JPH1184084A - 放射性ヨウ素の除去方法 - Google Patents
放射性ヨウ素の除去方法Info
- Publication number
- JPH1184084A JPH1184084A JP25146997A JP25146997A JPH1184084A JP H1184084 A JPH1184084 A JP H1184084A JP 25146997 A JP25146997 A JP 25146997A JP 25146997 A JP25146997 A JP 25146997A JP H1184084 A JPH1184084 A JP H1184084A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- iodine
- solution
- ldh
- thermal decomposition
- heat decomposition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
- Treating Waste Gases (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 原子力発電プラントや使用済核燃料施設から
発生する放射性ヨウ素含有溶液中の放射性ヨウ素を、保
管し易い固体中に取り込んで除去する新しい方法を提供
する。 【解決手段】 層状複水酸化物を加熱して得られる式
(1): 【化1】 で示される熱分解物を、放射性ヨウ素含有溶液と接触さ
せる。
発生する放射性ヨウ素含有溶液中の放射性ヨウ素を、保
管し易い固体中に取り込んで除去する新しい方法を提供
する。 【解決手段】 層状複水酸化物を加熱して得られる式
(1): 【化1】 で示される熱分解物を、放射性ヨウ素含有溶液と接触さ
せる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力発電プラント
や使用済核燃料施設から生ずる放射性廃液中の放射性ヨ
ウ素の除去方法に関する。
や使用済核燃料施設から生ずる放射性廃液中の放射性ヨ
ウ素の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力関連施設では周辺環境への放出放
射能量を極力低減するための対策が講じられており、排
ガスに関しては放射性ヨウ素の除去がその対策の主眼と
なっている。その対象となる放射性ヨウ素としては、長
半減期の129 I(半減期1.57×107 年)、短半減期
の131 I(半減期8.05日)が主なものであり、特に
129 Iが問題となる。放射性ヨウ素は人体の甲状腺に選
択的に吸収され放射能被爆を増大させるため、特に厳格
な放出放射能量の低減対策が施されなければならない。
原子力発電プラントや使用済核燃料施設における使用済
核燃料は、実際は多くの処理工程で処理されるが、放射
性ヨウ素の除去もその重要な処理工程の1つであり、最
終的には処理排水、処理排ガスとして系外に排出される
ため、処理工程では充分な放射性ヨウ素除去処理が必要
である。従来、放射性ヨウ素は、使用済み核燃料の処理
方法の選択で、液中の溶解状態及び/又は液中の不溶解
状態、或いは排ガス(オフガス)に含まれるガス状物質
状態とすることができるため、種々の分離技術が考えら
れる。此れ迄に報告されている処理技術は、洗浄処理方
式、固体吸着剤充填による物理・化学的処理方式、イオ
ン交換剤による処理方式等がある。
射能量を極力低減するための対策が講じられており、排
ガスに関しては放射性ヨウ素の除去がその対策の主眼と
なっている。その対象となる放射性ヨウ素としては、長
半減期の129 I(半減期1.57×107 年)、短半減期
の131 I(半減期8.05日)が主なものであり、特に
129 Iが問題となる。放射性ヨウ素は人体の甲状腺に選
択的に吸収され放射能被爆を増大させるため、特に厳格
な放出放射能量の低減対策が施されなければならない。
原子力発電プラントや使用済核燃料施設における使用済
核燃料は、実際は多くの処理工程で処理されるが、放射
性ヨウ素の除去もその重要な処理工程の1つであり、最
終的には処理排水、処理排ガスとして系外に排出される
ため、処理工程では充分な放射性ヨウ素除去処理が必要
である。従来、放射性ヨウ素は、使用済み核燃料の処理
方法の選択で、液中の溶解状態及び/又は液中の不溶解
状態、或いは排ガス(オフガス)に含まれるガス状物質
状態とすることができるため、種々の分離技術が考えら
れる。此れ迄に報告されている処理技術は、洗浄処理方
式、固体吸着剤充填による物理・化学的処理方式、イオ
ン交換剤による処理方式等がある。
【0003】洗浄処理方式で実用化されているのはアル
カリ洗浄法のみであり、この液体吸収剤による洗浄処理
方式で処理し、液体のまま長期間貯蔵するのでは、量的
にも、また安全上も問題が多い。それ故、実際問題とし
て溶液中の放射性ヨウ素を貯蔵または処分に適した化学
系に転換する濃縮処理が必要となる場合が多い。
カリ洗浄法のみであり、この液体吸収剤による洗浄処理
方式で処理し、液体のまま長期間貯蔵するのでは、量的
にも、また安全上も問題が多い。それ故、実際問題とし
て溶液中の放射性ヨウ素を貯蔵または処分に適した化学
系に転換する濃縮処理が必要となる場合が多い。
【0004】固体吸着剤充填による物理的処理方式で
は、活性炭等の吸着剤に吸着させて捕捉するもので、他
のガスとの交換の可能性に常に曝されており、また温度
が上昇すると容易に吸着物を放出するという難点があ
る。活性炭の場合、活性炭1g当り放射性ヨウ素吸着量
は数mgと小さく、更に可燃性であるため、高濃度のN
O2 ガスが共存する場合は危険である。この物理的処理
方式に代わる固体吸着剤として開発されたのが銀添着吸
着剤であり、担体としてシリカゲル、アルミナ、ゼオラ
イト等を使用するが、高価であり、また、通常は100
℃以上で使用する必要がある。
は、活性炭等の吸着剤に吸着させて捕捉するもので、他
のガスとの交換の可能性に常に曝されており、また温度
が上昇すると容易に吸着物を放出するという難点があ
る。活性炭の場合、活性炭1g当り放射性ヨウ素吸着量
は数mgと小さく、更に可燃性であるため、高濃度のN
O2 ガスが共存する場合は危険である。この物理的処理
方式に代わる固体吸着剤として開発されたのが銀添着吸
着剤であり、担体としてシリカゲル、アルミナ、ゼオラ
イト等を使用するが、高価であり、また、通常は100
℃以上で使用する必要がある。
【0005】イオン交換剤による処理方式では、イオン
交換剤の耐熱温度は100℃程度までであり、これより
高温では性能を充分に発揮させることができない。ま
た、それ自身が可燃性である場合が多く、安全管理上難
点がある。
交換剤の耐熱温度は100℃程度までであり、これより
高温では性能を充分に発揮させることができない。ま
た、それ自身が可燃性である場合が多く、安全管理上難
点がある。
【0006】一方、ハイドロタルサイト(Mg6 Al2
(OH)16CO3 ・4H2 O)、及び式中のMg、Al
が他の2価、3価金属に置換し、CO3 が他の陰イオン
に置換したハイドロタルサイトと同じ結晶構造を有する
化合物は、天然にも産出するが、化学的にも容易に合成
し得ることが知られている。ハイドロタルサイトを含む
これら一連の化合物を本特許では、層状複水酸化物(以
下LDHと略称する。)と仮称する。これらの化合物は
アニオン交換性を示すことから最近注目されている化合
物であり、次の一般式(3)で表わされる。
(OH)16CO3 ・4H2 O)、及び式中のMg、Al
が他の2価、3価金属に置換し、CO3 が他の陰イオン
に置換したハイドロタルサイトと同じ結晶構造を有する
化合物は、天然にも産出するが、化学的にも容易に合成
し得ることが知られている。ハイドロタルサイトを含む
これら一連の化合物を本特許では、層状複水酸化物(以
下LDHと略称する。)と仮称する。これらの化合物は
アニオン交換性を示すことから最近注目されている化合
物であり、次の一般式(3)で表わされる。
【0007】
【化3】 LDHはブルーサイト〔Mg(OH)2 〕類似のプラス
に荷電した基本層と、アニオンと層間水からなるマイナ
スに荷電した中間層とからなる層状構造化合物であり、
基本層は、M3+がM2+を置換し、その置換量によって基
本層の層電荷が決まる。この層電荷を中間層のアニオン
が中和して、結晶全体では電荷がバランスしている。層
間(本特許では中間層を層間ともいう。)のアニオンは
イオン交換性であり、LDHでは、層電荷にもよるが、
アニオン交換容量が約4meq/gと大きいことと、C
O3 2-イオンに対する選択性が極めて大きいことが特徴
である。
に荷電した基本層と、アニオンと層間水からなるマイナ
スに荷電した中間層とからなる層状構造化合物であり、
基本層は、M3+がM2+を置換し、その置換量によって基
本層の層電荷が決まる。この層電荷を中間層のアニオン
が中和して、結晶全体では電荷がバランスしている。層
間(本特許では中間層を層間ともいう。)のアニオンは
イオン交換性であり、LDHでは、層電荷にもよるが、
アニオン交換容量が約4meq/gと大きいことと、C
O3 2-イオンに対する選択性が極めて大きいことが特徴
である。
【0008】このLDHを加熱すると、層間水は約30
0℃迄にほぼ完全に脱水し、300℃以上ではOH基の
縮合脱水とCO2 の脱離が起こり、約500〜700℃
で式(1):
0℃迄にほぼ完全に脱水し、300℃以上ではOH基の
縮合脱水とCO2 の脱離が起こり、約500〜700℃
で式(1):
【化4】 で示される熱分解物が生成することが知られている。こ
の熱分解物は水と反応して、元のLDH構造に戻るとい
う特徴を有する。その際、純水の系では、層間陰イオン
として、OH- イオンを取り込み、陰イオンを共存させ
ておけば、その陰イオンを層間に取り込む。
の熱分解物は水と反応して、元のLDH構造に戻るとい
う特徴を有する。その際、純水の系では、層間陰イオン
として、OH- イオンを取り込み、陰イオンを共存させ
ておけば、その陰イオンを層間に取り込む。
【0009】上記の熱分解物がLDHに戻る際の陰イオ
ンの取り込みを利用して所望の陰イオンを層間に導入す
る手法は再構築法と呼ばれ、有害物質や産業廃液中の陰
イオン性物質(例えば廃液中のアニオン染料)の除去に
利用されているが、また逆にアニオン系染料を層間に取
り込むことにより安定な着色物を得るといった用途も開
発されつつある。
ンの取り込みを利用して所望の陰イオンを層間に導入す
る手法は再構築法と呼ばれ、有害物質や産業廃液中の陰
イオン性物質(例えば廃液中のアニオン染料)の除去に
利用されているが、また逆にアニオン系染料を層間に取
り込むことにより安定な着色物を得るといった用途も開
発されつつある。
【0010】本発明は、溶液中の放射性ヨウ素を除去す
るにあたり、上記の再構築法を利用し、ゲスト物質とし
て放射性ヨウ素を層間に取り込むことによる放射性ヨウ
素の除去に関するものであるが、この除去方法に関して
は従来報告されていない。
るにあたり、上記の再構築法を利用し、ゲスト物質とし
て放射性ヨウ素を層間に取り込むことによる放射性ヨウ
素の除去に関するものであるが、この除去方法に関して
は従来報告されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶液中の放
射性ヨウ素を除去し、除去した放射性ヨウ素を固体内部
に取り込んで安定に固定化することのできる新しい除去
方法を提供するものである。
射性ヨウ素を除去し、除去した放射性ヨウ素を固体内部
に取り込んで安定に固定化することのできる新しい除去
方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は溶液中の放
射性ヨウ素を除去するために、鋭意研究を続けた結果、
ある種のLDHを加熱して得られる熱分解物を用いる
と、再構築法でLDH構造を再生する際、放射性ヨウ素
がLDH層間に取り込まれることが分かり、本発明を完
成するに至った。
射性ヨウ素を除去するために、鋭意研究を続けた結果、
ある種のLDHを加熱して得られる熱分解物を用いる
と、再構築法でLDH構造を再生する際、放射性ヨウ素
がLDH層間に取り込まれることが分かり、本発明を完
成するに至った。
【0013】即ち、本発明は以下の発明を包含する。 (1) 溶液中の放射性ヨウ素を除去するにあたり、L
DHを加熱して得られる式(1):
DHを加熱して得られる式(1):
【化5】 で示される熱分解物を該溶液と接触させることを特徴と
する放射性ヨウ素の除去方法。 (2) 熱分解物が式(2):
する放射性ヨウ素の除去方法。 (2) 熱分解物が式(2):
【化6】 で示される化合物である前記(1)に記載の放射性ヨウ
素の除去方法。
素の除去方法。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、前記したように、溶液
中の放射性ヨウ素を除去するにあたり、LDHを加熱し
て得られる熱分解物を該溶液と接触させることを特徴と
する放射性ヨウ素の分離方法に関するものである。本発
明の出発原料として用いられるLDHは、一般式(4)
で示される。
中の放射性ヨウ素を除去するにあたり、LDHを加熱し
て得られる熱分解物を該溶液と接触させることを特徴と
する放射性ヨウ素の分離方法に関するものである。本発
明の出発原料として用いられるLDHは、一般式(4)
で示される。
【化7】
【0015】より好ましい出発原料として用いられるL
DHは、一般式(5)で示される。
DHは、一般式(5)で示される。
【化8】 なお、一般式(5)で示される(CO3 )形LDHを製
造するには、例えばMgCl2 (又はZnCl2 )水溶
液とAlCl3 水溶液の混合液(Mg(又はZn):A
l=2〜4:1,モル比)にAlの半分のモル数に相当
するNa2 CO3 水溶液を加え、場合によりHCl水溶
液又はNaOH水溶液で液のpHを9〜10程度に調整
し、20〜90℃程度に保ち、反応・熟成させた後、沈
澱した生成物を分離・洗浄し、40〜70℃で乾燥する
ことにより得られる。
造するには、例えばMgCl2 (又はZnCl2 )水溶
液とAlCl3 水溶液の混合液(Mg(又はZn):A
l=2〜4:1,モル比)にAlの半分のモル数に相当
するNa2 CO3 水溶液を加え、場合によりHCl水溶
液又はNaOH水溶液で液のpHを9〜10程度に調整
し、20〜90℃程度に保ち、反応・熟成させた後、沈
澱した生成物を分離・洗浄し、40〜70℃で乾燥する
ことにより得られる。
【0016】また、一般式(4)で示されるLDHを製
造するには、Mg塩、Zn塩或いはAl塩以外に、他の
2価及び3価の金属塩も原料の対象とし、上記とほぼ同
様の方法で造られるが、(CO3 )形でないLDHを製
造するには、脱炭酸水を使用したり、窒素雰囲気下で反
応させる等反応中にCO3 2-イオンが入らないようにす
る工夫が必要である。なお、市販品(例えば、キョーワ
ード500、キョーワード1000 協和化学工業
(株)製)を利用してもよい。
造するには、Mg塩、Zn塩或いはAl塩以外に、他の
2価及び3価の金属塩も原料の対象とし、上記とほぼ同
様の方法で造られるが、(CO3 )形でないLDHを製
造するには、脱炭酸水を使用したり、窒素雰囲気下で反
応させる等反応中にCO3 2-イオンが入らないようにす
る工夫が必要である。なお、市販品(例えば、キョーワ
ード500、キョーワード1000 協和化学工業
(株)製)を利用してもよい。
【0017】次に、一般式(4)、(5)で示されるL
DHを出発原料として得られるその加熱生成物を除去剤
として用いる本発明のヨウ素の除去法について述べる
が、これに限定されるものではない。本発明では、上記
の一般式(4)または(5)て示されるLDHを用い、
これを加熱して得られる式(1):
DHを出発原料として得られるその加熱生成物を除去剤
として用いる本発明のヨウ素の除去法について述べる
が、これに限定されるものではない。本発明では、上記
の一般式(4)または(5)て示されるLDHを用い、
これを加熱して得られる式(1):
【化9】 で示される熱分解物(以下、「M2+、M3+)O熱分解
物」と略称する。)或いは式(2):
物」と略称する。)或いは式(2):
【化10】 で示される熱分解物(以下、「(M2+、Al)O熱分解
物」と略称する。)を除去剤として用いる。そして、そ
の除去剤(熱分解物)が再構築法でLDH構造を再生す
る際に放射性ヨウ素をLDH層間に取り込むことによ
り、溶液から放射性ヨウ素を除去する。LDHから(M
2+、M3+)O熱分解物或いは(M2+、Al)O熱分解物
を得るための加熱温度は300〜800℃、好ましくは
500〜700℃であり、加熱時間は1〜10時間程度
である。
物」と略称する。)を除去剤として用いる。そして、そ
の除去剤(熱分解物)が再構築法でLDH構造を再生す
る際に放射性ヨウ素をLDH層間に取り込むことによ
り、溶液から放射性ヨウ素を除去する。LDHから(M
2+、M3+)O熱分解物或いは(M2+、Al)O熱分解物
を得るための加熱温度は300〜800℃、好ましくは
500〜700℃であり、加熱時間は1〜10時間程度
である。
【0018】溶液中のヨウ素はI- イオン、I3 - イオ
ン、分子状ヨウ素(I2 )、IO3 - イオン等の形態で
存在すると考えられるが、上記したLDHを加熱して得
られた(M2+、M3+)O熱分解物或いは(M2+、Al)
O熱分解物に取り込まれるヨウ素の形態としては、まだ
明確には分かっていない。しかし、(Zn、Al)O熱
分解物の場合はヨウ素を取り込んで再構築されたLDH
について、粉末法によるX線回析スペクトルを測定し底
面間隔値(d003 )を調べると8.34Åであり、基本
層の厚さを差し引くと、中間層の厚さは3.54Åにな
り、中間層にはこれより小さい分子(イオン)径のゲス
トが入り易いと考えると(分子(イオン)径:I2 2.
68Å,I- 4.40Å,I3 - 2.90Å)、I3 -
イオン,分子状ヨウ素(I2 )がその対象となるが、溶
液中のI3 - イオンの安定性及びLDHの陰イオン交換
性等を考慮すると、主にI3 - イオンとしてLDH層間
に取り込まれていると推定される。
ン、分子状ヨウ素(I2 )、IO3 - イオン等の形態で
存在すると考えられるが、上記したLDHを加熱して得
られた(M2+、M3+)O熱分解物或いは(M2+、Al)
O熱分解物に取り込まれるヨウ素の形態としては、まだ
明確には分かっていない。しかし、(Zn、Al)O熱
分解物の場合はヨウ素を取り込んで再構築されたLDH
について、粉末法によるX線回析スペクトルを測定し底
面間隔値(d003 )を調べると8.34Åであり、基本
層の厚さを差し引くと、中間層の厚さは3.54Åにな
り、中間層にはこれより小さい分子(イオン)径のゲス
トが入り易いと考えると(分子(イオン)径:I2 2.
68Å,I- 4.40Å,I3 - 2.90Å)、I3 -
イオン,分子状ヨウ素(I2 )がその対象となるが、溶
液中のI3 - イオンの安定性及びLDHの陰イオン交換
性等を考慮すると、主にI3 - イオンとしてLDH層間
に取り込まれていると推定される。
【0019】(M2+、M3+)O熱分解物或いは(M2+、
Al)O熱分解物と放射性ヨウ素を含む溶液の接触は、
放射性ヨウ素を含む溶液に、粉状、粒状或いは顆粒状の
これらの熱分解物を添加してかき混ぜるか、粒状或いは
顆粒状に成形したこれらの熱分解物をカラムに充填し、
上方から処理しようとする溶液を流下させる等の手段で
行うことができる。なお、粒状或いは顆粒状にするため
に、製造課程のいずれかの段階で他の無機化合物(熱的
に安定なもの)を混合してもよい。実際のプラントで放
射性ヨウ素を含む溶液を処理する場合は、回分操作を数
段組合せ、最初のバッチより連続して処理することによ
り最終的に放射性ヨウ素濃度を殆どゼロにすることが出
来る。
Al)O熱分解物と放射性ヨウ素を含む溶液の接触は、
放射性ヨウ素を含む溶液に、粉状、粒状或いは顆粒状の
これらの熱分解物を添加してかき混ぜるか、粒状或いは
顆粒状に成形したこれらの熱分解物をカラムに充填し、
上方から処理しようとする溶液を流下させる等の手段で
行うことができる。なお、粒状或いは顆粒状にするため
に、製造課程のいずれかの段階で他の無機化合物(熱的
に安定なもの)を混合してもよい。実際のプラントで放
射性ヨウ素を含む溶液を処理する場合は、回分操作を数
段組合せ、最初のバッチより連続して処理することによ
り最終的に放射性ヨウ素濃度を殆どゼロにすることが出
来る。
【0020】これらの接触反応は、CO2 を含まぬ雰囲
気下で(例えば、窒素ガス或いは不活性ガス雰囲気
下)、室温程度の液温でおこなうのが望ましい。また、
その際、できるだけ共存陰イオンを含まぬようにする。
溶液中の他の共存陰イオン(特にCO3 2-イオン)は放
射性ヨウ素を取り込むのに妨害となるので、できるだけ
それらの陰イオン(特にCO3 2-イオン)が少なくなる
ような工夫をする。なお、(M2+、M3+)O熱分解物或
いは(M2+、Al)O熱分解物がヨウ素を取り込んで再
構築法でLDH構造を再生するに要する時間は、ヨウ素
が取り込まれる量の経時変化の測定より、室温程度で溶
液中にかき混ぜて接触する場合は、10時間程度でほぼ
平衡に達するものと判断される。これらの接触反応で、
溶液中の放射性ヨウ素は上記の熱分解物に取り込まれ、
溶液中の放射性ヨウ素は除去される。放射性ヨウ素を取
り込んだ生成物(再構築されたLDH)は、その後、固
液分離、洗浄後、乾燥して固形物として保存することが
好ましい。
気下で(例えば、窒素ガス或いは不活性ガス雰囲気
下)、室温程度の液温でおこなうのが望ましい。また、
その際、できるだけ共存陰イオンを含まぬようにする。
溶液中の他の共存陰イオン(特にCO3 2-イオン)は放
射性ヨウ素を取り込むのに妨害となるので、できるだけ
それらの陰イオン(特にCO3 2-イオン)が少なくなる
ような工夫をする。なお、(M2+、M3+)O熱分解物或
いは(M2+、Al)O熱分解物がヨウ素を取り込んで再
構築法でLDH構造を再生するに要する時間は、ヨウ素
が取り込まれる量の経時変化の測定より、室温程度で溶
液中にかき混ぜて接触する場合は、10時間程度でほぼ
平衡に達するものと判断される。これらの接触反応で、
溶液中の放射性ヨウ素は上記の熱分解物に取り込まれ、
溶液中の放射性ヨウ素は除去される。放射性ヨウ素を取
り込んだ生成物(再構築されたLDH)は、その後、固
液分離、洗浄後、乾燥して固形物として保存することが
好ましい。
【0021】再構築されたLDHは、式(6):
【化11】 で示されるLDH、或いは式(7):
【化12】 で示されるLDHになっており、取り込まれたヨウ素
(吸着されたヨウ素)は主に中間層(層間)に存在する
ものと判断される。なお、取り込まれるヨウ素(吸着さ
れたヨウ素)の形態は上記したように、I3 - イオン、
IO3 - イオン、I- イオン、分子状ヨウ素(I2 )等
が考えられるが、放射性廃液の内容によっては他の形態
のものもある可能性はある。
(吸着されたヨウ素)は主に中間層(層間)に存在する
ものと判断される。なお、取り込まれるヨウ素(吸着さ
れたヨウ素)の形態は上記したように、I3 - イオン、
IO3 - イオン、I- イオン、分子状ヨウ素(I2 )等
が考えられるが、放射性廃液の内容によっては他の形態
のものもある可能性はある。
【0022】層間に取り込まれるヨウ素の量はヨウ素を
含む化合物の種類やその水溶液濃度等により異なるが、
分子状ヨウ素(I2 )とI- イオンを共存させた溶液
(I3 - イオンが多く生成していると判断される。)の
場合、その取り込まれる量(吸着量mmol/(M2+、
M3+)O熱分解物或いは(M2+、Al)O熱分解物の量
g)は0.2〜5程度である。その取り込まれる量(吸
着量mmol/(M2+、M3+)O熱分解物或いは
(M2+、Al)O熱分解物の量 g)は、(M2+、M3+)
O熱分解物或いは(M2+、Al)O熱分解物と反応させ
る溶液中のヨウ素の水溶液濃度(mmol/dm3 )が
高いほど多く、この両者の関係は式(8):
含む化合物の種類やその水溶液濃度等により異なるが、
分子状ヨウ素(I2 )とI- イオンを共存させた溶液
(I3 - イオンが多く生成していると判断される。)の
場合、その取り込まれる量(吸着量mmol/(M2+、
M3+)O熱分解物或いは(M2+、Al)O熱分解物の量
g)は0.2〜5程度である。その取り込まれる量(吸
着量mmol/(M2+、M3+)O熱分解物或いは
(M2+、Al)O熱分解物の量 g)は、(M2+、M3+)
O熱分解物或いは(M2+、Al)O熱分解物と反応させ
る溶液中のヨウ素の水溶液濃度(mmol/dm3 )が
高いほど多く、この両者の関係は式(8):
【化13】 で示されるフロイントリッヒ(Freundlich)
の等温吸着式によく適合する。
の等温吸着式によく適合する。
【0023】上式において、テストの範囲では、n≧2
となることから、(M2+、M3+)O熱分解物或いは(M
2+、Al)O熱分解物は再構築法を利用することによ
り、ヨウ素の除去剤(或いは吸着剤)として優れている
と判断できる。テストでは、(Mg、Al)O熱分解物
が(Zn、Al)O熱分解物よりヨウ素の吸着量(取り
込んだヨウ素量)が多く、より好ましい。
となることから、(M2+、M3+)O熱分解物或いは(M
2+、Al)O熱分解物は再構築法を利用することによ
り、ヨウ素の除去剤(或いは吸着剤)として優れている
と判断できる。テストでは、(Mg、Al)O熱分解物
が(Zn、Al)O熱分解物よりヨウ素の吸着量(取り
込んだヨウ素量)が多く、より好ましい。
【0024】(Mg、Al)O熱分解物或いは(Zn、
Al)O熱分解物がヨウ素を取り込んで再構築されたL
DHのTG−DTA(熱重量一示差熱分析)より、取り
込まれたヨウ素は(Mg、Al)O熱分解物の場合は2
00℃位、(Zn、Al)O熱分解物の場合は170℃
位迄は揮散せずに安定に固定されていると判断される。
Al)O熱分解物がヨウ素を取り込んで再構築されたL
DHのTG−DTA(熱重量一示差熱分析)より、取り
込まれたヨウ素は(Mg、Al)O熱分解物の場合は2
00℃位、(Zn、Al)O熱分解物の場合は170℃
位迄は揮散せずに安定に固定されていると判断される。
【0025】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明は
実施例に限定されるものではない。なお、合成用の原料
は何れも試薬グレードのものを使用した。
説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明は
実施例に限定されるものではない。なお、合成用の原料
は何れも試薬グレードのものを使用した。
【0026】(分析法)Mg量、Zn量およびAl量等
は原子吸光光度法、炭酸イオン量は二酸化炭素分析装置
で測定した。層間水量(中間層の水分量)は熱分析によ
る重量減少曲線で180〜220℃付近の変曲点迄の重
量減少量より求め、また、ヨウ素量はデンプン溶液とチ
オ硫酸ナトリウム溶液を用いる酸化還元滴定法で求め
た。
は原子吸光光度法、炭酸イオン量は二酸化炭素分析装置
で測定した。層間水量(中間層の水分量)は熱分析によ
る重量減少曲線で180〜220℃付近の変曲点迄の重
量減少量より求め、また、ヨウ素量はデンプン溶液とチ
オ硫酸ナトリウム溶液を用いる酸化還元滴定法で求め
た。
【0027】(合成例1) LDHの合成1 1mol/dm3 塩酸を適量加えpH=10に調整した
1mol/dm3 Na2 CO3 水溶液350cm3 をビ
ーカーに入れ、攪拌しながら40℃に保った。そこへ1
mol/dm3 MgCl2 水溶液400cm3 と1mol
/dm3 AlCl3 水溶液200cm3 の混合物を滴下し
た。この間、1mol/dm3 NaOH水溶液を滴下し
液のpHを10に保った。滴下終了後、40℃で1時間
攪拌しながら熟成した。24時間静置後、デカンテーシ
ョンでCl- イオンを除去し、更に1mol/dm3 N
a2 CO3 水溶液350cm3 を加え、5時間加熱還流す
ることにより再び熟成をおこなった。加熱還流終了後、
固体生成物を遠心分離し、十分水洗いした後、60℃で
48時間減圧乾燥した。得られた生成物は、式〔Mg
0.67Al0.33(OH)2 〕0.33+ 〔(CO3 )0.165 ・
0.5H2 O〕0.33- で示されるLDHであった。
1mol/dm3 Na2 CO3 水溶液350cm3 をビ
ーカーに入れ、攪拌しながら40℃に保った。そこへ1
mol/dm3 MgCl2 水溶液400cm3 と1mol
/dm3 AlCl3 水溶液200cm3 の混合物を滴下し
た。この間、1mol/dm3 NaOH水溶液を滴下し
液のpHを10に保った。滴下終了後、40℃で1時間
攪拌しながら熟成した。24時間静置後、デカンテーシ
ョンでCl- イオンを除去し、更に1mol/dm3 N
a2 CO3 水溶液350cm3 を加え、5時間加熱還流す
ることにより再び熟成をおこなった。加熱還流終了後、
固体生成物を遠心分離し、十分水洗いした後、60℃で
48時間減圧乾燥した。得られた生成物は、式〔Mg
0.67Al0.33(OH)2 〕0.33+ 〔(CO3 )0.165 ・
0.5H2 O〕0.33- で示されるLDHであった。
【0028】(合成例2) LDHの合成2 1mol/dm3 塩酸を適量加えpH=9に調整した1
mol/dm3 Na2CO3 水溶液350cm3 をビーカ
ーに入れ、攪拌しながら40℃に保った。そこへ1mo
l/dm3 ZnCl2 水溶液400cm3 と1mol/d
m3 AlCl3水溶液200cm3 の混合物を滴下した。
この間、1mol/dm3 NaOH水溶液を滴下し液の
pHを9に保った。滴下終了後、40℃で1時間攪拌し
ながら熟成した。24時間静置後、デカンテーションで
Cl- イオンを除去し、更に1mol/dm3 Na2 C
O3 水溶液350cm3 を加え、5時間加熱還流すること
により再び熟成をおこなった。加熱還流終了後、固体生
成物を遠心分離し、十分水洗いした後、60℃で48時
間減圧乾燥した。得られた生成物は、式〔Zn0.67Al
0.33(OH)2 〕0.33+ 〔(CO3 )0.165 ・0.5H
2 O〕0.33- で示されるLDHであった。
mol/dm3 Na2CO3 水溶液350cm3 をビーカ
ーに入れ、攪拌しながら40℃に保った。そこへ1mo
l/dm3 ZnCl2 水溶液400cm3 と1mol/d
m3 AlCl3水溶液200cm3 の混合物を滴下した。
この間、1mol/dm3 NaOH水溶液を滴下し液の
pHを9に保った。滴下終了後、40℃で1時間攪拌し
ながら熟成した。24時間静置後、デカンテーションで
Cl- イオンを除去し、更に1mol/dm3 Na2 C
O3 水溶液350cm3 を加え、5時間加熱還流すること
により再び熟成をおこなった。加熱還流終了後、固体生
成物を遠心分離し、十分水洗いした後、60℃で48時
間減圧乾燥した。得られた生成物は、式〔Zn0.67Al
0.33(OH)2 〕0.33+ 〔(CO3 )0.165 ・0.5H
2 O〕0.33- で示されるLDHであった。
【0029】(合成例3) (Mg、Al)O熱分解物
の生成 合成例1で得られたLDHを電気炉で空気雰囲気中、5
00℃、2時間加熱処理することにより、Mg0.67Al
0.33O1.165 で示される熱分解物を得た。
の生成 合成例1で得られたLDHを電気炉で空気雰囲気中、5
00℃、2時間加熱処理することにより、Mg0.67Al
0.33O1.165 で示される熱分解物を得た。
【0030】(合成例4) (Zn、Al)O熱分解物
の生成 合成例2で得られたLDHを電気炉で空気雰囲気中、5
00℃、2時間加熱処理することにより、Zn0.67Al
0.33O1.165 で示される熱分解物を得た。
の生成 合成例2で得られたLDHを電気炉で空気雰囲気中、5
00℃、2時間加熱処理することにより、Zn0.67Al
0.33O1.165 で示される熱分解物を得た。
【0031】〔ヨウ素水溶液原液の調製〕ヨウ化カリウ
ム(KI)25gを精製水30mlに溶かし、これにヨ
ウ素(I2 )13gを加えて溶解した後、精製水で全量
を1dm3 とし、ヨウ素水溶液の原液を調製した。実際
の使用にあたっては、精製水で任意の濃度に希釈して用
いた。溶液中では、I- イオン、I2 分子の他にI3 -
イオンが存在しているものと判断される。
ム(KI)25gを精製水30mlに溶かし、これにヨ
ウ素(I2 )13gを加えて溶解した後、精製水で全量
を1dm3 とし、ヨウ素水溶液の原液を調製した。実際
の使用にあたっては、精製水で任意の濃度に希釈して用
いた。溶液中では、I- イオン、I2 分子の他にI3 -
イオンが存在しているものと判断される。
【0032】〔実施例1〕 (Mg、Al)O熱分解物
を用いたヨウ素水溶液中のヨウ素の除去テスト 上記の方法で調製したヨウ素水溶液原液を精製水で任意
の濃度に希釈して得られたヨウ素水溶液50cm3 を栓付
三角フラスコにとり、これに合成例3で得られた(M
g、Al)O熱分解物の0.2gを添加し、容器内の気
体を窒素ガス(N2 )で置換し、窒素雰囲気下、25℃
48時間振とうし、反応させた。反応後、固液分離し、
固体生成物は60℃で24時間減圧乾燥し、ヨウ素水溶
液処理液とヨウ素を取り込んで再構築されたLDHを得
た。その後、反応後のヨウ素水溶液処理液中(上澄み液
中)のヨウ素濃度と再構築されたLDHに取り込まれた
ヨウ素量を求めた。なお、再構築されたLDHに取り込
まれたヨウ素量(吸着量)は、固液分離後のヨウ素水溶
液処理液中(上澄み液中)のヨウ素濃度と反応前のヨウ
素水溶液中のヨウ素濃度の濃度差より計算で求めた。
を用いたヨウ素水溶液中のヨウ素の除去テスト 上記の方法で調製したヨウ素水溶液原液を精製水で任意
の濃度に希釈して得られたヨウ素水溶液50cm3 を栓付
三角フラスコにとり、これに合成例3で得られた(M
g、Al)O熱分解物の0.2gを添加し、容器内の気
体を窒素ガス(N2 )で置換し、窒素雰囲気下、25℃
48時間振とうし、反応させた。反応後、固液分離し、
固体生成物は60℃で24時間減圧乾燥し、ヨウ素水溶
液処理液とヨウ素を取り込んで再構築されたLDHを得
た。その後、反応後のヨウ素水溶液処理液中(上澄み液
中)のヨウ素濃度と再構築されたLDHに取り込まれた
ヨウ素量を求めた。なお、再構築されたLDHに取り込
まれたヨウ素量(吸着量)は、固液分離後のヨウ素水溶
液処理液中(上澄み液中)のヨウ素濃度と反応前のヨウ
素水溶液中のヨウ素濃度の濃度差より計算で求めた。
【0033】再構築され、ヨウ素が取り込まれたLDH
は式(9):
は式(9):
【化14】 で示されるものと判断される。
【0034】再構築されたLDH(ヨウ素吸着量3.8
6mmol/熱分解物g)について、大気中でTG−D
TAで加熱変化を調べ、図1に示した。それより、20
0℃付近迄層間水の脱離が起き、それ以降でヨウ素の昇
華が起きているものと推定される。
6mmol/熱分解物g)について、大気中でTG−D
TAで加熱変化を調べ、図1に示した。それより、20
0℃付近迄層間水の脱離が起き、それ以降でヨウ素の昇
華が起きているものと推定される。
【0035】反応後のヨウ素水溶液処理液中のヨウ素濃
度(平衡濃度) C(mmol/dm3 )と、再構築さ
れたLDHに取り込まれたヨウ素量(吸着量) X/M
(mmol/熱分解物,g)の関係を、表1及び図2に
示した。
度(平衡濃度) C(mmol/dm3 )と、再構築さ
れたLDHに取り込まれたヨウ素量(吸着量) X/M
(mmol/熱分解物,g)の関係を、表1及び図2に
示した。
【表1】 〔実施例2〕 (Zn、Al)O熱分解物を用いたヨウ
素水溶液中のヨウ素の除去テスト 合成例3で得られた(Mg、Al)O熱分解物の代り
に、合成例4で得られた(Zn、Al)O熱分解物を用
いた以外は、実施例1と同様のテストを行った。再構築
され、ヨウ素が取り込まれたLDHは式(10):
素水溶液中のヨウ素の除去テスト 合成例3で得られた(Mg、Al)O熱分解物の代り
に、合成例4で得られた(Zn、Al)O熱分解物を用
いた以外は、実施例1と同様のテストを行った。再構築
され、ヨウ素が取り込まれたLDHは式(10):
【化15】 で示されるものと判断される。
【0036】反応後の固液分離して得られた固体生成物
の乾燥品(ヨウ素の吸着量2.63mmol/g)につ
いて、粉末法によるX線回折スペクトルより底面間隔値
(d003 )を調べると、8.34Åであり、基本層の厚
さ4.80Åを差し引くと、中間層の厚さは3.54Å
になる。これより、中間層には3.54Å以下のゲスト
が取り込まれている可能性が大きいと判断されるため、
I2 、I3 - イオンが考えられるが、前記の理由でI3
- イオンとしてLDH層間に取り込まれている可能性が
高いと考えられる。
の乾燥品(ヨウ素の吸着量2.63mmol/g)につ
いて、粉末法によるX線回折スペクトルより底面間隔値
(d003 )を調べると、8.34Åであり、基本層の厚
さ4.80Åを差し引くと、中間層の厚さは3.54Å
になる。これより、中間層には3.54Å以下のゲスト
が取り込まれている可能性が大きいと判断されるため、
I2 、I3 - イオンが考えられるが、前記の理由でI3
- イオンとしてLDH層間に取り込まれている可能性が
高いと考えられる。
【0037】再構築されたLDH(ヨウ素吸着量2.4
7mmol/熱分解物g)について、大気中でTG−D
TAで加熱変化を調べ、図3に示した。それより、17
0℃付近迄層間水の脱離による重量減少、170℃付近
に層間水の脱離による吸熱ピーク、225℃付近にヨウ
素の昇華と判断される吸熱ピークが観察される。
7mmol/熱分解物g)について、大気中でTG−D
TAで加熱変化を調べ、図3に示した。それより、17
0℃付近迄層間水の脱離による重量減少、170℃付近
に層間水の脱離による吸熱ピーク、225℃付近にヨウ
素の昇華と判断される吸熱ピークが観察される。
【0038】反応後のヨウ素水溶液処理液中のヨウ素濃
度(平衡濃度) C(mmol/dm3 )と、再構築さ
れたLDHに取り込まれたヨウ素量(吸着量) X/M
(mmol/熱分解物,g)の関係を、表2及び図2に
示した。
度(平衡濃度) C(mmol/dm3 )と、再構築さ
れたLDHに取り込まれたヨウ素量(吸着量) X/M
(mmol/熱分解物,g)の関係を、表2及び図2に
示した。
【表2】
【0039】図2より、合成例3で得られた(Mg、A
l)O熱分解物または合成例4で得られた(Zn、A
l)O熱分解物を用いた何れの場合も、水溶液中の濃度
(平衡濃度)の増加とともにヨウ素吸着量は直線的に増
加しているのが分かる。
l)O熱分解物または合成例4で得られた(Zn、A
l)O熱分解物を用いた何れの場合も、水溶液中の濃度
(平衡濃度)の増加とともにヨウ素吸着量は直線的に増
加しているのが分かる。
【0040】(フロイントリッヒ(Freundlic
h)の等温吸着式の適応) 図2に示された関係に基づいて、式(8):
h)の等温吸着式の適応) 図2に示された関係に基づいて、式(8):
【化16】 で示されるフロイントリッヒ(Freundlich)
の等温吸着式を適応し、その定数(k、n)を求める
と、合成例3で得られた(Mg、Al)O熱分解物を用
いた場合:k=2.26、n=4.98、合成例4で得
られた(Zn、Al)O熱分解物を用いた場合:k=
0.822、n=2.29であった。
の等温吸着式を適応し、その定数(k、n)を求める
と、合成例3で得られた(Mg、Al)O熱分解物を用
いた場合:k=2.26、n=4.98、合成例4で得
られた(Zn、Al)O熱分解物を用いた場合:k=
0.822、n=2.29であった。
【0041】何れの場合もn≧2となることから、(M
g、Al)O熱分解物又は(Zn、Al)O熱分解物を
用いたLDHの再構築を利用した溶液中のヨウ素の除去
方法は優れており、実用化に当り、バッチの組合せ、カ
ラム法の利用等により溶液中のヨウ素を充分に除去でき
るものと判断できる。
g、Al)O熱分解物又は(Zn、Al)O熱分解物を
用いたLDHの再構築を利用した溶液中のヨウ素の除去
方法は優れており、実用化に当り、バッチの組合せ、カ
ラム法の利用等により溶液中のヨウ素を充分に除去でき
るものと判断できる。
【0042】
【発明の効果】本発明で利用される特定のLDHを加熱
して得られる熱分解物は、溶液中で再構築してLDHを
再生する際にヨウ素を取り込み、取り込まれたヨウ素量
(吸着量mmol/熱分解物 g)は0.2〜5程度と
大きく、また、その取り込み量はフロイントリッヒ(F
reundlich)の等温吸着式で示され、その式で
n≧2となることから、該熱分解物はヨウ素の吸着剤と
して優れており、ヨウ素溶液中のヨウ素の除去、特に原
子力発電プラントや使用済核燃料施設において生ずる放
射性廃液中の放射性ヨウ素の除去に有効に利用できる。
して得られる熱分解物は、溶液中で再構築してLDHを
再生する際にヨウ素を取り込み、取り込まれたヨウ素量
(吸着量mmol/熱分解物 g)は0.2〜5程度と
大きく、また、その取り込み量はフロイントリッヒ(F
reundlich)の等温吸着式で示され、その式で
n≧2となることから、該熱分解物はヨウ素の吸着剤と
して優れており、ヨウ素溶液中のヨウ素の除去、特に原
子力発電プラントや使用済核燃料施設において生ずる放
射性廃液中の放射性ヨウ素の除去に有効に利用できる。
【図1】実施例1の再構築されたLDHのTG−DTA
曲線
曲線
【図2】実施例1、2の水溶液中のヨウ素濃度(平衡濃
度) C(mmol/dm3 )と吸着量 X/M(mm
ol/熱分解物,g)の関係を示す図である。
度) C(mmol/dm3 )と吸着量 X/M(mm
ol/熱分解物,g)の関係を示す図である。
【図3】実施例2の再構築されたLDHのTG−DTA
曲線
曲線
Claims (2)
- 【請求項1】 溶液中の放射性ヨウ素を除去するにあた
り、層状複水酸化物を加熱して得られる式(1): 【化1】 で示される熱分解物を該溶液と接触させることを特徴と
する放射性ヨウ素の除去方法。 - 【請求項2】 熱分解物が式(2): 【化2】 で示される化合物である請求項1記載の放射性ヨウ素の
除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25146997A JPH1184084A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | 放射性ヨウ素の除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25146997A JPH1184084A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | 放射性ヨウ素の除去方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1184084A true JPH1184084A (ja) | 1999-03-26 |
Family
ID=17223285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25146997A Pending JPH1184084A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | 放射性ヨウ素の除去方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1184084A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002068711A (ja) * | 2000-08-29 | 2002-03-08 | Godo Shigen Sangyo Kk | 沃素の回収法 |
CN100413591C (zh) * | 2005-09-01 | 2008-08-27 | 北京化工大学 | 一种含氟水的层状结构处理剂及其含氟水的处理方法 |
CN100413592C (zh) * | 2005-09-13 | 2008-08-27 | 北京化工大学 | 一种用于溴素回收的层状材料以及处理含溴水的方法 |
CN100463723C (zh) * | 2005-09-05 | 2009-02-25 | 北京化工大学 | 一种降碘用层状材料及其处理高含碘水的方法 |
JP2010002379A (ja) * | 2008-06-23 | 2010-01-07 | Toshiba Corp | 放射性廃棄物の処理材の作製方法、放射性廃棄物の処理方法及び放射性廃棄体の埋め戻し方法 |
JP2012240873A (ja) * | 2011-05-18 | 2012-12-10 | National Institute For Materials Science | I3−を有する層状複水酸化物およびその製造方法 |
JP5793231B1 (ja) * | 2014-09-05 | 2015-10-14 | 日本化学工業株式会社 | ヨウ素酸イオン吸着剤及びその製造方法 |
JP5793230B1 (ja) * | 2014-09-05 | 2015-10-14 | 日本化学工業株式会社 | ヨウ素酸イオン吸着剤及びその製造方法 |
-
1997
- 1997-09-02 JP JP25146997A patent/JPH1184084A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002068711A (ja) * | 2000-08-29 | 2002-03-08 | Godo Shigen Sangyo Kk | 沃素の回収法 |
CN100413591C (zh) * | 2005-09-01 | 2008-08-27 | 北京化工大学 | 一种含氟水的层状结构处理剂及其含氟水的处理方法 |
CN100463723C (zh) * | 2005-09-05 | 2009-02-25 | 北京化工大学 | 一种降碘用层状材料及其处理高含碘水的方法 |
CN100413592C (zh) * | 2005-09-13 | 2008-08-27 | 北京化工大学 | 一种用于溴素回收的层状材料以及处理含溴水的方法 |
JP2010002379A (ja) * | 2008-06-23 | 2010-01-07 | Toshiba Corp | 放射性廃棄物の処理材の作製方法、放射性廃棄物の処理方法及び放射性廃棄体の埋め戻し方法 |
JP2012240873A (ja) * | 2011-05-18 | 2012-12-10 | National Institute For Materials Science | I3−を有する層状複水酸化物およびその製造方法 |
JP5793231B1 (ja) * | 2014-09-05 | 2015-10-14 | 日本化学工業株式会社 | ヨウ素酸イオン吸着剤及びその製造方法 |
JP5793230B1 (ja) * | 2014-09-05 | 2015-10-14 | 日本化学工業株式会社 | ヨウ素酸イオン吸着剤及びその製造方法 |
WO2016035839A1 (ja) * | 2014-09-05 | 2016-03-10 | 日本化学工業株式会社 | ヨウ素酸イオン吸着剤及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Huve et al. | Porous sorbents for the capture of radioactive iodine compounds: a review | |
Huang et al. | Effect of reduction treatment on structural properties of TiO 2 supported Pt nanoparticles and their catalytic activity for formaldehyde oxidation | |
Islam et al. | Physicochemical characterization of hydroxyapatite and its application towards removal of nitrate from water | |
US10723635B2 (en) | Metal-organic frameworks for adsorption of liquid phase compounds | |
KR20210044879A (ko) | 다중 액상 화합물의 제거를 위한 금속-유기 프레임워크 및 이를 사용하고 제조하는 방법 | |
Rokesh et al. | Calcium bismuthate (CaBiO3): A potential sunlight‐driven perovskite photocatalyst for the degradation of emerging pharmaceutical contaminants | |
Metwally et al. | Impact of surface modification of chabazite on the sorption of iodine and molybdenum radioisotopes from liquid phase | |
Ogawa et al. | Solid-state intercalation of acrylamide into smectites and Na-taeniolite | |
JPH1184084A (ja) | 放射性ヨウ素の除去方法 | |
Abdel-Galil et al. | Facile fabrication of a novel silico vanadate ion exchanger: evaluation of its sorption behavior towards europium and terbium ions | |
Kang et al. | Efficient radon removal using fluorine-functionalized natural zeolite | |
EP3082438A1 (en) | Methods for treating an object with chlorine dioxide | |
CN112368238A (zh) | 含有硫化氢缓释剂的包装体及其制造方法和硫化氢缓释剂、硫化氢缓释体以及使用了它们的硫化氢的产生方法 | |
US20220258127A1 (en) | Metal-Organic Frameworks for Removal of Iodine Oxy-Anion | |
WO2004035477A1 (ja) | 新規な低次酸化チタンおよびその製造方法 | |
Esfandian et al. | Removal of strontium ions by synthetic nano sodalite zeolite from aqueous solution | |
JPH1133397A (ja) | 臭素添着活性炭 | |
JP2000511506A (ja) | プロセスストリームから不純物水素を分離し選択的に除去する方法 | |
JPS5933410B2 (ja) | オゾンの除去方法 | |
JP4041202B2 (ja) | Srイオン吸着剤、その製造方法及びそれを用いたSrイオン含有水の処理方法 | |
US9301542B1 (en) | Recyclable high capacity selective sorbant for heavy metals, radionuclides, and actinides | |
CA2548071C (en) | A catalyst useful for h2s removal from gas stream preparation thereof and use thereof | |
JP3995301B2 (ja) | 層状複水酸化物と糖類の複合体及びその製造方法、並びに糖類の回収材 | |
Castellini et al. | Entrapping aliphatic and heterocyclic gaseous amines on copper-exchanged montmorillonite: A straight and green process to reduce air pollution | |
JP3721430B2 (ja) | 水中有機塩素化合物浄化触媒 |