JPH1186765A - X線イメージ管の入力スクリーンおよびその製造方法 - Google Patents

X線イメージ管の入力スクリーンおよびその製造方法

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JPH1186765A
JPH1186765A JP19467798A JP19467798A JPH1186765A JP H1186765 A JPH1186765 A JP H1186765A JP 19467798 A JP19467798 A JP 19467798A JP 19467798 A JP19467798 A JP 19467798A JP H1186765 A JPH1186765 A JP H1186765A
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JP
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crucible
phosphor
light
fluorescent screen
input
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JP19467798A
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English (en)
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Atsuya Yoshida
篤也 吉田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Image-Pickup Tubes, Image-Amplification Tubes, And Storage Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】分解能が高く製造の容易なX線イメージ管を提
供する。 【解決手段】この発明の蛍光スクリーン蒸着装置1は、
坩堝3をリング状とし、坩堝の一部領域に、坩堝を加熱
する加熱装置5を装着して蒸発源とすることにより、原
料蛍光材料であるCsIが基板に堆積される際の結晶柱
の基底部の直径を所定の大きさの範囲に形成可能な適正
温度を維持可能とし、また、不純物であるCuIまたは
不活材であるNsI等の微量の添加材が蒸着により形成
された蛍光面の深さ方向において所定の濃度分布範囲で
分布したアニール処理時の変形の少ない蛍光スクリーン
を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、X線イメージ管
に用いる入力蛍光スクリーンおよびその製造方法に係
り、特に、分解能の高いX線イメージ管を提供可能な入
力蛍光スクリーンの製造方法および高分解能特性を有す
るX線イメージ管に関する。
【0002】
【従来の技術】X線イメージ管は、例えば医療用X線診
断装置あるいは工業用非破壊検査装置のX線撮像素子と
して用いられている。
【0003】X線イメージ管は、ガラス等により形成さ
れる真空外囲器、真空外囲器の一端に配置され、X線源
を出射されて対象物を通過したX線の透過濃度分布また
はX線投影像を捕獲するX線入力窓、X線入力窓と対向
して真空外囲器の他端に配置され、X線入力窓で捕獲さ
れたX線の透過濃度分布またはX線投影像に対応する可
視光像を出力する出力蛍光面から構成される。
【0004】このようなX線イメージ管においては、X
線入力窓に入射したX線の透過濃度分布またはX線像
は、X線入力窓の基板を透過して基板の内側に形成され
た蛍光面の蛍光体を励起し、X線入力窓に入射されたX
線の透過濃度分布またはX線像に対応する蛍光を発生す
る。
【0005】蛍光面で発生された蛍光は、X線入力窓の
蛍光面に一体的に形成された光電面により、蛍光の強度
および密度に対応する工ネルギーを有する光電子として
変換される。
【0006】このようにして発生されたX線入力面に入
射されたX線の透過濃度分布またはX線像に対応する光
電子は、集束電極によって集束されながら加速電極すな
わち陽極により加速されて出力蛍光面に案内される。
【0007】出力蛍光面に案内された光電子は、出力蛍
光面で可視光像に変換されて外部に出力される。この可
視光像は、撮像管もしくはCCDからなる撮像素子とレ
ンズとを組み合わせたカメラ系を経て、テレビモニタに
表示される。
【0008】X線イメージ管およびカメラ系において、
画像分解能は、最も重要な性能の1つである。なお、分
解能は、MTFという、ラインペア/cmあるいはライ
ンペア/mmで表示される任意の空間周波数を持った濃
淡の画像パターンを入力したときに得られる画像出力の
画像パターンの劣化の程度を数値化した値で表現され
る。
【0009】ところで、X線イメージ管およびカメラ系
においては、入力蛍光スクリーンでの画像の劣化が、M
TF特性に最も影響することが知られている。
【0010】図8は、図2に示したX線イメージ管のM
TF特性への影響を説明する概略図である。
【0011】入力窓を透過したX線Aは、入力蛍光スク
リーンBの蛍光体層Cのある点Dを発光点として発光す
る。
【0012】蛍光体層CにおけるX線の発光は無作為の
方向に進行するので、例えば図7の点Eに示すように、
発光点Dから入力蛍光スクリーンの面方向に大きく離れ
たところに到達する場合が多く、従ってX線が入力蛍光
スクリーンに入射した位置と離れた位置で光電電子Fを
生じる。このことから、X線イメージ管から出力される
画像は、にじみあるいはぼけを伴うことになる。このた
め、X線イメージ管のMTF特性を向上させるには、蛍
光体層内の発光が面方向に向かうことを低減する必要で
ある。
【0013】蛍光体層内における発光が面方向に向かう
ことを低減する方法として、蛍光体層を、柱状の蛍光体
を複数配列した構造すなわちファイバー構造とする手法
が知られている。ファイバー構造は、蛍光体層の面方向
に多くの光学的界面を提供することから、上述したにじ
みを低減するために有益である。
【0014】入力蛍光スクリーンに用いる蛍光体は、一
般に、ヨウ化ナトリウム(NaI)をドープしたヨウ化
セシウム(CsI)であり、入力蛍光スクリーンは、真
空蒸着で形成される。このとき、上述したファイバー構
造は、真空蒸着の際に真空層の圧力を0.1ないし1.
0Pa(パスカル)程度の比較的高圧真空とすること
で、容易に得られる。
【0015】図9は、蛍光体層の蛍光体のファイバー構
造を模式的に示すもので、蛍光体層αは、柱状の蛍光体
の結晶が互いに任意の僅かな間隔を置いて、または隣り
合う結晶と密着して配列される状態が示されている。
【0016】図9においては、図8に示したと同様に、
入射X線αは、発光点βから無作為の方向に向けて発光
する。詳細には、発光点βから真空と蛍光体の結晶柱と
の界面で全反射するような条件で発光された光γは、柱
状の蛍光体の長さ方向に、ほとんど面方向にずれのない
位置δに到達する。
【0017】一方、例えば臨界角内で蛍光体の結晶柱と
真空との界面にさしかかった光εは、複数の結晶柱すな
わちファイバーを横切ってX線が入射した位置すなわち
発光点βから、蛍光体層の面方向に大きく離れた位置ζ
に到達する。しかしながら、位置ζに到達する光εは、
各ファイバーの界面においてフレネル反射により減衰す
るので、位置ζにおける光εの光強度は、多くの場合、
MTF特性を劣化させるほどの強度よりも低下される。
【0018】このように、蛍光体層の蛍光面をファイバ
ー状に構成することで、X線イメージ管の分解能特性
は、直径が240mmで、蛍光体層の厚さが400μm
の入力蛍光スクリーンを用い、出力面において直径25
mmとなるよう結像条件を設定すると、空間周波数20
ラインペア/cmの入力信号に対して、MTF値は、2
0%程度である。
【0019】一方、入力蛍光スクリーンには、分解能が
良好であるということのほかに、入射したX線の波長に
対する吸収感度が高いことが要求される。すなわち、例
えば透視対称が人体である場合、人体に対する被曝を低
減する目的により、照射されるX線のX線強度すなわち
総X線量が最小限度まで低減されていることから、蛍光
体層に要求される特性としては、信号強度対ノイズ強度
(S/N)比が高く、X線の透過濃度分布またはX線投
影像を検出可能な最小X線量が低いことが必要となる。
この場合、蛍光体層を厚くすることで吸収感度は高めら
れるが、同時に、図8および図9を用いて既に説明した
入射X線の位置と光電変換層に到達する光の位置とのず
れが大きくなることから、分解能特性が低下することを
回避できない。例えば、入力蛍光スクリーンの厚さが4
00μmでは、入射X線強度の関連により、量子ノイズ
が比較的多く、反面、入力蛍光スクリーンの厚さが60
0μmである場合、分解能特性が低下する。
【0020】また、X線イメージ管には、通常、後段に
位置されるカメラ系の感度の制約から、出力面から出力
される出力信号が高いことが求められるが、このこと
は、入力蛍光スクリーンの蛍光体層のファイバー状に形
成される蛍光体の直径を増大させるか、または蛍光体を
活性化させる焼成温度が高いことが必要であるが、ファ
イバー状の結晶柱の径を大きくすることは単位面積あた
りの光学的界面の数を減少させ、また焼成温度を高める
ことは隣り合う結晶柱を相互に融合させることによる光
学的界面の特性の劣化を引き起こすことになる。すなわ
ち、結晶柱の径を大きくすることにより単位面積あたり
の光学的界面の数が減少されることは、上述したにじみ
を引き起こし、また焼成温度を高めることにより隣り合
う結晶柱相互の光学的界面の特性が劣化されることは、
上述した入射X線と光が到達する位置とのずれを増大さ
せることから、分解能を高めることを主目的とする場合
には、実施できないことになる。
【0021】このような不具合を解決するために、ファ
イバー構造の入力蛍光スクリーンの各結晶柱の隙間に、
蛍光を吸収または反射する物質を注入する方法が提案さ
れている。例えば、特開昭62−43046号公報に
は、結晶柱の隙間に光吸収膜を形成した構造が、特開昭
59−121733号公報には、光学的界面に相当する
部位に光吸収もしくは反射性の粉末を充填する方法が、
それぞれ開示されている。ところが、経験上、蛍光体層
の厚さ方向の間隔は、1μm程度であり、また間隔を広
げた場合には、出力面に画像として投射されてしまうこ
とが知られている。このことから、蛍光体層の厚さを1
00μmオーダーとすると界面の幅には限りがあるの
で、表面から蛍光を吸収または反射する物質を注入する
方法は、生産性を向上できない問題がある。
【0022】このため、生産性を考慮に入れると、例え
ば特公昭54−40071号公報あるいは特開平5−1
74747号公報に開示されているような、入力蛍光ス
クリーンの蛍光体材料に、一旦、均一に光吸収材を混入
させて、その後アニール処理によりファイバーを構成す
る結晶柱の隙間に光吸収材料を析出させる方法が有効で
ある。この方法は、アニール処理の際に利用する雰囲気
ガスに反応しにくい母結晶に混入された反応しやすい不
純物は、アニール処理により析出するという現象を利用
したものである。例えば、母結晶をヨウ化セシウム(C
sI)あるいはヨウ化ナトリウム(NaI)、不純物を
ヨウ化鉄(FeI2 )、雰囲気ガスを酸素(O2 )とす
ると、CsIとNaIは、酸素に対して反応しにくいの
に対してFeI2 は非常に酸化しやすいので、CsIま
たはNaIの結晶の表面に酸化鉄(II)(Fe
2 3 )が析出する。なお、通常、蛍光体に不純物を混
入させると蛍光体の発光効率は低下するが、アニール処
理によりCsIに含まれるFeI2 のほとんどが蛍光体
結晶の外部に析出してしまうので、CsIの発光効率が
低下することはない。ただし、Fe2 3 のような光吸
収層が形成されるので入力蛍光スクリーンにおいて光電
変換層へ到達する光の量は減少する。また、この方法
は、従来の製造工程と比較すると、入力蛍光スクリーン
の成膜工程において従来の蛍光体材料に光吸収性もしく
は反射性の材料を混入する作業と、成膜の後にアニール
工程を付加するというだけであり、量産性を考慮に入れ
ても非常に現実的である。ところが、この方法で製造し
たX線イメージ管の出力画像を観察すると、多数のクラ
ックが観測され、X線イメージ管に求められる画質を満
足できない問題がある。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上述の特開昭62−4
3046号公報または特開昭59−121733号公報
に記載のように、結晶中の隙間または光学的界面に光吸
収層を介在させたり、光反射物質の粉末を充填すること
は、隙間が1μm程度であることから、量産性が低い問
題がある。
【0024】また、特公昭54−40071号公報また
は特開平5−174747号公報に記載のように、一旦
蛍光体から発生する光を吸収または反射する物質を蛍光
体と混合して蒸着する方式を、従来技術を用いてそのま
ま用いて流用しただけでは、例えば蛍光面でのクラック
の発生等により、蛍光面の品質および性能を向上できな
い問題がある。
【0025】この発明の目的は、上述した問題点に基づ
きなされたもので、ファイバー構造の崩れやクラックが
生じにくく、高いMTF特性が得られる入力蛍光スクリ
ーンを提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記問題点
に基づきなされたもので、X線透過性基板と、この基板
面上に形成されたヨウ化セシウムを主成分とする蛍光体
の柱状結晶の集合からなる蛍光体層と、この蛍光体層上
に形成された光電面とを備え、前記蛍光体層の各柱状結
晶の周面に、光吸収性または光反射性の金属酸化物層が
形成されているX線イメージ管の入力スクリーンにおい
て、上記金属酸化物層は、上記蛍光体層の光電面側端部
における濃度に対し、上記基板側の領域の濃度が0.6
〜1.5倍の範囲に分布していることを特徴とするX線
イメージ管の入力スクリーンである。この請求項第1項
の発明によれば、蛍光体層の各柱状結晶の周面の光吸収
性または光反射性の金属酸化物層は、金属酸化物層は、
上記蛍光体層の光電面側端部における濃度に対し、上記
基板側の領域の濃度が0.6〜1.5倍の範囲に分布さ
れることから、アニール時にクラックが生じることを防
止できる。
【0027】また、この発明は、請求項第2項に記載し
たように、請求項第1項記載の入力蛍光スクリーンにお
いて、金属酸化物層を、酸化銅、酸化鉄もしくは酸化マ
グネシウムとしたことを特徴とする。この請求項第2項
の発明によれば、アニール処理により各柱状結晶の外周
面に析出する金属酸化物層の濃度分布の幅を所定の範囲
内に収めることができる。
【0028】さらに、この発明は、請求項第3項に記載
したように、X線透過性基板面上にヨウ化セシウムを主
とする蛍光体を蒸着して柱状結晶の集合からなる蛍光体
層を形成するとともに、この蛍光体層の各柱状結晶の周
面に、光吸収性または光反射性の金属酸化物層を形成す
るX線イメージ管の入力スクリーンの製造方法におい
て、上記蛍光体層の原料である蛍光体原料と、ヨウ化
銅、ヨウ化鉄、ヨウ化マグネシウムの中から選択された
少なくとも1つとの混合物を、所定温度に加熱した坩堝
から一緒に完全にまたはほぼ完全に蒸発させる工程を連
続的に行って上記基板面上に堆積させ、上記蛍光体原料
および上記金属を含む柱状結晶の集合からなる蛍光体層
を形成し、しかる後、上記蛍光体層を、酸素を含む雰囲
気中で加熱処理して上記蛍光体層の各柱状結晶の周面
に、光吸収性または光反射性の金属酸化膜を形成するこ
とを特徴とするX線イメージ管の入力スクリーンの製造
方法である。この請求項第3項の発明によれば、蛍光体
層の原料である蛍光体原料と、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨ
ウ化マグネシウムの中から選択された少なくとも1つと
の混合物を、所定温度に加熱した坩堝から一緒に完全に
またはほぼ完全に蒸発させる工程を連続的に行って上記
基板面上に堆積させることにより、上記蛍光体原料およ
び上記金属を含む柱状結晶の集合からなる蛍光体層を形
成可能であり、各柱状結晶の外周面に析出する金属酸化
物層の濃度分布の幅を所定の範囲内に収めることができ
る。
【0029】また、この発明は、請求項第4項に記載し
たように、X線を光に変換する蛍光体とその光を吸収も
しくは反射する物質の原料との混合物を収容した坩堝
と、前記坩堝の一部を加温する手段と、前記坩堝の加温
する部分の位置を順次移動する手段とを備えた蒸着装置
を用いたX線イメージ管等に利用される蛍光スクリーン
の製造方法において、前記坩堝の一部を加温することに
より、その部分の前記混合物だけを選択的に蒸発させ、
X線を光に変換する入力蛍光スクリーンを成膜すること
を特徴とした蛍光スクリーンの製造方法である。この請
求項第4項の発明によれば、蒸発材料の一部を加温し
て、その部分の前記混合物だけを選択的に蒸発させるこ
とにより、X線を光に変換する蛍光体と、その光を吸収
もしくは反射する物質の原料とを混合蒸着する際の蒸気
の成分比を所定の範囲内に保つことができる。従って、
入力蛍光スクリーンの蛍光体の深さ方向の不純物の濃度
分布を所定の範囲内にすることができる。
【0030】また、この発明は、請求項第5項に記載し
たように、前記蒸着装置には、X線を光に変換する蛍光
体とその光を吸収もしくは反射する物質の原料との混合
物を収容したリング状もしくは棒状の坩堝と、前記坩堝
の一部分を選択的に加温するヒーターと、前記坩堝ある
いは前記ヒーターを移動させる機構とが備えられてお
り、前記坩堝の一部を加温することにより、その部分の
前記混合物だけを選択的に蒸発させることを特徴とす
る。この請求項第5項の発明によれば、坩堝の構造をリ
ング状もしくは棒状にし、かつ、坩堝またはヒーターを
移動させる機構を用いることにより、坩堝内の原料蒸着
材を選択的に加温することができる。これにより、基板
に堆積される蛍光体の基底部の直径が増大されることが
防止できる。
【0031】さらに、この発明は、請求項第6項に記載
したように、前記坩堝に収容されたX線を光に変換する
蛍光体とその光を吸収もしくは反射する物質の原料との
混合物は、前記坩堝全体にわたって混合比が所定の比率
を満足することを特徴とする。この請求項第6項によれ
ば、坩堝に収容されたX線を光に変換する蛍光体とその
光を吸収もしくは反射する物質の原料との混合物を、坩
堝全体にわたって混合比が所定の範囲内にすることによ
り、混合蒸着する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に保
つことができる。これにより、入力蛍光スクリーンの深
さ方向の蛍光体中の不純物または不活材の濃度分布を所
定の範囲内にすることができる。
【0032】またさらに、この発明は、請求項第7項に
記載したように、前記坩堝には、回転または直線運動を
する機構が付随しており、回転または直線運動をするこ
とにより、前記坩堝のすべての部分が前記ヒーターによ
り加温される部分となるように配置されていることを特
徴とする。この請求項第7項によれば、坩堝に回転もし
くは直線運動をする機構が付随させて回転または直線運
動を与えることにより、坩堝のすべての部分が前記ヒー
ターにより加温される部分となるように配置されている
ので、混合蒸着する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に
保つことができる。従って、入力蛍光スクリーンの深さ
方向の蛍光体中の不純物および不活材の濃度分布を所定
の範囲内にすることができる。
【0033】さらにまた、この発明は、請求項第8項お
よび第9項に記載したように、X線を光に変換する蛍光
体とその光を吸収もしくは反射する物質の原料との混合
物を収容したリング状もしくは棒状の坩堝と、前記坩堝
の一部を加温する手段と、前記坩堝の加温する部分の位
置を順次移動する手段と、前記混合物を真空槽に供給お
よび搬送する機構とが備えられた蒸着装置を用いた蛍光
スクリーンの製造方法において、前記坩堝の一部を加温
することにより、前記X線を光に変換する蛍光体とその
光を吸収もしくは反射する物質の原料との混合物を選択
的に加温された坩堝の一部分に送りながらその部分の前
記混合物だけを選択的に蒸発させ、X線を光に変換する
入力蛍光スクリーンを成膜することを特徴とした蛍光ス
クリーンの製造方法であり、前記X線を光に変換する蛍
光体とその光を吸収もしくは反射する物質の原料の混合
比を所定の範囲内にした状態で、前記坩堝上の選択的に
加温された部分に、前記X線を光に変換する蛍光体とそ
の光を吸収もしくは反射する物質の原料の混合物を供給
することを特徴とする。この請求項第8項および第9項
によれば、X線を光に変換する蛍光体と、その光を吸収
もしくは反射する物質の原料の混合物を選択的に加温さ
れた坩堝の一部分に送りながら真空蒸着を行うことによ
り、混合蒸着する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に保
つことができる。また、光に変換する蛍光体と、その光
を吸収もしくは反射する物質の原料の混合比を所定の範
囲内にした状態で管理できるので、有益である。結果と
して、入力蛍光スクリーンの深さ方向の濃度分布を所定
の範囲内にすることができた。さらに、X線を光に変換
する蛍光体と、その光を吸収もしくは反射する物質の原
料の混合物を真空槽に供給および搬送する機構と、リン
グ状もしくは棒状の坩堝と、坩堝の一部分を選択的に加
温するヒーターとを備えることにより、真空槽を大気に
曝すことなく連続して数バッチの入力蛍光スクリーンを
製造することができる。
【0034】さらにまた、この発明は、請求項第10項
に記載したように、請求項第8項および第9項における
坩堝には、回転または直線運動をする機構が付随してお
り、回転または直線運動をすることにより、前記坩堝の
すべての部分が前記ヒーターにより加温される部分とな
るように配置されていることを特徴とする。この請求項
第7項によれば、坩堝に回転もしくは直線運動をする機
構が付加されており、坩堝が回転または直線運動をする
ことにより、坩堝のすべての部分がヒーターにより加温
される部分となるように配置されているので、混合蒸着
する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に保つことができ
る。結果的に、入力蛍光スクリーンの深さ方向の蛍光体
中の不純物および不活材の濃度分布を所定の範囲内にす
ることができる。
【0035】またさらに、この発明は、請求項第11項
および第12項に記載したように、X線を光に変換する
蛍光体を収容した坩堝と、前記坩堝の一部を加温する手
段と、前記坩堝の加温する部分の位置を順次移動する手
段とが備えられた蒸着装置を用いたX線イメージ管の入
力蛍光スクリーンの製造方法において、前記坩堝の一部
を加温することにより、その部分の前記蛍光体だけを選
択的に蒸発させ、X線を光に変換する入力蛍光スクリー
ンを成膜することを特徴とした入力蛍光スクリーンの製
造方法であり、前記入力蛍光スクリーンを成膜する蒸着
装置には、X線を光に変換する蛍光体を収容したリング
状もしくは棒状の坩堝と、前記坩堝の一部分を選択的に
加温するヒーターとが備えられており、前記坩堝の一部
を加温することにより、その部分の前記蛍光体だけを選
択的に蒸発させる工程を含むことを特徴とする。この請
求項第11項および第12項によれば、入力蛍光スクリ
ーンを成膜する装置に、X線を光に変換する蛍光体を収
容した坩堝と、坩堝の一部を加温する手段とを備えて、
坩堝の一部を加温することにより、その部分の蛍光体だ
けを選択的に蒸発させることにより、従来の坩堝に1バ
ッチ分の蒸発材料を充填して蒸着する方法と比較して、
少ないパワーで蛍光体を蒸発させることが可能となり、
低い基板温度で入力蛍光スクリーンを成膜することがで
きる。また、坩堝の構造をリング状もしくは棒状にし、
坩堝の一部分を選択的に加温するヒーターを備えること
により、坩堝の一部を選択的に加温することを容易にす
ることができる。
【0036】またさらに、この発明は、請求項第13項
および第14項に記載したように、X線を光に変換する
蛍光体を収容したリング状もしくは棒状の坩堝と、前記
坩堝の一部を加温する手段と、前記坩堝の加温する部分
の位置を順次移動する手段と、前記蛍光体を真空槽に供
給および搬送する機構とが備えられた蒸着装置を用いた
X線イメージ管の入力蛍光スクリーンの製造方法におい
て、前記坩堝の一部を加温することにより、前記蛍光体
を選択的に加温された坩堝の一部分に送りながらその部
分の前記蛍光体だけを選択的に蒸発させてX線を光に変
換する入力蛍光スクリーンを成膜することを特徴とした
X線イメージ管の入力蛍光スクリーンの製造方法であ
り、前記坩堝には、回転もしくは直線運動をする機構が
設けられていることにより坩堝が回転または直線運動さ
れ、前記坩堝のすべての部分が前記ヒーターにより加温
される部分となるように配置されていることを特徴とす
る。この請求項第13項および第14項によれば、X線
を光に変換する蛍光体と、その光を吸収もしくは反射す
る物質の原料の混合物を真空槽に供給および搬送する機
構と、リング状もしくは棒状の坩堝と、坩堝の一部分を
選択的に加温するヒーターとを備えることにより、真空
槽を大気に曝すことなく連続して数バッチの入力蛍光ス
クリーンを製造することができる。
【0037】またさらに、この発明は、請求項第15項
に記載したように、請求項第13項または第14項にお
いて、前記蛍光体は、TlIを付活したCsIもしくは
TlIを付活したNaIであることを特徴とする。この
請求項第15項によれば、蛍光体はTlIを付活したC
sIもしくはTlIを付活したNaIである場合も、X
線を光に変換する蛍光体と、その光を吸収もしくは反射
する物質の原料の混合物の時と同様の理由で、混合蒸着
する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に保つことができ
るので、入力蛍光スクリーンの蛍光面の深さ方向の不純
物あるいは不活材の濃度分布を所定の範囲内にすること
ができる。このとき、光を吸収もしくは反射する物質と
して、酸化銅、酸化鉄もしくは酸化マグネシウムを含む
ことから、それらの蛍光面の深さ方向の濃度分布を一定
の範囲内に設定できる。また、真空槽を大気に曝すこと
なく連続して数バッチの入力蛍光スクリーンを製造する
ことができる。
【0038】さらにまた、この発明は、請求項第16項
に記載したように、加熱手段に対して相対的に移動可能
であって、加熱手段により所定領域が部分的に加熱され
る坩堝と、前記坩堝に対し、前記坩堝が加熱手段から離
れた位置で一定のタイミングで所定量の原料蒸着材料を
供給する原料供給手段と、前記坩堝を所定速度で移動さ
せて、加熱手段により坩堝が加熱される領域を移動する
移動手段と、を有することを特徴とする蛍光スクリーン
の製造装置である。この請求項第16項によれば、坩堝
が所定速度で回転されることにより、加熱手段により加
熱される坩堝の被加熱領域は、坩堝の大きさに比較して
僅かな部分であり、また、坩堝に供給される原料蒸着材
料は、加熱手段から離れた位置で供給されることから、
基板に堆積される蛍光体の基底部の直径が増大されるこ
とが防止できる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の実
施の形態を説明する。
【0040】図1は、入力蛍光スクリーンの製造装置の
構成を説明する概略図である。
【0041】図1(a)および図1(b)に示されるよ
うに、X線イメージ管等に利用される入力蛍光スクリー
ンの製造に用いられる真空蒸着装置1は、入力蛍光スク
リーンの原料となる粉状の蛍光体(ヨウ化ナトリウム
(NaI)またはヨウ化タリウム(TlI)等を用いて
活性化したヨウ化セシウム(CsI))を収容する粉体
供給機構2と、粉体供給機構2に収容され、所定量ずつ
供給される蛍光体を所定の温度に加熱する坩堝3を有し
ている。なお、粉体供給機構2と坩堝3との間には、粉
体供給機構2から坩堝3に向けて原料蛍光体を供給する
粉体搬送機構4が設けられている。
【0042】坩堝3は、内径200mmおよび外径24
0mmのリング状に形成されている。また、坩堝3は、
比較的体積熱容量が小さい石英等により形成され、加熱
による温度上昇を容易とするために、表面がグラファイ
ト(C)または酸化鉄(Fe3 4 (酸化鉄(II
I))の薄膜により被覆されている。なお、坩堝3は、
タングステン(W)あるいはモリブデン(Mo)のよう
な高融点金属や、チッ化シリコン(Si3 4 )、炭化
シリコン(SiC)またはAlO(アルミナ)等のセラ
ミック類により形成されてもよい。
【0043】坩堝3の円周の一部には、坩堝3に所定量
供給された原料粉体を所定温度に加熱するためのヒータ
ーを含む加熱装置5が配置され、蒸発源を構成する。ま
た、坩堝3は、回転軸3aを有し、回転軸3aに、例え
ばスピンドルモータ6からの回転が伝達されることによ
り、所定の速度で回転される。なお、加熱装置すなわち
蒸発源5は、蒸着装置1内において、粉体供給機構2お
よび粉体搬送機構4から、装置1の大きさの制約が許す
範囲で最も離れた位置に設けられている。また、図1
(a)および(b)においては、坩堝3を回転させる機
構を示したが、蒸発源5を移動させてもよいことはいう
までもない。
【0044】図3は、図1(a)および(b)に示した
蒸着装置における蒸発源4の一例を示す概略図である。
【0045】図3に示されるように、蒸発源5は、坩堝
3を取り囲むよう形成されたヒーター31を有してい
る。ヒーター31は、坩堝3の下方に位置された加熱ラ
ンプ32と加熱ランプ32からの輻射熱を坩堝3に向け
て集束および反射するミラー33を有している。すなわ
ち、加熱ランプ32からの熱は、ミラー33により坩堝
3を効率よく加熱する。
【0046】坩堝3の上方すなわち坩堝3を挟んでヒー
ター31(加熱ランプ32とミラー33)と対向する方
向には、坩堝3を断面方向から見た状態で坩堝3の内部
に入り込むように形成されたスプラッシュ防止板34が
設けられている。スプラッシュ防止板34は、例えばタ
ンタル(Ta)により形成され、蒸気の通気孔となるス
リット部35が一体に形成されている。なお、スプラッ
シュ防止板34の両端は、電極36により固定されると
ともに、図示しない加熱電源装置から所定の電流が供給
されることで、所定の温度に維持される。
【0047】図2は、図1(a)および(b)に示した
入力蛍光スクリーン製造装置を用いて形成された入力蛍
光スクリーンが適用されるX線イメージ管の概略図であ
る。
【0048】図2に示されるように、X線イメージ管1
01は、真空外囲器111と、真空外囲器111の一端
側に、例えば薄いアルミニウム(Al)合金により形成
された入力窓112および入力窓112に対向する側の
端部の出力面113を有している。
【0049】真空外囲器111内であって、入力窓11
2の近傍には、入力窓112から入射されたX線の透過
濃度分布またはX線投影像を受け入れて入射したX線の
X線強度に対応する蛍光を出力する入力基板114が設
けられている。入力基板114の出力面側には、例え
ば、CsI等を主成分とした入力蛍光スクリーン115
が所定の厚さに形成されている。
【0050】上述したX線イメージ管101において、
対象物である例えば人体を透過したX線116は、入力
窓112および入力基板114を透過して入力蛍光スク
リーン115に入射され、入力蛍光スクリーン115に
て可視光像に変換される。可視光像は、入力蛍光スクリ
ーン115の表面に塗布された光電変換層で電子像に変
換され、1段もしくは多段のグリッド117とアノ一ド
118を含む電子レンズにより加速および収束されて、
出力面113に結像される。
【0051】出力面113は、入力蛍光スクリーン11
5から出力された電子を可視光に変換する蛍光体を含
み、最終的に、可視光像を出力する。
【0052】次に、図1(a)および(b)ならびに図
3に示した真空蒸着装置により図2に示したX線イメー
ジ管101に利用可能な、入力蛍光スクリーン115を
形成する方法について説明する。
【0053】まず、粉状のNaI0.002wt%(重
量百分率)を付活したCsI蛍光体2000gと、ヨウ
化銅(CuI)を0.6gを混合して粉体供給機構1に
収容する(このように予め2以上の蒸着材料を混合して
蒸着する方法を「混合蒸着」と呼ぶ)。このとき、でき
るだけCuIが均一に分散するように、目の細かいパウ
ダー状のCulの粉体をCsIに混入し、十分に撹拌し
たものを用いている。なお、粉体の蛍光体には、入力蛍
光スクリーンの製造工程の後にアニールすることによ
り、光吸収もしくは、反射材となりうる材料が含まれて
いてもよい。
【0054】次に、図示しない真空漕を、図示しない真
空ポンプにて圧力10-3Pa程度まで減圧し、基板を1
50°Cに加熱する。
【0055】次に、図示しない真空槽内にバッファガス
としての窒素ガスを流し込み、圧力を0.4Paに調節
する。そして、モータ6により、坩堝3を1時間当たり
3回転の速度で時計回りに回転させ、蒸発源4の図3に
示したスプラッシュ防止板34に150W、加熱ランプ
32に180Wの電力を与え、蒸発源4の上方を回転中
である坩堝3を部分的に加温する。このとき、坩堝3の
温度は、800°C〜900°Cになる。
【0056】この状態で、基板温度150°Cを保持
し、粉体供給機構1のホッパー7と粉体搬送機構2に図
示しない振動子により振動を与え、蛍光体を1.5g/
秒の速度で坩堝3に流し込む。なお、流し込むスピード
は、ホッパーの重量の単位時間当たりの減少量を振動子
の振動強度を制御する図示しない振動制御装置にフィー
ドバックすることで制御される。
【0057】坩堝3の回転により蒸発源5による加熱領
域に搬送された粉体は、図3に示したヒーター31によ
り加熱されて蒸気となり、蒸発源5の上部の蒸発源5と
対向する位置で、150°Cに加熱されている図示しな
い基板に付着する。
【0058】以下、所定時間の経過により、入力蛍光ス
クリーン基板に、蛍光体が蒸着される。なお、基板を坩
堝3の回転軸上270mmの位置に配置した場合、蛍光
体を660g坩堝に流し込むことにより、蛍光体層の厚
さは、400μmとなった。ただし、この厚さは、スプ
ラッシュ防止板34の構造(スリット部の大きさ)およ
び温度を少し変化させただけで大きく変わる。
【0059】このようにして、図示しない基板に、所定
の厚さの蛍光体層が形成される。なお、坩堝3の容積が
入力蛍光スクリーンを1バッチ製造するために必要な蛍
光体を収容することが可能な場合は、最初から坩堝に1
バッチ分の蛍光体を入れておくことで、粉体供給機構2
と粉体搬送機構4とを省略できる。
【0060】以下、上述した製造工程により得られた入
力蛍光スクリーンを260°Cの乾燥空気中で、5時間
アニール処理すると、各ファイバーすなわち蛍光体結晶
柱に含まれるCuIが酸化銅(Cun O)という形でフ
ァイバー表面に析出し、元々白色だった入力蛍光スクリ
ーンが黒く変色する。なお、光吸収材料としては、表1
を用いて以下に説明するように、CuIの他に、ヨウ化
鉄(FeI2 )およびヨウ化マグネシウム(MgO)等
が利用可能である。ここで、アニールに先だって、各フ
ァイバーすなわち柱状結晶の外周面に、表面平滑層とし
てCsIを所定の厚さに堆積させることで、図5(a)
およぶ図5(b)を用いて以下に説明するように、アニ
ール処理により各柱状結晶の外周面に析出するCun
の濃度分布の幅を所定の範囲内に収めることができる。
【0061】続いて、入力蛍光スクリーンの表面を平坦
化加工し、例えばITOからなる透明導電膜を成膜し
て、X線イメージ管に組み込み、排気工程以降を行うこ
とで、X線イメージ管が形成される。
【0062】次に、上述したスクリーン製造装置および
スクリーン製造工程により形成される入力蛍光スクリー
ンの特性について説明する。なお、比較のため、光吸収
材料であるCuIを含まないスクリーンを41で、Cu
Iを含むスクリーンを42で、それぞれ示す。
【0063】既に説明したように、蒸着時に、入力蛍光
スクリーンの蛍光体材料に光吸収材を混入させ、その後
アニール処理によりファイバーを構成する結晶柱の隙間
に光吸収材料を析出させる方法によれば、図4を用いて
以下に説明する理由により、蛍光面にクラックが生じて
しまう。この原因は、入力蛍光スクリーンの材料となる
蛍光体と光吸収または反射性材料との蒸気圧の差に起因
するものである。
【0064】すなわち、CsIとCuIを混合して前述
のような混合蒸着により得た入力スクリーン42にアニ
ール処理を行うと、CuIの方がCsIよりも蒸気圧が
高いことに起因してCuIが先に蒸発するため、混合蒸
着により形成された入力蛍光スクリーン42の基板に近
い部分ほど、CuIの濃度が高くなる。
【0065】このため、多くの場合、図4に示すよう
に、アニール処理に先だって入力蛍光スクリーン42
(および41)を一且基板43からはがして、酸素雰囲
気でアニール処理する方法が利用される。
【0066】しかしながら、この方法を用いると、図4
に示したように不純物であるCuIを含む入力蛍光スク
リーン42は、基板43の側の面が凹方向に反ってしま
う。これに対して、入力蛍光スクリーン42(および4
1)を基板43で保持したままアニール処理すると、基
板43と入力蛍光スクリーン42との間の結着力によ
り、蛍光体層に上述した曲がろうとするストレスが働く
ので、目視上は形状に変化はみられないが、従来技術の
項でも説明したように、数十μmのオーダーで微細なク
ラックが発生することが認められる。なお、クラックが
発生する要因となる光吸収または反射性材料の蒸気圧に
関するデータを、表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】表1から明らかなように、例えばCsIが
蒸発するために十分な800°Cでは、NaI以外のい
ずれの材料もCsIと比較して蒸気圧が一桁程度もしく
はそれ以上異なる。これらの材料をCsIと混合して蒸
着すると、入力蛍光スクリーン42の深さ(厚さ)方向
に濃度分布が生じ、上述したクラックを発生させる要因
となることが説明される。なお、光吸収材料として、M
gIを用いることにより、光吸収材料としてCuIを用
いる例に比較してクラックの発生を抑えることができ
る。
【0069】次に、入力蛍光スクリーン42の柱状結晶
に生じるクラックを低減する方法について説明する。
【0070】図4を用いて既に説明したように、入力蛍
光スクリーン42の各柱状結晶から光が漏れることを防
止するために、柱状結晶を生成する際に、CsIとCu
Iとの混合体を用いて混合蒸着して得られた入力スクリ
ーン42を酸素中でアニールすることで、各柱状結晶の
外周面にCu2 Oを析出させると、クラック発生の要因
となる入力蛍光スクリーン42の深さ(厚さ)方向の深
さに応じて、(図5(a)に示すように、Cu2 Oの濃
度分布が生じる。
【0071】このため、アニール処理に先だって、各柱
状結晶の外周に、CsIを表面平滑層として所定の厚さ
に堆積または塗布することにより、引き続くアニール処
理で各柱状結晶の外周に析出するCu2 Oの入力蛍光ス
クリーン42の深さ方向の濃度分布を、図5(b)に示
すように、低減することができる。すなわち、図5
(b)に示されるように、各柱状結晶の外周に析出する
Cu2 Oの入力蛍光スクリーン42の深さ方向の濃度分
布を、表面平滑層を設けない例に比較して、概ね1/2
に減少させることができる。なお、図5(b)は、Cu
2 Oの柱状結晶の先端部の濃度を1として正規化したグ
ラフである。
【0072】図5から明らかなように、Cu2 Oの濃度
分布は、好ましくは、先端部の濃度を1とすると、1.
5ないし0.6の範囲になる。
【0073】このような、蒸気圧の異なる材料の混合物
を真空蒸着法にて成膜するための有力な方法として、多
元蒸着法とフラッシュ法が知られている。
【0074】多元蒸着法は、蒸発源の種類毎に複数の蒸
発源を真空槽内に配置して、それぞれを個別に加温して
同時に蒸発させる方式である。ただし、今回の目的にか
なう入力蛍光スクリーンの主成分となる蛍光体に対する
光吸収あるいは反射性材料の濃度は、例えばCsI:C
uIでは、重量比は、1:0.0003程度であり、同
時に蒸着する工程の再現性を保つのは、極めて困難であ
る。
【0075】フラッシュ法は、高温に加温したフィラメ
ントに、混合物や合金などを上から落下させて、フィラ
メント上で瞬間的に昇華させる方法である。この方式で
は、蒸発材料が加温されるとき固体から気体へ至るまで
の時間が極めて短いことに起因して蒸発材料の分解が比
較的少ないとされ、蒸発材料の時の成分比や化学量論的
組成比を成膜後も所定の範囲内に保つ必要がある時に用
いられることが多い。ところが、金属ヨウ化物は、この
ような解放された真空中で加熱すると簡単に分解する性
質があり、実際に、CsIとCuIの混合物を、圧力
0.4Paの真空中で850°Cに加温したMo坩堝上
に落下させる方法で入力蛍光スクリーンを形成したとこ
ろ、蛍光体中に含まれる銅は、酸化物と銅単体として存
在していた。これらの酸化物や金属単体の物質は、アニ
ール処理によっても結晶の外部に到達しにくく、結果的
に発光効率を低下させてしまうことになる。また、希薄
な金属ヨウ化物は、CsIと同様にイオン結合性が強い
のでCsIに混入させてもCsIの結晶の形態を崩すこ
とは比較的少ないが、上述した共有結合性の強い酸化物
や単金属は、CsIの結晶の形態を崩す性質が強く、入
力蛍光スクリーンに要求される面方向に多数の光学的界
面が形成されたファイバー構造を得られにくいと言う不
具合がある。
【0076】このように従来から存在する真空蒸着法を
そのまま適用することにより、蛍光体と蛍光体の発光を
吸収または反射する物質の原料との混合物を成膜する
と、様々な不具合が発生し、X線イメージ管の入力蛍光
スクリーンの製造工程としては、性能上もしくは品質上
不十分といえる。
【0077】また、X線イメージ管に限らずX線を光に
変換する蛍光体層(一般に「シンチレータ」と呼ばれて
いる)を真空蒸着にて作成するとき、前述のようにX線
の吸収率を向上させるためにシンチレータ層を厚くする
ので、1バッチあたりの蒸発材料の量が他の通常行われ
ている真空蒸着法と比べて極端に多くなる傾向がある。
【0078】このことは、生産効率を考慮した場合に、
1バッチあたりの真空蒸着工程に当てることのできる時
間の限度から、単位時間当たりの蒸発材料を入力蛍光ス
クリーンの基板上に成膜するレートを増大させることに
なる。従って、従来の蒸着方法において、1バッチ分の
蒸発材料を予め坩堝に充填して蒸着する場合には、坩堝
の容量を大きくしなければならず、このことにより、真
空蒸着の間、基板に供給される熱量の総和は、かなり大
きくなってしまう。例えば、従来のCsIまたは、Cs
IとFeI2 やCuIとの混合物を2時間で基板上に4
00μm積層させるように、坩堝を加温するヒーターの
パワーを設定して真空蒸着を行うと、基板湿度は180
°Cないし220°Cに達する。この場合、基板温度
は、CsIの結晶柱の基底部の直径を所定の大きさの範
囲に形成可能な適正温度、例えば170°Cを越えてし
まい、ファイバーを構成する蛍光体の結晶柱の平均直径
を太くすることになる。このことは、結果的に、入力蛍
光スクリーンの単位面積当たりの光学的界面の数を減少
させるので、X線イメージ管の画像分解能を向上するこ
とに関しては、不具合となる。
【0079】また、蛍光体の中には、CsIとTlIの
ように、本体と付活材の蒸気圧が極端に異なるような物
がある。その一方で、蛍光体の発光特性を最大限に発揮
させるには、付活材は、均一に混入される必要があるこ
とから、従来の混合蒸着においては、上述した入力蛍光
スクリーンの材料となる蛍光体と、光吸収または反射性
材料との混合物の場合と同様に、不活材の濃度が蛍光面
の深さ方向において所定の濃度範囲内にできない(不活
材が蛍光面の一方に集中する)問題が生ずる。
【0080】これに対して、図1(a)および(b)に
示した真空蒸着装置を用いた蒸着方法によれば、入力蛍
光スクリーンの蛍光面において、不純物であるCuI
は、蛍光面の厚さ方向において、概ね所定範囲の濃度で
付着(蒸着)される。
【0081】また、上述した製造工程では、真空槽内を
0.4Paの低真空としたことから、入力蛍光スクリー
ンは、ファイバー状の結晶が密に並んだ構造を提供す
る。一方、蒸発源4から坩堝3に供給される加熱パワー
の総和は少ないので、蒸着工程全体にわたって、基板温
度を、150度に保つことができ、この結果、結晶柱の
基底部の平均直径が6μmで、各結晶柱の独立性が良好
な入力蛍光スクリーンを得ることができる。なお、Cu
Iの濃度が所定の範囲内になるようにコントロールされ
ているので、入力蛍光スクリーンに含まれるCuIの濃
度は、深さ方向に所定の範囲内となった。また、X線イ
メージ管の出力面に投射された画像において、クラック
は見られなかった。
【0082】図6は、図1(a)および(b)に示した
蛍光面蒸着装置を用いて製造した入力蛍光スクリーンを
図2に示した構造のX線イメージ管に組み立てて得られ
るMTF特性を示すグラフである。なお、MTFの測定
条件は、従来技術の欄で用いた例と同一とし、蛍光体層
の厚さが400μmで直径が240mmの入力蛍光スク
リーンを用い、出力面において直径25mmとなるよう
結像条件を設定して、空間周波数20ラインペア/cm
の入力信号を入力した。
【0083】図6から明らかなように、MTF値は、2
0ラインペア/cmの空間周波数に対し、32%に向上
されたことが認められる。
【0084】このように、図1(a),(b)に示した
X線イメージ管の入力蛍光スクリーンの製造装置および
蒸着方法によれば、X線イメージ管の性能の最も基本的
な特性である画像分解能特性を、画質の低下をきたすこ
となく向上させることができた。
【0085】図7は、図1(a)および(b)に示した
入力スクリーン製造装置の別の実施の形態を説明する概
略側面図である。なお、図1(a)および(b)に示し
た構成と同一の構成には同じ符号を付して詳細な説明を
省略する。
【0086】図7に示されるように、真空蒸着装置20
1は、原料の蛍光体(NaIあるいはTlI付活のCs
I)を収容する粉体供給機構2と、粉体供給機構2に収
容され、所定量ずつ供給される蛍光体を所定の温度に加
熱する坩堝203を有している。なお、粉体供給機構2
と坩堝203との間には、粉体供給機構2から坩堝20
3に向けて原料蛍光体を供給する粉体搬送機構4が設け
られている。
【0087】坩堝203は、所定の方向に延出された直
線状の樋状に形成されている。
【0088】坩堝203の長手方向の所定の位置には、
坩堝203に供給された原料蛍光体を所定温度に加熱す
るためのヒーターを含む加熱装置5が配置され、図示し
ない入力蛍光スクリーンの基板と対向する蒸発源を構成
する。また、坩堝203は、モータ6からの回転を伝達
するギヤおよびラック歯車等により構成される伝達機構
208およびモータ6の回転により、蒸着時には、粉体
供給機構2から蒸発源5に向けて、また、蒸着終了時に
は、蒸発源5から粉体供給機構2に向けて、蒸発源5内
を貫通するように、往復動される。なお、坩堝203の
容積(長さ)が、1バッチの入力蛍光スクリーンを製造
するために必要な蛍光体を収容することが可能な場合、
最初から坩堝に1バッチ分の蛍光体を入れておくこと
で、粉体供給機構2と粉体搬送機構4を省略できる。ま
た、図7においては、坩堝203を回転させる例を示し
たが、蒸発源5を移動させてもよいことはいうまでもな
い。
【0089】上述したように、蛍光スクリーン蒸着装置
において、坩堝をリング状または直線状の樋状とし、坩
堝の一部領域に、坩堝を加熱する加熱装置を装着して蒸
発源とすることにより、原料蛍光材料であるCsIが基
板に堆積される際の結晶柱の基底部の直径を所定の大き
さの範囲に形成可能な適正温度を維持可能とし、また、
不純物であるCuIまたは不活材であるNaI等の微量
の添加材が蒸着により形成された蛍光面の深さ方向にお
いて所定の濃度分布範囲で分布したアニール処理時の変
形の少ない蛍光スクリーンを提供できる。
【0090】
【発明の効果】以上説明したように、請求項第1項に示
した発明によれば、蛍光体層の各柱状結晶の周面の光吸
収性または光反射性の金属酸化物層は、金属酸化物層
は、上記蛍光体層の光電面側端部における濃度に対し、
上記基板側の領域の濃度が0.6〜1.5倍の範囲に分
布されることから、アニール時にクラックが生じること
を防止できる。
【0091】また、請求項第2項に示した発明によれ
ば、入力蛍光スクリーンの金属酸化物層を、酸化銅、酸
化鉄もしくは酸化マグネシウムとしたことにより、アニ
ール処理により各柱状結晶の外周面に析出する金属酸化
物層の濃度分布の幅を所定の範囲内に収めることができ
る。
【0092】さらに、請求項第3項に示した発明によれ
ば、蛍光体層の原料である蛍光体原料と、ヨウ化銅、ヨ
ウ化鉄、ヨウ化マグネシウムの中から選択された少なく
とも1つとの混合物を、所定温度に加熱した坩堝から一
緒に完全にまたはほぼ完全に蒸発させる工程を連続的に
行って上記基板面上に堆積させることにより、上記蛍光
体原料および上記金属を含む柱状結晶の集合からなる蛍
光体層を形成可能であり、各柱状結晶の外周面に析出す
る金属酸化物層の濃度分布の幅を所定の範囲内に収める
ことができる。
【0093】また、請求項第4項に示した発明によれ
ば、蒸発材料の一部を加温して、その部分の前記混合物
だけを選択的に蒸発させることにより、X線を光に変換
する蛍光体と、その光を吸収もしくは反射する物質の原
料とを混合蒸着する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に
保つことができる。従って、入力蛍光スクリーンの蛍光
体の深さ方向の不純物の濃度分布を所定の範囲内にする
ことができる。
【0094】また、請求項第5項に示した発明によれ
ば、坩堝の構造をリング状もしくは棒状にし、かつ、坩
堝またはヒーターを移動させる機構を用いることによ
り、坩堝内の原料蒸着材を選択的に加温することができ
る。これにより、基板に堆積される蛍光体の基底部の直
径が増大されることが防止できる。
【0095】さらに、請求項第6項に示した発明によれ
ば、坩堝に収容されたX線を光に変換する蛍光体とその
光を吸収もしくは反射する物質の原料との混合物を、坩
堝全体にわたって混合比が所定の範囲内にすることによ
り、混合蒸着する際の蒸気の成分比を所定の範囲内に保
つことができる。これにより、入力蛍光スクリーンの深
さ方向の蛍光体中の不純物または不活材の濃度分布を所
定の範囲内にすることができる。
【0096】またさらに、請求項第7項に示した発明に
よれば、坩堝に回転もしくは直線運動をする機構が付随
させて回転または直線運動を与えることにより、坩堝の
すべての部分が前記ヒーターにより加温される部分とな
るように配置されているので、混合蒸着する際の蒸気の
成分比を所定の範囲内に保つことができる。従って、入
力蛍光スクリーンの深さ方向の蛍光体中の不純物および
不活材の濃度分布を所定の範囲内にすることができる。
【0097】さらにまた、請求項第10項に示した発明
によれば、坩堝に回転もしくは直線運動をする機構が付
加されており、坩堝が回転または直線運動をすることに
より、坩堝のすべての部分がヒーターにより加温される
部分となるように配置されているので、混合蒸着する際
の蒸気の成分比を所定の範囲内に保つことができる。結
果的に、入力蛍光スクリーンの深さ方向の蛍光体中の不
純物および不活材の濃度分布を所定の範囲内にすること
ができる。
【0098】またさらに、請求項第11項および第12
項に示した発明によれば、入力蛍光スクリーンを成膜す
る装置に、X線を光に変換する蛍光体を収容した坩堝
と、坩堝の一部を加温する手段とを備えて、坩堝の一部
を加温することにより、その部分の蛍光体だけを選択的
に蒸発させることにより、従来の坩堝に1バッチ分の蒸
発材料を充填して蒸着する方法と比較して、少ないパワ
ーで蛍光体を蒸発させることが可能となり、低い基板温
度で入力蛍光スクリーンを成膜することができる。ま
た、坩堝の構造をリング状もしくは棒状にし、坩堝の一
部分を選択的に加温するヒーターを備えることにより、
坩堝の一部を選択的に加温することを容易にすることが
できる。
【0099】またさらに、請求項第13項および第14
項に示した発明によれば、X線を光に変換する蛍光体
と、その光を吸収もしくは反射する物質の原料の混合物
を真空槽に供給および搬送する機構と、リング状もしく
は棒状の坩堝と、坩堝の一部分を選択的に加温するヒー
ターとを備えることにより、真空槽を大気に曝すことな
く連続して数バッチの入力蛍光スクリーンを製造するこ
とができる。
【0100】またさらに、請求項第15項に示した発明
によれば、蛍光体はTlIを付活したCsIもしくはT
lIを付活したNaIである場合も、X線を光に変換す
る蛍光体と、その光を吸収もしくは反射する物質の原料
の混合物の時と同様の理由で、混合蒸着する際の蒸気の
成分比を所定の範囲内に保つことができるので、入力蛍
光スクリーンの蛍光面の深さ方向の不純物あるいは不活
材の濃度分布を所定の範囲内にすることができる。ま
た、真空槽を大気に曝すことなく連続して数バッチの入
力蛍光スクリーンを製造することができる。
【0101】さらにまた、請求項第16項に示した発明
によれば、坩堝が所定速度で回転されることにより、加
熱手段により加熱される坩堝の被加熱領域は、坩堝の大
きさに比較して僅かな部分であり、また、坩堝に供給さ
れる原料蒸着材料は、加熱手段から離れた位置で供給さ
れることから、基板に堆積される蛍光体の基底部の直径
が増大されることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のX線イメージ管の入力蛍光スクリー
ンの製造装置の模式図。
【図2】図1に示した入力蛍光スクリーンが組み込まれ
るX線イメージ管の模式図。
【図3】図1に示した蒸着装置この発明のイメージ管の
入力蛍光スクリーンの製造装置の蒸発源の部分を拡大し
た図。
【図4】アニール処理により蛍光体層の形状が変化する
ことを説明する概略図。
【図5】図5は、アニール処理により各柱状結晶の外周
面に析出する金属酸化物層に関するもので、図5(a)
は、表面の状態を模式的に示す概略図、図5(b)は、
金属酸化物層の蛍光スクリーンの深さ(厚さ)方向の濃
度分布を示すグラフである。
【図6】この発明のイメージ管のMTF特性を示したグ
ラフ。
【図7】図1に示したX線イメージ管の入力蛍光スクリ
ーンの製造装置の別の実施の形態の入力蛍光スクリーン
の製造装置の模式図。
【図8】図2に示した入力蛍光スクリーンにおける発光
と、発光が光電変換層に到達する様子を説明した概略
図。
【図9】図2に示した入力蛍光スクリーンにおける発光
と、発光が光電変換層に到達する様子を説明した概略
図。
【符号の説明】
1 …真空蒸着装置、 2 …粉体供給機構、 3 …坩堝、 4 …粉体搬送機構 5 …加熱装置(蒸発源)、 31 …ヒーター、 32 …加熱ランプ、 33 …ミラー、 34 …スプラッシュ防止板、 35 …スリット部、 36 …電極、 101 …X線イメージ管、 112 …入力窓、 113 …出力面、 114 …入力基板、 115 …入力蛍光スクリーン、 201 …スクリーン製造装置、 203 …坩堝、 208 …伝達機構。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線透過性基板と、この基板面上に形成さ
    れたヨウ化セシウムを主成分とする蛍光体の柱状結晶の
    集合からなる蛍光体層と、この蛍光体層上に形成された
    光電面とを備え、前記蛍光体層の各柱状結晶の周面に、
    光吸収性または光反射性の金属酸化物層が形成されてい
    るX線イメージ管の入力スクリーンにおいて、 上記金属酸化物層は、上記蛍光体層の光電面側端部にお
    ける濃度に対し、上記基板側の領域の濃度が0.6〜
    1.5倍の範囲に分布していることを特徴とするX線イ
    メージ管の入力スクリーン。
  2. 【請求項2】上記金属酸化物層は、酸化銅、酸化鉄、酸
    化マグネシウムの中から選択された少なくとも1つを含
    んでいる請求項1記載のX線イメージ管の入力スクリー
    ン。
  3. 【請求項3】X線透過性基板面上にヨウ化セシウムを主
    とする蛍光体を蒸着して柱状結晶の集合からなる蛍光体
    層を形成するとともに、この蛍光体層の各柱状結晶の周
    面に、光吸収性または光反射性の金属酸化物層を形成す
    るX線イメージ管の入力スクリーンの製造方法におい
    て、 上記蛍光体層の原料である蛍光体原料と、ヨウ化銅、ヨ
    ウ化鉄、ヨウ化マグネシウムの中から選択された少なく
    とも1つとの混合物を、所定温度に加熱した坩堝から一
    緒に完全にまたはほぼ完全に蒸発させる工程を連続的に
    行って上記基板面上に堆積させ、上記蛍光体原料および
    上記金属を含む柱状結晶の集合からなる蛍光体層を形成
    し、 しかる後、上記蛍光体層を、酸素を含む雰囲気中で加熱
    処理して上記蛍光体層の各柱状結晶の周面に、光吸収性
    または光反射性の金属酸化膜を形成することを特徴とす
    るX線イメージ管の入力スクリーンの製造方法。
  4. 【請求項4】X線を光に変換する蛍光体とその光を吸収
    もしくは反射する物質の原料との混合物を収容した坩堝
    と、前記坩堝の一部を加温する手段と、前記坩堝の加温
    する部分の位置を順次移動する手段とを備えた蒸着装置
    を用いたX線イメージ管等に利用される蛍光スクリーン
    の製造方法において、 前記坩堝の一部を加温することにより、その部分の前記
    混合物だけを選択的に蒸発させ、X線を光に変換する入
    力蛍光スクリーンを成膜することを特徴とした蛍光スク
    リーンの製造方法。
  5. 【請求項5】前記蒸着装置には、X線を光に変換する蛍
    光体とその光を吸収もしくは反射する物質の原料との混
    合物を収容したリング状もしくは棒状の坩堝と、前記坩
    堝の一部分を選択的に加温するヒーターと、前記坩堝あ
    るいは前記ヒーターを移動させる機構とが備えられてお
    り、前記坩堝の一部を加温することにより、その部分の
    前記混合物だけを選択的に蒸発させることを特徴とした
    特許請求の範囲第4項記載の蛍光スクリーンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記坩堝に収容されたX線を光に変換する
    蛍光体とその光を吸収もしくは反射する物質の原料との
    混合物は、前記坩堝全体にわたって混合比が所定の比率
    を満足することを特徴とした特許請求の範囲第4項また
    は第5項のいづれかに記載の蛍光スクリーンの製造方
    法。
  7. 【請求項7】前記坩堝には、回転または直線運動をする
    機構が付随しており、回転または直線運動をすることに
    より、前記坩堝のすべての部分が前記ヒーターにより加
    温される部分となるように配置されていることを特徴と
    する特許請求の範囲第4項ないし第6項のいづれかに記
    載の蛍光スクリーンの製造方法。
  8. 【請求項8】X線を光に変換する蛍光体とその光を吸収
    もしくは反射する物質の原料との混合物を収容したリン
    グ状もしくは棒状の坩堝と、前記坩堝の一部を加温する
    手段と、前記坩堝の加温する部分の位置を順次移動する
    手段と、前記混合物を真空槽に供給および搬送する機構
    とが備えられた蒸着装置を用いた蛍光スクリーンの製造
    方法において、 前記坩堝の一部を加温することにより、前記X線を光に
    変換する蛍光体とその光を吸収もしくは反射する物質の
    原料との混合物を選択的に加温された坩堝の一部分に送
    りながらその部分の前記混合物だけを選択的に蒸発さ
    せ、X線を光に変換する入力蛍光スクリーンを成膜する
    ことを特徴とした蛍光スクリーンの製造方法。
  9. 【請求項9】前記X線を光に変換する蛍光体とその光を
    吸収もしくは反射する物質の原料の混合比を所定の範囲
    内にした状態で、前記坩堝上の選択的に加温された部分
    に、前記X線を光に変換する蛍光体とその光を吸収もし
    くは反射する物質の原料の混合物を供給することを特徴
    とする特許請求の範囲第8項記載の蛍光スクリーンの製
    造方法。
  10. 【請求項10】前記坩堝には、回転または直線運動をす
    る機構が付随しており、回転または直線運動をすること
    により、前記坩堝のすべての部分が前記ヒーターにより
    加温される部分となるように配置されていることを特徴
    とする特許請求の範囲第15項または第9項のいづれか
    に記載の蛍光スクリーンの製造方法。
  11. 【請求項11】X線を光に変換する蛍光体を収容した坩
    堝と、前記坩堝の一部を加温する手段と、前記坩堝の加
    温する部分の位置を順次移動する手段とが備えられた蒸
    着装置を用いたX線イメージ管の入力蛍光スクリーンの
    製造方法において、 前記坩堝の一部を加温することにより、その部分の前記
    蛍光体だけを選択的に蒸発させ、X線を光に変換する入
    力蛍光スクリーンを成膜することを特徴とした入力蛍光
    スクリーンの製造方法。
  12. 【請求項12】前記入力蛍光スクリーンを成膜する蒸着
    装置には、X線を光に変換する蛍光体を収容したリング
    状もしくは棒状の坩堝と、前記坩堝の一部分を選択的に
    加温するヒーターとが備えられており、前記坩堝の一部
    を加温することにより、その部分の前記蛍光体だけを選
    択的に蒸発させる工程を含むことを特徴とした特許請求
    の範囲第11項記載の入力蛍光スクリーンの製造方法。
  13. 【請求項13】X線を光に変換する蛍光体を収容したリ
    ング状もしくは棒状の坩堝と、前記坩堝の一部を加温す
    る手段と、前記坩堝の加温する部分の位置を順次移動す
    る手段と、前記蛍光体を真空槽に供給および搬送する機
    構とが備えられた蒸着装置を用いたX線イメージ管の入
    力蛍光スクリーンの製造方法において、 前記坩堝の一部を加温することにより、前記蛍光体を選
    択的に加温された坩堝の一部分に送りながらその部分の
    前記蛍光体だけを選択的に蒸発させてX線を光に変換す
    る入力蛍光スクリーンを成膜することを特徴としたX線
    イメージ管の入力蛍光スクリーンの製造方法。
  14. 【請求項14】前記坩堝には、回転もしくは直線運動を
    する機構が付随しており、回転または直線運動をするこ
    とにより、前記坩堝のすべての部分が前記ヒーターによ
    り加温される部分となるように配置されていることを特
    徴とする特許請求の範囲第12項ないし第13項のいづ
    れかに記載の蛍光スクリーンの製造方法。
  15. 【請求項15】前記蛍光体は、ヨウ化タリウムを付活し
    たヨウ化セシウムもしくはヨウ化タリウムを付活したヨ
    ウ化ナトリウムであって、酸化銅、酸化鉄もしくは酸化
    マグネシウムを含む金属酸化層をさらに含むことを特徴
    とした特許請求の範囲第12項ないし第14項のいづれ
    かに記載の蛍光スクリーンの製造方法。
  16. 【請求項16】加熱手段に対して相対的に移動可能であ
    って、加熱手段により所定領域が部分的に加熱される坩
    堝と、 前記坩堝に対し、前記坩堝が加熱手段から離れた位置で
    一定のタイミングで所定量の原料蒸着材料を供給する原
    料供給手段と、 前記坩堝を所定速度で移動させて、加熱手段により坩堝
    が加熱される領域を移動する移動手段と、を有すること
    を特徴とする蛍光スクリーンの製造装置。
JP19467798A 1997-07-09 1998-07-09 X線イメージ管の入力スクリーンおよびその製造方法 Pending JPH1186765A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007205970A (ja) * 2006-02-03 2007-08-16 Konica Minolta Medical & Graphic Inc シンチレータプレート
JP2016088989A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 コニカミノルタ株式会社 X線耐久性劣化機能を有するシンチレータ、および該シンチレータを有する放射線検出器、並びにこれらの製造方法

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