JPH1182818A - 塩化ビニル系管路構成部材 - Google Patents

塩化ビニル系管路構成部材

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JPH1182818A
JPH1182818A JP23599697A JP23599697A JPH1182818A JP H1182818 A JPH1182818 A JP H1182818A JP 23599697 A JP23599697 A JP 23599697A JP 23599697 A JP23599697 A JP 23599697A JP H1182818 A JPH1182818 A JP H1182818A
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JP
Japan
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vinyl chloride
copolymer
vinyl
polymerization
monomer
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JP23599697A
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English (en)
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Tadashi Shinko
忠 新子
Kenichi Matsumura
健一 松村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた接着作業性に加えて、可撓性及び耐衝
撃性に富み、耐震性に優れた塩化ビニル系管路構成部材
を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル単量体95〜70重量%と、
塩化ビニルと共重合可能であり、単独重合体のガラス転
移温度が40℃以下であるビニル系モノマー5〜30重
量%との塩化ビニル系共重合体からなり、曲げ弾性率が
2000〜20000kgf/cm2 であることを特徴
とする塩化ビニル系管路構成部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化ビニル系管路構
成部材に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、耐候
性、耐薬品性等に優れているので、上下水道管等の管工
機材、建築部材、住宅資材等々広い分野で用いられてい
る。これらの塩化ビニル系樹脂製品のうち、上下水道管
等は地中に埋設して用いられるものであるので、その補
修や更新には、交通量の多い道路の掘削等、多くの困難
を伴うものであるので、短期的に性能が優れているだけ
ではなく、長期的に性能が優れていることが求められ
る。特に、地震やその他の振動、ないしはこれに伴う敷
設地盤の変動等に対する疲労強度に優れ、長期的に信頼
性の高いものであることが求められる。
【0003】ところが近年、地震やその他の振動等によ
って上下水道管等に用いられている管路構成部材が破損
し、又は接続部が抜けたり外れたりして、上記管路が使
用不能となる事故が所々で顕在化しており、これら管路
構成部材の耐震性に対する要求が大きくなってきてい
る。
【0004】現在、これら管路構成部材として一般に使
用されている硬質塩化ビニル系樹脂は、剛性が高いがた
めに、地震波による縦及び横振動に追随することができ
ず、破損や接続部が抜けたり外れたりする事故につなが
っているとされている。
【0005】上記事故対策の1つとして、可撓性及び耐
衝撃性に優れたポリエチレンを用いた管路構成部材が一
部使用に供されているが、ポリエチレン製の管路構成部
材は、可撓性や耐衝撃性に優れるものではあるが、硬質
塩化ビニル系樹脂製の管路構成部材が長所としている簡
便な接着接合ができないという欠点を有するものであ
る。
【0006】従って、これらのポリエチレン製の管路構
成部材の接続には融着法が用いられ、例えば、特開昭5
8−131025号公報に開示されている電気溶接装置
によって融着接続されるが、電気溶接装置自体、管路構
成部材の接続付近に電気的加熱要素を埋設し、該電気的
加熱要素の両末端は外部より電流を供給するための端子
に接続されるように管路構成部材内を誘導され、且つ、
供給される電流の制御要素等が付加される複雑な装置で
あり、断線等の故障もあって、取扱並びに接合コスト共
に問題を有するものである。
【0007】このような電気溶接装置は、特開昭58−
131025号公報に開示されているもの以外にも、例
えば、特表昭55−500479号公報に熱可塑性材料
製電気溶接ブシュ等が開示されているが、いずれも特開
昭58−131025号公報に開示されているものと同
様、複雑な構造からなり、接続作業性も悪いものであっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、叙上の事実
に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、優れた接着性に加えて、可撓性及び耐衝撃性に富
み、耐震性に優れた塩化ビニル系管路構成部材を提供す
るにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
塩化ビニル単量体95〜70重量%と、塩化ビニルと共
重合可能であり、単独重合体のガラス転移温度が40℃
以下であるビニル系モノマー5〜30重量%との塩化ビ
ニル系共重合体からなり、曲げ弾性率が2000〜20
000kgf/cm2 であることを特徴とする塩化ビニ
ル系管路構成部材をその要旨とするものである。
【0010】本発明において、管路構成部材とは、上記
塩化ビニル系共重合体から成形された管路を構成する部
材を総称するものであって、上記管路は、特に限定され
るものではなく、例えば、上下水道、農業灌漑用水路等
における給水管路や排水管路、通信ケーブル、その他の
ケーブル保護管路、ケミカルプラント、その他のプラン
トにおける各種管路等が挙げられる。
【0011】上記管路構成部材は、主管部材、分岐管部
材、継手部材及びその他補助部材からなり、例えば、
管、各種分岐継手、サドル、ソケット、エルボ、チー
ズ、伸縮継手、各種バルブ、ストレーナー、キャップ、
マンホール、螺旋管形成用プロファイル等が挙げられ
る。
【0012】本発明で用いられる塩化ビニル系共重合
は、塩化ビニルとこれと共重合可能であり、単独重合体
のガラス転移温度(Tg)が40℃以下であるビニル系
モノマーからなるものである。上記Tgが40℃を超え
ると、得られる塩化ビニル系共重合の可撓性及び耐衝撃
性に乏しく耐震性が十分に得られないので上記Tgに限
定される。
【0013】上記塩化ビニルと共重合可能であり、単独
重合体のTgが40℃以下であるビニル系モノマーは、
特に限定されるものではないが、例えば、エチレン(T
g=−125℃、以下、括弧内にTgを温度のみで示
す)、プロピレン(−13℃)、1−ヘキセン(−57
℃)等のα−オレフィン類;酢酸ビニル(32℃)、プ
ロピオン酸ビニル(10℃)等のビニルエステル類;メ
チルビニルエーテル(−31℃)、エチルビニルエーテ
ル(−33℃)、イソプロピルビニルエーテル(−3
℃)、イソブチルビニルエーテル(−22℃)等のビニ
ルエーテル類;エチルアクリレート(−24℃)、n−
プロピルアクリレート(−37℃)、n−ブチルアクリ
レート(−54℃)、イソブチルアクリレート(−24
℃)、sec−ブチルアクリレート(−21℃)、n−
ヘキシルアクリレート(−57℃)、2−エチルヘキシ
ルアクリレート(−85℃)、n−オクチルアクリレー
ト(−85℃)、イソオクチルアクリレート(−45
℃)、n−ノニルアクリレート(−63℃)、イソノニ
ルアクリレート(−85℃)、n−デシルアクリレート
(−70℃)、プロピルメタクリレート(35℃)、n
−ブチルメタクリレート(−20℃)、n−オクチルメ
タクリレート(−25℃)等の(メタ)アクリレート
類;塩化ビニリデン(−18℃)等のハロゲン化ビニル
類等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して
もよい。
【0014】上記塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル
単量体95〜70重量%と、塩化ビニルと共重合可能で
あり、単独重合体のガラス転移温度が40℃以下である
ビニル系モノマー5〜30重量%とからなるものであ
る。
【0015】上記塩化ビニルと共重合可能であり、単独
重合体のガラス転移温度が40℃以下であるビニル系モ
ノマー成分の含有量が5重量%未満では、得られる塩化
ビニル系管路構成部材は可撓性及び耐衝撃性に乏しく耐
震性が十分に得られず、又、30重量%を超えると、得
られる塩化ビニル系管路構成部材の剛性が十分に得られ
ず、地中埋設時に土圧により変形するおそれがあるため
5〜30重量%に限定され、好ましくは7〜25重量%
である。
【0016】上記塩化ビニル系共重合体中の塩化ビニル
のみの重合度は、特に限定されるものではないが、好ま
しくは400〜2500である。上記塩化ビニルのみの
重合度が400未満であると、得られる塩化ビニル系管
路構成部材の耐久性が低下し、上記塩化ビニルのみの重
合度が2500を超えると、上記塩化ビニル系共重合体
の成形性が悪くなるおそれがある。
【0017】上記塩化ビニル系共重合体の製造方法は、
特に限定されるものではないが、例えば、懸濁重合法、
乳化重合法、溶液重合法等が挙げられる。上記懸濁重合
法では、分散剤、重合開始剤、必要に応じて、pH調整
剤、酸化防止剤、連鎖移動剤等が用いられる。上記分散
剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール及びその部分ケン化物、ゼラチン、ポリビ
ニルピロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン
共重合体等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併
用してもよい。
【0018】上記重合開始剤としては、例えば、ラウロ
イルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレー
ト、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオク
チルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ
ネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエ
ート等の有機パーオキサイド類;2,2−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチル
バレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
【0019】又、懸濁重合法による上記塩化ビニル系共
重合体の製造方法の一例を示せば、ジャケット及び攪拌
機付きの重合器に、イオン交換水、分散剤、重合開始剤
を仕込み、重合器内の空気を吸引して排除した後、塩化
ビニルモノマー及び上記共重合モノマーを仕込む。塩化
ビニルモノマー及び上記共重合モノマーの仕込後、重合
器内の反応系を攪拌しながら、重合器側壁の加熱ジャケ
ットによって所定温度に昇温させ重合を開始させる。反
応終了後、得られた共重合体物スラリーより残存モノマ
ーを除去し、脱水機で脱水した後、乾燥して塩化ビニル
系共重合体を得る。
【0020】かくして得られた塩化ビニル系共重合体か
ら塩化ビニル系管路構成部材が成形される。上記塩化ビ
ニル系共重合体の成形に際して、熱安定剤、その他必要
に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑
剤、加工助剤、充填剤、着色剤等が配合される。上記熱
安定剤は、成形時の高温から上記塩化ビニル系共重合体
の安定性を確保するために添加されるものであって、熱
安定剤及び熱安定化助剤等からなる。
【0021】上記熱安定剤としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、ジオブチル錫メルカプト、ジオ
クチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル
錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル
錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル
錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマー等の有機
錫系安定剤;ステアリン酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩
基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定
剤;バリウム−亜鉛系安定剤;バリウム−カドミウム系
安定剤等が挙げられる。これらの熱安定剤は、単独で用
いられてもよいが、2種以上を組み合わせて用いられて
もよい。
【0022】上記熱安定化助剤としては、特に限定され
るものではないが、例えば、エポキシ大豆油、エポキシ
化アマニ油、エポキシ化テトラヒドロフタレート、エポ
キシ化ポリブタジエン、トリクレジルホスフェート等の
リン酸エステル等が挙げられる。これらの熱安定化助剤
は、単独で用いられてもよいが、2種以上を組み合わせ
て用いられてもよい。
【0023】上記紫外線吸収剤及び光安定剤としては、
特に限定されるものではないが、例えば、p−t−ブチ
ルフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収
剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2’−(2’−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル
−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等の
シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケルビス(オ
クチルフェニル)サルファイド等の紫外線安定剤、ヒン
ダードアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。
又、上記酸化防止剤としては、特に限定されるものでは
ないが、例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられ
る。これらの紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤
は、各々単独で用いられてもよいが、2種以上を組み合
わせて用いられてもよい。
【0024】上記滑剤は、成形時の溶融樹脂のゲル化を
速め、流動粘度を下げ樹脂同士の摩擦発熱を防止するた
めに添加される内部滑剤及び成形時の溶融樹脂とバレル
や金型等の金属面との滑り効果を高めるために添加され
る外部滑剤等からなるものである。上記内部滑剤として
は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルス
テアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコー
ル、エポキシ大豆油、モノグリセライド、ビスアミド等
が挙げられる。これらの内部滑剤は、単独で用いられて
もよいが、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
上記外部滑剤としては、特に限定されるものではない
が、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワック
ス、エステルワックス、モンタン酸エステル系ワックス
等のワックス類;ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂
肪酸等が挙げられる。これらの外部滑剤は、単独で用い
られてもよいが、2種以上を組み合わせて用いられても
よい。
【0025】上記加工助剤としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、平均分子量10万〜500万の
メチルメタクリレートを主成分としたアクリル系加工助
剤等が挙げられる。これらの加工助剤は、単独で用いら
れてもよいが、2種以上を組み合わせて用いられてもよ
い。
【0026】上記充填剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、タ
ルク、マイカ等が挙げられる。これらの充填剤は、単独
で用いられてもよいが、2種以上を組み合わせて用いら
れてもよい。又、上記着色剤としては、特に限定される
ものではないが、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、
スレン系、染料レーキ系等の有機顔料、金属酸化物系、
硫化物系、セレン化物系、フェロシアン化物系、クロム
酸モリブデン系等の無機顔料等が挙げられる。
【0027】本発明の塩化ビニル系管路構成部材を成形
する手段は、特に限定されるものではないが、例えば、
上記する各構成材料を単軸押出機、2軸押出機、バンバ
リーミキサー、ニーダーミキサー、ミキシングロール等
の混練装置によって混合した混合粉体状もしくはペレッ
ト状等の塩化ビニル系共重合体組成物を、カレンダーロ
ール、押出成形機、射出成形機等によって所定形状に成
形される。これらの成形体は、直管部材やソケット、エ
ルボ、チーズ等の接続部材の一部は、押出成形機や射出
成形機によって直接成形されるが、各種バルブ等のよう
に複雑な構造の管路構成部材は、切削加工や組立加工等
の2次加工を経て成形される。
【0028】本発明の塩化ビニル系管路構成部材の曲げ
弾性率は、2000〜20000kgf/cm2 であ
る。上記曲げ弾性率が2000kgf/cm2 未満であ
ると、塩化ビニル系管路構成部材を用いて構成された塩
化ビニル系管路が地中埋設時に土圧により変形するおそ
れがあり、20000kgf/cm2 を超えると、地震
等による高速衝撃によって破損するおそれがあるので、
上記範囲に限定され、好ましくは5000〜20000
kgf/cm2 である。
【0029】請求項2記載の発明は、上記塩化ビニル系
管路構成部材の接着強度が、厚さ5mm×幅10mm×
長さ50mmの上記塩化ビニル系管路構成部材を幅方向
に接着しろが10mm×10mmとなるように、標準接
着剤(積水化学工業製、商品名「エスダイン#73」)
を用いて接着し、接着された塩化ビニル系管路構成部材
の他端を掴持し、引張試験機を用いて、引張速度10m
m/minにて該接着面に平行するせん断力を負荷する
せん断接着力試験で測定したとき、23℃において、3
0kgf/cm2 以上であることを特徴とする請求項1
記載の塩化ビニル系管路構成部材をその要旨とするもの
である。
【0030】請求項2記載の発明において用いられるせ
ん断接着力試験は、試験片の大きさ及び接着しろを上記
のように定めることによって測定データの誤差を小さく
するものであるが、更に、図1に示すように、4枚の試
験片を用い、且つ、掴持具で掴持され黒く塗りつぶした
大きい矢印の示す上下両方向に引っ張られる試験片1、
2の表裏両面に標準接着剤4を塗布し、該両試験片の左
右両側からこれらの両試験片に接着される残り2枚の試
験片3、3との間に4ヵ所の接着面を形成して試験する
ことによってより測定誤差を小さくすることができる。
尚、試験片の調製において、接着剤層の圧着は、23℃
環境下に1kgf/cm2 で24時間保持して行われ
た。
【0031】本発明の塩化ビニル系管路構成部材の上記
接着強度が30kgf/cm2 未満であると、地震によ
る地殻変動や土圧等の外部応力や水圧等の内部応力が負
荷された場合、接着面において2以上の塩化ビニル系管
路構成部材が剥離したり抜けたりするおそれがあるので
上記範囲に限定される。
【0032】請求項1記載の発明の塩化ビニル系管路構
成部材は、叙上のようなモノマー構成の塩化ビニル系共
重合体からなり、成形された管路構成部材の曲げ弾性率
が2000〜20000kgf/cm2 の範囲にあるの
で、地中埋設時に土圧により変形するおそれはなく、且
つ、地震等による強い振動や地殻変動等による外力の負
荷に対しても適度の耐衝撃性及び可撓性を有し、破損す
るおそれが極めて少なく、その機能を保持し得るもので
ある。
【0033】請求項2記載の発明の塩化ビニル系管路構
成部材は、更に、せん断接着力試験による23℃におけ
る接着力が、30kgf/cm2 以上であるので、通常
の接着工法で形成された管路であっても、地震等による
強い振動や地殻変動等による外力の負荷に対して、従来
問題となっている接続部分における剥離や抜け等の事故
は極めて少なく、十分にその機能を保持し得るものであ
る。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を掲げて更
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。 (実施例1)攪拌機及び加熱用ジャケットを備えた重合
器に、純水240重量部、部分ケン化ポリビニルアルコ
ール(クラレ社製、商品名「クラレポバールL−8」)
の3重量%水溶液12重量部、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース(信越化学社製、商品名「メトローズ60
SH50」)の3重量%水溶液6重量部及びt−ブチル
パーオキシピバレート0.24重量部を仕込み、真空ポ
ンプで重合器内の空気を排出した後、攪拌条件下に、更
に塩化ビニルモノマー100重量部、プロピレンモノマ
ー20重量部を投入し、反応器内を64℃に加熱して重
合を開始した。反応器内の圧力が5.8kg/cm2
まで低下した時点で反応を停止した。次いで、未反応の
塩化ビニルモノマー及びプロピレンモノマー(Tg=−
13℃)を除去した後、重合物を脱水乾燥して塩化ビニ
ル系樹脂(共重合体)を作製した。
【0035】得られた塩化ビニル系樹脂(共重合体)の
プロピレン成分の含有量は、JISK 7229に準じ
た方法で塩化ビニル系樹脂(共重合体)の塩素含有量を
測定し、これよりプロピレン成分の含有量を算出したと
ころ、10.2重量%であった。 又、塩化ビニル系樹
脂(共重合体)の重合度は、JIS K 6721に準
じた方法で測定したところ、720であった。
【0036】上記塩化ビニル系樹脂(共重合体)100
重量部に対して、安定剤としてジブチル錫メルカプト
(三共有機社製、商品名「ONZ−41F」)2重量
部、内外滑兼用滑剤としてモンタン酸エステルワックス
(ヘキスト社製、商品名「Wax−OP」)0.5重量
部及び内部滑剤としてモノグリセライド(理研ビタミン
社製、商品名「S−100」)1.0重量部をヘンシェ
ルミキサーで混合し、ペレタイザーを備えた口径30m
mφ2軸押出機によって塩化ビニル系樹脂(共重合体)
組成物のペレットを作製した。
【0037】上記塩化ビニル系樹脂(共重合体)組成物
のペレットを加熱温度190℃の2本ロールで3分間混
練し、得られた粗シートを加熱温度200℃の熱プレス
機で4分間予備加熱した後、同温度で面圧力75kgf
/cm2 、4分間加圧し、次いで、同面圧力で冷却温度
15℃で5分間冷却し、厚さ2mm、3mm及び5mm
のシートを作製した。
【0038】又、上記塩化ビニル系樹脂(共重合体)組
成物のペレットを、型締め圧1200tの射出成形機
(東芝機械社製、商品名「IS−1200DE」)を用
い、日本下水道協会規格(JSWAS K−7)に記載
される宅地マス90度合流左(略号:90Y左、マス径
150mmφ)からなる塩化ビニル系管路構成部材を作
製した。
【0039】(実施例2〜6)表1に示すモノマー組成
で実施例1と同様にして塩化ビニル系樹脂(共重合体)
を作製し、得られた塩化ビニル系樹脂(共重合体)に、
実施例1と同一組成の添加物を配合し、実施例1と同様
にして塩化ビニル系樹脂(共重合体)組成物を作製し
た。次いで、得られた塩化ビニル系樹脂(共重合体)組
成物を用いて、実施例1と同様にして厚さ2mm、3m
m及び5mmのシート及び宅地マス90Y左からなる塩
化ビニル系管路構成部材を作製した。
【0040】(比較例1)塩化ビニルのホモポリマー
(徳山積水社製、商品名「TS−800E」、重合度8
00)に実施例1と同一組成の添加物を配合し、実施例
1と同様にして塩化ビニル系樹脂(共重合体)組成物を
作製した。次いで、得られた塩化ビニル系樹脂(共重合
体)組成物を用いて、実施例1と同様にして厚さ2m
m、3mm及び5mmのシート及び宅地マス90Y左か
らなる塩化ビニル系管路構成部材を作製した。
【0041】(比較例2)実施例1の塩化ビニル系樹脂
(共重合体)組成物に替えて、高密度ポリエチレン(旭
化成社製、商品名「QB780」)を用いたこと以外、
実施例1と同様にして厚さ2mm、3mm及び5mmの
シート及び宅地マス90Y左からなる塩化ビニル系管路
構成部材を作製した。
【0042】(比較例3)実施例3の塩化ビニル系樹脂
(共重合体)中の酢酸ビニル成分含有量を、3重量%に
変更したこと以外、実施例3と同様にして厚さ2mm、
3mm及び5mmのシート及び宅地マス90Y左からな
る塩化ビニル系管路構成部材を作製した。
【0043】(比較例4)実施例6の塩化ビニル系樹脂
(共重合体)中の2−エチルヘキシルアクリレート成分
含有量を、45重量%に変更したこと以外、実施例6と
同様にして厚さ2mm、3mm及び5mmのシート及び
宅地マス90Y左からなる塩化ビニル系管路構成部材を
作製した。
【0044】(比較例5)実施例1のプロピレンモノマ
ーに替えて、メチルメタクリレートモノマーを用いたこ
と以外、実施例1と同様にして厚さ2mm、3mm及び
5mmのシート及び宅地マス90Y左からなる塩化ビニ
ル系管路構成部材を作製した。
【0045】実施例1〜6、比較例1〜5で得られた塩
化ビニル系管路構成部材及びポリエチレン製管路構成部
材の性能を評価するため、曲げ弾性率、接着強度、耐震
性評価高速引張破壊伸び及びパイプ挿入曲げ試験
を、以下に示す方法で試験した。試験結果は表1及び表
2に示す。
【0046】1.曲げ弾性率 JIS K 7203に準拠し、厚さ3mmのシートの
曲げ弾性率を測定した。
【0047】2.接着強度 5mmのシートから幅10mm×長さ50mmの試験片
4枚を切り出し、図1に示すように、2枚の試験片1、
1の一端より表裏両面に、10mm×10mmで標準接
着剤(積水化学工業社製、商品名「エスダイン#7
3」)3を通常接着に用いる塗布量で塗布し、残りの試
験片2枚2、2を図1に示すように、上記接着剤塗布面
3が丁度残りの試験片2枚で隠れるように挟着し(接着
面積4cm2)、23℃の温度環境下で、残りの試験片
2枚間に面圧1kgf/cm2 挟圧力を負荷し、この状
態で24時間保持した。
【0048】上記挟圧後、上記試験片の残りの試験片
2、2の2枚の間から上下に突出する試験片1、1の他
端を引張試験機の掴持具に掴持させ、23℃の温度環境
下で、図中、黒色に塗り潰した大きい矢印の方向に、引
張速度10mm/minにて上記接着剤塗布面に平行す
るせん断力を負荷し、接着面が剥離したときの負荷量を
読み取り、測定値を接着面積(2cm2 )で除した値を
接着強度とした。
【0049】3.耐震性評価高速引張破壊伸び JIS K 7113に規定される2号形試験片を作成
し、高速引張試験機(オリエンテック社製、MODEL
UTM−5)を用いて、JIS K 7113に準拠
し、23℃の温度環境下で、引張速度のみ0.9m/s
ecに変更して高速引張破壊伸びを測定した。
【0050】尚、上記引張速度を0.9m/secに変
更した理由は、1995年に発生した兵庫県南部地震に
おける神戸海洋気象台発表の最大振動速度が、0.9m
/secと発表されたことによる。又、兵庫県南部地震
に関する神戸海洋気象台発表の各種測定値(最大加速度
818gal、最大速度91kinc、最大変位量21
cm)を用いたコンピューターシミュレーションの結
果、最大変位量20cmであり、高速変形時の引張破壊
伸びが30%以上ない構造物は破壊したり、接合部の抜
けが発生する可能性が高いと算定された。本発明におい
ては、耐震性の有無の判断基準を高速引張破壊伸び30
%以上とした。
【0051】4.耐震性評価パイプ挿入曲げ試験 得られた宅地マス90Y左に、下水道用硬質塩化ビニル
管(プレーンエンド直管UV100)をJSWAS K
−1の〔参考資料3〕に記載される接着接合方法に準じ
て接着剤(積水化学工業社製、商品名「エスダイン#7
3」)によって接着接合した後、23℃の温度環境下で
24時間養生した。次いで、図2に示すように、プレー
ンエンド直管5を接着接合した宅地マス4を、宅地マス
4が実際の敷設現場と同様に、立った状態で固定具6に
よって圧縮試験機の土台7に固定して試験の準備を完了
した。
【0052】試験は、図2右方に延長して接着接合して
いるプレーンエンド直管5のみをその端部を上方(矢印
の方向)に持ち上げることによって変位させ、プレーン
エンド直管5の接着接合面の剥離や宅地マス4の破損等
の管路の機能に影響が及ばない範囲の最大曲げ角度を測
定した。尚、先の兵庫県南部地震に関する神戸海洋気象
台発表の各種測定値(最大加速度818gal、最大速
度91kinc、最大変位量21cm)を用いたコンピ
ューターシミュレーションの結果、最大曲げ角度は、8
度であることが算定された。本発明においては、耐震性
の有無の判断基準を最大曲げ角度8度以上とした。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】請求項1記載の発明の塩化ビニル系管路
構成部材は、叙上のように構成されているので、地中埋
設時に土圧により変形するおそれはなく、且つ、地震等
による強い振動や地殻変動等による外力の負荷に対して
も適度の耐衝撃性及び可撓性を有し、破損するおそれが
極めて少なく、その機能を保持し得るものである。
【0056】請求項2記載の発明の塩化ビニル系管路構
成部材は、更に、通常の接着工法で形成された管路であ
っても、地震等による強い振動や地殻変動等による外力
の負荷に対して、従来問題となっている接続部分におけ
る剥離や抜け等の事故は極めて少なく、十分にその機能
を保持し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塩化ビニル系管路構成部材の接着強度
を測定する際の試験片調製の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の塩化ビニル系管路構成部材の耐震性評
価試験パイプ挿入曲げ試験の説明図である。
【符号の説明】
1、2:塩化ビニル系管路構成部材試験片 3:接着剤 4:宅地マス 5:プレーンエンド直管 6:固定具 7:土台

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体95〜70重量%と、
    塩化ビニルと共重合可能であり、単独重合体のガラス転
    移温度が40℃以下であるビニル系モノマー5〜30重
    量%との塩化ビニル系共重合体からなり、曲げ弾性率が
    2000〜20000kgf/cm2 であることを特徴
    とする塩化ビニル系管路構成部材。
  2. 【請求項2】 上記塩化ビニル系管路構成部材の接着強
    度が、厚さ5mm×幅10mm×長さ50mmの上記塩
    化ビニル系管路構成部材を幅方向に接着しろが10mm
    ×10mmとなるように、標準接着剤(積水化学工業
    製、商品名「エスダイン#73」)を用いて接着し、接
    着された塩化ビニル系管路構成部材の他端を掴持し、引
    張試験機を用いて、引張速度10mm/minにて該接
    着面に平行するせん断力を負荷するせん断接着力試験で
    測定したとき、23℃において、30kgf/cm2
    上であることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル系
    管路構成部材。
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