JPH1175389A - ブラシレスdcモータのセンサレス駆動回路 - Google Patents

ブラシレスdcモータのセンサレス駆動回路

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JPH1175389A
JPH1175389A JP9249426A JP24942697A JPH1175389A JP H1175389 A JPH1175389 A JP H1175389A JP 9249426 A JP9249426 A JP 9249426A JP 24942697 A JP24942697 A JP 24942697A JP H1175389 A JPH1175389 A JP H1175389A
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circuit
output
commutation
brushless
motor
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JP9249426A
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Inventor
Ryoichi Tsuchimoto
僚一 土本
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Aichi Electric Co Ltd
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Aichi Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低速高負荷時で負荷急変及び電源電圧の急変
時においても、ブラシレスDCモータを安定して駆動す
ることができるブラシレスDCモータのセンサレス駆動
回路を提供することにある。 【解決手段】 転流指令56は、発生後第1及び第2の
電流増加域41,42の中間域でハイからロウ信号へ切
り替わる。この切替によりアナログスイッチAS1がオ
フされるが、オフ直前の電流検出回路4の電圧値(瞬時
出力)がサンプリング回路5に保持され、増幅回路6に
より略1.6倍に増幅され、優先回路9を介して目標値
制御回路8へ出力される。目標値制御回路8は転流指令
毎に所定時間転流目標電圧を転流目標波頭値43以上に
保持するため、転流指令56は禁止される。目標値制御
回路8から出力される転流目標電圧は転流指令回路10
に出力される。転流指令回路10は、電流検出回路4か
ら出力される電圧値がサンプリング回路5の出力電圧値
の所定倍となると、ワンショットのパルスを計数回路1
3へ出力し分配回路14及びインバータ回路3によって
ブラシレスDCモータ51の転流を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石界磁形の
ブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路に関し、特
に、界磁の磁極センサを用いることなくブラシレスDC
モータを駆動することができるブラシレスDCモータの
センサレス駆動回路の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のブラシレスDCモータの
センサレス駆動回路は、回転駆動中のモータの電機子巻
線に生じる速度起電力と界磁の位置の相関関係に着目し
て、該速度起電力によりモータの転流タイミングを決定
していた。また、モータの始動時においては、同期モー
タあるいはステッピングモータとして予め設定された周
波数と電圧とで強制転流し、界磁位置検出に充分な速度
起電力が発生する回転域まで負荷とのバランスを保ちな
がら徐々に加速するようにしていた。
【0003】しかしながら、前記センサレス駆動回路に
おいてはモータ始動後の加速時間が必然的に長くなり、
しかも、低回転高トルクでの始動や運転が困難であっ
た。即ち、速度トルク特性の不安定さ故に急速な加速制
御が困難であるので、強制転流モードと、推定した位置
情報のフィードバックによる同期インバータ運転モード
との2モードを有し、モータを含む動力系イナーシャや
負荷トルクとのバランスを維持しながら緩やかに加速せ
ざるを得なかった。また、転流タイミングは速度起電力
によって決定されるが、この速度起電力はモータの電機
子巻線電圧を利用して検出せざるを得ず、高負荷トルク
時には、通電切り替えに伴う電機子電流の還流作用によ
る転流スパイク電圧が増大するので、検出できる速度起
電力情報に大きな誤差が生じてしまう。その結果、界磁
磁極位置の推定に大きなズレが生じて適切な転流タイミ
ングを決定することができなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願出願人
は、特開平9−37586号公報に記載するブラシレス
DCモータのセンサレス駆動回路を開発した。かかるブ
ラシレスDCモータのセンサレス駆動回路は、図4
(a)に示すようなモータ各相の電機子電流波形に見ら
れる4つの波形ブロックの各ブロックに共通する波形的
特徴に着目して、各相の通電領域の各ブロックにあらわ
れる2つの顕著な電流増加領域41、42のうち、第2
の電流増加領域42を検出し、これを転流時期の到来
(転流タイミング)と決定して転流制御を行うものであ
る。この第2の電流増加領域42の検出は、モータの電
機子電流が、その電機子電流の平均値の所定倍(例えば
1.2倍)となったことを目安として検出するようにし
ている(以下、「平均値方式」と称す)。
【0005】しかしながら、かかるモータ駆動回路にお
いても、電機子電流の平均化処理に所定時間を要してい
たので、前記平均値方式は搬送機器やエアコンの室外フ
ァン等のように負荷トルクが外乱により急変するモータ
には使用できないという問題点があった。即ち、電機子
電流の平均値は負荷トルクの急変に対応して急変するこ
とができない。この結果、前記急変時には第2の電流増
加領域42を誤って検出してしまうので適切な転流動作
を行うことができず、ブラシレスDCモータを振動さ
せ、同期脱出させて停止させる等して、安定した状態で
駆動することができないという問題点があった。
【0006】そこで、本願出願人は、前記問題点を解決
するために、特願平9−5914号(未公知)に記載す
るブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路を提案し
た。
【0007】前記のようにブラシレスDCモータが回転
すると、モータの界磁と電機子巻線との位置関係が変化
し、この変化にともなって該電機子巻線に流れる電流値
も変化する。かかる電機子電流の変化に着目して転流タ
イミングを決定することにより、ブラシレスDCモータ
のセンサレス駆動を可能にしている。具体的には、ブラ
シレスDCモータの駆動中に電機子巻線に通電を行う
と、その電機子巻線に流れる電流値は図4(b)の4
1、42に示す如く2度にわたって顕著な増加を見せ
る。前記平均値方式と同様に、この2度目の顕著な電流
増加領域42を検出してして転流タイミングを決定する
のである。即ち、ブラシレスDCモータの電機子巻線に
流れる電流の瞬時出力をサンプリング回路によって抽出
し、電機子巻線に流れる電流がサンプリング回路の抽出
値の所定倍となった場合には、電機子巻線に流れる電流
の2度目の顕著な電流増加領域42の到来と判断し、転
流制御を行うものである(以下、「サンプル方式」と称
す)。
【0008】しかしながら、前記サンプル方式において
も特に低回転域高負荷トルク領域においては、第1の電
流増加領域の飽和電流値と第2の電流増加領域の転流目
標電流値との差が小さくなるために、急激な回転数変動
による速度起電力の急激な増減や電源電圧の変動等によ
る電機子電流の変化、更に、ノイズ等の外乱により第1
の電流増加領域を第2の電流増加領域と誤って検出して
しまうことがあり、このような場合には適切な転流動作
を行えず、ブラシレスDCモータを振動させてしまった
り、同期脱出して停止させてしまう等して、安定なブラ
シレスDCモータの駆動が行えないという問題があっ
た。
【0009】本発明は、前記問題点を解決するためにな
されたもので、低速回転時においてもブラシレスDCモ
ータを安定して駆動することができるようにしたブラシ
レスDCモータのセンサレス駆動回路を提供することを
目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために請求項1記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、ブラシレスDCモータの複数相の
電機子巻線に直流電圧を順次通電するための複数のスイ
ッチング素子を有するインバータ回路と、そのインバー
タ回路の複数のスイッチング素子をオン・オフさせて転
流を行い、前記ブラシレスDCモータを回転させる通電
制御回路とを備え、更に、前記ブラシレスDCモータの
電機子巻線に流れる電流を電圧に変換して検出する電流
検出回路と、この電流検出回路の瞬時出力を抽出するサ
ンプリング回路と、そのサンプリング回路の出力値を所
定倍する目標値制御回路と、前記電流検出回路の出力が
前記サンプリング回路の抽出値の所定倍となったとき、
前記通電制御回路に転流指令を出力する転流指令回路と
を備えている。
【0011】ブラシレスDCモータが回転すると、モー
タの界磁と通電中の電機子との位置関係が変化し、この
変化にともなって電機子巻線に流れる電流値も変化す
る。請求項1記載のブラシレスDCモータのセンサレス
駆動回路は、前記電機子巻線に流れる電流の変化に着目
して転流タイミングを決定することにより、ブラシレス
DCモータのセンサレス駆動を可能とした。
【0012】具体的には、ブラシレスDCモータの駆動
中に電機子巻線に通電を行うと、その電機子巻線に流れ
る電流値は2度にわたって顕著な増加を見せる。よっ
て、この2度目の顕著な電流増加領域を検出して転流タ
イミングを決定するのであるが、その際、サンプリング
回路で検出された電機子電流値を所定のタイミングで増
幅、又は低減することにより、第1の電流増加領域を第
2の電流増加領域と誤って判断することなく安定した転
流タイミングを決定するのである。
【0013】即ち、請求項1記載のブラシレスDCモー
タのセンサレス駆動回路においては、電流検出回路によ
りブラシレスDCモータの電機子巻線に流れる電流が電
圧に変換されて検出され、サンプリング回路と転流指令
回路とへそれぞれ出力される。サンプリング回路では、
かかる電流検出回路の瞬時出力が抽出され、その出力値
が目標値制御回路を介して転流指令回路へ出力される。
なお、目標値制御回路では前記サンプリング回路で抽出
された電機子電流の瞬時値を、転流後の所定時間後毎に
所定倍に低減する。
【0014】一方、電流検出回路の出力はローパスフィ
ルタ回路へと出力される。目標値制御回路に出力される
サンプリング回路の出力値とローパスフィルタ回路の出
力値とは、転流指令回路で比較される。比較の結果、電
流検出回路の出力値がサンプリング回路の出力値の所定
倍となった場合には、モータの電機子巻線に流れる電流
の2度目の顕著な電流増加領域の到来と判断し、転流指
令回路から通電制御回路へ転流指令が出力される。この
転流指令に基づいて、通電制御回路によりインバータ回
路のスイッチング素子がオン又はオフされ、ブラシレス
DCモータへの転流が行われてブラシレスDCモータが
いわゆるセンサレスで駆動する。
【0015】請求項2記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1記載のブラシレスDCモ
ータのセンサレス駆動回路において、前記サンプリング
回路による前記電流検出回路の瞬時出力の抽出は、前記
通電制御回路による転流動作毎に行われるものである。
【0016】請求項3記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1又は2に記載のブラシレ
スDCモータのセンサレス駆動回路において、前記サン
プリング回路による前記電流検出回路の瞬時出力の抽出
は、前記通電制御回路による転流動作後の所定時間後毎
であって第2の電機子電流増加領域前に行われるもので
ある。
【0017】請求項4記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1から3のいずれかに記載
のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路におい
て、前記目標値制御回路による前記サンプリング回路の
出力の低減は、前記サンプリング回路による電機子電流
の瞬時値の抽出後の所定時間後毎に行われるものであ
る。
【0018】請求項5記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1から4のいずれかに記載
のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路におい
て、前記ブラシレスDCモータの始動時に、そのブラシ
レスDCモータの始動トルクを発生させるために充分な
値から時間の経過とともに低減する転流目標電圧を前記
転流指令回路へ出力する始動補償回路を備え、前記転流
指令回路は、前記ローパスフィルタ回路の出力が前記始
動補償回路の出力以上となった場合に前記通電制御回路
へ転流指令を出力するものである。
【0019】請求項6記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1から5のいずれかに記載
のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路におい
て、前記サンプリング回路から前記転流指令回路へ出力
される出力と、前記始動補償回路から前記転流指令回路
へ出力される出力とのうち、大きい方の出力を転流目標
電圧として前記転流指令回路へ出力する優先回路を備え
ている。そして、この請求項6記載のブラシレスDCモ
ータのセンサレス駆動回路によれば、請求項1から5の
何れかに記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動
回路と同様に作用し、かつ、優先回路によってサンプリ
ング回路からの出力と始動補償回路からの出力とのう
ち、大きい方の出力が転流目標電圧として転流指令回路
へ出力される。即ち、ブラシレスDCモータの始動時に
は始動補償回路からの出力が、定常運転時にはサンプリ
ング回路から前記目標値制御回路を介して転流目標電圧
としての出力が、転流指令回路へ出力される。従って、
転流目標電圧はブラシレスDCモータの始動時と定常運
転時とで自動的に切り替えられるので、始動から定常運
転へブラシレスDCモータを円滑に駆動させることがで
きる。
【0020】請求項7記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1から6のいずれか記載の
ブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路において、
前記電流検出回路と前記転流指令回路との間に、高周波
を除去するローパスフィルタ回路を備えており、この請
求項7記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回
路は、請求項1から6のいずれかに記載のブラシレスD
Cモータのセンサレス駆動回路と同様に作用し、かつ、
前記通電制御回路がパルス幅制御される場合であって
も、前記電流検出回路の出力に含まれる高調波成分を除
去し、転流指令回路の動作を安定させることにより安定
したブラシレスDCモータの駆動を実現することができ
る。
【0021】請求項8記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路は、請求項1から7のいずれかに記載
のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路におい
て、前記転流指令回路による転流指令毎にその転流指令
回路へ出力される前記ローパスフィルタ回路の出力をゼ
ロリセットするゼロリセット回路を備えている。そし
て、この請求項8記載のブラシレスDCモータのセンサ
レス駆動回路によれば、請求項1から7のいずれかに記
載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路と同様
に作用し、かつ、ローパスフィルタ回路の出力が前記目
標値制御回路から出力されるサンプリング回路(又は、
始動補償回路、優先回路)の出力より大となると、転流
指令回路から転流指令が出力される。かかる転流指令が
ゼロリセット回路に入力されると、そのゼロリセット回
路によってローパスフィルタ回路の出力が擬制ゼロリセ
ットされる。よって、転流指令毎にローパスフィルタ回
路の出力がサンプリング回路(又は、始動補償回路、優
先回路)の出力より確実に小とされ、転流指令が確実に
リセットされる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例に
ついて、添付図面を参照して説明する。なお、本実施例
におけるブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の
動作原理については、特開平9−37586号公報に記
載されているので、その説明は省略する。
【0023】図1は、本実施例のブラシレスDCモータ
のセンサレス駆動回路1の回路図である。このモータ駆
動回路1は、室内ファン用の小型PMブラシレスDCモ
ータの他、負荷トルクの急変し得る搬送装置や突風等に
よる外乱を受けるエアコンの室外ファン等に用いられる
ブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路として使用
される。
【0024】駆動対象のブラシレスDCモータ51は、
永久磁石の界磁を回転子とし、3相の電機子巻線を固定
子とした、表面磁石形のブラシレスDCモータである。
なお、界磁を固定子に電機子巻線を回転子にしたスリッ
プリング付きモータや、埋め込み磁石形のブラシレスD
Cモータにこのモータ駆動回路を用いることも可能であ
る。
【0025】モータ駆動回路1は、補助電源回路2と、
インバータ回路3と、電流検出回路4と、サンプリング
回路5と、増幅回路6と、始動補償回路7と、目標値制
御回路8と、優先回路9と、ローパスフィルタ回路11
と、転流指令回路10と、ゼロリセット回路12と、計
数回路13と、分配回路14とを備えている。
【0026】補助電源回路2は、30ボルトの直流電源
50から安定した10ボルト電圧を生成し出力する回路
である。補助電源回路2で生成された10ボルト電圧
は、始動補償回路7や転流指令回路10など各回路の駆
動電圧として、各回路へ供給される。
【0027】インバータ回路3は、ブラシレスDCモー
タ51の3相(U相、V相、W相)の電機子巻線に、3
0ボルトの直流電圧を順次通電切替するための回路であ
る。インバータ回路3の直流電源50のプラス側入力端
Pには3つのP−MOS電界効果トランジスタQu,Q
v,Qwのソース端子が接続され、直流電源50のグラ
ンド側入力端Nには、3つのN−MOS電界効果トラン
ジスタQx,Qy,Qzのソース端子が接続されて、こ
れらにより3相の電機子巻線に対応した3つのアームが
形成されている。各電界効果トランジスタQu〜Qz
は、1kΩの抵抗Ru1〜Rz1を介してゲートと分配
回路14の各出力とがそれぞれ接続されており、分配回
路14の出力に応じてオン・オフされるように構成され
ている。また、各電界効果トランジスタQu〜Qzのゲ
ート・ソース間には、保護及びゲート電圧のフローティ
ング防止用の10kΩの抵抗Ru2〜Rz2がそれぞれ
接続されている。更に、各電界効果トランジスタQu〜
Qzのソース・ドレイン間には、各電界効果トランジス
タQu〜Qzのオン・オフ時に、ブラシレスDCモータ
51の電機子巻線に生じる逆起電力作用に起因する電流
を還流させるためのフリーホイールダイオードDu〜D
zが、それぞれ逆並列に接続されている。
【0028】電流検出回路4は、ブラシレスDCモータ
51の電機子巻線に流れる電流を電圧に変換して、サン
プリング回路5及びローパスフィルタ回路11に出力す
るための回路である。この電流検出回路4は、直流電源
50のグランド側入力端Nとインバータ回路3との間に
挿入された1Ωのシャント抵抗Rsから構成されてい
る。ブラシレスDCモータ51の3相の電機子電流は、
フリーホイールダイオードDu〜Dzへの還流電流を除
いて、全てこのシャント抵抗Rsにより電圧に変換され
る。なお、図5(a)には、ブラシレスDCモータ51
の通常運転時における電流検出回路4の出力電圧波形が
図示される。
【0029】サンプリング回路5は、電流検出回路4の
瞬時出力を抽出してその瞬時出力を増幅回路6へ出力す
るための回路である。このサンプリング回路5は、アナ
ログスイッチAS1と、コンデンサC1と、抵抗R3と
をそなえている。アナログスイッチAS1の一方のチャ
ネル端子は、電流検出回路4の出力端に接続され、他方
のチャネル端子は、共に一端が回路接地された0.1μ
FのコンデンサC1及び2MΩの抵抗R3に接続されて
いる。アナログスイッチAS1のゲートは、後述する転
流指令回路10の出力端に接続されており、転流指令回
路10からハイ信号の転流指令が出力されている間、ア
ナログスイッチAS1がオンされる。
【0030】コンデンサC1は、アナログスイッチAS
1のオン中に電流検出回路4の出力端と接続され、同一
電圧値に充電されて、電流検出回路4の出力電圧値を記
憶する。このコンデンサC1の非接地端子は、アナログ
スイッチAS1及び抵抗R3の他には、増幅器6のオペ
アンプOPの非反転入力端が接続されるだけであり、し
かも、抵抗R3の抵抗値は非常に大きいので(2M
Ω)、コンデンサC1の電圧値はアナログスイッチAS
1のオフ後も所定時間保持される。よって、コンデンサ
C1には,アナログスイッチAS1のオフ直前における
電流検出回路4の出力電圧値(瞬時出力)が記憶される
のである。
【0031】なお、転流指令は後述するローパスフィル
タ回路11の出力値が、増幅回路6により増幅されたサ
ンプリング回路5の出力電圧値よりも大きくなった場合
に、転流指令回路10から出力される。このため何らか
の原因によって、サンプリング回路5のコンデンサC1
に大きな電圧値が保持されると、電流検出回路4の出力
値が増幅されたサンプリング回路5の出力電圧値より大
きくなり得ず、転流指令が発生不能となってブラシレス
DCモータ51の運転が停止してしまう。
【0032】しかし、電流検出回路4の電圧値を記憶す
るコンデンサC1には抵抗R3が並列接続されているの
で、コンデンサC1に蓄積された電荷は、わずかずつで
はあるが抵抗R3によって徐々に放電される。その結
果、コンデンサC1の電圧値も徐々に低下していく。よ
って、抵抗R3をコンデンサC1に並列接続する事によ
り、コンデンサC1に大きな電圧値が保持されてしまっ
た場合にも、必ず転流指令を再発生させることができる
ので、ブラシレスDCモータ51の運転を停止させるこ
とはない。
【0033】この抵抗R3の抵抗値は、コンデンサC1
の容量と、始動時におけるインバータ回路3の転流周波
数の下限値との関係で決定される。即ち、始動時におけ
る転流周波数の下限値を1Hz前後とする場合は、その
6倍の6Hzの周期より若干大きめの時定数を設定し、
略0.2秒前後の範囲となるように、抵抗R3の抵抗値
とコンデンサC1の容量とが決定される。本実施例で
は、コンデンサC1の容量は0.1μFであるので、抵
抗R3の抵抗値は2MΩとされている。
【0034】なお、増幅回路6のオペアンプOPの品種
によっては、非反転入力端からグランドへ漏れ電流(入
力バイアス電流)が流れることがある。かかる場合に
は、その漏れ電流により、コンデンサC1の電圧値が上
昇してしまうので、即ち、保持された電流検出回路4の
出力電圧値である転流目標電圧値が上昇方向に変化して
しまうので、正常な転流動作を行わせることができな
い。しかし、抵抗R3をコンデンサC1に並列接続する
ことにより、かかる漏れ電流を抵抗R3に流すことがで
きるので、コンデンサC1の電圧値の上昇を防ぐことが
でき、かつコンデンサC1の電圧値は必ず低下する方向
に作用するので、コンデンサC1に電流検出回路4の電
圧値に基づいた抽出電圧を維持させることができる。
【0035】増幅回路6は、サンプリング回路5によっ
て抽出された出力電圧値を増幅して優先回路9へ出力す
る回路であり、オペアンプOPと2つの抵抗R4,R5
とにより構成された非反転増幅器と、その非反転増幅器
の出力を1倍以下に低減する100kΩの可変抵抗器V
R1とを備えており、可変抵抗器VR1の摺動子端から
定常運転時の転流目標電圧の最大値を出力する。非反転
増幅器のオペアンプOPは、その非反転入力端にサンプ
リング回路5の出力端であるコンデンサC1が接続さ
れ、オペアンプOPの出力端には抵抗R4及び一端が回
路接地された可変抵抗器VR1が接続されている。抵抗
R4の他端はオペアンプOPの反転入力端と抵抗R5の
一端とに接続され、抵抗R5の他端は回路接地されてい
る。
【0036】前記非反転増幅器の2つの抵抗R4,R5
の抵抗値は、いずれも同一値の100kΩである。よっ
て、サンプリング回路5の出力はこの非反転増幅器によ
り2倍に増幅される。2倍に増幅されたサンプリング回
路5の出力は、可変抵抗器VR1へ出力され、可変抵抗
器VR1により1倍以下に低減されて優先回路9へ出力
される。
【0037】本実施例では、非反転増幅器により2倍に
増幅されたサンプリング回路5の出力は、可変抵抗器V
R1によって略0.8倍に低減されるので、増幅回路6
全体としてサンプリング回路5の出力は、1.6倍され
る。なお、当然のことながら可変抵抗器VR1の摺動子
位置を調整することにより、非反転増幅器全体の増幅率
も変更できるので、使用状況に合わせてその増幅率を変
化させることができる。即ち、ブラシレスDCモータ5
1の運転状態に合わせて、前記転流目標電圧の最大値を
チューニングすることができるのである。この転流目標
電圧の最大値は、低速回転時の最大負荷運転時の第1の
電流増加領域後に現れる飽和電流値(図4(b)に示す
第1の波頭値43)以上になるように決定される。
【0038】始動補償回路7は、ブラシレスDCモータ
51の始動時に、ブラシレスDCモータ51が充分な始
動トルクを発生できるようにするため、増幅されたサン
プリング回路5の出力に代わって転流目標電圧を優先回
路9へ出力するための回路である。始動補償回路7は、
50kΩの可変抵抗器VR2を備えており、その可変抵
抗器VR2の一端は、補助電源回路2の10ボルト出力
と、ダイオードD1のカソードとに接続されている。ま
た可変抵抗器VR2の他端は、ダイオードD1のアノー
ドに接続されるとともに、コンデンサC2の一端に接続
されている。コンデンサC2の他端は、一端が回路接地
された100kΩの抵抗R6と、アノード接地されたダ
イオードD2のカソードとに接続されるとともに、始動
補償回路7の出力端として優先回路9のダイオードD3
のアノードに接続されている。
【0039】この始動補償回路7は、コンデンサC2、
可変抵抗器VR2及び抵抗R6の直列回路よりなる微分
回路である。よって、直流電源50が印加されると(図
2(a))、始動補償回路7から優先回路9へ出力され
る電圧、即ち抵抗R6の非接地端の電圧は、可変抵抗器
VR2の電圧降下分を差し引いた10ボルト弱の電圧値
から時間の経過とともに低減する電圧21となり(図2
(b)参照)、かつ、その開始電圧値は可変抵抗器VR
2により可変設定する事ができる。
【0040】このように、始動補償回路7の駆動電圧を
電流検出回路4の検出電圧より高く、かつ、安定した電
圧とすることにより、ブラシレスDCモータ51始動時
の転流目標電圧を確実に高く自由に設定することができ
るので、ブラシレスDCモータ51の始動時に始動トル
クを発生させるために充分な電機子電流をブラシレスD
Cモータ51へ流すことができる。
【0041】なお、可変抵抗器VR2及び抵抗R6には
ダイオードD1,D2が逆並列に接続されているので、
直流電源50のオフ時にコンデンサC2に蓄積された電
荷を急速に放電させることができる。よって、直流電源
50のオフ毎にコンデンサC2の放電は確実に行われる
ので、ブラシレスDCモータ51の始動開始毎に始動補
償回路7を正常に機能させることができる。
【0042】目標値制御回路8は、インバータ回路3の
通電切替後の所定時間後毎にサンプリング回路5によっ
て抽出された転流目標電圧を1倍以下の所定倍率に低減
し、転流指令回路10へ目標値を出力するための回路で
あり、単安定マルチバイブレータMM2と、その単安定
マルチバイブレータMM2から出力されるワンショット
パルスのパルス幅を設定するための0.1μFのコンデ
ンサC5及び100kΩの可変抵抗器VR4とをそなえ
ており、単安定マルチバイブレータMM2の入力端A
は、後述する転流指令回路10の単安定マルチバイブレ
ータMM1の出力端Q2に接続されており、単安定マル
チバイブレータMM2の出力端Q2は、アナログスイッ
チAS3のゲートに接続され、アナログスイッチAS3
の一方のチャネル端子は抵抗R8を介して優先回路9の
ダイオードD3のカソード端子に接続され、他方のチャ
ネル端子は回路接地されている。
【0043】目標値制御回路8は、転流指令回路10が
サンプリング回路5に電機子電流の抽出を行わせた直後
に転流指令回路10の単安定マルチバイブレータMM1
の出力端Q2から出力される目標値制御指令57(図5
(f)参照)の立上がり信号によって単安定マルチバイ
ブレータMM2がトリガされ、前記単安定マルチバイブ
レータMM2の出力端Q2から所定時間のロウレベルの
ワンショットパルスをアナログスイッチAS3のゲート
へ出力し、その所定時間内はアナログスイッチAS3が
オフする事により、優先回路9に接続された抵抗R8の
回路接地側を切り離す。その結果、転流指令回路10の
コンパレータCPの非反転入力端子に入力される転流目
標電圧は、前記転流指令の送出による通電切替後、単安
定マルチバイブレータMM2の所定時間幅のロウレベル
のワンショットパルスが出力されている期間内は、前記
転流目標電圧の最大値(図5(c)の53)に設定さ
れ、前記ロウレベルのワンショットパルスの停止期間中
は、所定倍率に低減された定常目標値(図5(c)の5
4)に切替え設定される。
【0044】従って、ロウレベルのワンショットパルス
の出力期間内は、負荷の急変や直流電圧50の急増等に
よる図4(b)の第1の電流波頭値43が突出した場合
でも、これを転流時期の到来と誤って検出することが防
止される。
【0045】即ち、単安定マルチバイブレータMM2の
ロウレベルのワンショットパルス出力期間内に生ずる第
1の電流波頭値43の出現によっても、本来の転流時期
の到来までは事実上転流動作が禁止される。
【0046】優先回路9は、増幅回路6によって増幅さ
れたサンプリング回路5の出力、即ち定常運転時におけ
る転流目標電圧(図5(c)の53,54)と、始動補
償回路7の出力、即ち、始動時おける転流目標電圧との
うち、大きい方の出力を優先して、後述する転流指令回
路10へ出力するための回路であり、ダイオードD3に
より構成されており、定常運転時における転流目標電圧
は前記目標値制御回路8の動作に応じて、最大値53と
定常目標値54との何れかに切替え出力される。
【0047】このダイオードD3は、アノードが始動補
償回路7の出力端と接続されており、カソードは転流指
令回路10の1つの入力端であるコンパレータCPの反
転入力端及び前記目標値制御回路8の出力端である抵抗
R8に接続されている。従って、優先回路9により、増
幅回路6と始動補償回路7とのうち大きい方の出力が転
流指令回路10へ転流目標電圧として出力される。な
お、図2(b)に、優先回路9の出力電圧波形を図示し
ている。
【0048】転流指令回路10は、ブラシレスDCモー
タ51の転流指令を計数回路13、サンプリング回路
5、及びゼロリセット回路12へ出力するとともに、目
標値制御指令57を目標値制御回路8に出力するための
回路である。転流指令回路10は、コンパレータCP
と、単安定マルチバイブレータMM1と、その単安定マ
ルチバイブレータMM1から出力されるワンショットパ
ルス(転流指令)のパルス幅を設定するための0.1μ
FのコンデンサC4及び100kΩの可変抵抗器VR3
とを備えている。コンパレータCPの反転入力端は、優
先回路9の出力端と接続され、その非反転入力端はゼロ
リセット回路12,ローパスフィルタ回路11を介して
電流検出回路4の出力端と接続されている。また、コン
パレータCPの出力端は、単安定マルチバイブレータM
M1の入力端Aに接続され、単安定マルチバイブレータ
MM1の出力端Qは、計数回路13の入力端CK、サン
プリング回路5及びゼロリセット回路12のアナログス
イッチAS1,AS2のゲートに接続されている。ま
た、単安定マルチバイブレータMM1の出力端Q2は目
標値制御回路8の単安定マルチバイブレータMM2の入
力端Aに接続されている。
【0049】転流指令回路10では、コンパレータCP
によってローパスフィルタ回路11の出力電圧と優先回
路9の出力電圧(目標値制御回路8の出力電圧)との大
小が比較され、ローパスフィルタ回路11の出力電圧が
優先回路9の出力電圧より大きくなると、図5(d)に
図示するように、コンパレータCPの出力端からハイ信
号55が単安定マルチバイブレータMM1の入力端Aへ
出力され、MM1がトリガされる。この結果、図5
(e)に図示するように、単安定マルチバイブレータM
M1の出力端Qから計数回路13へ、ワンショットのハ
イ信号(転流指令56)が出力される。なお、このハイ
信号は、サンプリング回路5及びゼロリセット回路12
のアナログスイッチAS1,AS2のゲートへも同時に
出力され、ハイ信号の間、両スイッチAS1、AS2を
オン状態にする。また、単安定マルチバイブレータMM
1の出力端Q2からは、前記目標値制御回路8の単安定
マルチバイブレータMM2の入力端Aへワンショットの
ロウ信号(目標値制御指令57)が出力され、このロウ
信号の立ち上がりで単安定マルチバイブレータMM2が
トリガされる。
【0050】ところで、サンプリング回路5にはアナロ
グスイッチAS1のオフ直前における電流検出回路4の
瞬時出力が保持される。具体的には、アナログスイッチ
AS1は、ハイ信号の転流指令56が出力されている間
オンされるので、サンプリング回路5には、転流指令5
6の立ち下がり時のタイミングで電流検出回路4の瞬時
出力が保持される。即ち、ハイ信号の転流指令56のパ
ルス幅によって、サンプリング回路5による抽出タイミ
ングが決定されるのである。
【0051】このため転流指令56のパルス幅は、単安
定マルチバイブレータMM1に接続されたコンデンサC
4及び可変抵抗器VR3によって、そのパルス終了位置
が定常回転状態で図4の第1の電流増加領域41と第2
の電流増加領域42との中間に位置するように設定され
る。即ち、第1及び第2の電流増加領域41、42以外
の領域で、サンプリング回路5による抽出が行われるよ
うに転流指令56のパルス幅が設定されるのである。
【0052】この理由は、第1の電流増加領域41の電
流値は、ブラシレスDCモータ51の電機子巻線への印
加電圧とモータの回転による速度起電力との差、及び電
機子インピーダンスの時定数とにより定まり、特に、電
流上昇率は電機子インピーダンスの時定数により一義的
に定まるものであって、モータの発生トルクにより定ま
る電流値及び上昇率ではないからである。また、第2の
電流増加領域42の電流値は、ブラシレスDCモータ5
1の電機子巻線への印加電圧とモータの回転による速度
起電力との差、及び電機子インピーダンス中の抵抗成分
とによりおおむね定まり、モータの発生トルクに殆ど寄
与しない電流値だからである。よって、第1及び第2の
電流増加領域41、42の電流値を基準にしては、負荷
に応じた発生トルクを維持するための適切な転流タイミ
ングを決定することはできないのである。言い替えれ
ば、第1及び第2の電流増加領域41、42以外の領域
における電流値を基準にすれば、適切な転流タイミング
を決定することができるので、かかる第1及び第2の電
流増加領域41,42以外の領域で、サンプリング回路
5による抽出がおこなわれるように転流指令56のパル
ス幅が決定される。
【0053】具体的には、転流指令56のパルスが第1
及び第2の電流増加領域41,42以外の領域で終了す
るように、転流指令56の最短パルス幅はブラシレスD
Cモータ51の電機子インピーダンスにより定まるLR
時定数(τ)の3乃至10倍以上の時間(3τ〜10
τ)とされる。サンプリング回路5のサンプル保持動作
時において、電流検出回路4の保持時間が大略飽和傾向
を示し、終値の95%以上となる時間的余裕を考慮した
ものである。また、転流指令56の最長パルス幅は、ブ
ラシレスDCモータ51の最高回転時における転流周期
(T)の2/3倍の時間(2/3×T秒)とされる。こ
れは、実験により、最高回転時における第2の電流増加
領域42の幅を1/3×Tと設定したからである((1
−1/3)×T=2/3×T)。よって、モータの仕様
及び負荷条件に合わせて、単安定マルチバイブレータM
M1から出力される転流指令56のパルス幅がかかる範
囲内に収まるように可変抵抗器VR3の抵抗値が調整さ
れる。
【0054】ローパスフィルタ回路11は、電流検出回
路4の出力に高周波ノイズ等が混入した場合でも、転流
指令回路10のコンパレータCPの非反転入力端子に高
周波ノイズ等が混入して転流指令回路10から誤った出
力(転流指令)を計数回路13に出力しないようにする
ための回路である。特に、インバータ回路3を、パルス
幅変調した場合には電流検出回路4の出力端子に大量の
高周波成分が重畳するため、転流指令回路10が誤った
出力を出力すると、ブラシレスDCモータ51の安定動
作の妨げとなる。
【0055】前記ローパスフィルタ回路11は、抵抗R
7の一端が電流検出回路4の出力端に接続されて、他端
は、回路接地されたコンデンサC3に接続されている。
即ち、抵抗R7とコンデンサC3とにより積分回路を構
成している。更に、抵抗R7とコンデンサC3の接続点
は、ローパスフィルタ回路11の出力端としてゼロリセ
ット回路12のアナログスイッチAS2の一方のチャネ
ル端子及び、転流指令回路10のコンパレータCPの非
反転入力端子にそれぞれ接続されている。
【0056】ゼロリセット回路12は、転流指令回路1
0から出力された転流指令56毎に、ローパスフィルタ
回路11の出力電圧を0ボルトに擬制リセットするため
の回路であり、アナログスイッチAS2により構成され
ている。このアナログスイッチAS2の各チャネル端子
はローパスフィルタ回路11のコンデンサC3と並列に
接続されている。
【0057】このため、転流指令回路10からハイ信号
の転流指令56が出力されると、その転流指令56の出
力によって、アナログスイッチAS2がオンされて、転
流指令回路10のコンパレータCPの非反転入力端が回
路接地される。即ち、0ボルトにリセットされるのであ
る。なお、ローパスフィルタ回路11の抵抗R7の抵抗
値はシャント抵抗Rs(1Ω)に対して充分に大きな
4.7kΩとされているので、アナログスイッチAS2
のオン時に、電流検出回路4から抵抗R7を介してグラ
ンドへ流れる電流を微小とすることができる。よって、
ゼロリセット回路12の動作による電流検出回路4の検
出誤差を生じることなく、電流検出回路4の出力電圧を
サンプリング回路5で正確に抽出することができる。
【0058】計数回路13は、転流指令回路10から出
力される転流指令56の立ち上がり毎にカウントされる
6進カウンタCT(TC4017とクリア回路)により
構成されている。カウンタCTの入力端CKには、転流
指令回路10の出力端が接続されており、カウンタCT
の出力端0〜5は、分配回路14の各オアゲートORu
〜ORzに、出力端6〜9は、オアゲートOR1,OR
2及びダイオードD5,D6を介してクリア端子CLR
に接続されて、4入力OR回路を構成している。なお、
クリア端子CLRには、他端が回路接地されたノイズ防
止用のコンデンサC6及びプルダウン抵抗R9が接続さ
れている。カウンタCTの入力端CKへ立ち上がり信号
が入力されると、かかる信号の入力毎に、出力端0、出
力端1、・・・、出力端5、出力端0の順に、カウンタ
CTからハイ信号が出力される。
【0059】分配回路14は、計数回路13からの出力
をインバータ回路3へ分配して出力するための回路であ
り、6個のオアゲートORu〜ORzと、3個のインバ
ータIu〜Iwとを備えている。各インバータIu〜I
wは、エミッタ端子を回路接地したオープンコレクタの
NPN形デジタルトランジスタで構成され、高耐圧とさ
れている。なお、各インバータIu〜Iwを、デジタル
トランジスタに代えて、ソース端子を回路接地したN−
MOS電界効果トランジスタで構成するようにしても良
い。また、必要に応じてフォトカプラ等を用いて構成し
ても良い。
【0060】分配回路14のオアゲートORuの入力端
は、カウンタCTの出力端0,1と接続され、その出力
端はインバータIuの入力端に接続されている。分配回
路14のオアゲートORvの入力端は、カウンタCTの
出力端2、3と接続され、その出力端はインバータIv
の入力端に接続されている。分配回路14のオアゲート
ORwの入力端は、カウンタCTの出力端4,5と接続
され、その出力端はインバータIwの入力端に接続され
ている。分配回路14のオアゲートORxの入力端は、
カウンタCTの出力端3,4と接続されている。分配回
路14のオアゲートORyの入力端は、カウンタCTの
出力端5,0と接続されている。分配回路14のオアゲ
ートORzの入力端は、カウンタCTの出力端1,2と
接続されている。インバータIu〜Iw及びオアゲート
ORx〜ORzの出力端は、インバータ回路3の各電界
効果トランジスタQu〜Qzのゲート端子に接続された
抵抗Ru1〜Rz1に接続されている。図3は、かかる
分配回路14の入出力の関係と、その関係に対応したブ
ラシレスDCモータ51の3相(U相,V相,W相)の
電機子巻線に流れる電流方向を示している。
【0061】次に、上記のように構成されたブラシレス
DCモータのセンサレス駆動回路1の動作を説明する。
直流電源50から30ボルトの直流電圧が印加される
と、補助電源回路2から各回路へ10ボルトの安定化さ
れた電圧が供給される。補助電源回路2から10ボルト
の駆動電圧を受けた計数回路13は、出力端0〜5から
例えば「100000」の信号を分配回路14に対して
出力する。これを受けた分配回路14は、「uvwxy
z」の出力として「011010」をインバータ回路3
へ出力し、インバータ回路3は、かかる信号により電界
効果トランジスタQu,Qyがオンされ、ブラシレスD
Cモータ51の電機子巻線のU相からV相へ電機子電流
が流される(図3参照)。この結果、ブラシレスDCモ
ータ51の駆動が開始される。
【0062】ブラシレスDCモータ51に流された電機
子電流は、電流検出回路4のシャント抵抗Rsによって
検出され、電圧に変換されて、ローパスフィルタ回路1
1、ゼロリセット回路12を介して、転流指令回路10
のコンパレータCPの非反転入力端へ出力される。
【0063】一方、始動補償回路7は、コンデンサC2
と可変抵抗器VR2及び抵抗R6との直列回路よりなる
微分回路を構成しているので、10ボルト電圧の供給に
より抵抗R6には図2(b)に示すように10ボルト弱
の電圧値から下降する微分パルス状の電圧21が印加さ
れる。この始動補償回路7の電圧21は優先回路9へ出
力される。優先回路9へは、始動補償回路7からの電圧
21の他に、増幅回路6により増幅されたサンプリング
回路5の電圧も出力されるが、転流指令が未だ1度も発
せられていな状態では、サンプリング回路5のサンプル
動作は行われておらず、出力電圧は0ボルトであるの
で、優先回路9によって始動補償回路7の出力がサンプ
リング回路5の出力より優先され、転流指令回路10の
コンパレータCPの反転入力端へ出力される。
【0064】転流指令回路10では、コンパレータCP
によりローパスフィルタ回路11とゼロリセット回路1
2を介して出力された電流検出回路4の出力電圧と、優
先回路9を介して出力された始動補償回路7の出力電圧
とが比較される。比較の結果、電流検出回路4の出力電
圧が始動補償回路7の出力電圧より大きくなるまで、転
流指令56の出力が待機される結果、この期間内は電機
子巻線の同じ相(例えば、U相からV相)の通電が継続
され、ブラシレスDCモータ51への始動トルクを発生
させるために充分な電機子電流が供給されて、ブラシレ
スDCモータ51の界磁回転子が徐々に回転を開始す
る。
【0065】界磁の回転にともないブラシレスDCモー
タ51の電機子電流の値が変化し、この電機子電流値の
変化は、電流検出回路4のシャント抵抗Rsによって検
出され、電圧に変換され、かつ、ローパスフィルタ回路
11,ゼロリセット回路12を経て転流指令回路10の
コンパレータCPの非反転入力端へ出力される。この結
果、電流検出回路4の出力電圧が始動補償回路7の出力
電圧より大となると、転流指令回路10のコンパレータ
CPからハイ信号55が出力され、単安定マルチバイブ
レータMM1からワンショットパルスの転流指令56が
計数回路13へ出力される。
【0066】転流指令56を入力した計数回路13のカ
ウンタ出力CTは、転流指令56のパルスの立ち上がり
に応動して出力端0から5の出力を更新し、分配回路1
4へ出力する。例えば、転流指令56発生前の出力端0
〜5の出力が「100000」であれば、転流指令56
によって「010000」に更新される(図3参照)。
【0067】この結果、分配回路14の「uvwxy
z」の各出力は「011001」となり、インバータ回
路3のオンされていた電界効果トランジスタQu,Qy
に代わって電界効果トランジスタQu,Qzがオンさ
れ、U相からV相に流されていたブラシレスDCモータ
51の電機子電流がU相からW相へ転流される。
【0068】一方、転流指令回路10から出力されるハ
イ信号の転流指令56は、計数回路13のみならず、サ
ンプリング回路5及びゼロリセット回路12へも出力さ
れ、両回路5、12のアナログスイッチAS1,AS2
をオンさせる。
【0069】ゼロリセット回路12のアナログスイッチ
AS2がオンされると、ローパスフィルタ回路11の出
力電圧が0ボルトに擬制リセットされる。これによりコ
ンパレータCPの非反転入力端へ出力される電圧が、そ
の反転入力端へ出力される電圧より確実に低くされるの
で、転流指令回路10のコンパレータCPの出力がハイ
からロウに切り替えられ、単一パルス55を生じる。よ
って、前記単一パルス55に応動した転流指令回路10
の単安定マルチバイブレータMM1は、可変抵抗器VR
3及びコンデンサC4で定まる所定時間が経過すると、
その出力をハイからロウへ確実に切り替えて次の転流指
令56の発生待機状態へ移行する。
【0070】一方、ハイ信号の転流指令56により、サ
ンプリング回路5のアナログスイッチAS1がオンされ
ると、電流検出回路4の出力端とコンデンサC1とが接
続され、電流検出回路4の出力電圧がコンデンサC1に
入力される。転流指令56の発生後、可変抵抗器VR3
及びコンデンサC4で定まる所定時間が経過すると、転
流指令56はハイからロウへ,目標値制御指令57はロ
ウからハイ信号に切替る。
【0071】前記転流指令56がハイからロウ信号へ切
替ると、アナログスイッチAS1がオフされるので、こ
のオフ直前の電流検出回路4の電圧値(瞬時出力)が、
コンデンサC1に保持される。また、同時に目標値制御
指令57がロウからハイに切替わると、目標値制御回路
8の単安定マルチバイブレータMM2がトリガされて可
変抵抗器VR4とコンデンサC5により定まる所定時間
幅のロウレベルのワンショットパルスをアナログスイッ
チAS3のゲートに出力するので、前記ロウレベルのワ
ンショットパルスの出力期間中はAS3もオフとなる。
従って、この保持された電流検出回路4の電圧値(瞬時
出力)は、増幅回路6により略1.6倍に増幅されて、
優先回路9へ出力される(図5(c)参照)。
【0072】始動直後及び、高負荷運転時の低速回転時
には、サンプリング回路5の電機子電流の抽出が第1の
電流増加領域41の飽和領域以前(終値の95%未満)
となるので、その後に出現する第1の電流波頭値43を
誤って転流時期の到来と判断することも考えられるが、
上述のように目標値制御回路8のアナログスイッチAS
3がオフ状態にあるので、優先回路9から出力される転
流目標値は本来の転流値を指示する定常目標値54(電
流検出回路出力の1.4倍)より十分大きな転流目標電
圧の最大値53(1.6倍)になっており、第1の電流
波頭値43を誤って転流時期の到来と判断することなく
第2の電流増加領域42を正確に検出し、転流指令56
を発生する。
【0073】具体的には、サンプリング回路5が電機子
電流の抽出を行った直後から、目標値制御回路8の単安
定マルチバイブレータMM2のロウレベルのワンショッ
トパルスが出力されている期間は、サンプリング回路5
の抽出値を増幅回路6を介して直接転流指令回路10へ
出力し、ロウパルス終了後は、さらに目標値制御回路8
により所定倍率で抽出値を低減させることにより、第1
の電流増加領域41では定常の転流目標値(定常目標値
54)よりも高い目標値(最大値53)として第1の電
流波頭値を乗り越え、その後定常の転流目標値(定常目
標値54)に切替えることにより、転流指令回路10が
第1の電流増加領域41や第1の電流波頭値43を転流
時期の到来と誤認することなく、第2の電流増加領域4
2を正確に識別検出して、計数回路13に正確な転流指
令56を出力するので、ブラシレスDCモータ51は始
動失敗や高負荷運転時の突然停止等の不具合を生ずるこ
となく安定した回転を続ける。
【0074】なお、実際の増幅回路6の増幅度設定にあ
たっては、目標値制御回路8による電圧値の低減時の増
幅度が適正値(例えば1.4倍)になるように可変抵抗
器VR1の値を調整することができるので、増幅回路6
の増幅度は前記1.6倍に限定されるものではない。
【0075】ところで、図2(b)に示すように、始動
補償回路7の出力電圧21は、上述のごとく、10ボル
ト弱の電圧値から時間の経過とともに負の勾配を有して
低減する。一方、サンプリング回路5の出力は、電流検
出回路4によって検出された電機子電流の瞬時値である
ので、ブラシレスDCモータ51の始動後徐々に上昇し
ていく。このため増幅されたサンプリング回路5の出力
電圧22は、電機子電流の通電開始後、時間の経過とと
もに徐々に離散的に上昇する。
【0076】優先回路9は、この増幅されたサンプリン
グ回路5の出力電圧22と、始動補償回路7の出力電圧
21とのうち、大きい方の電圧を転流指令回路10へ出
力するので、図2(b)に示すように、優先回路9の出
力電圧は、ある時点Bを境にして、始動補償回路7の出
力電圧21から、増幅されたサンプリング回路5の出力
電圧22へと切り替わり、以後は、増幅されたサンプリ
ング回路5の出力電圧22が優先回路9の出力電圧(即
ち、転流目標電圧)として、継続して転流指令回路10
へ出力される。
【0077】転流指令回路10のコンパレータCPは、
電流検出回路4の出力電圧が定常目標値(サンプリング
回路5の出力電圧の1.4倍)以上となると、単安定マ
ルチバイブレータMM1へハイ信号55を出力する。そ
の結果、転流指令回路10からワンショットパルスの転
流指令56が計数回路13(サンプリング回路5、ゼロ
リセット回路12)へ出力され、計数回路13、分配回
路14及びインバータ回路3によって、ブラシレスDC
モータ51の転流が行われる。
【0078】このように、ブラシレスDCモータ51の
電機子電流が、サンプリング回路5により保持された瞬
時値の例えば1.4倍以上となると、転流指令56が出
力される。サンプリング回路5による抽出は、第1及び
第2の電流増加領域41、42の中間の領域で行われる
ので、転流指令56は第2の電流増加領域42において
出力され、この領域42でブラシレスDCモータ51の
転流が行われる。よって、本実施例のブラシレスDCモ
ータのセンサレス駆動回路1により、ホール素子やシャ
フトエンコーダなどの回転子磁極位置センサを用いるこ
となく、ブラシレスDCモータ51を円滑に駆動する事
ができる。
【0079】特に、本実施例では、電流検出回路4の瞬
時出力をサンプリング回路5により抽出し、その瞬時値
に基づいて2つの転流目標値(53,54)を自動的に
切替え設定して転流動作を行うようにしているので、低
速回転時の負荷トルクの急増や直流電源50の急増時が
生じた場合にも、転流後の比較的初期に出現する第1の
電流波頭値43を転流時期の到来と誤って検出すること
なく、第2の電流増加領域42を正確に検出し、かつ、
転流タイミングが迅速に適正位置に調節され、適切な転
流動作を行うことができる。
【0080】又、本モータ駆動回路1では、負荷トルク
の変動によるブラシレスDCモータ51の加減速現象に
対しても、転流タイミングの自己修復作用を備えている
ので、モータ51の回転とインバータ回路3による出力
周波数の同期状態が、自己修復されるのである。
【0081】例えば、負荷トルクが大きくなると、ブラ
シレスDCモータ51の回転速度は遅くなるが、この回
転速度の遅れに伴って、サンプリング回路5の抽出時期
が、電機子電流波形に対して通常よりも速くなる。する
と、サンプリング回路5は、第1の電流増加領域41に
近い領域の電機子電流値を抽出する。図4(b)に示す
ように、電機子電流の波形は中央部で最小となり、その
前後では増加傾向を示すため通常の抽出値より大きな値
が抽出される。このため転流指令56を発生すべき転流
目標値が増大し、しかも、目標値制御回路8によって転
流初期の転流目標値が高く設定(最大値53)されるの
で、第1の電流波頭値43を誤検出することもなく、安
定した状態で電機子電流値が上昇し、転流指令56の発
生タイミングが通常よりも遅くなる。この追従動作は、
転流目標値の増大により転流指令56の発生タイミング
が第2の電流増加領域42の終端側へ自動的に移行する
ことに起因している。また、モータ51の回転速度の低
下に伴う速度起電力の低下により、電機子巻線に印加さ
れる実効の電圧が増加するため、電機子電流も増加し
て、この現象が電流検出回路4及びサンプリング回路5
を介してフィードバックされるため、転流指令56の発
生タイミングはモータ51の回転速度に追従して、常に
適正な位置に修復される。よって、1ブロックの通電時
間が長くなり、ブラシレスDCモータ51の減速傾向が
抑制され、モータ51の回転とインバータ回路3による
出力周波数の同期関係が適正に自己修復されるのであ
る。
【0082】一方、負荷トルクが小さくなると、ブラシ
レスDCモータ51の回転速度が速くなるので、サンプ
リング回路5の抽出時期が、電機子電流波形に対して通
常よりも遅くなる。すると、サンプリング回路5は、第
2の電流増加領域42に近い領域の電機子電流値を抽出
するので、通常の抽出値より大きな値が抽出される。こ
のため、負荷トルク急増時と同様に転流指令56が発生
される電機子電流値が上昇し、転流タイミングが通常よ
りも遅くなる。すると、負荷トルクの減少に起因して速
く回転しようとするブラシレスDCモータ51に対して
転流動作が遅れ気味に推移し、結果的にブラシレスDC
モータ51の回転に制動力が掛けられることになり、モ
ータ51の回転上昇が抑制されて、モータ51の回転と
インバータ回路3による出力周波数の同期関係が適正に
自己修復されるのである。その後、回転速度の増加に伴
う速度起電力の増加により、電機子巻線に印加される実
効の電圧が減少するため、電機子電流も減少傾向をたど
り、この現象が電流検出回路4及びサンプリング回路5
を介してフィードバックされ、転流指令のタイミングは
適正な位置に自己修復される。
【0083】更に、始動直後の低回転時にも目標値制御
回路8の働きにより、第1の電流増加領域41を第2の
電流増加領域42と誤って検出することなく、転流検出
回路10から正確な転流指令56を出力することができ
るので、始動時のトルク発生能力が安定し向上する。
【0084】なお、直流電源50の印加電圧がオフされ
ると、始動補償回路7のコンデンサC2に充電された電
荷は、ダイオードD1,D2によって急速に放電され
る。これにより、直流電源50を再投入(オン)した場
合にも、始動補償回路7の出力電圧は、図2(b)に示
す10ボルト弱の電圧値から時間の経過とともに下降す
る微分パルスとなるので、かかる直流電源50の再投入
時にも、ブラシレスDCモータ51を円滑に始動させる
ことができる。
【0085】以上、実施例に基づき本発明を説明した
が、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではな
く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形
が可能であることは容易に推察できるものである。
【0086】例えば、本実施例のブラシレスDCモータ
のセンサレス駆動回路1では、電流検出回路4を構成す
るシャント抵抗Rsは、DCリンクのグランド側ライン
に挿入され、1個のシャント抵抗Rsにより3相全ての
電機子電流を検出するようにしている。しかし、電機子
電流を検出できる電流検出回路であれば、DCリンクの
グランド側ライン以外の他の位置に設けるようにしても
良い。また、3相の電機子電流を個別に検出するよう
に、3個の電流検出回路をそれぞれ別個に設けるように
しても良い。
【0087】電流検出回路4のシャント抵抗Rsは1Ω
とされた。よって、ブラシレスDCモータ51に大きな
電機子電流を流す場合には、シャント抵抗Rsでの発熱
が大きくなってしまうので、その発熱を低く抑える必要
がある。よって、かかる場合には、1Ωより抵抗値の小
さい、例えば0.1Ωのシャント抵抗を使用するように
しても良い。シャント抵抗の抵抗値を小さくすると、電
流検出回路4の出力電圧は小さくなってしまうので、か
かる場合には、電流検出回路4の出力端に非反転増幅器
を接続して、電流検出回路4の出力を所定倍に増幅した
後に、サンプリング回路5及び転流指令回路10へ出力
するのである。
【0088】また、サンプリング回路5による電流検出
回路4の瞬時出力の検出は、負荷トルクの急変に迅速に
対応するため、各転流指令毎に行われた。しかし、必ず
しもこれに限られるものではなく、複数回の転流指令毎
に1回ずつ、電流検出回路4の瞬時出力の検出を行うよ
うにしても良い。本実施例のように、3相の電機子巻線
を備えたブラシレスDCモータ51では、3回又は6回
の転流指令毎に1回ずつ、かかる検出を行うようにして
も良い。
【0089】更に、サンプリング回路5の出力は、増幅
回路6及び目標値制御回路8によって2つの増幅率
(1.6倍及び1.4倍)に切替え増幅されたが、この
増幅率は、電機子電流のサンプル位置や負荷条件に応じ
て、当然に変更されるものである。よって、増幅回路6
の増幅率は、必ずしも1.6倍及び1.4倍に限られる
ものではなく、1倍以上でも1倍以下であっても良い。
また、始動補償回路7の出力は、何ら増幅されずに、そ
のまま優先回路9から転流指令回路10へ出力された
が、この始動補償回路7の出力についても、1倍以上
(あるいは1倍以下)に、増幅(あるいは低減)して、
転流指令回路10へ出力するようにしても良い。
【0090】なお、目標値制御回路8による転流目標値
の切替え時期は、転流指令回路10の転流指令56終了
時に開始されているが、目標値の切替えの主たる目的は
転流直後に出現し得る第1の電流波頭値43を転流時期
の到来として誤検出しないように、転流後一時的に転流
目標値を増大させることにあるので、この目的の範囲内
でその切替え開始及び定常目標値への復帰時期を自由に
設定することができ、例えば転流指令56に直ちに応動
して切替えを開始することもできる。また、当然なが
ら、前記切り替えを更に増加したり、リニアに可変する
ことも本発明の目的達成の一手法であることは言うまで
もない。
【0091】
【発明の効果】請求項1記載のブラシレスDCモータの
センサレス駆動回路によれば、サンプリング回路により
電流検出回路の瞬時出力が抽出され、その抽出値に基づ
いて転流指令が出力されるとともに、その転流目標値は
転流初期の第1の電流波頭値を回避するように切替え設
定される。従って、負荷トルクが急変する場合、その急
変はサンプリング回路により瞬時に抽出され、かつ、第
1の電流波頭値を転流時期の到来と誤って検出すること
が確実に防止できる。その結果、転流指令の発生タイミ
ングが正確に、かつ、迅速に調節できる。従って、低速
回転時に負荷トルクが急変する場合にも、適切な転流動
作を行うことができ、ブラシレスDCモータを広い速度
範囲で安定してセンサレス駆動することが可能となる。
【0092】請求項2記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1記載のブラシレス
DCモータのセンサレス駆動回路の奏する効果に加え、
サンプリング回路による瞬時出力の抽出は転流動作毎に
行われるので、負荷トルクの急変時に、一層迅速に転流
指令の発生タイミングを調節することができる。
【0093】請求項3記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1又は2に記載のブ
ラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の奏する効果
に加え、サンプリング回路による瞬時出力の抽出は、第
2の電機子電流増加領域前に行われるので、サンプリン
グ回路によって、ブラシレスDCモータの発生トルクに
直接寄与する電機子電流の瞬時出力を抽出することがで
きる。よって、この瞬時出力に基づいて転流指令を発生
することにより、適切なタイミングで転流動作を行うこ
とができ、ブラシレスDCモータを安定して駆動するこ
とができる。
【0094】請求項4記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1から3に記載のブ
ラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の奏する効果
に加え、サンプリング回路の出力電圧の低減は、サンプ
リング回路による電機子電流の抽出後の所定時間後毎に
行われるので、各負荷条件に応じて出現する第1の電流
波頭値を転流時期の到来として誤検出することなく、適
切なタイミングで転流動作を行うことができ、ブラシレ
スDCモータを高トルクで駆動することができる。
【0095】請求項5記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1から4のいずれか
に記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の
奏する効果に加え、ブラシレスDCモータの始動時に
は、ブラシレスDCモータの始動トルクを発生させるた
めに充分な転流目標電圧が、始動補償回路から転流指令
回路へ出力される。この結果、ブラシレスDCモータの
始動時においても、始動トルクを発生させるために充分
な電機子電流を流すことができるので、ブラシレスDC
モータを適格に始動することができる。
【0096】請求項6記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1から5のいずれか
に記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の
奏する効果に加え、優先回路により、転流目標電圧がブ
ラシレスDCモータの負荷条件に応じて始動時と定常運
転時とで自動的に切替えられるので、始動から定常運転
へブラシレスDCモータを円滑に駆動させることができ
る。
【0097】請求項7記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1から6のいずれか
に記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の
奏する効果に加え、電流検出回路に重畳する高調波電圧
がローパスフィルタ回路によって除去されるので、パル
ス幅制御を伴う場合でも転流指令回路の動作タイミング
を安定させることができ、小形低価格で、かつ、低電力
損失な可変速センサレスブラシレス運転を実現すること
ができるという効果がある。
【0098】請求項8記載のブラシレスDCモータのセ
ンサレス駆動回路によれば、請求項1から7のいずれか
に記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路の
奏する効果に加え、転流指令は電流検出回路の出力がサ
ンプリング回路(又は、始動補償回路、優先回路)の出
力より大となることにより出力されるが、ゼロリセット
回路によって、その転流指令毎に電流検出回路の出力が
サンプリング回路(又は、始動補償回路、優先回路)の
出力より小とされるので、電機子電流の微小な無負荷時
等においても、ゼロ点が明確となり、転流指令を確実に
リセットすることができる。よって、転流指令の多重発
生や異常なほどの長時間出力が防止され、常に安定した
センサレス運転を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるブラシレスDCモータの
センサレス駆動回路の回路図である。
【図2】(a)は、直流電源の出力電圧波形を表した図
であり、(b)は、優先回路の出力電圧波形(転流目標
電圧波形)を表した図である。
【図3】計数回路の出力と分配回路の出力との関係、及
び、そのときのブラシレスDCモータの電機子巻線に流
れる電流方向の関係を表した図である。
【図4】(a)は、ブラシレスDCモータの電機子巻線
の1相に流れる電流波形を示した図であり、(b)は、
(a)の電流波形の1ブロックを拡大して示した図であ
る。
【図5】ブラシレスDCモータの定常運転時における各
回路の出力電圧波形を示した図である。(a)は、電流
検出回路の出力電圧波形を示した図であり、(b)は、
(a)に対応する増幅回路の出力電圧波形を示した図で
あり、(c)は、(a)に対応する目標値制御回路の出
力電圧波形を示した図であり、(d)は、(a)に対応
するコンパレータの出力電圧波形を示した図である。
(e)は転流指令の電圧波形を示した図である。(f)
は目標値制御指令の電圧波形を示した図である。(g)
は目標値制御信号の電圧波形を示した図である。
【符号の説明】
1 ブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路 2 補助電源回路 3 インバータ回路 4 電流検出回路 5 サンプリング回路 6 増幅回路 7 始動補償回路 8 目標値制御回路 9 優先回路 10 転流指令回路 11 ローパスフィルタ回路 12 ゼロリセット回路 13 計数回路 14 分配回路 21、22 優先回路の出力電圧(転流目標値) 41 第1の電流増加領域 42 第2の電流増加領域 43 第1の電流波頭値 50 直流電源 51 ブラシレスDCモータ 53 転流目標電圧の最大値 54 転流目標電圧の定常目標値 56 転流指令 57 目標値制御指令

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブラシレスDCモータの複数相の電機子
    巻線に直流電圧を順次通電するための複数のスイッチン
    グ素子を有するインバータ回路と、そのインバータ回路
    の複数のスイッチング素子をオン・オフさせて転流を行
    い、前記ブラシレスDCモータを回転させる通電制御回
    路とを備えたブラシレスDCモータのセンサレス駆動回
    路において、前記ブラシレスDCモータの電機子巻線に
    流れる電流を電圧に変換して検出する電流検出回路と、
    その電流検出回路の瞬時出力を抽出するサンプリング回
    路と、前記インバータ回路における通電切替後の所定時
    間後毎に、前記サンプリング回路の抽出電圧を1倍以下
    の所定の倍率で低減する目標値制御回路と、前記電流検
    出回路の出力が、前記目標値制御回路の出力値の所定倍
    となった場合に、前記通電制御回路へ転流指令を出力す
    る転流指令回路とを備えたことを特徴とするブラシレス
    DCモータのセンサレス駆動回路。
  2. 【請求項2】 前記サンプリング回路による前記電流検
    出回路の瞬時出力の抽出は、前記通電制御回路による転
    流動作毎に行うようにしたことを特徴とする請求項1記
    載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路。
  3. 【請求項3】 前記サンプリング回路による前記電流検
    出回路の瞬時出力の抽出は、インバータ回路の通電切替
    後の所定時間後毎における第1の電機子電流増加領域後
    であって、かつ、第2の電機子電流増加領域前に行われ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のブラシレ
    スDCモータのセンサレス駆動回路。
  4. 【請求項4】 前記目標値制御回路における前記サンプ
    リング回路の出力電圧の低減は、前記サンプリング回路
    による電機子電流の抽出後の所定時間後毎に行うように
    したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載
    のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回路。
  5. 【請求項5】 前記ブラシレスDCモータの始動時に、
    そのブラシレスDCモータの始動トルクを発生させるた
    めに充分な値から時間の経過とともに低減する転流目標
    電圧を前記転流指令回路へ出力する始動補償回路を備
    え、前記転流指令回路は、前記電流検出回路の出力が前
    記始動補償回路の出力の所定倍となった場合に、前記通
    電制御回路へ転流指令を出力することを特徴とする請求
    項1から4のいずれかに記載のブラシレスDCモータの
    センサレス駆動回路。
  6. 【請求項6】 前記サンプリング回路から前記転流指令
    回路へ出力される出力と、前記始動補償回路から前記転
    流指令回路へ出力される出力とのうち、大きい方の出力
    を転流目標電圧として前記転流指令回路へ出力する優先
    回路を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれ
    かに記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回
    路。
  7. 【請求項7】 前記転流指令回路の電流検出回路からの
    出力電圧が入力される入力端に、ローパスフィルタ回路
    を介挿させたことを特徴とする請求項1から6のいずれ
    かに記載のブラシレスDCモータのセンサレス駆動回
    路。
  8. 【請求項8】 前記転流指令回路による転流指令毎に、
    前記ローパスフィルタ回路の出力電圧をゼロリセットす
    るゼロリセット回路を備えたことを特徴とする請求項1
    から7のいずれかに記載のブラシレスDCモータのセン
    サレス駆動回路。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018504885A (ja) * 2015-02-10 2018-02-15 ピアーブルグ パンプ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングPierburg Pump Technology GmbH 電気式自動車用補助アセンブリおよび自動車用補助アセンブリの整流のための方法
US11469692B2 (en) 2018-02-19 2022-10-11 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial Systems Corporation Thyristor starter
CN115220431A (zh) * 2022-07-29 2022-10-21 珠海市双捷科技有限公司 无感无刷电机控制器模拟负载电路及测试方法、设备

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