JPH1182119A - 内燃機関の出力制御装置 - Google Patents

内燃機関の出力制御装置

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JPH1182119A
JPH1182119A JP24864797A JP24864797A JPH1182119A JP H1182119 A JPH1182119 A JP H1182119A JP 24864797 A JP24864797 A JP 24864797A JP 24864797 A JP24864797 A JP 24864797A JP H1182119 A JPH1182119 A JP H1182119A
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JP
Japan
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fuel ratio
torque
air
cylinder
torque fluctuation
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JP24864797A
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Nobuyuki Shibagaki
信之 柴垣
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 空燃比に関わらず機関の出力トルクを目標と
なる基準トルクに維持する。 【解決手段】 基準空燃比を算出し、目標トルク変動量
を算出し、機関のトルク変動量を検出し、検出されたト
ルク変動量が目標トルク変動量となるようにフィードバ
ック補正係数により基準空燃比を補正する。空燃比が基
準空燃比のときに機関の出力トルクを基準トルクとする
ための基本スロットル開度を算出し、基本スロットル開
度をフィードバック補正係数に基づいて補正することに
より目標スロットル開度を算出し、スロットル開度が目
標スロットル開度となるようにスロットル弁を制御す
る。基準トルクを、空燃比が理論空燃比のときに得られ
る機関の出力トルクに定める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の出力制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】基準空燃比および目標トルク変動量を算
出し、機関のトルク変動量を検出し、このトルク変動量
が目標トルク変動量になるように基準空燃比をフィード
バック補正係数により補正するようにした内燃機関が公
知である(特開平4−224245号公報参照)。空燃
比がリーンになるほど機関で発生するNOx 量が減少
し、しかも燃料消費率が小さくなるので空燃比をできる
だけリーンにするのが好ましい。ところが空燃比が或る
程度以上リーンになると燃焼が不安定となり、その結果
トルク変動量が大きくなって車両振動が増大し、斯くし
て車両の運転性が悪化する。そこでこの内燃機関では、
排出NOx 量および燃料消費率をできるだけ低減し、同
時に車両の運転性の悪化をできるだけ低減しうるトルク
変動量領域内に目標トルク変動量を定め、トルク変動量
が目標トルク変動量となるように基準空燃比をフィード
バック補正係数により補正するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、空燃比を或
る一定の空燃比、例えば理論空燃比に維持するようにし
た内燃機関では通常、空燃比が理論空燃比のときに機関
の出力トルクを目標トルクとするための目標スロットル
開度を求め、スロットル開度がこの目標スロットル開度
となるようにスロットル弁を制御している。しかしなが
ら上述の内燃機関において、空燃比が基準空燃比のとき
に機関の出力トルクを目標トルクとするための目標スロ
ットル開度を求めてスロットル開度がこの目標スロット
ル開度となるようにスロットル弁を制御するようにする
と、トルク変動量を目標トルク変動量にすべくフィード
バック補正係数が変動したときに空燃比が基準空燃比か
らずれてしまい、その結果機関の出力トルクが目標トル
クからずれてしまうという問題点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に1番目の発明によれば、基準空燃比を算出する基準空
燃比算出手段と、目標トルク変動量を算出する目標トル
ク変動量算出手段と、機関のトルク変動量を検出するト
ルク変動量検出手段と、トルク変動量が前記目標トルク
変動量になるように前記基準空燃比をフィードバック補
正係数により補正する空燃比補正手段と、空燃比が基準
空燃比のときに機関の出力トルクを基準トルクとするた
めの基本スロットル開度を算出する基本スロットル開度
算出手段と、基本スロットル開度を前記フィードバック
補正係数に基づいて補正することにより目標スロットル
開度を算出する目標スロットル開度算出手段と、スロッ
トル開度が目標スロットル開度となるようにスロットル
弁を制御することにより機関の出力トルクが基準トルク
に維持されるようにするスロットル開度制御手段とを具
備している。すなわち1番目の発明では、空燃比に関わ
らず機関の出力トルクが目標となる基準トルクに維持さ
れる。
【0005】また、2番目の発明によれば1番目の発明
において、前記基準トルクを、空燃比が理論空燃比のと
きに得られる機関の出力トルクにしている。すなわち2
番目の発明では、空燃比が例えばリーン空燃比から理論
空燃比に、或いは理論空燃比からリーン空燃比に変更さ
れたときにも機関の出力トルクが目標となる基準トルク
に維持される。
【0006】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、1は1番気筒
#1、2番気筒#2、3番気筒#3、4番気筒#4から
なる4つの気筒を具備した機関本体を示す。各気筒#
1,#2,#3,#4は夫々対応する吸気枝管2を介し
てサージタンク3に連結され、各吸気枝管2内には夫々
対応する吸気ポート内に向って燃料を噴射する燃料噴射
弁4が取付けられる。サージタンク3は吸気ダクト5お
よびエアフローメータ6を介してエアクリーナ7に連結
され、吸気ダクト5内にはスロットル弁8が配置され
る。このスロットル弁8はステップモータのようなアク
チュエータ8aに接続されており、従ってスロットル開
度が電気的に制御される。一方、各気筒#1,#2,#
3,#4は排気マニホルド9および排気管10を介して
NOx 吸収剤11を内蔵したケーシング12に連結され
る。このNOx 吸収剤11は空燃比がリーンのときに排
気ガス中に含まれるNOx を吸収し、空燃比が理論空燃
比又はリッチになると吸収したNOx を放出しかつ還元
する機能を有する。
【0007】電子制御ユニット20はディジタルコンピ
ュータからなり、双方向性バス21によって相互に接続
されたROM(リードオンリメモリ)22、RAM(ラ
ンダムアクセスメモリ)23、CPU(マイクロプロセ
ッサ)24、常時電源に接続されたバックアップRAM
25、入力ポート26および出力ポート27を具備す
る。機関の出力軸またはクランクシャフト13には外歯
付ロータ14が取付けられ、ロータ14の外歯に対面し
て電磁ピックアップからなるクランク角センサ15が配
置される。図1に示される実施例ではロータ14の外周
上に30°クランク角度毎に外歯が形成されており、例
えば1番気筒の圧縮上死点を検出するために一部の外歯
が削除されている。従ってこの外歯が削除された部分、
即ち欠歯部分を除いてクランク角センサ15は出力軸ま
たはクランクシャフト13が30°クランク角度回転す
る毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポー
ト26に入力される。
【0008】エアフローメータ6は吸入空気量に比例し
た出力電圧を発生し、この出力電圧が対応するAD変換
器28を介して入力ポート26に入力される。また、ス
ロットル弁8にはスロットル開度に比例した出力電圧を
発生するスロットル開度センサ16が取付けられ、この
スロットル開度センサ16の出力電圧が対応するAD変
換器28を介して入力ポート26に入力される。また、
排気マニホルド9内には空燃比を検出するための空燃比
センサ(O2 センサ)17が配置されており、この空燃
比センサ17の出力信号が対応するAD変換器28を介
して入力ポート26に入力される。さらに、アクセルペ
ダル18にはアクセルペダル18の踏み込み量に比例し
た出力電圧を発生する踏み込み量センサ19が接続さ
れ、この踏み込み量センサ19の出力電圧は対応するA
D変換器28を介して入力ポート26に入力される。一
方、出力ポート27は対応する駆動回路29を介して各
燃料噴射弁4およびアクチュエータ8aに接続される。
【0009】図1に示す内燃機関では燃料噴射時間TA
Uが次式に基づいて算出される。 TAU=TP・FLEAN・FLLFB・FAF+TA
UV ここでTPは基本燃料噴射時間を、FLEANはリーン
補正係数を、FLLFBはリーンリミットフィードバッ
ク補正係数を、FAFは理論空燃比フィードバック補正
係数を、TAUVは無効噴射時間を夫々示している。
【0010】基本燃料噴射時間TPは空燃比を理論空燃
比とするのに必要な噴射時間を示している。この基本燃
料噴射時間TPは実験により求められ、この基本燃料噴
射時間TPは機関負荷Q/N(吸入空気量Q/機関回転
数N)および機関回転数Nの関数として図2に示すマッ
プの形で予めROM22内に記憶されている。リーン補
正係数FLEANは空燃比をリーン空燃比とするための
補正係数であり、このリーン補正係数FLEANは機関
負荷Q/Nおよび機関回転数Nの関数として図4に示す
マップの形で予めROM22内に記憶されている。
【0011】リーンリミットフィードバック補正係数F
LLFBは空燃比をリーン限界に維持するための補正係
数である。本実施例では吸入空気量Qと機関回転数Nに
対してリーン空燃比フィードバック制御に対する学習領
域が図5に示されるように例えば9つの領域で分けられ
ており、各学習領域に対して夫々リーンリミットフィー
ドバック補正係数FLLFB11〜FLLFB33が設定さ
れている。
【0012】理論空燃比フィードバック補正係数FAF
は空燃比を理論空燃比に維持するための係数である。理
論空燃比フィードバック補正係数FAFは空燃比を理論
空燃比に維持すべきときに空燃比センサ17の出力信号
に基づいて制御され、このとき理論空燃比フィードバッ
ク補正係数FAFはほぼ1.0を中心として上下動す
る。
【0013】図4に示されるように破線により囲まれた
運転領域内については機関の運転状態に応じてリーン補
正係数FLEANが定められており、この運転領域内で
は空燃比がリーン空燃比に維持される。これに対して図
4の破線で囲まれた領域外の運転領域では空燃比が理論
空燃比に維持される。空燃比を理論空燃比に維持すべき
ときにはリーン補正係数FLEANおよびリーンリミッ
トフィードバック補正係数FLLFBは1.0に固定さ
れ、理論空燃比フィードバック補正係数FAFが空燃比
センサ17の出力信号に基づいて制御される。
【0014】一方、空燃比をリーン空燃比に維持すべき
ときには理論空燃比フィードバック補正係数FAFが
1.0に固定され、即ち空燃比センサ17の出力信号に
基づくフィードバック制御が停止され、リーン補正係数
FLEANとリーンリミットフィードバック補正係数F
LLFBとにより空燃比がリーン空燃比に制御される。
次に図3を参照しつつリーンリミットフィードバック制
御について説明する。図3は機関出力トルク変動量およ
びNOx 発生量と空燃比との関係を示している。空燃比
がリーンになるほど燃料消費率は小さくなり、また空燃
比がリーンになるほどNOx の発生量が少なくなる。従
ってこれらの点からみると空燃比はできるだけリーンに
することが好ましいことになる。ところが空燃比が或る
程度以上リーンになると燃焼が不安定となり、その結果
図3に示されるようにトルク変動量が大きくなる。そこ
で本実施例では図3に示されるようにトルク変動が増大
し始める空燃比制御領域内に空燃比を維持するようにし
ている。
【0015】即ち具体的に云うとリーン補正係数FLE
ANはリーンリミットフィードバック補正係数FLLF
BをFLLFB=1.0としたときに空燃比が図3に示
される空燃比制御領域の中央部となるように定められて
いる。一方、リーンリミットフィードバック補正係数F
LLFBはトルク変動量に応じて図3に示されるトルク
変動制御領域内において制御され、トルク変動量が大き
くなればリーンリミットフィードバック補正係数FLL
FBが増大せしめられ、即ち空燃比が小さくされ、トル
ク変動量が小さくなればリーンリミットフィードバック
補正係数FLLFBが減少せしめられ、即ち空燃比が大
きくされる。このようにして空燃比が図3に示される空
燃比制御領域内に制御される。
【0016】なお、リーンリミットフィードバック補正
係数FLLFBはリーン補正係数FLEANが定められ
ている機関運転領域をカバーするように設定されてい
る。トルク変動量が図3に示されるトルク変動制御領域
内に制御されると良好な車両の運転性を確保しつつ燃料
消費率およびNOx の発生量を大巾に低減することがで
きる。そこで本実施例では図3に示されるトルク変動制
御領域内に目標トルク変動量を定め、トルク変動量が目
標トルク変動量となるように空燃比を制御している。た
だし、このようにトルク変動量を目標トルク変動量に制
御するためにはトルク変動量を検出しなければならな
い。
【0017】ところでトルク変動量を算出する方法は従
来より種々の方法が提案されている。代表的な例を挙げ
ると燃焼室内に燃焼圧センサを取付けてこの燃焼圧セン
サの出力信号に基づきトルク変動量を算出する方法や、
或いは例えば特公平7−33809号公報に開示されて
いるようにクランクシャフトの第1の角速度ωaの2乗
とクランクシャフトの第2の角速度ωbの2乗との差に
基づいてトルク変動量を算出する方法が挙げられる。
【0018】即ち、各気筒において燃焼が行われると燃
焼圧によってクランクシャフトの角速度は第1の角速度
ωaから第2の角速度ωbへ上昇せしめられる。このと
き、機関の回転慣性モーメントをIとすると燃焼圧によ
って運動エネルギが(1/2)・Iωa2 から(1/
2)・Iωb2 へ上昇せしめられる。概略的に云うとこ
の運動エネルギの上昇量(1/2)・I・(ωb2 −ω
2 )によってトルクが発生するので発生トルクは(ω
2 −ωa2 )に比例することになる。従って発生トル
クは第1の角速度ωaの2乗と第2の角速度ωbの2乗
との差から求まることになり、従ってこのようにして求
めた発生トルクからトルク変動量を算出することができ
る。
【0019】燃焼圧センサを用いると燃焼圧センサを取
付けた気筒が発生するトルクを確実に検出することがで
きるという利点がある反面、燃焼圧センサが必要である
という欠点を有している。これに対して角速度ωa,ω
bは従来より内燃機関が備えているクランク角センサの
出力信号から算出することができるので角速度ωa,ω
bに基づき出力トルクを算出するようにした場合には新
たなセンサを設ける必要がないという利点がある。ただ
し、この場合機関駆動系が捩り振動を生ずるとトルク変
動量を正確に検出できなくなるという問題を有してい
る。しかしながらこの問題を解決しさえすれば新たなセ
ンサを必要としない角速度に基づくトルク算出方法の方
が好ましいことは明らかである。そこで本実施例では発
生トルクを角速度に基づき算出するようにし、その際機
関駆動系が捩り振動を生じたとしてもトルク変動量を正
確に検出しうるようにしている。
【0020】次に機関の出力変動およびトルク変動を算
出するための方法について説明する。まず初めに、機関
駆動系が捩り振動を生じていない定常運転時を示す図6
(A),(B)を参照しつつ各気筒が発生する駆動力お
よび各気筒が発生するトルクを算出する方法について説
明する。前述したようにクランク角センサ15はクラン
クシャフトが30°クランク角度回転する毎に出力パル
スを発生し、更にクランク角センサ15は各気筒#1,
#2,#3,#4の圧縮上死点TDCにおいて出力パル
スを発生するように配置されている。従ってクランク角
センサ15は各気筒#1,#2,#3,#4の圧縮上死
点TDCから30°クランク角毎に出力パルスを発生す
ることになる。なお、本実施例において用いられている
内燃機関の点火順序は1−3−4−2である。
【0021】図6(A),(B)において縦軸T30は
クランク角センサ15が出力パルスを発生してから次の
出力パルスを発生するまでの30°クランク角度の経過
時間を表わしている。また、Ta(i)はi番気筒の圧
縮上死点(以下TDCと称す)から圧縮上死点後(以下
ATDCと称す)30°までの経過時間を示しており、
Tb(i)はi番気筒のATDC60°からATDC9
0°までの経過時間を示している。従って例えばTa
(1)は1番気筒のTDCからATDC30°までの経
過時間を示しており、Tb(1)は1番気筒のATDC
60°からATDC90°までの経過時間を示している
ことになる。一方、30°クランク角度を経過時間T3
0で除算するとこの除算結果は角速度ωを表わしてい
る。本実施例では30°クランク角度/Ta(i)をi
番気筒における第1の角速度ωaと称し、30°クラン
ク角度/Tb(i)をi番気筒における第2の角速度ω
bと称する。従って30°クランク角度/Ta(1)は
1番気筒の第1の角速度ωaを表わし、30°クランク
角度/Tb(1)は1番気筒の第2の角速度ωbを表わ
すことになる。
【0022】図6(A),(B)の1番気筒に注目して
みると、燃焼が開始されて燃焼圧が高まると経過時間が
Ta(1)からTb(1)まで低下し、次いでTb
(1)から再び上昇する。云い換えるとクランクシャフ
トの角速度ωが第1の角速度ωaから第2の角速度ωb
まで上昇し、次いで第2の角速度ωbから再び下降す
る。即ち、燃焼圧によってクランクシャフトの角速度ω
が第1の角速度ωaから第2の角速度ωbへと増大せし
められたことになる。図6(A)は燃焼圧が比較的高い
場合を示しており、図6(B)は燃焼圧が比較的低い場
合を示している。図6(A),(B)から燃焼圧が高い
場合には燃焼圧が低い場合に比べて経過時間の減少量
(Ta(i)−Tb(i))が大きくなり、従って角速
度ωの増大量(ωb−ωa)が大きくなる。燃焼圧が高
くなればその気筒の発生する駆動力が大きくなり、従っ
て角速度ωの増大量(ωb−ωa)が大きくなれば気筒
の発生する駆動力が大きくなることになる。従って第1
の角速度ωaと第2の角速度ωbとの差(ωb−ωa)
から気筒の発生する駆動力を算出することができる。
【0023】一方、機関の回転慣性モーメントをIとす
ると燃焼圧によって運動エネルギが(1/2)Iωa2
から(1/2)Iωb2 に増大せしめられる。この運動
エネルギの増大量(1/2)・I・(ωb2 −ωa2
はその気筒が発生するトルクを表わしており、従って第
1の角速度ωaの2乗と第2の角速度ωbの2乗との差
(ωb2 −ωa2 )から気筒の発生するトルクを算出で
きることになる。
【0024】このように第1の角速度ωaと第2の角速
度ωbを検出すればこれらの検出値から対応する気筒の
発生する駆動力および対応する気筒の発生するトルクを
算出できることになる。なお、図6(A),(B)に示
される経過時間T30の変化は機関によって若干異な
り、従って第1の角速度ωaを検出すべきクランク角度
範囲および第2の角速度ωbを検出すべきクランク角度
範囲は機関に応じて(ωb−ωa)が機関の発生する駆
動力を最もよく表わすように、或いは(ωb2 −ωa
2 )が機関の発生するトルクを最もよく表わすように定
められる。従って機関によっては第1の角速度ωaを検
出すべきクランク角度範囲が圧縮上死点前BTDC30
°からTDCであり、第2の角速度ωbを検出すべきク
ランク角度範囲がATDC90°からATDC120°
となることもあり得る。
【0025】従って各角速度ωa,ωbの検出のしかた
について一般的に表現すると、圧縮行程末期から爆発行
程初期までのクランク角度領域内に第1のクランク角度
範囲を設定し、第1のクランク角度範囲から一定のクラ
ンク角を隔てた爆発行程中期のクランク角度領域内に第
2のクランク角度範囲を設定し、第1のクランク角度範
囲内におけるクランクシャフトの第1の角速度ωaを検
出し、第2のクランク角度範囲内におけるクランクシャ
フトの第2の角速度ωbを検出するということになる。
【0026】上述したように角速度ωa,ωbを検出す
れば検出値に基づいて対応する気筒の発生する駆動力お
よびトルクを算出することができる。しかしながら機関
駆動系には各気筒において順次行われる爆発作用により
駆動系の固有振動数でもって振動する捩り振動が発生し
ており、このように機関駆動系に捩り振動が発生してい
ると角速度ωa,ωbに基づいて気筒の発生する駆動力
およびトルクを正確に算出することができなくなる。次
にこのことについて図7および図8を参照しつつ説明す
る。
【0027】図7は機関駆動系に捩り振動が発生してい
るときに各気筒に対し順次算出される経過時間Ta
(i)の変化を示している。機関駆動系に捩り振動が発
生するとこの捩り振動によってクランクシャフトの角速
度が周期的に増大減少せしめられるので経過時間Ta
(i)は図7に示されるように周期的に増大減少するこ
とになる。
【0028】一方、図8は図7において経過時間Ta
(i)が減少している部分を拡大して示している。図8
に示されるように経過時間Ta(i)はTa(1)とT
a(3)との間でho時間だけ減少しており、このho
時間の減少は捩り振動による捩れ量の増大によるものと
考えられる。この場合、Ta(1)とTa(3)との間
では捩り振動による経過時間の減少量は時間の経過と共
にほぼ直線的に増大するものと考えられ、従ってこの捩
り振動による経過時間の減少量はTa(1)およびTa
(3)を結ぶ破線とTa(1)を通る水平線との差で表
わされることになる。従ってTa(1)とTb(1)と
の間では捩り振動によって経過時間がhだけ減少してい
ることになる。
【0029】このように機関駆動系に捩り振動が発生す
るとTb(1)はTa(1)に対して経過時間が減少
し、この減少した経過時間は燃焼圧による経過時間の減
少量fと捩り振動による経過時間の減少量hとを含んで
いることになる。従って燃焼圧により減少した経過時間
Tb(1)だけを求めるためにはTb(1)にhを加算
しなければならないことになる。即ち、検出された経過
時間Ta(i)およびTb(i)に基づいて各気筒が発
生する駆動力或いはトルクを求めても真の駆動力或いは
トルクを求めることができず、斯くして真の機関の出力
変動或いはトルク変動を求めることができない。
【0030】更に、多気筒内燃機関ではこのような機関
駆動系の捩り振動に加えてクランクシャフト自体の捩り
振動を発生し、このようなクランクシャフト自体の捩り
振動が発生した場合にも真の機関の出力変動或いはトル
ク変動を求めることができなくなる。次にこのことにつ
いて図9を参照しつつ説明する。多気筒内燃機関、例え
ば図1に示されるような4気筒内燃機関では1番気筒お
よび2番気筒において大きなクランクシャフト自体の捩
り振動が発生する。即ち、クランクシャフト自体の捩り
振動がほとんど発生しない気筒、例えば3番気筒#3で
は図9に示されるようにTa(3)からTb(3)に向
けて経過時間は徐々に減少するが1番気筒#1において
はTa(1)からTb(1)に向けて経過時間は徐々に
減少せず、クランクシャフト自体の捩り振動によってT
b(1)の経過時間が長くなってしまう。その結果、1
番気筒#1については検出された経過時間Ta(1)お
よびTb(1)に基づいて1番気筒#1が発生する駆動
力或いはトルクを求めても真の駆動力或いはトルクを求
めることができず、斯くして真の機関の出力変動或いは
トルク変動を求めることができない。
【0031】そこで本実施例では機関駆動系の捩り振動
が発生しても、またクランクシャフト自体の捩り振動が
発生しても真の機関の出力変動或いはトルク変動を算出
することができる算出方法を採用している。次にこの算
出方法について図10を参照しつつ説明する。図10に
おいてTa(1)j-1 およびTb(1)j-1 は1番気筒
#1の先の燃焼時における経過時間を表しており、Ta
(1)j およびTb(1)j は1番気筒#1の次の燃焼
時における経過時間を表している。一方、Ta(3)
j-1 は1番気筒#1の先の燃焼にひき続いて行われる3
番気筒#3の先の燃焼時における経過時間を表してお
り、Ta(3)j は3番気筒#3の次の燃焼時における
経過時間を表わしている。
【0032】まず初めにTa(1)j とTa(1)j-1
との差DTa(1)(=Ta(1) j −Ta(1)
j-1 )、およびTa(3)j とTb(3)j-1 との差D
Ta(3)(=Ta(3)j −Ta(3)j-1 )とを求
める。次いで1番気筒#1の先の燃焼時の出力トルクと
次の燃焼時の出力トルクとが同一であったと仮定したと
きの1番気筒#1の次の燃焼時におけるATDC60°
からATDC90°までの仮想の経過時間をTb′
(1)j とし、このTb′(1)j とTb(1)j-1
の差Kb(1)(=Tb′(1)j −Tb(1)j-1
を求める。これらの差DTa(1),Kb(1)および
DTa(3)を一直線上における高さとして書き直すと
図11に示されるようになる。
【0033】図11に示されるように経過時間差DTa
(1)とDTa(3)との間では経過時間差がI0 時間
だけ減少している。クランクシャフト自体に捩り振動が
発生したとしてもこの捩り振動による影響は経過時間差
には表れず、従って経過時間差のI0 時間の減少は機関
駆動系の捩り振動によるものである。この場合、DTa
(1)とDTa(3)との間では機関駆動系の捩り振動
による経過時間差の減少量は時間の経過と共にほぼ直線
的に増大するものと考えられる。従って1番気筒#1の
先の燃焼時の出力トルクと次の燃焼時の出力トルクとが
同一であると仮定すると経過時間差DTa(1)とKb
(1)との間では機関駆動系の捩り振動によって経過時
間差がIだけ減少するものと考えられる。従って図11
からわかるように1番気筒#1の先の燃焼時の出力トル
クと次の燃焼時の出力トルクとが同一であると仮定した
場合に経過時間差Kb(1)は次式で表される。
【0034】 Kb(1)=(2DTa(1)+DTa(3))/3 ところで1番気筒#1の先の燃焼時の出力トルクと次の
燃焼時の出力トルクとが同一であると仮定したときの1
番気筒#1の仮想の経過時間Tb′(1)j は次式で表
される。 Tb′(1)j =Tb(1)j-1 +Kb(1) 従って1番気筒#1の先の燃焼時の出力トルクと次の燃
焼時における出力トルクが同一であると仮定したときの
1番気筒#1の次の燃焼時における仮想の出力トルクD
NS(1)は次式で表される。 DNS(1)={30°/Tb′(1)j 2 −{30°/Ta(1)j 2 ={30°/(Tb(1)j-1 +Kb(1))}2 −{30°/Ta(1)j 2 一方、1番気筒#1の次の燃焼時におけるATDC60
°からATDC90°までの実際の経過時間Tb(1)
j を用いて実際の出力トルクを算出するとこの出力トル
クDN(1)は次式で表される。
【0035】DN(1)={30°/Tb(1)j 2
−{30°/Ta(1)j 2 この場合、1番気筒#1の仮想の出力トルクDNS
(1)と実際の出力トルクDN(1)との差は1番気筒
#1のトルク変動量を表しており、従って1番気筒#1
のトルク変動量DLN(1)は次式で表されることにな
る。 DLN(1)=DNS(1)−DN(1)={30°/
Tb′(1)j 2−{30°/Tb(1)j 2 一般的に表すとi番気筒のトルク変動量DLN(i)は
次式で表すことができる。
【0036】DLN(i)=DNS(i)−DN(i)
={30°/Tb′(i)}2−{30°/Tb
(i)}2 即ち、i番気筒のトルク変動量はi番気筒の仮想の第2
の角速度の2乗と実際の第2の角速度の2乗との偏差か
ら求まることになる。このような方法でもってトルク変
動量を算出することによって機関駆動系に捩り振動が発
生したとしても、更にクランクシャフト自体に捩り振動
が発生したとしても各気筒のトルク変動量を正確に検出
できることになる。
【0037】一方、このような方法でもってトルク変動
量を算出する場合、ロータ14(図1)の外周に沿って
形成されている外歯の間隔にばらつきがあると各気筒の
トルク変動量を正確に検出することができない。そこで
本実施例ではロータ14の外歯の間隔にばらつきがあっ
たとしても各気筒のトルク変動量を正確に検出しうるよ
うに検出された各経過時間Ta(i),Tb(i)を補
正するようにしている。次に経過時間Ta(i)の補正
方法について図12を参照しつつ説明する。
【0038】本発明による実施例では経過時間Ta
(i)が次式に基づいて算出される。 Ta(i)=(i番気筒のTDCからATDC30°ま
での所要時間)・(1+KTa(i)) ここでKTa(i)はi番気筒に対する補正係数を表し
ており、これらの補正係数KTa(i)は機関駆動系の
捩り振動が発生せず、クランクシャフト自体の捩り振動
も発生しない減速運転時の燃料供給停止時に算出され
る。
【0039】図12は減速運転時における経過時間Ta
(i)の変化を示している。減速運転時にはクランクシ
ャフトの回転速度が次第に低下するので経過時間Ta
(i)はTa(1)j-1 ,Ta(3)j-1 ,Ta(4)
j-1 ,Ta(2)j-1 ,Ta(1)j ,Ta(3)j
Ta(4)j ,Ta(2)j で表されるように次第に増
大する。このときロータ14の外歯の間隔が同一であっ
たとすると各経過時間Ta(i)は図12の実線に沿っ
て変化するものと考えられ、検出された経過時間Ta
(i)が図12の実線からずれている場合には図12の
実線からずれている経過時間Ta(i)を検出するため
の外歯の間隔が正規の間隔からずれているものと考えら
れる。そこで本発明による実施例では経過時間Ta
(i)が図12に示す直線からずれている場合にはその
経過時間Ta(i)が図12の実線上に位置するように
経過時間Ta(i)を補正係数KTa(i)によって補
正するようにしている。
【0040】具体的に云うと、本実施例では720°ク
ランク角範囲(j−1),(j)…における4気筒の経
過時間Ta(i)の平均値TaAVj-1 {=(Ta
(1)j- 1 +Ta(3)j-1 +Ta(4)j-1 +Ta
(2)j-1 )/4},TaAVj {=(Ta(1)j
Ta(3)j +Ta(4)j +Ta(2)j )/4},
…を順次算出する。次いで各経過時間Ta(4)j-1
Ta(2)j-1 ,Ta(1) j ,Ta(3)j が平均値
TaAVj-1 から平均値TaAVj まで平均的な一定の
増大率でもって増大したと考え、平均的な一定の増大率
でもって増大したと考えたときの各気筒についての経過
時間AAV(4),AAV(2),AAV(1),AA
V(3)を次式より求める。
【0041】AAV(4)=(TaAVj −TaAV
j-1 )・(1/8)+TaAVj-1 AAV(2)=(TaAVj −TaAVj-1 )・(3/
8)+TaAVj-1 AAV(1)=(TaAVj −TaAVj-1 )・(5/
8)+TaAVj-1 AAV(3)=(TaAVj −TaAVj-1 )・(7/
8)+TaAVj-1 次いで次式に基づき各気筒についてこれら経過時間AA
V(4),AAV(2),AAV(1),AAV(3)
に対する実際に検出された経過時間Ta(4) j-1 ,T
a(2)j-1 ,Ta(1)j ,Ta(3)j のずれ割合
KAFC(4),KAFC(2),KAFC(1),K
AFC(3)を求める。
【0042】KAFC(4)={Ta(4)j-1 −AA
V(4)}/AAV(4) KAFC(2)={Ta(2)j-1 −AAV(2)}/
AAV(2) KAFC(1)={Ta(1)j −AAV(1)}/A
AV(1) KAFC(3)={Ta(3)j −AAV(3)}/A
AV(3) 次に次式を用いて基本補正係数KTaB(i)を各気筒
毎に求める。
【0043】KTaB(i)=KTa(i)j-1 −KA
FC(i)/4 即ち、各気筒に対するこれまでの補正係数KTa(i)
j-1 からずれ割合KAFC(i)の1/4を減算するこ
とによって基本補正係数KTaB(i)が算出される。
次いで基本補正係数KTaB(i)の平均値tKTaM
が次式に基づき算出される。
【0044】tKTaM={KTaB(1)+KTaB
(2)+KTaB(3)+KTaB(4)}/4 次いで次式に示されるように各基本補正係数KTaB
(i)から平均値tKTaMを減算することによって各
気筒に対する補正係数KTa(i)が算出される。
【0045】 KTa(i)=KTaB(i)−tKTaM 上述したように補正係数KTa(i)j-1 をずれ割合K
AFC(i)に基づいて直接補正せず、一旦基本補正係
数KTaB(i)を求めるようにしているのは次の理由
による。例えば1番気筒#1についてのみずれ割合KA
FC(1)が存在し、このずれ割合KAFC(1)に基
づいて1番気筒#1の補正係数KTa(1)のみを補正
したとする。この場合、1番気筒#1のみの経過時間T
a(1)が増大又は減少せしめられる。しかしながら1
番気筒#1のみの経過時間Ta(1)が増大又は減少せ
しめられると今度は残りの気筒#2,#3,#4の補正
係数KTa(2),KTa(3),KTa(4)がずれ
を生じることになる。
【0046】このような問題が生じないようにするため
に基本補正係数KTaB(i)を一旦求め、この基本補
正係数KTaB(i)から基本補正係数の平均値tKT
aMを減算することによって最終的な補正係数KTa
(i)を求めるようにしている。即ち、例えば1番気筒
#1の基本補正係数KTaB(1)が増大せしめられた
場合には全ての気筒#1,#2,#3,#4の基本補正
係数KTaB(i)から基本補正係数の平均値tKTa
Mが減算される。このように全ての気筒の基本補正係数
KTaB(i)からtKTaMが減算されると1番気筒
#1の補正係数KTa(1)は増大するが残りの気筒#
2,#3,#4の補正係数KTa(2),KTa
(3),KTa(4)は減少せしめられ、KTa
(1),KTa(2),KTa(3)およびKTa
(4)の和は常に零に維持される。このようにKTa
(1),KTa(2),KTa(3)およびKTa
(4)の和が常に零になるように各補正係数KTa
(i)を補正するといずれか一つの補正係数KTa
(i)が補正されても他の補正係数KTa(i)はずれ
を生じなくなる。
【0047】図12に示される実施例では例えば1番気
筒#1の経過時間Ta(1)j が平均的な一定の増大率
でもって増大したと考えたときの経過時間AAV(1)
よりも大きいときには1番気筒#1に対するずれ割合K
AFC(1)が正の値となる。その結果補正係数KTa
(1)は、ずれ割合KAFC(1)が零となるまで減少
せしめられ、ずれ割合KAFC(1)が零になると補正
係数KTa(1)の値は一定値に落ち着くことになる。
このとき経過時間Ta(1)は経過時間AVV(1)に
一致する。全ての気筒についての補正係数KTa(i)
が一定値に落ち着くとロータ14の回転速度が一定のと
きには補正係数KTa(i)を用いて補正された各気筒
の経過時間Ta(i)は全て等しくなる。従ってロータ
14の外歯の間隔にばらつきがあったとしても各気筒の
トルク変動を正確に検出することができる。再びトルク
変動の算出に話しを戻すと機関駆動系に捩り振動が発生
したときに経過時間差DTa(i)は図10に示される
ように変動する。しかしながらこの経過時間差DTa
(i)は車両が凸凹道を走行したときにも変動し、しか
もこのときにはDTa(i)の変動巾が極めて大きくな
る場合がある。図13は車両が凸凹道を走行したときの
DTa(i)の変動を示しており、図13のAMPは最
小のDTa(i)と最大のDTa(i)との差、即ち振
幅を示している。この振幅AMPが小さいときにはこれ
まで述べた方法によって各気筒の出力変動およびトルク
変動を正確に検出することができる。
【0048】しかしながら振幅AMPが大きくなるとD
Ta(i)が最大又は最小となる気筒の出力変動又はト
ルク変動を正確に検出できなくなる。即ち、図13にお
いて例えば最初にDTa(i)が最大になる気筒が1番
気筒#1であったとすると1番気筒#1の仮想の経過時
間差Kb(1)の捩り振動による減少量Iは図11のD
Ta(1)とDTa(3)とを結ぶ鎖線の傾きから求め
られる。しかしながらDTa(1)が最大となる付近で
は捩り振動による経過時間の増大量又は減少量はDTa
(2),DTa(1),DTa(3)を通る滑らかな曲
線で変化しており、従って1番気筒#1のKb(1)を
DTa(1)とDTa(3)から求めるとKb(1)の
値は実際の値よりもかなり小さく計算される。その結
果、Kb(1)が正規の値を示さなくなり、斯くして出
力変動量およびトルク変動量を正確に検出できなくな
る。振幅AMPが大きくなるとDTa(i)が最小とな
る気筒においても同じことが生ずる。
【0049】また、一つ前に燃焼が行われた気筒のDT
a(i)に対してDTa(i)が急変した気筒において
もKb(i)の値が実際の値からずれ、斯くして出力変
動およびトルク変動を正確に検出できなくなる。そこで
本実施例では振幅AMPが大きいときにはDTa(i)
が最大又は最小となる気筒については出力変動量又はト
ルク変動量を求めずに、更に一つ前に燃焼が行われた気
筒のDTa(i)に対してDTa(i)が急変した気筒
についても出力変動量又はトルク変動量を求めないよう
にしている。
【0050】次に図14から図25を参照しつつ各気筒
のトルク変動量を求めるためのルーチンについて説明す
る。なお、図25は各ルーチンにおいて行われる各値の
計算タイミングを示している。図14は30°クランク
角度毎に行われる割込みルーチンを示している。図14
を参照するとまず初めに経過時間差DTa(i)および
経過時間Tb(i)を算出するためのルーチン(ステッ
プ100)に進む。このルーチンは図15から図18に
示されている。次いでトルク変動の算出を許可するか否
かをチェックするためのルーチン(ステップ200)に
進む。このルーチンは図19から図21に示されてい
る。次いでトルク変動を算出するためのルーチン(ステ
ップ300)に進む。このルーチンは図23に示されて
いる。次いでトルク変動値の算出に用いるカウンタCD
LNIXの処理ルーチンに進む。このルーチンは図24
に示されている。
【0051】経過時間差DTa(i)および経過時間T
b(i)の算出ルーチンを示す図15から図18を参照
すると、まず初めにステップ101において時刻TIM
EがTIMEOとされる。電子制御ユニット20は時刻
を表わすフリーランカウンタを備えており、このフリー
ランカウンタのカウント値から時刻TIMEが算出され
る。次いでステップ102では現在の時刻TIMEが取
込まれる。従ってステップ101のTIMEOは30°
クランク角度前の時刻を表わしていることになる。
【0052】次いでステップ103では現在i番気筒の
ATDC30°であるか否かが判別される。現在i番気
筒のATDC30°でない場合にはステップ111にジ
ャンプして現在i番気筒のATDC90°であるか否か
が判別される。現在i番気筒のATDC90°でない場
合には経過時間差DTa(i)および経過時間Tb
(i)の算出ルーチンを完了する。
【0053】これに対してステップ103において現在
i番気筒のATDC30°であると判別されたときには
ステップ104に進んで720°クランク角度前に算出
された経過時間Ta(i)がTaO(i)とされる。次
いでステップ105では次式に基づいてi番気筒のTD
CからATDC30°までの最終的な経過時間Ta
(i)が算出される。
【0054】Ta(i)=(TIME−TIMEO)・
(1+KTa(i)) 即ち、例えば現在1番気筒#1のATDC30°である
とすると1番気筒#1のTDCからATDC30°まで
の最終的な経過時間Ta(1)が(TIME−TIME
O)・(1+KTa(1))から算出される。ここで
(TIME−TIMEO)はクランク角センサ15によ
り実測された経過時間Ta(1)を表わしており、KT
a(1)はロータ13の外歯間隔による誤差を補正する
ための補正係数であり、従って(TIME−TIME
O)に(1+KTa(1))を乗算することによって得
られた最終的な経過時間Ta(1)はクランクシャフト
が30°クランク角度回転する間の経過時間を正確に表
わしていることになる。
【0055】次いでステップ106では今回算出された
経過時間Ta(i)から720°クランク角度前に算出
された経過時間TaO(i)を減算することによって経
過時間差DTa(i)(=Ta(i)−TaO(i))
が算出される。次いでステップ107では現在2番気筒
#2のATDC30°であるか否かが判別される。現在
2番気筒#2のATDC30°でないときにはステップ
110にジャンプし、一つ前に燃焼が行われた(i−
1)番気筒のトルク変動量を算出すべきことを示すフラ
グXCAL(i−1)がセット(XCAL(i−1)←
“1”)される。次いでステップ111に進む。本実施
例では前述したように点火順序が1−3−4−2である
ので現在1番気筒#1のATDC30°であるとすると
一つ前に燃焼が行われた2番気筒#2のトルク変動量を
算出すべきことを示すフラグXCAL(2)がセットさ
れる。同様に図25に示される如く最終的な経過時間T
a(3)が算出されるとフラグXCAL(1)がセット
され、最終的な経過時間Ta(4)が算出されるとフラ
グXCAL(3)がセットされ、最終的な経過時間Ta
(2)が算出されるとフラグXCAL(4)がセットさ
れる。
【0056】一方、ステップ111において現在i番気
筒のATDC90°であると判別されたときにはステッ
プ112に進んで720°クランク角度前に算出された
経過時間Tb(i)がTbO(i)とされる。次いでス
テップ113では次式に基づいてi番気筒のATDC6
0°からATDC90°までの最終的な経過時間Tb
(i)が算出される。
【0057】Tb(i)=(TIME−TIMEO)・
(1+KTb(i)) 即ち、例えば現在1番気筒#1のATDC90°である
とすると1番気筒#1のATDC60°からATDC9
0°までの最終的な経過時間Tb(1)が(TIME−
TIMEO)・(1+KTb(1))から算出される。
この場合にもロータ13の外歯間隔による誤差を補正す
るための値(1+KTb(1))が(TIME−TIM
EO)に乗算されているので最終的な経過時間Tb
(1)はクランクシャフトが30°クランク角度回転す
る間の経過時間を正確に表わしていることになる。次い
でステップ114では現在2番気筒#2のATDC90
°であるか否かが判別される。現在2番気筒#2のAT
DC90°でないときには経過時間差DTa(i)およ
び経過時間Tb(i)の算出ルーチンを完了する。
【0058】一方、ステップ107において現在2番気
筒#2のATDC30°であると判別されたときにはス
テップ108に進んで次式に基づき図12の720°ク
ランク角度範囲(j)における経過時間Ta(i)の平
均値TaAVj が算出される。 TaAVj =(Ta(1)+Ta(3)+Ta(4)+
Ta(2))/4 ここでTa(1),Ta(3),Ta(4),Ta
(2)は図12におけるTa(1)j ,Ta(3)j
Ta(4)j ,Ta(2)j に夫々相当する。次いでス
テップ109の補正係数KTa(i)の算出ルーチンに
進む。このルーチンは図17に示されている。
【0059】図17を参照するとまず初めにステップ1
20において減速運転中の燃料供給停止時であるか否か
が判別される。減速運転中の燃料供給停止時でないとき
には処理サイクルを完了し、減速運転中の燃料供給停止
時にはステップ121に進む。ステップ121ではステ
ップ108において算出された経過時間Ta(i)の平
均値TaAVj と、既に算出されている図12の720
°クランク角度範囲(j−1)における経過時間Ta
(i)の平均値TaAVj-1 (=(Ta(1)+Ta
(3)+Ta(4)+Ta(2))/4)(ここでTa
(1),Ta(3),Ta(4),Ta(2)は夫々図
12に示されるTa(1)j-1 ,Ta(3) j-1 ,Ta
(4)j-1 ,Ta(2)j-1 に相当する)から、平均的
な一定の増大率でもって増大したと考えたときの図12
に示す経過時間AAV(4),AAV(2),AAV
(1),AAV(3)が次のようにして算出される。
【0060】AAV(4)=(TaAVj −TaAV
j-1 )・(1/8)+TaAVj-1 AAV(2)=(TaAVj −TaAVj-1 )・(3/
8)+TaAVj-1 AAV(1)=(TaAVj −TaAVj-1 )・(5/
8)+TaAVj-1 AAV(3)=(TaAVj −TaAVj-1 )・(7/
8)+TaAVj-1 次いでステップ122では次式に基づいてこれら経過時
間AAV(4),AAV(2),AAV(1),AAV
(3)に対する実際に検出された経過時間TaO
(4),TaO(2),Ta(1),Ta(3)のずれ
割合KAFC(4),KAFC(2),KAFC
(1),KAFC(3)が算出される。ここでTaO
(4),TaO(2),Ta(1),Ta(3)は夫々
図12に示されるTa(4)j-1 ,Ta(2)j-1 ,T
a(1)j ,Ta(3)j に相当する。
【0061】KAFC(4)={TaO(4)−AAV
(4)}/AAV(4) KAFC(2)={TaO(2)−AAV(2)}/A
AV(2) KAFC(1)={Ta(1)−AAV(1)}/AA
V(1) KAFC(3)={Ta(3)−AAV(3)}/AA
V(3) 次いでステップ123では補正係数KTa(i)の学習
条件が成立しているか否かが判別される。例えば燃料供
給停止から一定時間経過しており、機関回転数が予め定
められた範囲内にあり、かつ車両が悪路を走行していな
いとき、例えば図13に示される経過時間差DTa
(i)の振幅AMPが設定値を越えていないときに学習
条件が成立していると判断される。学習条件が成立して
いないときにはステップ128に進んでずれ量KAFC
(i)の積算値KAFCI(i)が零とされ、次いでス
テップ129において積算カウント値CKAFCがクリ
アされる。
【0062】これに対して学習条件が成立している場合
にはステップ124に進んで各気筒に対するずれ量KA
FC(i)が対応する積算値KAFCI(i)に加算さ
れ、次いでステップ125において積算カウント値CK
AFCが1だけインクリメントされる。次いでステップ
126では積算カウント値CKAFCが8になったか否
かが判別される。積算カウント値CKAFCが8でない
ときには処理サイクルを完了し、積算カウント値CKA
FCが8になるとステップ127に進んで補正係数KT
a(i)が算出される。即ち、各気筒についてずれ量K
AFC(i)が8回積算されるとステップ127に進ん
で補正係数KTa(i)が算出される。
【0063】ステップ127では次のようにして補正係
数KTa(i)が算出される。即ち、まず初めに各積算
値KAFCI(i)がKAFCE(i)に置き換えられ
る。次いで次式に基づき基本補正係数KTaB(i)が
算出される。 KTaB(i)=KTa(i)−(KAFCI(i)/
8)/4 即ち、実際に検出された経過時間Ta(i)が平均的な
一定の増大率でもって増大したと考えたときの経過時間
AAV(i)に対してずれを生じている場合には現在の
補正係数KTa(i)を積算値KAFCI(i)の平均
値の1/4だけ修正した値が基本補正係数KTaB
(i)とされる。次いで次式に基づき全気筒に対する基
本補正係数KTaB(i)の平均値tKTaMが算出さ
れる。
【0064】tKTaM=(KTaB(1)+KTaB
(2)+KTaB(3)+KTaB(4))/4 次いで次式に示されるように基本補正係数KTaB
(i)をその平均値tKTaMでもって修正することに
より補正係数KTa(i)が更新される。KTa(i)
=KTaB(i)−tKTaMこのようにして減速運転
中の燃料噴射停止時に各気筒に対する補正係数KTa
(i)の更新が行われる。
【0065】一方、図16のステップ114において現
在2番気筒#2のATDC90°であると判別されたと
きにはステップ115に進んでTaAVj を求めたとき
と同じ方法により次式に基づいて720°クランク角度
範囲における経過時間Tb(i)の平均値TbAVj
算出される。 TbAVj =(Tb(1)+Tb(3)+Tb(4)+
Tb(2))/4 次いでステップ116の補正係数KTb(i)の算出ル
ーチンに進む。このルーチンは図18に示されている。
【0066】図18を参照するとまず初めにステップ1
30において減速運転中の燃料供給停止時であるか否か
が判別される。減速運転中の燃料供給停止時でないとき
には処理サイクルを完了し、減速運転中の燃料供給停止
時にはステップ131に進む。ステップ131ではステ
ップ115において算出された経過時間Tb(i)の平
均値TbAVj と、一つ前の720°クランク角度範囲
における経過時間Tb(i)の平均値TbAVj-1 (=
(Tb(1)+Tb(3)+Tb(4)+Tb(2))
/4)から、平均的な一定の増大率でもって増大したと
考えたときの経過時間BAV(4),BAV(2),B
AV(1),BAV(3)が算出される。
【0067】BAV(4)=(TbAVj −TbAV
j-1 )・(1/8)+TbAVj-1 BAV(2)=(TbAVj −TbAVj-1 )・(3/
8)+TbAVj-1 BAV(1)=(TbAVj −TbAVj-1 )・(5/
8)+TbAVj-1 BAV(3)=(TbAVj −TbAVj-1 )・(7/
8)+TbAVj-1 次いでステップ132では次式に基づいてこれら経過時
間BAV(4),BAV(2),BAV(1),BAV
(3)に対する実際に検出された経過時間TbO
(4),TbO(2),Tb(1),Tb(3)のずれ
割合KBFC(4),KBFC(2),KBFC
(1),KBFC(3)が算出される。
【0068】KBFC(4)={TbO(4)−BAV
(4)}/BAV(4) KBFC(2)={TbO(2)−BAV(2)}/B
AV(2) KBFC(1)={Tb(1)−BAV(1)}/BA
V(1) KBFC(3)={Tb(3)−BAV(3)}/BA
V(3) 次いでステップ133では補正係数KTb(i)の学習
条件が成立しているか否かが判別される。前述したよう
に、例えば燃料供給停止から一定時間経過しており、機
関回転数が予め定められた範囲内にあり、かつ車両が悪
路を走行していないとき、例えば図13に示される経過
時間差DTa(i)の振幅AMPが設定値を越えていな
いときに学習条件が成立していると判断される。学習条
件が成立していないときにはステップ138に進んでず
れ量KBFC(i)の積算値KBFCI(i)が零とさ
れ、次いでステップ139において積算カウント値CK
BFCがクリアされる。
【0069】これに対して学習条件が成立している場合
にはステップ134に進んで各気筒に対するずれ量KB
FC(i)が対応する積算値KBFCI(i)に加算さ
れ、次いでステップ135において積算カウント値CK
BFCが1だけインクリメントされる。次いでステップ
136では積算カウント値CKBFCが8になったか否
かが判別される。積算カウント値CKBFCが8でない
ときには処理サイクルを完了し、積算カウント値CKB
FCが8になるとステップ137に進んで補正係数KT
b(i)が算出される。即ち、各気筒についてずれ量K
BFC(i)が8回積算されるとステップ137に進ん
で補正係数KTb(i)が算出される。
【0070】ステップ137では次のようにして補正係
数KTb(i)が算出される。即ち、まず初めに各積算
値KBFCI(i)がKBFCE(i)に置き換えられ
る。次いで次式に基づき基本補正係数KTbB(i)が
算出される。 KTbB(i)=KTb(i)−(KBFCI(i)/
8)/4 即ち、実際に検出された経過時間Tb(i)が平均的な
一定の増大率でもって増大したと考えたときの経過時間
BAV(i)に対してずれを生じている場合には現在の
補正係数KTb(i)を積算値KBFCI(i)の平均
値の1/4だけ修正した値が基本補正係数KTbB
(i)とされる。次いで次式に基づき全気筒に対する基
本補正係数KTbB(i)の平均値tKTbMが算出さ
れる。
【0071】tKTbM=(KTbB(1)+KTbB
(2)+KTbB(3)+KTbB(4))/4 次いで次式に示されるように基本補正係数KTbB
(i)をその平均値tKTbMでもって修正することに
より補正係数KTb(i)が更新される。 KTb(i)=KTbB(i)−tKTbM このようにして減速運転中の燃料噴射停止時に各気筒に
対する補正係数KTb(i)の更新が行われる。
【0072】次に図19から図21に示されるトルク変
動算出許可チェックルーチンについて図22を参照しつ
つ説明する。このルーチンは車両が凸凹道を走行するこ
とにより経過時間差DTa(i)の変動の振幅AMP
(図13)が大きくなったときには特定の気筒について
のトルク変動量の算出を禁止するために設けられてい
る。
【0073】即ち、図19から図21を参照すると、ま
ず初めにステップ201において現在いずれかの気筒の
ATDC30°であるか否かが判別される。現在いずれ
かの気筒のATDC30°でないときには処理サイクル
を完了し、現在いずれかの気筒のATDC30°である
ときにはステップ202に進む。ステップ202からス
テップ204では経過時間差DTa(i)が増大し次い
で減少する際の最大経過時間差DT30maxが算出さ
れる。即ち、ステップ202では図15のステップ10
6において算出されたDTa(i)が最大経過時間差D
T30maxよりも大きいか否かが判別される。DT3
0max>DTa(i)のときにはステップ205にジ
ャンプし、これに対してDT30max≦DTa(i)
のときにはステップ203に進んでDTa(i)がDT
30maxとされる。次いでステップ204ではDTa
(i)が増大していることを示す増大フラグXMXRE
Cがセット(XMXREC←“1”)され、次いでステ
ップ205に進む。
【0074】ステップ205からステップ207では経
過時間差DTa(i)が減少し次いで増大する際の最小
経過時間差DT30minが算出される。即ち、ステッ
プ205では図15のステップ106において算出され
たDTa(i)が最小経過時間差DT30minよりも
小さいか否かが判別される。DT30min<DTa
(i)のときにはステップ208にジャンプし、これに
対してDT30min≧DTa(i)のときにはステッ
プ206に進んでDTa(i)がDT30minとされ
る。次いでステップ207ではDTa(i)が減少して
いることを示す減少フラグXMNRECがセット(XM
NREC←“1”)され、次いでステップ208に進
む。
【0075】ステップ208からステップ214ではD
Ta(i)の変動の振幅AMP(図13)が設定値A0
を越えたときにはDTa(i)が最大となった気筒につ
いてのトルク変動量の算出を禁止する禁止フラグがセッ
トされる。即ち、ステップ208ではDT30max>
DTa(i)でかつXMXREC=“1”であるか否か
が判別される。DT30max≦DTa(i)である
か、又は増大フラグXMXRECがリセット(XMXR
EC=“0”)されているときにはステップ215にジ
ャンプし、これに対してDT30max>DTa(i)
でかつXMXREC=“1”のときにはステップ209
に進む。
【0076】即ち、図22に示されるように時刻t1
おいて1番気筒#1の経過時間差DTa(1)が最大に
なったとする。この場合、時刻t1 において行われる割
込みルーチンではステップ202からステップ203に
進んでDTa(1)がDT30maxとされ、次いでス
テップ204において最大フラグXMXRECがセット
される。一方、図22の時刻t2 において行われる割込
みルーチンではステップ202からステップ205にジ
ャンプする。このときステップ208ではDT30ma
x>DTa(3)であり、かつXMXREC=“1”で
あると判断されるのでステップ209に進む。即ち、ス
テップ209に進むのは経過時間差DTa(i)が減少
しはじめる時刻t2 である。
【0077】ステップ209では最大経過時間差DT3
0maxがTMXRECとされる。次いでステップ21
0では最大経過時間差TMXRECから最小経過時間差
TMNREC(後述するステップ216で求められる)
を減算することによってDTa(i)の変動の振幅AM
Pが算出される。次いでステップ211では最小経過時
間差DT30minの初期値がDTa(i)とされる。
次いでステップ212では増大フラグXMXRECがリ
セット(XMXREC←“0”)される。次いでステッ
プ213では振幅AMPが設定値A0 よりも大きいか否
かが判別される。AMP<A0 のときにはステップ21
5にジャンプする。これに対してAMP≧A0 のときに
はステップ214に進んでトルク変動算出禁止フラグX
NOCALがセット(XNOCAL←“1”)される。
即ち、図22の時刻t2 において行われる割込みルーチ
ンでは前述したように1番気筒#1のトルク変動量が算
出される。従ってこの割込みルーチンにおいてAMP≧
0 となり、トルク変動算出禁止フラグXNOCALが
セットされると1番気筒#1のトルク変動量の算出、即
ち、DTa(i)が最大となる気筒のトルク変動量の算
出が禁止される。
【0078】ステップ215からステップ221ではD
Ta(i)の変動の振幅AMPが設定値A0 を越えたと
きにはDTa(i)が最小となった気筒についてのトル
ク変動量の算出を禁止する禁止フラグがセットされる。
即ち、ステップ215ではDT30min<DTa
(i)でかつXMNREC=“1”であるか否かが判別
される。DT30min≧DTa(i)であるか、又は
減少フラグXMNRECがリセット(XMNREC=
“0”)されているときにはステップ222にジャンプ
し、これに対してDT30min<DTa(i)でかつ
XMNREC=“1”のときにはステップ216に進
む。
【0079】即ち、図22に示されるように時刻t3
おいて1番気筒#1の経過時間差DTa(1)が最小に
なったとする。この場合、時刻t3 において行われる割
込みルーチンではステップ205からステップ206に
進んでDTa(1)がDT30minとされ、次いでス
テップ207において減少フラグXMNRECがセット
される。一方、図22の時刻t4 において行われる割込
みルーチンではステップ205からステップ208にジ
ャンプする。このときステップ215ではDT30mi
n<DTa(3)であり、かつXMNREC=“1”で
あると判断されるのでステップ216に進む。即ち、ス
テップ216に進むのは経過時間差DTa(i)が増大
しはじめる時刻t4 である。
【0080】ステップ216では最小経過時間差DT3
0minがTMNRECとされる。次いでステップ21
7では最大経過時間差TMXRECから最小経過時間差
TMNRECを減算することによってDTa(i)の変
動の振幅AMPが算出される。次いでステップ218で
は最大経過時間差DT30maxの初期値がDTa
(i)とされる。次いでステップ219では減少フラグ
XMNRECがリセット(XMNREC←“0”)され
る。次いでステップ220では振幅AMPが設定値A0
よりも大きいか否かが判別される。AMP<A0 のとき
にはステップ222にジャンプする。これに対してAM
P≧A0 のときにはステップ221に進んでトルク変動
算出禁止フラグXNOCALがセット(XNOCAL←
“1”)される。即ち、図22の時刻t4 において行わ
れる割込みルーチンでは1番気筒#1のトルク変動量が
算出される。従ってこの割込みルーチンにおいてAMP
≧A0となり、トルク変動算出禁止フラグXNOCAL
がセットされると1番気筒#1のトルク変動量の算出、
即ち、DTa(i)が最小となる気筒のトルク変動量の
算出が禁止される。
【0081】ステップ222およびステップ223では
経過時間差DTa(i)が急変した気筒についてのトル
ク変動量の算出が禁止される。即ち、ステップ222で
は|DTa(i−2)−DTa(i−1)|がKo ・|
DTa(i−1)−DTa(i)|以上か否かが判別さ
れる。ここで定数Ko は3.0から4.0程度の値であ
る。ステップ222において|DTa(i−2)−DT
a(i−1)|<Ko・|DTa(i−1)−DTa
(i)|であると判別されたときには処理ルーチンを完
了し、|DTa(i−2)−DTa(i−1)|≧Ko
・|DTa(i−1)−DTa(i)|であると判別さ
れたときにはステップ223に進んでトルク変動算出禁
止フラグXNOCALがセットされる。
【0082】即ち、今図22の時刻t3 における割込み
ルーチンであるとするとこのときには|DTa(4)−
DTa(2)|≧Ko ・|DTa(2)−DTa(1)
|であるか否かが判別される。図22に示されるように
DTa(4)に対してDTa(2)が急変すると|DT
a(4)−DTa(2)|はKo ・|DTa(2)−D
Ta(1)|よりも大きくなる。このときトルク変動算
出禁止フラグがセットされ、経過時間差DTa(i)が
急変した2番気筒#2のトルク変動量の算出が禁止され
る。
【0083】次に図23に示すトルク変動算出ルーチン
について説明する。図23を参照すると、まず初めにス
テップ301において一つ前に燃焼が行われた(i−
1)番気筒のトルク変動量を算出すべきことを示すフラ
グXCAL(i−1)がセットされているか否かが判別
される。フラグXCAL(i−1)=“0”のとき、即
ちフラグXCAL(i−1)がセットされていないとき
には処理サイクルを完了する。これに対してフラグXC
AL(i−1)=“1”のとき、即ちフラグXCAL
(i−1)がセットされているときにはステップ302
に進んでフラグXCAL(i−1)がリセットされ、次
いでステップ303に進む。
【0084】ステップ303では一つ前に燃焼が行われ
た気筒についてのトルク変動量の算出を禁止する禁止フ
ラグXNOCALがリセット(XNOCAL=“0”)
されているか否かが判別される。この禁止フラグがセッ
ト(XNOCAL=“1”)されているときにはステッ
プ311に進んで禁止フラグXNOCALがリセットさ
れる。これに対して禁止フラグがリセットされていると
きにはステップ304に進む。即ち、フラグXCALが
セットされており、かつ禁止フラグXNOCALがリセ
ットされているときのみステップ304に進む。
【0085】ステップ304では一つ前に燃焼が行われ
た(i−1)番気筒の仮想の経過時間差Kb(i−1)
(図10および図11参照)が次式に基づいて算出され
る。 Kb(i−1)={2・DTa(i−1)+DTa
(i)}/3 次いでステップ305では次式に基づいて一つ前に燃焼
が行われた(i−1)番気筒の実際の出力トルクDN
(i−1)が算出される。
【0086】DN(i−1)={30°/Tb(i−
1)}2−{30°/Ta(i−1)}2 次いでステップ306では次式に基づいて一つ前に燃焼
が行われた(i−1)番気筒の仮想の出力トルクDNS
(i−1)が算出される。 DNS(i−1)={30°/(TbO(i−1)+K
b(i−1))}2−{30°/Ta(i−1)}2 次いでステップ307では次式に示すように仮想の出力
トルクDNS(i−1)から実際の出力トルクDN(i
−1)を減算することによって一つ前に燃焼が行われた
(i−1)番気筒のトルク変動量DLN(i−1)が算
出される。
【0087】 DLN(i−1)=DNS(i−1)−DN(i−1) 即ち、例えば今3番気筒#3のATDC30°であって
フラグXCAL(1)がセットされているとするとステ
ップ304において1番気筒#1に対する仮想の経過時
間差Kb(1)が算出され、次いでステップ305にお
いて1番気筒#1の実際の出力トルクDN(1)が算出
され、ステップ306において1番気筒#1の仮想の出
力トルクDNS(1)が算出され、次いでステップ30
7において1番気筒#1のトルク変動量DLN(1)が
算出される。
【0088】なお、各気筒の出力変動量GLN(i−
1)を求める場合にはステップ305からステップ30
7において以下のような計算を行えばよい。即ち、ステ
ップ305では実際のトルク変動量DN(i−1)を求
める代りに次式に基づいて実際の出力変動量GN(i−
1)を算出する。 GN(i−1)={30°/Tb(i−1)}−{30
°/Ta(i−1)} 次いでステップ306では仮想のトルク変動量DNS
(i−1)を求める代りに次式に基づいて仮想の出力変
動量GNS(i−1)を算出する。
【0089】GNS(i−1)={30°/(TbO
(i−1)+Kb(i−1))}−{30°/Ta(i
−1)} 次いでステップ307ではトルク変動量DLN(i−
1)を求める代りに次式に基づいて出力変動量GLN
(i−1)を算出する。 GLN(i−1)=GNS(i−1)−GN(i−1) さて、ステップ307においてトルク変動量DLN(i
−1)が算出されるとステップ308に進んでトルク変
動量DLN(i−1)が正であるか否かが判別される。
DLN(i−1)≧0であればステップ310にジャン
プして一つ前に燃焼が行われた気筒のトルク変動量DL
N(i−1)を積算すべきことを示す積算要求フラグX
DLNI(i−1)がセット(XDLNI(i−1)←
“1”)される。これに対してDLN(i−1)<0で
あればステップ309に進んでDLN(i−1)が零と
され、次いでステップ310に進む。なお、各気筒のト
ルクは上昇と低下を繰返し、この場合トルク変動量を求
めるにはトルクの上昇分かトルクの減少分のいずれかを
積算すればよい。図23に示すルーチンではトルクの減
少分のみを積算するようにしており、従って上述したよ
うにDLN(i−1)<0のときにはDLN(i−1)
を零にしている。
【0090】次に図24を参照しつつカウンタCDLN
IXの処理について説明する。このカウンタCDLNI
Xのカウント値は後に説明する機関のトルク変動値を算
出する際に使用される。図24を参照すると、まず初め
にステップ401において現在3番気筒#3のATDC
30°であるか否かが判別される。現在3番気筒#3の
ATDC30°でないときには処理サイクルを完了し、
現在3番気筒#3のATDC30°であるときにはステ
ップ402に進む。ステップ402では機関のトルク変
動値を算出するためのトルク変動値算出条件が成立して
いるか否かが判別される。例えば空燃比をリーンとする
条件が成立していないか、或いは機関負荷Q/Nの単位
時間当りの変化量ΔQ/Nが設定値以上であるか、或い
は機関回転数の単位時間当りの変化量ΔNが設定値以上
であるときにはトルク変動値算出条件が成立していない
と判断され、それ以外のときにはトルク変動値算出条件
が成立していると判断される。
【0091】ステップ402においてトルク変動値算出
条件が成立していると判断されたときにはステップ40
8に進んでカウント値CDLNIXが1だけインクリメ
ントされる。このカウント値CDLNIXのインクリメ
ント作用は3番気筒#3がATDC30°となる毎に、
即ち720°クランク角度毎に行われる。次いでステッ
プ409ではカウント値CDLNIXのインクリメント
作用が開始されてからカウント値CDLNIXがクリア
されるまでの間の機関回転数の平均値NAVE および吸入
空気量Qの平均値QAVE が算出される。
【0092】一方、ステップ402においてトルク変動
値算出条件が成立していないと判断されたときにはステ
ップ403に進んでカウント値CDLNIXがクリアさ
れる。次いでステップ404では各気筒に対するトルク
変動量DLN(i)の積算値DLNI(i)(この積算
値は後に説明するルーチンにおいて算出される)がクリ
アされ、次いでステップ405では各気筒に対する積算
カウント値CDLNI(i)(この積算カウント値は後
に説明するルーチンにおいて算出される)がクリアされ
る。
【0093】次いでステップ406では目標トルク変動
値LVLLFBが算出される。本実施例では後に説明す
るように算出されたトルク変動値がこの目標トルク変動
値LVLLFBとなるように空燃比がフィードバック制
御される。この目標トルク変動値LVLLFBは等しい
変動値を実線で示した図26(A)に示されるように機
関負荷Q/Nが高くなるほど大きくなり、機関回転数N
が高くなるほど大きくなる。この目標トルク変動値LV
LLFBは図26(B)に示されるように機関負荷Q/
Nおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めR
OM22内に記憶されている。次いでステップ407で
は各気筒のトルク変動値DLNISM(i)(このトル
ク変動値は後に説明するルーチンにおいて算出される)
が図26(B)のマップから算出された目標トルク変動
値LVLLFBとされる。
【0094】図28は繰返し実行されるメインルーチン
を示している。このメインルーチンではまず初めにトル
ク変動値の算出ルーチン(ステップ600)が実行され
る。このルーチンが図29および図30に示されてい
る。次いでリーンリミットフィードバック補正係数FL
LFBの算出ルーチン(ステップ700)が実行され
る。このルーチンが図31に示されている。次いで予め
定められたクランク角になったときに噴射時間算出ルー
チン(ステップ800)が実行される。このルーチンが
図32に示されている。次いでその他のルーチン(ステ
ップ900)が実行される。次に図29および図30に
示されるトルク変動値の算出ルーチンについて説明す
る。
【0095】図29および図30を参照すると、まず初
めにステップ601においてトルク変動量DLN(i)
を積算すべきことを示す積算要求フラグXDLNI
(i)がセット(XDLNI(i)=“1”)されてい
るか否かが判別される。積算要求フラグXDLNI
(i)がセットされていないときにはステップ609に
ジャンプし、積算要求フラグXDLNI(i)がセット
されているときにはステップ602に進む。ステップ6
02では積算要求フラグXDLNI(i)がリセットさ
れる。次いでステップ603ではトルク変動量DLN
(i)がトルク変動量積算値DLNI(i)に加算され
る。次いでステップ604では積算カウント値CDLN
I(i)が1だけインクリメントされる。即ち、例えば
ステップ601において1番気筒についての積算要求フ
ラグXDLNI(1)がセットされたとするとステップ
602においてこのフラグXDLNI(1)がリセット
され、ステップ603においてトルク変動量積算値DL
NI(1)が算出され、ステップ604において積算カ
ウント値CDLNI(1)が1だけインクリメントされ
る。
【0096】次いでステップ605では積算カウント値
CDLNI(i)が“8”になったか否かが判別され
る。CDLNI(i)が“8”でないときにはステップ
609にジャンプし、CDLNI(i)が“8”になる
とステップ606に進んで次式から各気筒のトルク変動
値DLNISM(i)が算出される。 DLNISM(i)=DLNISM(i)+{DLNI
(i)−DLNISM(i)}/4 次いでステップ607では各気筒に対するトルク変動量
積算値DLNI(i)がクリアされ、次いでステップ6
08では積算カウント値CDLNI(i)がリセットさ
れる。
【0097】即ち、算出されたトルク変動量積算値DL
NI(i)とこれまで用いられてきたトルク変動値DL
NISM(i)との間に差があるときにはこの差{DL
NI(i)−DLNISM(i)}に1/4を乗算した
値がトルク変動値DLNISM(i)に加算される。従
って例えば1番気筒#1についての積算カウント値CD
LNI(1)が“8”になるとステップ606において
トルク変動値DLNISM(1)が算出されることにな
る。
【0098】次いでステップ609では図24に示すル
ーチンにおいて算出されたカウント値CDLNIXが
“8”になったか否かが判別される。CDLNIXが
“8”でないときには処理サイクルを完了し、CDLN
IXが“8”になるとステップ610に進んで各気筒の
トルク変動値DLNISM(i)の平均値である平均ト
ルク変動値DLNISM(={DLNISM(1)+D
LNISM(2)+DLNISM(3)+DLNISM
(4)}/4)が算出される。次いでステップ611で
はカウント値CDLNIXがクリアされる。このように
して機関のトルク変動量を代表する値DLNISMが算
出される。
【0099】なお、前述したようにカウント値CDLN
IXは720°クランク角度毎に1だけインクリメント
され、いずれの気筒についてもトルクの算出が禁止され
たことがなければカウント値CDLNIXが“8”にな
ったときには全ての気筒に対する積算カウント値CDL
NI(1),CDLNI(2),CDLNI(3),C
DLNI(4)は既に“8”となっている。従ってこの
場合には全ての気筒についてトルク変動値DLNISM
(i)が算出される。一方、例えば1番気筒#1につい
てトルク変動量の算出が禁止されたとするとカウント値
CDLNIXが“8”になったときに1番気筒#1の積
算カウント値CDLNI(1)だけは“8”になってお
らず、斯くして1番気筒#1については新たなトルク変
動量積算値DLNI(1)は算出されていない。従って
この場合、ステップ610において平均トルク変動値D
LNISMを求める際には1番気筒#1だけについては
以前に算出されたトルク変動値DLNISM(1)が使
用される。
【0100】次に図31を参照しつつFLLFB算出ル
ーチンについて説明する。図31を参照すると、まず初
めにステップ701においてリーンリミットフィードバ
ック補正係数FLLFBの更新条件が成立しているか否
かが判別される。例えば暖機運転時であるとき、或いは
機関の運転状態が図5において破線で囲まれた学習領域
にないときには更新条件が成立していないと判断され、
その他のときには更新条件が成立していると判断され
る。更新条件が成立していないときには処理サイクルを
完了し、更新条件が成立しているときにはステップ70
2に進む。
【0101】ステップ702では機関負荷Q/Nと機関
回転数Nから図26(B)に示すマップに基づいて目標
トルク変動値LVLLFBが算出される。次いでステッ
プ703およびステップ704では目標トルク変動値L
VLLFBに応じた変動量判別値DH(n),DL
(n)に基づいて次式に示されるトルク変動レベルLV
LH(n),LVLL(n)が算出される。
【0102】 LVLH(n)=LVLLFB+DH(n) LVLL(n)=LVLLFB+DL(n) ここで、変動量判別値DH(n)およびDL(n)は図
27(A)に示されるように予め定められている。即
ち、図27(A)からわかるようにDH(n)について
は3つの正の値が定められており、DH(3)>DH
(2)>DH(1)の関係を有する。更に、これらDH
(1),DH(2),DH(3)は目標トルク変動値L
VLLFBが大きくなるにつれて次第に増大する。一
方、DL(n)については3つの負の値が定められてお
り、DL(1)>DL(2)>DL(3)の関係を有す
る。更に、これらDL(1),DL(2),DL(3)
の絶対値は目標トルク変動値LVLLFBが大きくなる
につれて次第に増大する。
【0103】ところで今、ステップ702において算出
された目標トルク変動値LVLLFBが破線で示される
値だったとする。この場合、ステップ703では破線上
のDH(1),DH(2),DH(3)を目標トルク変
動値LVLLFBに加算した値が夫々トルク変動レベル
LVLH(1),LVLH(2),LVLH(3)とさ
れ、ステップ704では破線上のDL(1),DL
(2),DL(3)を目標トルク変動値LVLLFBに
加算した値が夫々トルク変動レベルLVLL(1),L
VLL(2),LVLL(3)とされる。
【0104】一方、図27(B)に示されるように各ト
ルク変動レベルLVLH(n),LVLL(n)間の領
域に対してフィードバック補正値+a1 ,+a2 ,+a
3 ,+a4 ,−b1 ,−b2 ,−b3 ,−b4 が予め定
められており、例えばトルク変動レベルがLVLH
(1)とLVLH(2)の間の領域に対してはフィード
バック補正値は+a2 となる。これらフィードバック補
正値は+a4 >+a3 >+a2 >+a1 でありかつ−b
1 >−b2 >−b3 >−b4 である。図27(B)に示
す各フィードバック補正値+a1 ,+a2 ,+a3 ,+
4 ,−b1 ,−b 2 ,−b3 ,−b4 が図27(A)
の対応する領域に示されている。
【0105】ステップ703およびステップ704にお
いて夫々トルク変動レベルLVLH(n),LVLL
(n)が算出されるとステップ705に進んで図29お
よび図30に示すトルク変動値の算出ルーチンにより算
出された平均トルク変動値DLNISMが図27(B)
に示されるどのトルク変動レベルLVLH(n),LV
LL(n)の間にあるかが判別される。次いでステップ
706では対応するフィードバック補正値DLFBが算
出される。例えば今、目標トルク変動値LVLLFBが
図27(A)において破線で示される値であり、算出さ
れた平均トルク変動値DLNISMが図27(B)のL
VLH(1)とLVLH(2)との間である場合、即ち
目標トルク変動値LVLLFBに対する平均トルク変動
値DLNISMの偏差が図27(A)の破線上において
DH(1)とDH(2)の間にある場合にはフィードバ
ック補正値DLFBは+a2 とされる。
【0106】次いでステップ707では図24に示すC
DLNIXの処理ルーチンのステップ409において求
められた機関回転数の平均値NAVE および吸入空気量Q
の平均値QAVE に基づいて更新すべきリーンリミットフ
ィードバック補正係数FLLFBijが図5に示されるど
の学習領域のリーンリミットフィードバック補正係数で
あるかが決定される。次いでステップ708ではステッ
プ707において決定されたリーンリミットフィードバ
ック補正係数FLLFBijにフィードバック補正値DL
FBが加算される。
【0107】即ち、上述したように例えばDLNISM
>LVLLFBであって、LVLH(1)<DLNIS
M<LVLH(2)である場合にはリーンリミットフィ
ードバック補正係数FLLFBijに+a2 が加算され
る。その結果、空燃比が小さくなるので各気筒のトルク
変動量が減少せしめられる。一方、DLNISM<LV
LLFBであってLVLL(1)>DLNISM>LV
LL(2)である場合にはリーンリミットフィードバッ
ク補正係数FLLFBijに−b2 が加算される。その結
果、空燃比が大きくなるので各気筒のトルク変動量が増
大せしめられる。このようにして全気筒の平均トルク変
動値DLNISMが目標トルク変動値LVLLFBとな
るようにリーン運転時の空燃比が制御される。
【0108】なお、図24に示すルーチンに示されるよ
うにトルク変動値の算出条件が成立しないときにはステ
ップ407において全ての気筒に対するDLNISM
(i)がLVLLFBとされ、斯くして平均トルク変動
値DLNISMも目標トルク変動値LVLLFBとされ
る。従ってこのときにはリーンリミットフィードバック
補正係数FLLFBijの更新は行われない。
【0109】次に図32を参照しつつ燃料噴射時間の算
出ルーチンについて説明する。図32を参照すると、ま
ず初めにステップ801において図2に示すマップから
基本燃料噴射時間TPが算出される。次いでステップ8
02ではリーン運転を行うべき運転状態か否かが判別さ
れる。リーン運転を行うべき運転状態のときにはステッ
プ803に進んで理論空燃比フィードバック補正係数F
AFの値が1.0に固定される。次いでステップ804
では図4に示すマップからリーン補正係数FLEANが
算出され、次いでステップ805では図5に示すマップ
からリーンリミットフィードバック補正係数FLLFB
が読込まれる。次いでステップ809では次式に基づい
て燃料噴射時間TAUが算出される。
【0110】TAU=TP・FLEAN・FLLFB・
FAF+TAUV これに対し、ステップ802においてリーン運転を行う
べき運転状態でないと判別されたとき、即ち空燃比を理
論空燃比にすべきときにはステップ806に進んでリー
ン補正係数FLEANが1.0に固定され、次いでステ
ップ807においてリーンリミットフィードバック補正
係数FLLFBが1.0に固定される。次いでステップ
808では空燃比センサ17の出力信号に基づいて空燃
比が理論空燃比となるように理論空燃比フィードバック
補正係数FAFが制御される。次いでステップ809に
進み、燃料噴射時間TAUが算出される。
【0111】このように本実施例では、リーン補正係数
FLEANで表されるリーン空燃比を基準空燃比として
この基準空燃比を算出し、目標トルク変動量を算出し、
機関のトルク変動量を検出し、検出されたトルク変動量
が目標トルク変動量となるようにリーンリミットフィー
ドバック補正係数FLLFBにより基準空燃比を補正す
るようにしている。
【0112】次にスロットル開度の制御方法について説
明する。図1の内燃機関ではスロットル開度を検出し、
目標スロットル開度TRTREQを算出し、スロットル
開度がこの目標スロットル開度となるようにスロットル
弁8をフィードバック制御している。この場合、空燃比
が理論空燃比に維持されるときには目標スロットル開度
TRTREQは理論空燃比目標スロットル開度TRTS
Tとされる。この理論空燃比目標スロットル開度TRT
STは空燃比が理論空燃比のときに機関の出力トルク
を、アクセルペダル18の踏み込み量DEPに応じて定
まる目標トルクにするのに必要なスロットル開度であ
る。理論空燃比目標スロットル開度TRTSTは予め実
験により求められており、アクセルペダル18の踏み込
み量DEPおよび機関回転数Nとの関数として図33に
示されるマップの形で予めROM22内に記憶されてい
る。
【0113】一方、リーン運転が行われるときには目標
スロットル開度TRTREQはリーン目標スロットル開
度TRTLNとされる。このリーン目標スロットル開度
TRTLNは次式に基づいて算出される。 TRTLN=TRTLNB・KLMT ここで、TRTLNBはリーン基本スロットル開度を、
KLMTはスロットル開度補正係数を夫々示している。
【0114】リーン基本スロットル開度TRTLNBは
空燃比が基準空燃比、即ちリーン補正係数FLEANで
表される空燃比のときに機関の出力トルクを目標となる
基準トルク(後述する)とするために必要なスロットル
開度であり、予め実験により求められている。このリー
ン基本スロットル開度TRTLNBはアクセルペダル1
8の踏み込み量DEPおよび機関回転数Nとの関数とし
て図34に示されるマップの形で予めROM22内に記
憶されている。
【0115】スロットル開度補正係数KLMTは機関の
出力トルクを基準トルクに維持するためのものである。
このスロットル開度補正係数KLMTは図35に示され
るようにリーンリミットフィードバック補正係数FLL
FBがFLLFB=1.0のときに1.0であり、リー
ンリミットフィードバック補正係数FLLFBが小さく
なるにつれて大きくなる。なお、スロットル開度補正係
数KLMTはリーンリミットフィードバック補正係数F
LLFBの関数として図35に示されるマップの形で予
めROM22内に記憶されている。
【0116】燃料噴射時間TAUの算出式からわかるよ
うにリーンリミットフィードバック補正係数FLLFB
が1.0よりも大きくなると空燃比がリーン補正係数F
LEANで表される基準空燃比よりもリッチになり、こ
のときスロットル開度がリーン基本スロットル開度TR
TLNBであると機関の出力が基準トルクよりも大きく
なる。また、FLLFBが1.0よりも小さくなると空
燃比が基準空燃比よりもリーンになり、このときスロッ
トル開度がリーン基本スロットル開度TRTLNBであ
ると機関の出力が基準トルクよりも小さくなる。即ち、
トルク変動量が目標トルク変動量となるようにリーンリ
ミットフィードバック補正係数FLLFBが変動する場
合にリーン目標スロットル開度TRTLNをリーン基本
スロットル開度TRTLNBとすると機関の出力トルク
が基準トルクからずれることになる。そこで本実施例で
は、FLLFBが1.0のときに1.0であり、FLL
FBが大きくなるにつれて小さくなるスロットル開度補
正係数KLMTを導入し、リーン基本スロットル開度T
RTLNBにこのスロットル開度補正係数KLMTを乗
算することによりリーン目標スロットル開度TRTLN
Bを算出するようにしている。このようにするとリーン
リミット補正係数FLLFBが変動しても、即ちリーン
空燃比に関わらず機関の出力トルクを基準トルクに維持
することができる。
【0117】基準トルクをどのように定めてもよいが、
本実施例では基準トルクを、空燃比が理論空燃比のとき
に得られる機関の出力トルクに定めている。云い換える
と、同一の運転状態即ち同一のアクセルペダル18の踏
み込み量DEPおよび同一の機関回転数Nにおいて空燃
比がリーン空燃比のときの機関の出力トルクと、空燃比
が理論空燃比のときの機関の出力トルクとが同一とされ
る。その結果、運転領域に応じて空燃比がリーン空燃比
から理論空燃比に変更されるとき、或いは理論空燃比か
らリーン空燃比に変更されるときに機関の出力トルクが
大巾に増大または低下する、いわゆるトルク段差が生じ
るのを阻止することができる。従って、良好な車両の運
転性を確保することができる。
【0118】図36はスロットル開度の制御ルーチンを
示している。このルーチンは予め定められた設定時間ご
との割り込みによって実行される。図36を参照する
と、まず初めにステップ1001ではリーン運転を行う
べき運転状態か否かが判別される。リーン運転を行うべ
き運転状態のときには次いでステップ1002に進み、
リーン基本スロットル開度TRTLNBが図34のマッ
プから算出される。次いでステップ1003ではスロッ
トル開度補正係数KLMTが図35のマップから算出さ
れる。次いでステップ1004ではリーン基本スロット
ル開度TRTLNBにスロットル開度補正係数KLMT
を乗算することによりリーンスロットル開度TRTLN
が算出される。次いでステップ1005ではこのTRT
LNが目標スロットル開度TRTREQとされる。次い
でステップ1008に進む。
【0119】これに対し、ステップ1001においてリ
ーン運転を行うべき運転状態でないと判別されたとき、
即ち空燃比を理論空燃比にすべきときにはステップ10
06に進んで理論空燃比スロットル開度TRTSTが図
33のマップから算出される。次いでステップ1007
ではこのTRTST目標スロットル開度TRTREQと
される。次いでステップ1008に進む。
【0120】ステップ1008では検出されたスロット
ル開度と目標スロットル開度TRTREQとに基づいて
スロットル開度が目標スロットル開度TRTREQとな
るようにアクチュエータ8aが制御される。これまで述
べてきた実施例ではクランクシャフトの角速度に基づい
て機関の出力変動またはトルク変動を求めるようにして
いるが、機関の出力変動またはトルク変動をどのように
求めてもよく、例えば燃焼室内に配置した燃焼圧センサ
の出力信号に基づいて機関の出力変動またはトルク変動
を求めるようにすることもできる。また、機関駆動系ま
たはクランクシャフト自体の捩り振動が生じたとき、ま
たはロータ14の外歯の間隔にばらつきがある場合に機
関の出力変動またはトルク変動をどのように補正しても
よい。
【0121】また、これまで述べてきた実施例では空燃
比を例えば運転領域に応じてリーン空燃比と理論空燃比
とに切り替えるようにしている。しかしながら空燃比を
リーン空燃比とリッチ空燃比とに切り替えるようにする
こともできる。この場合、基準トルクは空燃比がこのリ
ッチ空燃比のときに得られる機関の出力トルクにするの
が好ましい。
【0122】
【発明の効果】空燃比に関わらず機関の出力トルクを目
標となる基準トルクに維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】基本燃料噴射時間のマップを示す図である。
【図3】NOx の発生量とトルク変動を示す図である。
【図4】リーン補正係数のマップを示す図である。
【図5】リーンリミットフィードバック補正係数のマッ
プを示す図である。
【図6】30°クランク角度の経過時間Ta(i),T
b(i)の変化を示すタイムチャートである。
【図7】30°クランク角度の経過時間Ta(i)の変
化を示すタイムチャートである。
【図8】30°クランク角度の経過時間Ta(i),T
b(i)の変化を示すタイムチャートである。
【図9】30°クランク角度の経過時間Ta(i),T
b(i)の変化を示すタイムチャートである。
【図10】30°クランク角度の経過時間Ta(i)の
変化を示すタイムチャートである。
【図11】経過時間差DTa(i)とKb(i)との関
係を示す図である。
【図12】減速運転時における経過時間Ta(i)の変
化を示すタイムチャートである。
【図13】経過時間差DTa(i)の変化を示すタイム
チャートである。
【図14】割込みルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図15】経過時間差DTa(i)および経過時間Tb
(i)を算出するためのフローチャートである。
【図16】経過時間差DTa(i)および経過時間Tb
(i)を算出するためのフローチャートである。
【図17】KTa(i)を算出するためのフローチャー
トである。
【図18】KTb(i)を算出するためのフローチャー
トである。
【図19】トルク変動量算出の許可をチェックするため
のフローチャートである。
【図20】トルク変動量算出の許可をチェックするため
のフローチャートである。
【図21】トルク変動量算出の許可をチェックするため
のフローチャートである。
【図22】経過時間差DTa(i)の変化とフラグXM
XREC,XMNRECの変化を示すタイムチャートで
ある。
【図23】トルク変動量を算出するためのフローチャー
トである。
【図24】カウンタCDLNIXを処理するためのフロ
ーチャートである。
【図25】種々の値の計算タイミングを示す図である。
【図26】目標トルク変動値を示す図である。
【図27】変動量判別値DH(n),DL(n)および
トルク変動レベルLVLH(n),LVLL(n)を示
す図である。
【図28】メインルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図29】トルク変動値を算出するためのフローチャー
トである。
【図30】トルク変動値を算出するためのフローチャー
トである。
【図31】リーンリミットフィードバック補正係数を算
出するためのフローチャートである。
【図32】燃料噴射時間を算出するためのフローチャー
トである。
【図33】理論空燃比目標スロットル開度のマップを示
す図である。
【図34】リーン基本スロットル開度のマップを示す図
である。
【図35】スロットル開度補正係数のマップを示す図で
ある。
【図36】スロットル開度を制御するためのフローチャ
ートである。
【符号の説明】
3…サージタンク 4…燃料噴射弁 8…スロットル弁 8a…スロットル開度センサ 18…アクセルペダル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基準空燃比を算出する基準空燃比算出手
    段と、目標トルク変動量を算出する目標トルク変動量算
    出手段と、機関のトルク変動量を検出するトルク変動量
    検出手段と、該トルク変動量が前記目標トルク変動量に
    なるように前記基準空燃比をフィードバック補正係数に
    より補正する空燃比補正手段と、空燃比が基準空燃比の
    ときに機関の出力トルクを基準トルクとするための基本
    スロットル開度を算出する基本スロットル開度算出手段
    と、該基本スロットル開度を前記フィードバック補正係
    数に基づいて補正することにより目標スロットル開度を
    算出する目標スロットル開度算出手段と、スロットル開
    度が目標スロットル開度となるようにスロットル弁を制
    御することにより機関の出力トルクが基準トルクに維持
    されるようにするスロットル開度制御手段とを具備した
    内燃機関の出力制御装置。
  2. 【請求項2】 前記基準トルクが、空燃比が理論空燃比
    のときに得られる機関の出力トルクである請求項1に記
    載の内燃機関の出力制御装置。
JP24864797A 1997-09-12 1997-09-12 内燃機関の出力制御装置 Pending JPH1182119A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009057912A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Kawasaki Heavy Ind Ltd 空燃比制御装置、それを備える車両及び空燃比制御方法
JP2016211504A (ja) * 2015-05-13 2016-12-15 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
CN110410221A (zh) * 2018-04-26 2019-11-05 陕西汽车集团有限责任公司 车辆油门斜率的控制方法及装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009057912A (ja) * 2007-08-31 2009-03-19 Kawasaki Heavy Ind Ltd 空燃比制御装置、それを備える車両及び空燃比制御方法
JP2016211504A (ja) * 2015-05-13 2016-12-15 本田技研工業株式会社 内燃機関の制御装置
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