JPH1184114A - クロスダイクロイックプリズム、及びその製造方法 - Google Patents
クロスダイクロイックプリズム、及びその製造方法Info
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- JPH1184114A JPH1184114A JP9251474A JP25147497A JPH1184114A JP H1184114 A JPH1184114 A JP H1184114A JP 9251474 A JP9251474 A JP 9251474A JP 25147497 A JP25147497 A JP 25147497A JP H1184114 A JPH1184114 A JP H1184114A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】4個の直角プリズムを接合させて構成するクロ
スダイクロイックプリズムにおいて、隣接する2個の直
角プリズムの屈折率の差を0.00001以下にする。 【解決手段】2個のプリズム部材10、20を、第1光
反射ダイクロイック膜10Bを挟んで一旦接合して一体
化し、接合部材50を形成する。接合面に直角な平面に
て接合部材50を2個に切断して第1の接合部材30と
第2の接合部材40とする。このときの切断面を研磨し
て、第1の接合部材30の研磨面(斜面30a)に第2
光反射ダイクロイック膜30Rを形成し、これら研磨面
を接合して、再度一体化し、クロスダイクロイックプリ
ズムを作製する。隣接する直角プリズム11、12は、
はじめは同一のプリズム部材10であったので、屈折率
の差を0.00001以下にすることができる。直角プ
リズム21、22についても同様である。
スダイクロイックプリズムにおいて、隣接する2個の直
角プリズムの屈折率の差を0.00001以下にする。 【解決手段】2個のプリズム部材10、20を、第1光
反射ダイクロイック膜10Bを挟んで一旦接合して一体
化し、接合部材50を形成する。接合面に直角な平面に
て接合部材50を2個に切断して第1の接合部材30と
第2の接合部材40とする。このときの切断面を研磨し
て、第1の接合部材30の研磨面(斜面30a)に第2
光反射ダイクロイック膜30Rを形成し、これら研磨面
を接合して、再度一体化し、クロスダイクロイックプリ
ズムを作製する。隣接する直角プリズム11、12は、
はじめは同一のプリズム部材10であったので、屈折率
の差を0.00001以下にすることができる。直角プ
リズム21、22についても同様である。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばフルカラー
投射装置において、光源光の三色色分解や各色光用ライ
トバルブから射出された各色変調光を色合成して射出す
るのに使用されるクロスダイクロイックプリズム、及び
その製造方法に関する。
投射装置において、光源光の三色色分解や各色光用ライ
トバルブから射出された各色変調光を色合成して射出す
るのに使用されるクロスダイクロイックプリズム、及び
その製造方法に関する。
【従来の技術】図10に、クロスダイクロイックプリズ
ムを使用して三色色分解及び三色色合成を行うフルカラ
ーの投射装置の概略構成を示す。光源110から射出さ
れた白色光源光は、偏光ビームスプリッタ120に入射
され、偏光分離部120aによって偏光分離され、反射
されて偏光(S偏光)として射出され、さらに、クロス
ダイクロイックプリズム130に入射される。この入射
光は、クロスダイクロイックプリズム130中の赤色光
反射用のダイクロイック膜130Rによって赤色光のみ
が反射され、赤色光用の反射型液晶ライトバルブ140
Rに読出し光として入射される。また、入射光は、同じ
くクロスダイクロイックプリズム130中の青色光反射
用のダイクロイック膜130Bによって青色光のみが反
射され、青色光用の反射型液晶ライトバルブ140Bに
読出し光として入射される。さらに、上述の赤色光反射
用、青色光反射用のダイクロイック膜130R、130
Bに反射されないでこれらを透過した緑色光は、そのま
ま進行して、クロスダイクロイックプリズム130を透
過し、緑色光用の反射型液晶ライトバルブ140Gに同
じく読出し光として入射される。上述の赤色光用、青色
光用、緑色光用の反射型液晶ライトバルブ140R、1
40B、140Gにそれぞれ入射した赤色光、青色光、
緑色光は、各色光用の書込み信号光又は電気信号(いず
れも不図示)により変調を受けてそれぞれ反射、射出さ
れ、上述の入射光と同じ光軸を経てクロスダイクロイッ
クプリズム130に入射される。そして、これら赤色
光、青色光、緑色光は、ダイクロイックプリズム130
中の赤色光反射用、青色光反射用のダイクロイック膜1
30R、130Bにより三色合成されてダイクロイック
プリズム130から射出され、偏光ビームスプリッタ1
20に入射され、ここで変調光のみが検光されて偏光ビ
ームスプリッタ120を透過し、射出され、その後、投
射レンズ150によってスクリーン160上に投射され
る。上述のクロスダイクロイックプリズム130は、例
えば、図11に示すように4個の直角二等辺三角柱状の
透明光学プリズム部材(以下「直角プリズム」という)
131、132、133、134の各斜面のうちの所定
の斜面にダイクロイック膜130R、130Bを形成
し、このダイクロイック膜130R、130Bを挟むよ
うにして、相互に隣接する直角プリズムの斜面を接着剤
で貼り合わせ、全体として正四角柱状に構成したもので
ある。接合に際し、4個の直角プリズム131、13
2、133、134を一度に接合すると、所定の接合精
度を確保するのが困難となるため、通常は、例えば、直
角プリズム131と直角プリズム132とをあらかじめ
接合して第1の接合部材を作製し、また、残りの直角プ
リズム133と直角プリズム134とを同じようにあら
かじめ接合して第2の接合部材を作製し、その後、これ
ら第1、第2の接合部材を接合させて、最終的にクロス
ダイクロイックプリズム130を作製する方法を採用し
ていた。なお、上述では、一つのクロスダイクロイック
プリズム130を三色色分解と三色色合成との双方に使
用する構成を例に説明したが、この構成以外に、例え
ば、三色色分解には平面ダイクロイックミラーを使用
し、三色色合成にのみクロスダイクロイックプリズムを
使用する構成のフルカラーの投射装置も知られている。
ところで、上述のクロスダイクロイックプリズム130
においては、4個の直角プリズムの屈折率の差が小さい
程よく、その差がそのままクロスダイクロイックプリズ
ムの性能、ひいては投射装置の性能を大きく左右する。
この4個の直角プリズムの屈折率に関して、例えば、特
開平6−331807号公報に開示されており、その請
求項1には、次のような内容が記載されている。「頂角
がほぼ90°の三角柱プリズムを4個、頂点を合わせて
斜面を接着固定して一体としたプリズムにおいて、前記
4個の三角柱プリズムのうち少なくとも隣接する2組の
三角柱プリズムの屈折率の差が0.0005以下である
ことを特徴とするプリズム。」
ムを使用して三色色分解及び三色色合成を行うフルカラ
ーの投射装置の概略構成を示す。光源110から射出さ
れた白色光源光は、偏光ビームスプリッタ120に入射
され、偏光分離部120aによって偏光分離され、反射
されて偏光(S偏光)として射出され、さらに、クロス
ダイクロイックプリズム130に入射される。この入射
光は、クロスダイクロイックプリズム130中の赤色光
反射用のダイクロイック膜130Rによって赤色光のみ
が反射され、赤色光用の反射型液晶ライトバルブ140
Rに読出し光として入射される。また、入射光は、同じ
くクロスダイクロイックプリズム130中の青色光反射
用のダイクロイック膜130Bによって青色光のみが反
射され、青色光用の反射型液晶ライトバルブ140Bに
読出し光として入射される。さらに、上述の赤色光反射
用、青色光反射用のダイクロイック膜130R、130
Bに反射されないでこれらを透過した緑色光は、そのま
ま進行して、クロスダイクロイックプリズム130を透
過し、緑色光用の反射型液晶ライトバルブ140Gに同
じく読出し光として入射される。上述の赤色光用、青色
光用、緑色光用の反射型液晶ライトバルブ140R、1
40B、140Gにそれぞれ入射した赤色光、青色光、
緑色光は、各色光用の書込み信号光又は電気信号(いず
れも不図示)により変調を受けてそれぞれ反射、射出さ
れ、上述の入射光と同じ光軸を経てクロスダイクロイッ
クプリズム130に入射される。そして、これら赤色
光、青色光、緑色光は、ダイクロイックプリズム130
中の赤色光反射用、青色光反射用のダイクロイック膜1
30R、130Bにより三色合成されてダイクロイック
プリズム130から射出され、偏光ビームスプリッタ1
20に入射され、ここで変調光のみが検光されて偏光ビ
ームスプリッタ120を透過し、射出され、その後、投
射レンズ150によってスクリーン160上に投射され
る。上述のクロスダイクロイックプリズム130は、例
えば、図11に示すように4個の直角二等辺三角柱状の
透明光学プリズム部材(以下「直角プリズム」という)
131、132、133、134の各斜面のうちの所定
の斜面にダイクロイック膜130R、130Bを形成
し、このダイクロイック膜130R、130Bを挟むよ
うにして、相互に隣接する直角プリズムの斜面を接着剤
で貼り合わせ、全体として正四角柱状に構成したもので
ある。接合に際し、4個の直角プリズム131、13
2、133、134を一度に接合すると、所定の接合精
度を確保するのが困難となるため、通常は、例えば、直
角プリズム131と直角プリズム132とをあらかじめ
接合して第1の接合部材を作製し、また、残りの直角プ
リズム133と直角プリズム134とを同じようにあら
かじめ接合して第2の接合部材を作製し、その後、これ
ら第1、第2の接合部材を接合させて、最終的にクロス
ダイクロイックプリズム130を作製する方法を採用し
ていた。なお、上述では、一つのクロスダイクロイック
プリズム130を三色色分解と三色色合成との双方に使
用する構成を例に説明したが、この構成以外に、例え
ば、三色色分解には平面ダイクロイックミラーを使用
し、三色色合成にのみクロスダイクロイックプリズムを
使用する構成のフルカラーの投射装置も知られている。
ところで、上述のクロスダイクロイックプリズム130
においては、4個の直角プリズムの屈折率の差が小さい
程よく、その差がそのままクロスダイクロイックプリズ
ムの性能、ひいては投射装置の性能を大きく左右する。
この4個の直角プリズムの屈折率に関して、例えば、特
開平6−331807号公報に開示されており、その請
求項1には、次のような内容が記載されている。「頂角
がほぼ90°の三角柱プリズムを4個、頂点を合わせて
斜面を接着固定して一体としたプリズムにおいて、前記
4個の三角柱プリズムのうち少なくとも隣接する2組の
三角柱プリズムの屈折率の差が0.0005以下である
ことを特徴とするプリズム。」
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願発
明者らは、隣接する2組の三角柱プリズム(以下「直角
プリズム」という)の屈折率の差が0.0005以下で
は、必ずしも十分ではなく、さらに小さい値にしなけれ
ばならないことを見出した。すなわち、上述の公報中に
記載では、少なくとも隣接する直角プリズムの屈折率の
差が0.0005以内であれば十分であるとしている
が、例えば、4個の直角プリズムの屈折率n1 、n2
、n3 、n4 をこの順に、1.500500、
1.500000、1.500000、1.50050
0とし、また、断面形状が正方形でその一辺の長さが4
0mmのライトバルブを使用し、このライトバルブをク
ロスダイクロイックプリズムの側面近傍に配置したとす
る。すると、このときのズレ量は53μmとなり(な
お、計算の詳細については、実施の形態3を参照のこ
と)、ライトバルブの画素ピッチが40μmであるのに
対して、1画素以上ずれることとなってしまい、画面ズ
レやボケが生じることになる。そこで、本発明は、隣接
する直角プリズムの屈折率の差を0.00001以下と
することにより、画像ズレやボケの発生を防止するよう
にしたクロスダイクロイックプリズム、及びその製造方
法を提供することを目的とするものである。
明者らは、隣接する2組の三角柱プリズム(以下「直角
プリズム」という)の屈折率の差が0.0005以下で
は、必ずしも十分ではなく、さらに小さい値にしなけれ
ばならないことを見出した。すなわち、上述の公報中に
記載では、少なくとも隣接する直角プリズムの屈折率の
差が0.0005以内であれば十分であるとしている
が、例えば、4個の直角プリズムの屈折率n1 、n2
、n3 、n4 をこの順に、1.500500、
1.500000、1.500000、1.50050
0とし、また、断面形状が正方形でその一辺の長さが4
0mmのライトバルブを使用し、このライトバルブをク
ロスダイクロイックプリズムの側面近傍に配置したとす
る。すると、このときのズレ量は53μmとなり(な
お、計算の詳細については、実施の形態3を参照のこ
と)、ライトバルブの画素ピッチが40μmであるのに
対して、1画素以上ずれることとなってしまい、画面ズ
レやボケが生じることになる。そこで、本発明は、隣接
する直角プリズムの屈折率の差を0.00001以下と
することにより、画像ズレやボケの発生を防止するよう
にしたクロスダイクロイックプリズム、及びその製造方
法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの、請求項1に係る本発明は、直角二等辺三角形状の
断面を有し、その直角部を合わせるようにして相互に接
着固定された4個の直角プリズムと、これら直角プリズ
ムのうちの相互に隣接する直角プリズム間に形成された
断面X字形のダイクロイック膜とを備えたクロスダイク
ロイックプリズムにおいて、1つの直角プリズムと該1
つの直角プリズムに隣接する一方の直角プリズムとによ
って第1組を構成し、前記1つの直角プリズムに隣接す
る他方の直角プリズムと前記1つの直角プリズムに隣接
しない直角プリズムとによって第2組を構成したとき
に、同じ組を構成する2個の隣接する直角プリズムの屈
折率の差が0.00001以下である、ことを特徴とす
る。この請求項1の発明によると、クロスダイクロイッ
クプリズムにおいて、同じ組を構成する2個の隣接する
直角プリズムの屈折率の差が0.00001以下となる
ので、例えば、このクロスダイクロイックプリズムを投
射装置に使用した場合には、その画像ズレを極めて小さ
いものとすることができる。請求項2に係る本発明は、
前記同じ組を構成する2個の隣接する直角プリズムは、
1個の同一のプリズム部材を切断して形成する、ことを
特徴とする。この請求項2の発明によると、同じ組を構
成する2個の隣接する直角プリズムは、1個の同一のプ
リズム部材を切断して形成しているので、その屈折率の
差を、同一製造ロットの2個の直角プリズム間の屈折率
の差に比して、小さいものとすることができる。具体的
には、2個の直角プリズム間の屈折率の差は、同一ロッ
トでは、前述の従来技術に記載したように、0.000
5以下であるのに対し、同一プリズム部材の切断による
ものの場合は、その1/50の0.00001以下を実
現することが可能である。請求項3に係る本発明は、直
角二等辺三角形状の断面を有し、その直角部を合わせる
ようにして相互に接着固定された4個の直角プリズム
と、これら直角プリズムのうちの相互に隣接する直角プ
リズム間に形成された断面X字形のダイクロイック膜と
を備えたクロスダイクロイックプリズムの製造方法にお
いて、前記直角プリズムの断面のほぼ2倍の面積の直角
二等辺三角形状の断面を有する2個のプリズム部材のう
ちの第1のプリズム部材における直角部に対向する斜面
に第1のダイクロイック膜を形成する第I工程と、前記
第1のプリズム部材の斜面と、他の第2のプリズム部材
の斜面とを接着剤にて接合して正四角柱状の接合部材を
形成する第II工程と、前記接合部材を、前記第1のダ
イクロイック膜に直角な断面で切断し、直角二等辺三角
柱状の第1の接合部材と第2の接合部材とに分割する第
III 工程と、前記第1の接合部材の斜面に第2のダ
イクロイック膜を形成する第IV工程と、前記第1の接
合部材の斜面と、前記第2の接合部材の斜面とを接着剤
にて接合して正四角柱状のクロスダイクロイックプリズ
ムを形成する第V工程と、を有する、ことを特徴とす
る。この請求項3に係るクロスダイクロイックプリズム
の製造方法により、前述の隣接する2個の直角プリズム
間の屈折率の差を0.00001以下にすることが可能
である。
めの、請求項1に係る本発明は、直角二等辺三角形状の
断面を有し、その直角部を合わせるようにして相互に接
着固定された4個の直角プリズムと、これら直角プリズ
ムのうちの相互に隣接する直角プリズム間に形成された
断面X字形のダイクロイック膜とを備えたクロスダイク
ロイックプリズムにおいて、1つの直角プリズムと該1
つの直角プリズムに隣接する一方の直角プリズムとによ
って第1組を構成し、前記1つの直角プリズムに隣接す
る他方の直角プリズムと前記1つの直角プリズムに隣接
しない直角プリズムとによって第2組を構成したとき
に、同じ組を構成する2個の隣接する直角プリズムの屈
折率の差が0.00001以下である、ことを特徴とす
る。この請求項1の発明によると、クロスダイクロイッ
クプリズムにおいて、同じ組を構成する2個の隣接する
直角プリズムの屈折率の差が0.00001以下となる
ので、例えば、このクロスダイクロイックプリズムを投
射装置に使用した場合には、その画像ズレを極めて小さ
いものとすることができる。請求項2に係る本発明は、
前記同じ組を構成する2個の隣接する直角プリズムは、
1個の同一のプリズム部材を切断して形成する、ことを
特徴とする。この請求項2の発明によると、同じ組を構
成する2個の隣接する直角プリズムは、1個の同一のプ
リズム部材を切断して形成しているので、その屈折率の
差を、同一製造ロットの2個の直角プリズム間の屈折率
の差に比して、小さいものとすることができる。具体的
には、2個の直角プリズム間の屈折率の差は、同一ロッ
トでは、前述の従来技術に記載したように、0.000
5以下であるのに対し、同一プリズム部材の切断による
ものの場合は、その1/50の0.00001以下を実
現することが可能である。請求項3に係る本発明は、直
角二等辺三角形状の断面を有し、その直角部を合わせる
ようにして相互に接着固定された4個の直角プリズム
と、これら直角プリズムのうちの相互に隣接する直角プ
リズム間に形成された断面X字形のダイクロイック膜と
を備えたクロスダイクロイックプリズムの製造方法にお
いて、前記直角プリズムの断面のほぼ2倍の面積の直角
二等辺三角形状の断面を有する2個のプリズム部材のう
ちの第1のプリズム部材における直角部に対向する斜面
に第1のダイクロイック膜を形成する第I工程と、前記
第1のプリズム部材の斜面と、他の第2のプリズム部材
の斜面とを接着剤にて接合して正四角柱状の接合部材を
形成する第II工程と、前記接合部材を、前記第1のダ
イクロイック膜に直角な断面で切断し、直角二等辺三角
柱状の第1の接合部材と第2の接合部材とに分割する第
III 工程と、前記第1の接合部材の斜面に第2のダ
イクロイック膜を形成する第IV工程と、前記第1の接
合部材の斜面と、前記第2の接合部材の斜面とを接着剤
にて接合して正四角柱状のクロスダイクロイックプリズ
ムを形成する第V工程と、を有する、ことを特徴とす
る。この請求項3に係るクロスダイクロイックプリズム
の製造方法により、前述の隣接する2個の直角プリズム
間の屈折率の差を0.00001以下にすることが可能
である。
【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実
施の形態について説明する。 〈実施の形態1〉まず、本発明に係る、クロスダイクロ
イックプリズムの製造方法についてその概略を説明す
る。従来技術で引用した公報には、屈折率の差を0.0
005以内のプリズム部材を得ることは決してやさしい
ものではなく、同一製造ロットにて作製したプリズム部
材を使用しないと得ることが困難であると記載されてい
る。しかし、同一製造ロットとした場合においても、上
述の屈折率の差0.0005以内は実現できるものの、
例えばその1/5の0.0001以内、さらにはもう1
桁小さい0.00001以下の屈折率の差を実現するこ
とは困難である。そこで、本発明者らは、クロスダイク
ロイックプリズムを鋭意研究し、その結果、隣接させて
使用する三角プリズムをはじめから2個用意する従来か
ら知られた製造方法ではなく、2個のプリズム部材を第
1のダイクロイック膜を挟んで一旦接合して一体化して
接合部材とし、その後、接合面に直角な平面にて接合部
材を2個に切断して第1の接合部材と第2の接合部材と
し、さらに、このときの切断面を研磨して一方の研磨面
に第2のダイクロイック膜を形成し、これら研磨面を接
合することで、再度一体化して最終的にクロスダイクロ
イックプリズムを作製するという新規の製造方法を案出
した。つついて、本発明に係る、クロスダイクロイック
プリズムの製造方法について各工程ごとに詳述する。 (第1工程)図1に示すように、断面形状が同形の直角
二等辺三角形である2個の透明光学プリズム部材、すな
わち、第1のプリズム部材10と第2のプリズム部材2
0とを用意する。これら第1、第2のプリズム部材1
0、20は、光学ガラスによって形成したものであり、
本実施の形態1では、第1のプリズム部材10の長さL
10を第2のプリズム部材20の長さL20よりも長く
設定してある。また、これらプリズム部材10、20
は、直角部A、Aに相対するそれぞれの斜面10a、2
0aと、直角部A、Aを挟む側面10b、10b、20
b、20bと、上下の底面10c、10c、20c、2
0cとに、あらかじめ精度よく研削加工を施しておき、
全体として所定の形状、所定の精度を確保しておく。な
お、本発明においては、上述の第1のプリズム部材10
と第2のプリズム部材20との光学的屈折率の差は、特
に問題となることはない。したがって、第1のプリズム
部材10と第2のプリズム部材20とは、同一のロット
で作製されたものであっても、また、異なるロットで作
製されたものであってもよい。ここで、「同一のロット
で作製された」ということばは、同じロットでガラス熔
解されたという意味で使用するものとする。 (第2工程)第1、第2のプリズム部材10、20と
も、それぞれの斜面10a、20aと、側面10b、1
0b、20b、20bとを光学研磨する。 (第3工程)上述の第2工程において光学研磨した、第
1のプリズム部材10の斜面10aに、第1光(本実施
の形態ではB光)の反射特性を有する第1のダイクロイ
ック膜(以下「第1光反射ダイクロイック膜」という)
10Bを、真空蒸着法等の物理蒸着法によって形成す
る。なお、第2のプリズム部材20の斜面20aには、
第1光反射ダイクロイック膜10Bの形成は行わない。
この第3工程は、特許請求の範囲第3項における第I工
程に相当する。 (第4工程)第1のプリズム部材10側の第1光反射ダ
イクロイック膜10Bが形成された斜面10aと、第2
のプリズム部材20側の斜面20aとを接着剤にて接合
し、断面が正方形状の正四角柱状の接合部材50を作製
する。図1は、この接合部材50を斜め上方から見た斜
視図である。前述のように、第1のプリズム部材10の
長さL10は、第2のプリズム部材20の長さL20よ
りも長く作製してあり、接合時には、第1のプリズム部
材10の上端部及び下端部がはみ出し部10d、10e
として、第2のプリズム部材20の上端及び下端からほ
ぼ同じ長さだけはみ出すようにして接合する。これら、
はみ出し部10d、10eは、後述する第8工程で利用
されるものである。なお、本実施の形態1においては第
1のプリズム部材10は、第2のプリズム部材20より
も長いために、はみ出し部10d、10eにおいて、第
1光反射ダイクロイック膜10Bが露出することにな
る。以下、特に区別する必要がある場合には、第1光反
射ダイクロイック膜10Bのうち、はみ出し部10d、
10eにおいて露出する部分をそれぞれ露出部10B
d、10Beというものとする。なお、上述の第1、第
2のプリズム部材10、20の接合に使用される接着剤
としては、紫外線硬化型接着剤を使用した。これは、紫
外線をまず少し照射して接着剤を仮硬化させて接着状態
を観察し、接着剤層の均一性等を確認した後で本照射を
行い、接着剤を本硬化させることができるからである。
この第4工程は、特許請求の範囲第3項における第II
工程に相当する。 (第5工程)上述の第4工程で作製された接合部材50
を、第1のプリズム部材10と第2のプリズム部材20
との接合面に対して直角な平面(これは第1光反射ダイ
クロイック膜10Bに対して直角な平面と同じ)で切断
する。図2のその切断面Sを示す。この切断面Sは、第
1、第2のプリズム部材10、20のそれぞれの直角部
A、Aを通る。上述の切断により、接合部材50は、図
3に示すように、第1の接合部材30と第2の接合部材
40とに2分割される。これにより、第1のプリズム部
材10は、同形の2個の部材(以下「直角プリズム1
1、12」という)に2分割され、第2のプリズム部材
20も同様に、同形の2個の部材(以下「直角プリズム
21、22」という)に2分割される。そして、上述の
直角プリズム11と直角プリズム21とが接合された状
態の第1の接合部材30、及び直角プリズム12と直角
プリズム22とが接合された状態の第2の接合部材40
が得られる。このとき、直角プリズム11と直角プリズ
ム12とは、はじめは同一であった第1のプリズム部材
10を2個の部材に切断し分割したものであるため、こ
れら直角プリズム11、12の屈折率の差は極めて小さ
いものとすることができ、具体的には、0.00001
以下にすることができる。同様に、直角プリズム21と
直角プリズム22とについても、はじめは同一であった
第2のプリズム部材20を2個の部材に切断し分割した
ものであるため、これら直角プリズム21、22の屈折
率の差も極めて小さくすることができ、具体的には、上
述と同様に、0.00001以下にすることができる。
上述の接合部材50の、第1、第2の接合部材30、4
0への分割に伴い、前述の第1光反射ダイクロイック膜
10Bは、第1光反射ダイクロイック膜10B1 と第
1光反射ダイクロイック膜10B2 とに2分割される
ことになる。この第5工程は、特許請求の範囲第3項に
おける第III 工程に相当する。 (第6工程)上述の第5工程にて作製された、第1、第
2の接合部材30、40のそれぞれの切断面S、Sを研
削し、さらに光学研磨する。この一方の光学研磨面(以
下適宜「斜面30a」という)は、第1の接合部材30
を構成する直角プリズム11と直角プリズム21との接
合面(第1光反射ダイクロイック膜10B1 )に対し
て精度よく直角度を出す必要があり、同様に、他方の光
学研磨面(以下適宜「斜面40a」という)は、第2の
接合部材40を構成する直角プリズム12と直角プリズ
ム22との接合面(第1光反射ダイクロイック膜10B
2 )に対して精度よく直角度を出す必要がある。 (第7工程)第1、第2の接合部材30、40の斜面3
0a、40aのうちのいずれか一方に第2光(本実施の
形態1ではR光)の反射特性を有する第2のダイクロイ
ック膜(以下「第2光反射ダイクロイック膜」という)
30Rを真空蒸着法等の物理蒸着法にて形成する。この
ときの第2光反射ダイクロイック膜30Rの光学的接触
性(平面性)は、上述の第6工程及び本第7工程により
確実に担保される。なお、本実施の形態1においては、
第1の接合部材30の斜面30aに第2光反射ダイクロ
イック膜30Rを形成している(後述の図7参照)。こ
の第7工程は、特許請求の範囲第3項における第IV工
程に相当する。 (第8工程)第7工程で第2光反射ダイクロイック膜3
0Rが形成された第1の接合部材30の斜面30aと、
第2の接合部材40の斜面40aとを接着剤にて接合さ
せ、クロスダイクロイックプリズム1を作製する。図4
は、第1の接合部材30と第2の接合部材40とを、治
具60を使用して接合する様子を示す斜視図である。治
具60は、ガラス、プラスチック、セラミックス、又は
金属を素材として、断面コ字形に形成したものであり、
その2箇所に設けた基準面61、62は、所定精度で同
一平面上に配置され、さらに光学研磨をうけてそれぞれ
均一平面に仕上げられている。基準面61と基準面62
との間隔L30は、図1に示す第2のプリズム部材20
の長さL20よりも長く、かつ第1のプリズム部材10
の長さL10よりも短く設定されている。そして、図1
における第1のプリズム部材10のはみ出し部10d、
10eのうちの、第1の接合部材30側のはみ出し部を
それぞれはみ出し部10d1 、10e1 、また、第
2の接合部材40側のはみ出し部をそれぞれはみ出し部
10d2 、10e2 とすると、はみ出し部10d1
、10d2 が、基準面61に、また、はみ出し部1
0e1 、10e2 が基準面62にそれぞれ接触す
る。すなわち、前述の第1光反射ダイクロイック膜10
Bのうちの露出部10Bdが基準面61に、また、露出
部10Beが基準面62にそれぞれ接触する。この接触
を維持した状態で、図4に示すように、第1の接合部材
30と第2の接合部材40とを接合する。この接合に先
立ち、上述のように、露出部10Bdと基準面61と
を、また露出部10Beと基準面62とを接触させる際
に、それぞれ光学的に接触するようにすることが重要で
あり、その接触を実現することにより第1光反射ダイク
ロイック膜10B1 と第1光反射ダイクロイック膜1
0B2 との平面度を担保することができる。なお、各
基準面61、62には、それぞれ図4に示すような溝6
3(ただし図4では、基準面61側の溝63のみを図
示)を形成してあり、接着時に接着剤が接合面から垂れ
た場合においても、接着剤が基準面61、62を汚染す
ることがないようにしてある。図5に、図4のX線矢視
図を示す。第1、第2の接合部材30、40のはみ出し
部10d1 、10d2 と基準面61との光学的接触
性(平面性)、及び第1、第2の接合部材30、40の
はみ出し部10e1 、10e2 と基準面62との光
学的接触性(平面性)は、例えば、第1光反射ダイクロ
イック膜10B1 、10B2 と基準面61、62と
の間に発生するニユートン縞を観察することにより確認
してもよいし、又は、図5に示すように、オ一トコリメ
ータ71からの出射光を、オートコリメータ72を受光
器として使用して光学的接触性(平面性)を確認するよ
うにしてもよい。このように、光学的接触性(平面性)
を確認して、必要に応じてその調整を行った上で接着剤
を硬化させるとよい。使用する接着剤は、前述と同じ理
由で、紫外線硬化型接着剤とした。図6は、上述の第1
工程から第8工程によって作製されたクロスダイクロイ
ックプリズム1の概略構成を示す斜視であり、また、図
7は、その水平断面を示す拡大図である。この第8工程
は、特許請求の範囲第3項における第V工程に相当す
る。 (第9工程)さらに、第9工程として、上述の第8工程
の後に、反射防止効果膜を図6の側面10b、10b、
20b、20bに形成するようにしてもよい。本実施の
形態1に係るクロスダイクロイックプリズムの製造方法
によって作製されたクロスダイクロイックプリズム1
は、図7に示すように、前述の第5工程で2分割された
第1光反射ダイクロイック膜10Bのうちの、第1の接
合部材30側の第1光反射ダイクロイック膜10B1
と第2の接合部材40側の第1光反射ダイクロイック膜
10B2 とを同一平面上に配置することができ、か
つ、第2光反射ダイクロイック膜30Rももちろん同一
平面上に配置することができる。上述の実施の形態1に
おいては、上述の第1工程で、第1のプリズム部材10
の長さL10を第2のプリズム部材20の長さL20よ
りも長く設定したが、この逆に設定することもできる。
この場合には、第1の接合部材30及び第2の接合部材
40のはみ出し部10d1 、10e1 、10d2
、10e2 には第1光反射ダイクロイック膜10B
が露出せず、第2のプリズム部材20の研磨面が露出
し、さらに、第7工程において、基準面61、62と接
触するのはこの研磨面となり、図5のオ一トコリメータ
71からの出射光は接着剤を透過して第2光反射ダイク
ロイック膜30Rにて反射する光が受け側のオ一トコリ
メータ72に入射されることとなるために、第1の接続
部材30と第2の接続部材40との間の接着剤の厚みを
一定にすることが重要となる。厚みが一定でない場合に
は、この計測では意味をなさない。なぜなら、第1の接
合部材30、第2の接合部材40の第1光反射ダイクロ
イック膜10B1 、10B2 の傾きならば測定可能
であるが、これらが段差を生じている場合にはその量の
測定は不可能であるからである。なお、光学的接触性
(平面性)をニュートン縞にて観測する場合にも同様な
ことが言える。さらに、本実施の形態1に係るクロスダ
イクロイックプリズムの製造方法においては、第3工程
において、第1のプリズム部材10の斜面10aに形成
した第1光反射ダイクロイック膜10Bは、B光反射ダ
イクロイック膜とし、第7工程において第1の接合部材
30の斜面30aに形成した第2光反射ダイクロイック
膜30Rは、R光反射ダイクロイック膜としたが、この
逆の順に形成、すなわち、はじめに第1のプリズム部材
10の斜面10aに形成するダイクロイック膜をR光反
射用とし、後に第1の接合部材30の斜面30aに形成
するダイクロイック膜をB光反射用とすることも可能で
ある。本実施の形態1では、上述のように、第6工程に
おいて第1の接合部材30の斜面30aを研磨し、第7
工程において第2光反射ダイクロイック膜30Rを斜面
30aに形成することにより、その形状及び平面性を担
保する方法を採用している。これによると、第1光反射
ダイクロイック膜10Bの平面性よりも、第2光反射ダ
イクロイック膜30Rの平面性をさらに一層良好なもの
とすることができる。一般に、R光とB光とを比較した
場合、R光の方が視感度がよいことが知られている。こ
のことを考慮すると、上述の、B光反射用の第1光反射
ダイクロイック10Bを先に形成し、その後、R光反射
用の第2光反射ダイクロイック膜30Rを形成する製造
方法は、好ましいものであるといえる。本実施の形態1
に係るダイクロイックプリズムの製造方法では、第8工
程において、クロスダイクロイックプリズム1を作製す
るのに、基準面61に対する第1の接合部材30と第2
の接合部材40とのはみ出し量をほぼ同じであるとし
た。しかし、このはみ出し量は同じである必要はない。
すなわち、第1の接合部材30と第2の接合部材40と
のはみ出し量を長さ方向の両側にて異なったはみ出し量
として作製することができる。このようにして作製され
たダイクロイックプリズムの斜視図を図8に示す。はみ
出し量の最も多い部分11Aを有する構成とすることが
できる。この構成の場合には、部分11Aの底面11A
1 の平面性を確保し、また第1工程での第1のプリズ
ム部材10の斜面10a、側面10b、10bに対する
底面11A1 の直角度を出すようにしておけば、クロ
スダイクロイックプリズムの作製後に、この底面11A
1 を基準面として使用することができる。すなわち、
この底面11A1 を、クロスダイクロイックプリズム
を最終的に直方体又は立方体形状に仕上げる際の基準面
として使用したり、後述の投射装置への取付けの際の基
準面として使用したりすることができる。以上述べたよ
うに、本実施の形態1に係るクロスダイクロイックプリ
ズム1の製造方法によると、はじめに用意する第1、第
2のプリズム部材10、20は2個であり、これらプリ
ズム部材10、20を接着してから切断するという工程
を採用するため、はじめは一体で後に2分割された隣接
する2個の直角プリズム(直角プリズム11と直角プリ
ズム12、及び直角プリズム21と直角プリズム22)
については、ぞれぞれ屈折率の差を0.00001以下
とすることができる。また、クロスダイクロイックプリ
ズム1の内部に形成されたB光反射用の第1光反射ダイ
クロイック膜10BとR光反射用の第2光反射ダイクロ
イック膜30Rとは、相互に直交するX型に配置される
が、その中心を隔てても第1光反射ダイクロイック膜1
0B1 と大光反射ダイクロイック膜10B2 とを同
一平面に精度よく配置することができ、もちろん分割さ
れない第2光反射ダイクロイック膜30Rの平面性も確
保することができる。したがって、これら第1光反射ダ
イクロイック膜10B及び第2光反射ダイクロイック膜
30Rによる各色入射光の影響を除去することができ
る。 〈実施の形態2〉本発明に係るクロスダイクロイックプ
リズム1について、上述の実施の形態1のような製造方
法を採用することにより、1つの直角プリズム11とこ
の1つの直角プリズム11に隣接する一方の直角プリズ
ム12とで第1組を構成し、また、上述の1つの直角プ
リズム11に隣接する他方の直角プリズム21と1つの
直角プリズム11に隣接しない直角プリズム22とで第
2組を構成したときに、同じ組を構成する2個の隣接す
る直角プリズム11、12の屈折率の差、及び直角プリ
ズム21、22の屈折率の差をいずれも0.00001
以下にすることができる。 〈実施の形態3〉図9に、本発明に係るクロスダイクロ
イックプリズム1を、投射装置に適用した例を示す。同
図のクロスダイクロイックプリズム1は、4個の直角プ
リズム11、12、21、22を有し、直角プリズム1
1、12が同一の第1のプリズム部材10から切断して
作製されたものであり、また直角プリズム21、22が
同一の第2のプリズム部材20から切断して作製された
ものである。本実施の形態3では、ライトバルブLV
は、透過型のものを使用している。ライトバルブLVか
ら光軸に平行に、同図のクロスダイクロイックプリズム
1の左側と右側とにそれぞれ下方から入射する光線i1
とi2 を想定し、両光線i1 、i2 がクロスダ
イクロイックプリズム1からの射出後になす角度θに対
し、光軸であってライトバルブLVを射出して、クロス
ダイクロイックプリズム1の射出面1aまでの光路の空
気換算長をL(=L0 +L1 /n、ただしnはクロ
スダイクロイックプリズム1の屈折率)とすると、画素
ズレ量△Lは、 △L=L・tanθ ……(1) となる。ここで、クロスダイクロイックプリズム1の断
面が、一辺L1 (=40mm)であって、ライトバル
ブLVが入射面1bに近接して配置されている(L0=
0)とすると、空気換算長Lは26.7mmとなる。次
に、隣接する2個の直角プリズムの屈折率の差が、 0.0001、 0.0005(従来例と同じ)、 0.00005(従来例の1/10)、 0.00001(従来例の1/50) のそれぞれの場合について、具体的な数値をあげて比較
する。 クロスダイクロイックプリズム1の各直角プリズム1
1、12、21、22のそれぞれの屈折率n1 、n2
、n3 、n4 がこの順に、1.500100、
1.500000、1.500000、1.50010
0であったとする(すなわち、隣接する直角プリズムの
屈折率の差が0.0001の場合に相当)と、そのズレ
量は11μmと計算される。これはライトバルブLVの
画素ピッチが40μmのときには十分な値であるが、半
分の画素ピッチの20μmとなると、ほぼ1/2ピッチ
を満たすのがやっとであり、好ましいとされる1/3ピ
ッチ以内は満足することができない。 なお、屈折率n1 、n2 、n3 、n4 がこの
順に、1.500500、1.500000、1.50
0000、1.500500であるとし(すなわち、隣
接する直角プリズムの屈折率の差が0.0005の場合
に相当し、これは前述の従来例の許容範囲内の最大値で
ある。)、同様の大きさ、同形状のクロスダイクロイッ
クプリズム1及びライトバルブLVの配置とすると、こ
のときのズレ量は53μmとなり、「発明が解決しよう
とする課題」に記載したとおり、40μmの画素ピッチ
を有するライトバルブLVでは、1画素以上のズレが発
生してしまうことになる。 これに対し、例えば、屈折率n1 、n2 、n3
、n4 がこの順に、1.500050、1.500
000、1.500000、1.500050と、上述
のに比して、隣接する屈折率の差が半分の0.000
05となった場合は、同様のクロスダイクロイックプリ
ズム1及びライトバルブLVの設定の場合、(1) 式
から求めたズレ量は5μmとなり、画素ピッチが40μ
mはもちろん20μmの高精細の場合にも1/3ピッチ
以内のズレ量に抑えることができる。 さらに、本願発明にように、屈折率n1 、n2 、
n3 、n4 がこの順に、1.500010、1.5
00000、1.500010、1.500000の場
合、すなわち隣接する直角プリズムの屈折率の差がの
1/10の0.00001になった場合、クロスダイク
ロイックプリズム1が同様に一辺40mmの正方形の断
面形状を有していると、そのズレ量は1μm程度とな
り、ライトバルブLVの画素ピッチが20μmであって
も、まったく問題は発生しないといえる。この屈折率の
差を有する場合には、クロスダイクロイックプリズム1
の断面の一辺が150mmであったとしても、この屈折
率の差に起因するズレ量は4μmとなり、1/3ピッチ
以内に入る値であって、十分である。この150mmの
一辺の大きさのクロスダイクロイックプリズム1は現状
では大きさとして十分な大きさを有しており、現時点で
は、これ以上の大きさを想定する必要はほとんどない。
したがって、クロスダイクロイックプリズム1を構成す
る、隣接する直角プリズムの屈折率の差を0.0000
1以内とすることにより、高精細な画素ピッチを有する
ライトバルブにまで対応することができるようになる。
施の形態について説明する。 〈実施の形態1〉まず、本発明に係る、クロスダイクロ
イックプリズムの製造方法についてその概略を説明す
る。従来技術で引用した公報には、屈折率の差を0.0
005以内のプリズム部材を得ることは決してやさしい
ものではなく、同一製造ロットにて作製したプリズム部
材を使用しないと得ることが困難であると記載されてい
る。しかし、同一製造ロットとした場合においても、上
述の屈折率の差0.0005以内は実現できるものの、
例えばその1/5の0.0001以内、さらにはもう1
桁小さい0.00001以下の屈折率の差を実現するこ
とは困難である。そこで、本発明者らは、クロスダイク
ロイックプリズムを鋭意研究し、その結果、隣接させて
使用する三角プリズムをはじめから2個用意する従来か
ら知られた製造方法ではなく、2個のプリズム部材を第
1のダイクロイック膜を挟んで一旦接合して一体化して
接合部材とし、その後、接合面に直角な平面にて接合部
材を2個に切断して第1の接合部材と第2の接合部材と
し、さらに、このときの切断面を研磨して一方の研磨面
に第2のダイクロイック膜を形成し、これら研磨面を接
合することで、再度一体化して最終的にクロスダイクロ
イックプリズムを作製するという新規の製造方法を案出
した。つついて、本発明に係る、クロスダイクロイック
プリズムの製造方法について各工程ごとに詳述する。 (第1工程)図1に示すように、断面形状が同形の直角
二等辺三角形である2個の透明光学プリズム部材、すな
わち、第1のプリズム部材10と第2のプリズム部材2
0とを用意する。これら第1、第2のプリズム部材1
0、20は、光学ガラスによって形成したものであり、
本実施の形態1では、第1のプリズム部材10の長さL
10を第2のプリズム部材20の長さL20よりも長く
設定してある。また、これらプリズム部材10、20
は、直角部A、Aに相対するそれぞれの斜面10a、2
0aと、直角部A、Aを挟む側面10b、10b、20
b、20bと、上下の底面10c、10c、20c、2
0cとに、あらかじめ精度よく研削加工を施しておき、
全体として所定の形状、所定の精度を確保しておく。な
お、本発明においては、上述の第1のプリズム部材10
と第2のプリズム部材20との光学的屈折率の差は、特
に問題となることはない。したがって、第1のプリズム
部材10と第2のプリズム部材20とは、同一のロット
で作製されたものであっても、また、異なるロットで作
製されたものであってもよい。ここで、「同一のロット
で作製された」ということばは、同じロットでガラス熔
解されたという意味で使用するものとする。 (第2工程)第1、第2のプリズム部材10、20と
も、それぞれの斜面10a、20aと、側面10b、1
0b、20b、20bとを光学研磨する。 (第3工程)上述の第2工程において光学研磨した、第
1のプリズム部材10の斜面10aに、第1光(本実施
の形態ではB光)の反射特性を有する第1のダイクロイ
ック膜(以下「第1光反射ダイクロイック膜」という)
10Bを、真空蒸着法等の物理蒸着法によって形成す
る。なお、第2のプリズム部材20の斜面20aには、
第1光反射ダイクロイック膜10Bの形成は行わない。
この第3工程は、特許請求の範囲第3項における第I工
程に相当する。 (第4工程)第1のプリズム部材10側の第1光反射ダ
イクロイック膜10Bが形成された斜面10aと、第2
のプリズム部材20側の斜面20aとを接着剤にて接合
し、断面が正方形状の正四角柱状の接合部材50を作製
する。図1は、この接合部材50を斜め上方から見た斜
視図である。前述のように、第1のプリズム部材10の
長さL10は、第2のプリズム部材20の長さL20よ
りも長く作製してあり、接合時には、第1のプリズム部
材10の上端部及び下端部がはみ出し部10d、10e
として、第2のプリズム部材20の上端及び下端からほ
ぼ同じ長さだけはみ出すようにして接合する。これら、
はみ出し部10d、10eは、後述する第8工程で利用
されるものである。なお、本実施の形態1においては第
1のプリズム部材10は、第2のプリズム部材20より
も長いために、はみ出し部10d、10eにおいて、第
1光反射ダイクロイック膜10Bが露出することにな
る。以下、特に区別する必要がある場合には、第1光反
射ダイクロイック膜10Bのうち、はみ出し部10d、
10eにおいて露出する部分をそれぞれ露出部10B
d、10Beというものとする。なお、上述の第1、第
2のプリズム部材10、20の接合に使用される接着剤
としては、紫外線硬化型接着剤を使用した。これは、紫
外線をまず少し照射して接着剤を仮硬化させて接着状態
を観察し、接着剤層の均一性等を確認した後で本照射を
行い、接着剤を本硬化させることができるからである。
この第4工程は、特許請求の範囲第3項における第II
工程に相当する。 (第5工程)上述の第4工程で作製された接合部材50
を、第1のプリズム部材10と第2のプリズム部材20
との接合面に対して直角な平面(これは第1光反射ダイ
クロイック膜10Bに対して直角な平面と同じ)で切断
する。図2のその切断面Sを示す。この切断面Sは、第
1、第2のプリズム部材10、20のそれぞれの直角部
A、Aを通る。上述の切断により、接合部材50は、図
3に示すように、第1の接合部材30と第2の接合部材
40とに2分割される。これにより、第1のプリズム部
材10は、同形の2個の部材(以下「直角プリズム1
1、12」という)に2分割され、第2のプリズム部材
20も同様に、同形の2個の部材(以下「直角プリズム
21、22」という)に2分割される。そして、上述の
直角プリズム11と直角プリズム21とが接合された状
態の第1の接合部材30、及び直角プリズム12と直角
プリズム22とが接合された状態の第2の接合部材40
が得られる。このとき、直角プリズム11と直角プリズ
ム12とは、はじめは同一であった第1のプリズム部材
10を2個の部材に切断し分割したものであるため、こ
れら直角プリズム11、12の屈折率の差は極めて小さ
いものとすることができ、具体的には、0.00001
以下にすることができる。同様に、直角プリズム21と
直角プリズム22とについても、はじめは同一であった
第2のプリズム部材20を2個の部材に切断し分割した
ものであるため、これら直角プリズム21、22の屈折
率の差も極めて小さくすることができ、具体的には、上
述と同様に、0.00001以下にすることができる。
上述の接合部材50の、第1、第2の接合部材30、4
0への分割に伴い、前述の第1光反射ダイクロイック膜
10Bは、第1光反射ダイクロイック膜10B1 と第
1光反射ダイクロイック膜10B2 とに2分割される
ことになる。この第5工程は、特許請求の範囲第3項に
おける第III 工程に相当する。 (第6工程)上述の第5工程にて作製された、第1、第
2の接合部材30、40のそれぞれの切断面S、Sを研
削し、さらに光学研磨する。この一方の光学研磨面(以
下適宜「斜面30a」という)は、第1の接合部材30
を構成する直角プリズム11と直角プリズム21との接
合面(第1光反射ダイクロイック膜10B1 )に対し
て精度よく直角度を出す必要があり、同様に、他方の光
学研磨面(以下適宜「斜面40a」という)は、第2の
接合部材40を構成する直角プリズム12と直角プリズ
ム22との接合面(第1光反射ダイクロイック膜10B
2 )に対して精度よく直角度を出す必要がある。 (第7工程)第1、第2の接合部材30、40の斜面3
0a、40aのうちのいずれか一方に第2光(本実施の
形態1ではR光)の反射特性を有する第2のダイクロイ
ック膜(以下「第2光反射ダイクロイック膜」という)
30Rを真空蒸着法等の物理蒸着法にて形成する。この
ときの第2光反射ダイクロイック膜30Rの光学的接触
性(平面性)は、上述の第6工程及び本第7工程により
確実に担保される。なお、本実施の形態1においては、
第1の接合部材30の斜面30aに第2光反射ダイクロ
イック膜30Rを形成している(後述の図7参照)。こ
の第7工程は、特許請求の範囲第3項における第IV工
程に相当する。 (第8工程)第7工程で第2光反射ダイクロイック膜3
0Rが形成された第1の接合部材30の斜面30aと、
第2の接合部材40の斜面40aとを接着剤にて接合さ
せ、クロスダイクロイックプリズム1を作製する。図4
は、第1の接合部材30と第2の接合部材40とを、治
具60を使用して接合する様子を示す斜視図である。治
具60は、ガラス、プラスチック、セラミックス、又は
金属を素材として、断面コ字形に形成したものであり、
その2箇所に設けた基準面61、62は、所定精度で同
一平面上に配置され、さらに光学研磨をうけてそれぞれ
均一平面に仕上げられている。基準面61と基準面62
との間隔L30は、図1に示す第2のプリズム部材20
の長さL20よりも長く、かつ第1のプリズム部材10
の長さL10よりも短く設定されている。そして、図1
における第1のプリズム部材10のはみ出し部10d、
10eのうちの、第1の接合部材30側のはみ出し部を
それぞれはみ出し部10d1 、10e1 、また、第
2の接合部材40側のはみ出し部をそれぞれはみ出し部
10d2 、10e2 とすると、はみ出し部10d1
、10d2 が、基準面61に、また、はみ出し部1
0e1 、10e2 が基準面62にそれぞれ接触す
る。すなわち、前述の第1光反射ダイクロイック膜10
Bのうちの露出部10Bdが基準面61に、また、露出
部10Beが基準面62にそれぞれ接触する。この接触
を維持した状態で、図4に示すように、第1の接合部材
30と第2の接合部材40とを接合する。この接合に先
立ち、上述のように、露出部10Bdと基準面61と
を、また露出部10Beと基準面62とを接触させる際
に、それぞれ光学的に接触するようにすることが重要で
あり、その接触を実現することにより第1光反射ダイク
ロイック膜10B1 と第1光反射ダイクロイック膜1
0B2 との平面度を担保することができる。なお、各
基準面61、62には、それぞれ図4に示すような溝6
3(ただし図4では、基準面61側の溝63のみを図
示)を形成してあり、接着時に接着剤が接合面から垂れ
た場合においても、接着剤が基準面61、62を汚染す
ることがないようにしてある。図5に、図4のX線矢視
図を示す。第1、第2の接合部材30、40のはみ出し
部10d1 、10d2 と基準面61との光学的接触
性(平面性)、及び第1、第2の接合部材30、40の
はみ出し部10e1 、10e2 と基準面62との光
学的接触性(平面性)は、例えば、第1光反射ダイクロ
イック膜10B1 、10B2 と基準面61、62と
の間に発生するニユートン縞を観察することにより確認
してもよいし、又は、図5に示すように、オ一トコリメ
ータ71からの出射光を、オートコリメータ72を受光
器として使用して光学的接触性(平面性)を確認するよ
うにしてもよい。このように、光学的接触性(平面性)
を確認して、必要に応じてその調整を行った上で接着剤
を硬化させるとよい。使用する接着剤は、前述と同じ理
由で、紫外線硬化型接着剤とした。図6は、上述の第1
工程から第8工程によって作製されたクロスダイクロイ
ックプリズム1の概略構成を示す斜視であり、また、図
7は、その水平断面を示す拡大図である。この第8工程
は、特許請求の範囲第3項における第V工程に相当す
る。 (第9工程)さらに、第9工程として、上述の第8工程
の後に、反射防止効果膜を図6の側面10b、10b、
20b、20bに形成するようにしてもよい。本実施の
形態1に係るクロスダイクロイックプリズムの製造方法
によって作製されたクロスダイクロイックプリズム1
は、図7に示すように、前述の第5工程で2分割された
第1光反射ダイクロイック膜10Bのうちの、第1の接
合部材30側の第1光反射ダイクロイック膜10B1
と第2の接合部材40側の第1光反射ダイクロイック膜
10B2 とを同一平面上に配置することができ、か
つ、第2光反射ダイクロイック膜30Rももちろん同一
平面上に配置することができる。上述の実施の形態1に
おいては、上述の第1工程で、第1のプリズム部材10
の長さL10を第2のプリズム部材20の長さL20よ
りも長く設定したが、この逆に設定することもできる。
この場合には、第1の接合部材30及び第2の接合部材
40のはみ出し部10d1 、10e1 、10d2
、10e2 には第1光反射ダイクロイック膜10B
が露出せず、第2のプリズム部材20の研磨面が露出
し、さらに、第7工程において、基準面61、62と接
触するのはこの研磨面となり、図5のオ一トコリメータ
71からの出射光は接着剤を透過して第2光反射ダイク
ロイック膜30Rにて反射する光が受け側のオ一トコリ
メータ72に入射されることとなるために、第1の接続
部材30と第2の接続部材40との間の接着剤の厚みを
一定にすることが重要となる。厚みが一定でない場合に
は、この計測では意味をなさない。なぜなら、第1の接
合部材30、第2の接合部材40の第1光反射ダイクロ
イック膜10B1 、10B2 の傾きならば測定可能
であるが、これらが段差を生じている場合にはその量の
測定は不可能であるからである。なお、光学的接触性
(平面性)をニュートン縞にて観測する場合にも同様な
ことが言える。さらに、本実施の形態1に係るクロスダ
イクロイックプリズムの製造方法においては、第3工程
において、第1のプリズム部材10の斜面10aに形成
した第1光反射ダイクロイック膜10Bは、B光反射ダ
イクロイック膜とし、第7工程において第1の接合部材
30の斜面30aに形成した第2光反射ダイクロイック
膜30Rは、R光反射ダイクロイック膜としたが、この
逆の順に形成、すなわち、はじめに第1のプリズム部材
10の斜面10aに形成するダイクロイック膜をR光反
射用とし、後に第1の接合部材30の斜面30aに形成
するダイクロイック膜をB光反射用とすることも可能で
ある。本実施の形態1では、上述のように、第6工程に
おいて第1の接合部材30の斜面30aを研磨し、第7
工程において第2光反射ダイクロイック膜30Rを斜面
30aに形成することにより、その形状及び平面性を担
保する方法を採用している。これによると、第1光反射
ダイクロイック膜10Bの平面性よりも、第2光反射ダ
イクロイック膜30Rの平面性をさらに一層良好なもの
とすることができる。一般に、R光とB光とを比較した
場合、R光の方が視感度がよいことが知られている。こ
のことを考慮すると、上述の、B光反射用の第1光反射
ダイクロイック10Bを先に形成し、その後、R光反射
用の第2光反射ダイクロイック膜30Rを形成する製造
方法は、好ましいものであるといえる。本実施の形態1
に係るダイクロイックプリズムの製造方法では、第8工
程において、クロスダイクロイックプリズム1を作製す
るのに、基準面61に対する第1の接合部材30と第2
の接合部材40とのはみ出し量をほぼ同じであるとし
た。しかし、このはみ出し量は同じである必要はない。
すなわち、第1の接合部材30と第2の接合部材40と
のはみ出し量を長さ方向の両側にて異なったはみ出し量
として作製することができる。このようにして作製され
たダイクロイックプリズムの斜視図を図8に示す。はみ
出し量の最も多い部分11Aを有する構成とすることが
できる。この構成の場合には、部分11Aの底面11A
1 の平面性を確保し、また第1工程での第1のプリズ
ム部材10の斜面10a、側面10b、10bに対する
底面11A1 の直角度を出すようにしておけば、クロ
スダイクロイックプリズムの作製後に、この底面11A
1 を基準面として使用することができる。すなわち、
この底面11A1 を、クロスダイクロイックプリズム
を最終的に直方体又は立方体形状に仕上げる際の基準面
として使用したり、後述の投射装置への取付けの際の基
準面として使用したりすることができる。以上述べたよ
うに、本実施の形態1に係るクロスダイクロイックプリ
ズム1の製造方法によると、はじめに用意する第1、第
2のプリズム部材10、20は2個であり、これらプリ
ズム部材10、20を接着してから切断するという工程
を採用するため、はじめは一体で後に2分割された隣接
する2個の直角プリズム(直角プリズム11と直角プリ
ズム12、及び直角プリズム21と直角プリズム22)
については、ぞれぞれ屈折率の差を0.00001以下
とすることができる。また、クロスダイクロイックプリ
ズム1の内部に形成されたB光反射用の第1光反射ダイ
クロイック膜10BとR光反射用の第2光反射ダイクロ
イック膜30Rとは、相互に直交するX型に配置される
が、その中心を隔てても第1光反射ダイクロイック膜1
0B1 と大光反射ダイクロイック膜10B2 とを同
一平面に精度よく配置することができ、もちろん分割さ
れない第2光反射ダイクロイック膜30Rの平面性も確
保することができる。したがって、これら第1光反射ダ
イクロイック膜10B及び第2光反射ダイクロイック膜
30Rによる各色入射光の影響を除去することができ
る。 〈実施の形態2〉本発明に係るクロスダイクロイックプ
リズム1について、上述の実施の形態1のような製造方
法を採用することにより、1つの直角プリズム11とこ
の1つの直角プリズム11に隣接する一方の直角プリズ
ム12とで第1組を構成し、また、上述の1つの直角プ
リズム11に隣接する他方の直角プリズム21と1つの
直角プリズム11に隣接しない直角プリズム22とで第
2組を構成したときに、同じ組を構成する2個の隣接す
る直角プリズム11、12の屈折率の差、及び直角プリ
ズム21、22の屈折率の差をいずれも0.00001
以下にすることができる。 〈実施の形態3〉図9に、本発明に係るクロスダイクロ
イックプリズム1を、投射装置に適用した例を示す。同
図のクロスダイクロイックプリズム1は、4個の直角プ
リズム11、12、21、22を有し、直角プリズム1
1、12が同一の第1のプリズム部材10から切断して
作製されたものであり、また直角プリズム21、22が
同一の第2のプリズム部材20から切断して作製された
ものである。本実施の形態3では、ライトバルブLV
は、透過型のものを使用している。ライトバルブLVか
ら光軸に平行に、同図のクロスダイクロイックプリズム
1の左側と右側とにそれぞれ下方から入射する光線i1
とi2 を想定し、両光線i1 、i2 がクロスダ
イクロイックプリズム1からの射出後になす角度θに対
し、光軸であってライトバルブLVを射出して、クロス
ダイクロイックプリズム1の射出面1aまでの光路の空
気換算長をL(=L0 +L1 /n、ただしnはクロ
スダイクロイックプリズム1の屈折率)とすると、画素
ズレ量△Lは、 △L=L・tanθ ……(1) となる。ここで、クロスダイクロイックプリズム1の断
面が、一辺L1 (=40mm)であって、ライトバル
ブLVが入射面1bに近接して配置されている(L0=
0)とすると、空気換算長Lは26.7mmとなる。次
に、隣接する2個の直角プリズムの屈折率の差が、 0.0001、 0.0005(従来例と同じ)、 0.00005(従来例の1/10)、 0.00001(従来例の1/50) のそれぞれの場合について、具体的な数値をあげて比較
する。 クロスダイクロイックプリズム1の各直角プリズム1
1、12、21、22のそれぞれの屈折率n1 、n2
、n3 、n4 がこの順に、1.500100、
1.500000、1.500000、1.50010
0であったとする(すなわち、隣接する直角プリズムの
屈折率の差が0.0001の場合に相当)と、そのズレ
量は11μmと計算される。これはライトバルブLVの
画素ピッチが40μmのときには十分な値であるが、半
分の画素ピッチの20μmとなると、ほぼ1/2ピッチ
を満たすのがやっとであり、好ましいとされる1/3ピ
ッチ以内は満足することができない。 なお、屈折率n1 、n2 、n3 、n4 がこの
順に、1.500500、1.500000、1.50
0000、1.500500であるとし(すなわち、隣
接する直角プリズムの屈折率の差が0.0005の場合
に相当し、これは前述の従来例の許容範囲内の最大値で
ある。)、同様の大きさ、同形状のクロスダイクロイッ
クプリズム1及びライトバルブLVの配置とすると、こ
のときのズレ量は53μmとなり、「発明が解決しよう
とする課題」に記載したとおり、40μmの画素ピッチ
を有するライトバルブLVでは、1画素以上のズレが発
生してしまうことになる。 これに対し、例えば、屈折率n1 、n2 、n3
、n4 がこの順に、1.500050、1.500
000、1.500000、1.500050と、上述
のに比して、隣接する屈折率の差が半分の0.000
05となった場合は、同様のクロスダイクロイックプリ
ズム1及びライトバルブLVの設定の場合、(1) 式
から求めたズレ量は5μmとなり、画素ピッチが40μ
mはもちろん20μmの高精細の場合にも1/3ピッチ
以内のズレ量に抑えることができる。 さらに、本願発明にように、屈折率n1 、n2 、
n3 、n4 がこの順に、1.500010、1.5
00000、1.500010、1.500000の場
合、すなわち隣接する直角プリズムの屈折率の差がの
1/10の0.00001になった場合、クロスダイク
ロイックプリズム1が同様に一辺40mmの正方形の断
面形状を有していると、そのズレ量は1μm程度とな
り、ライトバルブLVの画素ピッチが20μmであって
も、まったく問題は発生しないといえる。この屈折率の
差を有する場合には、クロスダイクロイックプリズム1
の断面の一辺が150mmであったとしても、この屈折
率の差に起因するズレ量は4μmとなり、1/3ピッチ
以内に入る値であって、十分である。この150mmの
一辺の大きさのクロスダイクロイックプリズム1は現状
では大きさとして十分な大きさを有しており、現時点で
は、これ以上の大きさを想定する必要はほとんどない。
したがって、クロスダイクロイックプリズム1を構成す
る、隣接する直角プリズムの屈折率の差を0.0000
1以内とすることにより、高精細な画素ピッチを有する
ライトバルブにまで対応することができるようになる。
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るクロ
スダイクロイックプリズムの製造方法によると、隣接す
る2個の直角プリズムは、はじめは1個の同一のプリズ
ム部材であったものを切断して2分割して作製している
ため、これら直角プリズム間の屈折率の差を極めて小さ
く、具体的には、0.00001以下とすることができ
る。したがって、例えば、このクロスダイクロイックプ
リズムを投射装置に適用した場合には、直角プリズム間
の屈折率の差に起因して発生する画素ズレを格段に小さ
くすることが可能となる。
スダイクロイックプリズムの製造方法によると、隣接す
る2個の直角プリズムは、はじめは1個の同一のプリズ
ム部材であったものを切断して2分割して作製している
ため、これら直角プリズム間の屈折率の差を極めて小さ
く、具体的には、0.00001以下とすることができ
る。したがって、例えば、このクロスダイクロイックプ
リズムを投射装置に適用した場合には、直角プリズム間
の屈折率の差に起因して発生する画素ズレを格段に小さ
くすることが可能となる。
【図1】第1の接合部材と第2の接合部材とを接合して
構成した接合部材を示す斜視図。
構成した接合部材を示す斜視図。
【図2】接合部材のおける、第1光反射ダイクロイック
膜10Bに直角な切断面を示す図。
膜10Bに直角な切断面を示す図。
【図3】第1接合部材、及び第2接合部材の斜視図。
【図4】治具を使用して、第1の接合部材と第2の接合
部材とを接合する様子を示す斜視図。
部材とを接合する様子を示す斜視図。
【図5】図4のX線斜視図であり、オ一トコリメータに
よって光学的接触性を測定する様子を示す図。
よって光学的接触性を測定する様子を示す図。
【図6】クロスダイクロイックプリズムの構成を示す斜
視図。
視図。
【図7】図6の水平断面を示す拡大図。
【図8】第1接合部材と第2接合部材とのはみ出し量を
変えた場合のクロスダイクロイックプリズムを示す斜視
図。
変えた場合のクロスダイクロイックプリズムを示す斜視
図。
【図9】投射装置において、クロスダイクロイックプリ
ズムに入射する光軸に平行な2光線の偏角を説明する
図。
ズムに入射する光軸に平行な2光線の偏角を説明する
図。
【図10】投射装置の概略構成を示す図。
【図11】従来のクロスダイクイップリズムの斜視図。
1 クロスダイクロイックプリズム 10 第1のプリズム部材 10a、20a、30a、40a 斜面 10b、20b 側面 10B、10B1 、10B2 第1のダイクロ
イック膜(第1光反射ダイクロイック膜) 11、12、21、22 直角プリズム 20 第2のプリズム部材 30 第1の接合部材 30R 第2のダイクロイック膜(第2光反射ダイ
クロイック膜) 40 第2の接合部材 50 接合部材 A 直角部 S 切断面
イック膜(第1光反射ダイクロイック膜) 11、12、21、22 直角プリズム 20 第2のプリズム部材 30 第1の接合部材 30R 第2のダイクロイック膜(第2光反射ダイ
クロイック膜) 40 第2の接合部材 50 接合部材 A 直角部 S 切断面
Claims (3)
- 【請求項1】 直角二等辺三角形状の断面を有し、その
直角部を合わせるようにして相互に接着固定された4個
の直角プリズムと、これら直角プリズムのうちの相互に
隣接する直角プリズム間に形成された断面X字形のダイ
クロイック膜とを備えたクロスダイクロイックプリズム
において、 1つの直角プリズムと該1つの直角プリズ
ムに隣接する一方の直角プリズムとによって第1組を構
成し、前記1つの直角プリズムに隣接する他方の直角プ
リズムと前記1つの直角プリズムに隣接しない直角プリ
ズムとによって第2組を構成したときに、同じ組を構成
する2個の隣接する直角プリズムの屈折率の差が0.0
0001以下である、 ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズム。 - 【請求項2】 前記同じ組を構成する2個の隣接する直
角プリズムは、1個の同一のプリズム部材を切断して形
成する、 ことを特徴とする請求項1記載のクロスダイクロイック
プリズム。 - 【請求項3】 直角二等辺三角形状の断面を有し、その
直角部を合わせるようにして相互に接着固定された4個
の直角プリズムと、これら直角プリズムのうちの相互に
隣接する直角プリズム間に形成された断面X字形のダイ
クロイック膜とを備えたクロスダイクロイックプリズム
の製造方法において、 前記直角プリズムの断面のほぼ2倍の面積の直角二等辺
三角形状の断面を有する2個のプリズム部材のうちの第
1のプリズム部材における直角部に対向する斜面に第1
のダイクロイック膜を形成する第I工程と、 前記第1のプリズム部材の斜面と、他の第2のプリズム
部材の斜面とを接着剤にて接合して正四角柱状の接合部
材を形成する第II工程と、 前記接合部材を、前記第1のダイクロイック膜に直角な
断面で切断し、直角二等辺三角柱状の第1の接合部材と
第2の接合部材とに分割する第III 工程と、 前記第1の接合部材の斜面に第2のダイクロイック膜を
形成する第IV工程と、 前記第1の接合部材の斜面と、前記第2の接合部材の斜
面とを接着剤にて接合して正四角柱状のクロスダイクロ
イックプリズムを形成する第V工程と、を有する、 ことを特徴とするクロスダイクロイックプリズムの製造
方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9251474A JPH1184114A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | クロスダイクロイックプリズム、及びその製造方法 |
US09/145,468 US6101041A (en) | 1997-05-13 | 1998-09-02 | Cross dichroic prism, method of making the same, and full-color projector using the same |
US09/604,667 US6407868B1 (en) | 1997-05-13 | 2000-06-27 | Cross dichroic prism, method of making the same, and full-color projector using the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9251474A JPH1184114A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | クロスダイクロイックプリズム、及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1184114A true JPH1184114A (ja) | 1999-03-26 |
Family
ID=17223361
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9251474A Withdrawn JPH1184114A (ja) | 1997-05-13 | 1997-09-02 | クロスダイクロイックプリズム、及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1184114A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001059507A1 (en) * | 2000-02-11 | 2001-08-16 | Emd Ltd. (Eyeglasses Mounted Display Limited) | Optical beam-splitter unit and binocular display device containing such a unit |
KR100468241B1 (ko) * | 1998-04-08 | 2005-01-26 | 세이코 엡슨 가부시키가이샤 | 광선택 프리즘 및 그것을 이용한 투사형 디스플레이장치, 그리고 |
JP2007133424A (ja) * | 1998-04-08 | 2007-05-31 | Seiko Epson Corp | 光選択プリズム及びこれを用いた投写型表示装置 |
CN103424841A (zh) * | 2012-05-17 | 2013-12-04 | 深圳欧菲光科技股份有限公司 | 棱镜粘合装置 |
-
1997
- 1997-09-02 JP JP9251474A patent/JPH1184114A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20041102 |