JPH1194363A - 電気温水器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気温水器の温水タンクに設けられる循
環パイプの詰まりを防止する。 【解決手段】 温水タンク１に接続された循環パイプ５
に、循環パイプ５内を通過する水に電場および磁場の少
なくとも一方を加える電磁場印加手段１０を配置する。 【効果】 スケール成分のスケール化が抑制され
て、これらによる循環パイプの詰まりが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、電気ヒータによ
って水を加熱し、これを温水として供給する電気温水器
に関する。

【０００２】

【従来の技術】夜間電力等を利用して水を温水に変える
電気温水器は、ランニングコストが低いという経済的な
利点を有している。その加熱方法は、温水タンクに接続
した水導入管や温水タンク内にヒータを配置し、このヒ
ータによって温水タンク内の水を加熱している。ところ
で、ガスの燃焼等を利用して大容量の水を加熱する装置
では、加熱によって水の対流が顕著に生じ、よって熱伝
導が良好になされて水全体が効率的に昇温する。しか
し、電気温水器におけるヒータの熱容量は、温水タンク
内の水の容量から見れば比較的小さいため、タンク内で
水の対流が十分に起こらず、よって熱伝導が良好になさ
れないという問題がある。そこで、温水タンクにポンプ
を設けた循環パイプを並列に接続することにより、この
パイプを通してタンク内の水を強制的に循環させてタン
ク内の熱伝導を改善する方法が提案されている。この方
法によれば強制対流によって熱効率が向上するため、装
置のランニングコストが一層低減されるという利点を有
している。また、上記循環パイプでは、温水タンクの下
部側から水を導入して温水タンクの上部側へ放出すれ
ば、温水タンクの上部に高温の水が分布するので、タン
ク内の水が全て暖まる前に温水を供給でき、使用勝手が
良い上にランニングコストを低減できるという効果もあ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、循環パイプを
設けた温水器では、この循環パイプが経時的に詰まりや
すく、清掃や交換が必要になるという問題がある。特
に、循環パイプにヒータを設置した電気温水器では高温
となるヒータ設置部分で特にこの現象が生じやすい。上
記現象は、ヒータ部分が高温となるために水温が上昇
し、スケール成分の溶解度が減少するためにスケールが
生成され、このスケールが徐々にヒータ部分に付着して
詰まりを生じさせるものと考えられる。また、このスケ
ールがヒータに付着することにより熱交換効率が低下す
るという問題もある。本発明は、上記事情を背景として
なされたものであり、循環パイプの詰まりを確実に防止
して良好な熱交換効率が確保される電気温水器を提供す
ることを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の電気温水器のうち第１の発明は、水導入管と温
水送出管とが接続された温水タンクと、該温水タンク内
の水を加熱するヒータと、前記温水タンクに並列に接続
された循環パイプとを有する電気温水器において、前記
循環パイプに、パイプ内を通過する水に電場および磁場
の少なくとも一方を加える電磁場印加手段が配置されて
いることを特徴とする。第２の発明は、第１の発明にお
いて、前記ヒータが循環パイプに設けられており、前記
電磁場印加手段は、このヒータに対し、循環パイプ内の
水の流れ方向において上流側に配置されていることを特
徴とする。

【０００５】本発明の電気温水器は用途としては給湯用
が代表的であるが、本発明としてはこれに限定されるも
のではなく、床暖房のように熱源として使用するもので
あってもよく、要は、温水を送出する目的のものであれ
ばよい。この電気温水器には、水、温水に対流を起こさ
せる循環パイプが温水タンクと並列になるように設けら
れており、通常は、この循環パイプに循環ポンプを設置
して強制循環させる。また、本発明の電気温水器では、
上記した循環パイプ内を通過する水（温水を含む）に電
場または磁場の少なくとも一方を印加するものであり、
電場、磁場のいずれを印加するものであってもよいが、
流速が小さく、十分なホール電位が得にくいことから、
電場の印加を主とするのが望ましく、さらには両方を印
加するのが一層望ましい。

【０００６】電場を印加する手段としては、互いに異種
の材料からなる対の電極を、水流と交差するように循環
パイプ内に配置するものが挙げられる。対の電極は直接
または抵抗体を介して導通させ、処理水を通して電場を
発生させる。また、所望により電極間に外部電源を接続
して処理水を通して大きな電場を発生させることもでき
る。電極を構成する異種材料としては、互いに電気化学
的ポテンシャルが異なることにより相対的に卑と貴にな
る導電性のものが用いられる。したがって、その材質や
組み合わせが特定のものに限定されるものではない。例
えば、卑の電極としてはＡｌ、Ｚｎ、Ｐｂ、Ｍｇ等を使
用することができ、貴の電極としては、炭素、Ｐｔ、ス
テンレス鋼、Ｔｉ等を使用することができる。上記電極
の配置によって電極間の間隙に電流が流れるが、この電
流は、電極間に接続する上記抵抗体の抵抗値を変えるこ
とによって調整できる。上記電場は、水中に含まれるス
ケール成分であるカルシウムやマグネシウムに作用し
て、これらを結晶の核として析出させ、スケール化を阻
止する。

【０００７】また、磁場を加えるために循環パイプに磁
極を配置することができる。磁極は永久磁石や電磁石の
使用によって出現させることができ、要は、所望の位置
に磁極を出現できるものであればよい。この磁極は、水
流を挟むように互いに異極のものを配置する。この磁極
間でイオンを含む水が流れることによりローレンツ電場
が発生し、上記電場の作用と同様にスケール成分のスケ
ール化を阻止する。なお、磁場の印加を電場の印加とと
もに行えば、磁場によるローレンツ電場と異種材料によ
る電場とを同方向または逆方向に組み合わせることによ
り、電場の強さを相乗的または相殺的に変えることがで
き、水処理を一層効率的にすることができる。これら電
極、磁極の形状や数、互いの間隙量は特に限定されるも
のではなく、適宜定めることができる。また、水流方向
における厚さや、径方向における厚さも適宜定めること
ができる。

【０００８】なお、本発明では、温水タンクと循環パイ
プとの間の近接した空間で水、温水の循環がなされてい
る。このため、電場や磁場の作用により結晶核となった
スケール成分は、比較的早期に電磁場の作用を再度受け
ることになる。ところで、上記したカルシウムやマグネ
シウムは、電場を受ける際にカソード側で析出作用を受
けて結晶核になる。この結晶核が、水温が高くなる領域
や流速が遅い領域、すなわちスケールが付着しやすい領
域に導入され成長し、スケール化が防止される。特に、
循環パイプにヒータを設けた温水器では、上記のような
電磁場印加手段で生成された結晶核が、ヒータ部分での
加熱によって成長し、スケール付着を防止する。したが
って、循環パイプに電磁場印加手段を設ける際には、ヒ
ータの上流側にこの装置が位置するように設けるのが望
ましい。なお、十分成長した結晶核、すなわちスラッジ
は、循環パイプへ吸引されることなく、温水タンクの底
部にスラッジとして堆積する。上記により、循環パイプ
は、スケールやスラッジによって詰まりが生じることが
なく、効率的な温水加熱がなされる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図
１〜図３に基づき説明する。温水タンク１の底部に水導
入管２、天部に温水送出管３が接続されており、水導入
管２は図示しない水道等の水補給源に連結され、温水送
出管３は同じく図示しない給湯蛇口等に連結されてい
る。なお、温水を循環させるものでは、環流する温水や
温度が低下した水を水導入管側に戻すものであってもよ
い。また、温水タンク１の側壁上下部に連結するように
して循環パイプ５が設けられており、該循環パイプ５に
は、水、温水を循環パイプ５内で下方から上方に送る循
環ポンプ６が設けられている。また、循環パイプ５に
は、循環ポンプ６の下流側に、電磁場印加手段１０、ヒ
ータ８が配置されており、電磁場印加手段１０は、ヒー
タ８の上流側に配置されている。

【００１０】上記電磁場印加手段１０を詳細に説明する
と、該電磁場印加手段１０の縦壁は、厚さ方向に着磁し
た板状の永久磁石１１ａ…１１ｂで構成されており、各
永久磁石１１ａ、１１ｂは、対向面が互いに異極になる
ように配置されており、この実施形態では永久磁石１１
ａの内面がＮ極、永久磁石１１ｂの内面がＳ極となって
いる。また、電磁場印加手段１０の上下横壁内面には、
表面が水流路に露出するように電極が埋設されており、
上側に配置した下向き電極１２ａはアルミニウム電極で
構成され、下側に配置した上向き電極１２ｂは炭素電極
で構成されており、両電極は外部において図示しない抵
抗体を介して連結されている。なお、この実施の形態で
は対の電極としてアルミニウム電極と炭素電極を用いた
が、本発明としては、この組み合わせに限定されるもの
ではなく、相対的に卑と貴となる各種組み合わせの電極
を用いることができ、例えば、亜鉛電極と炭素電極とを
組み合わせて用いることもできる。

【００１１】上記電磁場印加手段１０を設置して電気温
水器を動作させると、水導入管２から必要な水が温水タ
ンク１に供給され、貯留される。一方、循環パイプ５で
は、循環ポンプ６が作動して温水タンク１内の水を循環
パイプ５の下部連結部から吸引して循環パイプ５内で下
方から上方に押し上げる。水は、電磁場印加手段１０内
を通過した後、ヒータ８に達し、ここで加熱されて温水
となり、循環パイプ５の上部連結部から再度温水タンク
１へと送出される。これを継続することにより温水タン
ク１内で対流が起こり、温水タンク１内の水が効率的に
加熱される。温水タンク１内の温水は必要に応じて温水
送出管３を通して必要部へと送られる。なお、電磁場印
加手段１０では、アルミニウム電極１２ａと炭素電極１
２ｂとの電気化学的ポテンシャルの相違から、アルミニ
ウム電極１２ａをアノード、炭素電極１２ｂをカソード
として両電極間の水に微弱電流が流れ、電場が生じる。
また永久磁石１１ａ、１１ｂ間には磁場が生じており、
ローレンツ電場によって上記電極間電場と同方向に誘起
電流を生じさせて、相乗効果によって電極間に印加され
る電場の強さを高める。

【００１２】上記磁場及び電場の作用によってカルシウ
ム、マグネシウム等のスケール成分はカソード側で析出
して結晶の核になり、浮遊状態になり、循環パイプ５内
でスケールとして付着するのを防止する。この結晶核
は、水、温水の流れとともに温水タンク１内に戻り、そ
の一部は長い時間温水タンク１内で浮遊し、周囲からス
ケール成分を取り込んで結晶として成長し、温水タンク
１の底部にスラッジとして堆積する。このため、温水タ
ンク１の底部にスラッジ回収部を設けることも可能であ
る。上記により、スケール成分が循環パイプ５内でスケ
ール化したりスラッジ化したりしてパイプ５を詰まらせ
るのを有効に防止することができる。

【００１３】なお、上記実施形態ではヒータが循環パイ
プに設けられているが、このヒータが循環パイプ以外に
設けられているものであってもよい。図３は、このヒー
タ２８を温水タンク１内に配置したものである。温水タ
ンク１には、上記実施形態と同様に循環パイプ２５が設
けられているが、循環パイプ２５の下方連結部は、ヒー
タ２８の配置位置よりもわずか上方側に設けられてい
る。これは、電磁場印加手段１０内を通過して析出した
結晶核をヒータ２８近傍に送出し、結晶核の成長を促す
ためである。なお、循環パイプ２５には、上記実施形態
と同様に、循環ポンプ６と電磁場印加手段１０が設けら
れている。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の電気温水
器によれば、循環パイプに、パイプ内を通過する水に電
場および磁場の少なくとも一方を加える電磁場印加手段
を配置したので、スケール成分が循環パイプ内でスケー
ルとして付着したり、スラッジになって管路を詰まらせ
ることが防止され、循環パイプの清掃や交換の必要性が
減少し、装置の寿命も延びるという効果がある。また良
好な熱交換効率が長期に亘り維持されるという効果もあ
る。また、循環パイプで、電磁場印加手段をヒータの上
流側に配置すれば、上記効果が一層顕著に得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態の電気温水器を示す概略
図である。

【図２】 同じく電磁場印加手段を示す一部拡大斜視図
である。

【図３】 本発明の他の実施形態の電気温水器を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ 温水タンク ５ 循環パイプ ６ 循環ポンプ ８ ヒータ １０ 電磁場印加手段 １１ａ 磁極 １１ｂ 磁極 １２ａ アルミニウム電極 １２ｂ 炭素電極 ２５ 循環パイプ ２８ ヒータ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 正一 東京都府中市日鋼町１番１ 株式会社日本 製鋼所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水導入管と温水送出管とが接続された温
   水タンクと、該温水タンク内の水を加熱するヒータと、
   前記温水タンクに並列に接続された循環パイプとを有す
   る電気温水器において、前記循環パイプに、パイプ内を
   通過する水に電場および磁場の少なくとも一方を加える
   電磁場印加手段が配置されていることを特徴とする電気
   温水器
2. 【請求項２】 前記ヒータが循環パイプに設けられてお
   り、前記電磁場印加手段は、このヒータに対し、循環パ
   イプ内の水の流れ方向において上流側に配置されている
   ことを特徴とする請求項１記載の電気温水器