる。図3は、この第1の実施の形態の一例を示す図
である。図において、1は上述したような手順にて作製
された、接合部1aを有する接合材である。接合材1の上
方には、磁束を検出する磁気センサ2と、接合材1を磁
化する磁化器3とを一体的に構造させてなる評価装置4
が設けられている。この評価装置4は、接合材1の軸方
向に走査可能である。
【0029】磁化器(電磁石)3は、接合部1aを挟んで
接合材1の軸方向に適宜離隔させて接合材1の上方に位
置決めされた磁極3a,3aと、これに接続する励磁コイル
3b,3bとから構成されている。そして、電源(図示せ
ず)より励磁コイル3b,3bに電流を流すことにより、接
合材1を磁化し、接合部1aにおける漏洩磁束を磁気セン
サ2にて検出するようになっている。
【0030】磁気センサ2は、コイル,ホール素子また
は磁気ダイーオード等からなり、接合部1aの直上にその
センサ面が位置決めされている。また、磁気センサ2に
は、接合部1a近傍の形状変化に追随できるように、追随
機構5が付設されている。追随機構5は、ジグ5aとバネ
5bとを有する。超硬金属またはセラミック製であるそり
状のジグ5aは、接合材1に接触しながら走査される。磁
気センサ2は、このジグ5aより0.2 mm程度奥に入って
おり、接合材1とは接触しない。この磁気センサ2及び
ジグ5aは一体の構造となっており、それらはバネ5bを介
して磁化器3に支持されている。接合材1の接合部1a近
傍は、接合時に加えられる圧力にて変形する。例えば、
パイプの場合には外面側に膨れた形状となる。また、0.
5 mm程度の目違いも発生する。このような形状変化が
生じる接合部1aで磁気センサ2を走査させる際には、接
合部1aからの距離を出来る限り一定に保つ必要がある。
そこで、本例では、このような追随機構5を設けて、接
合部1aの形状変化に対して磁気センサ2を上下に追従で
きるようにしている。
【0031】次に、動作について説明する。評価装置
4、つまり、磁気センサ2及び磁化器3を接合材1の軸
方向に走査させながら、励磁コイル3b,3bに通電して、
接合材1の接合部1aを挟んで接合面と直交方向に、被接
合材の材質が飽和する程度に、接合材1を磁化する。そ
して、走査中の接合部1a近傍の磁気的な不連続性に基づ
く漏洩磁束を磁気センサ2にて検出する。
【0032】なお、励磁コイル3b,3bに流す電流は、直
流,交流の何れでも良い。直流の場合には、接合部1aの
全範囲にわたって磁化する必要があるので、接合部1aの
厚さが厚いときには非常に大きな容量の電源が必要であ
り、この点では、交流の方が良い。しかし、交流の場合
には、周波数が高くなるに従って表面に磁束が集中する
効果により、漏洩磁束が表面付近に集中して内部は磁化
されないので、内部の磁気的不連続性には鈍感となる。
【0033】上述の構成では、評価装置4を走査するよ
うにしたが、接合材1を走査するようにしても良い。ま
た、上述の構成のように磁気センサ2は単独でも良い
が、極性が反対の2個の磁気センサを接合材1の軸方向
に接近して設け、それらの差動出力を検出した方が、S
/Nの向上を図るためには有利である。
【0034】図4は、この第1の実施の形態の他の例を
示す図である。図4において、図3と同一または同様な
部分には同一番号を付して説明を省略する。図4に示す
構成においては、磁化器3は接合材1の接合部1aに対し
て固定とし、磁気センサ2のみを接合材1の軸方向に走
査可能としている。磁気センサ2及びジグ5aの一体構造
は、バネ5bを介してセンサ走査機構部6に支持されてい
る。図4に示す構成は、磁化器3を固定しているので安
定した磁化を生成できる点、重量が小さい磁気センサ2
のみを走査させるので追随性が良好となる点で、図3の
構成より優れている。
【0035】このような第1の実施の形態は、拡散が不
十分である場合に、接合部1aでの磁気特性の飽和磁束密
度が他の部分に比べて小さい場合に利用できる。その例
としては、被接合材10に炭素鋼を使用し、アモルファス
箔20にNiを主成分とする金属を使用する場合等に、第
1の実施の形態を有効に実施できる。以下、具体的な評
価例について説明する。
【0036】被接合材10として炭素鋼のパイプを使用
し、アモルファス箔20としてNiに4.5 %Si,3.2 %
Bを添加したものを使用し、接合温度を1050℃,1250
℃,1300℃、温度維持時間を30秒〜6分に変化させて、
図1に示す接合装置を用いて接合材1を作製した。その
ときの材料及び接合条件の詳細を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】接合後、外面を目違いがない程度に研削
し、図3に示す評価装置を用いて、接合材1が十分に磁
気飽和するように磁化して、接合部1aでの漏洩磁束を検
出した。この際の検出条件を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】図5は、このときの検出結果を示すグラフ
であり、●,−○−,−△−はそれぞれ接合温度が1100
℃,1250℃,1300℃である場合を示し、横軸は温度維持
時間、縦軸は漏洩磁束の信号振幅をそれぞれ表してい
る。なお、信号振幅は周方向4ヵ所の平均値を示してい
る。接合温度の上昇、及び、温度維持時間の増加に応じ
て、信号振幅(信号強度)が低下していることが分か
る。つまり、接合程度が増すにつれて信号振幅が低下す
ることになり、接合部1aでの漏洩磁束の検出結果に基づ
いて、接合程度の評価を行えることが分かる。
【0041】一方、従来例のように、接合部1aを切り出
し、接合部1a中心の定量元素分析をEPMAにて行っ
て、そのときの拡散状況を調べた。図6は、このときの
定量元素分析結果を示すグラフであり、図6のグラフは
接合温度が1250℃である場合の結果を示し、横軸は温度
維持時間、縦軸はNi濃度をそれぞれ表している。温度
維持時間の増加、つまり、接合程度の増大に応じて、N
i濃度が除々に低下する傾向は呈しているが、そのばら
つきが大きく、図5に示す本発明の場合に比べて、拡散
現象との良い対応を示していない。
【0042】本発明が従来例と比較して評価精度が優れ
る理由は、従来の定量元素分析は一点のみの評価である
のに対して、本発明はある面積にわたる拡散結果を平均
的に評価しているためである。このように、図5,図6
の比較により、本発明の優位性を証明できる。
【0043】ここで、第1の実施の形態により、拡散状
況(接合程度)を評価できる原理について追加説明す
る。図7は、Fe−Ni合金系の磁化特性での飽和磁束
密度を示すグラフであり、横軸は1原子あたりの電子
数、縦軸は合金の原子飽和磁気モーメントをそれぞれ表
している。横軸の26はFe 100%を示し、28はNi 100
%を示しており、27はFeの原子数とNiの原子数とが
同数の合金を示す。図7から、Fe−Niの2成分合金
では、Ni単体である場合(横軸28)に飽和磁束密度が
最も小さく、Fe成分比が増加するに従って、飽和磁束
密度が大きくなることが分かる。なお、図7において、
fcc(face center cubic:面心立方格子),bcc
(body center cubic:体心立方格子)は合金の結晶形態
を示しており、fccはオーステナイト系に対応し、b
ccはフェライト系に対応する。
【0044】また、母材部の中に狭い(0.5 mm程度)
接合部が存在するモデル、つまり、飽和磁束密度の不連
続的変化があるモデルを考え、それを磁化した場合に接
合部から漏洩する磁束の大きさを電磁場解析にて求め
た。図8は、そのモデルでの母材部及び接合部の磁気特
性(B−H曲線)を示すグラフである。また、図9は、
接合部の磁気特性を変化させた場合における接合部近傍
の漏洩磁束の垂直成分の計算結果(励磁周波数:2kH
z,母材部の飽和磁束密度:1.83Tの条件)を示すグラ
フである。接合部の飽和磁束密度が最も小さい(母材部
の飽和磁束密度の半分程度)接合部模擬3の場合に最も
漏洩磁束が大きい。そして、接合部の飽和磁束密度が母
材部の飽和磁束密度に近づくに従って漏洩磁束が小さく
なっていくことが分かる。
【0045】図7〜図9のグラフの結果から、拡散が進
行してNi成分比が減少し、飽和磁束密度が増大する場
合には、漏洩磁束が確かに減少することが分かる。よっ
て、接合部近傍の漏洩磁束が大きい場合には接合程度が
低く、漏洩磁束が小さくなるに従って接合程度が上昇し
ていくので、接合部近傍の漏洩磁束信号のレベル変化を
検出することにより、接合程度の評価を行えることにな
る。
【0046】(第2の実施の形態:渦電流の変化を検
出)接合部近傍における渦電流の変化を検出して接合程
度を評価する第2の実施の形態(第2発明)について述
べる。図10は、この第2の実施の形態の一例を示す図で
ある。図において、1は上述したような手順にて作製さ
れた、接合部1aを有するパイプ状の接合材である。この
接合材1を取り巻くように、2個の貫通型の励磁コイル
11,11が、接合部1aを挟む位置に配置されている。ま
た、接合部1aには、渦電流を検出する渦流センサ12が設
けられている。渦流センサ12としては、例えば渦流探傷
コイルを使用する。なお、励磁コイル11,11と渦流セン
サ12とを一体構造としてそれらを一体的に走査する構成
でも良く、または、励磁コイル11,11は固定として渦流
センサ12のみを走査する構成でも良い。
【0047】次に、動作について説明する。直流電源
(図示せず)から励磁コイル11,11へ直流電流を供給
し、その軸方向に接合材1を磁化する。そして、走査中
の接合部1a近傍の渦電流を渦流センサ12にて検出する。
【0048】渦流センサ12として使用する渦流探傷コイ
ルは、パイプ等で径が小さい接合材1では貫通型コイル
を使用し、その他の場合の接合材1ではプローブ型コイ
ルを使用する等、コイル形状の選択は任意である。ま
た、自己誘導型,相互誘導型の選択、及び、自己比較
型,相互比較型の選択も、評価対象の接合材1に応じ
て、任意に行うことができる。
【0049】このような第2の実施の形態は、拡散が不
十分である場合に、接合部1aでの電磁気的特性の透磁率
または導電率が他の部分に比べて変化する場合に利用で
きる。以下、具体的な評価例について説明する。
【0050】評価対象の接合材1の構成(被接合材10及
びアモルファス箔20の材質等)は、前述した第1の実施
の形態と同様であり(表2参照)、また、図1に示す接
合装置を用いて接合材1を作製する際の接合条件も、前
述した第1の実施の形態と同様である(表2参照)。
【0051】接合後、外面を目違いがない程度に研削
し、図10に示す評価装置を用いて、渦流センサ12で渦電
流を検出する。この際の検出条件を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】図11は、このときの検出結果を示すグラフ
であり、●,−○−,−△−はそれぞれ接合温度が1100
℃,1250℃,1300℃である場合を示し、横軸は温度維持
時間、縦軸は信号振幅をそれぞれ表している。なお、信
号振幅は周方向4ヵ所の平均値を示している。接合温度
の上昇、及び、温度維持時間の増加に応じて、信号振幅
(信号強度)が低下していることが分かる。つまり、接
合程度が増すにつれて信号振幅が低下することになり、
接合部1aでの渦電流の検出結果に基づいて、接合程度の
評価を行えることが分かる。
【0054】なお、第2の実施の形態では、接合程度を
評価する際に、渦電流の変化を検出するので、その検出
結果を利用することにより、渦流探傷に基づく欠陥検出
処理を、接合程度の評価処理に併せて行うことも可能で
ある。
【0055】(第3の実施の形態)上述したような第1
または第2の実施の形態で得られた評価結果を、図1に
示す接合装置にフィードバックすることが可能である。
接合条件(接合温度,温度維持時間,接合時の加圧値)
を変化させて、第1または第2の実施の形態に従って、
種々の接合条件下における評価結果を得る。得られた評
価結果を比較することにより、最適な接合条件を決定す
る。そして、この決定した最適な接合条件を満たすよう
に、操作盤24の制御部24a で制御する。このようにする
ことにより、常に最適な接合条件を実現した品質管理を
行える。
【0056】
【発明の効果】以上のように、本発明の接合評価方法及
び装置では、接合材の接合部近傍の電磁気的特性の変化
に基づいて接合程度を評価するので、直接的でかつ非破
壊的に接合程度を評価することができると共に、容易か
つ短時間にて、接合部分全体の接合程度を正確に評価す
ることができる。
【0057】また、本発明の接合方法では、以上のよう
にして得られる接合程度の正確な評価結果を利用して、
金属材の接合を行うので、最適な接合条件を常に実現す
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】拡散接合装置の構成を示す図である。
【図2】拡散接合の原理を説明するための図である。
【図3】第1の実施の形態(漏洩磁束検出)の一例を示
す図である。
【図4】第1の実施の形態(漏洩磁束検出)の他の例を
示す図である。
【図5】漏洩磁束の検出結果を示すグラフである。
【図6】Niの定量元素分析結果を示すグラフである。
【図7】Fe−Ni2成分系の磁化特性での飽和磁束密
度を示すグラフである。
【図8】飽和磁束密度の不連続的変化が発生した場合の
漏洩磁束信号の変化を電磁場解析により解析した結果を
示すグラフである。
【図9】電磁場解析に使用したB−H特性を示すグラフ
である。
【図10】第2の実施の形態(渦電流検出)の一例を示
す図である。
【図11】渦電流の検出結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 接合材 1a 接合部 2 磁気センサ 3 磁化器 3a 磁極 3b 励磁コイル 4 評価装置 5 追随機構 10 被接合材 11 励磁コイル 12 渦流センサ 20 アモルファス箔 24 操作盤 24a 制御部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合対象の両金属材の間に前記両金属材
    より融点が低い金属箔を挟み込み、前記金属箔の融点以
    上に加熱して前記両金属材を接合してなる接合材の接合
    程度を評価する方法において、前記接合材の接合部近傍
    の電磁気的特性の変化に基づいて前記接合程度を評価す
    ることを特徴とする接合評価方法。
  2. 【請求項2】 前記電磁気的特性の変化を検出すること
    は、前記接合材の接合面に実質的に直交する方向に前記
    接合材を磁化し、前記接合材の接合部近傍の漏洩磁束を
    検出することである請求項1記載の接合評価方法。
  3. 【請求項3】 前記電磁気的特性の変化を検出すること
    は、前記接合材の接合部近傍に渦電流を流し、その渦電
    流の変化を検出することである請求項1記載の接合評価
    方法。
  4. 【請求項4】 接合対象の両金属材の間に前記両金属材
    より融点が低い金属箔を挟み込み、前記金属箔の融点以
    上に加熱して前記両金属材を接合してなる接合材の接合
    程度を評価する装置において、前記接合材の接合部近傍
    の電磁気的特性の変化を検出する検出手段を備え、該検
    出手段の検出結果に基づいて前記接合程度を評価するよ
    うに構成したことを特徴とする接合評価装置。
  5. 【請求項5】 接合対象の両金属材の間に前記両金属材
    より融点が低い金属箔を挟み込み、前記金属箔の融点以
    上に加熱して前記両金属材を接合する接合方法におい
    て、接合条件を変化させて請求項1〜3の何れかに記載
    の接合評価方法にて得られる接合程度の評価結果に鑑み
    て、前記両金属材を接合する際の接合条件を設定するこ
    とを特徴とする接合方法。
  6. 【請求項6】 前記接合条件は、接合温度,接合温度の
    維持時間及び接合時の加圧値の少なくとも1つの条件を
    含む請求項5記載の接合方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108956759A (zh) * 2018-06-08 2018-12-07 爱德森(厦门)电子有限公司 一种局部磁化装置
WO2021020892A1 (ko) * 2019-07-30 2021-02-04 주식회사 엘지화학 와전류 신호 특성을 이용한 전지의 저항용접 품질 평가 방법

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