JPH1184086A - 放射性廃棄物の除染処理方法 - Google Patents
放射性廃棄物の除染処理方法Info
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- JPH1184086A JPH1184086A JP24813797A JP24813797A JPH1184086A JP H1184086 A JPH1184086 A JP H1184086A JP 24813797 A JP24813797 A JP 24813797A JP 24813797 A JP24813797 A JP 24813797A JP H1184086 A JPH1184086 A JP H1184086A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】コバルト,ニッケルとは混ざるが鉄とは混ざら
ない溶媒を選定し、これにより鉄合金中の放射化コバル
ト,ニッケルを抽出・分離し、放射化金属の放射能を低
減する。 【解決手段】内部が不活性ガスに置換されたグローブボ
ックス14において、放射化した鉄合金及び溶媒として
金属鉛が反応槽1に添加され、反応槽加熱装置2により
加熱されて液体となる。これらは溶媒撹拌装置13によ
り溶媒と撹拌・混合される。その後、撹拌を停止し鉄合
金と鉛を比重差で分離する。出湯バルブ3を開き、下層
にたまった溶湯層から順に排出して溶湯受け4で受け
る。
ない溶媒を選定し、これにより鉄合金中の放射化コバル
ト,ニッケルを抽出・分離し、放射化金属の放射能を低
減する。 【解決手段】内部が不活性ガスに置換されたグローブボ
ックス14において、放射化した鉄合金及び溶媒として
金属鉛が反応槽1に添加され、反応槽加熱装置2により
加熱されて液体となる。これらは溶媒撹拌装置13によ
り溶媒と撹拌・混合される。その後、撹拌を停止し鉄合
金と鉛を比重差で分離する。出湯バルブ3を開き、下層
にたまった溶湯層から順に排出して溶湯受け4で受け
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放射性廃棄物の除染
処理方法に関する。
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所において、圧力容器中の炉
内構造物はステンレス(SS)等の金属炉材によりでき
ている。これらの炉材は原子炉の運転中に炉心から大量
の中性子を浴びる。その際、炉材中に含まれるコバルト
(Co)やニッケル(Ni)がこの中性子を吸収して放
射性同位元素(Co−60,Ni−63等)となり、炉
材から放射線が発するようになる。一方、耐用年数がす
ぎた原子力発電所の廃止措置において、原子炉の解体廃
棄物が大量に発生することが予想される。その際、上記
の炉材の解体廃棄物(放射化金属)は発生する放射線量
が大きく、そのままでは埋設処分や再利用には適さな
い。このため、放射化金属中の放射性同位元素であるC
oやNiを分離して取り除く処理技術(除染)の開発が
必要となっている。
内構造物はステンレス(SS)等の金属炉材によりでき
ている。これらの炉材は原子炉の運転中に炉心から大量
の中性子を浴びる。その際、炉材中に含まれるコバルト
(Co)やニッケル(Ni)がこの中性子を吸収して放
射性同位元素(Co−60,Ni−63等)となり、炉
材から放射線が発するようになる。一方、耐用年数がす
ぎた原子力発電所の廃止措置において、原子炉の解体廃
棄物が大量に発生することが予想される。その際、上記
の炉材の解体廃棄物(放射化金属)は発生する放射線量
が大きく、そのままでは埋設処分や再利用には適さな
い。このため、放射化金属中の放射性同位元素であるC
oやNiを分離して取り除く処理技術(除染)の開発が
必要となっている。
【0003】Co,NiはFeと同じく元素周期表にお
いて第8族第4周期に属する遷移金属元素であり、化学
的性質が互いに極めてよく似通っていることが知られて
いる。このため、これらの混合物等からその中の一つを
分離・回収することは通常非常に難しいとされる。分離
・回収を行う方法として、従来より、これらの元素の間
の微少な酸化還元電位の差を利用した電解除染法や、放
射化金属を溶融した後、その中にCaF2 ,CaO,A
l2O3,SiO2 といった酸化物あるいは金属Snを加
熱・溶融した物を溶媒として添加・撹拌することで、C
o,Niを放射化金属から溶媒に移行・抽出させる溶媒
抽出法が提案されている。前者の方法では処理速度が大
きくできないこと、後者の方法では分離効果の大きい溶
媒がないことが課題となっている。
いて第8族第4周期に属する遷移金属元素であり、化学
的性質が互いに極めてよく似通っていることが知られて
いる。このため、これらの混合物等からその中の一つを
分離・回収することは通常非常に難しいとされる。分離
・回収を行う方法として、従来より、これらの元素の間
の微少な酸化還元電位の差を利用した電解除染法や、放
射化金属を溶融した後、その中にCaF2 ,CaO,A
l2O3,SiO2 といった酸化物あるいは金属Snを加
熱・溶融した物を溶媒として添加・撹拌することで、C
o,Niを放射化金属から溶媒に移行・抽出させる溶媒
抽出法が提案されている。前者の方法では処理速度が大
きくできないこと、後者の方法では分離効果の大きい溶
媒がないことが課題となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では上記
の溶媒抽出法において、Co,Niとは混ざるがFeは
はじく物性を有し、Feと比重に差がある、新しい溶媒
を選定し、これを用いて、放射化金属を溶媒に浸漬又は
混合によりCo,Niを溶媒に移行させた後、比重差に
より鉄と溶媒を分離する除染法に資することを目的とし
ている。
の溶媒抽出法において、Co,Niとは混ざるがFeは
はじく物性を有し、Feと比重に差がある、新しい溶媒
を選定し、これを用いて、放射化金属を溶媒に浸漬又は
混合によりCo,Niを溶媒に移行させた後、比重差に
より鉄と溶媒を分離する除染法に資することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下に、上記の目的を達
成する請求項1及び2の発明の特徴をまとめる。
成する請求項1及び2の発明の特徴をまとめる。
【0006】まず、Co,Niとは混ざるがFeははじ
く物性について、本発明では原子における電子軌道の磁
気的性質をもとに、以下のように考察した。
く物性について、本発明では原子における電子軌道の磁
気的性質をもとに、以下のように考察した。
【0007】量子力学より、電子軌道の種類はその方位
量子数Lの違いによりs(L=0),p(L=1),d
(L=2),f(L=3)に分けられる。Lが大きくな
るほど電子軌道における磁気量子数Mの最大値が大きく
なる。原子又はイオンの最外殻電子軌道が特にd軌道や
f軌道のようにLの値が大きい場合、その中の不対電子
軌道(各電子軌道にはスピンの違いにより2つ電子が入
ることができるが、1つしか電子が入っていない軌道の
こと)の数が多いほど、原子又はイオンの磁気モーメン
トは大きくなる。磁気モーメントが大きい場合、やはり
磁気モーメントの大きな他の原子・イオンと磁気相互作
用をおこすことにより系のエネルギーがより低くなる。
従って、磁気モーメントの大きいものほど自分たち同
士、あるいはその他の磁気モーメントの大きなもの同士
で集まろうとする。
量子数Lの違いによりs(L=0),p(L=1),d
(L=2),f(L=3)に分けられる。Lが大きくな
るほど電子軌道における磁気量子数Mの最大値が大きく
なる。原子又はイオンの最外殻電子軌道が特にd軌道や
f軌道のようにLの値が大きい場合、その中の不対電子
軌道(各電子軌道にはスピンの違いにより2つ電子が入
ることができるが、1つしか電子が入っていない軌道の
こと)の数が多いほど、原子又はイオンの磁気モーメン
トは大きくなる。磁気モーメントが大きい場合、やはり
磁気モーメントの大きな他の原子・イオンと磁気相互作
用をおこすことにより系のエネルギーがより低くなる。
従って、磁気モーメントの大きいものほど自分たち同
士、あるいはその他の磁気モーメントの大きなもの同士
で集まろうとする。
【0008】その結果、磁気モーメントの大きなものと
小さなものが混ざっている系では、磁気モーメントの大
きなものだけで集まってしまうため、磁気モーメントの
小さなものはその外に取り残される、つまり結果的には
じき出され、混ざらない格好になる。この傾向は両者の
磁気モーメントの差が大きいほど著しくなる。
小さなものが混ざっている系では、磁気モーメントの大
きなものだけで集まってしまうため、磁気モーメントの
小さなものはその外に取り残される、つまり結果的には
じき出され、混ざらない格好になる。この傾向は両者の
磁気モーメントの差が大きいほど著しくなる。
【0009】元素周期表における第8族第4周期に属す
る遷移金属元素イオン及びその周辺の元素のイオンにお
いて、原子の最外殻電子軌道はLの大きな3d軌道であ
り、その磁気モーメントの大きさは不対電子軌道の数に
従い、Ni2+>Co2+>Fe2+>Mn2+の順番で大きくな
る。一方、方位量子数を持たないs軌道を最外殻に持つ
イオンとしては、例えば第4周期以降の4B族元素イオ
ン(Ge2+,Sn2+,Pb2+)やLi+ などがある。図
1に、第4周期元素の不対d軌道数と磁気モーメント、
及びそれらとs軌道を最外殻に持つ元素の化合物を混合
した際に発生する発熱量の関係を示す。不対d軌道数の
増大に伴い磁気モーメントが増大する一方で、Sn2+,
Pb2+化合物との混合による発熱量は低下する。
る遷移金属元素イオン及びその周辺の元素のイオンにお
いて、原子の最外殻電子軌道はLの大きな3d軌道であ
り、その磁気モーメントの大きさは不対電子軌道の数に
従い、Ni2+>Co2+>Fe2+>Mn2+の順番で大きくな
る。一方、方位量子数を持たないs軌道を最外殻に持つ
イオンとしては、例えば第4周期以降の4B族元素イオ
ン(Ge2+,Sn2+,Pb2+)やLi+ などがある。図
1に、第4周期元素の不対d軌道数と磁気モーメント、
及びそれらとs軌道を最外殻に持つ元素の化合物を混合
した際に発生する発熱量の関係を示す。不対d軌道数の
増大に伴い磁気モーメントが増大する一方で、Sn2+,
Pb2+化合物との混合による発熱量は低下する。
【0010】発熱量の低下は混ざりにくくなる傾向をあ
らわしており、特に発熱量が負になる(すなわち吸熱反
応)場合は、エネルギーが与えられないと混合しないこ
とを示す。これは磁気モーメントの大きさの違いにより
Sn2+,Pb2+がNi2+,Co2+に対してはある程度接
近できてもFe2+,Mn2+には接近できないためと考え
られる。以上の考察から、s軌道を最外殻に持つS
n2+,Pb2+等の化合物は不対d軌道数の少ないN
i2+,Co2+化合物とは混ざる一方で、不対d軌道数の
多いFe2+,Mn2+化合物とは混ざりにくいと予想され
る。
らわしており、特に発熱量が負になる(すなわち吸熱反
応)場合は、エネルギーが与えられないと混合しないこ
とを示す。これは磁気モーメントの大きさの違いにより
Sn2+,Pb2+がNi2+,Co2+に対してはある程度接
近できてもFe2+,Mn2+には接近できないためと考え
られる。以上の考察から、s軌道を最外殻に持つS
n2+,Pb2+等の化合物は不対d軌道数の少ないN
i2+,Co2+化合物とは混ざる一方で、不対d軌道数の
多いFe2+,Mn2+化合物とは混ざりにくいと予想され
る。
【0011】以上のことから、s軌道を最外殻に持つ元
素の化合物を溶媒として放射化金属を化学的にFe2+,
Ni2+,Co2+化合物の混合物に変換(例えば、空気酸
化によりFeO,CoO,NiO)した後、添加・撹拌
するとNi2+,Co2+化合物が溶媒側に移行し、また、
溶媒とFe2+化合物は比重差により分離されるので、F
e2+化合物からNi2+,Co2+化合物を分離・抽出する
ことができると考える。
素の化合物を溶媒として放射化金属を化学的にFe2+,
Ni2+,Co2+化合物の混合物に変換(例えば、空気酸
化によりFeO,CoO,NiO)した後、添加・撹拌
するとNi2+,Co2+化合物が溶媒側に移行し、また、
溶媒とFe2+化合物は比重差により分離されるので、F
e2+化合物からNi2+,Co2+化合物を分離・抽出する
ことができると考える。
【0012】請求項1,2の発明の効果を高めることを
目的とする請求項3,4の発明の特徴は、放射化金属を
化学的にFe2+,Ni2+,Co2+化合物に変換する際、
例えば酸素ガスや塩素ガスを放射化金属に反応させ、酸
化物や塩化物に積極的に変換する、あるいは放射化金属
を酸に溶かして塩に変換する操作をあらかじめ行うこと
で、溶媒抽出処理速度を向上することにある。これは空
気酸化により化合物に変換する場合、この反応が律速に
なり処理速度を低下させる可能性があるためである。本
発明における化合物への変換操作と溶媒抽出操作の分離
により、それぞれの操作を最適な条件で行うことができ
る。
目的とする請求項3,4の発明の特徴は、放射化金属を
化学的にFe2+,Ni2+,Co2+化合物に変換する際、
例えば酸素ガスや塩素ガスを放射化金属に反応させ、酸
化物や塩化物に積極的に変換する、あるいは放射化金属
を酸に溶かして塩に変換する操作をあらかじめ行うこと
で、溶媒抽出処理速度を向上することにある。これは空
気酸化により化合物に変換する場合、この反応が律速に
なり処理速度を低下させる可能性があるためである。本
発明における化合物への変換操作と溶媒抽出操作の分離
により、それぞれの操作を最適な条件で行うことができ
る。
【0013】さらに、溶融金属は例えばFe→Fe2++
2e- のように電離しやすいため、4B族元素の中で最
も原子半径が大きく溶融した際にイオン化しやすい金属
Pbなどを溶媒として、溶融した放射化金属に添加・撹
拌することで、わざわざFe2+,Ni2+,Co2+化合物に
変換しなくても上記と同じ反応機構により溶融した金属
Co,NiがPb側に移行し、Pbとの比重差によりこ
れらをFeから分離できると考える。これは請求項1,
2の発明と同じ目的を達成する、請求項5の発明の特徴
である。
2e- のように電離しやすいため、4B族元素の中で最
も原子半径が大きく溶融した際にイオン化しやすい金属
Pbなどを溶媒として、溶融した放射化金属に添加・撹
拌することで、わざわざFe2+,Ni2+,Co2+化合物に
変換しなくても上記と同じ反応機構により溶融した金属
Co,NiがPb側に移行し、Pbとの比重差によりこ
れらをFeから分離できると考える。これは請求項1,
2の発明と同じ目的を達成する、請求項5の発明の特徴
である。
【0014】請求項5の発明の効果を高めることを目的
とする請求項6の発明の特徴は、溶媒抽出処理の工程に
おいて、溶媒である鉛が空気中の酸素と反応して揮発性
の酸化鉛の形で漏洩するのを防ぐため、処理環境におい
て酸素濃度を低く押さえることにある。その方法として
は処理を窒素や貴ガス雰囲気で行うことが考えられる。
本発明により溶媒の漏洩をなくし処理効率を向上すると
共に、人体に有害な酸化鉛ガスの発生を抑制することが
できる。
とする請求項6の発明の特徴は、溶媒抽出処理の工程に
おいて、溶媒である鉛が空気中の酸素と反応して揮発性
の酸化鉛の形で漏洩するのを防ぐため、処理環境におい
て酸素濃度を低く押さえることにある。その方法として
は処理を窒素や貴ガス雰囲気で行うことが考えられる。
本発明により溶媒の漏洩をなくし処理効率を向上すると
共に、人体に有害な酸化鉛ガスの発生を抑制することが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】図2に、原子力発電所の廃止措置
の際に発生する放射化金属の溶媒抽出法による除染処理
に対し、最外殻の電子軌道が軌道角運動量を持たないよ
うな陽イオンを含む化合物の溶融物を溶媒として用い
る、放射性廃棄物の除染方法の一実施例を示す。本実施
例は、反応槽1,反応槽加熱装置2,出湯バルブ3,溶
湯受け4,放射化金属投入装置5,放射化金属加熱装置
6,ガス噴射装置7,酸溶解槽8,酸注入機9,酸蒸留
器10,溶湯温度測定器11,溶媒添加装置12,溶媒
撹拌装置13を備えている。溶媒添加装置12より溶媒
のもととなる、最外殻の電子軌道が軌道角運動量を持た
ないような陽イオンを含む化合物を反応槽1に添加す
る。この様な化合物の例として、例えばゲルマニウム,
すず,鉛,リチウムの化合物等がある。上記化合物は反
応槽加熱装置2により加熱されて液体となる。放射化金
属は放射化金属投入装置5により、(1)直接、(2)
ガス噴射装置7でガスと反応させた後、(3)酸溶解槽
8に供給されて塩になった後、のいずれかにより反応槽
1に供給される。(1)直接のケースでは、反応槽1に
おいて放射化金属が必要に応じて溶媒と同様、反応槽加
熱装置2により加熱、場合によっては溶融される。その
際、放射化金属は空気中の酸素、又は溶媒と反応して化
合物となり、これも反応槽加熱装置2により加熱、必要
に応じて溶融される。放射化金属又はその化合物、ある
いはそれらの溶融物は溶媒中に浸漬され、必要に応じて
溶媒撹拌装置13により溶媒と撹拌・混合される。撹拌
の課程等において、コバルトやニッケルは溶媒側に移行
する。
の際に発生する放射化金属の溶媒抽出法による除染処理
に対し、最外殻の電子軌道が軌道角運動量を持たないよ
うな陽イオンを含む化合物の溶融物を溶媒として用い
る、放射性廃棄物の除染方法の一実施例を示す。本実施
例は、反応槽1,反応槽加熱装置2,出湯バルブ3,溶
湯受け4,放射化金属投入装置5,放射化金属加熱装置
6,ガス噴射装置7,酸溶解槽8,酸注入機9,酸蒸留
器10,溶湯温度測定器11,溶媒添加装置12,溶媒
撹拌装置13を備えている。溶媒添加装置12より溶媒
のもととなる、最外殻の電子軌道が軌道角運動量を持た
ないような陽イオンを含む化合物を反応槽1に添加す
る。この様な化合物の例として、例えばゲルマニウム,
すず,鉛,リチウムの化合物等がある。上記化合物は反
応槽加熱装置2により加熱されて液体となる。放射化金
属は放射化金属投入装置5により、(1)直接、(2)
ガス噴射装置7でガスと反応させた後、(3)酸溶解槽
8に供給されて塩になった後、のいずれかにより反応槽
1に供給される。(1)直接のケースでは、反応槽1に
おいて放射化金属が必要に応じて溶媒と同様、反応槽加
熱装置2により加熱、場合によっては溶融される。その
際、放射化金属は空気中の酸素、又は溶媒と反応して化
合物となり、これも反応槽加熱装置2により加熱、必要
に応じて溶融される。放射化金属又はその化合物、ある
いはそれらの溶融物は溶媒中に浸漬され、必要に応じて
溶媒撹拌装置13により溶媒と撹拌・混合される。撹拌
の課程等において、コバルトやニッケルは溶媒側に移行
する。
【0016】(2)ガス噴射装置7でガスと反応させた
後、のケースでは、放射化金属は必要に応じて放射化金
属加熱装置6により加熱されながら、酸素,塩素等のガ
スと反応して酸化物,塩化物等となった後、反応槽1に
供給される。その後は(1)のケースと同様に溶媒に浸
漬され、必要に応じ撹拌される。
後、のケースでは、放射化金属は必要に応じて放射化金
属加熱装置6により加熱されながら、酸素,塩素等のガ
スと反応して酸化物,塩化物等となった後、反応槽1に
供給される。その後は(1)のケースと同様に溶媒に浸
漬され、必要に応じ撹拌される。
【0017】(3)酸溶解槽8に供給されて塩になった
後、のケースでは、酸注入機9より塩酸等の酸があらか
じめ酸溶解槽8に供給され、その中に放射化金属が供給
される。放射化金属は酸により溶解し、酸蒸留器10に
より酸を加熱・蒸発等により除去した後に残る塩は、反
応槽1に供給される。その後は(1)のケースと同様に
溶媒に浸漬され、必要に応じ撹拌される。溶湯温度測定
器11により溶湯の温度が測定され、その結果により必
要に応じ反応槽加熱装置2の出力が調節される。これに
より溶媒等の揮発を必要最小限に抑制することができ
る。
後、のケースでは、酸注入機9より塩酸等の酸があらか
じめ酸溶解槽8に供給され、その中に放射化金属が供給
される。放射化金属は酸により溶解し、酸蒸留器10に
より酸を加熱・蒸発等により除去した後に残る塩は、反
応槽1に供給される。その後は(1)のケースと同様に
溶媒に浸漬され、必要に応じ撹拌される。溶湯温度測定
器11により溶湯の温度が測定され、その結果により必
要に応じ反応槽加熱装置2の出力が調節される。これに
より溶媒等の揮発を必要最小限に抑制することができ
る。
【0018】反応槽加熱装置2の加熱方式としては、バ
ーナー等の火力による加熱、電気ヒーターやアーク放電
等のジュール熱による加熱、荷電粒子ビームやプラズマ
の照射による加熱、誘導加熱等が考えられる。誘導加熱
の場合、金属等の導電物質には直接渦電流を発生させて
ジュール加熱を行うことができるが、導電率の小さな化
合物の溶融物が溶媒として用いられる場合にはこれに直
接渦電流を発生させることができない。
ーナー等の火力による加熱、電気ヒーターやアーク放電
等のジュール熱による加熱、荷電粒子ビームやプラズマ
の照射による加熱、誘導加熱等が考えられる。誘導加熱
の場合、金属等の導電物質には直接渦電流を発生させて
ジュール加熱を行うことができるが、導電率の小さな化
合物の溶融物が溶媒として用いられる場合にはこれに直
接渦電流を発生させることができない。
【0019】そこで溶媒のもととなる化合物を加熱する
ために、その周囲に黒鉛等の導電体を設置・接触させ、
それを誘導加熱で発熱させることで、間接的に化合物を
加熱することが考えられる。その後、溶媒撹拌装置13
を停止し、供給された被除染物と溶媒を比重差で分離す
る。出湯バルブ3を開き、下層にたまった溶湯層を排出
して溶湯受け4で受けた後、上層の溶湯を別の溶湯受け
4に受ける。本実施例により、放射化金属中のコバル
ト,ニッケルを分離することができる。
ために、その周囲に黒鉛等の導電体を設置・接触させ、
それを誘導加熱で発熱させることで、間接的に化合物を
加熱することが考えられる。その後、溶媒撹拌装置13
を停止し、供給された被除染物と溶媒を比重差で分離す
る。出湯バルブ3を開き、下層にたまった溶湯層を排出
して溶湯受け4で受けた後、上層の溶湯を別の溶湯受け
4に受ける。本実施例により、放射化金属中のコバル
ト,ニッケルを分離することができる。
【0020】図3に、原子力発電所の廃止措置の際に発
生する放射化金属の溶媒抽出法による除染処理に対し、
金属鉛の溶融物を溶媒として用いる、放射性廃棄物の除
染方法の他の一実施例を示す。本実施例は、反応槽1,
反応槽加熱装置2,出湯バルブ3,溶湯受け4,放射化
金属投入装置5,溶湯温度測定器11,溶媒添加装置1
2,溶媒撹拌装置13,グローブボックス14を備えて
いる。溶媒添加装置12より金属鉛が反応槽1に添加さ
れ、反応槽加熱装置2により加熱されて液体となる。
生する放射化金属の溶媒抽出法による除染処理に対し、
金属鉛の溶融物を溶媒として用いる、放射性廃棄物の除
染方法の他の一実施例を示す。本実施例は、反応槽1,
反応槽加熱装置2,出湯バルブ3,溶湯受け4,放射化
金属投入装置5,溶湯温度測定器11,溶媒添加装置1
2,溶媒撹拌装置13,グローブボックス14を備えて
いる。溶媒添加装置12より金属鉛が反応槽1に添加さ
れ、反応槽加熱装置2により加熱されて液体となる。
【0021】放射化金属は放射化金属投入装置5によ
り、直接反応槽1に供給される。反応槽1において放射
化金属は溶媒と同様、反応槽加熱装置2により加熱さ
れ、必要に応じて融点以上の温度まで加熱することで溶
融される。その際、必要に応じてグローブボックス14
内の空気はアルゴン,窒素等の不活性ガスに置換され、
これにより溶媒の鉛,放射化金属の酸化を抑制すること
ができる。特に鉛は高温では酸素と反応して有害な酸化
鉛のガスを発生するが、この操作によりガス発生を抑制
できる。放射化金属又はそれらの溶融物は必要に応じて
溶媒撹拌装置13により溶媒と撹拌・混合される。撹拌
の課程等において、コバルトやニッケルは溶媒側に移行
する。
り、直接反応槽1に供給される。反応槽1において放射
化金属は溶媒と同様、反応槽加熱装置2により加熱さ
れ、必要に応じて融点以上の温度まで加熱することで溶
融される。その際、必要に応じてグローブボックス14
内の空気はアルゴン,窒素等の不活性ガスに置換され、
これにより溶媒の鉛,放射化金属の酸化を抑制すること
ができる。特に鉛は高温では酸素と反応して有害な酸化
鉛のガスを発生するが、この操作によりガス発生を抑制
できる。放射化金属又はそれらの溶融物は必要に応じて
溶媒撹拌装置13により溶媒と撹拌・混合される。撹拌
の課程等において、コバルトやニッケルは溶媒側に移行
する。
【0022】溶湯温度測定器11により溶湯の温度が測
定され、その結果により必要に応じ反応槽加熱装置2の
出力が調節される。その後、溶媒撹拌装置13を停止
し、供給された被除染物と溶媒を比重差で分離する。出
湯バルブ3を開き、下層にたまった溶湯層を排出して溶
湯受け4で受けた後、上層の溶湯を別の溶湯受け4に受
ける。本実施例により、放射化金属中のコバルト,ニッ
ケルを分離することができる。
定され、その結果により必要に応じ反応槽加熱装置2の
出力が調節される。その後、溶媒撹拌装置13を停止
し、供給された被除染物と溶媒を比重差で分離する。出
湯バルブ3を開き、下層にたまった溶湯層を排出して溶
湯受け4で受けた後、上層の溶湯を別の溶湯受け4に受
ける。本実施例により、放射化金属中のコバルト,ニッ
ケルを分離することができる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば鉄合金等
においてその中から放射化したコバルト,ニッケルを分
離し、合金の放射能を低減することができる。
においてその中から放射化したコバルト,ニッケルを分
離し、合金の放射能を低減することができる。
【図1】第4周期元素の不対d軌道数と磁気モーメン
ト、及びそれらとs軌道を最外殻に持つ元素の化合物を
混合した際に発生する発熱量の関係を示す特性図であ
る。
ト、及びそれらとs軌道を最外殻に持つ元素の化合物を
混合した際に発生する発熱量の関係を示す特性図であ
る。
【図2】本発明の一実施例である、放射性廃棄物の除染
方法を示す図である。
方法を示す図である。
【図3】本発明の他の一実施例である、放射性廃棄物の
除染方法を示す図である。
除染方法を示す図である。
1…反応槽、2…反応槽加熱装置、3…出湯バルブ、4
…溶湯受け、5…放射化金属投入装置、6…放射化金属
加熱装置、7…ガス噴射装置、8…酸溶解槽、9…酸注
入機、10…酸蒸留器、11…溶湯温度測定器、12…
溶媒添加装置、13…溶媒撹拌装置、14…グローブボ
ックス。
…溶湯受け、5…放射化金属投入装置、6…放射化金属
加熱装置、7…ガス噴射装置、8…酸溶解槽、9…酸注
入機、10…酸蒸留器、11…溶湯温度測定器、12…
溶媒添加装置、13…溶媒撹拌装置、14…グローブボ
ックス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉田 龍男 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内
Claims (6)
- 【請求項1】コバルト又はニッケル、あるいはその両方
を含む鉄合金の溶融物に溶媒を加えた後、撹拌すること
で、コバルト,ニッケルを鉄合金中から溶媒中に移行さ
せる鉄合金の処理方法において、溶媒として、最外殻の
電子軌道が軌道角運動量を持たないような陽イオンを含
む化合物の溶融物を用いることを特徴とする放射性廃棄
物の除染処理方法。 - 【請求項2】コバルト又はニッケル、あるいはその両方
を含む鉄合金の溶融物に溶媒を加えた後、撹拌すること
で、コバルト,ニッケルを鉄合金中から溶媒中に移行さ
せる鉄合金の処理方法において、溶媒としてゲルマニウ
ム,すず,鉛,リチウムの化合物の溶融物のいずれか、
又はそれらの組合せを用いることを特徴とする放射性廃
棄物の除染処理方法。 - 【請求項3】コバルト又はニッケル、あるいはその両方
を含む鉄合金の溶融物に、溶媒として、最外殻の電子軌
道が軌道角運動量を持たないような陽イオンを含む化合
物の溶融物を加えた後、撹拌することで、コバルト,ニ
ッケルを鉄合金中から溶媒中に移行させる鉄合金の処理
方法において、上記鉄合金をあらかじめ酸化して化合物
にした後、上記処理を行うことを特徴とする放射性廃棄
物の除染処理方法。 - 【請求項4】コバルト又はニッケル、あるいはその両方
を含む鉄合金の溶融物に、溶媒として、ゲルマニウム,
すず,鉛,リチウムの化合物の溶融物のいずれか、又は
それらの組合せを加えた後、撹拌することで、コバル
ト,ニッケルを鉄合金中から溶媒中に移行させる鉄合金
の処理方法において、上記鉄合金をあらかじめ酸化して
化合物にした後、上記処理を行うことを特徴とする放射
性廃棄物の除染処理方法。 - 【請求項5】コバルト又はニッケル、あるいはその両方
を含む鉄合金の溶融物に溶媒を加えた後、撹拌すること
で、コバルト,ニッケルを鉄合金中から溶媒中に移行さ
せる鉄合金の処理方法において、溶媒として溶融した金
属鉛を用いることを特徴とする放射性廃棄物の除染処理
方法。 - 【請求項6】コバルト又はニッケル、あるいはその両方
を含む鉄合金の溶融物に溶媒として溶融した金属鉛を加
えた後、撹拌することで、コバルト,ニッケルを鉄合金
中から溶媒中に移行させる鉄合金の処理方法において、
処理の際、周囲の酸素量を低下させることを特徴とする
放射性廃棄物の除染処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24813797A JPH1184086A (ja) | 1997-09-12 | 1997-09-12 | 放射性廃棄物の除染処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24813797A JPH1184086A (ja) | 1997-09-12 | 1997-09-12 | 放射性廃棄物の除染処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1184086A true JPH1184086A (ja) | 1999-03-26 |
Family
ID=17173785
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24813797A Pending JPH1184086A (ja) | 1997-09-12 | 1997-09-12 | 放射性廃棄物の除染処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1184086A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020064032A (ja) * | 2018-10-19 | 2020-04-23 | 株式会社東芝 | 金属溶融方法および金属溶融システム |
-
1997
- 1997-09-12 JP JP24813797A patent/JPH1184086A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020064032A (ja) * | 2018-10-19 | 2020-04-23 | 株式会社東芝 | 金属溶融方法および金属溶融システム |
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