JPH1187826A - 高調波発振装置の制御方法 - Google Patents

高調波発振装置の制御方法

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JPH1187826A
JPH1187826A JP23996597A JP23996597A JPH1187826A JP H1187826 A JPH1187826 A JP H1187826A JP 23996597 A JP23996597 A JP 23996597A JP 23996597 A JP23996597 A JP 23996597A JP H1187826 A JPH1187826 A JP H1187826A
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temperature
harmonic
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JP23996597A
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Inventor
Toshimasa Kakiuchi
利昌 垣内
Tomonobu Senoo
具展 妹尾
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高調波発生装置の調整を容易にし、さらに、安
定した高調波出力を得ることを可能とする。 【解決手段】半導体レーザ21の電流(IC)、共振器
24の温度(TCV)、半導体レーザ21の温度(TL
D)、ベース30の温度(TBS)、高調波出力(P
2)を測定しながら、半導体レーザ電流、共振器温度、
半導体レーザ温度、ベース温度をコンピュータで制御し
て所定の高調波出力を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源からの光の波
長を短くする高調波発振装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光源からの光の波長を1/2や1/3に
する高調波発振装置は、その実用化が期待されている。
この高調波発振装置は、例えば以下のような基本的構成
を有している。半導体レーザから出射した波長860n
mの基本波の光が、コリメート用レンズ及びフォーカス
用レンズを経て共振器に入射する。共振器は一対の共振
器ミラー及び非線形光学材料であるKNbO3 等の単結
晶を備え、基本波は共振器ミラー間で共振され、共振光
の一部がKNbO3 等の単結晶によって波長430nm
の第二高調波に変換される。
【0003】第二高調波を発振するには、位相整合条件
を満たすよう半導体レーザ及びKNbO3 等の単結晶の
温度を制御する必要がある。半導体レーザ、KNbO3
等の単結晶を含む共振器及び半導体レーザと共振器を支
持しているベースの各温度制御は、それぞれに配置され
た温度検出素子であるサーミスタ等及び温度制御素子で
あるペルチェ素子等を用いて行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】第二高調波の出力安定
化技術としては、光フィードバック制御を用いない方法
と積極的に用いる方法とがある。前者の制御を用いない
方法では、半導体レーザと共振器間に光アイソレータを
設置することが挙げられる。この設置により、半導体レ
ーザの光周波数と共振器の光共振周波数とは相互作用を
及ぼさない。
【0005】そのため、半導体レーザの光周波数は半導
体レーザ電流及び半導体レーザ温度を設定及び制御し、
共振器の光共振周波数は共振器温度を設定及び制御する
必要がある。しかし、半導体レーザの光周波数及び共振
器の光共振周波数のそれぞれの帯域は狭く、両者の合わ
せ込みのための光周波数の精密制御、すなわち各温度及
び半導体レーザ電流の精密制御が必要となる。
【0006】後者の制御を用いる方法では、共振器から
の共振光を半導体レーザに戻すことによって、半導体レ
ーザの光周波数を、共振器の光共振周波数に引き込んで
いる(光周波数ロッキング)ため、半導体レーザ及び共
振器からなる複合共振器は、ロッキングレンジと呼ばれ
る拡がった光共振周波数幅を持つ。
【0007】そのため、前者の方法ほどの精密温度制御
及び精密電流制御は必要なく、この拡がった光共振周波
数幅内に両光周波数を存在させることにより、第二高調
波は発振し続けることができる(特開平4−17993
4)。今後は、ロッキングレンジを拡がった光共振周波
数幅の意味だけでなく、高調波(第二高調波)の出力が
ある閾値以上となる半導体レーザ電流やベース温度等の
範囲に対しても使用する。
【0008】しかし、光フィードバックを用いて第二高
調波を発振するためには、前者の方法ほどの精密な温度
制御及び電流制御でなくとも、ある許容幅内に半導体レ
ーザ電流、半導体レーザ温度、共振器温度及びベース温
度の各パラメータを設定及び制御する必要がある。その
うえ、半導体レーザ及び共振器の光軸上の温度を直接検
出及び制御することは困難であるため、モジュールの周
囲温度等が変化すると光周波数のロッキング条件にズレ
が生じ、第二高調波の出力が不安定になる問題があっ
た。
【0009】さらに、半導体レーザ温度を制御するペル
チェ素子と共振器温度を制御するペルチェ素子の放熱側
にベースがあることから、ベース内に温度分布が生じ、
その影響によるベースの収縮または膨張によって光学長
が変わるため、ロッキング条件が変化し、第二高調波出
力が不安定になる問題もあった。以上の問題点によって
生じる第二高調波の発振、出力安定化制御及び再発振に
おける問題点を以下に列挙する。
【0010】まず第二高調波の発振においては、前記問
題点のため周囲温度の違いやモジュール内の熱分布等に
よって、第二高調波が発振する各温度及び半導体レーザ
電流の設定値が変わってくる。そこで今までは、オペレ
ータが経験的に各温度及び半導体レーザ電流を調整し、
第二高調波を発振させていた。そのため、第二高調波を
発振させるまで時間がかかったり、発振毎にロッキング
条件が異なる等の問題点があった。
【0011】次に第二高調波の出力安定化においても、
前記問題点のため出力の不安定又は停止が認められる。
モジュールの周囲温度が、発振時の周囲温度から±1〜
2℃度変化すると、第二高調波出力が停止することが実
験的にわかっている。
【0012】そこで、高調波発振装置用電源にマイコン
を内蔵し、これまでオペレータが行っていた操作を、マ
イコンに移植されたプログラムによって、第二高調波を
発振させる方法がある(特願平8−169964)。そ
の方法の概略は以下のとおりである。
【0013】1)半導体レーザ電流、半導体レーザ温
度、共振器温度、及びベース温度が設定値で安定した
後、ベース温度又は共振器温度を設定値近傍で掃引し、
ロッキングレンジを捕捉する。 2)半導体レーザ電流を設定値近傍で掃引し、ロッキン
グレンジを測定する。 3)ロッキングレンジの中央の値を算出し、その値に半
導体レーザ電流を設定する。 4)高調波出力が予め設定した閾値以上となるように、
共振器温度を設定する。
【0014】ここで、このプログラムには次のa)、
b)の特徴があり、第二高調波の発振に対して下記の問
題点があった。 a)ロッキングレンジの測定を半導体レーザ電流のみで
行っている。 b)ロッキングレンジの中央の値への設定を半導体レー
ザ電流のみで行っている。
【0015】しかし、複合共振器系のモジュールにおい
ては、ロッキングレンジは半導体レーザ温度、共振器温
度、ベース温度及び半導体レーザ電流の4つのパラメー
タに依存している。そのため、従来の半導体レーザ電流
のみのロッキングレンジの中央の値への設定では、他の
パラメータが必ずしもロッキングレンジの中央の値では
ないため、ロッキングから外れやすい問題点があった。
【0016】さらに、ロッキングレンジは、全パラメー
タにおいて、一般的に掃引の上昇(増加)時及び下降
(減少)時で幅及び形状が異なることが実験的にわかっ
ている。そのため、一方向のみでのロッキングレンジの
判定及びロッキングでは、必ずしもロッキングレンジの
中央に設定されていないことになる。しかし、同プログ
ラムではこの点について考慮されていない。本発明は、
これらの問題点を解決することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本波光源で
ある半導体レーザと、基本波光を共振させる複数の共振
用ミラーによって構成される共振器と、共振器内の基本
波光の光軸上に設けられた非線形光学材料と、前記半導
体レーザと前記共振器を支持するベースと、高調波出力
を受光する受光素子とを有する高調波発振装置の制御方
法において、半導体レーザ電流を検出する手段、共振器
温度と半導体レーザ温度とベース温度を検出する温度検
出器、半導体レーザの電流を変化させる手段、共振器と
半導体レーザとベースをそれぞれ別個に温度制御可能に
した温度制御素子を有し、下記の手順にしたがって制御
を行うことを特徴とする高調波発振装置の制御方法を提
供する。
【0018】(1)半導体レーザ電流(IC)、半導体
レーザ温度(TLD)、共振器温度(TCV)及びベー
ス温度(TBS)の各設定値を、半導体レーザの電流を
変化させる手段及び各温度制御素子に設定する。 (2)半導体レーザ電流(IC)、半導体レーザ温度
(TLD)、共振器温度(TCV)及びベース温度(T
BS)を測定し、それらがそれぞれ設定値(IC0)、
(TLD0)、(TCV0)、(TBS0)の偏差範囲
に入っているかを確認し、全て入っていれば(4)へ、
1項目でも入っていなければ(3)に分岐する。
【0019】(3)偏差範囲に入っていない半導体レー
ザ電流(IC)、半導体レーザ温度(TLD)、共振器
温度(TCV)又はベース温度(TBS)を変更して
(2)に戻る。 (4)受光素子により高調波出力(P2)を測定して、
下限値(P2WLS)以上か確認し、以上であれば
(6)へ、未満であれば(5)へ分岐する。
【0020】(5)ベース温度(TBS)を変化させ
て、受光素子により高調波出力(P2)を測定する。高
調波出力(P2)が、下限値(P2WLS)以上か確認
し、以上であれば(6)へ、未満であれば(5)へ分岐
する。 (6)ベース温度(TBS)を掃引して高調波出力(P
2)を測定し、高調波出力(P2)が閾値(P2WB
S)以上となるベース温度(TBS)の範囲を算出す
る。
【0021】(7)ベース温度(TBS)を、高調波出
力(P2)が閾値(P2WBS)以上となるベース温度
(TBS)の範囲の中央の値に設定する。 (8)半導体レーザ電流(IC)を掃引して高調波出力
(P2)を測定し、高調波出力(P2)が閾値(P2W
IC)以上となる半導体レーザ電流(IC)の範囲を算
出する。
【0022】(9)半導体レーザ電流(IC)を、高調
波出力(P2)が閾値(P2WIC)以上となる半導体
レーザ電流(IC)の範囲の中央の値に設定する。 (10)受光素子により高調波出力(P2)を測定し、
高調波出力(P2)が最大、又は、目標値(P2WR)
となるように共振器温度(TCV)を設定する。
【0023】また、半導体レーザ電流(IC)を、その
(5)〜(9)において変調し、その変調幅が、半導体
レーザ電流(IC)を掃引して測定された高調波出力
(P2)が閾値(P2WIC)以上となる半導体レーザ
電流(IC)の範囲の半分以上であり、かつ半導体レー
ザ電流(IC)の範囲を超えないことを特徴とする高調
波発振装置の制御方法を提供する。
【0024】また、それらの(7)において、ベース温
度(TBS)を、高調波出力(P2)が閾値(P2WB
S)以上となるベース温度(TBS)の範囲の中央の値
に設定するにあたり、ベース温度(TBS)の掃引方向
は、それらの(6)でベース温度(TBS)の上昇時と
下降時に測定されたベース温度(TBS)の範囲のう
ち、広いほうの範囲となる掃引方向とすることを特徴と
する高調波発振装置の制御方法を提供する。
【0025】また、それらの(9)において、半導体レ
ーザ電流(IC)を、高調波出力(P2)が閾値(P2
WIC)以上となる半導体レーザ電流(IC)の範囲の
中央の値に設定するにあたり、半導体レーザ電流(I
C)の掃引方向は、それらの(8)で半導体レーザ電流
(IC)の増加時と減少時に測定された半導体レーザ電
流(IC)の範囲のうち、広いほうの範囲となる掃引方
向とすることを特徴とする高調波発振装置の制御方法を
提供する。
【0026】さらに、それらの(1)〜(10)の制御
方法により、高調波出力(P2)を発振した後、さらに
以下の手順にしたがって制御を行うことを特徴とする高
調波発振装置の制御方法を提供する。
【0027】(11)それらの(10)で、高調波出力
(P2)が最大値、または予め定めた目標値(P2W
R)、及び目標幅内に到達した直後の高調波出力(P2
0)を出力一定制御の設定値とし、高調波出力(P2)
が出力偏差(P2WCW)以内かを確認し、以内であれ
ば(11)へ、外れていれば(12)へ分岐する。 (12)高調波出力(P2)が下限値(P2WLF)未
満であるかを確認し、未満であれば(14)へ、以上で
あれば(13)へ分岐する。 (13)共振器温度(TCV)又は/及びベース温度
(TBS)を変更して、(11)へ戻る。 (14)半導体レーザ電流(IC)を変更して(8)へ
戻る。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の高調波発振装置の代表的
な構成を図1に示す。図1において、21は半導体レー
ザ、22はコリメート用レンズ、23はフォーカス用レ
ンズ、24は共振器、25はビームスプリッタ、26は
高調波出力を測定するための受光素子である。27、2
8、29は温度制御素子であり、それぞれ半導体レーザ
の温度、共振器の温度、ベースの温度を制御する。30
は半導体レーザ、共振器等を載置しているベースであ
る。31、32、33は温度検知素子であり、それぞれ
半導体レーザ、共振器、ベースの温度を検知する。
【0029】図2は、本発明の制御信号を処理する制御
回路ブロック図である。図2において、41は入力装
置、42はコンピュータ、43は出力装置、44はダイ
アルのようなアナログ手動入力装置やキーボード等の手
動入力装置である。この入力装置41には、半導体レー
ザの温度、共振器の温度、ベースの温度を検知する温度
検知素子31、32、33からの温度、半導体レーザ2
1からの電流値、受光素子26からの高調波出力が入力
される。その結果をコンピュータ42で処理して出力装
置から制御信号が出力される。
【0030】この出力装置43から、半導体レーザの温
度、共振器の温度、ベースの温度を制御する温度制御素
子27、28、29を制御するとともに、半導体レーザ
21の電流値を制御する。具体的には、半導体レーザ2
1から出射した例えば波長860nmの基本波光は、コ
リメート用レンズ22及びフォーカス用レンズ23を経
て、共振器24に入射する。なお、ここではコリメート
用レンズ22及びフォーカス用レンズ23を別置きにし
ているが、1個のレンズで兼用したり、他の光学素子で
ある光ファイバや鏡等を組み合わせて使用してもよい。
【0031】共振器24は、通常は一対の共振器ミラー
及びKNbO3 単結晶等の非線形光学材料からなる。こ
れに入射した基本波の光は共振器ミラー間で共振され、
共振光の一部が非線形光学材料によって波長430nm
の第二高調波に変換される。この共振器は2枚の共振器
ミラー及び非線形光学材料の組み合わせであってもよ
く、場合によっては非線形光学材料の面に直接ミラーを
形成したようなものであってもよい。また、上記の例で
は波長が1/2になった例を示したが、1/2に限定さ
れず、1/3というように、より短波長のものであって
も使用できる。
【0032】第二高調波を発振させるには、位相整合条
件を満たすように半導体レーザ及び非線形光学材料の温
度を制御する必要がある。温度検知は、例えばサーミス
タのような温度検知素子により行えばよく、温度制御
は、例えばペルチェ素子により行えばよい。これらの温
度検知素子及び温度制御素子は、公知のさまざまなもの
が使用できる。
【0033】コンピュータの手動入力装置44には、手
動・自動操作切り換えスイッチ及び半導体レーザ電流、
半導体レーザ温度、共振器温度、ベース温度等を手動設
定できるダイアル入力装置等を設けることが好ましい。
これらの設定値は予め別途ROMに書き込んだものを使
用してもよいが、後で自由に設定できるように手動入力
装置を設けておくことが好ましい。
【0034】これは、例えば自動側にレバーを倒すと自
動モードとなり、手動側にレバーを倒すと手動モードと
なる。自動モードの場合は、予め記憶されたプログラム
に従って、手動操作時に記憶させた各パラメータ値の近
傍で高調波の発振、安定化制御を行う。さらに、出力が
停止した場合は、高調波を再発振させる。
【0035】手動モードは、半導体レーザ電流、半導体
レーザ温度、共振器温度及びベース温度を調整し、高調
波を発振させる各パラメータの設定値(IC0)、(T
LD0)、(TCV0)、(TBS0)と、そのときの
高調波出力(P2WR)を記憶させる際に少なくとも使
用する。
【0036】次に、本発明の制御方法を説明する。この
流れを図3にフローチャートとして示す。本発明の高調
波発振装置では、半導体レーザ電流(IC)、半導体レ
ーザ温度(TLD)、共振器温度(TCV)、ベース温
度(TBS)、及び高調波出力(P2)を測定する。そ
の測定結果をもとにして、半導体レーザ電流(IC)、
半導体レーザ温度(TLD)、共振器温度(TCV)、
及びベース温度(TBS)を変化させるために、半導体
レーザの電流を変化させる手段と各温度制御素子を特定
の制御方法とで制御する。
【0037】このため、まず第1段階(1)として、半
導体レーザ電流(IC)、半導体レーザ温度(TL
D)、共振器温度(TCV)、及びベース温度(TB
S)がある設定値になるように、半導体レーザの電流を
変化させる手段及び各温度制御素子を設定する。具体的
には、ある所定の電圧を与えたり、電流制御回路で電流
を制御する。
【0038】第2段階(2)で、半導体レーザ電流(I
C)、半導体レーザ温度(TLD)、共振器温度(TC
V)、及びベース温度(TBS)を測定し、それらが予
め定めたそれぞれの設定値(IC0)、(TLD0)、
(TCV0)、及び(TBS0)の偏差範囲に入ってい
るかを確認する。もし、ここで全ての測定値が設定値の
偏差範囲に入っていれば、第4段階(4)に移行する。
もし、測定値の1項目でも設定値の偏差範囲からずれて
いる場合には、第3段階(3)に分岐する。
【0039】この第3段階では、半導体レーザ電流(I
C)が偏差範囲に入っていないのであれば、半導体レー
ザの電流を変化させる手段に信号を出力し半導体レーザ
電流を変化させる。また、半導体レーザ温度(TL
D)、共振器温度(TCV)、及びベース温度(TB
S)が偏差範囲に入っていないのであれば、各温度制御
素子に信号を出力して温度を変化させる。その後、第2
段階に戻る。ここまでの段階は、初期設定に相当し、こ
の後の第4段階からが具体的な高調波の発振の制御に関
する段階となる。
【0040】本発明では、半導体レーザ電流、半導体レ
ーザ温度、共振器温度、及びベース温度を変化させなが
ら、受光素子で受光した高調波の光量を検出する。これ
によって、ロッキングレンジを検知し、かつ前記ロッキ
ングレンジ内に各パラメータを設定して、高調波が発振
するように動作させる。
【0041】高調波の発振は、高調波を発振するロッキ
ングレンジの探知、同ロッキングレンジへのロッキン
グ、さらに必要に応じて高調波の出力レベル調整、の手
順で行う。高調波を発振するロッキングレンジの探知
は、ベース温度を変化させて行う。次にロッキングレン
ジの測定及び中央値の設定は、ベース温度及び半導体レ
ーザ電流を変化させて行う。その後、必要に応じて高調
波の出力レベルの調整を、共振器温度を変化させて行
う。具体的には、以下のように制御する。
【0042】第4段階では、受光素子により高調波出力
(P2)を測定する。この高調波出力が、所定の下限値
(P2WLS)以上であるかを確認する。高調波出力が
下限値以上であれば、第6段階(6)に制御を移行す
る。もし、高調波出力が下限値未満であれば、第5段階
(5)に分岐する。第5段階では、ベース温度の温度制
御素子に信号を出力して、ベース温度(TBS)を変化
させる。その後、第4段階に戻る。これがロッキングレ
ンジの探知となる。
【0043】この第5段階では、半導体レーザ(出射
面)と共振器(入射側のミラー反射面)との間隔が、基
本波光の半波長以上変化するように、ベース温度を変化
させることが好ましい。これは、半導体レーザと共振器
との間隔が基本波の半波長の整数倍となったときに、ロ
ッキングレンジが現れるからである。このため、半導体
レーザと共振器との間隔を基本波の半波長以上変化させ
れば必ずロックする点が現れることになる。
【0044】第6段階の説明に移る前、各ロッキングレ
ンジに対する高調波出力の関係を図5に示す。各ロッキ
ングレンジとは、(a)ベース温度(TBS)、(b)
共振器温度(TCV)、(c)半導体レーザ電流(I
C)及び(d)半導体レーザ温度(TLD)であり、こ
れらに対して温度(電流)の上昇(増加)時と下降(減
少)時の場合のロッキングレンジと高調波出力(P2)
の関係を実線と点線で示してある。矢印の幅が上昇(増
加)時と下降(減少)時のロッキングレンジの和を表し
ている。
【0045】第6段階では、ロッキングレンジを測定す
る段階であり、ベース温度(TBS)を変化させて高調
波出力(P2)を測定する。この高調波出力が所定の閾
値(P2WBS)以上の範囲となるロッキングレンジを
算出する。この第6段階では、ベース温度のロッキング
レンジは、ベース温度の上昇時及び下降時に測定した両
ロッキングレンジの和とすることが好ましい。
【0046】これは図5の(a)に示すように、ベース
温度の上昇時におけるロッキングレンジと、下降時にお
けるロッキングレンジとは、幅及び形状が異なることが
実験的にわかっており、適切なロッキングレンジを求め
るには、ベース温度の上昇時と下降時の両ロッキングレ
ンジの測定を行う必要があるからである。
【0047】第7段階では、ベース温度(TBS)のロ
ッキングレンジの中央の値へロッキングさせる段階であ
り、ベース温度(TBS)を、高調波出力(P2)が閾
値(P2WBS)以上となるベース温度(TBS)の範
囲の中央の値に設定する。この第7段階では、ベース温
度(TBS)の設定の方向は、第6段階で測定した温度
上昇時と下降時におけるロッキングレンジのうち、ロッ
キングレンジの広いほうの温度掃引の方向からとする。
【0048】これは、上記したように、ベース温度の上
昇時におけるロッキングレンジと、下降時におけるロッ
キングレンジとは、幅及び形状が異なっており、ロッキ
ングレンジの狭い掃引方向からロッキングしようとした
場合、必ずしもロッキングされなことがあるからであ
る。
【0049】第8段階及び第9段階は、第6段階及び第
7段階と同様に、半導体レーザ電流(IC)の範囲であ
るロッキングレンジを算出し、ロッキングレンジの中央
の値へロッキングさせる段階であり、半導体レーザ電流
(IC)を、高調波出力(P2)が閾値(P2WIC)
以上となる半導体レーザ電流(IC)の範囲の中央の値
に設定する。
【0050】この第8段階では、第6段階と同様に、半
導体レーザ電流(IC)のロッキングレンジは、半導体
レーザ電流の増加時及び減少時に測定した両ロッキング
レンジの和とすることが好ましい。これは半導体レーザ
電流の増加時におけるロッキングレンジと、減少時にお
けるロッキングレンジとは、幅及び形状が異なる(図5
の(c))ことが実験的にわかっており、適切なロッキ
ングレンジを求めるには、半導体レーザ電流の上昇時と
下降時の両ロッキングレンジの測定を行う必要があるか
らである。
【0051】この第9段階では、第7段階と同様に、半
導体レーザ電流(IC)を設定する方向は、第8段階で
測定した半導体レーザ電流の増加時と減少時におけるロ
ッキングレンジのうち、ロッキングレンジの広いほうの
半導体レーザ電流の掃引方向からとする。これは、上記
したように、半導体レーザ電流の増加時におけるロッキ
ングレンジと、減少時におけるロッキングレンジとは、
幅及び形状が異なっており、ロッキングレンジの狭いロ
ッキング方向からロッキングしようとした場合、必ずし
もロッキングしないことがあるからである。
【0052】第6〜9段階では、ベース温度及び半導体
レーザ電流の2つのパラメータについて、各ロッキング
レンジの測定及び中央の値へのロッキングを行ってい
る。実際には、この他に半導体レーザ温度及び共振器温
度にもロッキングレンジは依存している(図5の(d)
及び図5の(b))。しかし、半導体レーザ温度と半導
体レーザ電流は光周波数において互いに対応するため、
半導体レーザ温度と半導体レーザ電流のロッキングレン
ジは同じ形状になる。そのため、半導体レーザ特有のモ
ードホップの影響がなければ、半導体レーザ電流のロッ
キングレンジの中央の値にロッキングすれば、半導体レ
ーザ温度のロッキングレンジの中央の値にロッキングし
たことになる。
【0053】一方、共振器温度については、一般的に、
ロッキングレンジが他の温度のロッキングレンジに比べ
てかなり広い(0.3〜1℃)ことが実験的にわかって
いる(図5−(b))。広いため、周囲温度の変動によ
る共振器温度のズレをロッキングレンジ内で吸収でき
る。第10段階は、高調波の出力レベルの調整を行う段
階であり、受光素子により、高調波出力(P2)を測定
し、高調波出力(P2)が最大、又は、目標値(P2W
R)となるように共振器温度を変化させる。
【0054】ここで、共振器温度のロッキングレンジが
山型のピークとなる場合には、高調波出力が最大となる
ように共振器温度を変化させることが好ましい。その理
由は、最大の高調波出力が得られること、又は、後の出
力安定化の段階において、高調波出力が最大になるよう
にTCV制御を行うことで共振器温度のロッキングが維
持されるからである。
【0055】一方、共振器温度のロッキングレンジが山
型のピークとならない場合や、光源の用途によって出力
レベルの調整が必要な場合には、高調波出力が目標値
(P2WR)となるように共振器温度を変化させること
が好ましい。この第10段階において、起動時間の短縮
を行いたい場合や出力レベルの調整を必要としない場合
には、第10段階を省略できる。
【0056】さらに、第5〜9段階において、半導体レ
ーザ電流(IC)を変調してもよい。その場合変調幅
が、半導体レーザ電流(IC)を掃引して測定された高
調波出力(P2)が閾値(P2WIC)以上となる半導
体レーザ電流(IC)の範囲であるロッキングレンジの
半分以上であり、かつ半導体レーザ電流(IC)の範囲
を越えないものとする、すなわち、変調幅は半導体レー
ザ電流(IC)のロッキングレンジの50%〜100%
とする。
【0057】これは、ロッキングレンジの測定におい
て、上記条件での半導体レーザ電流の変調が、半導体レ
ーザ電流の増加時及び減少時のロッキングレンジ及び形
状の差を小さくすることが実験的にわかっているからで
ある。このようにして、高調波出力(P2)を発振させ
る。これが高調波発振装置の作動時の初期設定の段階と
なる。
【0058】上記のように初期設定が終わった後は、連
続運転に入るが、この場合、高調波出力の変動が偏差内
に入るように調整をする。すなわち、高調波の発振後
は、高調波の一部を受光した受光素子の出力を検知し、
常に高調波出力が一定になるようにベース温度を制御す
る。ここから後の連続運転に対する制御は第11段階
(11)からとして説明する。
【0059】図4は、この第11段階(11)からのす
なわち、連続運転に対する制御方法のフローチャートで
ある。第11段階では、高調波出力(P2)が設定値
(P20)を中心とする所定の偏差(P2WCW)以内
かを判定する。ここで、高調波出力が所定の偏差内であ
れば、第11段階へ戻る。もし、高調波出力が所定の偏
差から外れていれば第12段階(12)へ分岐する。
【0060】第12段階では、高調波出力(P2)が所
定の下限値(P2WLF)以上かを判定する。なお、こ
の下限値(P2WLF)は、第4段階での下限値(P2
WLS)と同じであってもよいが、異なっていてもよ
い。もし、高調波出力が所定の下限値(P2WLF)未
満であれば第14段階(14)へ移行し、下限値(P2
WLF)以上であれば第13段階(13)に分岐する。
第13段階では、共振器温度又は/及びベース温度の温
度制御素子に制御信号を出力して、共振器温度(TC
V)又は/及びベース温度(TBS)を変化させる。
【0061】ここでは、共振器温度のロッキングレンジ
が山型のピークをもつ場合には、高調波出力(P2)が
一定になるようにベース温度(TBS)を常時制御し、
かつ高調波出力(P2)が最大になるように共振器温度
(TCV)をある一定の時間おきに制御するのが好まし
い。その理由として、周囲温度が変動した場合、ロッキ
ング条件での共振器温度のズレに比べ、ベース温度のズ
レの方が大きいからである。
【0062】一方、共振器温度のロッキングレンジが山
型のピークをもたない場合には、高調波出力(P2)が
一定になるようにベース温度(TBS)のみを制御させ
る方が好ましい。その理由として、共振器温度を制御す
る際にロッキング位置の判定となるパラメータ(例えば
出力ピーク)が存在しないからである。したがって、山
型のピークをもたない場合には、図4の点線内の制御方
法は省略しなければならない。この場合は、11段階に
戻る。
【0063】第14段階(14)では、半導体レーザ電
流(IC)を変化させ、第8段階に戻る。なお、この第
14段階では、早く高調波を再発振させたい場合には、
簡単な操作、例えば半導体レーザ電流(IC)を変化さ
せて高調波出力が設定値(P2WR)に達したら、達し
たまま使用するようにしてもよい。もっとも、図3で示
した第8段階から10段階に相当する操作を行うほうが
好ましい。これにより、高調波の発振にはやや時間がか
かるが、より安定な発振が得られる。
【0064】本発明では、高調波出力の偏差は(P2W
CW)は、所定の設定値(P2WR)の例えば±5%以
下に設定する。本発明のこの出力安定化のための制御方
法では、かなり精密な制御が可能となるので、偏差が±
5%以内の設定で充分に追従でき、安定な出力が得られ
る。
【0065】高調波出力の下限値(P2WLF)は、偏
差(P2WCW)の下限値よりも低い値に設定する。例
えば、偏差(P2WCW)を±5%とした場合には、下
限値(P2WLF)は所定の設定値(P2WR)の95
〜85%以下の値に設定すればよい。この出力復帰のた
めの制御は出力の大幅な低下を生じた際に、出力を例え
ば95%程度まで復帰させるのに用いられる。
【0066】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。図1の
ような構成を有し、図2に示すような制御装置を有す
る。
【0067】半導体レーザ21には波長860nm帯の
定格100mWシングルモードレーザを使用した。共振
器24を構成する非線形光学材料には、長さ3mmで入
射面には基本波反射率1%以下の反射防止膜が、出射面
には共振器ミラーとして基本波反射率99%及び第二高
調波反射率5%以下の反射膜がついたKNbO3 単結晶
を使用した。
【0068】また、共振器24の半導体レーザ21側の
ミラーには、曲率半径3mmの平凹基板の凹面側に基本
波反射率97%の反射膜のついたものを使用した。受光
素子26としてはSiフォトダイオードを使用した。半
導体レーザ21と共振器24とを支持するベース30に
は熱伝導性のよい銅を使用した。この半導体レーザ21
(出射面)と共振器24(入射側のミラーの反射面)と
の間隔は約8mmとした。この場合、ベース温度約1℃
の変化で、半導体レーザ21と共振器24との距離が基
本波波長の半波長程度変化した。
【0069】なお、コリメート用レンズ22とフォーカ
ス用レンズ23には、通常用いられている凸レンズを用
いた。温度検出素子31、32、33にはサーミスタ
を、温度制御素子27、28、29にはペルチェ素子を
使用した。温度検出素子31、32、33からの温度、
半導体レーザ21からの電流、受光素子26からの出力
は、それぞれ電気信号に変換されて入力装置41に入力
するように接続した。また、出力装置43から出力され
た信号が、温度制御素子27、28、29の温度及び半
導体レーザの電流を制御するように接続した。
【0070】この入力装置41と出力装置43との間に
は、コンピュータ42が配置されている。このコンピュ
ータ42にはCPUが搭載されており、プログラムに従
って、半導体レーザ電流、半導体レーザ温度、共振器温
度、及びベース温度を設定及定値を記録するRAM又は
ROM等が設置されている。
【0071】ここでは、半導体レーザ電流の設定値(I
C0)、半導体レーザ温度の設定値(TLD0)、共振
器の設定値(TCV0)、ベース温度の設定値(TBS
0)、高調波出力(P2WR)、高調波出力の下限値
(P2WLS)、高調波出力の閾値(P2WBS及びP
2WIC)、及び高調波出力発振後の高調波出力の偏差
(P2WCW)、高調波出力の下限値(P2WLF)を
記憶している。
【0072】また、このコンピュータ42には、手動・
自動操作切り換えスイッチを設置し、手動側にレバーを
倒すと、ダイアルの手動操作による各パラメータ設定が
可能となっている手動入力装置44を設けた。これは、
自動側にレバーを倒すと自動モードになる。自動モード
の場合は、予め記憶されたプログラムに従って、手動操
作時に記憶された各パラメータ設定値近傍でロッキング
レンジを探知し、高調波の発振、安定化制御を行い、出
力停止の場合には高調波を再発振させた。
【0073】予め手動モードで半導体レーザ電流、半導
体レーザ温度、共振器温度及びベース温度を調整し、高
調波を発振する各パラメータの設定値(IC0)、(T
LD0)、(TCV0)、(TBS0)と、その時の高
調波出力(P2WR)をEPROMに記憶させておい
た。半導体レーザ電流、半導体レーザ温度、共振器温
度、ベース温度及び第二高調波出力の設定値は、それぞ
れ、IC0=116.9mA、TLD0=23.60
℃、TCV0=24.79℃、TBS0=24.15℃
及びP2WR=3.5mWであった。この時点での周囲
温度は24.5℃であった。
【0074】周囲温度変動による第二高調波発振の影響
をみるため、電源スイッチをオフの状態にし、周囲温度
が30℃になった時点で、手動・自動操作切り換えスイ
ッチを自動モードに切り換え、電源を再投入した。コン
ピュータ42に記憶されたプログラムは図3と図4のフ
ローチャートに従い動作した。なお、第13段階ではベ
ース温度のみを変化させるようにした。
【0075】電源投入後、第2段階と第3段階では、各
温度及び半導体レーザ電流が各設定値で安定になるまで
待機状態となり、安定した時点で第4段階に進んだ。
【0076】第4段階と第5段階では、第二高調波出力
が、予め設定した下限値(P2WLS)以上に発振して
いるか判定した。その結果、第二高調波出力が下限値以
上に発振していれば第6段階へ進み、そうでなければ、
ベース温度を変化させた後、定値を記録するRAM又は
ROM等が設置されている。
【0077】ここでは、半導体レーザ電流の設定値(I
C0)、半導体レーザ温度の設定値(TLD0)、共振
器の設定値(TCV0)、ベース温度の設定値(TBS
0)、高調波出力(P2WR)、高調波出力の下限値
(P2WLS)、高調波出力の閾値(P2WBS及びP
2WIC)、及び高調波出力発振後の高調波出力の偏差
(P2WCW)、高調波出力の下限値(P2WLF)を
記憶している。
【0078】また、このコンピュータ42には、手動・
自動操作切り換えスイッチを設置し、手動側にレバーを
倒すと、ダイアルの手動操作による各パラメータ設定が
可能となっている手動入力装置44を設けた。
【0079】これは、自動側にレバーを倒すと自動モー
ドになる。自動モードの場合は、予め記憶されたプログ
ラムに従って、手動操作時に記憶された各パラメータ設
定値近傍でロッキングレンジを探知し、高調波の発振、
安定化制御を行い、出力停止の場合には高調波を再発振
させた。
【0080】予め手動モードで半導体レーザ電流、半導
体レーザ温度、共振器温度及びベース温度を調整し、高
調波を発振する各パラメータの設定値(IC0)、(T
LD0)、(TCV0)、(TBS0)と、その時の高
調波出力(P2WR)をEPROMに記憶させておい
た。
【0081】半導体レーザ電流、半導体レーザ温度、共
振器温度、ベース温度及び第二高調波出力の設定値は、
それぞれ、IC0=116.9mA、TLD0=23.
60℃、TCV0=24.79℃、TBS0=24.1
5℃及びP2WR=3.5mWであった。この時点での
周囲温度は24.5℃であった。
【0082】周囲温度変動による第二高調波発振の影響
をみるため、電源スイッチをオフの状態にし、周囲温度
が30℃になった時点で、手動・自動操作切り換えスイ
ッチを自動モードに切り換え、電源を再投入した。
【0083】コンピュータ42に記憶されたプログラム
は図3と図4のフローチャートに従い動作した。なお、
第13段階ではベース温度のみを変化させるようにし
た。
【0084】電源投入後、第2段階と第3段階では、各
温度及び半導体レーザ電流が各設定値で安定になるまで
待機状態となり、安定した時点で第4段階に進んだ。
【0085】第4段階と第5段階では、第二高調波出力
が、予め設定した下限値(P2WLS)以上に発振して
いるか判定した。その結果、第二高調波出力が下限値以
上に発振していれば第6段階へ進み、そうでなければ、
ベース温度を変化させた後、第4段階に戻った。ここ
で、設定下限値(P2WLS)は、記憶した第二高調波
出力(P2WR)の80%とした。第6段階では、ベー
ス温度を第二高調波が下限値(P2WBS)以上に発振
した値の−0.2℃から+0.2℃まで変化させなが
ら、高調波出力を測定し、ベース温度のロッキングレン
ジを求めた。ここで、設定下限値(P2WBS)は、記
憶した第二高調波出力(P2WR)の80%とした。第
7段階では、ベース温度のロッキングレンジの中央の値
にベース温度値を設定した。
【0086】第8段階では、第6段階と同様に半導体レ
ーザ電流を設定値の−5mAから+5mAまで変化させ
ながら、第二高調波出力を測定し、下限値(P2WI
C)以上に発振した半導体レーザ電流のロッキングレン
ジを求めた。ここで、設定下限値(P2WIC)は、記
憶した第二高調波出力(P2WR)の50%とした。第
9段階では、第7段階と同様に半導体レーザ電流のロッ
キングレンジの中央の値に半導体レーザ電流値を設定し
た。
【0087】第10段階では、第二高調波出力が最大と
なるように共振器温度を変化させた。その結果、第二高
調波出力はP2=3.5mWとなった。この第1段階か
ら第10段階までのフローにより、第二高調波が発振す
る。それ以降の第11段階から第14段階までのルーチ
ンで、発振させた第二高調波の出力安定化及び再発振を
行った。
【0088】第11段階では、第二高調波出力(P2)
を随時測定する。第二高調波出力が出力許容幅である
(P2WCW)内であれば、そのまま第11段階に戻っ
た。もし、この偏差に外れた場合には、第12段階に進
み、第二高調波の出力安定化制御を行うようにした。こ
こで、第二高調波の設定出力はP20=3.5mWとな
り、出力許容幅P2WCW=±2%とした。第12段階
では、第二高調波出力(P2)が下限値(P2WLF)
以上の場合は、第13段階に示すように第二高調波出力
が、出力許容幅(P2WCW)内に入るように、ベース
温度を0.001℃の設定分解能で制御した。
【0089】一方、第二高調波出力(P2)が、下限値
(P2WLF)未満の場合には、第14段階に示すよう
に、半導体レーザ電流(IC)を設定値の−5mAから
+5mAまで変化させて、第二高調波を再発振させた。
なお、この際には、図3に示した第8段階から第10段
階に相当する操作を行った。ここで、下限値は第二高調
波の設定出力(P20)の90%とした。実験の結果、
第二高調波を発振した半導体レーザ電流、半導体レーザ
温度、共振器温度及びベース温度の各値は、IC=11
6.2mA、TLD=23.60℃、TCV=24.7
8℃、及びTBS=24.09℃であった。
【0090】第二高調波発振後の出力安定性について
は、周囲温度を1℃/分の速さで15℃から35℃まで
変化させた結果、第二高調波の出力は3.6〜3.4m
Wの間を推移し、変動幅±5%以内と安定だった。さら
に、周囲温度を1℃/分の速さで5℃から45℃まで変
化させた結果、第二高調波の出力が停止した。その約3
0秒後、図4の高調波の再発振ルーチンによって、第二
高調波出力は再発振した。そのときの半導体レーザ電流
値はIC=116.7mAであった。
【0091】
【発明の効果】本発明の高調波発振装置の制御方法は、
次のような効果を有する。 1)従来の高調波発振装置の制御方法に比べて、ベース
温度のロッキングレンジの中央の値でロッキングをする
ため、より安定した高調波出力が得られる。 2)従来の高調波発振装置の制御方法に比べて、半導体
レーザ電流を変調しているため、各パラメータの掃引方
向の違いによるロッキングレンジの差が小さくなり、ロ
ッキングレンジへのロッキングがより確実になる。 3)従来の高調波発振装置の制御方法に比べて、各パラ
メータのロッキング方向がロッキングレンジの広い方向
からロッキングするため、ロッキングレンジのロッキン
グがより確実になる。 本発明は、その効果を損なわない範囲内で、さまざまな
応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる高調波発振装置の代表的な構成
を示す正面図。
【図2】本発明の制御の信号を処理する制御装置の回路
ブロック図。
【図3】本発明の制御方法のフローチャート。
【図4】本発明の制御方法のフローチャート。
【図5】本発明に用いる高調波発振装置の代表的なロッ
キングレンジの概略図。(a)ベース温度(TBS)、
(b)共振器温度(TCV)、(c)半導体レーザ電流
(IC)及び(d)半導体レーザ温度(TLD)。
【符号の説明】
21:半導体レーザ 22:コリメート用レンズ 23:フォーカス用レンズ 24:共振器 25:ビームスプリッタ 26:受光素子 27:温度制御素子 28:温度制御素子 29:温度制御素子 30:ベース 31:温度検知素 32:温度検知素子 33:温度検知素子 41:入力装置 42:コンピュータ 43:出力装置 44:手動入力装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基本波光源である半導体レーザと、基本波
    光を共振させる複数の共振用ミラーによって構成される
    共振器と、共振器内の基本波光の光軸上に設けられた非
    線形光学材料と、前記半導体レーザと前記共振器を支持
    するベースと、高調波出力を受光する受光素子とを有す
    る高調波発振装置の制御方法において、半導体レーザ電
    流を検出する手段、共振器温度と半導体レーザ温度とベ
    ース温度を検出する温度検出器、半導体レーザの電流を
    変化させる手段、共振器と半導体レーザとベースをそれ
    ぞれ別個に温度制御可能にした温度制御素子を有し、下
    記の手順にしたがって制御を行うことを特徴とする高調
    波発振装置の制御方法。 (1)半導体レーザ電流(IC)、半導体レーザ温度
    (TLD)、共振器温度(TCV)及びベース温度(T
    BS)の各設定値を、半導体レーザの電流を変化させる
    手段及び各温度制御素子に設定する。 (2)半導体レーザ電流(IC)、半導体レーザ温度
    (TLD)、共振器温度(TCV)及びベース温度(T
    BS)を測定し、それらがそれぞれ設定値(IC0)、
    (TLD0)、(TCV0)、(TBS0)の偏差範囲
    に入っているかを確認し、全て入っていれば(4)へ、
    1項目でも入っていなければ(3)に分岐する。 (3)偏差範囲に入っていない半導体レーザ電流(I
    C)、半導体レーザ温度(TLD)、共振器温度(TC
    V)又はベース温度(TBS)を変更して(2)に戻
    る。 (4)受光素子により高調波出力(P2)を測定して、
    下限値(P2WLS)以上か確認し、以上であれば
    (6)へ、未満であれば(5)へ分岐する。 (5)ベース温度(TBS)を変化させて、受光素子に
    より高調波出力(P2)を測定する。高調波出力(P
    2)が、下限値(P2WLS)以上か確認し、以上であ
    れば(6)へ、未満であれば(5)へ分岐する。 (6)ベース温度(TBS)を掃引して高調波出力(P
    2)を測定し、高調波出力(P2)が閾値(P2WB
    S)以上となるベース温度(TBS)の範囲を算出す
    る。 (7)ベース温度(TBS)を、高調波出力(P2)が
    閾値(P2WBS)以上となるベース温度(TBS)の
    範囲の中央の値に設定する。 (8)半導体レーザ電流(IC)を掃引して高調波出力
    (P2)を測定し、高調波出力(P2)が閾値(P2W
    IC)以上となる半導体レーザ電流(IC)の範囲を算
    出する。 (9)半導体レーザ電流(IC)を、高調波出力(P
    2)が閾値(P2WIC)以上となる半導体レーザ電流
    (IC)の範囲の中央の値に設定する。 (10)受光素子により高調波出力(P2)を測定し、
    高調波出力(P2)が最大、又は、目標値(P2WR)
    となるように共振器温度(TCV)を設定する。
  2. 【請求項2】半導体レーザ電流(IC)を、前記(5)
    〜(9)において変調し、その変調幅が、半導体レーザ
    電流(IC)を掃引して測定された高調波出力(P2)
    が閾値(P2WIC)以上となる半導体レーザ電流(I
    C)の範囲の半分以上であり、かつ半導体レーザ電流
    (IC)の範囲を超えないことを特徴とする請求項1記
    載の高調波発振装置の制御方法。
  3. 【請求項3】前記(7)において、ベース温度(TB
    S)を、高調波出力(P2)が閾値(P2WBS)以上
    となるベース温度(TBS)の範囲の中央の値に設定す
    るにあたり、ベース温度(TBS)の掃引方向は、前記
    (6)でベース温度(TBS)の上昇時と下降時に測定
    されたベース温度(TBS)の範囲のうち、広いほうの
    範囲となる掃引方向とすることを特徴とする請求項1記
    載の高調波発振装置の制御方法。
  4. 【請求項4】前記(9)において、半導体レーザ電流
    (IC)を、高調波出力(P2)が閾値(P2WIC)
    以上となる半導体レーザ電流(IC)の範囲の中央の値
    に設定するにあたり、半導体レーザ電流(IC)の掃引
    方向は、前記(8)で半導体レーザ電流(IC)の増加
    時と減少時に測定された半導体レーザ電流(IC)の範
    囲のうち、広いほうの範囲となる掃引方向とすることを
    特徴とする請求項1記載の高調波発振装置の制御方法。
  5. 【請求項5】前記(1)〜(10)の制御方法により、
    高調波出力(P2)を発振した後、さらに以下の手順に
    したがって制御を行うことを特徴とする請求項1記載の
    高調波発振装置の制御方法。 (11)前記(10)で、高調波出力(P2)が最大
    値、または予め定めた目標値(P2WR)、及び目標幅
    内に到達した直後の高調波出力(P20)を出力一定制
    御の設定値とし、高調波出力(P2)が出力偏差(P2
    WCW)以内かを確認し、以内であれば(11)へ、外
    れていれば(12)へ分岐する。 (12)高調波出力(P2)が下限値(P2WLF)未
    満であるかを確認し、未満であれば(14)へ、以上で
    あれば(13)へ分岐する。 (13)共振器温度(TCV)又は/及びベース温度
    (TBS)を変更して、(11)へ戻る。 (14)半導体レーザ電流(IC)を変更して(8)へ
    戻る。
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