JPH1168436A - 移動体通信機器用アンテナ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘリカルアンテナ１の給電端子２とホイップ
アンテナ３を連結する樹脂ロッド部７ａで折損が発生し
ないようにする。製造を容易にする。ヘリカルアンテナ
１の特性を安定させる。 【解決手段】 ヘリカルアンテナ１の一端に筒状の給電
端子２を接続し、この給電端子２の端部から離して、当
該給電端子２の軸線方向に向けてホイップアンテナ３を
配置する。給電端子２とホイップアンテナ３を、ヘリカ
ルアンテナ１を埋め、給電端子２の内部空間を埋め、ホ
イップアンテナ３の端部を埋めるように一体成形された
樹脂７により連結する。樹脂ロッド部７ａを太く、短く
できるので、高強度にできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機などの
移動体通信機器に用いられるアンテナと、その製造方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、携帯電話機などの移動体通信機器
がその利便性から急速に普及している。これらの機器に
は、使用時には機器筐体から引き出し、不使用時には機
器筐体に押し込むことのできるアンテナが使用されてい
る。この種のアンテナは通常、細長いホイップアンテナ
と、その先端に取り付けられた短いヘリカルアンテナの
組み合わせで構成されている。ホイップアンテナとヘリ
カルアンテナは電気的には絶縁されており、機器筐体か
ら引き出したときはホイップアンテナが機器のアンテナ
として作動し、機器筐体に押し込んだときはヘリカルア
ンテナが機器のアンテナとして作動するようになってい
る。

【０００３】従来、この種の移動体通信機器用アンテナ
は、ホイップアンテナの端部にジョイント部を形成し、
このジョイント部にヘリカルアンテナを取り付けた構造
となっていた（特開平７−９９４０４号公報、特開平７
−２３５８２０号公報）。

【０００４】しかしこの構造では、製造の工程数が多く
なり、コスト高になることから、最近、ヘリカルアンテ
ナと接続子（給電端子）を接続したものと、ホイップア
ンテナの端部とを金型内にセットし、樹脂を射出成形し
て、ヘリカルアンテナと接続子とホイップアンテナを成
形樹脂により一体化した構造のアンテナが提案されてい
る（特開平９−１０７２１４号公報）。このような構造
にすると、製造工程を短縮できるので、コスト低減を図
ることができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし従来提案されて
いる、ヘリカルアンテナと接続子とホイップアンテナを
樹脂で一体化した構造のアンテナは、接続子が成形樹脂
の中に埋め込まれており、接続子とホイップアンテナ
が、接続子のホイップアンテナ側に形成された凹部の奥
部からホイップアンテナに向かって伸びる樹脂ロッド部
により連結された構造となっている。このため、接続子
とホイップアンテナとを連結する樹脂ロッド部が細く、
長くならざるを得ず、この部分の強度が弱くなり、折損
が発生しやすいという問題がある。

【０００６】また樹脂を射出成形する際に、ヘリカルア
ンテナの形状が樹脂圧力で変化するおそれがあり、ヘリ
カルアンテナの特性のバラツキが発生しやすい。さらに
射出成形用の金型は、接続子の前記凹部に挿入する部分
が必要なため、構造が複雑になるだけでなく、樹脂成形
後の型抜きが容易でなく、生産効率を上げることが困難
である。

【０００７】本発明の目的は、以上のような問題点に鑑
み、ヘリカルアンテナの給電端子とホイップアンテナを
連結する樹脂ロッド部で折損が発生しにくく、製造が容
易で、ヘリカルアンテナの特性が安定した、移動体通信
機器アンテナとその製造方法を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明に係る移動体通信機器用アンテナは、ヘリカルア
ンテナの一端に筒状の給電端子が接続され、この筒状の
給電端子のヘリカルアンテナとは反対側に、当該給電端
子の端部から離して、当該給電端子の軸線方向に向けて
ホイップアンテナが配置されており、前記給電端子とホ
イップアンテナが、前記ヘリカルアンテナを埋め、給電
端子の内部空間を埋め、さらにホイップアンテナの端部
を埋めるように一体成形された樹脂により連結されてい
ることを特徴とするものである。

【０００９】このようにすると、筒状の給電端子とホイ
ップアンテナを連結する部分の樹脂ロッド部の外径は給
電端子の外径と同程度に太くすることができ、またその
長さは筒状の給電端子とホイップアンテナを電気的に絶
縁するのに必要な最小限の長さにすることができるの
で、樹脂ロッド部で折損の発生しにくいアンテナが得ら
れる。

【００１０】また上記の移動体通信機器用アンテナを製
造するのに好適な本発明の製造方法は、金型内に、相互
に接続されたヘリカルアンテナと筒状の給電端子を、そ
れらの外周面が金型内面によって保持されるように配置
すると共に、ホイップアンテナの端部を、前記給電端子
の端部から離して、かつ前記給電端子の軸線方向に向け
て配置し、この状態で前記金型の中に樹脂を充填し、前
記ヘリカルアンテナと、給電端子の内部空間と、ホイッ
プアンテナの端部を樹脂で埋めて一体化することによ
り、給電端子とホイップアンテナを連結することを特徴
とするものである。

【００１１】この方法によると、ヘリカルアンテナはそ
の外周面を金型内面によって保持されるので、金型内面
との摩擦力により樹脂注入時にヘリカルアンテナが変形
するおそれがなく、特性の安定したアンテナを製造でき
る。また金型は、ヘリカルアンテナと、筒状の給電端子
と、ホイップアンテナを外側から把持するだけであるの
で、樹脂成形後の型抜きも容易であり、生産効率を高め
ることが可能である。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して詳細に説明する。図１は本発明に係る移動体通
信機器用アンテナの一実施形態を示す。図において、１
はヘリカルアンテナ、２はヘリカルアンテナ１の給電端
子、３はホイップアンテナ、４はホイップアンテナ３の
給電端子、５は機器筐体（図示せず）に固定されるホル
ダーである。

【００１３】ヘリカルアンテナ１の給電端子２はストレ
ートな穴を有する円筒状で、上端部にはヘリカルアンテ
ナ接続部２ａが形成され、その下にはフランジ部２ｂ形
成され、その下はホルダー５との嵌合部２ｃとなってい
る。ヘリカルアンテナ１は、その下端に約１ターンの小
径ターン部１ａを有し（小径ターン部１ａのターン数は
０．７〜２．０ターンの範囲内が好ましい）、この部分
１ａを給電端子２の接続部２ａに巻きつけて、かしめる
ことにより給電端子２に接続されている。ヘリカルアン
テナ１と給電端子２は両者の軸線が一致するように接続
される。

【００１４】一方、ホイップアンテナ３は上端部に抜け
止め用の偏平加工部３ａを有し、それより下の部分にほ
ぼ全長わたって樹脂被覆６を被せた構造である。ホイッ
プアンテナ３は、その上端を給電端子２の下端から離し
て、給電端子２と軸線が一致するように配置されてお
り、このホイップアンテナ３と給電端子２は、ヘリカル
アンテナ１を埋め、筒状給電端子２の内部空間を埋め、
さらにホイップアンテナ３の上端部を埋めるように一体
成形された樹脂７により連結されている。

【００１５】このような連結構造にすると、ヘリカルア
ンテナの給電端子２とホイップアンテナ３を連結する樹
脂ロッド部７ａの外径を、給電端子２の外径と同程度に
太くすることができ、また樹脂ロッド部７ａの長さは給
電端子２とホイップアンテナ３を電気的に絶縁するのに
必要な最小限の長さにすることができるので、樹脂ロッ
ド部７ａの機械的強度を大きくすることができ、この部
分で折損が発生するのを防止できる。

【００１６】なお、ヘリカルアンテナ１を樹脂７で埋め
込んだ部分には樹脂カバー８が被せられている。またホ
イップアンテナ３の下端の給電端子４は従来同様、ホル
ダー５から抜け出すのを防止するストッパー４ａが形成
されている。図示の状態は、この移動体通信機器用アン
テナが機器筐体から引き出され、ホイップアンテナ３の
給電端子４がホルダー５と接触して、ホイップアンテナ
３が機器のアンテナとして作動している状態である。こ
の状態からアンテナを機器筐体に押し込むと、ヘリカル
アンテナ１の給電端子２がホルダー５と接触し、ヘリカ
ルアンテナ１が機器のアンテナとして作動するようにな
る。

【００１７】次に、上記のような移動体通信機器用アン
テナを製造する方法を図２を参照して説明する。図にお
いて、９は射出成形用の金型、Ｃは金型９のキャビテ
ィ、Ｇは金型９の樹脂注入口、Ｐは金型９の分割面であ
る。

【００１８】この金型９内には、予め接続されたヘリカ
ルアンテナ１及び給電端子２と、ホイップアンテナ３の
端部がセットされる。ヘリカルアンテナ１及び給電端子
２は、それらの外周面が金型９の内面によって保持され
るようになっている。ホイップアンテナ３は、その端部
を、給電端子２の端部から軸線方向に離して、かつ給電
端子２と軸線が一致するように、金型９によって保持さ
れる。

【００１９】この状態で、金型９の中に樹脂を充填し、
ヘリカルアンテナ１と、筒状の給電端子２の内部空間
と、ホイップアンテナ３の端部を樹脂で埋めて一体化す
る。このときヘリカルアンテナ１は金型９の内面によっ
て押さえ付けられているため、射出成形される樹脂の圧
力により変形、移動することがなく、ヘリカルアンテナ
１の特性変動を小さく抑えることができる。金型９内に
樹脂を充填して固化させると、ヘリカルアンテナ１と給
電端子２とホイップアンテナ３が樹脂で一体化された、
図１のようなアンテナを製造することができる。また金
型９は、ヘリカルアンテナ１と、給電端子２と、ホイッ
プアンテナ３を外側から把持するだけであるので、金型
９を上下に開くだけで、樹脂成形体を取り出すことがで
き、効率のよい製造を行うことができる。

【００２０】

【実施例】ヘリカルアンテナ１として、０．５ｍｍのバ
ネ鋼線に銅メッキを施した線材を、外径５．０ｍｍ、ピ
ッチ２．０ｍｍで６ターン巻回したものを用いた（ヘリ
カルアンテナの材質はバネ鋼線にニッケルメッキを施し
たものや、銅合金線でもよい）。ヘリカルアンテナ１の
一端には、外径２．５ｍｍ、約１ターンの小径ターン部
１ａを形成し、この部分を給電端子２の接続部２ａに装
着してかしめることにより、ヘリカルアンテナ１と給電
端子２を接続した。給電端子２は黄銅その他の銅合金、
アルミニウム合金又はステンレス製であるであるが、導
電性樹脂などで形成することもできる。給電端子２の樹
脂を通す孔の内径は１．５ｍｍとした。ホイップアンテ
ナ３としては、Ｎｉ−Ｔｉ合金などの超弾性線材を用
い、その外径は０．９ｍｍとした。成形樹脂としては、
強度があり、誘電率の低いエンジニアリングプラスチッ
ク等が好ましく、本実施例ではポリアセタール樹脂を用
いた。

【００２１】予め接続されたヘリカルアンテナ１と給電
端子２を金型９の所定位置にセットし、ホイップアンテ
ナ３は、その端部を給電端子２の端部から３ｍｍ離して
金型で押さえた。金型９のヘリカルアンテナ１をセット
する部分の内径は、ヘリカルアンテナ１の外径より０〜
０．０５ｍｍ小さくして、ヘリカルアンテナ１が樹脂成
形圧力で動かないようにした。この状態で、樹脂温度２
００℃、射出圧力８０ＭＰａで樹脂を射出成形した。

【００２２】このようにして製造された移動体通信機器
用アンテナの、ヘリカルアンテナについて電波特性を測
定したところ、中心周波数９７０ＭＨｚ、標準偏差４．
１ＭＨｚとなり、安定した特性が得られることが確認さ
れた。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ヘ
リカルアンテナと、筒状の給電端子と、その給電端子か
ら離して配置されたホイップアンテナの端部とを樹脂で
一体化した移動体通信機器用アンテナにおいて、筒状の
給電端子とホイップアンテナを連結する樹脂ロッド部を
太く、短くできるので、その部分で折損が発生しにく
い、丈夫なアンテナを得ることができる。また金型の構
造が簡単で、樹脂成形後の型抜きも容易であるので生産
性も良好であり、さらにヘリカルアンテナが金型に押さ
えられて変形しないようになっているので、ヘリカルア
ンテナの電波特性を安定させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る移動体通信機器用アンテナの一
実施形態を示す断面図。

【図２】 本発明に係る移動体通信機器用アンテナの製
造方法の一実施形態を示す断面図。

【符号の説明】

１：ヘリカルアンテナ ２：ヘリカルアンテナの筒状給電端子 ３：ホイップアンテナ ４：ホイップアンテナの給電端子 ５：ホルダ ６：樹脂被覆 ７：成形樹脂 ７ａ：樹脂ロッド部 ８：樹脂カバー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 則雄 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘリカルアンテナ（１）の一端に筒状の給
   電端子（２）が接続され、この筒状の給電端子（２）の
   ヘリカルアンテナ（１）とは反対側に、当該給電端子の
   端部から離して、当該給電端子の軸線方向に向けてホイ
   ップアンテナ（３）が配置されており、 前記給電端子（２）とホイップアンテナ（３）が、前記
   ヘリカルアンテナ（１）を埋め、給電端子（２）の内部
   空間を埋め、さらにホイップアンテナ（３）の端部を埋
   めるように一体成形された樹脂（７）により連結されて
   いる、 ことを特徴とする移動体通信機器用アンテナ。
2. 【請求項２】金型（９）内に、相互に接続されたヘリカ
   ルアンテナ（１）と筒状の給電端子（２）を、それらの
   外周面が金型（９）内面によって保持されるように配置
   すると共に、ホイップアンテナ（３）の端部を、前記給
   電端子（２）の端部から離して、かつ前記給電端子
   （２）の軸線方向に向けて配置し、 この状態で前記金型（９）の中に樹脂を充填し、前記ヘ
   リカルアンテナ（１）と、給電端子（２）の内部空間
   と、ホイップアンテナ（３）の端部を樹脂（７）で埋め
   て一体化することにより、給電端子（２）とホイップア
   ンテナ（３）を連結する、 ことを特徴とする移動体通信機器用アンテナの製造方
   法。