JPH1184690A - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体及びその製造方法

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JPH1184690A
JPH1184690A JP24148197A JP24148197A JPH1184690A JP H1184690 A JPH1184690 A JP H1184690A JP 24148197 A JP24148197 A JP 24148197A JP 24148197 A JP24148197 A JP 24148197A JP H1184690 A JPH1184690 A JP H1184690A
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JP
Japan
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group
carbon atoms
general formula
substituent
electrophotographic photoreceptor
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Application number
JP24148197A
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English (en)
Inventor
Akihiro Kondo
晃弘 近藤
Satoshi Katayama
聡 片山
Takatsugu Obata
孝嗣 小幡
Yuko Inoue
祐子 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な電子写真特性を有し、耐久性に優れ、
連続使用可能な電子写真感光体を提供することを目的と
する。 【解決手段】 導電性支持体上に形成される感光層中
に、一般式(I) 【化1】 (式中、R1〜R8は、同一又は異なって、置換基を有し
ていてもよいC1〜5のアルキル基等、Xは直接結合し
ているか又は置換基を有していてもよいC1〜10のア
ルキレン基等、Zは置換基を有していてもよいC1〜5
のアルキレン基等、Yは置換基を有していてもよいC1
〜5のアルキル基等、nは10〜200の整数を示
す。)で表される両末端基が修飾されたポリカーボネー
ト樹脂と、一般式(II) 【化2】 (式中、R9、R10、R11及びR12は、同一又は異なっ
て、置換基を有していてもよいC1〜6のアルキル基
等、mは2〜4の整数を示す。)で表される化合物とを
含有せしめた電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体及
びその製造方法に関し、更に詳しくは、有機光導電性電
子写真感光体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】一般に電
子写真プロセスにおいては直接方式や潜像転写方式等種
々の方式があり、これら電子写真プロセスに使用される
電子写真感光体において、その光導電層を構成する光導
電層材料として、 1)暗所においてコロナ放電による電荷の帯電性が高い
こと、 2)得られたコロナ放電による電荷が暗所において減衰
の少ないこと、 3)光照射によって電荷が速やかに散逸すること、 4)光の照射後の残留電荷が少ないこと、 5)繰り返し使用時による残留電位の増加、初期電位の
減少が少ないこと、 6)気温、湿度により電子写真特性の変化が少ないこと 等の基本的な性質が必要とされる。
【0003】このような材料として、従来は酸化亜鉛
(特公昭57−19780号公報)、硫化カドミウム
(特公昭58−46018号公報)、非晶質セレン合金
等の無機系の光導電性材料が用いられてきたが、近年さ
まざまな問題点が指摘されるようになった。例えば、酸
化亜鉛系の材料においては、増感剤がコロナ放電による
帯電劣化や露光による光退色を生じるため、長期にわた
って安定した画像を与えることができない。硫化カドミ
ウム系の材料においては、多湿の条件下で安定した感度
が得られない。セレン系の材料においては、熱安定性、
結晶化による特性の劣化、製造上の困難性等である。
【0004】そこで、将来的な展望、すなわち、資源の
枯渇による生産面の問題、毒性による公害の心配、さら
には環境面への問題から、無機系材料よりも有機系材料
からなる電子写真感光体の研究が盛んに行われるように
なり、その結果、さまざまな有機化合物を用いた電子写
真感光体が提案された。特にここ数年の研究開発は、機
能分離型の感光体の概念を積極的に導入する方向にあ
り、その中でも導電層の上に電荷発生層と、正孔移動性
の電荷移動層とを順に積層し、電荷移動表面を負に帯電
させる方法が主流になっている。
【0005】このように、機能を分離させることによっ
て、電荷発生と電荷移動とのそれぞれの機能を個別に有
する材料を独立して開発できるようになり、その結果、
種々の分子構造を有する電荷発生物質及び電荷移動材料
が多数開発されるに至った。そして、これら有機化合物
を用いた電子写真感光体は、シート状に形成する場合に
は、導電性支持体の上にベーカーアプリケーター、バー
コーター等、ドラム状に形成する場合にはスプレー法、
垂直型リング法、浸漬塗工法等により感光層を塗布して
製造されるが、ドラム状に形成する場合には、特に装置
が簡便であることから浸漬塗工法が採用されている。
【0006】ここで、電荷移動材料に注目して、それら
の中から代表的なものを構造的特徴から分類すると、ヒ
ソラゾン系(特開昭54−59143号)、スチルベン
・スチリル系(特開昭58−1980433号)、トリ
アリールアミン系(特公昭58−32372号)、フェ
ノチアジン系、トリアゾール系、キノキサリン系、オキ
サジアゾール系、オキサゾール系、ピラゾリン系、トリ
フェニルメタン系、ジヒドロニコチンアミド化合物、イ
ンドリン化合物、セミカルバゾン化合物等が挙げられ
る。
【0007】しかし、このように電荷移動材料として数
多くの有機化合物が開発されているにもかかわらず、 1)バインダーに対する相溶性が低い、 2)結晶が析出しやすい、 3)繰り返し使用した場合に感度変化が生じる、 4)帯電能、繰り返し特性が悪い、 5)残留電位特性が悪い 等の問題点が依然として解消されておらず、これら全て
を満足し、上述した感光体として要求される基本的な性
質、さらに機械的強度及び高耐久性等を満足するものは
未だ得られていないのが現状である。よって、さらに優
れた有効光導電性物質及び感光体の開発が切望されてい
る。
【0008】なお、これらの機能分離型の有機感光体
は、これまで主に負帯電用として、導電性支持体上に、
薄い電荷発生層、この上に適度な厚さの電荷移動層から
なる感光層が形成される構成が採用されている。また、
このような有機感光体に用いられるバインダー樹脂とし
ては、従来ビスフェノールA型のポリカーボネートが種
々の電子写真特性面(感度、帯電性、残留電位及び繰り
返し特性など)において、適度な特性を示すことが一般
に知られていた。
【0009】しかし、近年ビスフェノールA型ポリカー
ボネート樹脂を用いることにより、以下のような幾つか
の問題点が指摘されるようになった。つまり、 1)高分子の結晶性が高く、溶液にした場合ゲル化現象
を起こし、直ぐに使用不可能となる、 2)塗布による成膜の際、膜表面に結晶性のポリカーボ
ネートが析出し、その凹凸部分にトナーが付着しやすく
なり、クリーニング不良を引き起こし、画像欠陥の原因
となる、 3)感光層表面に傷がつきやすい、 4)コピー枚数の増加に伴い、感光層が徐々に摩耗する
等である。
【0010】そこで、このような問題点を改善するため
に、様々な方法、例えば、感光体表面層に特定のポリカ
ーボネート樹脂を用いる方法(特開昭63−14826
3号公報、特公平5−57300号公報、特開平2−2
54464号公報、特開平6−59471号公報)や、
ビスフェノールAのモノマーユニットに種々の置換基を
導入する方法(特開昭60−172045号、特開昭6
3−65444号)などが提案されてきた。
【0011】しかし、高速化が進むにつれてプロセスス
ピードが早くなり、トナーの飛散が増えたり、クリーニ
ング不良が発生しやすくなるなど、さらなる問題が発生
しており、その対策として、一部の機種でクリーニング
ブレードを2段にしたり、その押圧を高くしたりしてい
る。また、オーバーコート層を設ける方法もいくつか提
案されているが、塗布による生産では、すでに塗布した
感光層が溶けないような溶剤の選択が難しく、完成して
も電気的特性に悪影響を及ぼすなどその設計が難しい。
【0012】さらに、分子量の異なる2種類以上のポリ
カーボネートを用いる方法が幾つか提案されているが、
いずれも十分な性能を得ることができないなど、未だ十
分な表面強度、表面平滑性が得られておらず、傷がつき
易く、繰り返し使用により画質の低下が起こり、また摩
耗による膜厚減少に伴って感度が低下するなどの問題点
が未解決のままである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高感度、
かつ機械的耐久性が高く、平面平滑性が良好で、画質低
下、感度劣化の少ない感光体を得るべく鋭意研究を行っ
た結果、導電性支持体上に形成される感光層中に、下記
一般式(I)で表される両末端基が修飾されたポリカー
ボネート樹脂と、下記一般式(II)、(III)又は(I
V)で表される化合物を含有せしめた場合に、良好な特
性を有する電子写真感光体を得ることができることを見
い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明によれば、導電性支持体
上に形成される感光層中に、一般式(I)
【0015】
【化5】
【0016】(式中、R1〜R8はそれぞれ置換基を有し
ていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有し
ていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有
していてもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数
2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、
ハロゲン原子又は水素原子を示し、Xは直接結合してい
るか、あるいは置換基を有していてもよい炭素数1〜1
0のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3
〜10の環状アルキリデン基、置換基を有していてもよ
い炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基又はカ
ルボニル基を示し、Zは置換基を有していてもよい炭素
数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン
基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基又はハロゲ
ン原子を示し、Yは置換基を有していてもよい炭素数1
〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2
〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置
換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキルエステ
ル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリ
ールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸
基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nは10〜20
0の整数を示す。)で表される両末端基が修飾されたポ
リカーボネート樹脂と、一般式(II)
【0017】
【化6】
【0018】(式中、R9及びR10はそれぞれ置換基を
有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を
有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよ
い複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基又
は水素原子を示し(ただし、R 9、R10が同時に水素原
子の場合は除く)、R11及びR12はそれぞれ置換基を有
していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有
していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい
複素環基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を
示し、mは2〜4の整数を示す。)、一般式(III)
【0019】
【化7】
【0020】(式中、R9及びR10はそれぞれ置換基を
有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を
有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよ
い複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基又
は水素原子を示し(ただし、R 9、R10が同時に水素原
子の場合は除く)、mは2〜4の整数を示す)又は一般
式(IV)
【0021】
【化8】
【0022】(式中、R11及びR12はそれぞれ置換基を
有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を
有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよ
い複素環基又は置換基を有していてもよいアラルキル基
を示し、mは2〜4の整数を示す。)で表されるいずれ
かの化合物とを含有せしめた電子写真感光体が提供され
る。
【0023】また、本発明によれば、円筒状導電性支持
体上に、塗布溶液を浸漬塗布して感光層を形成する電子
写真感光体の製造方法において、前記塗布溶液が、上記
一般式(I)のポリカーボネート樹脂と、上記一般式
(II)の化合物とを含有し、前記ポリカーボネート樹脂
が9重量%以上13重量%以下で含有されてなる上記電
子写真感光体の製造方法が提供される。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体は、主と
して、導電性支持体上に感光層が形成されて構成されて
いる。導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレ
ス綱、ニッケル等の金属材料からなる支持体、ポリエス
テルフィルム、フェノール樹脂、紙等の絶縁性支持体表
面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化錫、酸化イン
ジウム等の導電性膜を形成したもの等を挙げることがで
きる。
【0025】本発明の電子写真感光体における感光層中
には、上記一般式(I)のポリカーボネート樹脂が結合
剤として含有され、かつ上記式(II)〜(IV)のいずれかの
化合物が電荷移動材料として含有されてなる。式(I)
において、R1〜R8の「炭素数1〜5のアルキル基」と
は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソブチル、t
−ブチル基等が挙げられ、「炭素数6〜12のアリール
基」とは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフ
ェニリル、ナフチル等が挙げられ、「炭素数7〜17の
アラルキル基」とは、例えば、ベンジル等が挙げられ、
「炭素数2〜5のアルケニル基」とは、例えばプロペニ
ル、ブテニル等が挙げられ、「炭素数1〜5のアルコキ
シ基」とは、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、
ブトキシ、ペンチルオキシ等が挙げられる。また、R1
〜R8において「置換されていてもよい」とは、例えば
ニトリル、ニトロ、ハロゲン原子、チオエーテル等で置
換されていてもよいことを意味する。
【0026】Xの「炭素数1〜10のアルキレン基」と
は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、アミレ
ン、ヘキシレン等が挙げられ、「炭素数3〜10の環状
アルキリデン基」とは、例えば、シクロプロピリデン、
シクロヘキシリデン等が挙げられ、「炭素数6〜12の
アリーレン基」とは、例えば、フェニレン、トリレン、
キシリレン、ビフェニレン等が挙げられる。また、Xに
おける「置換されていてもよい」とは、例えばハロゲン
原子、炭素数1〜5のアルキル基等で置換されていても
よいことを意味する。
【0027】Zの「炭素数1〜5のアルキレン基」と
は、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げ
られ、「炭素数6〜12のアリレーン基」とは、上述と
同様であり、「炭素数7〜17のアリレーンアルキル
基」とは、例えばフェニレンジメチル等が挙げられる。
また、Zにおける「置換されていてもよい」とは、例え
ばハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基等で置換さ
れていてもよいことを意味する。
【0028】Yの「炭素数1〜5のアルキル基」、「炭
素数2〜5のアルケニル基」、「炭素数1〜5のアルコ
キシ基」とは、上述と同様であり、「炭素数1〜5のア
ルキルエステル基」とは、例えば、メチルエステル、エ
チルエステル、プロピルエステル等が挙げられ、「炭素
数6〜12のアリールエステル基」とは、例えば、フェ
ニルエステル、トリルエステル等が挙げられる。また、
Yにおける「置換されていてもよい」とは、例えばハロ
ゲン原子等で置換されていてもよいことを意味する。
【0029】一般式(I)のうち、Xは置換基を有して
も良い炭素数1〜10の環状アルキリデン基、Zはフェ
ニレン基、かつ、Yは水素原子または炭素数1〜5のア
ルキル基であるポリカーボネート樹脂;Xは直接結合
し、Zはフェニレン基、かつ、Yは水素原子または炭素
数1〜5のアルキル基であるポリカーボネート樹脂;X
は置換基を有しても良い炭素数6〜12のアリール基、
Zはフェニレン基、かつ、Yは水素原子または炭素数1
〜5のアルキル基であるポリカーボネート樹脂;Xはス
ルフォニル基またはカルボニル基、Zはフェニレン基、
かつ、Yは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基で
あるポリカーボネート樹脂;又はZはアルキレン基、か
つ、Yはアルキルエステル基またはアリールエステル基
であるポリカーボネート樹脂が好ましく、さらに、一般
式(I)の繰り返し単位が、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)シクロヘキサンであることがより好ましい。
【0030】以下の表1に、一般式(I)のポリカーボ
ネート樹脂の具体例を示す。
【0031】
【表1】
【0032】一般式(I)のポリカーボネート樹脂は、
重合度が10〜5000であることが好ましく、さら
に、50〜1000であることが好ましい。重合度が1
0より低い場合には成膜時に問題が生じ、5000より
大きい場合には、電荷移動材料との相溶性が悪くなる。
また、一般式(I)のポリカーボネート樹脂は、後述す
るように、感光体製造に主に用いられる湿式成形で容易
に成形加工するために、極限粘度が0.1〜2.0(d
l/g)の範囲にあることが望ましい。なお、この極限
粘度を得るためには、重合度を10〜200にすること
が望ましい。
【0033】一般式(I)のポリマーボネート樹脂は、
下記一般式(I’)で示される二価フェノール誘導体を
用いて、一般的な合成経路、例えば、一般式(I’)の
フェノール誘導体と炭酸エステル形成化合物とを重合
し、その末端に一官能性化合物の残基を結合させること
により容易に合成することができる。
【0034】
【化9】
【0035】(式中R1〜R8、Xは上記定義と同義であ
る。) 一般式(I’)の二価フェノール誘導体としては、例え
ば、ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA;
BPA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロ
ヘキサン〔ビスフェノールZ;BPZ〕、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−1−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等が挙げられ
る。なお、これら化合物は2種類以上併用してもよい。
これらのうち、反応性の観点から2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサンを用いるこ
とがより好ましい。
【0036】炭酸エステル形成化合物としては、例えば
ホスゲン、ジフェニルカーボネート、ビス−p−トリル
カーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ビ
ス−p−クロロフェニルカーボネート、ビスナフチルカ
ーボネート等のビスアリルカーボネート等が挙げられ
る。一官能性化合物としては、例えば、フェノール、p
−tert−ブチルフェノール、o−クレゾール、p−
クレゾール、m−クレゾール、チモール、ナフチオー
ル、カルバクロール、p−クミルフェノール、2,4−
キシレノール、ピクリン酸、p−クロロフェノール、o
−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−ブロ
モフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェ
ノール、オイゲノール、o−アリルフェノール、p−ヒ
ドロキシ安息香酸、p−n−ブチルフェノール、p−エ
トキシフェノール、サリチルアルコール、p−(3−ヒ
ドロキシプロピル)フェノール、バニリン、p−イソプ
ロペニルフェノール、グアイアコール等が挙げられる。
なお、これら化合物は2種類以上併用してもよい。これ
らのうち、フェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、o−アリルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸、
サリチルアルコール等を用いることがより好ましい。
【0037】本発明における一般式(I)のポリカーボ
ネート樹脂の重合方法としては、ビスフェノールAから
ポリカーボネートを製造する際に用いられる方法、例え
ば二価フェノールとフォスゲンとの直接反応(フォスゲ
ン法)又は二価フェノールとビスアリルカーボネートと
のエステル交換反応(エステル交換法)等の方法が挙げ
られる。
【0038】フォスゲン法においては、ジクロロメタ
ン、1,2−ジクロロエタンなどの不活性ハロゲン化炭
化水素を反応溶媒として、上述の二価フェノールと一官
能性化合物とをフォスゲンガスを通じながら反応させ、
反応の進行に伴い副成する塩化水素ガスの酸トラップ剤
としてアルカリ水溶液やピリジンなどの有機系のアミン
化合物を用いる方法がある。ここで、酸トラップ剤とし
てアルカリ水溶液を用いる場合、助触媒としてトリアル
キルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルア
ミン、ジイソプロピルエチルアミン等)などの3級アミ
ン、テトラアルキルアンモニウムハライド(例えばテト
ラエチルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジル
アンモニウムブロマイド等)などの4級アンモニウム塩
を併用すると、反応性が増加するため好ましい。また、
得られるポリカーボネートの分子量を制御するために、
適宜一価のフェノール誘導体(例えば、フェノール、p
−t−ブチルフェノール、p−n−ブチルフェノール
等)を用いてもよい。この際、一価のフェノール誘導体
は反応の最初から加えてもよいし、反応をある程度進行
させておいてから入れることで高分子量化するなど、目
的に合わせて任意に添加することができる。また、適
宜、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸
化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノール
などの分岐化剤を少量添加してもよい。反応温度は0〜
150℃、好ましくは5〜40℃の範囲である。反応時
間は反応温度によって左右されるが、0.5分〜10時
間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、
反応系のpHを10以上に保持することが好ましい。
【0039】エステル交換法においては、二価フェノー
ル、一官能基化合物及びビスアリールカーボネートを混
合し、減圧で高温において反応させる。反応は通常15
0〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温
度において行なわれ、また減圧度は最終で好ましくは1
mmHg以下にして、エステル交換反応により生成した
ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を
反応系外へと除去する。反応時間は反応温度や減圧度な
どによって左右されるが、通常1〜4時間である。また
反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行な
うことが好ましく、適宜、酸化防止剤や分岐化剤を添加
して反応を行なってもよい。
【0040】式(II)、(III)及び(IV)において、
9、R10、R11及びR12の「炭素数1〜6のアルキル
基」とは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i
so−プロピル、n−ブチル等が挙げられ、「アリール
基」とは、例えば、炭素数 〜のアリール基が挙げら
れ、具体的には、フェニル、p−トリル、3,5−キシ
リル、p−メトキシフェニル、p−クロロフェニル、1
−ナフチル等が挙げられ、「複素環基」としては、例え
ば、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、1−ベン
ゾチアゾール、1−ベンゾオキサゾール等が挙げられ、
「アラルキル基」とは、例えば炭素数2〜12のアラル
キル基が挙げられ、具体的には、ベンジル、p−メトキ
シベンジル、p−メチルベンジル、p−クロロベンジル
等が挙げられる。また、ここで「置換されていてもよ
い」とは、例えば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1
〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミノ
基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜
5のパーフルオロアルキル基等で置換されていてもよい
ことを意味する。
【0041】以下の表2〜表4に、一般式(II)〜(I
V)で表される電荷移動材料の具体例を示す。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】上記一般式(II)〜(IV)で示される具体
例のうち、特に電子写真特性、コスト面、合成面で優れ
るものは、R9、R10のいずれか一方がフェニル基、p
−メトキシフェニル基、p−トリル基であり、他方が水
素原子であり、R11、R12のうちいずれか一方がフェニ
ル基、p−トリル基であり、他方がメチル基、エチル
基、フェルキ基である化合物等である。
【0046】上記一般式(II)〜(IV)の化合物は、電
荷移動材料として単独又は2種類以上併用することがで
きる。電子写真感光体は、感光層が単一の層からなる単
層型電子写真感光体と、主として電荷発生層と電荷移動
層とからなる積層型(機能分離型)電子写真感光体とに
一般に分類されるが、本発明による電子写真感光体は、
このいずれの場合も含む。また、本発明の電子写真感光
体においては、感光層の上又は下層に必要に応じて保護
層、バリア層、接着層等の1又は2以上が形成されてい
てもよい。
【0047】電子写真感光体の構成についてさらに詳細
に説明すると、単層型の電子写真感光体として、図1に
示したように、導電性支持体1上に、電荷発生材料2と
電荷移動材料3とが結合剤中に分散して形成された感光
層4aが形成されてなるもの、図2に示したように、導
電性支持体1と感光層4aとの間に保護層等の中間層7
が形成されてなるものが挙げられる。
【0048】また、機能分離型の電子写真感光体とし
て、図3に示したように、導電性支持体1上に、電荷発
生材料2が結合剤中に分散して形成された電荷発生層5
と、電荷移動材料3が結合剤中に分散して形成された電
荷移動層6とからなる感光層4が形成されて構成された
もの、図4に示したように、導電性支持体1と電荷発生
層5との間に保護層等の中間層7が形成されて構成され
たものが挙げられる。
【0049】単層型の電子写真感光体の場合には、一般
式(II)〜(IV)のいずれかの化合物の1種又は2種以
上を電荷移動材料として用い、この電荷移動材料と増感
染料とに、適宜、化学増感剤、電子吸引性化合物、カー
ル防止剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加して、結
合剤である一般式(I)のポリカーボネート樹脂中に溶
解又は分散させて用いることができる。
【0050】また、機能分離型の電子写真感光体の場合
には、増感染料又はアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料
を代表とする顔料を主体として形成された電荷発生層上
に、一般式(II)〜(IV)のいずれかの化合物の1種又
は2種以上を電荷移動材料として用い、この電荷移動材
料に、適宜、酸化防止剤、電子吸引性化合物、カール防
止剤、レベリング剤等を添加して、結合剤である一般式
(I)のポリカーボネート樹脂中に溶解又は分散させて
電荷移動層を形成して用いることができる。
【0051】本発明の電子写真感光体において、一般式
(I)のポリマーボネート樹脂に、さらに、目的とする
電子写真感光体の諸特性に弊害を起こさない割合で別の
樹脂を併用してもよい。具体的には、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテート、ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスチレン、
ポリエステル、ポリヒドロキシスチレン、メタクリル樹
脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂(例えば、クレゾー
ルホルムアルデヒド樹脂など)、スチレン共重合樹脂
(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体など)、アク
リロニトリル系共重合体樹脂(例えば、塩化ビニリデン
−アクリロニトリル共重合体など)、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイ
ン酸共重合体シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹
脂が挙げられ、これらは単独又は2種以上の混合物とし
て使用することができる。この際の併用割合は全樹脂中
50重量%以下であることが好ましい、50重量%を越
えると、併用した樹脂の性質が強調され、一般式(I)
のポリカーボネート樹脂を用いるという本発明の本来の
意味を失うからである。
【0052】さらに、上記一般式(II)〜(IV)の化合
物には、他の電荷移動材料、例えば、4−(ジベンジル
アミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルテトラ
ゾン、4−(エチルフェニルアミノ)ベンズアルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、4−ジ(p−トリル
アミノ)ベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラ
ゾン、3,3−ビス−(4’−ジエチルアミノフェニ
ル)−アクロレイン−N,N−ジフェニルヒドラゾ
ン)、トリフェニルアミン化合物(例えば、4−メトキ
シ−4’−(4−メトキシスチリル)トリフェニルアミ
ン、4−メトキシ−4’−スチリルトリフェニルアミ
ン)等を、単独又は2種以上の混合物として併用しても
よい。
【0053】また、上述の増感染料としては、例えば、
メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイト
ブルー、ビクトリアブルー等で代表されるトリフェニル
メタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミ
ン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に代表さ
れるアクリジン染料、メチレンブルー、メチレングリー
ン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー、メルド
ラブルー等に代表されるオキサジン染料、その他シアニ
ン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、チオピリリ
ウム塩染料などが挙げられる。
【0054】さらに、単層型の電子写真感光体におい
て、光吸収によって極めて高い効率で電荷キャリアーを
発生させるための顔料としては、ビスアゾ系顔料、トリ
スアゾ系顔料等のアゾ系顔料、各種金属フタロシアニ
ン、無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシ
アニンなどのフタロシアニン系顔料、ペリレンイミド、
ペリレン酸無水物等のペリレン酸顔料、その他キナクリ
ドン系顔料、アントラキノン系顔料などがある。特に、
電荷キャリアーを発生する顔料にフロレン、フロレノン
環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンから成るビス
アゾ顔料、トリスアゾ顔料、無金属フタロシアニン顔
料、チタニルフタロシアニン顔料を用いたものは、高い
感度を示す優れた電子写真感光体を与えるため好まし
い。なお、上述の増感染料として例示した染料も、電荷
キャリアー発生物質として用いてもよい。これら染料
は、単独で使用してもよいが、顔料を共存させた場合に
は、さらに高い効率で電荷キャリアーを発生させる場合
が多いため好ましい。
【0055】また、上述の電子吸引性化合物としては、
例えば、1−クロルアントラキノン、ベンゾキノン、
2,3−ジクロロナフトキノン、ナフトキノン、4,
4’−ジニトロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベ
ンゾフェノン、4−ニトロベンゾフェノン、4−ニトロ
ベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シ
アノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニル
メチルアロンジニトリル、1−シアノ−1−(p−ニト
ロフェニル)−2−(p−クロルフェニル)エチレン、
2,7−ジニトロフルオレノン等の化合物が挙げられ
る。この化合物は、繰り返し使用に対しての残留電位の
増加、帯電電位の低下、感度の低下等を防止する等のた
め、使用することが好ましい。
【0056】さらに、化学増感剤、カール防止剤、レベ
リング剤、酸化防止剤等は、当該分野で公知のものを使
用することができる。単層型の電子写真感光体の場合、
一般式(I)のポリカーボネート樹脂と一般式(II)〜
(IV)のいずれかの化合物との割合は、100重量部:
5〜1000重量部となるように使用することが好まし
い。これらにより形成される感光層は、通常0.01〜
20μm、好ましくは0.1〜2μmの膜厚で形成され
る。使用割合及び膜厚が、これらの範囲より小さい場合
には、電子写真特性、特に光感度が低くなるばかりでな
く、繰り返し使用することによって光感度の劣化が大き
くなる。また、これらの範囲より大きい場合には、電子
写真特性、特に残留電位の蓄積が大きくなるなどの悪影
響が起こり易くなり、好ましくない。
【0057】また、機能分離型の電子写真感光体の場
合、一般式(I)のポリカーボネート樹脂と一般式(I
I)〜(IV)のいずれかの化合物とから電荷移動層を形
成するが、この際、一般式(I)のポリカーボネート樹
脂と一般式(II)〜(IV)のいずれかの化合物との割合
は、100重量部:30〜200重量部となるように使
用することが好ましい。これらにより形成される電荷移
動層は、通常10〜60μm、好ましくは10〜35μ
mの膜厚で形成される。使用割合及び膜厚がこれらの範
囲より小さい場合は、電子写真特性、特に帯電性及び光
感度が低下し、及び残留電位の蓄積が大きくなり好まし
くない。また、これらの範囲より大きい場合は、残留電
位の蓄積が大きくなり、膜強度が低下し、電荷移動材料
の析晶化による画像欠陥が生じる等の悪影響が起こり易
くなり好ましくない。
【0058】単層型及び機能分離型の電子写真感光体の
いずれの場合も、一般式(I)のポリカーボネート樹脂
を主成分とする樹脂溶液中へ一般式(II)〜(IV)のい
ずれかの化合物を溶解又は分散させることにより塗布液
を調製し、この塗布液を導電性支持体等の上に塗布/乾
燥等することにより、感光層又は電荷移動層を形成する
ことができる。この際、樹脂溶液を調製する場合の溶剤
としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、モ
ノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ジオキ
サン、ジメトキシメチルエーテル、ジメチルホルムアミ
ドなどの溶剤を、単独又は2種以上の混合物として、適
宜アルコール類、アセトニトリル、メチルエチルケトン
などの溶剤をさらに加えて使用することができる。ま
た、樹脂溶液を調製する際には、樹脂溶液全体の重量に
対して、一般式(I)のポリカーボネート樹脂が1〜3
0重量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは
9〜13重量%で含有されており、一般式(II)〜(I
V)のいずれかの化合物が1〜40重量%、好ましくは
5〜25重量%、より好ましくは9〜18重量%で含有
されていることが好ましい。
【0059】塗布方法としては、例えば、スプレー法、
バーコード法、ロールコート法、ブレード法、リング
法、浸漬法等が挙げられる。特に浸漬塗布方法は、塗布
液を満たした塗布槽に、導電性支持体を浸漬した後に、
一定速度又は逐次変化する速度で引き上げることによ
り、感光層又は電荷移動層を形成する方法であるが、比
較的簡単で、生産性及びコストの点で優れている。
【0060】このようにして作製された電子写真感光体
において、その電子写真特性の改善及び感光体の生産効
率の向上は、複写機、プリンターの高性能化、低価格化
に重要な要因となる。近年、複写機、プリンターの高感
度化、高耐刷化は強く望まれており、特に電荷移動層中
の結合剤樹脂は重要な材料的要因の一つとしてあげられ
る。
【0061】この電荷移動層中の結合剤樹脂の材料的要
因としては、まず、労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防
規則上で問題のない溶剤(例えば、トルエン、塩化メチ
レン、テトラヒドロフラン等)に対して良好な溶解性、
さらには塗布液の良好な保存性(電荷移動材料が析晶化
しないこと、粘性が変化しないこと、空気中の酸素等に
侵されないこと等)、膜厚10〜35μmの電荷移動層
を形成するに必要な塗布液の粘性(50〜100cps
〔20℃、固形分10〜20%〕)の保持等に優れてい
ることが挙げられる。
【0062】
【実施例】以下に、本発明の電子写真感光体について詳
細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるもの
ではない。
【0063】実施例1 電荷発生材料として、下記構造式
【0064】
【化10】
【0065】で示されるx型無金属フタロシアニン(大
日本インキ社製、ファストゲンブル−8120)0.4
gを、酢酸エチル30mlに塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体(積水化学社製;エスレックM)0.3gを溶か
した溶液に加え、ペイントコンディショナー(レッドレ
ベル社製)中で直径1.5mmのガラスビーズとともに
約20分間分散を行い、電荷発生材料溶液を調製した。
【0066】次に、アルミ蒸着のポリエステルフィルム
(膜厚100μm)を導電性支持体として、この支持体
上に上記電荷発生材料溶液をドクターブレイド法により
塗布、乾燥して、電荷発生層を形成した。乾燥後の電荷
発生層の膜厚は、0.4μmであった。さらに、この電
荷発生層の上に、上述の電荷移動材料No.4を1gと
結合剤としてポリカーボネート樹脂No.P−1(粘度
平均分子量=4万)1.2gを塩化メチレンに溶かした
15%溶液を、スキージングドクターにより塗布し、乾
燥膜厚25μmの電荷移動層を形成した。
【0067】このようにして、電荷発生層及び電荷移動
層からなる感光層を有する機能分離積層型感光体試料1
を作製した。
【0068】実施例2〜10 電荷移動材料を本発明の電荷移動材料No.7、No.
9、No.14、No.18、No.22、No.3
0、No.34、No.37又はNo.39に変える以
外は実施例1と同様にして機能分離積層型感光体試料2
〜10を作製した。
【0069】比較例1 電荷移動材料の結合剤を、市販のビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂(Mobas Chemical Co.より入手、商
標;Madrolon 5705)に変える以外は実施例1と同様に
して機能分離積層型感光体比較試料1を作製した。
【0070】比較例2 電荷移動材料の結合剤を、市販のビスフェノールA型ポ
リカーボネート樹脂(住友ダウケミカルより入手、商
標;Calibre 300)に変える以外は実施例1と同様にし
て機能分離積層型感光体比較試料2を作製した。
【0071】比較例3 電荷移動材料を、下記構造式の化合物に変える以外は実
施例1と同様にして機能分離積層型感光体比較試料3を
得た。
【0072】
【化11】
【0073】実験例1 上記で得られた機能分離積層型電子写真感光体につい
て、静電記録紙試験装置(川口電機製;SP−428)
により電子写真特性を評価した。測定条件は加電圧:−
6kV、スタティック:No.3であり、白色光照射
(照射光:5ルクス)による−700Vから−100V
に減衰させるに要する露光量E100(ルクス・秒)及び
初期電位V0(−ボルト)を測定した。そして同装置を
用いて、加電−除電(除電光:白色光で40ルクスで1
秒照射)を1サイクルとして1万回、同様の操作を行な
った後の初期電位V0(−ボルト)及びE100(ルクス・
秒)を測定し、V0及びE100の変化を調べた。
【0074】また、シャープ社製レーザープリンター
(WD−580P)を改造し、ドラム部に本感光体を張
り付け、連続空コピー(Non Copy Agin
g)を1万回行なった後、初期電位低下、感度の低下の
度合いを調べた。さらに、感光体の摩耗量を、スガ試験
機社製の摩耗試験機を用いて評価した。測定条件は、研
磨材=酸化アルミニウム#2000、荷重=200g・
f、摩擦回数=10000回で行なった。
【0075】以上の測定結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】表5から、本実施例の電子写真感光体はエ
ージング後の感光体の電位の変化、摩耗量において良好
な値を示していることがわかった。
【0078】実施例11 以下の構造式
【0079】
【化12】
【0080】で示される電荷発生材料であるビスアゾ顔
料2重量部、エポキシ樹脂(リカレンジBPO−20
E:新日本理化社製)1重量部及びジメトキシエタン9
7重量部をペイントシェカーで6時間分散して塗液を調
製した。この塗液をタンクに満たし、直径80mm、長
さ348mmのアルミ製円筒状支持体(アルミドラム)
をこの塗液に浸漬、引き上げ塗工し、室温で1時間乾燥
して、厚さ0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0081】一方、電荷移動材料として上述した電荷移
動材料No.6を100重量部とバインダー樹脂として
上述したポリカーボネート樹脂NoP−1(粘度平均分
子量=4万)100重量部とをジクロルメタン800重
量部に溶解し、電荷移動層塗工用塗布液を調製し、上記
で形成した電荷発生層上に浸漬塗工し、80℃で1時間
乾燥して、厚さ25μmの電荷移動層を形成し、感光体
ドラムを作製した。こうして作製した感光体ドラムの各
層は、均一な塗膜であった。
【0082】実施例12 バインダー樹脂として上述のポリカーボネート樹脂P−
2(粘度平均分子量=4万)を用いた以外は実施例11
と同様にして感光体ドラムを作製した。
【0083】実施例13〜16 電荷移動材料として上述の電荷移動材料No.8、N
o.20、No.27、No.32を用いた以外は実施
例11と同様にして感光体ドラムを作製した。
【0084】比較例4 電荷移動塗工用塗布液に用いるジクロルメタンを500
重量部とした以外は実施例11と同様にして感光体ドラ
ムを作製した。
【0085】比較例5 電荷移動層塗工用塗布液に用いるジクロルメタンを12
00重量部とした以外は実施例11と同様にして感光体
ドラムを作製した。
【0086】実験例2 上記で得られた感光体ドラムを、市販の複写機(SF8
870:シャープ社製)に搭載し、A4サイズの紙を用
いて複写テストを行なった。初期及び40000回使用
後に画像特性及び帯電電位(V0)、白色原稿の電位
(VL)と残留電位(Vr) とを測定した。
【0087】以上の測定結果を表6に示す。
【0088】
【表6】
【0089】以上より、本実施例においては、いずれ
も、初期及び繰り返し使用後もきれいな画像が得られ、
摩耗による膜厚低下からの感度低下も殆ど見られず、エ
ージング後の感光体の電位の変化、摩耗量において良好
な値を示していることがわかった。一方、比較例4の塗
液は、非常に高粘度で均一な膜厚にすることができず、
画像は全体にわたって濃度ムラが発生していた。また、
比較例5においては、塗液は非常に低粘度で均一な膜厚
にすることができず、膜厚は10μmの電荷移動層しか
得られず、画像が非常に薄くなった。
【0090】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体によれば、極め
て良好な電子写真特性(感度、帯電性、残留電位及び繰
り返し特性など)を有しており、均一な塗膜であると同
時に、クリーニングブレード、現像剤、紙などに対する
耐久性に優れ、連続使用を行なっても電子使用特性変化
が少なく、従来のものと比べて、より優れた耐刷性能を
有する電子写真感光体を得ることができる。
【0091】また、本発明の電子写真感光体の製造方法
によれば、塗布溶液粘度が浸漬塗工法に適した粘度とす
ることができるため、膜厚が均一で、塗膜欠陥のない電
子写真感光体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単層型電子写真感光体の概略断面図で
ある。
【図2】本発明の単層型電子写真感光体の概略断面図で
ある。
【図3】本発明の機能分離型電子写真感光体の概略断面
図である。
【図4】本発明の機能分離型電子写真感光体の概略断面
図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷発生材料 3 電荷移動材料 4、4a 感光層 5 電荷発生層 6 電荷移動層 7 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03G 5/05 101 G03G 5/05 101 103 103B 5/06 321 5/06 321 // C09D 169/00 C09D 169/00 (72)発明者 井上 祐子 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に形成される感光層中
    に、一般式(I) 【化1】 (式中、R1〜R8は、同一又は異なって、置換基を有し
    ていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を有し
    ていてもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有
    していてもよい炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数
    2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、
    ハロゲン原子又は水素原子を示し、Xは直接結合してい
    るか、あるいは置換基を有していてもよい炭素数1〜1
    0のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数3
    〜10の環状アルキリデン基、置換基を有していてもよ
    い炭素数6〜12のアリレーン基、スルホニル基又はカ
    ルボニル基を示し、Zは置換基を有していてもよい炭素
    数1〜5のアルキレン基、炭素数6〜12のアリレーン
    基、炭素数7〜17のアリレーンアルキル基又はハロゲ
    ン原子を示し、Yは置換基を有していてもよい炭素数1
    〜5のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2
    〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置
    換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキルエステ
    ル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリ
    ールエステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸
    基、ハロゲン原子又は水素原子を示し、nは10〜20
    0の整数を示す。)で表される両末端基が修飾されたポ
    リカーボネート樹脂と、一般式(II) 【化2】 (式中、R9、R10、R11及びR12は、同一又は異なっ
    て、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル
    基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有
    していてもよい複素環基、置換基を有していてもよいア
    ラルキル基又は水素原子を示し(ただし、R9、R10
    同時に水素原子の場合は除く)、mは2〜4の整数を示
    す。)で表される化合物とを含有せしめたことを特徴と
    する電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 導電性支持体上に形成される感光層中
    に、請求項1記載の一般式(I)で表される両末端基が
    修飾されたポリカーボネート樹脂と、一般式(III) 【化3】 (式中、R9及びR10は、同一又は異なって、置換基を
    有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を
    有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよ
    い複素環基、置換基を有していてもよいアラルキル基又
    は水素原子を示し(ただし、R9、R10が同時に水素原
    子の場合は除く)、mは2〜4の整数を示す)で表され
    る化合物とを含有せしめたことを特徴とする電子写真感
    光体。
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に形成される感光層中
    に、請求項1記載の一般式(I)で表される両末端基が
    修飾されたポリカーボネート樹脂と、一般式(IV) 【化4】 (式中、R11及びR12は、同一又は異なって、置換基を
    有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を
    有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよ
    い複素環基又は置換基を有していてもよいアラルキル基
    を示し、mは2〜4の整数を示す。)で表される化合物
    とを含有せしめたことを特徴とする電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 一般式(I)において、Xは置換基を有
    しても良い炭素数3〜10の環状アルキリデン基であ
    り、Zはフェニレン基であって、かつ、Yは水素原子ま
    たは炭素数1〜5のアルキル基である請求項1〜3のい
    ずれか1つに記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、Xは直接結合
    し、Zはフェニレン基であって、かつ、Yは水素原子ま
    たは炭素数1〜5のアルキル基である請求項1〜3のい
    ずれか1つに記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 一般式(I)において、Xは置換基を有
    しても良い炭素数6〜12のアリール基であり、Zはフ
    ェニレン基であって、かつ、Yは水素原子または炭素数
    1〜5のアルキル基である請求項1〜3のいずれか1つ
    に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 一般式(I)において、Xはスルフォニ
    ル基またはカルボニル基であり、Zはフェニレン基であ
    って、かつ、Yは水素原子または炭素数1〜5のアルキ
    ル基である請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写
    真感光体。
  8. 【請求項8】 一般式(I)において、Zはアルキレン
    基であって、かつ、Yはアルキルエステル基またはアリ
    ールエステル基である請求項1〜3のいずれか1つに記
    載の電子写真感光体。
  9. 【請求項9】 一般式(I)の繰り返し単位が、1,1
    −ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンであ
    る請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光
    体。
  10. 【請求項10】 一般式(I)の繰り返し単位が、1,
    1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シク
    ロヘキサンである請求項1〜3のいずれか1つに記載の
    電子写真感光体。
  11. 【請求項11】 一般式(I)の繰り返し単位が、1,
    1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
    ル)シクロヘキサンである請求項1〜3のいずれか1つ
    に記載の電子写真感光体。
  12. 【請求項12】 一般式(I)のポリカーボネート樹脂
    が、0.30〜2.0dl/gの極限粘度を有する請求
    項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
  13. 【請求項13】 感光層が、少なくとも電荷発生層と電
    荷移動層とからなり、前記電荷移動層中に、一般式
    (I)のポリカーボネート樹脂と一般式(II)の化合物
    が含有されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の
    電子写真感光体。
  14. 【請求項14】 円筒状導電性支持体上に、塗布溶液を
    浸漬塗布して感光層を形成する電子写真感光体の製造方
    法において、前記塗布溶液が、請求項1記載の一般式
    (I)で表される両末端基が修飾されたポリカーボネー
    ト樹脂と、請求項1記載の一般式(II)で表される化合
    物とを含有し、前記ポリカーボネート樹脂が塗布溶液の
    全重量に対して9〜13重量%で含有されてなる請求項
    1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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